JP4245641B1 - 無給油多列チェーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内プレート110とブシュ130と中間プレート150と外プレート160と連結ピン170とで構成され、ブシュ130と連結ピン170との間に潤滑油を封入し、潤滑油を外プレート160側で封止する第1油溜り用ラビリンス構造L1が、外プレート160の内側面と該外プレート160に対向する内プレート110の外側面との間に形成され、潤滑油を中間プレート150側で封止する第2油溜り用ラビリンス構造L2が、中間プレート150の内側面と該中間プレート150に対向する内プレート110の外側面との間に形成されている無給油多列チェーン100。
【選択図】図1
Description
そして、このような従来の高強度化した多列チェーンとして、左右一対の離間した内プレートに前後一対のブシュを圧入嵌合して組み付けた内リンクユニットが左右一対の隣接した中間プレートを介してチェーン幅方向に並列配置されているとともに、前記内リンクユニットがチェーン幅方向の最も外側に配置された外プレートに圧入嵌合する連結ピンでチェーン長手方向に多数連結されている多列チェーンが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。そして、このような多列チェーンでは、ブシュと連結ピンとの間で生じる摺接摩耗を抑制してチェーン摩耗伸びを防止するために、Oリングなどのシール部材を外プレートと内プレートとの間および中間プレートと内プレートとの間に押圧状態で配設してブシュと連結ピンとの間に注入された潤滑油の外部漏出を防止することが一般に行われている。
また、本発明の無給油多列チェーンで言うところの「内プレートの内側面」とは、組み込まれた内リンクユニットの内側に面した側面を意味しており、「内プレートの外側面」とは、組み込まれた内リンクユニットの外側に面した側面を意味している。
また、本発明の無給油多列チェーンで言うところの「外プレートの内側面」とは、チェーンの内側に面した側面を意味しており、「外プレートの外側面」とは、チェーンの外側に面した側面を意味している。
また、本発明の無給油多列チェーンで言うところの「中間プレートの内側面」とは、最も近接する内リンクユニット側に面した側面を意味しており、「中間プレートの外側面」とは、隣接配置された中間プレート側に面した側面を意味している。
さらに、連結ピンを中間プレートのピン孔に対して圧入嵌合、所謂、シマリ嵌めして組み付けたことにより、チェーン強度を向上できるとともに2枚の中間プレートの間から潤滑油が外部に漏出することを防止できるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
また、本発明の無給油多列チェーンにおいてチェーン幅方向に並列配置する内リンクユニットの列数は、通常、2列乃至3列であるが、それ以上であっても差し支えない。
さらに、本発明の無給油多列チェーンは、ブシュチェーン、ローラチェーンのいずれのものがその対象であっても差し支えないが、ブシュチェーンの場合には、比較的動力伝達速度が遅くチェーンに負荷される荷重が小さい動力伝達時に最適であり、ローラチェーンの場合には、スプロケットとの噛み合いが円滑となるため、チェーンの摩耗を防止することができる。
ここで、図1は、本発明の第1実施例である無給油多列チェーンの全体概要図であり、図2は、図1に示す無給油多列チェーンの連結状態を示す斜視図であり、図3は、図1に示す無給油多列チェーンの一部断面図である。
そして、ブシュ130と連結ピン170との間には、潤滑油が封入されている。
まず、図2および図3に示すように、外プレート160には、内側面を凹陥させて、すなわち、凹ませて陥らせた外側面に膨出させたオフセット状態の第1ブシュ軸支用環状凹部161が形成されている。
そして、内プレート110の外側面から一部突出したブシュ突出端部131を第1ブシュ軸支用環状凹部161でそれぞれ囲繞支持することで、外プレート160の内側面と該外プレート160に対向する内プレート110の外側面との間に第1油溜り用ラビリンス構造L1を形成している。
そして、内プレート110の外側面から一部突出したブシュ突出端部131を第2ブシュ軸支用環状凹部151でそれぞれ囲繞支持することで、中間プレート150の内側面と該中間プレート150に対向する内プレート110の外側面との間に第2油溜り用ラビリンス構造L2を形成している。
また、本発明の無給油多列チェーン100で言うところの「内プレート110の内側面」とは、組み込まれた内リンクユニット140の内側に面した側面を意味しており、「内プレート110の外側面」とは、組み込まれた内リンクユニット140の外側に面した側面を意味している。
また、本発明の無給油多列チェーン100で言うところの「外プレート160の内側面」とは、チェーンの内側に面した側面を意味しており、「外プレート160の外側面」とは、チェーンの外側に面した側面を意味している。
また、本発明の無給油多列チェーン100で言うところの「中間プレート150の内側面」とは、最も近接する内リンクユニット140側に面した側面を意味しており、「中間プレート150の外側面」とは、隣接配置された中間プレート150側に面した側面を意味している。
したがって、これら第1油溜り用ラビリンス構造L1および第2油溜り用ラビリンス構造L2が、複雑に屈曲した形状によって油溜り機能を発揮して、チェーン走行時の周回走行によって生じる遠心力などに起因したブシュ130の内周面と連結ピン170の外周面との間に封入された潤滑油の外部漏出を抑制するとともに外部塵埃の侵入を抑制するので、ブシュ130の内周面と連結ピン170の外周面の摩耗損傷を低減してチェーン摩耗伸びを長期に亘って防止できる。
したがって、第1ブシュ軸支用環状凹部161および第2ブシュ軸支用環状凹部151の断面係数とそれ以外のプレート部分の断面係数とが同程度となるので、第1ブシュ軸支用環状凹部161および第2ブシュ軸支用環状凹部151を形成することによる外プレート160および中間プレート150の強度低下を抑制できるとともに、外プレート160および中間プレート150のプレス打ち抜き加工を行う際に、外プレート160および中間プレート150の内側面を凹陥させて外側面へ膨出させる形状の金型を用いるだけで、外プレート160および中間プレート150の打ち抜き加工と第1ブシュ軸支用環状凹部161および第2ブシュ軸支用環状凹部151の形成加工とを同時に行うことができるので、外プレート160および中間プレート150の打ち抜き加工とは別途に第1ブシュ軸支用環状凹部161および第2ブシュ軸支用環状凹部151を形成する研削やミーリング等の機械加工を外プレート160および中間プレート150に施す必要がなく、チェーンの製造負担を軽減できる。
まず、本発明の第2実施例である無給油多列チェーン200は、大きな動力を伝達するために用いられるチェーンであって、図4および図5に示すように、左右一対の内プレート210に前後一対のローラ220を回転自在に外嵌した前後一対のブシュ230を圧入嵌合してなる2組の内リンクユニット240がチェーン幅方向に隣接配置した2枚の中間プレート250を介して並列配置されているとともに、このような内リンクユニット240がチェーン幅方向の最も外側に配置された外プレート260の前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピン270によりチェーン長手方向に多数連結されている。
そして、ブシュ230と連結ピン270との間には、潤滑油が封入されている。
まず、図4および図5に示すように、外プレート260には、外側面を凹陥させて、すなわち、凹ませて陥らせた内側面に膨出させたオフセット状態の第1ブシュ軸支用環状膨出部261が形成されている。
そして、内プレート210の外側面から一部突出したブシュ突出端部231を第1ブシュ軸支用環状膨出部261でそれぞれ囲繞支持することで、外プレート260の内側面と該外プレート260に対向する内プレート210の外側面との間に第1油溜り用ラビリンス構造L1を形成している。
そして、内プレート210の外側面から一部突出したブシュ突出端部231を第2ブシュ軸支用環状膨出部251でそれぞれ囲繞支持することで、中間プレート250の内側面と該中間プレート250に対向する内プレート210の外側面との間に第2油溜り用ラビリンス構造L2を形成している。
また、本発明の無給油多列チェーン200で言うところの「内プレート210の内側面」とは、組み込まれた内リンクユニット240の内側に面した側面を意味しており、「内プレート210の外側面」とは、組み込まれた内リンクユニット240の外側に面した側面を意味している。
また、本発明の無給油多列チェーン200で言うところの「外プレート260の内側面」とは、チェーンの内側に面した側面を意味しており、「外プレート260の外側面」とは、チェーンの外側に面した側面を意味している。
また、本発明の無給油多列チェーン200で言うところの「中間プレート250の内側面」とは、最も近接する内リンクユニット240側に面した側面を意味しており、「中間プレート250の外側面」とは、隣接配置された中間プレート250側に面した側面を意味している。
したがって、これら第1油溜り用ラビリンス構造L1および第2油溜り用ラビリンス構造L2が、複雑に屈曲した形状によって油溜り機能を発揮して、チェーン走行時の周回走行によって生じる遠心力などに起因したブシュ230の内周面と連結ピン270の外周面との間に封入された潤滑油の外部漏出を抑制するとともに外部塵埃の侵入を抑制するので、ブシュ230の内周面と連結ピン270の外周面の摩耗損傷を低減してチェーン摩耗伸びを長期に亘って防止できる。
したがって、第1ブシュ軸支用環状膨出部261および第2ブシュ軸支用環状膨出部251の断面係数とそれ以外のプレート部分の断面係数とが同程度となるので、第1ブシュ軸支用環状膨出部261および第2ブシュ軸支用環状膨出部251を形成することによる外プレート260および中間プレート250の強度低下を抑制できるとともに、外プレート260および中間プレート250のプレス打ち抜き加工を行う際に、外プレート260および中間プレート250の外側面を凹陥させて内側面へ膨出させる形状の金型を用いるだけで、外プレート260および中間プレート250の打ち抜き加工と第1ブシュ軸支用環状膨出部261および第2ブシュ軸支用環状膨出部251の形成加工とを同時に行うことができるので、外プレート260および中間プレート250の打ち抜き加工とは別途に第1ブシュ軸支用環状膨出部261および第2ブシュ軸支用環状膨出部251を形成する研削やミーリング等の機械加工を外プレート260および中間プレート250に施す必要がなく、チェーンの製造負担を軽減できる。
110、210 ・・・ 内プレート
120、220 ・・・ ローラ
130、230 ・・・ ブシュ
131、231 ・・・ ブシュ突出端部
140、240 ・・・ 内リンクユニット
150、250 ・・・ 中間プレート
151 ・・・ 第2ブシュ軸支用環状凹部
251 ・・・ 第2ブシュ軸支用環状膨出部
160、260 ・・・ 外プレート
161 ・・・ 第1ブシュ軸支用環状凹部
261 ・・・ 第1ブシュ軸支用環状膨出部
170、270 ・・・ 連結ピン
L1 ・・・ 第1油溜り用ラビリンス構造
L2 ・・・ 第2油溜り用ラビリンス構造
Claims (2)
- 左右一対の内プレートに前後一対のブシュを圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向に2枚の中間プレートを介して並列配置されているとともに、前記内リンクユニットが前記中間プレートのピン孔とチェーン幅方向の最も外側に配置された外プレートの前後一対のピン孔とにそれぞれ圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、前記ブシュの内周面と連結ピンの外周面との間に潤滑油を封入してなる無給油多列チェーンであって、
前記潤滑油を外プレートの内側面と該外プレートに対向する内プレートの外側面との間で漏出抑制する第1油溜り用ラビリンス構造が、前記内プレートの外側面から一部突出したブシュ突出端部を前記外プレートの内側面を凹陥させて外側面に膨出させたオフセット状態の第1ブシュ軸支用環状凹部で囲繞支持することで形成されているとともに、
前記潤滑油を中間プレートの内側面と該中間プレートに対向する内プレートの外側面との間で漏出抑制する第2油溜り用ラビリンス構造が、前記内プレートの外側面から一部突出したブシュ突出端部を前記中間プレートの内側面を凹陥させて外側面へ膨出させたオフセット状態の第2ブシュ軸支用環状凹部で囲繞支持することで形成されていることを特徴とする無給油多列チェーン。 - 左右一対の内プレートに前後一対のブシュを圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向に2枚の中間プレートを介して並列配置されているとともに、前記内リンクユニットが前記中間プレートのピン孔とチェーン幅方向の最も外側に配置された外プレートの前後一対のピン孔とにそれぞれ圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、前記ブシュの内周面と連結ピンの外周面との間に潤滑油を封入してなる無給油多列チェーンであって、
前記潤滑油を外プレートの内側面と該外プレートに対向する内プレートの外側面との間で漏出抑制する第1油溜り用ラビリンス構造が、前記内プレートの外側面から一部突出したブシュ突出端部を前記外プレートの外側面を凹陥させて内側面に膨出させたオフセット状態の第1ブシュ軸支用環状膨出部で囲繞支持することで形成されているとともに、
前記潤滑油を中間プレートの内側面と該中間プレートに対向する内プレートの外側面との間で漏出抑制する第2油溜り用ラビリンス構造が、前記内プレートの外側面から一部突出したブシュ突出端部を前記中間プレートの外側面を凹陥させて内側面へ膨出させたオフセット状態の第2ブシュ軸支用環状膨出部で囲繞支持することで形成されていることを特徴とする無給油多列チェーン。
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