JP7167841B2 - ミネラルウール - Google Patents

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本発明はミネラルウールに関する。
グラスウール、又は、ロックウール等のミネラルウールにおいて、繊維間を接着させるためにバインダー(ミネラルウール用バインダー)が使用されている(例えば、特許文献1)。
特開2007-169545号公報
ミネラルウール用バインダーの主成分としては、種々の樹脂が用いられてきた。しかし、従来のバインダーでは、ミネラルウールの硬さが不足する場合があった。そこで、本発明は、十分な硬さを有するミネラルウールを提供する。
本発明の一側面は、無機繊維と、前記無機繊維に付着したバインダーと、を含むミネラルウールに関する。前記バインダーが、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、カルボン酸ジヒドラジド化合物と、を含有する。前記(メタ)アクリル樹脂のうち少なくとも一部が、前記カルボン酸ジヒドラジド化合物との反応によって架橋構造を形成している。
本発明によれば、十分な硬さを有するミネラルウールが提供される。本発明のいくつかの側面によれば、バインダーの付着による色調変化が抑制される。
ミネラルウールの一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、ミネラルウールの一実施形態を示す断面図である。図1に示すミネラルウール1は、無機繊維と、無機繊維に付着したバインダーとを含むマット状の材料である。ただし、ミネラルウールの形状はこれに限られない。
ミネラルウール1は、無機繊維を含むウール状の繊維集合体を含む。繊維集合体を構成する無機繊維同士がバインダーを介して結着している。無機繊維は、ガラス繊維、又は、けい酸分と石灰分を主成分とする高炉スラグ、又は岩石等を原料とした繊維であってよい。無機繊維としてガラス繊維を含むミネラルウールは、一般にグラスウールと称される。無機繊維として、けい酸分と石灰分を主成分とする高炉スラグ、又は岩石等を原料とした繊維を含むミネラルウールは、一般にロックウールと称される。ミネラルウールは、断熱性及び吸音性がより優れたものとなる観点から、ガラス繊維を含むグラスウールであってもよい。
ミネラルウール1を構成する無機繊維の繊維径(バインダーの厚さを含む。)は、3.0~10.0μm、3.5~8.0μm、又は4.0~7.0μmであってよい。ここでの繊維径は、マイクロネア法で測定される値である。ミネラルウールを構成する無機繊維の繊維長は、2.0~500.0mmであってもよい。
無機繊維に付着したバインダーは、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、カルボン酸ジヒドラジド化合物とを含有する。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味する。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる(メタ)アクリルモノマーを主な単量体単位として含む重合体である。(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリルモノマー以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよいが、通常、(メタ)アクリルモノマーに由来する単量体単位の割合は、重合体の全体質量に対して50~100質量%である。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、通常、カルボキシル基を有する単量体に由来する単量体単位を含む。カルボキシル基を有する単量体は、例えば(メタ)アクリル酸である。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、カルボキシル基を有する単量体以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。カルボキシル基を有する単量体以外の単量体に由来する単量体単位の割合は、(メタ)アクリル樹脂を構成する全単量体単位数に対して、50モル%未満、30モル%未満、10モル%未満、又は1モル%未満であってもよい。カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、カルボキシル基を有する単量体に由来する単量体単位のみからなっていてよく、(メタ)アクリル酸に由来する単量体単位のみからなるポリ(メタ)アクリル酸であってもよい。
カルボン酸ジヒドラジド化合物は、2個のカルボキシル基を有する化合物から誘導される化合物であり、2個のヒドラジノ基(-NHNH)を有する。カルボン酸ジヒドラジド化合物は、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド又はこれらの混合物であってもよく、アジピン酸ジヒドラジドであってもよい。
バインダーに含まれる(メタ)アクリル樹脂のうち少なくとも一部が、カルボン酸ジヒドラジド化合物との反応によって架橋されている。通常、(メタ)アクリル樹脂のカルボキシル基とカルボン酸ジヒドラジド化合物のヒドラジノ基との反応により、(メタ)アクリル樹脂が架橋される。
無機繊維に付着したバインダーにおける(メタ)アクリル樹脂及びカルボン酸ジヒドラジド化合物の合計の含有量は、バインダーの全体質量を基準として、50~100質量%、75~100質量%、又は95~100質量%であってもよい。ここでの含有量は、架橋構造を形成している(メタ)アクリル樹脂及びカルボン酸ジヒドラジド化合物の量も含む。これは本明細書における以下の説明でも同様である。
(メタ)アクリル樹脂が有するカルボキシル基の総量に対する、カルボン酸ジヒドラジド化合物が有するヒドラジノ基の総量のモル比が、0.1~1.0であってもよい。ヒドラジノ基のモル比がこの範囲内にあると、ミネラルウールの硬さ向上に関して特に顕著な効果が得られる。同様の観点から、ヒドラジノ基のモル比が0.5~1.0、又は0.7~1.0であってもよい。無機繊維に付着したバインダーを飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析することにより、カルボキシル基の総量に対するヒドラジノ基のモル比を定量することができる。得られたモル比が上記範囲内にある場合、カルボン酸ジヒドラジド化合物はその全てが架橋構造を形成しているとみなすことができる。
バインダーは、架橋構造を形成していないカルボン酸ジヒドラジド化合物(以下「未架橋のカルボン酸ジヒドラジド化合物」ということがある。)を比較的多く含有してもよい。未架橋のジヒドラジド化合物は、バインダーの付着によるミネラルウールの色調変化の抑制に寄与し得る。係る観点から、例えば、未架橋のカルボン酸ジヒドラジド化合物の含有量が、(メタ)アクリル樹脂及び架橋構造を形成しているカルボン酸ジヒドラジド化合物の合計量100質量部に対して、0.5~30質量部であってもよい。無機繊維に付着したバインダーをTOF-SIMSで分析して得られる、カルボキシル基の総量に対するヒドラジノ基のモル比が1.0を超える場合、1.0を超えた部分のヒドラジノ基に相当するカルボン酸ジヒドラジド化合物は架橋構造を形成していないとみなすことができる。
バインダーは、シランカップリング剤を更に含有してもよい。シランカップリング剤は、例えばアルコキシシリル基と反応性官能基とを有する化合物であり、ミネラルウールの更なる硬さ向上に寄与し得る。シランカップリング剤の例としては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤の市販品の例としては、信越化学工業株式会社製のアミノプロピルトリメトキシシラン「KBE903」が挙げられる。シランカップリング剤は、1種類単独で用いてもよく、又は、2種類以上を併用して用いてもよい。
バインダーにおけるシランカップリング剤の含有量は、(メタ)アクリル樹脂及び架橋構造を形成しているアジピン酸ジヒドラジド化合物の合計量100質量部に対して、0.1~3.0質量部であってよく、0.2~2.0質量部であってよく、0.3~1.0質量部であってよい。
バインダーは、防塵剤を更に含有してもよい。防塵剤としては、オイルエマルション等が挙げられる。防塵剤の市販品の例としては、出光興産株式会社製の重質オイルエマルション「ダフニープロソルブルPF」が挙げられる。防塵剤の含有量は、(メタ)アクリル樹脂及び架橋構造を形成しているカルボン酸ジヒドラジド化合物の合計量100質量部に対して、1~30質量部であってよい。
バインダーは、撥水剤を更に含有していてよい。撥水剤としては、例えば、シリコーンオイルエマルション等のシリコーン系添加剤、及び、フッ素系添加剤が挙げられる。撥水剤の市販品の例としては、信越化学工業株式会社製のシリコーンオイルエマルション「Polon MR」が挙げられる。撥水剤の含有量は、(メタ)アクリル樹脂及び架橋構造を形成しているカルボン酸ジヒドラジド化合物の合計量100質量部に対して、0.05~20質量部であってよい。
無機繊維に対するバインダーの付着量が、ミネラルウール100質量部に対して、0.5~15.0質量部、1.0~15.0質量部又は1.0~6.0質量部であってよい。バインダーの付着量は、ミネラルウール100質量部に対して、1.0質量部以上、1.5質量部以上、2.0質量部以上又は2.5質量部以上であってよく、15.0質量部以下、10.0質量部以下、6.0質量部以下又は5.0質量部以下であってよい。バインダーの付着量は、まず、バインダーの付着したグラスウールの重量(焼却前質量)を測定することと、次いで、グラスウールを空気雰囲気下、500℃の条件で60分間加熱して、バインダーを焼却し、残ったグラスウールの質量(焼却後質量)を測定することと、下記式によりバインダーの付着量を算出することとを含む方法により、求めることができる。
バインダーの付着量(質量%)={(焼却前質量-焼却後質量)/焼却前質量}×100
ミネラルウール1の密度は10~250kg/mであってよい。ミネラルウール1の厚さは、例えば、10~300mmであってよい。ミネラルウール1の密度及び厚さは、JIS A 9521:2014に準拠して測定することができる。ここでの密度は、空隙体積を含む体積を基準とする見かけ密度である。
ミネラルウール1は、例えば、バインダー組成物を無機繊維に付着させる工程と、無機繊維とこれに付着したバインダー組成物とを含むウール状の中間繊維基材を形成させる工程と、中間繊維基材を加熱してミネラル―ルを得る工程とを含む方法によって、製造することができる。
バインダー組成物は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、カルボン酸ジヒドラジド化合物と、必要に応じて加えられるその他の成分と、水性媒体とを含有する。バインダー組成物に含まれる(メタ)アクリル樹脂の一部が、カルボン酸ジヒドラジド化合物との反応によって架橋構造を形成していてもよい。
水性溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。経済性及び取扱性の観点から、水性溶媒が水を含んでいてもよい。水性溶媒中の水の割合が、水性溶媒の質量を基準として50~100質量%、60~100質量%、70~100質量%、80~100質量%、又は90~100質量%であってもよい。
バインダー組成物における固形分濃度、すなわち水性溶媒以外の成分の含有量が、バインダー組成物全量に対して、2.0~20質量%で、又は2.0~10.0質量%であってよい。
バインダー組成物を無機繊維に付着させる工程では、例えば、熱溶融されたガラス、又は岩石等の鉱物のような無機質原料を繊維化して無機繊維を形成させながら、形成された無機繊維にバインダー組成物を付着させてもよい。無機繊維を繊維化する方法としては、例えば、火焔法、吹き飛ばし法、遠心法(ロータリー法とも言う)が挙げられる。無機繊維にバインダー組成物を付着させる方法としては、例えば、無機繊維に対し、スプレー装置等により、霧状のバインダー組成物を吹き付ける方法が挙げられる。
バインダー組成物を無機繊維に付着させながら、バインダー組成物が付着した無機繊維を堆積させることによって、ウール状の中間繊維基材を形成させることができる。堆積した無機繊維同士が徐々に絡み合い、それらがウール状の形態を形成する。形成された直後の無機繊維にバインダー組成物を付着させ、その後、ウール状の中間繊維基材を形成させてもよい。
中間繊維基材を加熱することにより、無機繊維に付着したバインダー組成物が加熱硬化することでバインダーが形成されて、無機繊維と無機繊維に付着したバインダーとを含むミネラルウールが得られる。中間繊維基材を加熱する方法は、特に制限されない。例えば、所定の加熱温度に設定された1つ又は複数の加熱ゾーンを通過させることにより、中間繊維基材を加熱することができる。中間繊維基材の加熱時間は、バインダー組成物が付着した無機繊維の密度、厚さにより、適宜調整される。加熱時間は、例えば、30秒~10分、又は、2分~10分であってよい。
加熱工程後の中間繊維基材、すなわちミネラルウールは、必要により例えばマット状に成形され、さらに所望の幅、長さに切断してもよい。
ミネラルウールは、そのままの形態で用いてもよく、また、ミネラルウールの表面を表皮材で被覆して、ミネラルウール及び表皮材を有するパネル等の部材を作製してもよい。表皮材としては、特に制限されないが、例えば、紙(特に耐熱紙、例えば、ガラスペーパー)、合成樹脂フィルム、金属箔フィルム、不織布(例えば、ガラスチョップドストランドマット)、織布(例えば、ガラス繊維織物)又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。
本実施形態に係るミネラルウールは、例えば、断熱・吸音機能を持つ素材として用いることができる。本実施形態に係るミネラルウールを、建築材料用断熱材(特に、壁内や天井内といった建築材料内部に配置される断熱材)として用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.バインダー組成物の調整
以下の手順でバインダー組成物を調製した。溶液又はバインダー組成物の粘度は、JIS K6833-1:2008に準拠して、B型粘度計を用いて測定した。
実施例1
メタクリル酸、アジピン酸ジヒドラジド(ヒドラジノ基を架橋基として有する架橋物質、以下、「ADH」ということがある。)、及び過硫酸アンモニウム(重合開始剤)を含む前駆体溶液(固形分濃度20.0質量%)を調製した。前駆体溶液に含まれるADHの量は、メタクリル酸が有するカルボキシル基の総量に対する、ヒドラジノ基の総量のモル比が1.0である量となるように調整した。前駆体溶液を加熱することによりメタクリル酸を重合させて、ポリメタクリル酸を含む溶液を得た。得られた溶液の25℃における粘度は100mPa・sであり、pHは9.0であった。
得られた溶液に、シランカップリング剤を加えて、バインダー組成物を得た。シランカップリング剤の量は、前駆体溶液におけるメタクリル酸及びアジピン酸ジヒドラジドの合計量100質量部に対して、0.5質量部であった。
実施例2
シランカップリング剤を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を得た。
実施例3
実施例1と同様にして得たポリメタクリル酸を含む溶液に、シランカップリング剤、及び追加のADHを加えて、バインダー組成物を得た。シランカップリング剤の量は実施例1と同じ量とした。追加のADHの量は、前駆体溶液におけるメタクリル酸及びADHの合計量100質量部に対して25.0質量部であった。前駆体溶液がメタクリル酸のカルボキシル基の総量に対して1.0化学当量に相当する量のヒドラジノ基を有するADHを含んでいたため、追加のADHは、ポリメタクリル酸の架橋構造の形成には実質的に関与しないと考えられる。すなわち、ここでの追加のADHの量は、バインダーにおける未架橋のADHの量にほぼ相当するといえる。
実施例4
追加のADHの量を1.0質量部に変更したこと以外は実施例3と同様にして、バインダー組成物を得た。
比較例1
脱イオン水中で、メタクリル酸を、重合開始剤として過硫酸カリウムを用いてラジカル重合させることにより、ポリメタクリル酸水溶液を調製した。特許第3950996号公報の段落0040に記載の調製方法にしたがって、亜鉛含有アンモニア水溶液を調製した。得られた亜鉛含有アンモニア水溶液を、ポリメタクリル酸水溶液と混合して、バインダー組成物を得た。金属イオン(Zn2+)の含有量が、ポリメタクリル酸が有するカルボキシル基の総量に対して、0.1化学当量となるように各成分の濃度及び混合比を調整した。得られたバインダー組成物の粘度は、25℃において29mPa・sであった。
比較例2
ポリビニルアルコール樹脂(PVA)を水に溶解させることにより、バインダー組成物を調製した。ポリビニルアルコール樹脂として、日本酢ビ・ポバール社製「JL-05E」を用いた。得られたバインダー組成物の粘度は、25℃において150mPa・sであった。
2.評価
2-1.硬さ
実施例及び比較例の各バインダー組成物に水を加えて、固形分濃度2質量%に調整した。次いで、バインダー組成物にガラスペーパー(Whatman製、商品名:GF/A 直径70mm)を含浸させた。バインダー組成物から取り出したガラスペーパーを、180℃で10分間の加熱により乾燥させた。乾燥後、バインダーが付着したガラスペーパーから、幅30mm、長さ50mmのサイズの測定用サンプルを切り出した。
作製した測定用サンプルの片方の短辺側の端部を冶具で挟んだ。冶具からはみ出した部分の測定サンプルの長さは30mmであった。冶具に挟まれた測定用サンプルを、その主面が水平になる向きで保持した。測定用サンプルの冶具からはみ出した部分の先端に、1gのダブルクリップ(幅13mm)を重りとして取り付けた。ダブルクリップは、測定用サンプルの先端がダブルクリップの奥まで達するように、測定サンプルに取り付けた。
ダブルクリップが取り付けられた測定用サンプルを、220℃の恒温槽内で10分間加熱した。この加熱により、各実施例のバインダー組成物の場合にはADHによるポリメタクリル酸の架橋が進行し、比較例1の場合、金属イオンによるポリメタクリル酸の架橋が進行した。
恒温槽から取り出した測定サンプルからダブルクリップを取り除き、この時点での測定サンプルの先端の位置と、ダブルクリップが取り付けられる前の測定サンプルの先端の位置との高さ方向における差を、荷重変動量(単位:mm)として記録した。荷重変動量が小さいことは、バインダーによる硬さ向上の程度が大きいことを意味する。ガラスペーパーの硬さを向上させるバインダーは、ミネラルウールの硬さも向上させるといえる。
2-2.色調
実施例の各バインダー組成物に水を加えて、固形分濃度5質量%に調整した。次いで、バインダー組成物にガラスペーパー(Whatman製、商品名:GF/A 直径70mm)を含浸させた。バインダー組成物から取り出したガラスペーパーを、200℃で10分間の加熱により乾燥させた。この加熱によって、ADHによるポリメタクリル酸の架橋が進行した。
バインダーが付着したガラスペーパーの色調を表すL値、a値、及びb値を、色差計(コニカミノルタ株式会社製CR-410)を用いて測定した。バインダーが付着していないガラスペーパーの色調(L=90、a*=2、b*=10)を基準として、下記式により、バインダーの付着による色調変化の程度を表すΔEを算出した。
ΔE=[(L値-90)+(a値-2)+(b値-10)1/2
得られたΔEの値から、下記基準により色調を判定した。ガラスペーパーへのバインダーの付着による色調変化の度合いが小さければ、ミネラルウールでも同様にバインダー付着による色調変化の度合いが小さいといえる。
A:ΔEが20以上
B:ΔEが20未満
Figure 0007167841000001
Figure 0007167841000002
表1及び表2に評価結果が示される。カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂及びカルボン酸ジヒドラジド化合物を含有するバインダーを含む実施例のミネラルウールは、十分な硬さを有することが示された。
熱溶融した原料ガラスを繊維化装置に導入し、遠心法により、熱溶融した原料ガラスを繊維状に噴出させることで、ガラス繊維を形成した。形成されたガラス繊維が空冷される間に、霧状の各実施例のバインダー組成物をガラス繊維に吹きつけることで、各実施例バインダー組成物をガラス繊維に付着させた。次いで、各実施例バインダー組成物が付着したガラス繊維を堆積させ、それによりウール状の中間繊維基材を形成させた。次いで、得られた中間繊維基材を、加熱温度220℃、加熱時間3分間の条件で乾燥し、各実施例のバインダーが付着したガラス繊維を含むマット状のグラスウールを得た。各実施例のバインダーは、グラスウール100質量部に対して、3.0質量部付着しており、これらのグラスウールは、表1の結果からも確認されたとおり、十分な硬さを有していた。
1…ミネラルウール。

Claims (5)

  1. 無機繊維と、前記無機繊維に付着したバインダーと、を含み、
    前記バインダーが、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、カルボン酸ジヒドラジド化合物と、を含有し、
    前記(メタ)アクリル樹脂のうち少なくとも一部が、前記カルボン酸ジヒドラジド化合物との反応によって架橋構造を形成している、ミネラルウール。
  2. 前記バインダーが、シランカップリング剤を更に含有する、請求項1に記載のミネラルウール。
  3. 前記(メタ)アクリル樹脂が有するカルボキシル基の総量に対する、前記カルボン酸ジヒドラジド化合物が有するヒドラジノ基の総量のモル比が、0.1~1.0である、請求項1又は2に記載のミネラルウール。
  4. 前記バインダーが、前記架橋構造を形成している前記カルボン酸ジヒドラジド化合物と、前記架橋構造を形成していない前記カルボン酸ジヒドラジド化合物と、を含有し、
    前記架橋構造を形成してない前記カルボン酸ジヒドラジド化合物の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂、及び前記架橋構造を形成している前記カルボン酸ジヒドラジド化合物の合計量100質量部に対して、0.5~30質量部である、請求項1~3のいずれか一項に記載のミネラルウール。
  5. 前記カルボン酸ジヒドラジド化合物がアジピン酸ジヒドラジドである、請求項1~4のいずれか一項に記載のミネラルウール。
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