JP4248609B2 - シリカ系被膜形成用コーティング組成物およびシリカ系被膜付基材 - Google Patents

シリカ系被膜形成用コーティング組成物およびシリカ系被膜付基材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、シリカ系被膜形成用コーティング組成物およびシリカ系被膜付基材に関し、さらに詳しくは、残留するストレスが小さく、かつ緻密で耐クラック性に優れ、しかも被塗布面の凹凸を高度に平坦化できるシリカ系被膜を形成できるシリカ系被膜形成用コーティング組成物と、上記のような特徴を有するシリカ系被膜が形成された被膜付基材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、シリカ系被膜は、様々な分野で用いられている。
たとえば、半導体装置では、半導体基板とアルミニウム配線層などの金属配線層との間や、あるいは金属配線層間に、絶縁膜として用いられている。さらに半導体基板上に設けられているPN接合半導体、およびコンデンサー素子、抵抗素子などの各種素子の保護膜としても利用されている。
【0003】
また、半導体基板上に金属配線層などを設けると、金属配線層などによって半導体基板上に凹凸が生じる。この凹凸面上にさらに金属配線層などを形成しようとしても、凹凸段差で断線が生じることがある。このため、上記のようにシリカ系絶縁膜を金属配線層および各種素子によって生じた凹凸面に形成することで平坦化する役割も果たしている。
【0004】
上記のような分野で用いられているシリカ系被膜は、一般にCVD法、スパッタリング法などの気相成長法またはシリカ系被膜形成用コーティング組成物を用いてシリカ系被膜を形成する塗布法によって基板上に形成されている。
【0005】
このうち、気相成長法によってシリカ系被膜を形成する方法は、手間がかかるとともに大きな設備が必要であり、また、凹凸面上にシリカ系被膜を形成した場合には、シリカ系被膜によって該凹凸面を平坦化することができない。
【0006】
これに対して、塗布法によってシリカ系被膜を形成すると上記のような問題点が解決できるため、近年、塗布法によってシリカ系被膜を形成することが広く行われている。
【0007】
このようなシリカ系被膜を形成するための塗布液としては、アルコキシシランやハロゲン化シランなどの部分加水分解物からなる塗布液が挙げられる。近年、半導体基板上の多層配線層の配線段差が大きくなってきたことから、これを平坦化するためには膜厚を厚くせざるを得ない。ところが、上記のような従来のシリカ系被膜は厚膜化が困難であった。
【0008】
これに対し、シクロシラザン重合物またはポリシラザンを含有してなるシリカ系被膜形成用塗布液を用いてシリカ系被膜を形成すれば厚膜化が可能であり緻密で平坦性の良好な絶縁膜を形成することができる。しかし、厚膜化に伴い、Si−N結合やSi−R結合を酸化してSi−O結合とするときに被膜の収縮ストレスが残留し、このために得られるシリカ系被膜にクラック、ボイドが発生することがあった。。例えば、アルミニウム配線層の上に従来のシリカ系被膜を形成した場合、配線のストレスマイグレーションによる断線が起こったり、ウエハーの反りが発生するなどの問題点は依然残っていた。
【0009】
本発明者らは、上記の問題点を解決するために種々の検討の結果、ポリシラザンと特定のホウ素化合物を反応させて得られる特定の改質ポリシラザンを含む組成物を用いてシリカ系被膜を形成すれば、厚膜化しても残留ストレスが低く、平坦性、緻密性に優れたシリカ系被膜が得られることを見出した。
【0010】
なお、特開平6−326082号公報には、ボロシラザンポリマーを含む塗布液を用いて電子基板にボロシリケート被膜を形成する方法が開示されているが、被膜の残留ストレスを低くするための方法については記載されていない。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決しようとするものであって、被膜の残留ストレスが小さく、しかも被塗布面との密着性、機械的強度、耐アルカリ性などの耐薬品性を有し、かつ緻密で耐クラック性に優れ、被塗布面の凹凸を高度に平坦化し得うるような膜厚を有するシリカ系被膜を得ることができるシリカ系被膜形成用コーティング組成物と、基材とこの上に上記のシリカ被膜が形成されたシリカ系被膜付基材を提供するものである。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物は、下記一般式[I]で表される繰り返し単位を有する1種または2種以上のポリシラザンと、
【0013】
【化2】
Figure 0004248609
【0014】
(式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基から選ばれる基である。)
下記一般式[II]で表されるホウ素化合物とを反応させて得られる改質ポリシラザンを含有することを特徴とする。
【0015】
4 n B(OR5 3-n …[II]
(式中、R4 は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基から選ばれる基であり、R5 は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシアルキル基およびアシル基から選ばれる基であり、nは、0〜2である。)
本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物では、前記改質ポリシラザン中に、ホウ素原子の重量が全改質ポリシラザンに対して0.1〜20重量%となる量で、上記ホウ素化合物が含有されていることを特徴とする。また前記改質ポリシラザンの15N−NMRスペクトルの、ケミカルシフト60〜90ppmの範囲で観測されるピーク面積の合計が、ケミカルシフト10〜90ppmの範囲で観測されるピーク面積の合計の20%以下であることが好ましく、さらに、前記改質ポリシラザンが、ゲルクロマトグラフィー法で測定されるポリスチレン換算数平均分子量が1000〜10000であり、分子量700以下の改質ポリシラザンのピーク面積の合計が、全改質ポリシラザンのピーク面積の合計に対して10%以下で、かつ分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が3.5以下であることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るシリカ系被膜付基材は、基材と、その上に形成されている残留ストレスが 2×109 dyne/cm2未満であるシリカ系被膜とからなることを特徴としている。
【0017】
【発明の具体的な説明】
以下、本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物およびシリカ系被膜付基材について具体的に説明する。
〈シリカ系被膜形成用コーティング組成物〉
本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物は、下記一般式[I]
で表される繰り返し単位を有する1種または2種以上のポリシラザンと、
【0018】
【化3】
Figure 0004248609
【0019】
(式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基から選ばれる基である。)
下記一般式[II]で表されるホウ素化合物とを反応させて得られる改質ポリシラザンを含有している。
【0020】
4 n B(OR5 3-n …[II]
(式中、R4 は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基から選ばれる基であり、R5 は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシアルキル基およびアシル基から選ばれる基であり、nは、0〜2である。)
一般式[I]中のR1 、R2 およびR3 は、アルキル基としてはメチル基、エチル基およびプロピル基から選ばれる一種が好ましく、特に、R1 、R2 およびR3 がいずれも水素原子である場合が好ましい。この場合には、後述する改質ポリシラザンを焼成してシリカ系被膜を形成する際、分解するアルキル基、アリール基などがないので、膜の収縮が少く、得られる膜の残留ストレスがさらに小さくなり、その結果としてクラックのない被膜が得られる。
【0021】
また、上記一般式[I]で表される繰返し単位を有するボリシラザンは、直鎖状であっても環状であってもよく、直鎖状ポリシラザンと環状ポリシラザンを混合して使用してもよい。
【0022】
一般式[I]で表されるポリシラザンの15N−NMRスペクトルにおいては、ケミカルシフト10〜60ppmの範囲にピークが観測されるが、10〜33ppmの範囲のピーク面積の合計が10〜60ppmの範囲のピーク面積の合計の30%以下であることが好ましい。
【0023】
なお、本発明の15N−NMRスペクトルの測定は、ヘキサメチルシラザンを測定用基準物質とし、この物質のスペクトルのピークのケミカルシフトを28ppmとした。
【0024】
さらに、上記のポリシラザンのSi/N比は、1.00〜1.30であることが好ましい。
一般式[II]中のR4は水素原子、メチル基、エチル基およびプロピル基から選ばれる一種が好ましく、R5はメチル基、エチル基およびプロピル基から選ばれる一種が好ましい。
【0025】
具体的な例としては、ジヒドロキシメトキシボラン、ヒドロキシジメトキシボラン、ジメチルメトキシボラン、メチルジメトキシボラン、トリメトキシボラン、エチルジメトキシボラン、ジエチルメトキシボラン、トリエトキシボラン、エチルジエトキシボラン、ジエチルエトキシボラン、プロピルジメトキシボランなどが挙げられる。この中では、特にトリメトキシボラン、トリエトキシボランが好ましい。
【0026】
本発明の改質ポリシラザンの製造方法としては、例えば、上記ポリシラザンとホウ素化合物の所定量を有機溶媒に溶解し反応させる方法が挙げられる。反応温度は0〜200℃、好ましくは100〜200℃である。この結果、ポリシラザンのN架橋部分とホウ素化合物のアルコキシ基が反応し改質ポリシラザンが得られると考えられる。
【0027】
このような改質ポリシラザンのホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物のホウ素原子の重量が全改質ポリシラザンの0.1〜20重量%となる量であり、好ましくは1〜10重量%でとなる量である。0.1重量%未満では得られる被膜の残留ストレスが小さくならないことがあり、一方20重量%を超えると成膜性が悪くなり膜厚を厚くした場合に緻密な被膜が得られないことがある。
【0028】
上記の方法で得られる改質ポリシラザンの15N−NMRスペクトルを測定すると、ケミカルシフト10〜90ppmの範囲にピークが観測される。本発明においては、このうち60〜90ppmの範囲のピーク面積の合計が少ないほど残留ストレスの小さい被膜が得られる。すなわち、ケミカルシフト60〜90ppmの範囲のピーク面積の合計が10〜90ppmの範囲のピーク面積の合計の20%以下であることが好ましい。
【0029】
このような改質ポリシラザンの分子量は、ゲルクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の数平均分子量で1000〜10000であり、かつ分子量700以下の改質ポリシラザンのピーク面積の合計が、全改質ポリシラザンのピーク面積の合計に対して10%以下であり、しかも、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が3.5以下であることが好ましい。
【0030】
このような、分子量分布の改質ポリシラザンを用いれば、平坦性に優れた被膜を形成することができる。
本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物は、好ましくは、上記改質ポリシラザンを固形分濃度が3〜40重量%になるように有機溶媒に溶解することによって調製される。この場合に用いられる有機溶媒としては、改質ポリシラザンを分散または溶解し、塗布液に流動性を付与するものであれば特に制限はないが、具体的には、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、エチルエーテル、エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸シクロヘキシル等のエステル類が挙げられる。これらの有機溶媒は単独でもしくは2種以上を混合して用いられる。
【0031】
また、本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物に用いられる上記有機溶媒としては、水の溶解度が0.5重量%以下であることが好ましい。このような有機溶媒を塗布液に用いることにより、塗布液中の改質ポリシラザンなどの加水分解を防ぐことが可能であり、これによりポットライフの長いシリカ系被膜形成用コーティング組成物が得られる。
〈シリカ系被膜付基材〉
本発明に係るシリカ系被膜付基材は、残留ストレスが2×109dyne/cm2未満、好ましくは1×109dyne/cm2未満のシリカ系被膜が表面に形成されている。シリカ系被膜の残留ストレスが2×109dyne/cm2未満であれば、乾燥時あるいは加熱時のクラック発生もほとんどなく緻密性に優れた被膜が得られる。
【0032】
また、膜厚は通常0.05〜2μm,好ましくは0.1〜1μmである。
このようなストレスの小さい被膜は、たとえば上記の本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物を用いて形成することができる。上記のシリカ系被膜形成用コーティング組成物を目的に応じて金属板や、種々の素子等が実装された基板等の被塗布面に、スプレー法、スピンコート法、ディッピング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、転写印刷法などの各種方法で塗布し、次いで得られた塗膜を乾燥後、空気中での焼成等の加熱硬化処理により得ることができる。なお、塗膜の加熱硬化処理に際して、加湿雰囲気またはアンモニア雰囲気中での硬化処理、紫外線または電子線照射による硬化処理を併用してもよい。
【0033】
このようなシリカ系被膜付基材としては、たとえば、半導体基板と金属配線層の間の絶縁膜や、半導体基板上に設けられたPN接合半導体、コンデンサー素子、抵抗素子などの各種素子などの保護膜としてシリカ系被膜が形成ざれた半導体装置、さらには多層配線構造を有するLSI素子およびプリント回路基板、ハイブリッドIC,アルミナ基板などの電子部品、三層レジストなどが挙げられる。
【0034】
さらに、透明電極板の透明基板とITO膜との間に、さらに透明電極上に配向膜を有する透明電極板の透明電極と配向膜の間にシリカ系被膜が形成された液晶表示装置、また、電極板の画素電極上および対向電極板のカラーフィルター上にシリカ系被膜が形成されたカラー液晶表示装置における液晶表示セルが挙げられる。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係るシリカ系被膜形成用コーティング組成物を用いれば、被膜の残留ストレスが小さく、被塗布面との密着性、機械的強度、耐アルカリ性などの耐薬品性を有し、かつ緻密で耐クラック性に優れ、しかも被塗布面の凹凸を高度に平坦化し得うるような膜厚を有するシリカ系被膜を得ることができる。
【0036】
本発明に係るシリカ系被膜付基材は、残留ストレスが小さいシリカ系被膜がその表面に形成されている。そのため、ストレスに起因する被膜のクラックの発生がなく、ボイドもほとんどなく、緻密で各種基板との密着性に優れ、被塗布面の凹凸が高度に平坦化された被膜付基材である。したがって、このようなシリカ系被膜付基材を用いれば、ストレスマイグレーションによる断線の発生やウエハーの反りを防止した半導体装置等が得られる。
【0037】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0038】
【製造実施例】
1)ポリシラザンAの合成
特公昭63−16325号公報記載の製造法に準じて次のような製造法でポリシラザンAを合成した。
【0039】
温度が0℃の恒温槽内に設置した反応器内にピリジン600mlをいれ、攪拌しながらジクロロシラン28.3gを加えて錯体(ピリジンアダクツ)を形成させた。次いでこのピリジンアダクツを含む液中にアンモニアを2時間吹き込んで沈澱を生じさせた。この沈澱を濾過して除去した後、濾液を80℃で5時間加熱し、次いで減圧して濾液からキピリジンを除去することにより、反応器内に樹脂状のポリシラザンを得た。このポリシラザンをキシレンに溶解して、数平均分子量1400、濃度20重量%のポリシラザンAを得た。
【0040】
2)ポリシラザンBの合成
ポリシラザンAの合成法と同様に、温度が0℃の恒温槽内に設置した反応器内にピリジン600mlをいれ、攪拌しながらジクロロシラン28.3gを加えて錯体(ピリジンアダクツ)を形成させた。次いでこのピリジンアダクツを含む液中にアンモニアを2時間吹き込んで沈澱を生じさせた。この沈澱を濾過して除去した後、濾液を80℃で12時間加熱し、次いで減圧して濾液からピリジンを除去することにより、反応器内に樹脂状のポリシラザンを得た。このポリシラザンをキシレンに溶解して、数平均分子量2000、濃度20重量%のポリシラザンBを得た。
【0041】
3)ポリシラザンCの合成
塩化メチレン300mlを入れた1リットルの四つ口フラスコを−5℃に冷却した。次いでこの四つ口フラスコ内にメチルジクロロシラン34.2gを加え、攪拌しながらさらにアンモニアを2時間吹き込んで液中に沈澱を生じさせた。この沈澱を濾過して除去した後、濾液を減圧して濾液から塩化メチレンを除去することにより、樹脂状のポリシラザンを得た。このポリシラザンをキシレンに溶解して、数平均分子量500、濃度20重量%のポリシラザンCを得た。
【0042】
4)ポリシラザンDの合成
ポリシラザンAの合成法と同様に、温度が0℃の恒温槽内に設置した反応器内にピリジン600mlを入れ、攪拌しながらジクロロシラン28.3gを加えて錯体(ピリジンアダクツ)を形成させた。次いでこのピリジンアダクツを含む液中にアンモニアを2時間吹き込んで沈澱を生じさせた。この沈澱を濾過して除去した後、濾液を80℃で2時間加熱し、次いで減圧して濾液からピリジンを除去することにより、反応器内に樹脂状のポリシラザンを得た。このポリシラザンをキシレンに溶解して、数平均分子量が1000、濃度20重量%のポリシラザンDを得た。
【0043】
上記のポリシラザンA、B、C、Dの元素分析結果およびゲルクロマトグラフィーによる分子量解析データ、15N−NMRスペクトルデータを表1に示した。なおこれらの分子量は、ゲルクロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算値である。
【0044】
【表1】
Figure 0004248609
【0045】
【実施例1】
ポリシラザンA100gにトリメトキシボラン20g(モル比で1/6.7)を加え、50℃で1時間反応させた。この反応液をピリジンで5重量%に希釈し、耐圧反応装置内に充填し、120℃で10時間加熱重合を行った。ついでピリジンを減圧蒸留によって除去することにより樹脂状の改質ポリシラザンEを得た。得られた改質ポリシラザンEの分子量データを表2に示した。
【0046】
上記のようにして得られた樹脂状改質ポリシラザンEをキシレンに溶解し、固形分濃度が20重量%であるシリカ系被膜形成用コーティング組成物を得た。
このシリカ系被膜形成用コーティング組成物を、6インチウエファーに形成された半導体基板上にスピンコート法で塗布した。得られた塗膜を250℃で2分間乾燥した後、空気中において、400℃で1時間焼成し、シリカ系被膜付基材としての半導体装置を得た。
【0047】
上記の半導体装置について以下の各項目の評価を行った。
シリカ系被膜のストレス:薄膜ストレス測定装置(サイエンティフィック メジャメント システム社製)により測定した。
【0048】
ストレス起因クラック:基材断面の走査型電子顕微鏡写真を観察した。
ストレスマイグレーション:配線層の断線の有無を確認した。
エッチングレート:HF・NH4F系バッファードフッ酸に基材を浸漬し、浸漬前後の被膜の厚さの差を求めエッチングレートとした。
【0049】
平坦性:基材断面の走査型電子顕微鏡写真を観察した。
これらの結果について表3に示した。
【0050】
【実施例2】
ポリシラザンB100gにトリメトキシボラン50g(モル比で1/16.8)を加え、50℃で2時間反応させた。実施例1と同様にピリジンで5重量%に希釈し、耐圧反応装置内で100℃で10時間加熱重合を行い、減圧蒸留でピリジンを除去して、改質ポリシラザンFを得た。得られた改質ポリシラザンFの分子量データを表2に示した。
【0051】
上記のようにして得られた樹脂状改質ポリシラザンを酢酸シクロヘキシルに溶解し、固形分濃度が20重量%であるシリカ系被膜形成用コーティング組成物を得た。
【0052】
実施例1と同様に半導体基板上に塗布・焼成し、シリカ系被膜付基材としての半導体装置を得た。
上記の半導体装置について実施例1と同様に評価を行いその結果を表3に示した。
【0053】
【実施例3】
ポリシラザンC100gにトリエトキシボラン50g(モル比で1/8.6)を加え、50℃で5時間反応させた。実施例1と同様にピリジンで5重量%に希釈し、耐圧反応装置内で100℃で20時間加熱重合を行い、減圧蒸留でピリジンを除去して、改質ポリシラザンGを得た。得られた改質ポリシラザンGの分子量データを表2に示した。
【0054】
上記のようにして得られた樹脂状改質ポリシラザンを酢酸シクロヘキシルに溶解し、固形分濃度が20重量%であるシリカ系被膜形成用コーティング組成物を得た。
【0055】
実施例1と同様に半導体基板上に塗布・焼成することによりシリカ系被膜付基材としての半導体装置を得た。
上記の半導体装置について実施例1と同様に評価を行いその結果を表3に示した。
【0056】
【比較例1】
ポリシラザンD100gをピリジンで5重量%に希釈し、耐圧反応装置内で80℃で5時間加熱重合を行った。実施例1と同様にしてピリジンを除去し、ポリシラザンHを得た。得られたポリシラザンHの分子量データを表2に示した。
【0057】
上記のようにして得られた樹脂状ポリシラザンをキシレンに溶解し、固形分濃度が20重量%であるシリカ系被膜形成用コーティング組成物を得た。
実施例1と同様に半導体基板上に塗布・焼成することによりシリカ系被膜付基材としての半導体装置を得た。
【0058】
上記の半導体装置について実施例1と同様に評価を行いその結果を表3に示した。
【0059】
【比較例2】
ポリシラザンD100gにトリメトキシボラン50g(モル比で1/16.8)を加え、50℃で2時間反応させた。実施例1と同様にピリジンで5重量%に希釈し、耐圧反応装置内で100℃で10時間加熱重合を行い、減圧蒸留でピリジンを除去して、改質ポリシラザンIを得た。得られた改質ポリシラザンIの分子量データを表2に示す。
【0060】
上記のようにして得られた樹脂状改質ポリシラザンを酢酸シクロヘキシルに溶解し、固形分濃度が20重量%であるシリカ系被膜形成用コーティング組成物を得た。
【0061】
実施例1と同様に半導体基板上に塗布・焼成し、シリカ系被膜付基材としての半導体装置を得た。
上記の半導体装置について実施例1と同様に評価を行いその結果を表3に示した。
【0062】
【表2】
Figure 0004248609
【0063】
【表3】
Figure 0004248609

Claims (2)

  1. 下記一般式[I]で表される繰り返し単位を有し、15N-NMRスペクトルのケミカルシフト10〜33ppmの範囲のピーク面積の合計が10〜60ppmの範囲のピーク面積の合計の30%以下である、1種または2種以上のポリシラザンと、
    Figure 0004248609
    (式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基から選ばれる基である。)
    下記一般式[II]で表されるホウ素化合物とを0〜200℃の反応温度で反応させて得られる改質ポリシラザンを含有し、
    4 n B(OR5 3-n …[II]
    (式中、R4 は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基から選ばれる基であり、R5 は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシアルキル基およびアシル基から選ばれる基であり、nは、0〜2である。)
    前記改質ポリシラザンに、ホウ素原子の重量が全改質ポリシラザンに対して0.1〜20重量%となる量で、ホウ素化合物が含有され、
    前記改質ポリシラザンの15N−NMRスペクトルの、ケミカルシフト60〜90ppmの範囲で観測されるピーク面積の合計が、ケミカルシフト10〜90ppmの範囲で観測されるピーク面積の合計の20%以下であり、
    前記改質ポリシラザンが、ゲルクロマトグラフィー法で測定されるポリスチレン換算数平均分子量が、1000〜10000であり、分子量700以下の改質ポリシラザンのピーク面積の合計が、全改質ポリシラザンのピーク面積の合計に対して10%以下で、かつ分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が3.5以下であるシリカ系被膜形成用コーティング組成物を塗布した後、乾燥後、空気中で焼成処理されて形成されてなる
    前記シリカ系被膜を有することを特徴とするシリカ系被膜付基材。
  2. 前記シリカ系被膜の残留ストレスが2×109dyne/cm2未満であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ系被膜付基材。
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