JP4249401B2 - Dc−dcコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器(例えば、携帯電話機、PHS電話機、パソコン、遊技機等)の分野において使用されるDC−DCコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来例について説明する。
【0003】
(1) :DC−DCコンバータの構成の説明
従来例のDC−DCコンバータを図7に示す。図7に示したように、DC−DCコンバータ(この例では、自励式降圧型チョッパー回路)には、過電流検出回路1、主スイッチとして機能する主スイッチング素子S1、主スイッチング素子S1の駆動用トランジスタQ1、トランジスタQ2、コイルL1(平滑用チョークコイル)、抵抗R1〜R3、コンデンサC1(入力コンデンサ)、C2(出力コンデンサ)、ダイオードD1、D2、コンパレータ2等が設けてある。
【0004】
また、T1、T2は入力端子、T3、T4は出力端子であり、Vinは入力端子T1の入力電圧、Vout は端子T3の出力電圧、GNDは接地、Vref はコンパレータ2の参照電圧を示す。
【0005】
この場合、主スイッチング素子S1、駆動用トランジスタQ1、抵抗R1、ダイオードD2は発振部を構成する素子であり、ダイオードD1はフライホイール用のダイオード(転流素子)である。また、抵抗R2、R3は出力電圧VOUT を分圧する抵抗であり、コンパレータ2は前記抵抗R2、R3の分圧点の電位を参照電圧Vref と比較し、比較結果をトランジスタQ2のベースへ印加するものである。なお、この例では、入力端子T1と出力端子T4をGNDに接続する。
【0006】
(2) :変形例の説明
従来例回路の素子特性図を図8に示す。図8は、ダイオードとMOS−FETの電圧電流特性を示した図であり、横軸は順電圧(順方向電圧)VF、縦軸は順電流(順方向電流)IFを示す。また、前記ダイオードの特性は実線で示し、MOS−FETの特性は点線で示してある。
【0007】
この特性図に示すように、ダイオードがオンになり順電流IFが流れた場合、その順電圧VFは大きくなる。これに対してMOS−FETがオンになり、順電流IFが流れた場合、その順電圧VFは、ダイオードの順電圧に比べて極めて小さくなる。
【0008】
ところで、図7の例では、転流素子にダイオードD1を使用していた。このダイオードD1は順電圧VFが大きいため、電力損失が大きくなってしまう。そこで、転流素子ダイオードD1と並列にMOS−FET(NチャンネルMOS−FET、又はPチャンネルMOS−FET)を接続した転流回路(図2のダイオードD1とMOS−FETM1との並列回路と同じ構成の回路)を用い電力損失を低減することが考えられていた。なお、前記転流回路にはMOS−FETを駆動するための駆動回路(図2と同じ回路)も接続されているものとする。
【0009】
(3) :動作の説明
図7に示したDC−DCコンバータの動作は次の通りである。この場合、転流素子はダイオードD1のみであり、前記変形例のMOS−FETは接続されていないものとする。
【0010】
先ず、抵抗R2、R3の分圧点であるe点の電位が参照電圧Vref より低い時は、コンパレータ2の出力がローレベルとなり、トランジスタQ2がオフである。この時、抵抗R1→トランジスタQ1のベース(b点)→エミッタ→GNDの経路で電流が流れ、駆動用トランジスタQ1がオンになる。
【0011】
このようにしてトランジスタQ1がオンになると、主スイッチング素子S1がオンになり、S1→L1→C2→GNDの経路で電流が流れ、コンデンサC2を充電する。その後、出力電圧Vout が一定値以上になり、e点の電位がコンパレータ2の参照電圧Vref より高くなると、コンパレータ2からハイレベルの信号が出力され、トランジスタQ2がオンとなり、トランジスタQ1がオフ、主スイッチング素子S1がオフとなる。
【0012】
前記のように、主スイッチング素子S1がオフになると、R1→Q1のベース(b点)→D2→a点→L1の経路で電流が流れる。このため、a点、b点の電位は降下し、トランジスタQ1、主スイッチング素子S1のオフ状態を確実にする。なお、ダイオードD2がオンの場合、トランジスタQ1のベース電位も低く維持され、トランジスタQ1がオンになるのを防止する。
【0013】
一方、前記のように主スイッチング素子S1がオフになると、コイルL1に蓄えられていた磁束(電磁エネルギー)によりダイオードD1が順方向バイアスされ、L1→C2→D1→L1の経路で電流が流れ、再びコンデンサC2を充電する。
【0014】
前記のようにして転流ダイオードD1にコイルL1の磁束(電磁エネルギー)が減少する様電流が流れ、電流値が減少し、順方向電圧が低下し、トランジスタQ1のベース電圧が閾値まで達すると、再び、前記と同様にして、主スイッチング素子S1がオンとなり、前記動作を繰り返す。以上のようにして、発振部にダイオードD2を設けたことにより、安定した発振動作を行うことができる。
【0015】
更に、前記動作において、主スイッチング素子S1に過電流が流れると、過電流検出回路1が前記過電流を検出し、該過電流検出回路1からの出力信号によりトランジスタQ2を強制的にオンにする。このため、トランジスタQ1はオフとなり主スイッチング素子S1もオフになる。なお、転流ダイオードD1と並列にMOS−FETを接続した場合でも、基本的な動作は同じである。
【0016】
(4) :各部の波形の説明
図7に示したDC−DCコンバータの各部の波形図を図9に示す。図9において、A図はa点の電位(「電位a」とする)、B図は電位aの電圧レンジ拡大図(一部のみ拡大)、C図は転流ダイオードD1がオン時の順方向電圧VF、D図は転流ダイオードD1に流れる電流IF、E図はトランジスタQ1のベース電圧の各波形を示す。また、横軸のt0〜t4は各タイミングを示す。なお、以下の説明では、転流素子はダイオードD1のみであり、前記変形例のMOS−FETは接続されていないものとする。
【0017】
タイミングt0では、駆動用トランジスタQ1がオン、主スイッチング素子S1がオン、ダイオードD1、D2がオフ、トランジスタQ2がオフである。この時電位aはハイレベルの電位、b点の電位もハイレベルの電位である。この状態から、タイミングt1になると、トランジスタQ2がオン、トランジスタQ1がオフ、主スイッチング素子S1がオフ、ダイオードD1、D2がオンとなる。
【0018】
この時、タイオードD1には、大きな順方向電流IF(D図参照)が流れるので、電位aが低下し(A図参照)、ダイオードD1の順方向電圧VF分だけ負の電位となる(B図参照)。また、ダイオードD2もオンになるので、トランジスタQ1のベース電位(又はベース電圧)(E図参照)は低下する。
【0019】
その後、タイミングt2になると、再び、トランジスタQ1がオン、主スイッチング素子S1がオン、ダイオードD1、D2がオフ、トランジスタQ2がオフとなる。この時、電位aはハイレベルの電位、b点の電位もハイレベルの電位となる。以下、同様なタイミングで各部の波形が変化する。
【0020】
(5) :同期整流時の各部波形の説明
図7に示した回路の同期整流時の各部波形図を図10に示す。図10において、A図はa点の電位(「電位a」とする)、B図は電位aの電圧レンジ拡大図(一部のみ拡大)、C図は転流ダイオードD1、又は同期整流用MOS−FETがオン時の順方向電圧VF、D図は転流ダイオードD1に流れる電流IF、E図は同期整流用MOS−FETに流れる電流、F図はトランジスタQ1のベース電圧(又は電位)の各波形を示す。
【0021】
また、横軸のt0〜t4、及びtmは各タイミングを示す。なお、以下の説明では、前記変形例のように、転流素子D1と並列に同期整流用MOS−FETを並列接続した転流回路が使用されているものとする。前記動作において、同期整流時の各部の波形は図10のようになる。
【0022】
タイミングt0〜t1では、Q1オン、Q2オフ、S1オン、転流回路のD1及びMOS−FETオフ、D2オフとなり、S1→L1→C2→GNDの経路に電流が流れコンデンサC2を充電する。
【0023】
次に、タイミングt1〜t2では、Q2オン、Q1オフ、S1オフ、転流回路のD1及びMOS−FETオン、D2オンとなり、L1→C2→転流回路→L1の経路に電流が流れコンデンサC2を充電する。この場合、先ず、タイミングt1〜tmまでの短時間(一瞬の間)では、転流ダイオードD1が先にオンとなり、該転流ダイオードD1に一時的に大電流が流れる(D図参照)。この時、転流回路のMOS−FETはオフ状態である。そのため、転流ダイオードD1のオン時の順方向電圧VFは一時的に上昇し(C図参照)、a点の電位は一時的に下降(D2の電圧降下分だけ負の電位となる)し(B図参照)、トランジスタQ1のベース電位も一時的に下降する(F図参照)。
【0024】
その後、タイミングtmから転流回路のMOS−FETがオンとなり、転流ダイオードD1に流れていた電流は無くなり(D図参照)、MOS−FET側に流れる(E図参照)。そのため、前記MOS−FETの順方向電圧VFは小さく(ダイオードD2の順方向電圧より小さく)なる(図C参照)。また、電位aが上昇するためトランジスタQ1のベース電位も上昇する(F図参照)。
【0025】
次に、タイミングt2〜t3では、再び、Q1オン、Q2オフ、S1オン、D1オフ、D2オフとなり、S1→L1→C2の経路に電流が流れコンデンサC2を充電する。以降、同様な動作を繰り返す。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような従来のものにおいては、次のような課題があった。
【0027】
前記従来の回路では、転流素子にダイオードD1を使用していた。この場合、前記ダイオードD1は順方向電圧が大きいため、電力損失が大きくなってしまうという問題点があった。そこで、前記転流ダイオードD1と並列に同期整流用MOS−FETを接続した転流回路を使用することで、電力損失を低減することが行われていた。ところが、前記転流回路の転流素子にMOS−FETを使用すると次のような問題が発生していた。
【0028】
すなわち、従来例の回路において、ダイオードD2の順方向電圧をVF(D2)、転流素子(ダイオードD1又はMOS−FET)の順方向電圧をVF(a)、トランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧をVBE(Q1)とした場合、VBE(Q1)=VF(D2)−VF(a)の関係がある。
【0029】
従って、転流素子にMOS−FETを使用すると、VF(a)が小さくなるため、主スイッチング素子S1がオフの時に、トランジスタQ1のノイズマージンが小さくなり、オンしてしまうことがある。そのため、確実な動作ができなくなる。
【0030】
本発明は、このような従来の課題を解決し、転流回路の転流素子にMOS−FETを使用した場合でも、確実な動作ができるようにすることを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記の目的を達成するため、主スイッチ(バイポーラ型トランジスタ、NチャンネルMOS−FET、PチャンネルのMOS−FET等)と、平滑用のコイルと、出力用のコンデンサを直列接続し、前記コイルとコンデンサの直列回路と並列に、同期整流用MOS−FETを含む転流回路を接続すると共に、前記主スイッチを駆動する駆動用トランジスタと、該駆動用トランジスタに制御電流を供給する抵抗と、該抵抗の一端と前記駆動用トランジスタの制御電極とに接続され、前記主スイッチがオンの時非導通でオフの時導通するダイオードを設け、前記ダイオードは、前記駆動用トランジスタの制御用電極と前記抵抗の一端側にアノードを接続し、前記主スイッチとコイル間にカソードを接続することで、前記主スイッチとコイル間の電位を監視し、主スイッチがオフの時、該主スイッチの駆動用トランジスタをオフ状態に維持する機能を備えたDC−DCコンバータであって、前記主スイッチがオフし、前記同期整流用MOS−FETがオンした時、該MOS−FETがオンしていることを検出して、主スイッチがオフ状態を維持するように制御を行う制御手段を設けたことを特徴とする。
【0032】
また、前記制御手段は、前記同期整流用MOS−FETがオンしていることを検出した際、前記主スイッチのオフ状態を維持するように、前記駆動用トランジスタの制御電圧を制御するトランジスタを備えていることを特徴とする。
【0033】
(作用)
前記構成によれば、主スイッチがオフし、同期整流用MOS−FETがオンした時、前記制御手段は同期整流用MOS−FETがオンしていることを検出して、主スイッチがオフ状態を維持するように制御を行う。
【0034】
このため、同期整流用MOS−FETを使用した場合でも、主スイッチがオフの時に、従来のように駆動用トランジスタのノイズマージンが小さくならず、主スイッチがオンしてしまうことを防止できる。そのため確実な動作ができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
§1:DC−DCコンバータの概要説明
本発明の原理説明図を図1に示す。図1において、S1は主スイッチング素子(前記主スイッチに対応する)、D2はダイオード、L1は平滑用のチョークコイル(以下、単に「コイル」と記す)、R1は起動抵抗(以下、単に「抵抗」と記す)、Cinは入力コンデンサ、Cout は出力コンデンサ、Q1は主スイッチング素子S1の駆動用トランジスタ、▲1▼は主スイッチング素子S1のドライブ回路、▲2▼はMOS−FETを含む転流回路、▲3▼は制御回路、▲4▼は制御手段を示す。また、Vinは入力電圧、Vout は出力電圧、電圧Vc は外部からの印加電圧を示す。
【0037】
この回路は、主スイッチング素子S1と、コイルL1と、転流回路▲2▼と、入力コンデンサCinと、出力コンデンサCout からなる、高い入力電圧Vinを低い出力電圧Vout に変換するDC−DCコンバータ(自励式降圧型チョッパー回路)である。
【0038】
このDC−DCコンバータでは、出力電圧Vout を安定にする制御回路▲3▼と、前記主スイッチング素子S1をドライブするドライブ回路▲1▼と、該ドライブ回路▲1▼を介して主スイッチング素子S1を駆動する駆動用トランジスタQ1と、該駆動用トランジスタQ1のベース電流を供給する抵抗R1と、前記主スイッチング素子S1がオフの時導通するダイオードD2を備えている。
【0039】
また、前記DC−DCコンバータには、前記主スイッチング素子S1がオフし、前記転流回路▲2▼の同期整流用MOS−FETがオンした時、該MOS−FETがオンしていることを検出して、主スイッチがオフ状態を維持するように制御する制御手段▲4▼を備えている。
【0040】
§2:DC−DCコンバータの具体例の説明
DC−DCコンバータを図2に示す。図2は図1に示したDC−DCコンバータの具体例(自励式降圧型チョッパー回路)であり、該DC−DCコンバータには、過電流検出回路1、主スイッチング素子S1、駆動用トランジスタQ1、トランジスタQ2〜Q5、コイルL1、抵抗R1〜R3、R5〜R8、RS、コンデンサC1(入力コンデンサ)、C2(出力コンデンサ)、ダイオードD1〜D3、コンパレータ2、電流検出回路3、ドライバ4、転流回路のMOS−FET(NチャンネルMOS−FET)M1等が設けてある。
【0041】
また、T1、T2は入力端子、T3、T4は出力端子であり、Vinは入力端子T1の入力電圧、Vout は端子T3の出力電圧、GNDは接地、Vref はコンパレータ2の参照電圧を示す。なお、この例では、入力端子T1と出力端子T4をGNDに接続する。
【0042】
この場合、主スイッチング素子S1、駆動用トランジスタQ1、ダイオードD2、抵抗R1は発振部を構成する素子であり、ダイオードD1は転流用ダイオード(以下、単に「ダイオード」とも記す)、M1は同期整流用MOS−FET(NチャンネルMOS−FET)である。また、抵抗R2、R3は出力電圧VOUT を分圧する抵抗であり、コンパレータ2はe点の電位(又は電圧)を参照電圧Vref と比較し、比較結果をトランジスタQ2のベースへ印加するものである。
【0043】
更に、前記回路において、抵抗R5、R6、トランジスタQ3からなる回路は、同期整流用MOS−FETM1がオンしている時、駆動用トランジスタQ1をオフにする為の回路である。なお、前記転流用ダイオードD1を無くし、MOS−FETM1の内蔵ダイオードを転流用ダイオードとして利用することも可能である。
【0044】
§3:動作の説明
図2に示したDC−DCコンバータの動作は次の通りである。抵抗R2、R3の分圧点であるe点の電位が参照電圧Vref より低い時は、コンパレータ2の出力がローレベルとなり、トランジスタQ2がオフである。この状態で、R1→Q1のベース(b点)→エミッタ→GNDの経路で電流が流れ、駆動用トランジスタQ1がオンになる。
【0045】
このようにしてトランジスタQ1がオンになると、主スイッチング素子S1がオンになり、S1→L1→C2→GNDの経路で電流が流れコンデンサC2を充電する。そして、出力端子T3の出力電圧Vout が一定値以上になり、e点の電位が参照電圧Vref より高くなると、コンパレータ2からハイレベルの信号が出力され、トランジスタQ2がオンとなり、トランジスタQ1がオフ、主スイッチング素子S1がオフとなる。
【0046】
前記のように、主スイッチング素子S1がオフになると、R1→Q1のベース(b点)→D2→a点→L1の経路で電流が流れる。このため、a点、b点の電圧(電位)は降下し、トランジスタQ1、主スイッチング素子S1のオフ状態を確実にする。なお、ダイオードD2がオンの場合、トランジスタQ1のベース電圧も低く維持され、トランジスタQ1がオンになるのを防止する。
【0047】
一方、前記のように主スイッチング素子S1がオフになると、コイルL1に蓄えられていた磁束(電磁エネルギー)により、ダイオードD1が順方向バイアスされ、コイルL1→コンデンサC2→転流回路(D1、M1)の経路で電流が流れ、コンデンサC2を充電する。
【0048】
前記のようにして転流ダイオードD1にコイルL1の磁束(電磁エネルギー)が減少する様電流が流れ、電流値が減少し、順方向電圧が低下し、トランジスタQ1のベース電圧が閾値まで達すると、再び、前記と同様にして、主スイッチング素子S1がオンとなり、前記動作を繰り返す。以上のようにして、発振部にダイオードD2を設けたことにより、安定した発振動作を行うことができる。
【0049】
また、前記動作において、主スイッチング素子S1に過電流が流れると、過電流検出回路1が前記過電流を検出し、該過電流検出回路1からの出力信号によりトランジスタQ2を強制的にオンにする。このため、トランジスタQ1はオフとなり主スイッチング素子S1もオフになる。
【0050】
また、転流回路のダイオードD1とMOS−FETM1の動作の詳細は次の通りである。前記のようにして主スイッチング素子S1がオンになると、p点は出力電圧Vout と同じ電位になり、p点→抵抗R8→トランジスタQ5のベース→トランジスタQ5のエミッタ→GNDの経路で電流が流れ、該トランジスタQ5がオンになる。このため、ドライバ4の入力電圧は略GNDレベルの低い値となり、該ドライバ4からローレベルの電圧がMOS−FETM1のゲートに印加する。従って、MOS−FETM1はオフになる。
【0051】
一方、主スイッチング素子S1がオフになると、コイルL1の電磁エネルギーにより、L1→C2→RS→D1→L1の経路で電流が流れ、転流ダイオードD1が一瞬オンになるが、この時、L1→p点→R8→k点→D3→L1→p点の経路で電流が流れa点の電位が低下する。
【0052】
そのため、k点の電位も低下し、トランジスタQ5のベース電位が低下して該トランジスタQ5がオフになる。このため、ドライバ4の入力電圧は上昇し、該ドライバ4からハイレベルの電圧がMOS−FETM1のゲートに印加する。従って、MOS−FETM1はオンになる。この場合、MOS−FETM1はダイオードD1より少し遅れてオンになる。
【0053】
また、電流検出回路3とトランジスタQ4の詳細な動作は次の通りである。先ず、理想とする動作では、抵抗RSの電圧(「VRS」とする)がゼロになった時トランジスタQ4をオンにし、MOS−FETM1のゲート電圧をGNDレベルにしてMOS−FETM1をオフにする。そして、抵抗RSの電圧(「VRS」とする)が或る値まで上昇した時、トランジスタQ4がオフとなる。
【0054】
しかし、現実の動作では、抵抗RSの電圧(「VRS」)が或る値(「VRS1 」とする)以下の時トランジスタQ4がオンする。この場合、電圧VRS1 が正の時、トランジスタQ4がオンし、MOS−FETM1をオフするが、転流ダイオードD1がオンし、このダイオードD1に電流が流れ、この電流が減少し、順方向電圧VFが低下し、トランジスタQ1のベース電圧が閾値に達するとトランジスタQ1がオンする。また、電圧VRS1 が負の時、トランジスタQ4がオンし、VRS=0の時と同様となる。しかし、この時の転流電流は、負の方向に少し流れる。
【0055】
また、トランジスタQ3の詳細な動作は次の通りである。MOS−FETM1のゲート電圧がローレベルの時(M1オフ時)は、抵抗R5とR6の接続点の電位はローレベルでありトランジスタQ3はオフである。そのため、トランジスタQ1のベースにはGND電位は印加されていない。
【0056】
しかし、MOS−FETM1のゲート電圧がハイレベルの時(M1オン時)は、抵抗R5とR6の接続点の電位はハイレベルとなり、トランジスタQ3はオンする。この時、トランジスタQ3のコレクタ電位は略GND電位となり、トランジスタQ1のベースに略GNDレベルの電位が印加する。そのため、トランジスタQ1のオフ状態を確実にする。
【0057】
§4:同期整流時の各部波形の説明
図2に示したDC−DCコンバータの同期整流時の各部波形図を図3に示す。図3において、A図はa点の電位(「電位a」とする)、B図は電位aの電圧レンジ拡大図(一部のみ拡大)、C図は転流ダイオードD1、又は同期整流用MOS−FETがオン時の順方向電圧VF、D図は転流ダイオードD1に流れる電流IF、E図は同期整流用MOS−FETに流れる電流、F図はトランジスタQ1のベース電圧(又は電位)の各波形を示す。また、横軸のt0〜t4、及びtmは各タイミングを示す。
【0058】
前記動作において、同期整流時の各部の波形は図3のようになる。タイミングt0〜t1では、Q1オン、Q2オフ、S1オン、転流回路のD1及びMOS−FETM1オフ、D2オフとなり、S1→L1→C2→GNDの経路に電流が流れコンデンサC2を充電する。
【0059】
次に、タイミングt1〜t2では、Q2オン、Q1オフ、S1オフ、転流回路のD1及びMOS−FETオン、D2オンとなり、L1→C2→D1→L1の経路に電流が流れコンデンサC2を充電する。この場合、先ず、タイミングt1〜tmまでの短時間(一瞬の間)では、転流ダイオードD1が先にオンとなり、該転流ダイオードD1に一時的に大電流が流れる(D図参照)。
【0060】
この時、転流回路のMOS−FETはオフ状態である。そのため、転流ダイオードD1のオン時の順方向電圧VFは一時的に上昇し(C図参照)、a点の電位は一時的に下降(D2の電圧降下分だけ負の電位となる)し(B図参照)、トランジスタQ1のベース電位も下降する(F図参照)。
【0061】
その後、タイミングtmから転流回路のMOS−FETがオンとなり、転流用ダイオードD1に流れていた電流は無くなり(D図参照)、MOS−FETM1側に流れる(E図参照)。そのため、前記MOS−FETM1の順方向電圧VFは小さく(ダイオードD2の順方向電圧より小さく)なる(図C参照)。
【0062】
この時、従来の同期整流の場合では、電位aが上昇するためトランジスタQ1のベース電位も上昇するが、本実施の形態では、MOS−FETM1がオンした時、MOS−FETM1のゲート電圧がハイレベルであるから、抵抗R5とR6の接続点の電位はハイレベルとなり、トランジスタQ3はオンする。
【0063】
この時、トランジスタQ3のコレクタ電位は略GND電位となり、トランジスタQ1のベースに略GNDレベルの低い電位が印加する(F図参照)。すなわち、主スイッチング素子S1がオフし、同期整流用MOS−FETM1がオンの時、抵抗R5、R6、トランジスタQ3からなる回路でMOS−FETM1がオンしていることを検出し、MOS−FETM1がオンの時は、主スイッチング素子S1がオフ状態を維持するようにトランジスタQ1のベース電圧(制御電圧)を制御する。そのため、トランジスタQ1のオフ状態を確実にする。
【0064】
次に、タイミングt2〜t3では、再び、Q1オン、Q2オフ、S1オン、D1オフ、D2オフとなり、S1→L1→C2の経路に電流が流れコンデンサC2を充電する。以降、同様な動作を繰り返す。
【0065】
§5:変形例の説明
DC−DCコンバータの一部変更例を図4に示す。図4において、A図は例1の回路図、B図は例2の回路図を示す。以下、図4に基づいて、DC−DCコンバータ(自励式降圧型チョッパー回路)の一部変更例を説明する。
【0066】
(1) :例1の説明
例1は、主スイッチング素子S1に、PチャンネルMOS−FETを使用した例であり他の素子は図2と同じである。図4のA図に示すように、主スイッチング素子S1として、PチャンネルMOS−FETが使用されており、この主スイッチング素子S1を駆動するために、駆動用トランジスタQ1と、抵抗R1、R21、R22と、ダイオードD2が設けてある。
【0067】
そして、抵抗R1には電圧Vc が印加するようになっている。なお、主スイッチング素子S1を構成するPチャンネルMOS−FETのソースをS、ドレインをD、ゲートをGで示してある。
【0068】
この回路では、駆動用トランジスタQ1がオンすると、PチャンネルMOS−FETのゲート(G)とソース(S)間に電圧がかかり、主スイッチング素子S1がオンする。また、駆動用トランジスタQ1がオフすると、PチャンネルMOS−FETのゲート(G)とソース(S)間の電圧が下がり、主スイッチング素子S1がオフする。
【0069】
(2) :例2の説明
例2は、主スイッチング素子に、NチャンネルMOS−FETを使用した例であり他の素子は図2と同じである。図4のB図に示すように、主スイッチング素子S1として、NチャンネルMOS−FETが使用されており、この主スイッチング素子S1を駆動するために、トランジスタQ1、Q31、Q32、Q33と、抵抗R1、R31、R32と、ダイオードD31、D32、D2と、コンデンサC31等が設けてある。
【0070】
そして、抵抗R1には電圧Vc が印加するようになっている。なお、主スイッチング素子S1を構成するNチャンネルMOS−FETのソースをS、ドレインをD、ゲートをGで示してある。なお、前記ダイオードD31及びコンデンサC1はブートストラップ回路を構成する素子である。
【0071】
§6:駆動用トランジスタQ1とダイオードD2部分のバリエーション
図4の一部変更例(その1)を図5に示し、図4の一部変更例(その2)を図6に示す。図5、6において、A図は基本形、B図はバリエーション1、C図はバリエーション2を示す。以下、図5、6に基づいて、駆動用トランジスタQ1とダイオードD2部分のバリエーションについて説明する。
【0072】
図5のA図に示す基本形では、図のX点から見たY点とZ点の特性が等しい時、対称性が一致しているとしている。ところで、前記基本形の場合、トランジスタQ1のベース−エミッタ間のダイオード特性と、ダイオードD2の特性により対称性が一致する場合と一致しない場合がある。
【0073】
対称性を一致させると、Z点電位が略0Vになったとき、MOS−FETをオンさせることができる。また、対称性をずらすことにより、Z点電位が0VでないときMOS−FETをオンさせるようにすることもできる。
【0074】
図5のB図に示すバリエーション1では、トランジスタQ1と同じ特性のトランジスタQ41及びダイオードD2と同じ特性のダイオードD21を追加することにより、対称性を一致させることができる。
【0075】
また、図6のC図に示すように、抵抗R51を追加、又は抵抗R52を追加、或いは抵抗R51、R52を追加することにより、対称性を任意にずらすことができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば次のような効果がある。
【0077】
すなわち、本発明のDC−DCコンバータには、主スイッチがオフし、同期整流用MOS−FETがオンした時、該MOS−FETがオンしていることを検出して、主スイッチがオフ状態を維持するように制御を行う制御手段を備えている。
【0078】
従って、主スイッチがオフし、同期整流用MOS−FETがオンした時、前記制御手段は、同期整流用MOS−FETがオンしていることを検出して、主スイッチがオフ状態を維持するように制御を行う。
【0079】
このため、同期整流用MOS−FETを使用した場合でも、主スイッチがオフの時に、従来のように駆動用トランジスタのノイズマージンが小さくならず、主スイッチがオンしてしまうことを防止できる。そのため確実な動作ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるDC−DCコンバータを示した図である。
【図3】図2の各部波形図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるDC−DCコンバータの一部変更例であり、A図は例1の回路図、B図は例2の回路図である。
【図5】図4の一部変更例(その1)であり、A図は基本形、B図はバリエーション1である。
【図6】図4の一部変更例(その2)であり、C図はバリエーション2である。
【図7】従来例のDC−DCコンバータを示した図である。
【図8】従来例回路の素子特性図である。
【図9】従来例回路の各部波形図である。
【図10】従来例回路の同期整流した時の各部波形図である。
【符号の説明】
1 過電流検出回路
2 コンパレータ
3 電流検出回路
4 ドライバ
▲1▼ ドライブ回路
▲2▼ 転流回路
▲3▼ 制御回路
▲4▼ 制御手段
S1 主スイッチング素子
Q1 駆動用トランジスタ
Q2〜Q5、Q31、Q32、Q33、Q41 トランジスタ
L1 コイル(チョークコイル)
R1〜R8、RS、R11、R12 R31、R32、R51、R52 抵抗
C1、C2、C31 コンデンサ
D1〜D3、D21、D31、D32 ダイオード
M1 同期整流用MOS−FET(NチャンネルMOS−FET)
T1、T2 入力端子
T3、T4 出力端子
Vin 入力端子T1の入力電圧
Vout 端子T3の出力電圧
Vref 参照電圧
Vc 電圧
Claims (2)
- 主スイッチと、平滑用のコイルと、出力用のコンデンサを直列接続し、前記コイルとコンデンサの直列回路と並列に、同期整流用MOS−FETを含む転流回路を接続すると共に、
前記主スイッチを駆動する駆動用トランジスタと、該駆動用トランジスタに制御電流を供給する抵抗と、該抵抗の一端と前記駆動用トランジスタの制御電極とに接続され、前記主スイッチがオンの時非導通でオフの時導通するダイオードを設け、
前記ダイオードは、前記駆動用トランジスタの制御用電極と前記抵抗の一端側にアノードを接続し、前記主スイッチとコイル間にカソードを接続することで、前記主スイッチとコイル間の電位を監視し、主スイッチがオフの時、該主スイッチの駆動用トランジスタをオフ状態に維持する機能を備えたDC−DCコンバータであって、
前記主スイッチがオフし、前記同期整流用MOS−FETがオンした時、該MOS−FETがオンしていることを検出して、主スイッチがオフ状態を維持するように制御を行う制御手段を備えていることを特徴とするDC−DCコンバータ。 - 前記制御手段は、前記同期整流用MOS−FETがオンしていることを検出した際、前記主スイッチのオフ状態を維持するように、前記駆動用トランジスタの制御電圧を制御するトランジスタを備えていることを特徴とする請求項1記載のDC−DCコンバータ。
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