JP4244480B2 - セグメント位置決め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド掘進機に装備されるセグメント位置決め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4乃至図7は従来のセグメント位置決め装置の一例であり、このセグメント位置決め装置を装備したシールド掘進機は、前端に地盤掘削用のカッタフェース1を有する円筒状の掘進機本体4と、該掘進機本体4の後端に連なる後胴5と、シリンダが掘進機前方側に位置し且つラムが掘進機後方側に位置するように掘進機本体4内の後端寄り部分に周方向に等間隔に配置した複数のシールドジャッキ13と、カッタフェース1によって掘削される土砂を掘進機後方側へ送出するスクリューコンベヤ25とを備えている。
【0003】
カッタフェース1は、掘進機本体4の前端部分とカッタフェース1の背面部分との間に介在するスラスト軸受6、掘進機本体4の前部内周面とカッタフェース1の後部外周面との間に介在する外軸受7、掘進機本体4内の前部に設置された隔壁3の外周フランジとカッタフェース1の後部内周面との間に介在する内軸受8、並びに隔壁3に装着され且つカッタフェース1から後方側へ同軸に突出した回転中心軸2を枢支する軸受9により、回動可能に支持されている。
【0004】
また、カッタフェース1の後部内縁には、リングギヤ10が一体的に形成されている。
【0005】
リングギヤ10には、隔壁3に取り付けた液圧モータ12によって駆動されるピニオン11が噛合しており、液圧モータ12を作動させると、カッタフェース1が掘進機周方向へ回転する。
【0006】
シールドジャッキ13のハウジングは、掘進機本体4に枢支されており、ラムが後胴5内面に沿って組み立てたセグメントSに当接した状態でシリンダへ油圧を付与すると、掘進機本体4及び後胴5に対して推力が作用する。
【0007】
スクリューコンベヤ25は、前端がカッタフェース1内に位置し且つ後端が後胴5の後方側に位置するように隔壁3を貫通している。
【0008】
スクリューコンベヤ25の後端には、フィーダ駆動用のモータ26が装着されており、該モータ26を作動させると、カッタフェース1内の土砂が後胴5から掘進機後方側へ延びる排土管18へ排出される。
【0009】
更に、後胴5内には、複数のセグメントSを環状に組み立てるセグメント位置決め装置が配置されている。
【0010】
セグメント位置決め装置は、後胴5に内接固着した環状の支持板31と、該支持板31の掘進機後方側の端面に枢支した複数のローラ16と、該ローラ16によって支持される回転体17と、該回転体17の掘進機後方側に配置した門型部材19と、該門型部材19とともに一体的に変位する保持板30と、セグメントSを把持可能な把持機構22を有する揺動板38と、該揺動板38と保持板30との間に介在するパラレルマニピュレータ32とを備えている。
【0011】
回転体17は、支持板31の掘進機後方側に同軸に位置する環状部17aと、該環状部17aの外縁から掘進機前方側に突出し且つローラ16に転動可能に当接するフランジ部17bと、該フランジ部17bの内面に一体的に形成したリングギヤ17cとを有しており、回転体17中心部分の貫通口17dには、先に述べたスクリューコンベヤ25が挿通されている。
【0012】
リングギヤ17cには、支持板31に取り付けた液圧モータ14によって駆動されるピニオン15が噛合しており、当該液圧モータ14を作動させると、回転体17が掘進機周方向へ回転する。
【0013】
門型部材19は、掘進機径方向に互いに平行に延びる一対の移動ジャッキ27と、掘進機前後方向に互いに平行に延びる一対の移動ジャッキ28とにより、回転体17に対して掘進機径方向及び掘進機前後方向の双方に変位できるようになっている。
【0014】
保持板30は、門型部材19から掘進機後方側へ突出している。
【0015】
揺動板38は、把持機構22の反対面が、保持板30に対峙するように配置されている。
【0016】
パラレルマニピュレータ32は、それぞれが略掘進機径方向に延びる6基の油圧サーボシリンダ33a〜33fによって構成されている。
【0017】
シリンダ33a,33bのハウジングは、揺動板38の第1の箇所に設けた継手36aに枢支され、シリンダ33c,33dのハウジングは、揺動板38の第2の箇所に設けた継手36bに枢支され、シリンダ33e,33fのハウジングは、揺動板38の第3の箇所に設けた継手36cに枢支されている。
【0018】
上記の継手36aに対する継手36b,36cの間隔、並びに継手36bに対する継手36cの間隔は、等しく設定されている。
【0019】
また、シリンダ33b,33cのロッドは、保持板30の第1の箇所に設けた継手37aに枢支され、シリンダ33d,33eのロッドは保持板30の第2の箇所に設けた継手37bに枢支され、シリンダ33f,33aのロッドは、保持板30の第3の箇所に設けた継手37cに枢支されている。
【0020】
上記の継手37aに対する継手37b,37cの間隔、並びに継手37bに対する継手37cの間隔は、等しく設定されている。
【0021】
これにより、それぞれのシリンダ33a〜33fのピストンロッドの突出量を等しくした状態では、保持板30に対して揺動板38が正対する。
【0022】
また、シリンダ33a〜33fのピストンの突出量を適宜調整すると、前後X、左右Y、上下Z、ローリングα、ピッチングβ、及びヨーイングγの各方向へ揺動板38が変位する。
【0023】
なお、図中、23はピース間ボルト、24はリング間ボルトであり、セグメント位置決め装置によって定置されたセグメントSのうち、トンネル内周方向に隣接するものは、ピース間ボルト23によって相互に締結され、また、トンネル延長方向に隣接するものは、リング間ボルト24によって相互に締結される。
【0024】
上述したセグメント位置決め装置では、支持板31に対する回転体17の掘進機周方向への回動と、移動ジャッキ28による門型部材19の掘進機前後方向への移動とで、把持機構22に把持されているセグメントSをその定置場所に対峙させ、移動ジャッキ27による門型部材19の掘進機径方向への移動で、把持機構22に把持されているセグメントSを定置場所に近接させ、更に、パラレルマニピュレータ32により、当該セグメントSの前後X、左右Y、上下Z、ローリングα、ピッチングβ、及びヨーイングγの各方向についての姿勢を、組み付けが完了しているセグメントSに応じて調整する。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4乃至図7に示すセグメント位置決め装置では、当該セグメント位置決め装置が装備されるシールド掘進機の掘削口径が中小である場合、パラレルマニピュレータ32のシリンダ33a〜33fのストロークを大きくして、保持板30に対する揺動板38の可動範囲を拡げると、回転体17に挿通したスクリューコンベヤ25にセグメント位置決め装置の構成部材が干渉することになる。
【0026】
このため、従来のセグメント位置決め装置では、パラレルマニピュレータ32とは別に移動ジャッキ27,28を装備して、門型部材19とともに保持板30を掘進機径方向及び掘進機前後方向へ大きなストロークで変位させ、セグメントSの微小移動だけをパラレルマニピュレータ32で行なっており、セグメントSの位置決め操作が容易ではない。
【0027】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、セグメントの位置決めを容易にでき、構造の簡略化を図れるセグメント位置決め装置を提供することを目的としている。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のセグメント位置決め装置では、円筒状の掘進機胴部内に設けられ且つ掘進機周方向へ回動可能な回転体と、該回転体と掘進機胴部内面との間に位置する揺動板と、該揺動板を回転体に対して揺動させ得る4基の直動アクチュエータと、回転体に対する揺動板の1方向への変位及び1軸まわりの回転を拘束する拘束系と、揺動板に設けられ且つセグメントが連結され得る把持機構とを備えている。
【0029】
本発明の請求項2に記載のセグメント位置決め装置では、本発明の請求項1に記載のセグメント位置決め装置の構成に加えて、揺動板に対して把持機構を円筒状の掘進機胴部の接線方向へ移動させ得る接線方向移動機構を設けている。
【0030】
本発明の請求項3に記載のセグメント位置決め装置では、本発明の請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載のセグメント位置決め装置の構成に加えて、把持機構に連結されたセグメントのヨーイング方向の姿勢を微調整し得るヨーイング微調整機構を設けている。
【0033】
本発明の請求項1及び請求項2に記載のセグメント位置決め装置のいずれにおいても、回転体の回動と、4基の直動アクチュエータによる揺動板の変位とで、セグメントを定置場所へ搬送する。
【0034】
本発明の請求項2に記載のセグメント位置決め装置においては、定置場所の至近に位置させたセグメントの姿勢を、接線方向移動機構によって微調整する。
【0035】
本発明の請求項3に記載のセグメント位置決め装置においては、定置場所の至近に位置させたセグメントの姿勢を、ヨーイング微調整機構によって微調整する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
【0039】
図1乃至図3は本発明のセグメント位置決め装置の実施の形態の一例であり、図中、図4乃至図7と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0040】
このセグメント位置決め装置は、後胴5に内接固着した環状の支持板31と、該支持板31に枢支した複数のローラ16により後胴5に同軸に支持される回転体17と、該回転体17から掘進機後方側へ互いに平行に突出する一対のアーム40と、該アーム40と後胴5内面との間に位置する揺動板41と、掘進機径方向に延びる中間枢支ピン42を有し且つ揺動板41をアーム40に対して近接離反可能に支持する前後一対のシリアルリンク43と、揺動板41を両アーム40に対して揺動可能に連結するパラレルマニピュレータ44と、前記の揺動板41に装着したセグメント把持部45とを備えている。
【0041】
回転体17の貫通口17dには、図4に示すスクリューコンベヤ25が挿通され、また、回転体17のリングギヤ17cには、液圧モータ14によって駆動されるピニオン15が噛合している。
【0042】
シリアルリンク43は、一端がアーム40に前記の中間枢支ピン42に平行なピン46、及びローリングα方向への揺動を許容し得るピンで連結され、また、且つ他端が中間枢支ピン42に平行なピン47、及びローリングα方向への揺動許容し得るピンで揺動板41に連結されている。
【0043】
このシリアルリンク43により、アーム40に対する揺動板41の近接離反、前後X方向への変位、ローリングα方向への揺動、及びピッチングβへの揺動が許容され、ピン42,46,47軸線方向への変位、及びヨーイングγ方向への揺動が拘束されている。
【0044】
パラレルマニピュレータ44は、4基の油圧サーボシリンダ48a〜48dによって構成されている。
【0045】
シリンダ48aのハウジングは、一方のアーム40の前端寄り部分に設けた継手49aに枢支され、シリンダ48aのロッドは、揺動板41の前端寄り部分に設けた継手50aに枢支されている。
【0046】
シリンダ48bのハウジングは、一方のアーム40の後端寄り部分に設けた継手49bに枢支され、シリンダ48bのロッドは、揺動板41の後端寄り部分に設けた継手50bに枢支されている。
【0047】
シリンダ48cのハウジングは、一方のアーム40に設けた継手49cに枢支され、シリンダ48cのロッドは、揺動板41に設けた継手50cに枢支されている。
【0048】
シリンダ48dのハウジングは、他方のアーム40に設けた継手49dに枢支され、シリンダ48dのロッドは、継手50cに隣接して揺動板41に設けた継手50dに枢支されている。
【0049】
上記の継手49a〜49d、50a〜50dには、球面方式のものが用いられている。
【0050】
セグメント把持部45は、ケーシング51、把持機構52、セグメント固定機構53、ヨーイング微調整機構54、及び接線方向移動機構55により構成されている。
【0051】
把持機構52は、ケーシング51から下方へ突出し且つセグメントSの凹湾曲面中心部分の穴に係合し得る連結具を有している。
【0052】
セグメント固定機構53は、把持機構52の左右に配置されており、それぞれが把持機構52に連結された状態のセグメントSを掘進機径方向外方へ向かって押圧し得るジャッキを有している。
【0053】
ヨーイング微調整機構54は、ケーシング51の左右に設けられており、それぞれがパッドを介してセグメントSの掘進機後端寄り端面を押圧し得るシリンダを有している。
【0054】
接線方向移動機構55は、揺動板41に設けられ且つケーシング51を掘進機接線方向へ案内するガイドレールと、ハウジングが揺動板41に連結され且つロッドがケーシング51に連結されたシリンダとを有している。
【0055】
図1乃至図3に示すセグメント位置決め装置では、掘進機軸線方向から見て、シリアルリンク43が垂直になっている状態で、パラレルマニピュレータ44のシリンダ48a〜48dのロッドの突出量を適宜調整すると、回転体17に対して揺動板41が前後X、上下Z、ローリングα及びピッチングβの各方向へ変位し、接線方向移動機構55を作動させると、揺動板41に対して把持機構52及び両微調整機構53,54が左右Y方向へ変位する。
【0056】
また、把持機構52の連結具がセグメントSの穴に係合した状態で、左右のヨーイング微調整機構54のシリンダのロッドの突出量を増減すると、セグメントSのヨーイングγ方向の位置が微調整される。
【0057】
更に、液圧モータ14を作動させると、回転体17、アーム40、シリアルリンク43、パラレルマニピュレータ44、揺動板41、セグメント把持部45、及び把持機構52に連結されたセグメントSが、ローリングα方向へ一体的に変位する。
【0058】
すなわち、支持板31に対する回転体17の掘進機周方向への回動によって、アーム40、シリアルリンク43、パラレルマニピュレータ44、揺動板41と一体的に、把持機構52に把持されているセグメントSをその定置場所に応じた向きへ移動させ、次いで、パラレルマニピュレータ44によって、当該セグメントSを定置場所へ近接させるとともに、接線方向移動機構55及び微調整機構54により、左右Y及びヨーイングγの各方向についての姿勢を、組み付けが完了しているセグメントSに応じて調整する。
【0059】
このように、図1乃至図3に示すセグメント位置決め装置においては、回転体17から突出する一方のアーム40に支持したシリンダ48a,48b、並びに、回転体17から突出する他方のアーム20に支持したシリンダ48c,48dを有するパラレルマニピュレータ44により揺動板41を変位させるので、シリンダ48a〜48dのストロークを大きくして、回転体17に対する揺動板41の可動範囲を拡げても、回転体17に挿通されるスクリューコンベヤ25(図4参照)にセグメント位置決め装置の構成部材が干渉せず、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0060】
また、回転体17の回動と、パラレルマニピュレータ44による揺動板41の変位とで、セグメントSを定置場所へ搬送し且つその姿勢を調整するので、セグメントSの位置決め操作を容易に行なうことができる。
【0061】
なお、本発明のセグメント位置決め装置は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、油圧サーボシリンダに替えて他の方式の直動アクチュエータを用いること、油圧モータに替えて電動モータを回転体の駆動手段に用いること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のセグメント位置決め装置によれば、下記のように種々の優れた効果を奏し得る。
【0063】
(1)略掘進機径方向に延びる4基の直動アクチュエータにより揺動板を変位させるので、直動アクチュエータのストロークを大きくして、回転体に対する揺動板の可動範囲を拡げても、直動アクチュエータとシールド掘進機の他の機器との干渉を回避することができ、また、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0064】
(2)回転体の回動と、4基の直動アクチュエータによる揺動板の変位とで、セグメントを定置場所へ搬送し、更に、接線方向移動機構、あるいはヨーイング微調整機構により、セグメントの姿勢を調整するので、セグメントの位置決め操作を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセグメント位置決め装置の実施の形態の一例を装備したシールド掘進機を示す縦断面図である。
【図2】本発明のセグメント位置決め装置の実施の形態の一例を装備したシールド掘進機を示す横断面図である。
【図3】図1及び図2に示すセグメント位置決め装置におけるセグメント把持部を示す概念図である。
【図4】従来のセグメント位置決め装置の一例を装備したシールド掘進機を示す縦断面図である。
【図5】従来のセグメント位置決め装置の一例を示す縦断面図である。
【図6】従来のセグメント位置決め装置の一例を示す正面図である。
【図7】図5及び図6におけるパラレルマニピュレータの概念図である。
【符号の説明】
5 後胴(掘進機胴部)
17 回転体
41 揺動板
42 中間枢支ピン
43 シリアルリンク
44 パラレルマニピュレータ
48a〜48d 油圧サーボシリンダ(直動アクチュエータ)
52 把持機構
54 ヨーイング微調整機構
55 接線方向移動機構
S セグメント
Claims (3)
- 円筒状の掘進機胴部内に設けられ且つ掘進機周方向へ回動可能な回転体と、該回転体と掘進機胴部内面との間に位置する揺動板と、該揺動板を回転体に対して揺動させ得る4基の直動アクチュエータと、回転体に対する揺動板の1方向への変位及び1軸まわりの回転を拘束する拘束系と、揺動板に設けられ且つセグメントが連結され得る把持機構とを備えてなることを特徴とするセグメント位置決め装置。
- 揺動板に対して把持機構を円筒状の掘進機胴部の接線方向へ移動させ得る接線方向移動機構を設けた請求項1に記載のセグメント位置決め装置。
- 把持機構に連結されたセグメントのヨーイング方向の姿勢を微調整し得るヨーイング微調整機構を設けた請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載のセグメント位置決め装置。
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