JP4246732B2 - リソグラフィ装置、デバイス製造方法、及びそれによって製造されたデバイス - Google Patents

リソグラフィ装置、デバイス製造方法、及びそれによって製造されたデバイス Download PDF

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Description

本発明は、リソグラフィ装置、デバイス製造方法、及びそれによって製造されたデバイスに関する。
リソグラフィ装置は、基板、通常は基板の目標部分にパターンを施す機械である。例えば、リソグラフィ装置は、集積回路(IC)の製造に使用することができる。その場合、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターン形成装置を使用して、ICの個々の層に形成されるべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えば、シリコン・ウェハ)の目標部分(例えば、1つ又は複数のダイの一部を含む)上に転送することができる。一般に、パターンの転送は、基板上に設けられた放射感応物質(レジスト)の層上に結像することによって行われる。一般に、1つの基板は、次々とパターン形成された隣接した目標部分からなるネットワークを含む。周知のリソグラフィ装置は、1回の動作でパターン全体を目標部分に露光させることによって各目標部分を照射する、いわゆるステッパと、所与の方向(以下により詳細に論じる「走査」方向)の放射ビームを介してパターンを走査することによって各目標部分を照射し、これと同時にこの方向と平行又は逆平行に基板を走査する、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板上にインプリントすることによって、パターンをパターン形成装置から基板へ転送することも可能である。
インプリントは、段階的な方法で行われる。その場合、固定基板が、固定パターン形成装置からのパターンでインプリントされる。或いは、基板をパターン形成されたビームで走査する段階を含む方法もある。インプリントを行う周知の方法の1つに、パターン形成装置をパルス照明する方法、つまり基板をパルス照明する方法がある。このように、複数のパルス映像が局部的に重なることにより鮮明な像が形成されるように、基板上の像を、パターン形成装置の多数のパルス照明で構成することができる。この走査型の照明については、以下により広範に論ずる。
走査型の照明の問題点は、光学系の欠陥が基板上に結像され得ることである。こうした欠陥は、スリット内の位置応じて、強度の不均質、つまり受け取られる全照射量の不均質を生み出す欠陥、具体的には、走査方向の放射ビーム全体に広がる欠陥にかかわっている。このような欠陥は、照明装置レンズ上の塵粒、光学レンズ材料の不均質部分、特に、例えば、光ビーム送出系、或いは水晶棒材又はフッ化カルシウム棒材など他の光学素子内の反射光などといった形を取ることがある。供給された放射ビームを均質化するために、場合によっては、二乗倍率の水晶棒材(又はフッ化カルシウムなどの棒材)が使用される。棒材の側面及び縁端部、並びにその反射光によって、放射ビーム内に不均質部分が生じることがある。特に、それだけではないが、2つの連続したパルス間において、パターン形成装置が移動する距離を越える、放射ビームにおける走査方向寸法の複数の欠陥によって、その不均質部分それぞれの重なりが生じるため、より目立った直線が生じるが、複数の筋を生ずる他のタイプの欠陥は排除されない。
特に、パターン形成装置を使用せずに基板を照明する場合、これは複数の筋となって見えるようになる。勿論、ほとんど実際のケースでは、パターン形成装置が使用されるが、それでも、根底をなす基礎的な放射強度によって、このような複数の筋が現れ、それらが、走査方向に平行な、パターンフィーチャの不規則な直線となって実際の基板上に見えるようになることがある。
従来技術では、不規則性をぼかすために、照明系の焦点をずらして強度プロファイルを調整することによって、このような欠点が低減されている。しかし、この周知の対処法にはいくつかの欠点がある。例えば、照明系の焦点をずらすことによって、パターン形成装置のマスキング・ブレードに焦点はずれが起こる。このようなマスキング・ブレードは、パターン形成装置又は基板の不要な部分の照明を防ぐため、且つ放射の散乱を防ぐために照明域を区切るのに使用される。このように、マスキング・ブレードによって、パターン形成装置の照明部分周囲のいわゆるブラック・ボーダーが画定される。実際上、こうしたマスキング・ブレードは、放射ビーム内の放射の角分布が大きいことから、あまり大量に放射が放たれないように、パターン形成装置の近くに位置する必要がある。マスキング・ブレードにこのように焦点はずれが起こることは、ブラック・ボーダーの画定が好ましからざる影響を受けることを意味する。別の欠点は、露光レンズ、つまりパターン形成装置と基板との間のレンズによって生じる不規則性は、この対処法によって低減されないことである。
本発明の目的は、とりわけ、改善された基板照明を送出するための照明系を提供することである。
本発明の一態様によれば、放射ビームを調整するように構成された照明系と、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン形成された放射ビームを形成することのできるパターン形成装置を支持するように構成された支持体と、基板を保持するように構成された基板テーブルと、パターン形成された放射ビームを、基板の目標部分上に投影するように構成された投影系とが提供され、少なくとも基板テーブルが、支持体に対し走査方向に移動可能であり、目標部分上にパターン形成されたビームを投影中、基板テーブルが、走査方向に対してゼロ以外の角度を含む少なくとも1本の接線をそれに対して有する基板テーブル走査経路に沿って移動可能である。
このような基板テーブル走査経路、つまり、走査方向に必ずしも平行とは限らない走査経路に沿って基板テーブルが移動可能であることよって、基板テーブルは、不均質部分が重なって複数の筋などが形成されないよう、且つ不均質部分が、受け取られた照射量内のより広く、且つ/又は高さのより低いピーク(又は谷)内にぼかされるように移動することができる。従来技術では、基板テーブルが走査方向に移動中に供給された次のパルスによって、不均質部分の重なりが生じるが、本発明によれば、走査方向に平行でない方向に調節することによって、そのパルスに対応する像がぼかされる。
本発明の一態様によれば、基板テーブル上の基板の目標部分上に、パターン形成された放射ビームを投影する工程を含み、パターン形成されたビームを目標部分上に投影中、基板テーブルが、走査方向に、走査方向に対しゼロ以外の角度を含む少なくとも1本の接線をそれに対して有する基板テーブル走査経路に沿って移動するデバイス製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、本発明の方法によって製造されたデバイスが提供される。
本発明の有利な実施例を、添付の特許請求の範囲に特定する。
本発明の実施例を、ほんの一例として添付の概略図面を参照しながら説明する。図面では、対応する参照符号は対応する部分を示す。
全図面において、同様の部分は、同様の参照番号で示す。
図1は、本発明の一実施例によるリソグラフィ装置の概略図である。この装置は、
双方とも任意選択であるソースSO及びビーム送出系BDと、
放射ビームB(例えば、UV放射又は可視放射)を調整するように構成された照明系(照明装置)ILと、
パターン形成装置(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターン形成装置を正確に位置決めするように構成された第1の位置決め装置PMに接続され、且つ本発明に従ってパターン形成装置の位置を調節するように構成された支持体調節装置(例えば、マスク調節装置)MMに接続された支持構造(例えば、マスク・テーブル)MTと、
基板(例えば、レジスト被膜ウェハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2の位置決め装置PWに接続され、且つ本発明に従って基板テーブルの位置を調節するように構成された基板テーブル調節装置(例えば、ウェハ調節装置)MWに接続された基板テーブル(例えば、ウェハ・テーブル)WTと、
放射ビームBに付与されたパターンを、パターン形成装置MAによって基板Wの目標部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に投影するように構成された投影系(例えば、屈折投影レンズ系)PSとを含む。
照明系は、放射を方向付け、形作り、又は調整する屈折光学的、反射光学的、磁気光学的、電磁光学的、静電光学的構成要素、又は他のタイプの光学的構成要素、或いは、これらのあらゆる組合せなど、様々なタイプの光学的構成要素を含むことができる。
支持構造は、パターン形成装置の重みを支える。支持構造は、パターン形成装置の向き、リソグラフィ装置の設計、並びに、例えばパターン形成装置が真空状態内で保持されているか否かなど他の状態にある程度応じた形で、パターン形成装置を保持している。支持構造は、機械的締付け、真空式締付け、静電的締付、又は他の締付け法を使用してパターン形成装置を保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は移動可能なフレーム又はテーブルでよい。支持構造によって、パターン形成装置が、例えば投影系に対して所望の位置にくるようにすることができる。本明細書で「レチクル」又は「マスク」という用語を使用する場合はいつも、より一般的な用語の「パターン形成装置」と同義語と見なすことができる。
本明細書で使用する「パターン形成装置」は、放射ビームの断面にパターンを付与して、基板の目標部分へのパターン形成などを行うために使用することのできる、あらゆる装置を意味するものとして広く解釈すべきである。放射ビームに付与されたパターンは、例えば、パターンが位相ずれフィーチャ、又はいわゆる補助フィーチャを含む場合、基板の目標部分内の所望パターンに厳密に対応しないことがあることを留意されたい。一般に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路など、目標部分内に形成されているデバイス内の特定の機能層に対応する。
パターン形成装置は透過性又は反射性であることができる。パターン形成装置の例としては、マスク、プログラム可能ミラー・アレイ、及びプログラム可能LCDパネルなどがある。リソグラフィでは、種々のマスクがよく知られており、マスクのタイプとしては、バイナリ・マスク、交互位相シフトマスク、及び減衰位相シフトマスク、並びに様々なハイブリッド・マスクなどがある。プログラム可能なミラー・アレイの一例は、様々な方向から入射する放射ビームを反射するようにそれぞれを個々に傾斜させることのできる、小ミラーからなるマトリックス構成を使用している。傾斜ミラーによって、ミラー・マトリックスによって反射される放射ビーム内にパターンが付与される。
本明細書で使用する「投影系」という用語は、使用される露光放射、或いは浸漬液の使用又は真空の使用などの他のファクターに適した屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気光学系、電磁光学系及び静電光学系を含む様々なタイプの投影系、又はそれらのあらゆる組合せを包含するものとして広く解釈すべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語を使用する場合はいつも、より一般的な用語の「投影系」と同義語と見なすことができる。
次に述べるように、装置は(例えば、透過性マスクを使用した)透過性タイプのものである。或いは、装置は(例えば、先に述べたタイプのプログラム可能ミラー・アレイを使用した、又は反射マスクを使用した)反射タイプのものでもよい。
リソグラフィ装置は、2つ(2ステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスク・テーブル)を有するタイプのものでよい。このような「多ステージ」機械では、追加のテーブルを並行して使用してもよいし、1つ又は複数のテーブル上で予備段階を実行し、その間1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用することもできる。
リソグラフィ装置は、投影系と基板との間の空間が満たされるように、少なくとも基板の一部分を、例えば水などの比較的高屈折率を有する液体で覆うことのできるタイプのものでもよい。浸漬液は、例えばマスクと投影系との間の、リソグラフィ装置の他の空間にも適用することができる。浸漬法は、投影系の開口率を増加させる技術分野ではよく知られている。本明細書で使用する「浸漬」とは、基板などの構造が、液体中に浸水されなければならないことを意味するのではなく、むしろ単に、露光中に液体が投影系と基板との間にあることを意味する。
図1を参照すると、照明装置ILは、放射ビーム・ソースSOから放射ビームを受け取る。ソース及びリソグラフィ装置は、例えば、ソースがエキシマ・レーザである場合は、互いに独立したものであってよい。このような場合、ソースは、リソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、放射ビームは、例えば、適切な方向付けミラー及び/又はビーム・エキスパンダを含むビーム送出系BDを用いて、ソースSOから照射装置ILへ送られる。他の場合では、例えば、ソースSOが水銀灯である場合、リソグラフィ装置は、放射ビーム・ソースを含む。その場合には、位置決めなどの光学的特性を、残りのリソグラフィ装置に最適に利用することができる。ソースSO及び照射装置ILは、必要ならばビーム送出系BDとともに、放射系と呼ぶことができる。
ソースSO又は放射系全体としては、持続的な放射ビームを提供することができる。換言すれば、基板を照明している間は照明が持続され、基板の一部分と基板の別の部分との照明の合間は、放射ビームを当然遮断することができる。具体的に言うと、特に、以下に説明する走査型リソグラフィ装置の場合、放射ビーム・ソースSOは、パルス状放射ビーム・ソースを含むことができる。
照射装置ILは、放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタADを含むことができる。一般に、照明装置のひとみ平面における強度分布の少なくとも外径及び/又は内径の長さ(通常、それぞれσ−アウター及びσ−インナーと呼ばれる)は調整することができる。さらに、照明装置ILは、積算器INや集光器COなど様々な他の構成要素を含むことができる。照明装置を使用して放射ビームを調整し、その断面に所望の均一性及び強度分布を持たせることができる。
放射ビームBは、支持構造(例えば、マスク・テーブルMT)上に保持されているパターン形成装置(例えば、マスクMA)に入射し、パターン形成装置によってパターン形成される。放射ビームBは、マスクMAを横切った後、投影系PSを通り抜け、それによってビームは基板Wの目標部分C上に集束される。第2の位置決め装置PW、基板テーブル調節装置MW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニア・エンコーダ又は容量センサ)を用いて、走査中に、又は放射ビームBの経路内に別の目標部分Cが位置するように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、例えばマスク・ライブラリからの機械的検索の後、又は走査中に、第1の位置決め装置PM、支持体調節装置MM及び別の位置センサ(図1には、はっきりと示していない)を使用して、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。一般に、マスク・テーブルMTの移動は、第1の位置決め装置PM及び/又は支持体調節装置MMの一部を形成することのできるロング・ストローク・モジュール(大雑把な位置決め)及びショート・ストローク・モジュール(精密な位置決め)を用いて行うことができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PW及び/又は基板テーブル調節装置MWの一部を形成することのできるロング・ストローク・モジュール及びショート・ストローク・モジュールを使用して行うことができる。マスクMA及び基板Wは、マスク位置合わせマークM1及びM2、並びに基板位置合わせマークP1及びP2を使用して位置合わせすることができる。図示した基板位置合わせマークは、専用の目標部分を占めているが、目標部分間の空間に配置することもできる(これらは、スクライブ・レーン位置合わせマークとして知られている)。同様に、マスクMA上に1つ又は複数のダイが設けられている場合、マスク位置合わせマークを、ダイ間に配置することができる。
図示した装置は、次のモードのうち少なくとも1つにおいて使用することができる。
1.走査モードでは、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影(つまり1回の動的露光)される間、マスク・テーブルMTと基板テーブルWTとが同時に走査される。マスク・テーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性によって決まることがある。走査モードでは、露光範囲の最大サイズによって1回の動的露光における目標部分の(非走査方向の)幅が制約されるが、目標部分の(走査方向の)高さは、走査動作の長さによって決まる。
2.別のモードでは、マスク・テーブルMTは、プログラム可能パターン形成装置を保持しながら基本的に静止が保たれ、基板テーブルWTは、放射ビームに付与されたパターンが目標部分C上に投影される間移動又は走査される。このモードでは、一般に、パルス状の放射ソースが使用され、プログラム可能パターン形成装置は、基板テーブルWTの移動が終わるたびに、又は走査中の連続的な放射パルスの合間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、先に述べたようなタイプのプログラム可能ミラー・アレイなど、プログラム可能パターン形成装置を利用しマスクを利用しないリソグラフィに容易に適用することができる。
上述の使用モード又はまったく異なる使用モードを組み合わせて、且つ/又は変更して使用することもできる。
本発明がその利便性を提供するのは、こうした走査型モード及び対応する走査リソグラフィ装置においてである。例えば、上述の走査モード「1」番において、装置は、図1においてxで示した方向に走査される走査リソグラフィ装置であるとする。本明細書では、原則として本出願全体では、走査方向とは、支持体又は基板平面内において、放射ビームに対して垂直な方向、特にビーム内の放射の(平均的)伝播方向と放射ビーム断面の最大寸法との両方に対して垂直な方向として理解すべきである。走査モードにおける放射ビームは、ほとんどの場合、例えば、図1のy方向に実質的に延び、垂直なx方向にほんの小さな幅を有する、X×Y=6×26mmなどの断面を有する細いビームである。したがって、この場合、走査方向はx方向、つまり長さ又は最大径に垂直な方向である。本発明は、不均質部分が重なって複数の筋などが形成されないように、且つ受け取られた照射量内のより広い且つ/又は高さがより低いピーク(又は谷)内に不均質部分がぼかされるように、走査経路に対し調節を加えることを提案する。
それに加えて、第1の位置決め装置PM及び第2の位置決め装置PWは、基板W上に鮮明な像が形成されるように、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性を考慮して、x方向に走査動作を行うように構成されている。例えば照明装置IL内のどんな欠陥も、走査方向の1本又は複数の筋となって、又は走査方向に一直線をなす好ましくないパターン・フィーチャの異形となって基板W上に見えるようになることがある。人間の眼は、ランダムな異形よりも線に沿ったこのような異形に敏感であるので、このような照明不均質性は、抑えることが望ましい。
それに加えて、本発明によれば、少なくとも基板は、支持体に対し走査方向に移動可能である一方、パターン形成されたビームを目標部分に投影中、基板テーブルは、走査方向に対しゼロ以外の角度を含む少なくとも1本の接線をそれに対して有する基板テーブル走査経路に沿って移動可能である。走査方向に対しゼロ以外の角度を含む基板テーブル走査経路が、少なくとも1本の接線を有する状態とは、走査経路の少なくとも一部分は、走査方向に平行に延びていないことを意味する。この非平行部分は、能動的照明中つまり投影中に方向移動される基板テーブル走査経路の一部分にかかわり得るが、1つの同じ目標部分の2回以上の走査など、2回の部分照明の合間に方向移動される基板テーブル走査経路の一部分にもかかわり得ることを留意されたい。このことについては、以下にさらに説明する。さらに、先に述べたように、走査方向とは、基板テーブル及び任意選択で支持体が移動する主な又は全体的な方向であり、一般に、細い場合が多い放射ビームの長さ又は最大寸法に垂直な方向と同等であることを留意されたい。言い換えれば、少なくとも基板テーブルWTは、(例えば、上述のモード「2」番の場合)基板の目標部分上にパターン形成されたビームを投影中、走査方向に対しゼロ以外の角度で調節方向に移動可能である。
上述の走査モード「2」番などにおける投影中、基板テーブルだけを移動可能にし、支持体を固定することが可能である。このモードでは、基板上に一層鮮明な結像を得るようにするために、基板テーブルの移動及び調整を、支持体内のパターン形成装置のプログラミング及び調整に結合させている。
有利なことに、目標部分上にパターン形成されたビームを投影中、例えば上述のモード「1」番を実行するために、支持体は、走査方向に対しゼロ以外の角度を含む少なくとも1本の接線をそれに対して有する基板テーブル走査経路に沿って、走査方向に移動可能である。換言すれば、支持体は、走査方向に平行でない調節方向ばかりでなく、走査方向に平行な方向にも移動可能である。この走査モードは、実際によく使用され、支持体内のパターン形成装置からの基板上への結像が鮮明になるようにするために、基板テーブル及び支持体の移動を適宜結合、つまり同期させることができる。一般に、こうした結合は周知であるが、鮮明な像を得るために、調節の追加の態様、及び結合に及ぼすその効果について以下にさらに説明する。
走査中、先に述べたように、基板テーブルWTを、基板テーブル走査経路に沿って移動させ、且つ先に述べたように、任意選択で支持体を支持体走査経路に沿って移動させた場合、水晶棒材の側壁又はビーム送出系の反射光、或いは他のあらゆる不均質性など、照明系IL又は投影系PSのどんな欠陥も、基板W上でぼかされる。具体的には、従来技術では細い筋として見えるようになっていた不均質性が、今度は(一層)幅の広い、(一層)弱く緩和された筋となる。即ち、筋の幅が大きくなり、基板上で受け取られる平均照射量に対して筋が受け取る照射量変化の点から観ると、ピーク高さは、一層小さくなる。両方の効果が協働して、不均質な照明による複数の筋を一層目立たなくしている。
本発明によるデバイス製造方法は、基板テーブル上の基板の目標部分上にパターン形成された放射ビームを投影する工程を含み、目標部分上にパターン形成されたビームを投影中、基板テーブルは、走査方向に対しゼロ以外の角度を含む少なくとも1本の接線をそれに対して有する基板テーブル走査経路に沿って走査方向に移動可能である。具体的には、調節方向へこのように移動することができる本発明によるリソグラフィ装置は、このようなデバイス製造方法を実施するのに適している。
調節の動きに対してよい調整を行うようにするため、調節方向への動きを付与する別のドライブを設ける。このように、本発明によるリソグラフィ装置は、目標部分上にパターン形成されたビームを投影中に基板テーブルWTを調節方向に移動させる、少なくとも基板テーブル調節装置MWを含むことができる。本明細書では、調節方向は原則として、走査方向に対し非平行である基板平面内のどんな方向であってもよい。具体的には、調節方向は、走査方向に対して垂直方向であってもよいが、走査方向に対しゼロ以外である、他のどんな角度であっても効果的である。それぞれの場合において、基板テーブルが調節方向に移動する速度は、基板テーブルが、本発明による基板テーブル走査経路を実際にたどるように選択されなければならない。したがって、例えば、垂直な調節方向は、調節方向への相対的な低速を意味し、例えば、走査方向に重要な成分を有する調節の場合、同様の走査経路を得るには、調節方向への相対的な一層の高速を必要とする。とは言っても、所望の走査経路を得るために、当業者は、調節方向と調節方向速度との適切な組合せを容易に決めることができる。
有利なことに、装置は、目標部分にパターン形成されたビームを投影中に支持体MTを調節方向に移動させる支持体調節装置MMをさらに含む。先に述べた同じ原理が、上述のタイプ「2」の走査照明を実行するために極めて適切なこの支持体調節装置MMに当てはまる。
有利なことに、基板テーブル走査経路と支持体走査経路とは、同様の形状を有する。言い換えると、基板テーブル走査経路及び支持体走査経路のうちの一方が、投影系によって、基板テーブル走査経路及び支持体走査経路のうちの他方に映し出されるように、これらの経路の幾何形状は同様でなければならない。これは、投影系によって一方が他方の上に映し出されることを意味し、それによって、基板の目標部分上の所望パターンについて、投影された像が一層鮮明となるようにする。
支持体MT、つまりマスク・テーブル及び基板テーブルWTは、それぞれ支持体走査経路、基板テーブル走査経路に沿って実質的に同期して移動する。実質的に同期してとは、走査経路が同様という意味だけではなく、支持体及び基板テーブルが、それぞれの走査経路に沿って移動する速度も同様という意味である。即ち、放射ビームを投影中、支持体走査経路が、投影系によって基板テーブル走査経路上に映し出される。したがって、支持体及び基板テーブルの速度もお互いの映しである。支持体調節装置MM及び基板テーブル調節装置WMは、例えば、干渉計など適切な制御装置としてそれ相応に構成されている。
従来技術のリソグラフィ装置は、基板及び/又はパターン形成装置を走査方向に垂直な方向に位置決めする位置決め装置を含むことができることを留意されたい。しかし、この位置決め装置は、走査と走査との間にのみこれを行うように設計されており、走査中この位置決め装置は、非走査方向に完全に静止している。つまり、この位置決め装置は、走査中に走査方向にのみ移動するように構成されている。
特に、本発明による基板テーブル調節装置MWは、任意の所望タイプのアクチュエータなど基板テーブルWTを移動させるのとは別のドライブであってよいが、基板テーブル調節装置MW及び第2の位置決め装置PWを、走査方向及び調節方向の両方に位置決めを行うように構成された、1つの基板テーブル位置決め装置に実際に合体させることも可能であることを留意されたい。同様に、支持体調節装置MM及び第1の位置決め装置PMは、支持体MTを調節方向及び走査方向にそれぞれ移動させるのとは別のドライブであってよいが、支持体調節装置及び第1の位置決め装置を、1つの支持体位置決め装置に合体させることも可能である。
図2は、本発明によるリソグラフィ装置の別の実施例を示す概略側面図である。
ここでは、ILは放射ビームBを提供する照明装置であり、この照射ビームBは、マスキング・ブレード調節装置MBMによって調節されるマスキング・ブレードMBによって、支持体MT上のパターン形成装置M上に限定される。
支持体は、第1の位置決め装置PMによって走査方向Aに移動可能であり、支持体調節装置MMによってAに対しある角度をもって方向A’(図示せず)に調節することができる。
パターン形成装置M及び投影系PSを通過後、ビームBは基板テーブル、つまりウェハ・テーブルWT上の基板Wを照らす。ウェハ・テーブルは、第2の位置決め装置WPによって、方向Aと平行である方向Bに移動可能であり、基板テーブル調節装置MWによって、方向Bに平行である方向B’(図示せず)に調節することができる。両ケースにおいて、平行という用語は、図2に示すように、非平行な移動、つまり平行であるが逆方向の移動も包含することを留意されたい。
支持体調節装置MM及び基板テーブル調節装置MWを調節制御装置MCに連結させる。その調節制御装置MCを、マスキング・ブレード調節装置並びに第1及び/又は第2の位置決め装置(図示せず)にも連結させることができる。
リソグラフィ装置が走査照明を行う場合、支持体MTを、第1の位置決め装置PMによって方向Aに移動させる。同時に、基板テーブルWTを、第2の位置決め装置PWによって方向Bに移動させる。本明細書では、投影系PSの拡大(縮小)特性によって相対速度が決まる。例えば、投影系PSの拡大係数が0.5で、鏡像を生成する場合、基板テーブルの速度は、支持体MTの速度の半分で向きが反対の速度となる。
さらに、支持体調節装置MMは、方向Aに対しゼロ以外の角度で、支持体MTを調節方向A’に調節する。この調節方向A’は、図2には示していないが、ビームBの方向に垂直でもあり、したがって、全体的に水平面からずれた方向にある。同様に、基板テーブル調節装置MWは、基板テーブルWTを方向B’に調節する。やはり、調節の相対速度は、投影系の同じ特性によって決まるので、上述の例の場合、支持体MTの調節速度は、基板テーブルWTの2倍の速さとなり、向きが反対となる。
さらに、支持体MTは、実質的に固定されている放射ビームBに対し、走査方向Aばかりではなく調節方向にも移動するので、マスキング・ブレード調節装置MBMによってマスキング・ブレードMBも調節することが望ましい。これによって、パターン周囲の、例えばクロムからなる層である、いわゆるクロム・ボーダーの例えば外にある、パターン形成装置Mの不要な部分を、放射ビームBがより確実に照らさないようにする。しかし、例えば調節の振幅がクロム・ボーダーのマージンより小さい場合、マスキング・ブレードMBのこのような追加の調節は必要でないことを留意されたい。実際、以下では、マスキング・ブレードMB、及びその有り得る調節については、特定の態様が必要としない限り、さらなる論議から除外する。
支持体調節装置MM及び基板テーブル調節装置MWによる調節を結合するために、支持体調節装置MM及び基板テーブル調節装置MWの両方、並びに任意選択でマスキング・ブレード調節装置MBM(図示せず)を調節制御装置MCに連結してもよい。調節制御装置MCは、ある電子的計測及び制御システムなどの形で設けることができる。このシステムは、支持体MT及び基板テーブルWTの調節を計るように構成され、必要な場合、例えばフィードバック・ループによって調節を調整して制御を行う。調節制御装置のこの後者の実施例は、例えば支持体調節装置及び/又は基板テーブル調節装置が、実質的に均一な直線的移動又は正弦曲線的移動など所定の移動、或いは所定の不規則な移動又は擬似雑音性移動を付与するときに使用することができる。このような場合、調節が前もって設定されているので、支持体調節装置及び/又は基板テーブル調節装置のそれぞれによって別々に調節を計測し、制御/訂正することが可能である。これにより、支持体と基板とを効果的且つ機械的に切り離すことができ、これは例えば振動などが不要に伝送されることを防ぐために望ましい。一般に、位置、特に調節は、干渉計などを使用して制御及び計測することができる。こうすることによって、比較的長い距離にわたって高い精度が得られ、反応が早くなる。
或いは、調節制御装置MCは、投影像が一層鮮明になるようにするために、支持体MTの調節と基板テーブルWTの調節との比率が、投影系PSの拡大(縮小)特性に対応するように構成された機械的連結の形で設けることもできる。
例えば、支持体MT及び/又は基板テーブルWTの調節をするために、実際にランダム・ノイズ又は他の所定ではない成分を使用する場合、支持体調節装置MMと基板テーブル調節装置MWとの連結は、投影像の不要なぶれを防ぐために有利である。先に述べたように、この場合、連結は直接機械的に行ってもよいし、調節を合わせて制御することによって行うこともできる。
図3aは、従来技術の走査プロセスにおける、放射ビームBのパターン形成装置M全体にわたる(支持体)走査経路を示す概略図であり、図3bは、本発明による走査方法における(支持体)走査経路を示す概略図である。
以下では、パターン形成装置、つまり支持体の調節のみについて論ずることを留意されたい。ただし、基板(テーブル)の調節は同様の方法で行うことができる。実際、いくつかの方法及び装置では、調節されるのは、基板テーブルのみである。
一般に、図3aに示すように、従来技術の走査プロセスにおいて、放射ビームは、実質的にパターン形成装置Mに集中される。即ち、ビームの中心CBは、パターン形成装置Mの対称線に沿って移動する。この走査経路を点線で図に示す。また、走査方向も示す。実際、ビームを介して走査されるのは、たいていパターン形成装置Mであるが、このことは、次に論ずるそれらの相対移動とは関連がない。
一方、図3bに示すように、本発明によるプロセスにおいて、パターン形成装置Mは、ビームBを介して2回走査される。図に実線で示すように、1回目は、パターン形成装置Mは、ビームの中心CBがパターン形成装置の対称線である点線のわずかに左側にくる、第1の位置につく。走査方向は、対称線に平行である。1回目の走査後、パターン形成装置は、走査方向に垂直な方向の所定距離を越えたところにある、第2の位置に移動する。この第2の位置は、点線で囲んだ斜線領域で示す。この場合、ビームの中心CBは、対称線である点線のわずかに右側に位置している。第2の走査は、鎖線に沿って、つまり同じ走査方向ではあるが逆に行われる。
即ち、本方法における特定の実施例では、基板テーブルは第1の位置にあり、パターン形成されたビームの目標部分上への1回目の投影が行われ、続いて基板テーブルが第2の位置に移動し、パターン形成されたビームの目標部分上への2回目の投影が行われる。この方法においては走査型の投影が有利である。もっとも、ステップ型投影法においてもそれを使用することはできる。
この場合、全体の照明、つまりパターン形成されたビームの投影には、それぞれの位置間の平行移動によってつながれた、2回又は任意選択で3回以上の部分照明が含まれることを留意されたい。厳密に言うと、こうした平行移動中は、放射は投影されないが、「照明」、「パターン形成されたビームの投影中」という表現及びそれに相当する表現は、目標部分上の1回目の(部分)投影の開始から、その同じ目標部分上への最後の部分投影までの完全な動作を包含するものとする。勿論、目標部分は、必ず単一のIC又は他の個別の最終製品にかかわり、ウェハなどの表面全体にはかかわらない。
このように走査プロセスを分割することによって、いかなる不規則性又は不均質性もやはり2本の別々の「筋」に分割される。このことは、これらの2本の筋が、その程度がより低く、より目立たないことを意味する。というのは、当然2回のそれぞれの走査で受け取られた照射量もより少なく、必ずしもそうではないが、通常、全体の照射量の半分となるためである。このように、照明の不均質性が改善される。
図3bに示すように、第1及び第2の位置は、パターン形成装置Mの対称線である点線に関する鏡像である。しかし、ビーム内の強度がy方向の全体にわたり実質的に一定である限り、これは必要ない。その場合、正確な第1及び第2の位置は関係がない。ビームB内の強度が実質的に一定でない場合、第1及び第2の位置において受け取られた走査の全照射量が、y及び当然xの関数として実質的に一定な値となるように第1及び第2の位置を選択することができる。このように、単なる定数とは異なる強度分布をビームB内に設計することが可能であるので、強度を最大にすることができる。例えば、最高強度である中心プラトーを有し、このプラトーが、y方向の必要走査幅よりも狭い台形を取り上げてみよう。第1の走査位置と第2の走査位置との間の距離が、必要走査幅と中央プラトーの幅との差と少なくとも同じくらいの長さがある限り、第1及び第2の位置を、全体の強度(又は受け取られた照射量)が必要走査幅に対し一定となるように選択することができる。当業者であれば、他の可能性も考え付くであろう。
3回の走査、4回の走査など、走査を2回以上の部分走査に分けることによって、均質性をさらに改善することが可能である。しかし、走査速度をそれに応じて上げない限り、各目標部分に対する全走査時間も、全走査回数にほぼ等しい分だけ倍増することを留意されたい。さらに、上述の方法、つまり、走査方向に対しある角度をもった方向へ走査経路を調整することと、本発明による他の方法との組合せが可能であることも留意されたい。実際、以下に述べるこれらの他の方法も、互いに異なる位置で走査を行うこととなり、その場合、1回の走査中、必ずではないが、これらの異なる位置が継続的に使用されることが好ましい。
図4a〜図4dは、本発明による走査経路のいくつかの例を示す。すべてのケースにおいて、放射ビームBは、中心CBを有する。パターン形成装置はMで示し、ビームBを介してx方向に走査され、調節移動はy方向に行われる。各ケースにおいて、パターン形成装置Mに対するビームの中心CBの走査経路を点線で示す。
図4aは、数本のほぼ真っすぐな線を含む走査経路を示し、点線で示すように、全部合わさって、いわばジグザグな走査経路を形成している。走査中に調節の移動方向を逆にすることによって、パターン形成装置MがビームBを離れることなく、より高速度で調節移動を行うことが可能である。具体的には、強力であるが短寿命の不均質部分がある場合、このような走査経路によって、それに伴う比較的高速度の調節でこれらの不均質部分を効果的にぼかすことができる。
図4bは、その長さ全体が単純な直線、つまりほぼ真っすぐな線を含む走査経路を示す。この経路は、y方向の速度をx方向の走査速度に加えることによって得られる。走査速度にx方向の追加速度を任意に加えると、走査速度を変更することになるため、このy方向の速度を追加すること、つまり、走査速度に対し垂直に加えることで、当然走査方向に対する走査経路の角度に影響を及ぼすけれども、事足りることを留意されたい。y方向、つまりここでは調節方向の速度は限られているが、走査中、それ自体は不変である不均質部分をぼかすことの総合的効果は、全体的に図4aの場合と同じであり、図4bの実施例の場合は、動作の屈折点がないという点で有利である。したがって、調節による(反作用の)力又は振動の問題はより少ないかまったくない。
このような不均質部分が、本発明においては従来技術の走査経路よりも長い走査経路の長さ全体にわたって分散しているため、このような直線状の移動又は走査経路は、塵粒による欠陥もぼかしさえする。(実際の)走査経路と(全体の)走査方向との間の角度が大きいほど、この効果は大きい。
図4cは、走査経路がほぼ正弦曲線状である実施例の概略図である。この実施例によって、大きな反作用の力がかなりの程度まで避けられる、比較的高速の調節移動が行える。このような正弦曲線状の走査経路は、少なくとも1回の逆転点を有する走査経路の、より一般的なケースのほんの一例である。塵粒であろうと、他の小さな不均質性であろうと、側壁の反射光であろうと、走査方向内の放射全体にわたって延びる他のいかなる不均質性であろうと、このような走査経路によって、直線又は筋として基板上に投影されるはずのどんな不均質性も防止される。各ケースにおいて、このような不均質性は、一層目立たない曲線としてぼやかされる。特に、上述の正弦曲線状の経路ばかりでなくジグザグ経路など、このような走査経路は振動経路である。
図4dは、走査経路がランダム及び/又は擬似雑音性である実施例の概略図である。あるケースでは、ノイズのランダム性を最適に使用することが有利であり、その際、基板テーブル調節装置及び/又は支持体調節装置を、例えばランダム・ノイズ発生器に接続することができる。
図4a〜図4cのケースでは、放射ビームBに対するパターン形成装置Mの経路を予測することは容易である。同様に、走査移動に加えられた拡大(縮小)の調節移動による、基板テーブルの経路予測も容易である。こうしたケースの場合、支持体調節装置及び基板テーブル調節装置の両方(又は、これらが第1の位置決め装置、第2の位置決め装置にそれぞれと組み合わされて、調節装置と位置決め装置とのそれぞれの組合せが提供される場合)に、別々に個別の調整指示を与えることが可能である。即ち、一方の調節を他方の調節から独立して行うことができる。これにより、振動などを生じ得る2者を不要に連結させないようにすることができる。
図4dのケースでは、上述と同様の設計、つまり2つの調整装置を別々に制御する設計は、不規則な経路が所定の場合は可能である。しかし、経路が、実際の走査中にのみ実際設定される場合は、基板テーブル調整装置と支持体調整装置とを実際に連結することが必要であり、それによってそれぞれの調節移動が結合されて、基板上に一層鮮明な像が形成される。この結合は、物理的な連結でもよいし、両調整装置の調節移動に対する充分な制御によるものでもよい。
従来技術の走査方向の直線から外れる他のどんな走査経路も、均質性を改善することができることを留意されたい。基板の目標部分上で受け取った照射量内の不均質部分をぼかし、低減することは、調節すること、つまり、目標部分上にパターン形成されたビームの完全な投影の少なくとも一部を行う最中に、非走査方向への移動を与えることである。したがって、先に述べた走査経路のうちの1つ又は複数を組み合わせるか、従来技術の走査経路部分を走査方向に幾分含み、本発明による走査部分も幾分含む走査経路を提供することも可能である。
さらに、調節方向、特に走査方向に垂直な方向における走査経路の振幅、つまり幅は、目当ての均質性に応じて選択することができる。例えば、大きな振幅は、全体的に一層のぼかしを行い、より改善された均質性を提供する。例えば、幅1μmで、平均背景ノイズの10倍の「強さ」又は照射量変化を有する筋を、例えば10μmの照明中に、支持体走査経路内の振幅によって効果的にぼかすことができる。
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に記載するが、本明細書に記載するリソグラフィ装置は、集積光学系の製造、磁区メモリ用案内及び検出パターン、平面型表示装置、液晶表示装置(LCD)、薄膜磁気ヘッドなど、他への応用もできることを理解されたい。このような代替応用例との関連で、当業者であれば、本明細書で「ウェハ」又は「ダイ」という用語を使用する場合はいつも、より一般的な用語である「基板」又は「目標部分」とそれぞれ同義語と見なせることを理解するであろう。本明細書で言う基板は、例えばトラック・ツール(通常、基板にレジスト層を施し露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール及び/又は検査ツール内で露光の前又は後に処理することができる。該当する場合には、本明細書の開示は、このような基板処理ツール及び他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために2回以上処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、複数回処理された層を既に含む基板も意味することがある。
先の記載では、光学リソグラフィとの関連で本発明の実施例の使用について特に記載してきたが、本発明は、例えばインプリント・リソグラフィなど他への応用にも使用することができ、場合によって、光学リソグラフィに限定されないことが分かるであろう。インプリント・リソグラフィでは、パターン形成装置内のトポグラフィによって基板上に作られるパターンが画定される。パターン形成装置のトポグラフィを、基板に供給されたレジスト層内に押し付け、それから電磁放射、熱、圧力又はこれらの組合せを加えることによってレジストを硬化させる。パターン形成装置をレジストから移動させ、レジストが硬化するとそこにパターンが残る。
本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば、波長が365、355、248、193、157又は126nmのもの又はその近傍のもの)及び極紫外(EUV)放射(例えば、波長が5〜20nmの範囲)並びにイオン・ビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含むあらゆるタイプの電磁放射を包含する。
場合によって、「レンズ」という用語は、屈折光学的、反射光学的、磁気光学的、電磁光学的、及び静電光学的構成要素を含む様々なタイプの光学的構成要素のうちいずれか1つ又はそれらの組合せを意味する。
本発明の特定の実施例についてこれまで述べてきたが、本発明は、説明した以外の方法でも実施することができることが分かるであろう。先の説明は、限定するものではなく、例示的なものとする。したがって、当業者には、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した発明を変更することができることは、明らかである。
本発明の一実施例によるリソグラフィ装置を示す概略図。 本発明によるリソグラフィ装置の別の実施例を示す概略側面図。 従来技術の走査プロセスにおけるパターン形成装置全体にわたる放射ビームの走査経路を示す概略図。 本発明による走査方法における走査経路を示す概略図。 本発明による走査経路の一例を示す図。 本発明による走査経路の一例を示す図。 本発明による走査経路の一例を示す図。 本発明による走査経路の一例を示す図。

Claims (17)

  1. リソグラフィ装置であって、
    走査方向に直交する方向が最大寸法となる断面形状を有する放射ビームを調整するように構成された照明系と、
    前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン形成された放射ビームを形成することのできるパターン形成装置を支持するように構成された支持体と、
    基板を保持するように構成された基板テーブルと、
    前記パターン形成された放射ビームを、前記基板の目標部分上に投影するように構成された投影系とを含み、
    前記基板テーブルが、前記支持体に対し前記走査方向に移動可能であり、
    前記目標部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影中、前記目標部分において受け取られた照射量がトータルで実質的に均一となるように、前記基板テーブルが、前記走査方向に平行な軸線を有し且つ前記走査方向の成分及び該走査方向に直交する方向の成分を有する基板テーブル走査経路に沿って移動可能であり、
    前記基板テーブル走査経路の少なくとも一部分がほぼ正弦曲線状である、リソグラフィ装置。
  2. リソグラフィ装置であって、
    走査方向に直交する方向が最大寸法となる断面形状を有する放射ビームを調整するように構成された照明系と、
    前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン形成された放射ビームを形成することのできるパターン形成装置を支持するように構成された支持体と、
    基板を保持するように構成された基板テーブルと、
    前記パターン形成された放射ビームを、前記基板の目標部分上に投影するように構成された投影系とを含み、
    前記基板テーブルが、前記支持体に対し前記走査方向に移動可能であり、
    前記目標部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影中、前記目標部分において受け取られた照射量がトータルで実質的に均一となるように、前記基板テーブルが、前記走査方向に平行な軸線を有し且つ前記走査方向の成分及び該走査方向に直交する方向の成分を有する基板テーブル走査経路に沿って移動可能であり、
    前記基板テーブル走査経路の少なくとも一部分が不規則である、リソグラフィ装置。
  3. 前記不規則な経路が、擬似雑音性である、請求項に記載のリソグラフィ装置。
  4. 前記パターン形成されたビームを前記目標部分上に投影中、前記支持体が、前記走査方向に平行な軸線を有し且つ前記走査方向の成分及び該走査方向に直交する方向の成分を有する支持体走査経路に沿って移動可能な、請求項1〜3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  5. 前記基板テーブル走査経路及び前記支持体走査経路が同様の幾何形状を有する、請求項に記載のリソグラフィ装置。
  6. 前記パターン形成されたビームを前記目標部分上に投影中、前記基板テーブルを調節方向に移動させるように構成された基板テーブル調節装置をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
  7. 前記パターン形成されたビームを前記目標部分上に投影中、前記支持体を前記調節方向に移動させるように構成された支持体調節装置をさらに含む、請求項に記載のリソグラフィ装置。
  8. 前記基板テーブル調節装置及び前記支持体調節装置が、前記基板テーブル及び前記支持体をそれぞれ同期して移動させるように構成されている、請求項に記載のリソグラフィ装置。
  9. 前記基板テーブル調節装置が、所定の基板テーブルの移動を前記基板テーブルに与えるように構成され配置されている、請求項に記載のリソグラフィ装置。
  10. 前記支持体調節装置が、所定の支持体の移動を前記支持体に与えるように構成され配置されている、請求項に記載のリソグラフィ装置。
  11. 前記基板テーブル調節装置及び前記支持体調節装置に、別々に個別の調整指示が与えられる、請求項7、9、10のいずれか1項記載のリソグラフィ装置。
  12. 前記基板テーブル走査経路の少なくとも一部分がほぼ直線状である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
  13. 基板テーブル上の基板の目標部分上に、走査方向に直交する方向が最大寸法となる断面形状を有するようにパターン形成された放射ビームを投影する工程と、
    前記パターン形成されたビームを前記目標部分上に投影中、前記目標部分において受け取られた照射量がトータルで実質的に均一となるように、前記基板テーブルを、前記走査方向に平行な軸線を有し且つ前記走査方向成分及び該走査方向に直交する方向成分を有する経路に沿って移動させる工程とを含み
    前記基板テーブル走査経路の少なくとも一部分がほぼ正弦曲線状である、デバイス製造方法。
  14. 基板テーブル上の基板の目標部分上に、走査方向に直交する方向が最大寸法となる断面形状を有するようにパターン形成された放射ビームを投影する工程と、
    前記パターン形成されたビームを前記目標部分上に投影中、前記目標部分において受け取られた照射量がトータルで実質的に均一となるように、前記基板テーブルを、前記走査方向に平行な軸線を有し且つ前記走査方向成分及び該走査方向に直交する方向成分を有する経路に沿って移動させる工程とを含み
    前記基板テーブル走査経路の少なくとも一部分が不規則である、デバイス製造方法。
  15. 前記不規則な経路が、擬似雑音性である、請求項14に記載のデバイス製造方法。
  16. 前記投影の段階中、前記パターン形成されたビームにパターンを供給するパターン形成装置の支持体を、前記走査方向に平行な軸線を有し且つ前記走査方向の成分及び該走査方向に直交する方向の成分を有する経路に沿って移動させる工程をさらに含む請求項13〜15のいずれかに記載のデバイス製造方法。
  17. 前記支持体及び前記基板テーブルを、ほぼ同期して移動させる、請求項16に記載の方法。
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