JPH047176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、真空脱ガス槽の環流管、浸漬管や吹
上管の内面を吹付補修する脱ガス装置の耐火物吹
付補修装置に関する。

従来の技術 RH式やDH式等の真空脱ガス装置には、環流
管、浸漬管や吹上管を配設して浴鋼中の脱酸処理
を行つているが、管内面に生じる耐火物の損傷を
定期的に補修しなければならない。たとえば、特
開昭61−117210号公報や特公昭50−39402号公報
のように溶融金属流通管の内側や外側に内枠体や
外枠体を設置し、溶融金属流通管と内枠体または
外枠体との間に耐火物補修材を流し込んで補修す
る装置が知られているが、装置が大掛かりとな
り、損傷部を簡易に補修できるものでなかつた。

補修面に吹付ノズルで耐火物吹付材を吹付けて
補修する方法は、上記のような枠体が必要でない
ので簡易で好ましい。

そのため、従来人手による内面吹付補修が行わ
れていたことがあつたが、赤熱した浸漬管等の補
修部に近づいて吹付材を吹付けなければならず、
地金の落下の恐れもあつて、安全上好ましくな
く、作業員の疲労度が大きいものであつた。

そこで、吹付補修装置として、種々の機械的な
装置が開発されている。

考案が解決しようとする問題点 しかし、機械的な装置は高価であつたり、また
複雑な構造であつたりして、故障すると復旧に時
間がかかるものであつた。また、多くの機械的な
装置では簡単な水量調整装置がなくて吹付補修面
の温度によつて簡単に水量の調整をすることがで
きず、吹付材のリバウンドロスが発生しやすいも
のであつた。

問題点を解決するための手段 本考案は上記のような点に鑑みたもので、上記
の問題を解決するために、脱ガス装置の環流管、
浸漬管や吹上管の補修部に耐火物の吹付材を吹付
ける吹付ノズルに所定比率の添加水量を混合でき
るように流量計を接続した水供給ホースを接続
し、上記吹付ノズルを補修部の開口径より２倍以
上に大きい旋回操作ハンドルを兼ねる補修用板材
にノズルパイプを介して垂直状に配設し、上記吹
付ノズルを垂設した補修用板材を走行可能な台車
のパンタグラフ状の簡易な昇降装置に昇降自在
に、かつノズルパイプに回転管継手を取着してノ
ズルパイプを軸まわりに回転自在に搭載したこと
を特徴とする脱ガス装置の耐火物吹付補修装置を
提供するにある。

作 用 本考案によれば、吹付ノズルから吹付ける吹付
材の、添加水量を流量計を介して調整できるた
め、補修面の温度に対応して正確に水量の調整が
でき、吹付材のリバウンドロスの防止がはかれる
とともに、補修面に吹付材の付着性がよく、耐久
化がはかれる。また、半自動的な機械であるにも
かかわらず、浸漬管等の補修部からやや離れて吹
付ノズルを旋回しながら昇降して補修部の吹付補
修が行え、また補修用板材によつて保護できて安
全に作業が遂行できる。さらに、装置が複雑な構
造でないため、安価でかつ簡単に操作でき、しか
も故障もなく、安定して吹付補修ができる。

実施例 以下、本考案を添付した図面の実施例にもとづ
いて説明する。

第１図〜第３図は、本考案の一実施例である。
吹付補修装置１は、第１図、第２図のように車輪
２で走行自在の台車３に上下部に台座４，５を装
着したパンタグラフ状の簡易な昇降装置６を搭載
し、上端部に吹付ノズル７を取着したノズルパイ
プ８を上側の台座４の中心部に垂設して、吹付ノ
ズル７を介して真空脱ガス槽の脱ガス装置９の浸
漬管等の補修部１０の内面を吹付補修できるよう
にしている。上記パンタグラフ状の昇降装置６
は、多段にＸ状に枢着したＸ字状部材１１の上下
端部を台座４，５の両側端部に平行状に配設した
レール部１２にそれぞれ配設して形成している。
Ｘ字状部材１１の平行状に対向する一端部側はレ
ール部１２にそれぞれ枢着し、平行状に対向する
他端部側は第３図のように可動軸１３でそれぞれ
連結して可動軸１３の端部にローラー１４をそれ
ぞれ取着するとともに、このローラー１４をレー
ル部１２にそつてそれぞれ転動してＸ字状部材１
１を伸縮できるようにしている。そして、可動軸
１３には、駆動部を断熱材１５で被覆した電動式
シリンダーの往復駆動装置１６のロツド１７の端
部を枢着し、ケーブル接続の可搬式の操作盤１８
を介して往復駆動装置１６を駆動して可動軸１３
を水平に移動し、昇降装置６を第１図、第２図の
ように伸縮して昇降するようにしている。

このように形成した昇降自在の昇降装置６の上
側の台座４の中央部には、第１図のようにスイベ
ルジヨイントのような回転管継手１９を取着して
上記したようにノズルパイプ８を旋回可能に垂直
状に接続しているとともに、補修部１０の口径の
２倍以上、好ましくは３〜４倍位の大きさの円板
状のハンドル兼用の補修用板材２０を回転管継手
１９に取着して吹付ノズル７を旋回駆動自在と
し、補修部１０の内面に均一状に吹付材を吹付け
られるようにしている。そして、吹付ノズル７を
旋回自在とした上記回転管継手１９には、吹付ガ
ン装置（図示せず）から圧縮エヤーで吹付材を送
給する材料送給ホース２１を接続し、また吹付ノ
ズル７部から十分に離れた材料送給ホース２１の
中間部に図のように水混合装置２２を接続して水
供給ホース２３を接続し、吹付材と水とを所定の
比率で混合して吹付補修できるようにしている。
水供給ホース２３には、オーバル型等の流量計２
４を接続し、補修部１０の温度に対応して添加水
量の調整を正確に行つて、吹付材のリバウンドロ
スができるだけ発生しないようにしている。２５
は水量調整用の水バルブ、２６は台車手押し用ハ
ンドル、２７は補修部保熱板である。

しかして、脱ガス装置９の浸漬管の補修部１０
を補修するにあつては、台車手押し用ハンドル２
６で台車３を補修部１０の所定の下部位置に搬送
し、操作盤１８を操作して往復駆動装置１６を駆
動すれば、簡単に昇降装置６を上昇して吹付ノズ
ル７を補修部１０に位置できる。そして、吹付ガ
ン装置を駆動し、補修部１０の温度に対応して流
量計２４で確認しながら水バルブ２５を開き、円
板状の補修用板材２０を旋回して吹付ノズル７を
旋回し、往復駆動装置１６で昇降しながら吹付補
修していく。このように吹付ノズルを主として手
動操作で操作して吹付けていくにもかかわらず、
円板状のハンドル兼用の補修用板材を補修部の開
口径の２倍以上の大きさとしているため、作業者
が赤熱した補修部から離れて安全に操作できる。
また、流量計によつて正確に水量調整できるた
め、補修部の温度に対応した最適の吹付状態とで
きて、吹付材の付着性がよくなり、吹付ロスが減
少できる。たとえば、MgO91％、SiO₂６％の吹
付材料を使用して補修した結果、従来の水量調整
のない場合に吹付ロスが重量比で30〜40％も発生
していたのに対し、実施例では10〜20％となつて
半減できたものである。また、吹付材の付着性が
よくなつて、浸漬管の使用回数も従来の30チヤー
ジから40チヤージに延長でき、耐火物コストもト
ン当たり従来より15％低減できた。また、装置は
上記したように簡素なものなので、自動化の装置
に比してほぼ10分の１位の価格で製作でき、設備
費の低減もはかれる。

なお、上記実施例では、吹付ノズル７を円板状
のハンドル兼用の補修用板材２０を介して旋回す
るようにしたが、第４図のように昇降装置６の台
座部４に摺動自在な可動軸１３にラツク３０を取
着し、補修用板材部２０にピニオン３１を取着し
て、ラツク３０とピニオン３１とをクラツチ３２
等を介してクラツチレバー３３で係脱可能に連結
するようにし、昇降装置６の昇降によつて吹付ノ
ズル７を適宜に旋回して省力化をはかるようにも
できる。

他の実施例 第５図は、本考案の他の実施例の吹付ノズル７
部の側断面図である。本実施例の吹付ノズル７
は、上記のように先端部を側方に折曲せず、ノズ
ルパイプ８の上部にノズルパイプ８の口径の１〜
５倍位の直径の円板状や円皿状の均一放射板２８
を、ノズルパイプ８の端部から口径の0.5〜５倍
位離なして適宜数の支持板２９で支持して形成し
ている。

本実施例では、吹付材をノズルパイプから吹き
出せば、吹付材を均一放射板によつて側周部へ放
射状に吹付けることができ、吹付ノズルを旋回す
ることなく補修面を均一状に、吹付ロスも少なく
塗着できる。したがつて、吹付補修装置をさらに
簡素化することができる。

以上の実施例では、昇降装置の往復駆動装置を
電動式シリンダーとしたが、エヤー駆動のシリン
ダーとすることもでき、また簡易なレシプロケー
ターを使用して行うこともできる。

また、以上では、浸漬管について説明したが、
環流管や吹上管等の補修についても同様に適用で
きるものである。

考案の効果 以上のように本考案にあつては、台車に搭載し
た簡単なパンタグラフ状の昇降装置に吹付ノズル
を取着して吹付ノズルを旋回しながら補修部に対
応して昇降して吹付補修することができるので、
きわめて安価に製造でき、故障もなく、手軽に確
実に吹付補修することができる。また、吹付材を
流量計を介して正確に水量調整できるので、吹付
材を補修部の温度に対応した最適な吹付状態とす
ることができ、補修面への付着性がよくなつて吹
付ロスを減少でき、補修面の耐久性を向上できて
耐火物のコストの低減がはかれるものである。

さらに、この吹付ノズルの下部は、補修部の開
口径よりも２倍以上に大きい補修用板材を設けて
いるので、作業者が赤熱した補修部から離れて安
全に吹付ノズルを操作できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の概略正断面図、第
２図は同上の昇降装置を下げたときの概略正断面
図、第３図は同上の昇降装置部の側断面図、第４
図は同上の他の実施例の断面図、第５図は同上の
吹付ノズル部の他の実施例の側断面図である。 １……吹付補修装置、３……台車、４，５……
台座、６……昇降装置、７……吹付ノズル、８…
…ノズルパイプ、９……脱ガス装置、１０……補
修部、１６……往復駆動装置、２０……補修用板
材、２１……材料供給ホース、２３……水供給ホ
ース、２４……流量計。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 脱ガス装置の還流管、浸漬管や吹上管の補修
   部に耐火物の吹付材を吹付ける吹付ノズルに所
   定比率の添加水量を混合できるように流量計を
   接続した水供給ホースを接続し、上記吹付ノズ
   ルを補修部の開口径より２倍以上に大きい旋回
   操作ハンドルを兼ねる補修用板材にノズルパイ
   プを介して垂直状に配設し、 上記吹付ノズルを垂設した補修用板材を走行
   可能な台車のパンタグラフ状の簡易な昇降装置
   に昇降自在に、かつノズルパイプに回転管継手
   を取着してノズルパイプを軸まわりに回転自在
   にして搭載したことを特徴とする脱ガス装置の
   耐火物吹付補修装置。 (2) 昇降装置の昇降運動を吹付ノズルの旋回運動
   に対応して駆動伝達して連動可能に、ラツクピ
   ニオンの運動伝達機構を介して昇降装置と吹付
   ノズルのノズルパイプとを係脱自在に連結した
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の脱ガス装
   置の耐火物吹付補修装置。