JP4248484B2 - ポリアミドベースの粉末と、その抗菌被覆での使用 - Google Patents
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Description
本発明の粉末は、物品上に予め塗布した粉末の薄層を溶融させて得られるフィルムによって物品を被覆する方法で有用である。本発明粉末はポリアミドと封入された銀イオンを含む可溶性セラミックとの混合物である。
その第1の方法は静電粉体塗装である。この場合には粉末を静電気で帯電させ、ゼロ電位に接続させた対象物と接触させてそれを被覆する。例えば、粉末を静電ガンから噴射し、粉末をコロナ効果か、摩擦電気か、これら2つの作用の組合せで帯電させる。こうして帯電させた粉末をゼロ電位に接続した被被覆対象物上へスプレーする。
本発明は高性能被覆の分野に関するものである。この高性能被覆の目的は一般に、被保護表面に外観上または機能上の多くの特性(耐食性、耐摩耗性、耐化学薬品性、耐熱性、耐紫外線抵抗性、低摩擦性等)を与えることにある。
抗細菌性コーティングをしておけば、物品表面の二回の洗浄の間の期間を清潔にしておくことができ、従って、汚染のリスクを最小にすることができる。
下記文献にはこれらの化合物を多数回塗布して例えば冷蔵庫の棚やクッキング用のグリルで使うことが記載されている。
可溶性セラミック中に封入した銀イオンは粉末をしており、被覆前にポリアミド粉末に乾式混合するだけでよい。
この粉末は下記特許文献に記載されている。
本発明は上記粉末自体に関するものでもある。すなわち、本発明は99.8〜97重量%の少なくとも一種のポリアミドと0.2〜3重量%の銀イオンが封入された可溶性セラミックとから成る粉末にある。
(a) 粉末を電流的に帯電させ、
(b) 物品と粉末とを接近させるか、物品と粉末とを互いに接触させ、物品をゼロ電位または粉末で被覆するのに十分な電位に接続し、
(c) 粉末で被覆された物品を被覆フィルムを得るのに十分な温度の炉中に入れて粉末を溶融してポリマーフィルムを得る。
(a) 上記粉末を流動床に入れ、
(b) 接触した時に粉末が溶融するのに十分な温度に被覆される物品を加熱し、
(c) 粉末で被覆されるのに十分な時間、物品を流動床中に浸漬し、
(d) 流動床から物品を取り出す、
本発明ではこの方法を使用するのが好ましい。
(a) 粉末を用意し、
(b) 接触した時に粉末が溶融するのに十分な温度に被覆される物品を加熱し、
(c) 粉末を物品上に噴霧スプレーして粉末で被覆する、
静電粉末塗装、流動層浸漬塗装または加熱スプレー法によって金属表面に塗布した本発明のポリアミド粉末ペイント組成物は持続する抗菌特性を与える。
本発明組成物に含まれる無機の生物致死剤は活性金属種として銀イオンのみを利用している。
本発明の粉末ペイントは、亜鉛化合物を使わずに、望ましくない変色の問題なしに300℃以上の温度で塗装ができる。
温度および紫外線、さらには粉末中の他の成分から銀イオンを効果的に保護する可溶性セラミック中への封入を選択することによって銀に起因する副反応が避けられる。
銀イオンくは有効度が最も高く、MIC(最小阻害濃度)が最も低い金属化学種であるので、ポリマー寿命全体にわたって被覆の最適活性が保証される。さらに、本発明組成物は亜鉛化合物をポリアミドとブレンドした時にポリマー鎖と亜鉛化合物との間に起こり得る相互作用を無くすことができる。
銀イオンが封入された可溶性セラミックは下記文献に記載されている。
(a) アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸のような1種または複数のアミノ酸またはカプロラクタム、エナントラクタムおよびラウリラクタム等の1種または複数のラクタム;
(b) ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等のジアミンと、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボキシル酸等のジアシッドとの1種または複数の塩または混合物;
(c) コポリアミドとなる上記モノマーの混合物。
脂肪族ポリアミドを使うのが好ましい。
PA−6,12(ヘキサメチレンジアミンと1,12−ドデカンジオン酸との縮合)
PA−9,12(C9ジアミンと1,12−ドデカンジオン酸との縮合)
PA−10,10(C10ジアミンと1,10−デカンジオン酸との縮合)
PA−10,12(C10ジアミンと1,12−ドデカンジオン酸との縮合)
90%以上が11単位であるか、90%以上が12単位であるいずれかの11/12コポリアミドは、1−アミノウンデカン酸とラウリルラクタム(またはα,ω-C12アミノ酸)との縮合で得られる。
PA-11およびPA12を使うのが好ましい。
抗菌特性を、取扱いを簡単にした抗菌特性規格JIS Z 2801-2000に従って評価した。この規格のプロトコルを以下に示す。
前日の午後4時に200mlの液体培地(1gの牛肉エキス、2gの酵母エキス、5gのペプトン、5 gのNaClと、1リットルの超高純水)に勾配密度の寒天で二次培養した第2サブカルチャーの最小量からの大腸菌株を接種した。黄色ブドウ球菌またはレジオネラ菌(Legionella pneumophila)株に対して同じプロトコルを適用した。そのために5mlの寒天培養管を液体培地で洗浄し、よく旋回し、培養管の内用物を200mlの無菌倍地のフラスコ中に抜きだした。その後、植菌物をインキュベータ中に室温で無攪拌で一晩放置した。翌朝5時に攪拌および加熱が開始するようにプログラムした。昼間の間、サンプルを撹拌インキュベータで37℃で約4時間放置して指数増殖させた。テストは朝の約9時に開始した。
プレートを70℃のエタノールで洗浄してから、被テスト表面と非殺菌機器とが接触しないようにした状態で、フード内で乾燥した。
テストすべき抗菌ポリアミドで被覆された鋼板にGene Frame細胞(端縁が基板に接着する自動接着性ポリエチレンシート)を貼り付けた。再現性を良くするためにプレート当り2つの細胞の量となるようにした。初期細菌懸濁液(原液)を殺菌した生理的食塩水で10倍に希釈し、Gene Frame細胞のフレーム中に100μlの10倍希釈溶液を入れ、カバーガラスで覆った。培養はオーブン中で37℃で24時間行った。
10-2、10-4、10-6および10-8倍に希釈した溶液を4本の管に用意した。10-2および10-4倍希釈管は冷所に保管して問題がないかどうかを確認した。10-6および10-8倍希釈管はコロニーを数えるためにミリポア全カウントスライドに入れ、オーブン中で37℃で24時間培養した。
リルサン(Rilsan、登録商標)を被覆したプレートを24時間培養した後、Gene Frame細胞から全ての植菌物を除去し、それを殺菌したEppendorf管に移した。この溶液の50μlをピペットで取り、5mlの殺菌した生理的食塩水で希釈した(10-2倍に希釈)。次に、10mlの殺菌生理的食塩水でカスケード状に希釈した(10-4倍、10-6倍)。コロニーを計数するために、各希釈(10-2、10-4および10-6倍)をミリポア全カウントスライドに配置し、オーブン中で37℃で24時間培養した。
大腸菌、黄色ブドウ球菌およびレジオネラ菌に対する抗菌結果から、本発明の組成物から得られた被覆上では微生物集団の減少率が99.99%以上であることが分った。
1. 本発明組成物の抗菌有効度の評価
3362 gray Tの市販のリルサン(RILSANR、登録商標)(PA-11ベース)に高速Henschelミクサーを使用して0.6重量%のSANITIZED BC A 21-41をドライブレンドして組成物Aを得た。
得られた粉末組成物Aと、市販の3362 gray Tのリルサン(RILSANR、登録商標)とを粉末浸漬塗装によって塗装した。すなわち、鋼板を脱脂およびショットピーニング処理し、エポキシタイプの接着プライマーをエアースプレーで塗布した後、鋼鈑を300℃の温度に予熱した。こうして得られたテストピースを粉末流動浸漬タンクに入れて粉末塗装した。添加剤を含む被覆(組成物)と添加剤を含まない被覆とは外観が完全に同じであった。
各被覆の抗菌特性を上記プロトコルに従って評価した。結果は[表1]にまとめて示してある。
840 white ESグレード(PA-11粉末)へ、0.6重量%のSANITIZED BC 21-41と、0.6重量%のAGION AK10D(銀で交換したゼオライト)、0.6重量%のALPHASAN RC5000(銀で交換しリン酸ジルコニウム)をそれぞれ添加し、ドライブレンドして3つの組成物B、CおよびDを用意した。
得られた組成物B、CおよびDと、対照となる840 white ES商用グレード(PA-11粉末)とを静電塗装した。すなわち、鋼板を脱脂し、ショットピーニング処理し、エポキシタイプの接着プライマーをエアースプレーで塗布した後、被テスト粉末をコロナ放電銃で正に荷電し、上記のようにして用意したテストピース(アースされている)上に静電スプレー塗装した。
色彩コーディネート(colorimetric cordinates)(CIE Lab 76(L*,a*,b*)システム;D65発光、視野角10°)を色彩計(Hunterlab COLORQUEST integrating-sphere spectrocolorimeter)を使用して測定した。対照に対する色彩の差は[表2]に示してある。
Claims (3)
- 99.8〜97重量%の少なくとも一種のポリアミドと0.2〜3重量%の銀イオンが封入された可溶性セラミックとから成る粉末の薄い層を溶融して得られるフィルムによって物品を被覆する方法であって、
(a) 粉末を電流的に帯電させ、
(b) 物品と粉末とを接近させるか、物品と粉末とを互いに接触させ、物品をゼロ電位または粉末で被覆するのに十分な電位に接続し、
(c) 粉末で被覆された物品を被覆フィルムを得るのに十分な温度の炉中に入れて粉末を溶融してポリマーフィルムを得る、
方法において、
(d)上記可溶性セラミックが銀イオンのみを含み、可溶性セラミック中の銀イオンの比率が3〜6重量%である
ことを特徴とする方法。 - 99.8〜97重量%の少なくとも一種のポリアミドと0.2〜3重量%の銀イオンが封入された可溶性セラミックとから成る粉末の薄い層を溶融して得られるフィルムによって物品を被覆する方法であって、
(a) 上記粉末を流動床に入れ、
(b) 接触した時に粉末が溶融するのに十分な温度に被覆される物品を加熱し、
(c) 粉末で被覆されるのに十分な時間、物品を流動床中に浸漬し、
(d) 流動床から物品を取り出す、
方法において、
(d)上記可溶性セラミックが銀イオンのみを含み、可溶性セラミック中の銀イオンの比率が3〜6重量%である
ことを特徴とする方法。 - 99.8〜97重量%の少なくとも一種のポリアミドと0.2〜3重量%の銀イオンが封入された可溶性セラミックとから成る粉末の薄い層を溶融して得られるフィルムによって物品を被覆する方法であって、
(a) 上記粉末を用意し、
(b) 接触した時に粉末が溶融するのに十分な温度に被覆される物品を加熱し、
(c) 粉末を物品上に噴霧して粉末で被覆する、
方法において、
(d)上記可溶性セラミックが銀イオンのみを含み、可溶性セラミック中の銀イオンの比率が3〜6重量%である
ことを特徴とする方法。
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