JP4246785B2 - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の衝突事故等による衝撃から自動車の運転者及び乗員の安全を確保するためのエアバッグ安全装置に用いられるガス発生器であって、特に燃焼ガス中のスラグの外部流出防止効果に優れた品質の良いエアバッグ用ガス発生器(以下、単に「ガス発生器」という。)に関するものである。
この種のガス発生器については、いわゆる1筒型,2筒型のハウジング構造を有するものがある。又、そのハウジング構造も溶接型及び摩擦圧接型の両方がある。例えば、1筒の溶接型ハウジング構造のガス発生器の代表例を図13(断面模式図)に基づき説明すると、ガス発生器のハウジング3は、上容器1が下容器2に接合され、内部に空間Sを有する1筒型の構造とされている。具体的には、先ず上容器1は、上蓋1aと、この上蓋1aの外周縁部から垂下する側筒1bとから構成されるステンレス製の成形体であり、また側筒1bの上側周囲には複数のガス放出口8が配設されると共に、側筒1bの内壁面にはガス放出口8を覆う金属箔9が貼着されてガス発生剤6のシールを行う様にされている。一方、下容器2は、下蓋2aと、この下蓋2aから前記側筒1bの外径側を上方向に立ち上がるフランジ筒部2bと、更にそれに続いて水平に折れるサイドフランジ2cとから構成されるステンレス製の成形体である。
ハウジング3は、上容器1の側筒1bの下端で外側に折れて形成されたフランジ部1cが下容器2の下蓋2aの内底面縁部に溶接接合されて形成されている。又、ハウジング3内には、下蓋2aの中央部に点火器4がシール5を介して固定され、その周囲にはガス発生剤6が装填され、更にそのガス発生剤6の層と上容器1及び下容器2で形成される空間部には、冷却及び/又はフィルタ部材(以下単に「冷却・フィルタ部材」という。)7が装填されている。
このようなガス発生器が衝突信号を受けて通電状態になったとき、点火器4の発火によりガス発生剤6が燃焼して高温のガスを発生する。この高温のガスは多くのスラグを含んでいるが、冷却・フィルタ部材7を通過する間に冷却されると共に、スラグの大部分が除去された後、ガス放出口8から図示されていないエアバッグ内に放出されるようにされている。
次に、1筒型の摩擦圧接型のハウジング構造のガス発生器の代表例を図14(断面模式図)に基づき説明すると、図13の溶接型ハウジング構造のものに比べて、ハウジング3は、上容器1の側筒1bの下端周面が、下蓋2aの内底面周縁部に摩擦圧接されて形成されている点に特徴があり、これ以外の基本的構成は図13の例と同様である。又、摩擦圧接型構造のガス発生器の作動も、溶接型構造のものと異なるところはない。更に、摩擦圧接を実施する際には、一般に圧接時の高さ管理が難しいという事情があり、この点に鑑みて、例えば冷却・フィルタ部材の端面のうち、摩擦圧接部に近い方の端面に、摩擦圧接時の高さ調節が不十分であったとしても、それを吸収できる様なフィルタシール部材を介在させ、燃焼ガス中のスラグが冷却・フィルタ部材の端部から許容量以上に流出しない様に配慮することも考えられる。
しかし、上記のいずれのタイプのガス発生器においても、ガス発生器の作動時において、ガス発生剤の種類や燃焼条件等によっては、ハウジング内で発生した燃焼ガスの瞬間的な圧力上昇のために、冷却・フィルタ部材の端部と上蓋,下蓋又はフィルタシール部材との当接状態が緩み、冷却・フィルタ部材の端面シールが不十分となる場合のあることが分かってきた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、特に燃焼ガス中のスラグの外部流出防止効果に優れた品質の良いガス発生器を提供することを目的とする。
(1) 本発明のエアバッグ用ガス発生器は、複数個のガス放出口を有する側筒の端部を上蓋及び下蓋で閉鎖することにより形成されたハウジングの内側には、中央から径方向外側に向けて点火器、ガス発生剤、冷却・フィルタ部材が順次配置されると共に、前記ガス放出口を内側から覆う金属箔が前記側筒の内壁面に貼着されてなるエアバッグ用ガス発生器であって、前記ハウジング内側に外縁が圧入されたリング状のフィルタシール部材を有し、前記フィルタシール部材が前記冷却・フィルタ部材の下端と当接して前記下端をシールし、前記冷却・フィルタ部材の内径側において前記下蓋側に折れ曲がってなる前記フィルタシール部材の内縁の先端が、前記下蓋の内側の底面に当接することで、前記ハウジング内で前記フィルタシール部材が弾性的に保持されていることを特徴とするものである。
このようなフィルタシール部材の弾性的保持により、ガス発生器の作動時の発生内圧によってフィルタシール部材と冷却・フィルタ部材との当接が緩んで隙間が生じることが防止される。即ち、発生内圧によりフィルタシール部材が撓むことがあっても、冷却・フィルタ部材との良好な当接状態を保ったままで一体的に撓むため、スラグ流出防止効果を有効に発揮し得る点に変わりはない。加えて、係るフィルタシール部材の弾性的保持の付加的効果として、摩擦圧接時の寄り代のバラ付きを吸収する事ができ、圧接作業が容易になるという利点がある。
(2) 前記折れ曲がり部がフック状に形成されていることが好ましい。
(3) 折れ曲がり部には、下蓋の内側の底面と直角をなして当接する脚部が形成されていることが好ましい。
(4) 冷却・フィルタ部材がフィルタシール部材を下方に押圧しており、脚部の最高位置が冷却・フィルタ部材の下端よりも上方に位置していることが好ましい。
(5) フィルタシール部材が、側筒の内周面に接する部分において、側筒と下蓋との摩擦圧接による圧接バリで固定されていることが好ましい。
上記(1)の発明のような弾性的な保持の結果、ガス発生器の作動時の発生内圧によってフィルタシール部材と冷却・フィルタ部材との当接が緩んで隙間が生じる事はない。即ち、発生内圧によりフィルタシール部材が撓むことがあっても、冷却・フィルタ部材との良好な当接状態を保ったままで一体的に撓むため、スラグ流出防止効果を有効に発揮し得る点に変わりはない。加えて、かかるフィルタシール部材の弾性的保持の付加的効果として、摩擦圧接時の寄り代のばらつきを吸収する事ができるので、圧接作業が容易になるという利点もある。
上記(2)、(3)及び(4)の発明によると、フック状の折れ曲がり部に生じる垂直上向きの弾性反力の作用を受けて、フィルタシール部材が冷却・フィルタ部材の端面に、より強く密着させられる状態となっており、その面シール性能の向上により、スラグ流出防止効果は一層顕著となる。
上記(5)の発明によると、フィルタシール部材のハウジング内の固定が一層強化され、引いては冷却・フィルタ部材の面シール性能の一層の向上が期待される。
以下、参考実施形態(図1〜図7及び図11、図12に係るもの)と、本発明の実施の形態(図8〜図10に係るもの)とを、図面を参照しつつ説明する。図1は、1筒型の摩擦圧接型ハウジング構造のガス発生器を示す要部断面模式図であり、ハウジング3は、アルミ製上容器1の側筒1bとアルミ製下容器2の段部2bの先端同士を突合せ摩擦圧接することにより内部空間が形成された構造となっている。内部空間は、中央から径方向外側に向けて点火器30,薄膜容器5に封入されたガス発生剤6,冷却・フィルタ部材7が順次配置されている。また、前記冷却・フィルタ部材7は、前記側筒1b内に収納されるように、前記側筒1bより小径の筒状している。そして、図中では点火器30として、スクイブ31と伝火薬32が一体化されたものを示している。
又、冷却・フィルタ部材7の上下端面、即ち、冷却・フィルタ部材7の上面と上蓋との間及び冷却・フィルタ部材7の下面と下蓋2aの上面の間のには、グラファイト製のシール部材10a,10bが配置され、燃焼ガスがスラグを含んだまま外部に流出しないよう配慮されている。又、ガス放出口8の内面には、アルミ箔9が貼着されて密閉されており、燃焼圧力の調整が可能な構造とされ、併せてガス発生剤6の変質防止にも配慮されている。更に、断面がL字形のリング状第1・第2バイパス防止部材15・16が、冷却・フィルタ部材7の上下両端部内面に接すると共に上蓋1a及び下蓋2aの内面にも当接して配置されている。前記第1・第2バイパス防止部材15・16は、前記冷却・フィルタ部材7に対して圧入されている。
このような構成であれば、ガス発生器の作動時にハウジング3内に燃焼ガスによる高圧が瞬間的に発生しても、冷却・フィルタ部材7の両端部内面に配置されたバイパス防止部材15,16は、この冷却・フィルタ部材7の両端部に強く押し付けられる状態となるので、むしろ端面シールが向上する様に作用する。従って本発明に係るバイパス防止部材15,16を採用する事により、シール部材10a,10bのいずれか一方又は両方省略の余地も生じ、部品点数削減によるコスト低減の可能性が生じる。一方、バイパス防止部材15,16を併用する事で、グラファイト製シール部材10a,10bによるスラグ流出防止効果を万全を期すことが可能となる。
図2は、図1における上蓋1a側の、即ち、ガス放出口8に近い側の第1バイパス防止部材15を、冷却・フィルタ部材7の内面に向かってガス放出口8を投影したときの投影面積部分(A)を覆う様に配置した構成例を示している。この第1バイパス防止部材15は、その前記冷却・フィルタ部材7に接している部分が延長され、前記投影面積部分(A)を覆うカバー部15cを有する。このガス発生器の場合には、図1のガス発生器の場合と同様、優れたスラグ流出防止効果を享受し得ることは勿論、冷却・フィルタ部材7のガス放出口8に最も近い部分がバイパス防止部材15によって遮られているため、発生した高温の燃焼ガスが冷却・フィルタ部材7の投影面積部分A及びその近傍に集中して流出するのを防止することができる。即ち、冷却・フィルタ部材7のガス流れの均等化を図り、部材の局部的な溶損を防止することが可能となる。
尚、上蓋1a側のバイパス防止部材15を、冷却・フィルタ部材7の内面に向かってガス放出口8を投影したときの投影面積部分(A)を覆う様に配置する構成としては、他に図3に示す様に、その投影面積部分(A)を覆う範囲に相当する部分にカバー部15cを冷却・フィルタ部材7の内面から少し内側に離して配置してもよい。この場合は、バイパス防止部材15を貼着していたが為に生じていた冷却・フィルタ部材のデッドスペースを解消することができ、その分冷却・フィルタ部材7の使用効率を高められる事が可能となる。
図4は、図1に示すガス発生器において、筒状の冷却・フィルタ部材7の外周面とガス放出口8との間に空間S1を形成した構成例を示している。前記筒状の冷却・フィルタ部材は、その外周面と前記側筒1bの内周面との間に所定の空間S1を形成するように、その外周径は前記側筒1bの内周径より所定の大きさだけ小さい。そして、その高さは、前記上蓋1aと下蓋2aとの間隔よりも所定長だけ短い。このガス発生器においては、空間S1がガス溜まりとなって冷却・フィルタ部材の出側が均圧化される結果、ガス放出口8によるガス流の絞り効果の影響は少なくなり、燃焼ガスは冷却・フィルタ部材7の容積の大部分を通過する様になる。従って、特に、冷却・フィルタ部材7の両端部を流れるガス流に対するバイパス防止部材15,16のシール効果は一層価値あるものとなる。
又、図5に示すガス発生器の特徴的な構成は、冷却・フィルタ部材7を、上蓋1aのフィルタガイド1c及び圧接バリ12a,12bに当接して配置した点にある。前記側筒1bと前記上蓋1aとが一体化されており、該側筒1bと下蓋2aとが摩擦圧接により接合されてハウジング3が形成され、この摩擦圧接による圧接バリ12a,12bと、前記上蓋1a近傍の前記側筒1bの内周面から前記冷却・フィルタ部材7の外周面へ向け形成された肉厚のフィルタガイド1cとが、前記冷却・フィルタ部材7の外周面に当接して前記所定の空間S1を形成している。この構成であれば、冷却・フィルタ部材7の外周面とガス放出口8との間に空間S1を確実に形成し且つ安定して確保することが可能となる。
次に、図6は、ハウジング33として、点火器30の周囲に上蓋1a及び下蓋2aをつなぐ中央筒40を有するもので構成したものであり、いわゆる2筒型の摩擦圧接型ハウジング構造のガス発生器である。即ち、上容器1の内側側筒1dと下容器2の内側段部2dとの突き合わせ摩擦溶接による中央筒40の存在により、ハウジング33が強化され、その分ガス発生剤6の燃焼時にハウジング33が変形しにくくなり、本発明に係るバイパス防止部材15,16によるスラグ流出防止効果はさらに有効なものとなる。尚、図中17は、ガス発生剤用のカバー部材である。
次に、図7に示すガス発生器の特徴的な構成は、図6に示したガス発生器の構成の内、下蓋2a側のバイパス防止部材16とガス発生剤用カバー部材とが一体化された部材で構成した点にある。即ち、断面L字形の下側バイパス防止部材16の下蓋2aに接する面が内側に延長され、更に立ち上がって中央筒40の外面の圧接バリ11aに当接する様に一体化してフィルタシール部材25としたものである。このようなフィルタシール部材25はリング状をしており、その断面は、図7に示されるように、冷却・フィルタ部材7の下端側の内周面に接する第1直線部50aと、該第1直線部50aと一端側が接続されて下蓋2aの内面に接する第2直線部50bと、該第2直線部50bの他端側から上蓋1a側へ向け立ち上がっている立ち上がり部50cと、該立ち上がり部50cの上端から中央筒40の外周面へ向け張り出している張出部50dを有している。そして、張出部50dの先端は、前記中央筒40に対するフィルタシール部材25の挿入を容易にするために、前記中央筒40の外周面に沿って、折り返し部が設けられている。このようなフィルタシール部材25は前記中央筒40の外周面に対して圧入されている。
この構成であれば、これまで、中央筒40の高温の圧接バリ11aからガス発生剤6を保護し、且つガス発生剤6の振動等による粉末化を防止するためのクッション材が別途専用に必要とされていた2筒ハウジング構造において、それらの部材が果たしてきた役割を本発明に係るフィルタシール部材25が一体となって、同時に発揮することができる。従って、部品点数の削減効果をもたらし、コスト低減に寄与することが期待できる。又、このフィルタシール部材25に、スラグ流出防止効果以外にも、2筒型ハウジング構造における冷却・フィルタ部材7の位置決めの役目も発揮させる事ができ、又、冷却・フィルタ部材の固定が一層容易となる効果も期待できる。尚、冷却・フィルタ部材7のガス流れの均等化を図るために、ここにおいても第1バイパス防止部材15若しくはフィルタシール部材25にガス放出口を覆うカバー部を設けてもよい。或いは、側筒1bの内周面と冷却・フィルタ部材7の外周面との間に所定の空間を形成するようにしてもよい。
<第1実施形態>
次に、図8は、図1〜図7と同様、1筒型の摩擦圧接型ハウジング構造のガス発生器を示す要部断面模式図であり、構成上の特徴の一つは、図1〜図7で冷却・フィルタ部材7の両端部内面と上蓋1a,下蓋2aの内面に当接して配置されていたバイパス防止部材15,16が存在しない代わりに、冷却・フィルタ部材7の端部をシールするために、ハウジング3に圧入されたフィルタシール部材25が、冷却・フィルタ部材7の内径側において下蓋2a側に折れ曲がって該下蓋2aに当接し、フィルタシール部材25をハウジング3内で弾性的に保持せしめた点にある。
このフィルタシール部材25はリング状をしており、その断面は図8にしめすように、冷却・フィルタ部材7の下端を支持する直線部25bと、該直線部25bの一端側から上蓋1a側へ向け立ち上がっている立ち上がり部25eと、該立ち上がり部25eの上端から側筒1bの内周面へ向け張り出している張出部25aと、前記直線部25bの他端側から下蓋2aの内面に向け折れ曲がって下蓋2aの内面に接する折れ曲がり部25fとを有している。そして、張出部25aの先端は、前記側筒1bに対するフィルタシール部材25の挿入を容易にするために、前記側筒1bの内周面に沿って、折り返し部が設けられている。このようなフィルタシール部材25は、前記張出部25aと折れ曲がり部25fがそれぞれ側筒1bの内周面及び下蓋2aの内面に当接することにより、側筒1b内に弾性的に保持される。そして、このようなフィルタシール部材25は前記側筒1bの内周面に対して圧入されている。
このような構造のガス発生器であれば、ハウジング3内におけるフィルタシール部材25の弾性的保持により、ガス発生器の作動時の発生内圧によってフィルタシール部材25が撓むことがあっても、冷却・フィルタ部材7との良好な当接状態を保ったままで一体的に撓む結果、冷却・フィルタ部材7の端部における上蓋1a又はフィルタシール部材25との当接状態が緩んで隙間が生じる事はなく、良好な面シールが保持されるので、バイパス防止部材15,16を採用したガス発生器と同様のスラグ流出防止効果を発揮することができる。更に、本例の構成によれば、フィルタシール部材25の弾性的保持の付加的効果として、摩擦圧接時の寄り代のばらつきを吸収することができるのて、圧接作業が容易になるという利点もある。
又、図示のガス発生器における構造上の他の特徴としては、フィルタシール部材25をハウジング3内に圧入すると共に、この圧入された張出部分25aを圧接バリ12aで保持固定する様にした点にある。これにより、フィルタシール部材25のハウジング内の固定が一層強化され、引いては冷却・フィルタ部材の面シール性能の一層の向上が期待される。
<第2実施形態>
図9は、図8に示すガス発生器の構成の内、フィルタシール部材25における冷却・フィルタ部材7の内径側において下蓋側に折り曲げられた部分25cをフック状に形成すると共に、このフック部25cの先端を下蓋2aに当接せしめ、フィルタシール部材25がハウジング内で弾性的に保持される様に配置したものの例を示している。フィルタシール部材25の内径側の折り曲げれたフック部25cの形状は、図10(a)に示す様に、ガス発生器の組立前は脚部25dの最高位置は冷却・フィルタ部材7の下端に略一致しており、組立終了後は同図(b)に示す様に脚部25dが上側に押し上げられて脚部25dの最高位置が冷却・フィルタ部材7の下端よりも上方に位置する様に構成されている。従って、組立終了後のガス発生器では、フック状の折れ曲がり部分に生じる垂直上向きの弾性反力の作用を受けて、フィルタシール部材25が冷却・フィルタ部材7の端面に、より強く密着させられる状態となっており、その面シール性能の向上により、スラグ流出防止効果は一層顕著となる。
尚、図8及び図9に示した実施例においても第1バイパス防止部材15を上蓋1a側に設けてもよい。更に、冷却・フィルタ部材7のガス流れの均等化を図るために、第1バイパス防止部材15にガス放出口を覆うカバー部を設けてもよい。或いは、側筒1bの内周面と冷却・フィルタ部材7の外周面との間に所定の空間を形成するようにしてもよい。また、ガス発生器のハウジングは中央に中央筒を有するものであってもよい。
図11は、図6,図7と同様、2筒型の摩擦圧接型ハウジング構造のガス発生器であり、バイパス防止部材としてフィルタシール部材26を採用している他は、構成上の差異はなく、特に図7に対応した図といえる。即ち、図11に示すガス発生器の特徴的な構成は、フィルタシール部材26が、図8における下蓋2a側のフィルタシール部材25と図6におけるガス発生剤用カバー部材17とを一体化した部材で構成されている点にある。換言すると、フィルタシール部材26が下蓋2aに沿って内径側に延在し、その延在する部分の内側が立ち上がって中央筒40の外面に対して圧入させている。更に、下蓋2aに沿って延在する部分に切り込みが入れられて前記折れ曲がり部分26aが形成されるが、図12(図11のBB矢視要部断面図)に示す様に、周方向に適当な間隔で折れ曲がり部分を形成すればよい。
前記フィルタシール部材26はリング状をしており、その断面は図11に示すように、下蓋2aの内面に平行な直線部26cと、該直線部26cの両端からそれぞれ上蓋1a側へ向け立ち上がっている立ち上がり部26d,26eと、該立ち上がり部26d,26eのそれぞれの上端から側筒1bの内周面及び中央筒40の外周面へ向けてそれぞれに張り出している張出部26f,26gとを有し、略クランプ形状をしている。そして、張出部26fの先端は、前記側筒1bに対するフィルタシール部材26の挿入を容易にするために、前記側筒1bの内周面に沿って、折り返し部が設けられている。一方、張出部26gの先端にも、前記中央筒40に対するフィルタシール部材26の挿入を容易にするために、前記中央筒40の外周面に沿って、折り返し部が設けられている。前記直線部26cは、冷却・フィルタ部材7の下端を支持しつつ、下蓋2a側からガス発生剤収納空間を覆っている。そして前記直線部26cには、上述したように切り込みが入れられて下蓋2aの内面に接する前記折れ曲がり部分26aが形成されている。このようなフィルタシール部材26は、張出部26f,26g及び折れ曲がり部分26aが、それぞれ側筒1bの内周面と中央筒40の外周面及び下蓋2aの内面に当接することにより、弾性的に側筒1b内に収納されている。そして、このようなフィルタシール部材26は前記中央筒40の外周面に対して圧入されている。
図示のガス発生器の場合に、図7のガス発生器の場合と同様に部品点数の削減によるコストの低減化を図ることができると共に、ガス発生器の作動時に発生する高圧ガスが前記折れ曲がり部26a周辺の開口26bを通って下蓋2a側へ流入し、フィルタシール部材26の裏側へ回り込むので、フィルタシール部材26の表裏が同圧となり、フィルタシール部材26の弾性的変形さえも、抑制することができる。従って、冷却・フィルタ部材7の端部の面シール性能を万全なものとしてスラグ流出防止効果の優れた2筒構造のガス発生器となす事ができる。尚、図11に示した例においても冷却・フィルタ部材7のガス流れの均等化を図るために、第1バイパス防止部材15にガス放出口を覆うカバー部を設けてもよい。或いは、側筒1bの内周面と冷却・フィルタ部材7の外周面との間に所定の空間を形成するようにしてもよい。
尚、図示の例では、全て摩擦圧接型のガス発生器の例を挙げたが、レーザー等による溶接型のガス発生器の場合にも本発明の特徴ある構成は同一であり、且つ対応する作用効果の点で特に異なる処はなく、燃焼ガス中のスラグの外部流出防止効果に優れたガス発生器とすることができる。
参考実施形態を示す要部断面模式図である。 上側のバイパス防止部材に特徴のあるガス発生器の参考実施形態を示す図要部断面模式図である。 図2のガス発生器の参考変形例を示す要部断面模式図である。 ガス放出口の直前に空間部を有するガス発生器の参考実施形態を示す要部断面模式図である。 他の参考実施形態を示す要部断面模式図である。 別の参考実施形態を示す要部断面模式図である。 別の参考実施形態を示す要部断面模式図である。 本発明の第1実施形態を示す要部断面模式図である。 本発明の第2実施形態を示す要部断面模式図である。 本発明の第2実施形態におけるフィルタシール部材の要部拡大図であり、(a)はガス発生器の組立前の形状、(b)は組立後の形状を示す図である。 別の参考実施形態を示す要部断面模式図である。 図11のBB矢視要部断面図であり、フィルタシール部材の一部平面である。 1筒型の溶接型ハウジング構造の代表例を示す断面模式図である。 1筒型の摩擦圧接型ハウジング構造の代表例を示す断面模式図である。
符号の説明
1 上容器
1a 上蓋
1b 側筒
1c フィルタガイド
1d 内側側筒
2 下容器
2a 下蓋
2b 側筒
2d 内側側筒
3,33 ハウジング
5 薄膜容器
6 ガス発生剤
7 冷却・フィルタ部材
8 ガス放出口
9 金属箔
10a,10b シール部材
11a,12a,12b 圧接バリ
15,16 バイパス防止部材
25,26 フィルタシール部材
30 点火器
31 スクイブ
32 伝火薬
40 中央筒
S1 空間

Claims (5)

  1. 複数個のガス放出口(8)を有する側筒(1b)の端部を上蓋(1a)及び下蓋(2a)で閉鎖することにより形成されたハウジング(3)の内側には、中央から径方向外側に向けて点火器(30)、ガス発生剤(6)、冷却・フィルタ部材(7)が順次配置されると共に、前記ガス放出口(8)を内側から覆う金属箔(9)が前記側筒(1b)の内壁面に貼着されてなるエアバッグ用ガス発生器であって、
    前記ハウジング(3)内側に外縁が圧入されたリング状のフィルタシール部材(25)を有し、
    前記フィルタシール部材(25)が前記冷却・フィルタ部材(7)の下端と当接して前記下端をシールし、
    記冷却・フィルタ部材(7)の内径側において前記下蓋(2a)側に折れ曲がってなる前記フィルタシール部材(25)の内縁の先端が、前記下蓋(2a)の内側の底面に当接することで、前記ハウジング(3)内で前記フィルタシール部材(25)が弾性的に保持されていることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  2. 前記折れ曲がり部(25c)がフック状に形成されている請求項1に記載のエアバッグ用ガス発生器。
  3. 前記折れ曲がり部(25c)には、前記下蓋(2a)の内側の前記底面と直角をなして当接する脚部(25d)が形成されている請求項2に記載のエアバッグ用ガス発生器。
  4. 前記冷却・フィルタ部材(7)が前記フィルタシール部材(25)を下方に押圧しており、前記脚部(25d)の最高位置が前記冷却・フィルタ部材(7)の下端よりも上方に位置している請求項3に記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 前記フィルタシール部材(25)が、前記側筒(1b)の前記内周面に接する部分において、前記側筒(1b)と前記下蓋(2a)との摩擦圧接による圧接バリ(12a)で固定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアバッグ用ガス発生器。
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