JP4246473B2 - 炉内壁補修装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉等の竪型工業炉における炉内壁の損耗部を吹付け補修する際に使用する炉内壁補修装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉等の竪型大形工業炉においては、定期的あるいは臨時的に炉内壁の耐火物を補修する必要があり、この際、補修個所に耐火物を炉内部から吹付けて補修を行っている。
【0003】
従来の炉内壁補修装置としては、炉の上部からワイヤで吹付ノズルを炉内に吊り下げ、その吹付ノズルから耐火物を補修個所に吹付けるものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
前記特許文献1に記載の炉内壁補修装置は、図6に示すように、一端がRで固定され他端がウインチ61aにセットされ、炉1の上部の開口部5を通って炉1内の下方に延びるワイヤ60a、60bと、このワイヤ60a、60bに滑車ブロック58を介して吊り下げられ、炉1の中心部から水平方向に延びる直線状の吹付ノズル56と、炉1の上部のマンホール4を経由して吹付ノズル56に耐火物を供給するホース57とを備えており、ウインチ61aの操作によって吹付ノズル56の高さ位置を炉1の炉壁2に生じた補修個所3に合わせ、吹付ノズル56の先端から耐火物を補修個所3に吹付けて補修を行うようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特公平1−46796号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常、竪型工業炉において炉内壁を補修する際には、炉内には内装物が残っているので、内装物の炎や熱によって炉内壁補修装置が影響を受けないように、炉内壁補修装置を内装物から1〜2m以上離す必要がある。
【0007】
一方、内装物の残り方は炉内で一様ではなく、炉中心部が高く炉壁側が低い状態で残る場合が多い。
【0008】
そのため、前記特許文献1に記載された炉内壁補修装置を用いた場合、水平方向に延びる直線状の吹付ノズル56の高さ位置を炉中心部の内装物9の上方1〜2mまでしか下げることができず、炉内壁2側は内装物9が下がって露出しているにも関わらず、吹付ノズル56から耐火物を吹付けることができず、吹付け補修ができない炉壁範囲が生じてしまうという問題がある。
【0009】
仮に、内装物をさらに下げようとすると、その作業は炉全体に関わるので、手間と時間がかかるものとなる。しかも、内装物を下げたとしても、その残り方をコントロールすることは事実上不可能である。そのため、内装物の残り方によって吹付け補修がどれだけできるようになるかは偶然に頼るしかないという不確かな状況にある。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、竪型工業炉の内装物が炉中央部の方が炉内壁側に比べて高い状態で残存した場合でも、広範囲な炉内壁の吹付け補修を行うことができる炉内壁補修装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0012】
請求項1記載の発明は、懸架手段により炉内に昇降可能に懸架される炉壁補修材吹付機と、該炉壁補修材吹付機に炉壁補修材を供給する炉壁補修材供給手段とを備え、前記炉壁補修材吹付機が、前記懸架手段により懸架される吹付機本体と、前記吹付機本体から炉内壁方向に延出する、先端に噴射口を有する管状の吹付ノズルとを備えた炉内壁補修装置であって、前記吹付ノズルは、炉内壁に対して直角に炉壁補修材が吹き付けられるようにした、ノズル先端を構成する水平管部と、前記吹付機本体側の水平管部と、前記両水平管部を連絡する傾斜管部とから構成され、前記噴射口は、前記吹付機本体側の前記水平管部よりも下方に位置し、前記ノズル先端を構成する前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部と、前記吹付機本体側の前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部の曲率半径が、前記吹付ノズルの管内径の3倍以上であることに特徴を有するものである。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ノズル先端を構成する前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部と、前記吹付機本体側の前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部の外周に耐摩耗性を有する耐火材が配されていることに特徴を有するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る炉内壁補修装置の一実施形態を図1〜図3に示す。
【0017】
本発明の一実施形態に係る炉内壁補修装置は、図1に示すように、一端が炉1の上部に設けられた固定部14に固定され、他端が炉1の上部に設置されたウインチ15にセットされ、炉1の上部の開口部5を通って炉1内の下方に延びるワイヤ13と、上部に取り付けられた滑車10aを介してワイヤ13によって炉1の中心部に吊り下げられた吹付機本体10と、吹付機本体10の下部に取り付けられ管状の吹付ノズル11と、炉壁補修材供給装置16から炉1の上部のマンホール4を経由して吹付機本体10に炉壁補修材を供給するためのホース17とを備えている。
【0018】
そして、吹付機本体10からの炉壁補修材を炉内壁2の補修個所3に吹付ける吹付ノズル11は、ノズル先端の噴射口の位置が吹付機本体10側のノズル部分に比べて距離Xだけ下方に位置するとともに、炉内壁2に対して直角方向に吹付けられるように噴射方向が水平方向になっている。
【0019】
なお、吹付ノズル11の後端には、吹付ノズル11のバランスをとるためのカウンタウエイト12が取り付けられている。
【0020】
また、吹付ノズル11は、吹付機本体10に搭載されたモータ(図示せず)によって、吹付機本体10側を中心にして炉1の周方向に旋回できるようになっている。
【0021】
吹付ノズル11の詳細を図2に示す。
【0022】
図2において、吹付ノズル11は、吹付機本体10側の水平管部11aと、ノズル先端側の水平管部11eと、水平管部11aと水平管部11eを連絡する傾斜管部11cと、水平管部11aと傾斜管部11cとの間で形成される屈曲部11bと、水平管部11eと傾斜管部11cとの間で形成される屈曲部11dとからなっている。
【0023】
前記屈曲部11bの部分拡大図を図3に示す。(a)は縦断面、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【0024】
図3において、屈曲部11bの曲率半径Rは、屈曲部11bの管内径Dの3倍以上となっている。また、屈曲部11bの外周の上下面には、コンクリート等の耐摩耗性を有する耐火材21が配されている。
【0025】
なお、屈曲部11dも屈曲部11bと同様に、曲率半径Rが管内径Dの3倍以上となっており、外周の上下面にはコンクリート等の耐摩耗性を有する耐火材21が配されている。
【0026】
上記のように構成された炉内壁補修装置においては、ウインチ15によってワイヤ13を巻き上げたり巻き下したりすることにより、ワイヤ13で炉1内の中央部に懸架された吹付機本体10の高さ方向位置を調整し、炉壁補修材供給装置16からホース17及び吹付機本体10を経由して吹付ノズル11に炉壁補修材を供給し、供給された不定形耐火物を吹付ノズル11の先端から炉内壁2の補修個所3に吹付けて補修を行う。なお、炉壁補修材としては、通常、水と混合された不定形耐火物を用いる。
【0027】
そして、炉中心部が高く炉壁側が低い状態で内装物9が残り、吹付機本体10が炉中心部の内装物9の上方1〜2mまでしか下げることができない場合でも、吹付ノズル11の噴射口の位置は、吹付機本体10側のノズル部分に比べて下方に位置しているので、内装物9が下がって露出している炉内壁2に吹付ノズル11から炉壁補修材を吹付けることができる。
【0028】
すなわち、図1において、従来の水平方向に延びる直線状の吹付ノズルを有する炉内壁補修装置では、内装物9上方1〜2mの高さ位置(図中のMの位置)のり上方の範囲までしか吹付け補修ができないのに対して、この実施形態に係る炉内壁補修装置では、内装物9上方1〜2mの高さ位置からさらに距離X下方の高さ位置(図中のNの位置)まで吹付け補修が可能である。
【0029】
また、吹付ノズル11の噴射方向が水平方向で、炉内壁2に対して直角方向に吹付けるようになっているので、吹付けた炉壁補修材が炉内壁2に的確に付着する。逆に、吹付ノズル11の噴射方向が炉内壁2に対して直角方向でない場合には、吹付けた炉壁補修材が炉内壁2に付着する力が弱くなり、炉内壁2から跳ね返ってしまう耐火物(リバウンドロス)が増え、適切な補修ができなかったり、余分な耐火物を使用して不経済となる。
【0030】
さらに、吹付ノズル11の屈曲部11b、11dが滑らかな曲線を描くように、その曲率半径Rを管内径Dの3倍以上にしているので、炉壁補修材として供給された不定形耐火物が屈曲部11b、11dで詰まることが無くスムースに流動することができる。
【0031】
また、屈曲部11b、11dの外周の上下面には、耐摩耗性を有する耐火材21を配しているので、内部を通過する不定形耐火物によって屈曲部11b、11dが摩耗して管厚が薄くなった場合でも、外面に配された耐火材21がその代替をすることができる。なお、耐火材21の配置を屈曲部11b、11dの外周の上下面に限ったのは、上下面が摩耗し易いのと、吹付ノズル11全体の自重を必要以上に重くしないためである。
【0032】
このように、この実施形態に係る炉内壁補修装置においては、吹付ノズル11の先端の噴射口を吹付機本体10側のノズル部分より下方に位置するようにするともに、吹付ノズル11からの噴射方向を水平方向としているので、炉1内の内装物9が炉中央部の方が高い状態で残存した場合でも、広範囲な炉内壁の吹付け補修を良好に行うことができる。
【0033】
【実施例】
上記の本発明の一実施形態に係る炉内壁補修装置を用いて、高炉の内壁の吹付け補修を行った実施例を以下に示す。
【0034】
図4に示すような、噴射方向が水平方向になっている吹付ノズルを用いた場合を本発明例とし、比較のために、図5に示すような、噴射方向が斜め方向になっている吹付ノズルを用いた場合を比較例とした。
【0035】
本発明例及び比較例とも、吹付ノズルの水平方向の長さを6mとし、吹付機本体側のノズル部分と噴射口の高低差Xを変化させた。ちなみに、高炉下部の半径は9mであった。
【0036】
それぞれの吹付ノズルについて、吹付ノズルを補修個所に安定して位置させる操作性と、吹付けた炉壁補修材の補修個所への付着充填度合とを比較した結果を表1に示す。なお、上記の操作性については、吹付ノズル先端の上下方向の揺れ幅でみた。
【0037】
【表1】
Figure 0004246473
【0038】
表1に示すように、本発明例は比較例に比べて操作性及び付着充填度に優れている。そして、操作性及び付着充填度からみて、本発明例における吹付ノズルの高低差Xは2m以内にするのが好適である。
【0039】
本発明においては、吹付ノズルの先端の噴射口を吹付機本体側のノズル部分より下方に位置するようにするともに、吹付ノズルからの噴射方向を水平方向としているので、竪型工業炉の内装物が炉中央部の方が炉内壁側に比べて高い状態で残存した場合でも、広範囲な炉内壁の吹付け補修を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態における吹付ノズルの詳細図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】本発明の実施例において、本発明例として用いた吹付ノズルの概略図である。
【図5】本発明の実施例において、比較例として用いた吹付ノズルの概略図である。
【図6】特許文献1に開示された炉内壁補修装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 炉
2 炉内壁
3 補修個所
4 マンホール
5 開口部
9 内装物
10 吹付機本体
10a 滑車
11 吹付ノズル
11a 水平管部
11b 屈曲部
11c 傾斜管部
11d 屈曲部
11e 水平管部
12 カウンタウエイト
13 ワイヤ
14 固定部
15 ウインチ
16 炉壁補修材供給装置
17 ホース
21 耐摩耗性を有する耐火材
D 屈曲部の管内径
R 屈曲部の曲率半径
X 高低差

Claims (2)

  1. 懸架手段により炉内に昇降可能に懸架される炉壁補修材吹付機と、該炉壁補修材吹付機に炉壁補修材を供給する炉壁補修材供給手段とを備え、前記炉壁補修材吹付機が、前記懸架手段により懸架される吹付機本体と、前記吹付機本体から炉内壁方向に延出する、先端に噴射口を有する管状の吹付ノズルとを備えた炉内壁補修装置であって、前記吹付ノズルは、炉内壁に対して直角に炉壁補修材が吹き付けられるようにした、ノズル先端を構成する水平管部と、前記吹付機本体側の水平管部と、前記両水平管部を連絡する傾斜管部とから構成され、前記噴射口は、前記吹付機本体側の前記水平管部よりも下方に位置し、前記ノズル先端を構成する前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部と、前記吹付機本体側の前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部の曲率半径が、前記吹付ノズルの管内径の3倍以上であることを特徴とする炉内壁補修装置。
  2. 前記ノズル先端を構成する前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部と、前記吹付機本体側の前記水平管部と前記傾斜管部との間で形成される屈曲部の外周に耐摩耗性を有する耐火材が配されていることを特徴とする、請求項1に記載の炉内壁補修装置。
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