JP4020498B2 - 偏芯多軸掘削機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、あらゆる断面形状のトンネルを掘削・建設可能な偏芯多軸掘削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のトンネル掘削機では、原則として高さや幅方向に無駄の多い円形断面のトンネルしか掘削することができないため、都市の道路下等の制約の多い地下空間に新たにトンネルを建設する場合には掘削自体又はその地下空間を有効利用することが困難な場合が多かった。
【0003】
そのため、最近ではいわゆる任意断面掘削工法と称される新しい掘削工法及びその工法を実現するための偏芯多軸掘削機が提案されており、上述したような制約の多い都市の道路下の地下空間に対して任意の断面形状を有する効率的なトンネルの掘削・建設を可能とすると共に、実際にその適用も計画されている。
【0004】
この偏芯多軸掘削機は、図4及び図5に示すように例えば断面矩形状をした掘削機フレーム1の前面にこの掘削機フレーム1と相似形をした小型のカッターフレーム2を備えると共に、このカッターフレーム2のカッター支持ビーム3を回転子4を介してカッター駆動軸5に偏芯させてクランク状に連結したものであり、この回転子4をカッター駆動軸5を中心に回転させ、図6(a)〜(d)に示すようにカッターフレーム2を掘削機フレーム1の径方向に平行リンク的に回動させることで掘削機フレーム1と略相似形(矩形状)の断面形状のトンネルを掘削・建設するようにしたものである。
【0005】
従って、この偏芯多軸掘削機の掘削機フレーム1の断面形状と相似形のカッタフレーム2を用いることで、上述したような矩形断面の他に、例えば、楕円形断面,円弧状矩形断面,馬蹄形断面,突起付円形断面等のあらゆる断面形状のトンネルを容易に掘削・建設できるようになっている。
【0006】
また、この偏芯多軸掘削機は、任意断面形状のトンネルを掘削・建設できる他に、▲1▼カッターフレーム2に設けられた全てのカッタービット6がそれぞれ独立した同一円形の軌跡を描くように旋回することから各カッタービット6の磨耗が均一となる、▲2▼各カッタービット6の回転半径が小さいため回転トルクを軽減できる等といった長所を有しているため、図7に示すように従来と同様な円形断面の掘削機フレームへの適用も可能となっている。
【0007】
尚、図4,図5中、7は掘削機フレーム1の前端部を仕切るバルクヘッド、8は各カッター駆動軸5を駆動するカッター駆動モータ、9は掘削した土砂を取り出すスクリューコンベア、10はセグメントsを組み立てるためのエレクターである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した偏芯多軸掘削機のカッターフレーム2には、例えば図8に示すようにカッターフレーム2に設けられたコピーカッター2a,2aを出没するための各種油圧シリンダ16や薬液注入口17あるいは土圧計等のセンサ類(図示せず)が付設されている。そして、これらに接続される油圧配管や電気ケーブル,薬注管等の制御ラインLは、図9に示すようにカッターフレーム2とバルクヘッド7間に架け渡された案内管11内を通過して掘削機フレーム1内から引き延ばされるようになっている。すなわち、この案内管11は図9〜図11に示すようにその端部が軸受け12を介してカッターフレーム2側に接続されると共に、他端部が掘削機フレーム1に回転自在に支持された回転筒13側にその軸心部から偏芯した位置に接続されるようになっており、カッターフレーム2の動きに追従して案内管11及び回転筒13が回転筒13の軸心部を軸として回動することで制御ラインLを保護しつつカッターフレーム2側に引き延ばすようになっている。
【0009】
しかしながら、この案内管11は、その端部が直接又は軸受け12を介してそれぞれカッターフレーム2及び回転筒13側に連結されているため、図11に示すように、カッターフレーム2に加わる土圧が案内管11を介して直接回転筒13側に伝わってしまうことがある。その結果、回転筒13の回転抵抗が大きくなることによって回転筒13側の軸受け14や回転筒13自体を損傷する等といった不都合が考えられる。
【0010】
また、運転時のカッターフレーム2の掘削抵抗等によりカッターフレーム2が径方向に変位した場合、その変位が直接案内管11に伝わって案内管11に無理な荷重が加わってしまい、案内管11や回転筒13等が破損してしまうといったおそれもある。尚、この案内管11が位置するいわゆるカッター室15内は土砂等が常時攪拌された劣悪な状態であることから、この案内管11は金属管等の充分な強度,耐久性を有する材料から形成する必要があり、ビニール管やプラスチックパイプ等の可撓性のものではその機能を十分に発揮することができない。
【0011】
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、制御ラインLの引き回しを容易にすると共にカッターフレームに発生する変位を効果的に許容することができる新規な偏芯多軸掘削機を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第一の発明は、掘削機フレームの先端を仕切るバルクヘッドにその径方向に平行リンク的に回動するカッターフレームを備えると共に、上記バルクヘッド側から上記カッターフレーム側に制御ラインを引き延ばした偏芯多軸掘削機において、上記制御ラインを挿通して案内するガイドパイプの一端部をバルクヘッド側に回転自在に軸支し、そのガイドパイプを折り曲げてその他端部をカッターフレームの回動半径の距離だけ偏芯させて上記カッターフレーム側に回転自在に軸支し、かつ上記カッターフレームとバルクヘッド間に、ガイドパイプを、上記カッターフレームから伝わる土圧による変位をバルクヘッドに伝達することがないように架け渡したものである。
【0013】
これによって、カッターフレームの回動に伴ってガイドパイプがバルクヘッドの軸支部を軸として回転するため、バルクヘッド側に設けられていた回転筒が不要となり、構成を簡略化することができる。
【0014】
また、第二の発明は、上記ガイドパイプの一端部又は両端部を自動調芯軸受けを介して接続したものであり、これによってガイドパイプがその軸受けを中心に揺動自在となるため、カッターフレームが径方向に変位した場合であってもこの自動調芯軸受けによりその変位が効果的に許容されることになる。
【0015】
さらに、第三の発明は、上記カッターフレームとバルクヘッド間に架け渡されるガイドパイプを、その長さ方向に分割した分割パイプで形成すると共に、その分割パイプの突き合わせ端部の一方を拡径又は縮径して互いに軸方向及び径方向に移動自在に嵌合したものであり、これによってカッターフレームの径方向の変位と軸方向の変位とが効果的に許容されるため、ガイドパイプ及びその軸支部に加わる無理な応力を回避することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明に係る多軸偏芯掘削機のうちいわゆるシールド掘削機と称されるトンネル掘削機の実施の一形態を示したものであり、図中2は上述したカッターフレーム、7はこのカッターフレーム2と平行に位置するバルクヘッド、15はカッターフレーム2とバルクヘッド7間に形成されるカッター室である。
【0018】
図示するように、先ず、このカッターフレーム2とバルクヘッド7間には、両端が開口した金属製のガイドパイプ20が架け渡されており、バルクヘッド7側からカッター室15を横断してカッターフレーム2側に延びる油圧ホースや電気ケーブル等の制御ラインLを挿通して案内するようになっている。
【0019】
また、このガイドパイプ20は、図示するようにその両端の軸心部が互いに偏芯するようにその中間部が斜めに折り曲げられており、その偏芯量,すなわち回転軸Xと偏芯軸Yとの距離は、カッターフレーム2の回動半径Rと同一となっている。さらに、このガイドパイプ20のバルクヘッド7側端部は、バルクヘッド7側に一体的に設けられた支持筒21内にスラスト軸受け22を介して回転自在に軸支されており、他方のカッターフレーム2側端部は自動調芯軸受け23を介し揺動自在に軸支されるようになっている。
【0020】
この自動調芯軸受け23は、その端部に外周部に設けられる断面蒲鉾状の内輪24と、この内輪24を囲繞するようにカッターフレーム2側に固定された外輪25との間に複数個のベアリング26を介在させてなるものであり、このベアリング26が内輪24と外輪25との摺動面を軸方向に摺動することでガイドパイプ20を揺動自在に軸支するようになっている。尚、図中27はガイドパイプ20の外周部に設けられたシール機構であり、カッター室15内の土砂等が自動調芯軸受け23の外輪25とガイドパイプ20との隙間に入り込まないようにシールしている。
【0021】
また、図1及び図3に示すように、このガイドパイプ20は、バルクヘッド7側端部でその長さ方向に二分割された分割パイプ20a,20bから構成されており、その突き合わせ端部が互いに重なり合うように嵌合され、一対の連結ピン28,28によって径方向に接続されるようになっている。
【0022】
すなわち、図3に示すようにカッターフレーム2側に接続された分割パイプ20aの端部がバルクヘッド7側に接続された分割パイプ20bの端部よりも拡径されてこの分割パイプ20aの端部内に分割パイプ20bの端部側が重なり合うように嵌合されて接続されている。
【0023】
さらに、このように重なり合う分割パイプ20aと分割パイプ20bとの間には適当な隙間C(例えば、ガイドパイプ20の外径が400mmである場合には約15mm前後)が形成されると共に、分割パイプ20b側のピン孔29,29の径が連結ピン28の外径よりも十分に大きく形成されており、バルクヘッド7側の分割パイプ20bに対してカッターフレーム2側の分割パイプ20aが軸方向及び径方向にその隙間C分だけ移動自在となっている。
【0024】
また、この分割パイプ20aの端部には径方向外方に広がるフランジ31が形成されており、支持筒21の端部の設けられたリング状のシール部材32に当接してカッター室15内の土砂等がその嵌合部内に入り込まないようにシールしている。
【0025】
本発明は以上のように構成したことから、カッターフレーム2を駆動し、これがバルクヘッド7に対して平行リンク的に回動した場合、図1及び図2に示すように、このガイドパイプ20がバルクヘッド7側端部を回転軸Xとして略円錐状に回転することになる。これによって、従来と同様、カッターフレーム2の回動を阻害することなく、制御ラインLを確実に保護してカッターフレーム2側へ案内することができる。
【0026】
また、掘削時の土圧や掘削抵抗等によりカッターフレーム2がその軸方向及び径方向に変位した場合であってもその変位が自動調芯軸受け23及び、分割パイプ20aと分割パイプ20b間に形成される隙間Cで許容されるため、カッターフレーム2の変位に伴う応力が直接分割パイプ20b側に伝達することがなくなる。従って、ガイドパイプ20自体は勿論、バルクヘッド7側の軸受け22やカッターフレーム2側の自動調芯軸受け23側へ無理な応力が加わることがなくなり、その接続端部への悪影響を確実に防止することができる。
【0027】
さらに、本発明のように構成することにより、バルクヘッド7側に設けられている回転筒13が不要となって構成が簡略化できるため、信頼性の高い制御ラインLの引き回しが達成される。
【0028】
尚、このカッターフレーム2の変位量は、実際には約数mm程度の極僅かな量であり、分割パイプ20a,20bの隙間Cを上回るような大きな変位が発生することはなく、また、その場合には他の対策を施すことはいうまでもない。また、本実施の形態では、自動調芯軸受け23をカッターフレーム2側のみに設けた場合で説明したが、カッターフレーム2側のみならずバルクヘッド7側にも設けても良く、また、これを廃止して通常のスラスト軸受けに代えても良い。さらにガイドパイプ20の分割位置をバルクヘッド7側からカッターフレーム2側に、或いはその中間部に設けても良く、さらにその分割位置を一箇所のみならず複数箇所に設けるような構成にしても上記と同様な効果を得ることができる。尚、本実施の形態では、シールド掘削機の場合で説明したが筒状の掘削機フレームをもたないいわゆるTBM(トンネルボーリングマシン)や、完全なトンネルでなく、地表面のみを溝状に掘削する場合の掘削機にもそのまま適用できることは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、回転筒が不要となって制御ラインの引き回しが容易となると共に、カッターフレームや加わる土圧や掘削抵抗等によるカッターフレームの軸方向及び径方向の変位を自動調芯軸受け並びに分割されたガイドパイプの隙間によって効果的に許容することができるため、カッターフレームの変位による無理な応力がガイドパイプやその接続端に加わることがなくなる。従って、ガイドパイプ自体は勿論、その両端部の軸受け部及びこれが設けられるバルクヘッド等への悪影響を確実に回避することができるため、信頼性の高い制御ラインの引き回しが可能となる等といった優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】図1中A−A断面図である。
【図3】ガイドパイプの分割位置付近を示す部分拡大図である。
【図4】従来の偏芯多軸掘削機の一例を示す正面図である。
【図5】従来の偏芯多軸掘削機の一例を示す側面図である。
【図6】従来の偏芯多軸掘削機の作用例を示す説明図である。
【図7】従来の偏芯多軸掘削機の一例を示す正面図である。
【図8】図7に示す従来の偏芯多軸掘削機の作用例を示す正面図である。
【図9】従来の偏芯多軸掘削機の制御ラインの配設状態を示す側面図である。
【図10】従来の制御ラインの案内管の動作状態を示す斜視図である。
【図11】従来の制御ラインの案内管の設置状態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 カッターフレーム
7 バルクヘッド
20 ガイドパイプ
20a,20b 分割パイプ
23 自動調芯軸受け
C 隙間
L 制御ライン
R 回動半径
X 回転軸
Y 偏芯軸
Claims (3)
- 掘削機フレームの先端を仕切るバルクヘッドにその径方向に平行リンク的に回動するカッターフレームを備えると共に、上記バルクヘッド側から上記カッターフレーム側に制御ラインを引き延ばした偏芯多軸掘削機において、上記制御ラインを挿通して案内するガイドパイプの一端部をバルクヘッド側に回転自在に軸支し、そのガイドパイプを折り曲げてその他端部をカッターフレームの回動半径の距離だけを偏芯させて上記カッターフレーム側に回転自在に軸支し、かつ上記カッターフレームとバルクヘッド間に、ガイドパイプを、上記カッターフレームから伝わる土圧による変位をバルクヘッドに伝達することがないように架け渡したことを特徴とする偏芯多軸掘削機。
- 上記ガイドパイプの一端部又は両端部を自動調芯軸受けを介して接続したことを特徴とする請求項1に記載の偏芯多軸掘削機。
- 上記カッターフレームとバルクヘッド間に架け渡されるガイドパイプを、その長さ方向に分割した分割パイプで形成すると共に、その分割パイプの突き合わせ端部の一方を拡径又は縮径して互いに軸方向及び径方向に移動自在に嵌合したことを特徴とする請求項1又は2に記載の偏芯多軸掘削機。
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JP18054698A JP4020498B2 (ja) | 1998-06-26 | 1998-06-26 | 偏芯多軸掘削機 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18054698A JP4020498B2 (ja) | 1998-06-26 | 1998-06-26 | 偏芯多軸掘削機 |
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JP2000008778A JP2000008778A (ja) | 2000-01-11 |
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ID=16085178
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JP18054698A Expired - Fee Related JP4020498B2 (ja) | 1998-06-26 | 1998-06-26 | 偏芯多軸掘削機 |
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JP (1) | JP4020498B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100455505C (zh) * | 2006-10-27 | 2009-01-28 | 上海港机重工有限公司 | 起重机小车运行机构 |
-
1998
- 1998-06-26 JP JP18054698A patent/JP4020498B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN100455505C (zh) * | 2006-10-27 | 2009-01-28 | 上海港机重工有限公司 | 起重机小车运行机构 |
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