JP4248638B2 - Cvケーブルの製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ケーブル)の製法に関し、架橋時にクミルアルコールの二次分解反応を積極的に促進し、架橋後の絶縁体中に残るクミルアルコール量を0.2重量%未満とするものである。
【0002】
【従来の技術】
CVケーブルの製造は、低密度ポリエチレンに架橋剤となるジクミルパーオキサイド(DCP)を配合した組成物を導体上に押出被覆し、ついでこのものを加熱、加圧して絶縁体を架橋させる方法で行われている。
この製造の架橋時において、ジクミルパーオキサイドは分解してラジカルを発生し、低密度ポリエチレンを架橋し、自らはアセトフェノン、メタン、クミルアルコールに分解されクミルアルコールはさらに二次分解してα−メチルスチレンと水とに分解される。
【0003】
ここで生成した水分は、架橋時の加熱によりその大部分が絶縁体から外部に放出されるが、一部は絶縁体内に残留する。
また、絶縁体中のクミルアルコールのすべてが架橋時に分解するわけではなく、その一部が架橋後の絶縁体に残り、この残留クミルアルコールがケーブル使用時の温度上昇の際に分解して水分を生成する。
この場合、CVケーブルが金属被覆などの遮水構造を有するものであると、水分が外部に放出されず、絶縁体内に残る。
このようにして絶縁体中に残存した水分は、水トリーの発生の原因となり、長期絶縁性を低下させることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
よって、この発明における課題は、ジクミルパーオキサイドを架橋剤として使用して得られた絶縁体を有するCVケーブルにおいて、架橋後に絶縁体内で生成する水分をできるだけ少なくして、長期絶縁性の低下を防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題は、架橋後の絶縁体中に残存するクミルアルコール量を0.2重量%未満にすることで解決され、そのために下記の手段のいずれか1以上が行われる。
(1)低密度ポリエチレンのペレットに予め酸素を吸蔵させておくこと、
(2)絶縁体となる組成物にプロトン発生剤としてオレイン酸を添加しておくこと、
(3)架橋時の加熱加圧媒体に酸素含有気体を用いること、
(4)架橋時に導体中に酸素含有気体を吹き込むこと。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の製法は、CVケーブルの製造の架橋工程中に、クミルアルコールの二次分解を積極的に促進し、架橋終了後に残るクミルアルコールをできるだけ少なくし、架橋以降に温度が上昇してもクミルアルコールの二次分解がほとんど生じないようにするものであり、クミルアルコールの二次分解が酸素やプロトンの存在によって促進されることから、系内に酸素やプロトン発生剤を積極的に存在させるようにするものである。
【0007】
次に、上述の4つの手段について、それぞれ詳しく説明する。
第1の手段は、原料となる低密度ポリエチレンのペレットを酸素含有気体中で放置し、ペレット中に酸素を吸蔵させておき、このペレットを用いるものである。具体的には、ペレットを密封容器等に収容し、この内部に空気、酸素ガス、液化酸素を封入し、圧力0〜4kg/cm2、温度40〜60℃で10〜50時間放 置する。この際、ペレットには予めジクミルパーオキサイドを含浸させたものを用いてもよい。ペレット量の吸蔵酸素量は2〜10体積%で十分である。
【0008】
第2の手段は、低密度ポリエチレンにジクミルパーオキサイドを配合した組成物にプロトン発生剤を添加するものである。このプロトン発生剤としては、オレイン酸、ステアリン酸などの有機酸、フェノール類などが用いられ、その添加量は低密度ポリエチレン100重量部に対して0.05〜2重量部程度とされる。このプロトン発生剤が添加された組成物は、通常と同様にして導体上に押出被覆される。ジクミルパーオキサイドの配合量は、低密度ポリエチレン100重量部に対して1〜4重量部とされる。また、この組成物には、酸化防止剤等の配合剤を添加してもよい。
【0009】
第3の手段は、架橋工程の際、加熱加圧媒体として酸素含有気体を用いるものである。CVケーブルの架橋には、種々の方法があるが、窒素ガス、シリコーン油などを加熱加圧媒体として用いるものが主流となっている。
この第3の手段では、空気、酸素ガスなどの酸素含有気体を用い、架橋時に絶縁体中に酸素を吸収させて、クミルアルコールの二次分解を促進するものである。架橋時の酸素含有気体の温度は150〜250℃、圧力は5〜10kg/cm2程度とされる。
【0010】
第4の手段は、架橋時に導体中に酸素含有気体を吹き込み、導体の撚り目の微小な空隙に酸素含有気体を流し、ここから加熱状態にある絶縁体に酸素を吸収させるようにするものである。具体的には、導体の先端に金属製のジャケットを気密に取り付け、ジャケット内に圧力0〜4kg/cm2の空気、酸素ガスを送り 続けるなどの方法がある。
【0011】
そして、これら4つの手段のうち、1以上のものを組み合わせて採用することで、架橋後の絶縁体中のクミルアルコール量を0.2重量%未満とすることができる。
勿論、本発明の製法の基本的な部分は、従来の製法と同様であり、導体上への押出被覆時において、内部半導電層/絶縁体/外部半導電層の三層同時押出被覆を行うことができる。
【0012】
このような本発明の製法にあっては、上述の手段を1以上採用することにより、架橋時にジクミルパーオキサイドから生成したクミルアルコールの二次分解がそこに存在する酸素あるいはプロトンによって促進され、クミルアルコールの大部分が水とα−メチルスチレンに二次分解され、架橋後の絶縁体中に残るクミルアルコール量は0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満となる。
そして、生成した水分は、架橋時およびメタン乾燥時の50〜70℃程度の加熱により、絶縁体から外部に放出され、絶縁体中の水分量は100ppm以下となる。
このため、このようにして製造されたCVケーブルでは、使用時などに温度上昇があっても、クミルアルコールの二次分解による水分の生成量は微かであり、金属遮水層があったとしても水トリーなどの原因となることはない。
【0013】
以下、具体例を示す。
(従来例)
低密度ポリエチレン(密度0.92g/cm3、MFR3.0g/10分)のペレット100重量部に、ジクミルパーオキサイド2重量部、酸化防止剤(4,4′−チオビス−6−ターシャリーブチル−3−メチルフェノール)0.2重量部を配合した組成物を、断面積2500mm2の撚線導体上に押出被覆し、厚み25mmの絶縁体を設けたのち、これを窒素ガス架橋方法によって架橋し、ケーブルコアを製造した。
【0014】
(実施例1〜4)
上記従来例の製法において、以下の手段(1)〜(4)を表1に示すように1以上採用して、4種のケーブルコアを製造した。
(1)低密度ポリエチレンのペレットを密封容器に収容し、50℃、2kg/cm2の酸素ガス中で1日放置し、酸素を吸蔵させた。
(2)上記組成物にプロトン発生剤としてオレイン酸を低密度ポリエチレン100重量部当り0.1重量部添加したものを用いて押出被覆した。
(3)架橋時の加熱加圧媒体として空気を使用した。温度、圧力は従来例と同じとした。
(4)架橋時に導体に酸素を圧力2kg/cm2で吹き込んだ。
【0015】
このようにして得られた5種のケーブルコアについて、その絶縁体中のクミルアルコール量を測定した。また、ケーブルコアを70℃で乾燥し、絶縁体中の水分量が100ppm以下になるまでの所要時間(乾燥時間)を求めた。
結果を表1に示す。表1において〇印は採用した手段を表す。
【0016】
【表1】
【0017】
表1の結果から、上述の4つの手段のいずれか1以上を採用することで架橋後の絶縁体中のクミルアルコール量を0.2重量%未満にしうることが明らかとなった。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のCVケーブルの製法にあっては、架橋工程でのクミルアルコールの二次分解反応が促進され、絶縁体中のクミルアルコール量を0.2重量%未満に低減できる。このため、その後の水分除去のためのケーブルコア乾燥時間を大幅に短縮できる。また、ケーブル使用中での水分の発生も抑えられるので、長期絶縁安定性が確保される。
Claims (1)
- 低密度ポリエチレンにジクミルパーオキサイドを配合した組成物を導体上に押出被覆し、ついでこれを加熱、加圧し絶縁体を架橋してCVケーブルを製造する際に、
架橋後の絶縁体中に残存するクミルアルコール量を0.2重量%未満とするために、下記の手段のいずれか1以上を行うことを特徴とするCVケーブルの製法。
(1)低密度ポリエチレンのペレットに予め酸素を吸蔵させておくこと。
(2)上記組成物にプロトン発生剤としてオレイン酸を添加しておくこと。
(3)架橋時の加熱加圧媒体に酸素含有気体を用いること。
(4)架橋時に導体中に酸素含有気体を吹き入れること。
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