JP2002166406A - 木質セメント板の製造方法 - Google Patents

木質セメント板の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、寸法安定性が大巾に改良さ
れ、また塗膜密着性の良い木質セメント板を提供するこ
とにある。 【解決手段】 セメント系無機材料と、木質補強材と、
平均粒径100μm以上アスペクト比60以上のマイカ
とを含む原料混合物を水に分散せしめて原料スラリーを
抄造して抄造マットをフォーミングし、該抄造マットを
プレスして160℃以上の温度でオートクレーブ養生す
ることによって、マイカ表面を粗面とし、マイカ相互の
接合性を高めかつ塗膜との密着性を確保する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は寸法安定性が改良さ
れた木質セメント板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、無機質板の補強材としては石綿が
使用されていたが、石綿微粉末の飛散によって環境汚染
が問題となり、石綿に代わる補強材として木片や木質繊
維等の木質補強材が用いられるようになった。
【0003】しかし、木質補強材で補強した木質セメン
ト板は寸法安定性に劣り、吸湿乾燥によって伸縮し、反
り等が起り易くなり、ひどい場合には亀裂に至るという
欠点がある。このような欠点を改良するために、木質補
強材とセメントの混合物にマイカを添加することが提案
されている(例えば特公昭57−42580号、特開昭
60−226439号、特開平2−141446号)。
マイカは高弾性率を有し、5〜30重量%程度の添加に
よって木質セメント板の寸法安定性、切断性、釘打ち性
等を大幅に改良するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、木質セ
メント板の表面に多量のマイカが存在した場合に、通常
使用される水性塗料を該木質セメント板の表面に塗布す
ると、該水性塗料が該木質セメント板表面から内部に均
一に浸透することができず、マイカが露出した部分の塗
膜の密着性が悪くなり、剥離し易くなるという問題点が
あった。
【0005】したがって、本発明の課題は、マイカを含
有してもなお塗膜の密着性に優れかつ寸法安定性に優れ
た木質セメント板の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の課
題を解決するための手段として、セメント系無機材料
と、木質補強材と、平均粒径100μm以上アスペクト
比60以上のマイカとを含む原料混合物を水に分散せし
めて原料スラリーを調製し、該原料スラリーを抄造して
抄造マットをフォーミングし、該抄造マットをプレスし
て160℃以上の温度でオートクレーブ養生する木質セ
メント板の製造方法を提供するものである。該抄造マッ
トのオートクレーブ養生は0.5MPa 以上の圧力で行
われることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 〔木質補強材〕本発明に用いられる木質補強材として
は、木粉、木毛、木片、木質繊維、木質パルプ、木質繊
維束、ストランド等があり、該木質補強材には竹繊維、
麻繊維、バカス、モミガラ、稲わら等のリグノセルロー
スを主成分とする材料を混合してもよい。好ましい木質
補強材としては、針葉樹、広葉樹、故紙等を原料とした
フリーネス200C.S.F (カナディアン・フリーネス)
程度のパルプがある。
【0008】〔セメント系無機材料〕本発明に用いられ
るセメント系無機材料としては、ポルトランドセメン
ト、高炉スラグセメント、シリカセメント、フライアッ
シュセメント、アルミナセメント等のセメント類;シリ
カ粉、ケイ砂、ケイ石粉、水ガラス、シリカヒューム、
シラスバルーン、パーライト、ケイ藻土、ドロマイト等
のケイ酸含有物質と上記セメント類とを混合した混合物
等が例示される。これらの中でも、セメント類とケイ酸
含有物質との混合物が好ましく、セメント類とケイ酸含
有物質との混合比(重量比)は1:2〜6:1であるの
が好ましい。
【0009】〔マイカ〕本発明において用いられるマイ
カは、平均粒径100μm以上アスペクト比が60以上
のフレーク状のものである。マイカは、通常層状構造を
有し、吸湿性がなく、剛性を有する高弾性体であり、木
質セメント板の寸法安定性を大幅に向上させることがで
きる。
【0010】〔その他の成分〕本発明の木質セメント板
の成形材料には、上記以外の成分として、セピオライ
ト、ワラストナイト、ガラス繊維、ウイスカ等の無機繊
維、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニ
ウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、ギ
酸カルシウム、酢酸カルシウム、アクリル酸カルシウ
ム、水ガラス等のセメント硬化促進剤、バーミキュライ
ト、ベントナイト等の鉱物粉末、ロウ、ワックス、パラ
フィン、シリコン、界面活性剤等の防水剤や撥水剤、発
泡性熱可塑性プラスチックビーズ、プラスチック発泡体
等が添加されてもよい。なお、これらの例示は本発明を
限定するものではない。
【0011】〔木質セメント板の組成〕本発明の木質セ
メント板の組成において、木質補強材は3〜40重量
%、セメント系無機材料は60〜97重量%、マイカは
1〜10重量%(各々固形分)含まれるのが好ましい。
マイカの含有量が1重量%未満では、得られる無機質板
の寸法安定性を十分に向上させることができず、マイカ
の含有量が10重量%を超えると、原料の均一混合がし
にくゝなり、品質の安定した木質セメント板が得られな
いと共にコストアップにもなる。
【0012】〔木質セメント板の製造〕本発明の木質セ
メント板は、抄造法によって製造される。抄造法におい
ては、上記セメント系無機材料、木質補強材、マイカ等
を含む原料混合物を水に分散させて混練することによっ
て調製した原料スラリーをフェルト上に流下せしめ、抄
造脱水して抄造マットを製造した後、望ましくは20M
Pa以上の圧力でプレスし、160℃以上の温度でオー
トクレーブ養生を行う。この場合、上記スラリーの固形
分濃度は通常5〜15重量%とされ、また抄造マットは
通常抄造によってフォーミングされた抄造シートをメイ
キングロールに巻き取り6層〜10層に積層することに
より製造する。
【0013】上記木質セメント板の製造工程において
は、原料スラリーを抄造して、抄造マットをフォーミン
グする場合、アスペクト比60以上の薄片マイカを使用
するので、該マイカは抄造方向に配向し易くなる。そし
て該マイカは多量の水分の存在下で160℃以上の温度
により、望ましくは0.5MPa 以上の圧力下のオート
クレーブ養生によって、マイカ表面からケイ酸質成分や
アルミナ成分が溶出し、そのために該マイカ表面が粗面
になる。更に該マイカは粒度100μm以上の大きい表
面積を有するので、マイカ相互の重なり合い面積が大き
くなる。
【0014】上記したように該マイカの表面は粗面とな
っているから、重なり合い部分で多量の水分の存在下、
該セメント系無機材料から溶出したカルシウム分が該マ
イカ相互の重なり部分の間に入り込み易く、このカルシ
ウム分がマイカ表面から溶出したケイ酸成分および若干
のアルミナ成分と反応して安定したケイ酸カルシウム反
応物が生成され、該反応物はマイカ相互を接着し、上記
したようにマイカ相互の大きな重なり合い面積、即ち接
着面積と相乗してマイカ相互が強固に接合される。その
結果、本発明の木質セメント板は大きな機械的強度と大
巾に改良された寸法安定性を獲得する。
【0015】更に該マイカ表面は粗面となっているか
ら、該マイカが木質セメント板表面に多量に存在してい
ても、該木質セメント板表面に塗装を施した場合、塗料
との密着性が該マイカによって阻害されなくなる。
【0016】このようにして製造された本発明の木質セ
メント板表面に塗装を施すには、例えば有機溶剤溶液型
のアクリル系樹脂塗料、水性エマルジョン型のアクリル
樹脂系塗料、ウレタン系樹脂塗料、シリコン系樹脂塗料
等の下塗り塗料が塗布され、更にその上に所望なれば上
記下塗り塗料と同様な塗料による中塗り塗料が塗布さ
れ、その上に例えば有機溶剤溶液型のアクリル系樹脂塗
料、水性エマルジョン型のアクリル樹脂系塗料、有機溶
剤溶液型シリコンアクリル樹脂系塗料等の上塗り塗料が
塗布される。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0018】〔実施例1〜5,比較例1〜4〕無機質板
の原料として、表1に示す組成の原料混合物を用意し
た。
【0019】
【表1】
【0020】上記原料混合物を水に分散して固形分10
重量%の原料スラリーを調製し、該原料スラリーをフェ
ルト上に抄造して抄造マットをフォーミングし、該抄造
マットを圧力23MPa でプレスして温度50℃で24
時間一次養生し、更に比較例2を除いては170℃、
0.7MPa 、7時間のオートクレーブ養生を行ない、
比較例2は120℃、0.1MPa 、7時間のオートク
レーブ養生することにより木質セメント板試料を作成し
た。
【0021】次に、各木質セメント板試料の表面に、下
塗りとして水性エマルジョン型アクリル系樹脂塗料をス
プレーによって100 g/m2の塗布量で塗装して105
℃、10分の加熱乾燥し、更にその上に中塗りとして有
機溶剤溶液型湿気硬化型ウレタン樹脂系塗料をロールコ
ーターによって100 g/m2の塗布量で塗装して105
℃、5分の加熱乾燥し、その上に有機溶剤溶液型シリコ
ンアクリル樹脂系塗料を100 g/m2の塗布量で塗装し
て105℃、5分の加熱乾燥した。
【0022】上記各種セメント板試料について、曲げ強
度、絶乾比重、吸水伸び率、放湿収縮率、耐凍性、マイ
クロクラック試験及び塗膜密着試験の各試験を行った。
各試験方法は以下の通りである。上記各試験の結果を表
2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2から明らかなように、マイカが添加さ
れていない比較例1の試料は曲げ強度が各実施例の試料
に比べて若干低く、かつ寸法安定性(吸水伸び率、放湿
収縮率)に劣り、またマイクロクラックが多数発生し、
160℃以下でオートクレーブ養生を行った比較例2は
寸法安定性、耐凍性が劣り、マイクロクラックも多少発
生し、塗膜密着性も不良であり、アスペクト比60以下
のマイカを使用した比較例3は耐凍性が若干劣りかつマ
イクロクラックが多少発生し、アスペクト比が60以下
でかつ平均粒径100μm以下のマイカを使用した比較
例4は放湿収縮率が若干大きく、耐凍性も若干悪く、ま
たマイクロクラックも多少発生し、塗膜の密着性も不良
である。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、マイカを含有してもな
お塗膜の密着性に優れかつ寸法安定性が大巾に改良され
た木質セメント板が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 14:38 C04B 16:02 Z 16:02 14:20) A 14:20) B28B 11/00 A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント系無機材料と、木質補強材と、平
    均粒径100μm以上アスペクト比60以上のマイカと
    を含む原料混合物を水に分散せしめて原料スラリーを調
    製し、該原料スラリーを抄造して抄造マットをフォーミ
    ングし、該抄造マットをプレスして160℃以上の温度
    でオートクレーブ養生することを特徴とする木質セメン
    ト板の製造方法
  2. 【請求項2】該抄造マットのオートクレーブ養生は0.
    5MPa 以上の圧力で行われる請求項1に記載の木質セ
    メント板の製造方法
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