JP4244310B2 - 補強用繊維シート - Google Patents

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Description

本発明は、無機質膠着材の水性スラリー(以下、無機質膠着材スラリーと記述する。)から製造される物質(石膏ボードやセメント製品など)を補強するための繊維シート、特に石膏ボードを補強するための繊維シートに関する。
従来から石膏ボードは、耐火性、遮音性、施工性および価格の点から建設業界の中で幅広く使用されている。しかし石膏自体は強度が弱く、脆いため、単体では大きなボード状に成形することが難しい。このため、補強材として工程紙を兼ねたパルプ紙を石膏ボードの両面に使用する方法が主流である。
しかしながら、建築技術の進歩に伴い、建築デザインも変化して曲面施工の設計が増加しており、石膏ボードにも可撓性や剛性を要求されるようになっている。そこで、石膏ボード表面に使用しているパルプ工程紙の代わりに中間補強材として無機繊維や合成繊維などの繊維シートが使用されるようになった。これらの繊維シートは構成繊維間に空間(開孔性)を有しており、パルプ工程紙などの開孔性の無いシートと比較して、石膏スラリーが浸透し易く、石膏ボードの製造において有利である。特に、無機繊維であるガラス繊維をシート化してなる不織布が、石膏ボードへの加工し易さ、低価格等を理由に頻繁に使用されるようになっている。
このような補強用繊維シートは石膏ボードの中間または表面付近に浸漬・挿入されるが、このときの繊維シートには、石膏スラリー浸漬時における耐水性が要求される。さらに、このときの石膏スラリーの水和熱により、石膏スラリーの温度が50〜60℃に達する場合があり(特に、夏場など)、熱水浸漬時における繊維シートの耐熱水性も不可欠である。
そこで、前記の耐水性(耐熱水性)が充分確保された繊維シートを得るため、繊維間の結合剤として、耐水性に優れた非水溶性ないし疎水性樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂を用いることが考えられる。エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂を繊維間の結合剤として使用すると、その繊維シートの耐水性は充分確保されるものの、結合剤が疎水性であるため、シートの石膏スラリー浸透性が悪化する。このため、疎水性樹脂を結合剤として使用した補強用繊維シートを石膏ボードの表面付近に使用した場合、石膏スラリーが充分に浸透しないため、石膏ボードの表面に繊維シートの地合が現れ、良好な表面状態の石膏ボードを製造することが困難となる。
繊維シートの石膏スラリー浸透性を良好にする方法として、繊維シートの開孔性をさらに大きくする方法がある。例えば特開2001−20165号公報に示されているように、ガラス繊維不織布に、1個の穿孔が0.07mm2〜30cm2程度の面積を有し、その総面積が1m2あたり0.1〜200cm2になるように穿孔部を設ける方法である。しかし、このようなガラス繊維不織布では、穿孔部の石膏スラリー浸透速度は向上するものの、穿孔部以外の部位では、繊維シートに付与されている結合剤や繊維シートの目開き状態の影響を受ける。従って繊維シートの穿孔部が少ない場合、疎水性結合剤の影響により石膏スラリーの浸透速度が遅くなる。逆に繊維シートの穿孔部が多い場合、繊維シート自体の強度が低下する。さらに繊維シートに穿孔部を設けることは、繊維シートの生産性の低下を招くため、決して良好な方法とは言えない。
一方、繊維シートを製造するために、繊維間の結合剤としてポリビニルアルコールのような水溶性樹脂も、従来使用されている(特開2001−20165号公報および特開2002−61093号公報)。このような水溶性樹脂を結合剤として使用すると、繊維シートの無機質膠着材スラリー浸透性は良好となる。しかし水溶性樹脂自体は耐水性が乏しく、特にその耐熱水性は無いに等しい。先行技術でも水溶性樹脂は、耐水性を向上させる目的では使用されていない。
そこで水溶性樹脂を結合剤として使用する繊維シートに、耐水性(耐熱水性)を持たせるために、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの結合剤をブレンドする方法や、シリコーン系やフッ素系の撥水剤を添加する方法が行われてきた。しかしこれらの方法では水溶性樹脂に由来する親水性が損なわれるため、繊維シートの無機質膠着材スラリー浸透性は著しく低下する。
特開2001−20165号公報 特開2002−61093号公報
従って、無機質膠着材スラリー(特に石膏スラリー)浸透性と耐水性とを併せ持ち、安定した効率的な生産が可能な補強用繊維シートが求められていた。
驚くべきことに、無機質膠着材スラリーから製造される物質(特に石膏ボード)を補強するための繊維シートであって、無機繊維と結合剤とを含んでなり、該結合剤は、水分散型硬化剤と反応することができる官能基を有する水溶性樹脂を、水分散型硬化剤を用いて不溶化させたものであることを特徴とする繊維シートにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明の補強用繊維シートは、無機質膠着材スラリー、特に石膏スラリーの浸透速度が速く、しかも耐熱水性に優れている。これらの特性の故に、本発明の繊維シートは、無機質膠着材スラリーから製造される物質、特に石膏ボードを安定で効率的に生産することを可能とし、工業上極めて有用である。繊維シート自体も、特別な穿孔部を設けることがないので、効率的な生産が可能である。さらに本発明の繊維シートは、無機繊維主体であるため、リサイクルが容易であり、不燃性にも影響を与えない。
発明を実施するための形態
本発明は、耐水性(耐熱水性)を必要とする繊維シートの製造のために、あえて水溶性樹脂を使用することに特徴がある。即ち、本発明は、水溶性樹脂を使用することにより繊維シートの良好な無機質膠着材スラリー浸透性を確保し、一方でこの水溶性樹脂を、水分散型硬化剤を使用して、繊維シートの無機質膠着材スラリー浸透性を損なうことなく、不溶化させることにより耐水性を確保することに特徴がある。
本発明における結合剤は、水分散型硬化剤と反応することができる官能基を有する水溶性樹脂を、水分散型硬化剤を用いて不溶化させたものである。水溶性樹脂は、水分散型硬化剤と反応して不溶化(硬化)できるものであれば、特に限定されない。水分散型硬化剤と反応することができる官能基の例として、水酸基、カルボキシル基(無水形状でも良い)、スルホ基、アミノ基などが挙げられる。水溶性樹脂として、入手容易性および取扱い性の観点から、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と称する。)が好ましい。PVAについて特に限定はないが、鹸化度が94mol%以上のものが好適である。
本発明における水分散型硬化剤は、繊維シートの加熱処理により水溶性樹脂の官能基と化学結合を形成して、水溶性樹脂を硬化させ、不溶化させる。この不溶化反応は、例えば、水溶性樹脂と水分散型硬化剤とを混合し、この混合物(結合剤)を繊維シートに付与し、次いでこの繊維シート全体を加熱処理することにより行うことができる。この加熱処理は、繊維シートの乾燥(ウェットシート乾燥)と同時またはその後に行うことができる。加熱方法の例として、例えば熱風乾燥、熱ドラム乾燥などを挙げることができるが、他の加熱方法も使用することができる。加熱処理温度は、好ましくは150〜300℃である。
水分散型硬化剤は、水溶性樹脂と反応して水溶性樹脂を不溶化させることができれば、特に限定されない。好ましい水分散型硬化剤として、例えばユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、イソシヌレート化合物などがあげられる。イソシアヌレート化合物が、ホルムアルデヒド樹脂とは異なりホルマリン臭気を発生しないため、水分散型硬化剤として特に好ましい。
水分散型硬化剤は、水溶性樹脂に対して1〜15質量%、好ましくは5〜10質量%の範囲で配合することができる。イソシヌレート化合物を使用する場合、その添加量は、水溶性樹脂に対して1〜6質量%であることが好ましい。これらの量比は、それぞれの固形分を基準にする。水溶性樹脂と水分散型硬化剤とを反応させて不溶化した結合剤の不溶化度は、耐水性の観点から60%以上であることが必要であり、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。ここで、本明細書中において記載する不溶化度とは、80℃の熱水に対して繊維シートに含有されている結合剤が溶出しない割合を示したものである(実施例参照)。
本発明において結合剤を、繊維シート全体に対して5〜30質量%の範囲で配合することができる。結合剤の含有量が、繊維シート全体に対して5質量%未満であると、充分な加工強度が得られない。逆に結合剤含有量が、繊維シート全体に対して30質量%を超えると、結合剤の被膜による目詰まり面積が大きくなるため、無機質膠着材スラリーの浸透性が急激に悪くなり、好ましくない。
本発明において使用することができる無機繊維の例として、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、バサルト繊維などの繊維が挙げられる。性能および入手可能性の観点から、ガラス繊維が無機繊維として好ましい。本発明の補強用繊維シートにおける無機繊維含有量は、繊維シートの無機質膠着材スラリー浸透性および強度の観点から、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは80〜90質量%である。
本発明の補強用繊維シートの坪量は、30〜100g/m2の範囲にあることが好ましい。坪量が30g/m2未満では、無機質膠着材スラリーから製造される物質、例えば石膏ボードに対する補強効果が充分ではない。逆に坪量が100g/m2を越える場合には、繊維シートの無機質膠着材スラリー浸透性が低下し、その製品の表面不良の原因となる。また坪量が100g/m2を越えるような高坪量の繊維シートを使用すると、製造コストが高くなる。
本発明の補強用繊維シートは、通気量が600〜1800cc/cm2/秒である開孔性を有することが好ましい。特に、繊維シートの通気量が700cc/cm2/秒以上であれば、良好な無機質膠着材スラリー浸透性を達成することができる。しかし、繊維シートの通気量が1800cc/cm2/秒を超えると、繊維シートが無機質膠着材スラリーを充分保持することができなくなり、また繊維シートの強度も低下するので、好ましくない。繊維シートの通気量を600〜1800cc/cm2/の範囲にするために、繊維シートの無機繊維含有量および坪量を、上記の好ましい範囲内にすることが有用である。さらに、湿式抄造法において繊維地合を良好な抄造条件のものにすることによって、通気量が600〜1800cc/cm2/秒の範囲となる、繊維シートの開孔性を達成することができる。
なお、本発明における補強用繊維シートの通気量は、JIS L−1018「ニット生地試験方法」に準拠して測定する。但し、本発明の繊維シートの通気量は非常に大きいので、本発明の繊維シートを5枚以上重ねたものを測定し、重ね合わせた繊維シートの枚数で測定した通気量を除した値を、本発明の繊維シート(1枚)の通気量とする。
本発明において使用する無機繊維の平均繊維径は、補強用繊維シートの開孔性および補強用繊維シートを用いて製造される製品の曲げ強度の観点から、13〜27μmの範囲が好ましい。繊維シートの無機質膠着材スラリー浸透性の観点から、無機繊維の平均繊維径を16μm以上にすることがより好ましい。さらに、繊維シートを取り扱う時の人体への刺激性を考慮すると、16〜24μmの範囲の平均繊維径が特に好ましい。無機繊維の長さは、繊維シートの製造の際の無機繊維の分散性の観点から、好ましくは10〜50mm、より好ましくは10〜30mmの範囲である。
本発明において使用する無機繊維の表面に、シラン系カップリング剤、特にトリメトキシシラン系カップリング剤を含む集束剤を施すことが好ましい。このように無機繊維の表面にトリメトキシシラン系カップリング剤を含む集束剤を施すことにより、従来の補強用繊維シートでは与えることができなかった曲げ強度を、無機質膠着材スラリーと補強用繊維シートとから製造される製品、例えば石膏ボードに与えることができる。この効果は、トリメトキシシラン系カップリング剤を含む集束剤が、無機質膠着材スラリー中の無機質膠着材分(特に石膏)と無機繊維との密着性を低下させ、製品(例えば石膏ボード)内における無機繊維の滑り性を大きくする結果、製品の厚さ方向に曲げ応力が加わっても、無機繊維は、面方向に適度にすべることができ、破断されないことに由来すると考えられる。
トリメトキシシラン系カップリング剤を無機繊維表面に施すために、このカップリング剤を、まず無機繊維自体の表面に施し、次いでこのカップリング剤で処理した繊維から繊維シートを製造することができる。また、未処理の無機繊維から繊維シートを製造した後、繊維シートにカップリング剤を施すことにより、無機繊維表面をカップリング剤処理することもできる。またこれらの工程を重ねて行うこともできる。
トリメトキシシラン系カップリング剤に関して特に限定は無く、一般に市販されている、あらゆるトリメトキシシラン系カップリング剤を使用することができる。トリメトキシシラン系カップリング剤の例として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン系、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン系およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン系などのカップリング剤が挙げられる。
本発明の補強用繊維シートを製造するために結合剤を無機繊維に付与する方法は、特に限定されず、従来から繊維シートを抄造するために一般的に用いられている方法であれば使用することができる。本発明の結合剤を、水性の液状結合剤として、例えばスプレー法、コーター法または含浸法などの方法で、無機繊維に付与することが好ましい。また、繊維シートを抄造するために、繊維状や粒子状などの固体結合剤を混抄することにより無機繊維に付与することも可能である。しかしながら固体結合剤は、製造(抄造)の際の分散性やポットライフの問題があり、あまり好ましくない。
本発明の補強用繊維シートの製造方法として、湿式抄紙法による製造方法が好ましい。湿式抄造法による製造方法について、特に限定は無く、一般的な製造方法を使用することができる。例えば丸網式、長網式、傾斜ワイヤー方式などの抄造法が好適である。また、乾式による抄造も使用することができる。しかし、例えばメルトブロー法やエアレイド法では、無機繊維のバラツキが大きく、抄造された繊維シートの開孔性の均一性が失われる可能性、即ちそれにより製造された繊維シートにおける無機質膠着材スラリー浸透性のバラツキが大きくなる可能性が高い。従って、本発明の繊維シートの製造方法として、メルトブロー法やエアレイド法などの乾式抄造方法は、湿式抄造法に比べて好ましくない。
本発明の補強用繊維シートは、以下のような良好な性能を有する:
(1)結合剤として、PVAなどの水溶性樹脂をイソシアヌレート化合物などの水分散型硬化剤により不溶化したものを使用するため、従来のアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂結合剤を使用した場合と比べて、繊維シートの無機質膠着材スラリー浸透性が良好である。さらに水分散型硬化剤により水溶性樹脂を不溶化しているため、無機質膠着材スラリーから製品を成形加工する時の水和熱による影響に対して、充分なシート強度を維持することができる。
(2)上記のような結合剤を使用することに加えて、無機繊維含有量70〜95質量%、坪量30〜100g/m2の範囲で繊維シートを製造することにより、通気量が600〜1800cc/cm2/秒となる大きな開孔性を、繊維シートに与えることができる。さらに平均繊維径13〜27μm、繊維長10〜50mmの無機繊維を使用することにより、無機質膠着材スラリー浸透性が良好で、補強効果、特に製品(例えば石膏ボード)に大きな曲げ強度を与える繊維シートを製造することができる。
(3)さらに無機繊維の表面に、トリメトキシシラン系カップリング剤を含む集束剤を施すことにより、無機質膠着材スラリー中の無機質膠着材分(特に石膏)と無機繊維との密着性を低下させ、製品(例えば石膏ボード)の厚み方向における曲げ強度を向上させることができる。
本発明の補強用繊維シートは、上記のような良好な性質を有するので、無機質膠着材スラリーから製造される物質、例えば石膏材またはセメント材、好ましくは石膏ボードを、安定して効率良く生産することができる。また本発明の補強用繊維シートを使用して製造した物質は、良好な外観および強度を有する。
以下において、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における質量%および坪量は、全て乾燥質量を基準とする。
(通気量)
以下の実施例および比較例における通気量は、上記した通り、JIS L−1018「ニット生地試験方法」に準拠して測定を行った。但し、繊維シートの通気量は非常に大きいので、5枚以上重ねたものの通気量を測定し、その測定値を重ね合わせたシートの枚数にて除したものを、繊維シート1枚の通気量とする。なお、繊維シートを5枚以上重ね合わせたものの通気量の測定は、JIS L−1018に準拠している株式会社東洋精機製作所 フラジール型通気性試験機を用いて測定を行った。
(不溶化度)
以下の実施例および比較例における不溶化度とは、80℃の熱水に対して繊維シートに含有されている結合剤が溶出しない割合を示したものである。すなわち、繊維シートを80℃の熱水中に2時間浸漬した後、熱水浸漬前の結合剤量に対する溶出しなかった結合剤量の割合(%)を示したものである。
実施例1
平均繊維径16μmおよび繊維長25mmで、γ−トリメトキシシラン系カップリング剤を含有する集束剤で表面処理されたガラス繊維80質量%、並びに水溶性樹脂であるPVA樹脂18質量%を水分散型硬化剤であるメラミンホルムアルデヒド樹脂(メラミン樹脂)2質量%で硬化・不溶化した結合剤からなる繊維シートを、長網式抄紙機にて湿式抄造し、坪量40g/m2の補強用繊維シートを得た。得られた繊維シートの通気量は、745cc/cm2/秒であった。得られた繊維シートに含有されている結合剤の不溶化度は63%であった。
実施例2
平均繊維径19μmおよび繊維長25mmで、γ−トリメトキシシラン系カップリング剤を含有する集束剤で表面処理されたガラス繊維80質量%、並びに水溶性樹脂としてPVA樹脂18質量%を水分散型硬化剤としてユリアホルムアルデヒド樹脂(尿素樹脂)2質量%で硬化・不溶化した結合剤からなる繊維シートを、長網式抄紙機にて湿式抄造し、坪量60g/m2の補強用繊維シートを得た。得られた繊維シートの通気量は、822cc/cm2/秒であった。得られた繊維シートに含有されている結合剤の不溶化度は78%であった。
実施例3
平均繊維径24μmおよび繊維長25mmで、γ−トリメトキシシラン系カップリング剤を含有する集束剤で表面処理されたガラス繊維80質量%、並びに水溶性樹脂としてPVA樹脂19質量%を水分散型硬化剤としてイソシヌレート化合物1質量%で硬化・不溶化した結合剤からなる繊維シートを、長網式抄紙機にて湿式抄造し、坪量80g/m2の補強用繊維シートを得た。得られた繊維シートの通気量は、890cc/cm2/秒であった。得られた繊維シートに含有されている結合剤の不溶化度は86%であった。
実施例4
平均繊維径19μmおよび繊維長25mmで、カップリング剤を含有しない集束剤で表面処理されたガラス繊維80質量%、並びに水溶性樹脂としてPVA樹脂19質量%を水分散型硬化剤としてイソシヌレート化合物1質量%で硬化・不溶化した結合剤からなる繊維シートを、長網式抄紙機にて湿式抄造し、坪量80g/m2の補強用繊維シートを得た。得られた繊維シートの通気量は、854cc/cm2/秒であった。得られた繊維シートに含有されている結合剤の不溶化度は86%であった。
比較例1
平均繊維径16μmおよび繊維長25mmで、γ−トリメトキシシラン系カップリング剤カップリング剤を含有する集束剤で表面処理されたガラス繊維80質量%、並びに結合剤としてアクリル酸エステル樹脂20質量%からなる繊維シートを、長網式抄紙機にて湿式抄造し、坪量50g/m2の補強用繊維シートを得た。得られた繊維シートの通気量は、787cc/cm2/秒であった。得られた繊維シートに含有されている結合剤の不溶化度は97%であった。
比較例2
平均繊維径19μmおよび繊維長25mmで、γ−トリメトキシシラン系カップリング剤を含有する集束剤で表面処理されたガラス繊維80質量%、並びに結合剤としてPVA樹脂20質量%からなる繊維シートを、長網式抄紙機にて湿式抄造し、坪量60g/m2の補強用繊維シートを得た。得られた繊維シートの通気量は、831cc/cm2/秒であった。得られた繊維シートに含有されている結合剤の不溶化度は2%であった。
実施例および比較例で得られた補強用繊維シートの性能評価を、以下の試験方法により行った。
<繊維シートの耐水性および耐熱水性>
上記の実施例および比較例で作製した繊維シート(長さ250mm×幅50mm)を水温20℃の純水に30分間浸漬し、その後、余分な水分を濾紙で除去した。この繊維シート試験体を引張試験機にて引張強度の測定を行い、その引張強度を耐水強度(耐水性)とした。また、同様に、上記の実施例および比較例で作製した繊維シート(長さ250mm×幅50mm)を水温60℃の純水(温水)に10分間浸漬し、その後、余分な水分を除去した。この繊維シート試験体を引張試験機にて引張強度の測定を行い、その引張強度を耐熱水強度(耐熱水性)とした。その結果を、以下の表1に示す。
<石膏スラリーの調製>
市販の石膏(家庭化学工業(株)製)2kgに水1.7kg を添加し、充分に混練りして調製した。
<石膏スラリーの浸透性>
上記の方法にて調製した石膏スラリーを合板型枠(長さ500mm×幅500mm×厚さ20mm)に打設し、その表面に上記の実施例および比較例で作製した繊維シート(長さ300mm×幅300mm)を静かに配置し、繊維シートが石膏スラリー中に完全に沈むまでの時間を計測し、繊維シートの石膏スラリー浸透性を評価した。その結果を、以下の表1に示す。
Figure 0004244310
<石膏ボード加工性(成形性)>
上記の方法にて調製した石膏スラリーを合板型枠(長さ500mm×幅500mm×厚さ20mm)に打設し、その表面に上記の実施例および比較例で作製した繊維シート(長さ500mm×幅500mm)を配置し、軽くコテで押さえ、湿空養生室(温度20℃(±2℃)、湿度80%以上)に48時間静置した後、脱型し、得られた繊維シート補強石膏ボード試験体の外観を観察した。その後、試験体を材冷14日間まで恒温恒湿室(温度20℃(±2℃)、湿度60%以上(±10%))中で養生した。得られた繊維シート補強石膏ボード試験体のクラックの有無を調べて、この石膏ボード試験体の成形性を判定評価した。その結果を、以下の表2に示す。
<石膏ボード加工性(表面平滑性)>
上記の方法にて調製した石膏スラリーを合板型枠(長さ500mm×幅500mm×厚さ20mm)に打設し、その表面に上記の実施例および比較例で作製した繊維シート(長さ500mm×幅500mm)を配置し、軽くコテで押さえ、湿空養生室(温度20℃(±2℃)、湿度80%以上)に48時間静置した後、脱型し、得られた繊維シート補強石膏ボード試験体の表面外観を観察した。その後、試験体を材冷14日間まで恒温恒湿室(温度20℃(±2℃)、湿度60%以上(±10%))中で養生した。得られた繊維シート補強石膏ボード試験体の表面状態を外観観察し、挿入された繊維シートの地合に由来する石膏ボード表面の凹凸状態により、この石膏ボード試験体の表面平滑性を判定評価した。その結果を、以下の表2に示す。
<石膏ボード曲げ強度(石膏とガラス繊維との滑り性)>
上記の方法にて調製した石膏スラリーを合板型枠(長さ500mm×幅500mm×厚さ20mm)に打設し、その表面に上記の実施例および比較例で作製した繊維シート(長さ500mm×幅500mm)を配置し、軽くコテで押さえ、湿空養生室(温度20℃(±2℃)、湿度80%以上)に48時間静置した後、脱型した。その後、試験体を材冷14日間まで恒温恒湿室(温度20℃(±2℃)、湿度60%以上(±10%))中で養生し、繊維シート補強石膏ボード試験体が得られた。得られた繊維シート補強石膏ボード試験体の流れ方向および幅方向曲げ強度を測定し、石膏とガラス繊維との滑り性を判定評価した。その結果を、以下の表2に示す。
Figure 0004244310

Claims (6)

  1. 無機質膠着材の水性スラリーから製造される物質を補強するための繊維シートであって、無機繊維と結合剤とを含んでなり、該結合剤は、水分散型硬化剤と反応することができる官能基を有する水溶性樹脂を、水分散型硬化剤を用いて不溶化させたものであることを特徴とする繊維シート。
  2. 水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の繊維シート。
  3. 水分散型硬化剤が、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂またはイソシアヌレート化合物の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維シート。
  4. 70〜95質量%の無機繊維含有量、30〜100g/m2の坪量、および通気量が600〜1800cc/cm2/秒である開孔性を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維シート。
  5. 無機繊維が、13〜27μmの平均繊維径および10〜50mmの繊維長を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維シート。
  6. 無機繊維の表面に、トリメトキシシラン系カップリング剤を含む集束剤が施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維シート。

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