JP4247945B2 - プラズマディスプレイパネルのリブ形成用サンドブラスト研削材及びリブ形成方法並びにリブ形成材料回収及び再利用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の製造工程に関するものであり、詳しくはPDPの放電空間を構成するリブをサンドブラスト加工法により形成する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、サンドブラスト加工法は、ガラス、大理石、プラスチック、陶磁器、皮革、木質材等の基材の表面に図柄を形成する加工方法の一つとして利用されてきた。この加工法は、基材の表面にサンドブラスト用レジストを設け、レジストの露出部に研削材等を吹き付けることで選択的に研削して図柄を形成する。そして、サンドブラスト用レジストとして耐サンドブラスト性のある感光性樹脂を使用し、フォトリソグラフィー法によりマスクパターンを形成した後、その露出部分に研削材等を吹き付けて加工する方法は、微細加工ができるところから金属パターンと絶縁パターンが混在する回路基板の形成、特にPDPの金属配線パターンやリブ、蛍光体等の絶縁パターンの形成に利用されている。
【0003】
ところで、PDPはガラス等の基板上にバリアリブ及びプライミングリブからなるセル構造又はライン構造を形成し、そのセル構造内又はライン構造間に電極、蛍光体層を設け、さらに放電ガスを封入した表示素子を形成して製造されている。このようなセル構造又はライン構造は、低融点ガラス粉末、耐火物フィラーなどの無機粉末を主成分又は成分とし、これに適当なバインダー樹脂及び溶剤を添加してなるリブ形成用ペーストを基板上に塗布して乾燥させることでリブ形成材料層とし、その上に耐サンドブラスト性のある感光性樹脂組成物層を設けた後、フォトリソグラフィー法でセル画定用マスクにパターニングし、そのマスクを介してサンドブラスト加工を行い、マスクを剥離除去してから焼成することで形成されるが、そのサンドブラスト加工では、粒度分布が2〜50μm程度のガラスビーズ、SiC、SiO2 、Al2 O3 、ZrO2 等の無機微粒子の研削材が使用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近ではPDPに対して、大型化、高精細化、高輝度化、長寿命化の要求が高まってきている。これらの要求に対応するために、サンドブラスト加工法によってガラス等の基板上に低融点ガラスのリブを形成することにより、リブ幅を狭くするとともに均一性を高め、蛍光体の塗布面積を拡大するように開発が進められている。ちなみにPDPは、一例としてリブ幅が50μmほどで、リブの高さが150〜200μmで、リブ間の間隙が100μmほどである。これに伴って、サンドブラスト研削材として粒度分布が2〜50μm程度の無機微粒子を使用していたのでは、品質の高いリブが形成できずPDPの性能に大きな悪影響を及ぼしていた。
【0005】
また、上記のような無機微粉末の研削材を使用すると、サンドブラスト加工時に研削材の微粉末とともにバリアリブ材の研削粉末が大量に発生し、両者の分離が困難なことからそのまま廃材として廃棄するしかないが、これが環境上及びコスト面で大きな問題となっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決するため、本発明のPDPのリブ形成用サンドブラスト研削材は、体積基準の粒度分布において、累積%径がそれぞれD 50 =10〜15μm、D 90 <25μm、且つD 10 >2μmの分布を有し、最大粒径が40μm以下であるジルコニア又はジルコニア化合物を主成分として90%以上含有した分級粉体からなることを特徴とする。この研削材は、強度及び靱性が高く、また比重も大きく、粒子形も球状であって、しかもサンドブラスト廃材からの分離が容易で、また分離できない微粉の研削材はフリット時の組成調整にて利用できるような物質である。そして、このような研削材を用いてサンドブラスト加工を行うことで、研削材の微粉末(カケラ)の発生を防ぎ、良好なサンドブラスト性能が発揮されるとともに、サンドブラスト廃材の再利用が可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係るPDPのリブ形成用サンドブラスト研削材は、上記のように、体積基準の粒度分布において、累積%径がそれぞれD50=10〜15μm、D90<25μm、且つD10>2μmの分布を有し、最大粒径が40μm以下であるジルコニア又はジルコニア化合物を主成分として90%以上含有した分級粉体からなるものである。すなわち、原料の段階で粒度分布が広い粉体に対して分級処理を施すことにより、上記所望の粒度分布を得たブラストメディアである。ここで、累積10%径D10>2μmとは、体積累積の10%に相当する径が2μmより大きいということであり、累積50%径D50=10〜15μmとは、体積累積の50%に相当する径が10〜15μmということであり、累積%90径D90<25μmとは、体積累積の90%に相当する径が25μmより小さいということである。
【0008】
上記サンドブラスト研削材は、それを構成する材料とともに、それが所定の粒度分布を有する分級粉体であることが重要であり、さらにはそれが所定の分級の手段にて調整されたものであることが好ましい。PDPの大型化、高精細化、高輝度化、長寿命化の対応には、リブをいかに欠陥なく作製する或いは欠陥予備軍を発生させないことが重要である。研削材の粒径が2μm未満の場合には、研削能力が小さく、また25μmを超える場合、特に最大粒径が40μmを越えると、リブ欠陥或いは欠陥予備軍の発生が顕著になり、高品位リブの形成が困難になる。
【0009】
上記サンドブラスト研削材の主成分となるジルコニア又はジルコニア化合物の利点として比重が高いことが挙げられる。具体的には、一般的な研削材であるアルミナ系が3.7〜3.9程度であるのに対してジルコニア系は5.5〜6.0程度と高い。よって、同粒径であったとしても、比重の高いジルコニア系の方が研削速度が速くなる。したがって、アルミナ系より粒径が小さいものでも同様な研削速度を得ることができる。
【0010】
上記サンドブラスト研削材の主成分となるジルコニア又はジルコニア化合物としては、純度の高いジルコニア、SiO2 との化合物(ジルコン)、アルミナ含有ジルコニアが好ましい。通常、研削材としては、同じ粒径でも粉体の比重が高いほど研削能力があり、短時間での研削が可能となる。さらに靱性はそれが高いほど寿命が長いので望ましい。その点においては、ジルコニア(ZrO2 )は比重がシリカやアルミナに比べると高く靱性も高いため、望ましくはジルコニア単独系の材料を用いるのがよく、現実的にはZrO2 を90%以上含有する粉体を使用するのがよい。しかし、上記したジルコニア化合物でも、十分使用に耐える性能を有している。SiO2 との化合物(ジルコン)の場合、ZrO2 を65%以上、且つSiO2 を25%以上含有する粉体を使用するのが好ましい。またアルミナ含有ジルコニアの場合、ZrO2 を75%以上、且つAl2 O3 を15%以上含有する粉体を使用するのが好ましい。
【0011】
このように主成分を90%以上とするのは次の理由による。すなわち、主成分以外が10%を越えると、研削粉末で後述のように再ペースト化する場合、組成調整が難しいとともに、該材料の諸特性(焼成特性等)に影響を及ぼし、焼成後のリブ品質を確保できなくなる、言い換えればリブ欠け、リブ切れが多発することになるからである。
【0012】
リブペースト中に含まれるフィラー、すなわち研削材の微粉末はペースト中のフリット成分で10〜30wt%であり、該微粉末の混入量がそれ以上増加すると、回収再利用する循環が成り立たなくなる。リブ形成に有効なリブフリット量は約30%であり、残り70%はブラスト時に研削材で削られるので再利用に回される。したがって、フリット調整幅は約30%しかなく、研削材の微粉末が増加すると、組成調整は可能だが出来上がるペースト量が初期より増えてしまう。これが何回も行われると、ペースト量がどんどん増加してしまい、リブ材料の回収再利用の循環が成り立たなくなる。ところが、ジルコニア又はジルコニア化合物を主成分とした粉体は、ブラスト時におるけ研削材の微粉末の発生を低く抑えることができるので、再利用する際の組成調整が容易である。
【0013】
上記サンドブラスト研削材の原料成分は、通常は粒度分布が幅広い状態で入手されるが、ほぼ粒径の揃ったものを入手するようにし、これを上記の粒径分布を有する粉体にするために、乾式の分級機にかける。具体的には、粒度を揃えるために乾式の分級機(例えば、ホソカワミクロン製「ターボプレックス」)を使用して粗粉及び微粉をカットすることが好ましい。また、粉砕・分級をし、精度よく最大粒子粉を保った粉体を得る方法があるが、粉砕により材料粉の塑性を低下させるのであまり好ましくない。
【0014】
本発明のサンドブラスト研削材を用いてPDPのリブを形成するには通常の方法が採用される。まず、基板上にリブ形成用ペーストを塗布して乾燥させることでリブ形成材料層を形成し、その上に耐サンドブラスト性を有する感光性樹脂組成物層を設けた後、フォトマスクを介して活性光線を選択的に照射し、続けて現像することでサンドブラスト用のマスクパターンを形成し、その露出部分のリブ形成材料層を上記のサンドブラスト研削材で研削する。この場合、通常のサンドブラスト法の場合と同様、好ましくは噴射圧力1.0〜3.0kg/cm2 、噴射量5〜100g/minで噴射することによりサンドブラスト加工を行う。
【0015】
ここで、表1でAの分布を有する研削材は、累積10%径D10が2μm程度の粒度分布を有しており、2μm以下の粒子径の研削材が10%存在している。このような研削材でブラストによるリブ形成を行うと、2μm以下の研削材が多く噴射された部分は、他と比べてあまり研削されず、形成されたリブはその下方の線幅が太くなるので、これによって面内でのムラが発生するが、B,Cのように累積10%径D10が2μmを越える粒度分布を有する研削材を使用するとこのムラが目立たなくなる。
【0016】
【表1】
【0017】
また、表2でAの分布を有する研削材は、累積90%径D90が25μm程度の粒度分布を有しており、25μm以上の粒子径の研削材が10%存在している。このような研削材でブラストによるリブ形成を行うと、25μm以上の研削材が多く噴射された部分は、特に40μm以上の研削材が当たると、リブ壁面にえぐられた部分が生じ、これが欠陥予備軍となり、焼成工程においてリブ切れ、欠けの要因となる。これによって欠陥が発生するが、B,Cのように累積90%径D90が25μm未満の粒度分布を有する研削材を使用するとこの欠陥が目立たなくなる。
【0018】
【表2】
【0019】
サンドブラスト加工において、研削材自体は強度及び靱性が高いため、カケラ等の微粉になりにくい。一方、研削されたリブ形成材料は粒径が1μm程度と小さいため、サンドブラスト加工時に生じた研削材粒子とリブ形成材料の研削粉末との混合粉体を分級することにより、混合粉末から研削材粒子を除去することができる。しかし、研削材に高靱性材料を使用していても多少は微粉が生じ、この研削材の微粉は削り落とされたリブ形成材料に混ざってしまうが、リブ形成材料の無機粉末に使用することで解決できる。
【0020】
図1はリブ形成材料の回収フローの一例である。リブ形成用ペーストは、低融点ガラス粉末、耐火物フィラーなどの無機粉末を主成分又は成分とし、これに適当なバインダー樹脂及び溶剤を加えた組成のペーストである。このペーストを製造するため、まず低融点ガラス粉末、耐火物フィラー、顔料などを混合した無機粉体をボールミルで粉砕してそれらの粒度を調整する。次いで、粉砕した無機粉体を篩分けにかけて大サイズのものを除去し、乾燥させることでフリットを完成し、このフリットにバインダー樹脂と溶剤を加えてインキ化することでペーストとする。そして、前述のように、このリブ形成用ペーストを基板上に塗布して乾燥させることによりリブ形成層を形成し、その上にサンドブラスト用マスクを重ねて形成した後、研削材を噴射ノズルから噴射させてサンドブラスト加工を行う。サンドブラスト加工時に生じる研削粉末は回収され、ブラスト付属のサイクロンにより粗粉側と微粉側とに分級される。そして、粗粉側は研削材であるのでそのまま再使用される。一方、微粉側は一部の研削材と、破砕された研削材と、基板から研削されたリブ形成材料の破片とからなるが、さらに分級により一部の研削材と、破砕された研削材及び研削されたリブ形成材料とに分離する。このうち一部の研削材は研削材として再利用する。また、破砕された研削材とリブ材の方は破砕された研削材が混入しているため、組成調整を行って再ペーストの作製に再利用する。
【0021】
再ペーストの作製に際しては、回収された微粉側のリブ材には既に樹脂が混入しているので、組成調整においてフリット組成のみならず樹脂量の調整も必要となる。したがって、再ペーストの作製方法は新品とは異なり、樹脂混入フリットに不足成分のビヒクルとそれに対応する希釈溶剤を混合してペースト化した後に、所定割合で新品ペーストを混合する。
【0022】
【実施例】
以下、PDPの基板上に高精細リブを形成する一連の工程を挙げて本発明の実施例を説明する。
【0023】
(電極層の形成工程)
平面的な大きさが1000×600mmで厚さが2.8mmであるガラス基板を用意し、その片側の表面に150μmの間隔で平行なストライプ状をなす多数の電極をスクリーン印刷で形成する。
【0024】
(リブ形成材料層の形成工程)
このガラス基板の電極側の全表面に、セルロース系樹脂又はアクリル系樹脂をバインダーとした低融点ガラスペーストをダイコーターで一括コーティングし、150℃で30分間乾燥して固化させてリブ形成材料層を形成する。このように低融点ガラス層はセルロース系樹脂又はアクリル系樹脂をバインダーとした低融点ガラスペーストから形成したので、ブラスト加工による研削性(以下、ブラスト性という)が極めて良好である。
【0025】
(サンドブラスト用マスクの形成工程)
リブ形成材料層の全表面にドライフィルム(東京応化工業(株)製「オーディルBF603」)をラミネートし、露光及び現像を行い、リブ形成材料層上にサンドブラスト用マスクとしてパターン状のレジスト層を形成した。現像液は炭酸ナトリウム0.2%水溶液を使用する。なお、本実施例のレジスト層のパターンは幅50μmで間隔100μmの平行なストライプ状をなしており、ガラス基板の表面上の電極がレジスト層の間隔100μmの間のほぼ中央に位置するように配置した。若しくは、上記のドライフィルムを用いずに、耐ブラスト性低融点ガラスペーストをスクリーン印刷により厚さ27μmでパターン塗布して乾燥することでサンドブラスト用マスクを形成する。この耐ブラスト性低融点ガラスペーストは、共に後述する工程で焼成しても各バインダーのカーボン、タールがリブに残渣しないように完全に燃焼するものを用いる。
【0026】
(サンドブラスト加工工程)
基板は多数の搬送ローラ上を搬送されてブラスト加工室内に搬入される。そして、基板、すなわちガラス基板の表面にリブ形成材料層とレジスト層を形成した被加工物におけるリブ形成材料層とレジスト層の側に向けて噴射ノズルからサンドブラスト研削材を噴射する。噴射ノズルは、被加工物の搬送方向に直交する方向に往復移動するタイプのものを8本設けている。各噴射ノズルは拡散型の噴射ノズルであり、研削材の噴射形状を通常の3倍に拡散するもので、基板の搬送速度及び各噴射ノズルの移動速度の組合せによるブラスト加工速度を上げてもブラスト加工の均一性を維持できる。
【0027】
本実施例でリブ形成用サンドブラスト研削材として用いた粉体は、ジルコニア粉末を分級したもので、体積基準の粒度分布において、累積50%径D50=10〜15μm、累積90%径D90<25μm、且つ累積10%径D10>2μmの分布を有し、最大粒径が40μm以下の粉体である。原料であるジルコニア粉末の分級条件は次のようである。まず粒度を揃えるために#400番のメッシュにて篩分級機(ダルトン製「振動ふるい機401型」)により粗粉側をカットし、しかる後に分級機(ホソカワミクロン製「ミクロンセパレータ/MS−1型」)を使用して微粉をカットした。条件は分級回転数:4500rpm、一次風量:8m3 /min、二次風量:4m3 /min、処理能力:60kg/hの条件下で実施した。その結果、上記所望の粒度分布を有するジルコニア粉体が得られた。なお、本発明で使用した粒度分布計は、日機装(株)製「マイクロトラックFRA」である。
【0028】
加工室内では、上記ガラス基板におけるレジスト層及びリブ形成材料層の側にジルコニアを主成分とするサンドブラスト研削材を圧空と伴に噴射して、レジスト層の真下のリブ形成材料層以外の部分のリブ形成材料層を研削除去してリブを形成する。このようにして形成したリブは、幅が50μm、高さが150μmで、各リブ間の間隔は100μmである。具体的には、ブラスト加工室内で噴射ノズルから基板におけるレジスト層とリブ形成材料層の側にサンドブラスト研削材を噴射すると、レジスト層の真下のリブ形成材料層はレジストで保護されるので研削材で研削ないし彫刻されないが、レジスト層の真下のリブ形成材料層以外の部分のリブ形成材料層はすべて研削除去される。その時の研削速度は、従来使用されてきたガラスビーズ、SiC、SiO2 、Al2 O3 等の2〜50μm程度の無機微粒子の研削材に比べて速く、しかも粒径が制御されているため品質の高いリブを形成することができる。したがって、結果としてレジスト層のパターンの通り、幅が50μm、高さが150μmの複数のリブが、各リブ間の間隔が100μmで平行なストライプ状に形成される。
【0029】
(リブ形成材料の回収工程)
噴射ノズルから基板へ向けて噴射した研削材は、リブ形成材料の研削粉末との混合粉体となってブラスト加工室の下方のホッパへ落下し、ホッパの下端から導管内に生じている気流に乗って分離タンクへ運ばれる。そして、この分離タンクで研削材の中に混入した100μm以上の大きさの異物が除去され、次いで連通管を介してサイクロンへ送給される。なお、ブラスト加工室内の気流は集塵装置のブロワにより空気が吸引されて生じる。すなわち、気流は順にホッパ、導管、分離タンク、連通管、サイクロン、集塵装置へ流れる。
【0030】
図2はリブ形成材料の回収工程に組み込んだサイクロンと集塵装置の一例を示す概略構成図である。ブラスト加工室からホッパに落下し、分離タンクで100μm以上の大きさの異物が除去された混合粉体は、連通管11を通ってサイクロン12に運ばれる。このサイクロン12において、再使用可能な研削材と、一部の再使用可能な研削材と破砕された研削材及び基板から研削されたリブ形成材料の破片でなる粉塵とが分級される。再使用可能な研削材はサイクロン12の下部にある分配器13に滞留し、一方、粉塵はサイクロン12内の中央を気流に乗って上昇し、上部中央に連通するダクト14を介して集塵装置15へ送給され、集塵装置15では粉塵が回収されて清浄なエアがブロワ16により大気中へ排出される。そして、サイクロン12の下部の分配器13に滞留した研削材はサイクロンの下端に連結する研削材タンク17内へ集められ、研削材タンク17内の研削材はノズル部へ再び供給される。研削材はノズル部の圧空により引き込まれて噴射ノズル18から圧空と伴に噴射される。このように研削材は以上の工程を繰り返して噴射ノズル18から基板へ向けて噴射されブラスト処理に供される。
【0031】
サイクロン12での分級は、分配器13側に再使用可能な研削材のみが溜まる条件で行っているため、上記のように、ダクト14に送られる方は再使用可能な研削材と研削材のかけら及び研削されたリブ粉の混合粉となる。その理由は、再使用可能な研削材以外の粉体が混入すると、ブラスト条件が変動し、先に述べた理由で高品位リブが作製できないからである。したがって、該混合粉は別途分級する必要がある。
【0032】
集塵装置15ではフィルター15aの表面に粉塵が付着した状態になる。そこで、サイクロン12と集塵装置15の間のダクト14にあるバルブ19を閉状態にし、集塵装置15とブロワ16の間のバルブ20を切り換えてエアーを送り込むことにより、フィルター15aの表面に付着した粉塵を落下させ、下方の粉塵タンク21に集める。このようにして集塵装置15の粉塵タンク21に回収された粉塵は、乾式の分級器(例えば、ホソカワミクロン製「ターボプレックス/100ATP型」)を使用して粗粉(再使用可能な研削材)と微粉(研削材のかけらと研削されたリブ粉)とを分級する。ここで、分離された粗粉は研削材として再使用し、微粉は前述のように組成調整して再生に回すことにより、基板から研削されたリブ形成材料の破片からなる粉体を確実に回収することができ再利用することができる。
【0033】
(焼成工程)
ガラス基板の表面にリブを形成した被加工物は、低融点ガラスの鉛ガラスが完全に溶融してバインダーが焼却する温度まで徐々に加熱することにより、リブを構成する低融点ガラスとレジストの各バインダーが完全に燃焼され且つ低融点ガラスが溶解して焼成されてリブが形成される。
【0034】
なお、本発明以外の研削材を使用するとリブ間の間隙にピット等の切れ、ひびが発生し、この焼成工程の加熱により、ピットが成長してリブ切れ等の欠陥になり、製品の性能に悪影響を及ぼすという事態が生じるが、本発明の研削材を使用することにより、ピットの発生を極力抑えることができるため、高品質のPDPが形成される。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリブ形成用サンドブラスト研削材は、強度及び靱性の高い粉体であって、しかも所定の粒度分布を有する分級粉体からなることにより、良好なサンドブラスト性能が得られるとともに、サンドブラスト廃材から研削材と研削されたリブ形成材料とは粒径が異なるため、分級処理によりお互いを容易に分離できるので、サンドブラスト廃材の再利用が可能である上に、サンドブラスト廃材の廃棄による環境問題も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リブ形成材料の回収フローの一例を示すフロー図である。
【図2】リブ形成材料の回収工程に組み込んだサイクロンと集塵装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
11 連通管
12 サイクロン
13 分配器
14 ダクト
15 集塵装置
15a フィルター
16 ブロワ
17 研削材タンク
18 噴射ノズル
19 バルブ
20 バルブ
21 粉塵タンク
Claims (3)
- 体積基準の粒度分布において、累積%径がそれぞれD50=10〜15μm、D90<25μm、且つD10>2μmの分布を有し、最大粒径が40μm以下であるジルコニア又はジルコニア化合物を主成分として90%以上含有した分級粉体からなることを特徴とするプラズマディスプレイパネルのリブ形成用サンドブラスト研削材。
- 基板上にリブ形成用ペーストを塗布して乾燥させることでリブ形成材料層を形成し、その上に耐サンドブラスト性を有する感光性樹脂組成物層を設けた後、フォトマスクを介して活性光線を選択的に照射し、続けて現像することでサンドブラスト用のマスクパターンを形成し、その露出部分のリブ形成材料層を請求項1に記載のサンドブラスト研削材を用いてサンドブラスト法により研削することを特徴とするプラズマディスプレイパネルのリブ形成方法。
- 請求項1に記載のサンドブラスト研削材を用いてサンドブラスト法によりリブ形成材料層の研削を行った後、サンドブラスト加工時に混入した研削材粒子とリブ形成材料の研削粉末との混合粉体を分級することにより、混合粉末から研削材粒子を除去し、過不足の成分を調整することを特徴とするプラズマディスプレイパネルのリブ形成材料回収及び再利用方法。
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