JP4249300B2 - 装飾材の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の外壁などに取り付けられる装飾材の取付構造にかかり、主として長手方向に連続した突出部を有する装飾材を用い、これを壁面に取り付けて、凸状の段差が壁面に形成されるようにした構造のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の外壁を段差を有する装飾壁面とする場合、例えば図4に示されているように、表面を凸状に膨出させてなる装飾材41を用い、その上下両端の折り返し片部41a,42bをネジ42により壁面に固着し、両ネジ止め部上方の壁面43と装飾材41との隙間にコーキング材44を充填した取付構造が多用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の取付構造によれば、壁面43と装飾材41の露出した表面とが一体の連続面となり、降雨時に壁面43を伝う雨水はそのまま装飾材41の表面に流れ落ちるが、この際、壁面43に付着していた埃や塵も雨水に混じって流れ落ち、その一部が化粧材表面に付着して筋状の汚れを残したり、或いは雨水に混じって流れ落ちた塵や埃が化粧材41の突出した上面部に堆積したりして、壁面43の美観を損なわすという問題があった。
【0004】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、突出部を有する装飾材を建物の壁面に取り付けて壁面を装飾する装飾材の取付構造において、雨水に混じって壁面を流れ落ちる塵や埃が装飾材に付着し難い構造とし、施工当初の壁面の美観を維持できるようにすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、突出部を有する装飾材を建物の壁面に取り付けて壁面を装飾する本発明の装飾材の取付構造は、建物の壁面と、壁面に固着されて装飾材を当該壁面に固定するブラケットとの間に雨水などの流通路となる間隙部を設け、装飾材を、その上部が壁面に接しないようにして上記ブラケットに取り付けたことを特徴とするものである。
【0006】
これによれば、降雨時、壁面を伝う雨水は、装飾材を支持するブラケットと、壁面との間の間隙部、つまり装飾材の裏面側を通って流れ落ち、雨水に混じった塵や埃が装飾材の表面に伝って跡を残したり装飾材の上面部に堆積したりせず、装飾した壁面の美観を維持できる。
【0007】
上記装飾材は、その上面部を壁面側に下方傾斜させてあることが好ましい。
装飾材の上面部がこのように設けてあれば、当該上面部に滴下した雨水が装飾材裏面側の上記間隙部へと導かれ、装飾材の表面側に伝う雨水が減って、装飾材を汚れ難くすることができる。
【0008】
上記装飾材とブラケットとは一体に設けることができる。
本発明は、装飾材の裏面と壁面との間に設けた間隙部に雨水が流れ落ちるように仕向けるものであり、上記間隙部に雨水が流れ落ちるよう構成されている限り、装飾材の形状、寸法及びその取り付け態様は適宜なものとすることができる。本発明は、凸状の段差を有する装飾壁面とするために突出部を有する長尺の装飾材を用いる場合に特に効果的であるが、突出部のない装飾材や短尺の装飾材の取り付けにも適用し得るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1及び図2は本発明の第1実施形態を示しており、これは、装飾材1の裏面にホルダー2を一体に固着し、このホルダー2を、ライナー4を挟んで建物の壁面Aに固着されたブラケット3に装着しビス止めして、壁面Aに装飾材1を取り付けたものである。
【0010】
装飾材1は、鋼材その他適宜な材料を用い、表面側に突出部1aを有した長尺板状に形成されている。
詳しくは、装飾材1は断面略々半円筒状を呈し、その膨出した曲面部を突出部1aとして表面側に向け、これと対向した平板面を裏面部1bとなし、その上面部1cを、突出部1aと裏面部1bの上部交差部よりも前方から裏面側下方に若干傾斜させ、且つ裏面部1bを超えて適宜な長さ突出させると共に、その突出端部に、さらに下方に折曲した折れ片1dを連ねて形成されている。
【0011】
ホルダー2は、装飾材1と同様の材料を用い、装飾材1の裏面部1bに接合する前面部2aを有して、装飾材1と略同じ長さの長尺板状に形成されている。
詳しくは、ホルダー2は前面部2aを上記裏面部1bの4/5程度の高さに設け、その上端部に上記折れ部1cに重合し得るように裏面側に折曲され、且つ端部を下向きに折り返してなるコ字状部2bを設け、このコ字状部2bの先端縁部を後述の軸受部3dに回動可能に係合する軸部2cとなし、前面部2aの下端部に若干上方に湾曲しながら裏面側に折曲された当接片2dを設けて形成されている。これらホルダー2の各部は後述のブラケット3に装着し得る寸法に設けられている。
ホルダー2は、前面部2aを上記裏面部1bに、コ字状部2bの上面部を上記折れ部1cにそれぞれ接合させて、リベットなどの固着部材5bにより装飾材1の裏面に一体に固着されている。
なお、ホルダー2は、装飾材1よりも短尺に形成し、装飾材1の裏面に部分的に取り付け、或いは複数個を適宜な間隔毎に取り付けて用いることもできる。
【0012】
ブラケット3は、装飾材1又はホルダー2と同様の材料を用い、装飾材1と略同じ長さの長尺状に形成されている。
詳しくは、ブラケット3は、壁面Aに接合可能に設けた固着板部3aの上下両端に突片3b,3cを突設させた断面コ字状を呈し、上部突片3bの上面部に上記ホルダー2の軸部2cが係合する凹状の軸受部3dを設け、上部突片3bの先端部を固着板部3aと平行に下方に折曲し、下部突片3cを若干上方に湾曲させて形成されており、軸受部3dに上記軸部2cを係合させ、上部突片3bの先端折れ部に上記前面部2aの裏面を、下部突片3cの下面に上記当接片2dの上面をそれぞれ接合させて前面側からホルダー2が固着された装飾材1を装着し、これを支持できるようになっている。
【0013】
ライナー4は、適宜な厚みのアルミ板を用いてなり、上記固着板部3aの裏面側に重合させて、壁面Aとブラケット3との間に介装されている。
ライナー4は、ブラケット3のネジフィッシャーなどの固着部材5aが挿通される部位にのみ装着され、図示されないが、ブラケット3の長手方向に適宜な間隔を開けて配置されている。
【0014】
装飾材1の壁面Aへの施工手順は、先ず、取り付け位置の壁面にブラケット3をライナー4を介して据え付け、ブラケット3の前方から固着部材5aを打ち込み、ブラケット3とライナー4と共に壁面Aに固着する。この状態で、ブラケット3の長手方向に沿って隣接するライナー4の間、つまり、ライナー4が重合されていないブラケット3の裏面と壁面Aとの間には、ライナー4の厚み分の間隙部Xが形成される。
【0015】
そして、図2に示されているように、装飾材1の裏面に固着されたホルダー2の軸部2cをブラケット3の軸受部3d内に上方から差し入れ、両部を係合させたまま、ホルダー2の前面部2aと当接片2dとがブラケット3の上部突片3bの先端折れ部と下部突片3cとに接合するまで装飾材1を下方へ回動させ、重なり合った上記当接片2dと下部突片3cとにビスなどの固着部材5cを挿通して両片を締結することにより、装飾材1がブラケット3に固定され、壁面Aへの取り付けが完了する。
この状態で、装飾材1の折れ片1dは、ブラケット3の固着板部3aの上方に位置し、装飾材1と壁面Aとの間には、上記と同様の間隙部Xが形成される。
【0016】
このように取り付けられた装飾材1は、壁面Aとの間に間隙部Xを開けて固定されるので、降雨時、壁面Aを伝う雨水は間隙部Xを通って流れ落ち、雨水に混じった塵や埃が装飾材1の表面に伝って跡を残したり装飾材1の上面部1cに堆積したりする虞れがない。
而も、装飾材1の上面部1cは壁面A側に下方傾斜させてあり(図1中、符号θ参照)、装飾材1の上面に滴下した雨水は、その大部分が当該傾斜面部を伝って間隙部Xへと流れ落ちる。従って、装飾材1の表面側に雨水が流れ落ち難くなり、雨水による汚れが装飾材1の突出部1aには付着し難くなる。
また、間隙部Xはブラケット3の裏面側に広く開けて設けられているから、ブラケット3の壁面Aや装飾材1との接合部に雨水が溜まることはなく、間隙部X内の壁面Aを伝ってスムーズに流れ落ちる。
【0017】
図3は本発明の第2実施形態を示しており、これは、前記実施形態よりも大寸に形成された装飾材1に前記実施形態と共通のホルダー2を固着し、これを、同じく大寸に形成されたブラケット3にビス止めして、壁面Aに装飾材1を取り付けたものである。
【0018】
装飾材1は、前記形態と同様、突出部1a、裏面部1b、裏面側に下方傾斜した上面部1c及び折れ片1dを有する断面略々半円筒状を呈し、さらに裏面部1bの下部に当該裏面部から垂直に突出する当接片1eを設けて形成されており、その裏面部1bにホルダー2が固着してある。上記当接片1eはブラケット3の下部突片3cに重合し得る寸法に設けてある。
【0019】
ブラケット3も、前記形態とは固着板部3aの高さを大寸に設けてある点が異なる他、固着板部3aの上下両端に突片3b,3cを突設させた断面コ字状に設けられているのは同様であり、軸受部3dにホルダー2の軸部2cを係合させ、上部突片3bの先端折れ部にホルダー2の前面部2aの裏面を、下部突片3cの下面に装飾材1の当接片1eの上面をそれぞれ接合させて前面側から装飾材1を装着し、これを支持できるようになっている。
【0020】
装飾材1の壁面Aへの施工は、前記形態と同様、ライナー4を挟んで壁面Aにブラケット3を固着し、ブラケット3の前方から装飾材1を装着し、重なり合った上記当接片1eと下部突片3cとに固着部材5cを挿通して両片を締結することにより行うことができる。
【0021】
本形態によっても、装飾材1は壁面Aとの間に間隙部Xを開けて固定されるので、降雨時、雨水を装飾材1の裏面側を通って排水させることができ、また、装飾材1の上面部1cは壁面A側に下方傾斜させてあるので(図3中、符号θ参照)、雨水に混じった塵や埃が装飾材1の表面に伝って跡を残したり装飾材1の上面部1cに堆積したりする虞れがなく、雨水によって壁面Aの美観が損なわれることを防止することができる。
【0022】
上記両形態は一例であって本発明はこれらに限定されるものではない。装飾材1とホルダー2を一体に成形した態様、さらに装飾材1、ホルダー2及びブラケット3を一体に成形した態様など適宜な態様とすることができる。
また、ライナー4を介してブラケット3を壁面Aに固着することで間隙部Xを形成したが、装飾材1の裏面側に雨水の流通路となる空間部が形成されているのであれば、他の手段を採用してもよい。例えばブラケット3の固着板部3aや装飾材1又はホルダー2の裏面部に、筋状の或いは適宜な幅の排水溝を設け、この排水溝から雨水が排水されるようにした態様などである。
なお、上記各部材は腐食し難い耐水性の良好な材料、或いは表面に耐水加工が施された材料を用いるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装飾材の取付構造の一実施形態を示した側断面図である。
【図2】図1の形態の装飾材をブラケットに取り付ける手順を説明するための側断面図である。
【図3】本発明の装飾材の取付構造の他の実施形態を示した側断面図である。
【図4】従来の装飾材の取付構造を示した側断面図である。
【符号の説明】
1 装飾材
2 ホルダー
3 ブラケット
4 ライナー
5a,5b,5c 固着部材
A 壁面
X 間隙部
θ 傾斜角

Claims (3)

  1. 突出部を有する装飾材を建物の壁面に取り付けて壁面を装飾する装飾材の取付構造において、建物の壁面と、壁面に固着されて装飾材を当該壁面に固定するブラケットとの間に雨水などの流通路となる間隙部を設け、装飾材を、その上部が壁面に接しないようにして上記ブラケットに取り付けたことを特徴とする装飾材の取付構造。
  2. 装飾材の上面部を壁面側に下方傾斜させてなる請求項1に記載の装飾材の取付構造。
  3. 装飾材とブラケットとを一体に設けてなる請求項1又は2に記載の装飾材の取付構造。
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