JP4244921B2 - 遊星ギヤ機構減速式スタータ - Google Patents
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Description
前記インターナルギヤは、前記外筒体の係止用突部とともに前記センターケースの回り止め溝部に係止される突起を有して径方向内側に延設されるワッシャにより軸方向前方側への変位を規制されている。このようにすれば、ワッシャすなわち抜け止め部材の軸方向前方への移動を規制する段差面を形成する必要がないため、外筒体の構造を簡素化することができる。
この実施例のスタータは、後述する筒状体を除いて基本的に周知となっている通常の遊星ギヤ機構減速式スタータと同一構造をもつため、スタータ全体構造については、図面を用いずに簡単に説明し、要部のみを図1に示す要部軸方向断面図を用いて説明するものとする。
これらの構成要素を収容するスタータハウジングは、後端が開口された略椀状部材であるフロントフレーム11と、センターケース12、鍔付き円筒形状の隔壁板13、両端が開口された円筒形状のヨーク14、前端が開口された略椀状部材であるエンドフレームにより構成され、前記した順序で軸方向前側から後ろ側へ順に配置されている。センターケース12は、上側にマグネットスイッチを収容するための後端開口のスイッチ収容室を有し、下側に遊星ギヤ機構6と一方向クラッチ7とを収容する後端開口のトルク伝達機構収容室Sを有している。ヨーク14とエンドフレームとは内部にモータ2を収容するためのモータ室Mを有している。フロントフレーム11は内部にシフトレバー室Cを有している。
モータ2はモータ回転軸20を有する直流モータである。モータ回転軸20は隔壁板13とエンドフレームとに軸受けを介して回転自在に支持されている。ヨーク14には界磁コイル及びアーマチャが、エンドフレームには整流子及びブラシ等が収容されている。ただし、ヨーク14は、モータ2の静止継鉄部材としてモータ2の磁気回路の一部を構成している。アーマチャ及び整流子はモータ回転軸20に固定され、モータ回転軸20の先端部は隔壁板13を貫通してセンターケース12のトルク伝達機構収容室Sに突出している。モータ2自体は周知であり、これ以上の説明は省略する。
センターケース12の下部には隔壁板13に隣接して遊星ギヤ機構6が収容されている。遊星ギヤ機構6は、モータ回転軸20の先端部に形成されたサンギヤ61と、リング状のインターナルギヤ62と、両ギヤ61、62に噛合する複数の遊星ギヤ63と、遊星ギヤ63を軸受けを介して回転自在に支持する遊星ギヤピン64と、遊星ギヤピン64が固定されるキャリヤ65と、センターケース12に嵌入されてインターナルギヤ62に嵌着された外筒体66とにより構成されており、モータ回転軸20の回転速度を遊星ギヤ63の公転速度まで減速する。遊星ギヤピン64は、キャリヤ65の穴に圧入されて固定されている。この実施例ではキャリヤ65は後述する一方向クラッチ7のクラッチアウタ71と一体化されている。外筒体66については、この実施例の特徴をなすため後で詳細に説明するものとする。
一方向クラッチ7は、遊星ギヤ機構6のキャリヤ65と一体化されたクラッチアウタ71と、クラッチアウタ71の径方向内側に配置されていわゆるクラッチインナを構成する略円筒形状のチューブ72と、クラッチアウタ71の内周面に形成されたくさび状のカム室に不図示のローラスプリングとともに収容されたクラッチローラ73等より構成されている。クラッチローラ73は、クラッチアウタ71の内周面から伝達されたトルクをチューブ72の外周面に伝達する。
チューブ72には出力シャフト3の後端部が軸方向進退可能に嵌入されており、チューブ72の軸受部72aは、出力シャフト3を軸方向進退可能かつこの実施例では相対回転自在に支持している。チューブ72の内周面には、軸受部72aからチューブ72の後端まで雌ヘリカルスプライン72cが形成されている。ただし、軸受部72aの前端部では雌ヘリカルスプライン72cは形成されず、これにより、雌ヘリカルスプライン72cの前端部は、出力シャフト3がエンジン側(図1の左側)へ移動した時に出力シャフト3の移動を規制するための前端ストッパとして機能するようになっている。この前端ストッパ機能は別の場所に設けてもよいことはもちろんである。出力シャフト3の前端部は、フロントフレーム11に軸受を介して回転自在、且つ摺動自在に支持されている。出力シャフト3の後端部の外周面には、チューブ72の雌ヘリカルスプライン72cに嵌合する雄ヘリカルスプライン3aが形成されている。
ピニオンギヤは、フロントフレーム11から前方へ突き出た出力シャフト3の前端部に軸方向相対移動可能、相対回転不能にスプライン嵌合しており、ピニオンギヤと出力シャフト3との間に配設されたピニオンスプリングに付勢されて出力シャフト3上を前方へ付勢されている。出力シャフト3の先端部には、ピニオンギヤの前進を規制するカラーが取り付けられている。
センターケース12はマグネットスイッチとその下方の一方向クラッチ7及び遊星ギヤ機構6とを区画分離している。マグネットスイッチのプランジャの前端部はフロントフレーム11の内部に突出している。マグネットスイッチは、エンジン始動スイッチの閉動によりバッテリから通電される励磁コイルと、この励磁コイルの発生する磁力により吸引されるプランジャと、励磁コイルへの通電が停止されて磁力が消滅した時にプランジャを押し戻すためのリターンスプリング等より構成されているが、周知である通常のものと同じであるため説明を省略する。
シフトレバーは、センターケース12に固定されたレバーホルダにより揺動自在に支持されており、シフトレバーの上端部はマグネットスイッチのプランジャの前端部にフックで連結され、シフトレバーの下端部は出力シャフト3に設けられた一組のワッシャの間に係合されて、プランジャの動きを出力シャフト3に伝達することにより、出力シャフト3を軸方向に進退させる。
エンジン始動スイッチの閉操作によりマグネットスイッチの励磁コイルに通電されると、プランジャが後方へ吸引され、プランジャはシフトレバーを介して出力シャフト3を前方へ押し出す。
この実施例の特徴をなす外筒体66について、図1及び図2と図3を参照して以下に説明する。図2はこの外筒体66の拡大斜視図である。
上記実施例では、回り止め突起664を6本としたが、回り止め突起664は遊星ギヤ数以上、等ピッチで設けることが好ましい。これにより、外筒体66の径方向への湾曲とそれによる問題を防止することができる。
嵌合部の詳細を図4を参照して説明する。
インターナルギヤ62の外周面と外筒体66の主筒部661の内周面との間の摩擦力を超えるトルクがインターナルギヤ62に伝達されると、インターナルギヤ62は相対回転する。これにより、インターナルギヤ62に過大トルクが入力してもそれを良好に吸収することができる。
他の実施例を図5に示す。
M モータ室
S トルク伝達機構収容室
2 モータ
3 出力シャフト
3a 雄ヘリカルスプライン
6 前端面
6 遊星ギヤ機構
7 一方向クラッチ
11 フロントフレーム
12 センターケース
13 隔壁板
13a スラストワッシャ
14 ヨーク
15 エンドフレーム
20 モータ回転軸
61 サンギヤ
62 インターナルギヤ
63 遊星ギヤ
64 遊星ギヤピン
65 キャリヤ
66 外筒体
71 クラッチアウタ
72 チューブ
72a 軸受部
72c 雌ヘリカルスプライン
73 クラッチローラ
74 ボールベアリング
75 ワッシャ
76 カバー
121 センターケース溝部
122 センターケース突出部
6200 接触面部
6201 嵌合案内面部
621 歯底部
661 主筒部
6610 接触面部
6611 嵌合案内面部
662 内鍔部
663 延設筒部
664 突起
665 溝部
666 サークリップ
22 他の実施例のセンターケース
221 他の実施例のセンターケース溝部
67 他の実施例の外筒体
673 他の実施例の外筒体 延設筒部
674 他の実施例の突起
8 他の実施例のワッシャ
8a 他の実施例のワッシャの凹部
Claims (6)
- モータ回転軸を有するモータと、このモータの軸方向前方に配置されるピニオン軸駆動用の一方向クラッチと、前記モータ回転軸の前端部外周側、かつ前記一方向クラッチの後方に配置されて前記モータ回転軸から前記一方向クラッチにトルクを伝達する遊星ギヤ機構と、前記モータ回転軸、及びピニオン軸を回転自在に支承するとともに、前記一方向クラッチ及び遊星ギヤ機構を囲覆するセンターケースとを備え、
前記遊星ギヤ機構は、前記モータ回転軸に設けられたサンギヤと、このサンギヤと噛合う遊星ギヤと、この遊星ギヤに噛合うインターナルギヤと、内周面が前記インターナルギヤの外周面に所定の衝撃トルク以下にて摩擦結合するとともに前記センターケースの回り止め溝部に嵌合する係止用突部を有する円筒状の外筒体とを有する遊星ギヤ機構減速式スタータであって、
前記係止用突部は、
前記外筒体のうち、前記インターナルギヤの外周面に対面する略円筒状の主筒部、又は、前記主筒部から軸方向へ延設された延設筒部の軸方向前端から周方向所定ピッチで軸方向へ延設されて前記一方向クラッチの径方向外側に達するとともに、前記センターケースの回り止め溝部に係止され、
前記外筒体は、
前記外筒体の後端から前記インターナルギヤの後端面に接しつつ、径方向内側に延設される内鍔部を有し、
前記インターナルギヤは、
前記延設筒部の内周面に係止される抜け止め部材により、軸方向前方側への変位を規制されていることを特徴とする遊星ギヤ機構減速式スタータ。 - 請求項1記載の遊星ギヤ機構減速式スタータにおいて、
前記係止用突部は、
周方向所定ピッチで前記遊星ギヤの個数以上形成されることを特徴とする遊星ギヤ機構減速式スタータ。 - 請求項1又は2記載の遊星ギヤ機構減速式スタータにおいて、
前記外筒体の内鍔部は、
前記遊星ギヤの径方向外端よりも径大な内径を有し、
前記遊星ギヤの後端は、
前記インターナルギヤの後端より後方かつ前記外筒体の内鍔部の後端面と軸方向同位置あるいはそれよりも前方に位置することを特徴とする遊星ギヤ機構減速式スタータ。 - モータ回転軸を有するモータと、このモータの軸方向前方に配置されるピニオン軸駆動用の一方向クラッチと、前記モータ回転軸の前端部外周側、かつ前記一方向クラッチの後方に配置されて前記モータ回転軸から前記一方向クラッチにトルクを伝達する遊星ギヤ機構と、前記モータ回転軸、及びピニオン軸を回転自在に支承するとともに、前記一方向クラッチ及び遊星ギヤ機構を囲覆するセンターケースとを備え、
前記遊星ギヤ機構は、前記モータ回転軸に設けられたサンギヤと、このサンギヤと噛合う遊星ギヤと、この遊星ギヤに噛合うインターナルギヤと、内周面が前記インターナルギヤの外周面に所定の衝撃トルク以下にて摩擦結合するとともに前記センターケースの回り止め溝部に嵌合する係止用突部を有する円筒状の外筒体とを有する遊星ギヤ機構減速式スタータであって、
前記係止用突部は、
前記外筒体のうち、前記インターナルギヤの外周面に対面する略円筒状の主筒部、又は、前記主筒部から軸方向へ延設された延設筒部の軸方向前端から周方向所定ピッチで軸方向へ延設されて前記一方向クラッチの径方向外側に達するとともに、前記センターケースの回り止め溝部に係止され、
前記外筒体の内周面又はインターナルギヤの外周面は、
軸方向中央部に位置して互いに摩擦結合する接触面部と、
前記接触面部の端から前記内周面又は外周面の軸方向端に向けてテーパ状に面取りしてなる嵌合案内面部と、
を有することを特徴とする遊星ギヤ機構減速式スタータ。 - 請求項4記載の遊星ギヤ機構減速式スタータにおいて、
前記接触面部、及び嵌合案内面部は、
固体潤滑膜により被覆されていることを特徴とする遊星ギヤ機構減速式スタータ。 - 請求項4又は5記載の遊星ギヤ機構減速式スタータの製造方法において、
異なる滑りトルクを与えるために前記嵌合案内部の軸方向幅を変更することを特徴とする遊星ギヤ機構減速式スタータの製造方法。
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