JP4244285B2 - 自動制御用モータの動力伝達機構 - Google Patents

自動制御用モータの動力伝達機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動制御用モータの動力伝達機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空調設備、化学プラント設備等における自動制御の一つに、ダクトに設置したダンパーの開閉制御があり、いわゆるモジュトロールモータを使用した方式と、二位置制御型モータを使用した方式が主として多用されてきたが、近年、二位置制御型モータを使用した方式が構造的に簡素で、低コストであることから主流になりつつある。
【0003】
この二位置制御型の自動制御用モータを用いたダンパー開閉機構は、図5に示すように、ダンパー21が設置されたダクト20の側面に制御用モータ30を取り付け、ダンパー21に例えば2つ設置された上下のダンパー翼23、24の一方のシャフト23aを制御用モータ30の回転部31の取付穴31aに固定すると共に、両シャフト23a、24a間に連結棒25を固定して、回転部31の回転駆動力(回転範囲は約0°〜90°の範囲で設定した二位置間)をこれらシャフト23a、24aに直接伝える構造となっている。
【0004】
ところで、この制御用モータは低コストであるものの、ダンパーの回転軸に直接取り付ける目的で開発されているため、モジュトロールモータのような多目的性がなく、応用範囲が限定される問題があった。
【0005】
従来、二位置制御型の自動制御用モータの応用を目的として、図6に示すような動力伝達機構が考えられている。この動力伝達機構は、制御用モータ30の回転部31の取付穴31aに軸棒32を貫通させて取り付け、該軸棒32に第1アーム33を固定し、一端を軸支した支持軸34に第2アーム35を固定し、第1、第2のアーム33、35間にリンク36をピン結合して四節リンクとすると共に、第2アーム35に取り付け金具37を介して位置調整可能に駆動リンク38を枢着したものである。取り付け金具37は、第2アーム35の長穴35aを介して該アーム35の所望位置にボルトナット固定され、この取り付け金具37に駆動リンク38がピン結合される。駆動リンク38の下端には、直線状に往復動可能に支持された移動体、たとえば給水器の流量制御弁が取り付けられる。
【0006】
制御用モータ30の回転部31を設定した二位置間で左向きに一方向に回転すると、軸棒32により第1アーム33と、これにリンク36で連結された第2アーム35が同方向に揺動され、第2アーム35に連結された駆動リンク38が下がる。また、逆にその状態から回転部31を右向きに逆方向に回転すると、駆動リンク38が上がる。これにより、駆動リンク38に結合された流量制御弁の弁体が上下に昇降されて、流路の流量制御あるいは開閉制御が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示す動力伝達機構は、第1、第2アーム33、35とリンク36とをピン結合した四節リンク機構という複雑な構造を必要とし、またピン結合部が多いため、ピン結合部の隙間による変位量のずれが多くなって、微妙な制御が困難で、モータの入力変位と制御対象の出力変位のゲインが一定でなくなる可能性もある。
【0008】
このようなことから、従来は、二位置制御型の自動制御用モータは直結駆動のダンパー開閉制御のみ使用され、空調設備や化学プラント設備等における自動制御設備の広範囲の場所での使用はなく、自動制御設備のコスト低減が十分にできない一因にもなっていた。
【0009】
また該制御用モータをダンパー開閉制御に用いる場合、ダンパー翼の全閉と全開だけではなく、開度の上下限を制限した使用も多々あるが、この場合、モータの電気信号上の規制を与えることが必要になる。しかし、そのためには電気制御信号出力系に特別な装置を必要とし、調整には自動制御の専門知識を有する者が必要になる。このため自動制御機器の設置現場での対応力の低下と、試運転調整上のコスト増を招く原因にもなっていた。
【0010】
従って本発明の課題は、二位置制御型などの自動制御用モータの動力を簡単な構造でかつ小さい変位量のずれで移動体に伝達して、移動体を移動制御することを可能とした自動制御用モータの動力伝達機構を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の自動制御用モータの動力伝達機構は、自動制御用モータの回転部に貫通させて取り付けられ、両端が前記モータを設置した支持台に軸支された軸棒と、前記回転部に一端が取り付けられ、他端に前記軸棒に当接する穴部を有する揺動アームと、前記揺動アームに位置調整自在に軸支された取付部材と、一端が前記取付部材に軸支され、他端が直線状に移動可能に支持された移動体に軸支された駆動リンクとからなることを特徴とする。また本発明によれば、前記揺動アームは、軸棒の方向に延びた長穴を有し、前記取付部材を前記長穴を介して前記揺動アームに位置調整自在に固定したことを特徴とする。また本発明によれば、前記移動体は上下動して流路の流量制御または開閉制御を行う。
【0012】
【作用】
制御用モータの回転部を設定した二位置間で、一方向に回転すると、回転する軸棒と共に揺動アームが軸棒を中心として同方向に揺動し、揺動アームに取付金具を介して軸支した駆動リンクの上端が同方向に揺動して、駆動リンクの下端が例えば降下し、移動体が下方に移動される。そしてその状態から制御用モータの回転部を逆方向に回転すると、揺動アームおよび駆動リンクの逆方向の揺動により、移動体が上方に移動される。これにより、移動体の移動制御をすることができるが、駆動リンクを除けば1つの揺動部を有する構造で動力伝達機構を構成しているので、動力伝達機構の構造が簡単である。またピン結合部分が少ないので、制御用モータの動力を小さい変位量のずれで移動体に伝達して、移動制御することが可能になる。したがって、自動制御用モータの用途を拡大することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
【0014】
図1には、本発明の自動制御用モータの動力伝達機構を給水器の流量制御弁に適用した実施の形態が示されている。
【0015】
本実施の形態の動力伝達機構は、自動制御用モータ1の回転部2に取り付けた軸棒3と、回転部2に取り付けた揺動アーム4と、揺動アーム4に取付金具7を介して位置調整自在に一端を取り付けた駆動リンク12とを備え、駆動リンク12に給水器の給水配管に介設した流量制御弁14の弁棒15が係合されている。流量制御弁14は、図示しない玉型状の弁体が内蔵され、弁棒15により弁体を上下移動する構造になっている。
【0016】
制御用モータ1は、二位置制御型の自動制御用モータで、約0°〜90°の範囲で設定した二位置間で回転する回転部2を備えている。該モータ1は、水平な支持台10上に固定設置される。この支持台10は、両側部にL字状に突出した1対の支持部10aを備えている。軸棒3は、モータ1の回転部2の中央の取付穴2aを水平に貫通させると共に、取付穴2a内で回転部2に固定されている。モータ1の回転部2を貫通した軸棒3の両端は、支持台10の1対の支持部10aに回転自在に支持されている。
【0017】
揺動アーム4は、軸棒3と直交した面内で水平方向に延びる平行部4aの一端部にモータ1の回転部2の側面と平行な2つの取付部4bを設けた略長方形の板金(厚み3mm以下)からなり、図2(a)に示すように、2つの取付部4bは、板金の一端部を内側、外側に二度折曲し、先端側の折曲部を打ち抜くことによって二股に形成されている。この二股の取付部4bに設けられた孔4b1に、図1に示すように、モータ1の回転部2の端面から突出するUボルトのねじ切りされた端部2bを嵌め、端部2bに取付部4b上からナット2cを締結することにより、揺動アーム4がモータ1の回転部2に取り付けられる。なお、Uボルトは他端の曲部が回転部2内に、軸棒3を囲むように取り付けられている。
【0018】
揺動アーム4の他端部には、軸棒3を受ける穴部5が設けられている。図では、穴部5は切り欠け形状であるが、穴状であってもよく、本明細書では、これらを総称して穴部と呼ぶ。この穴部5は、揺動アーム4の揺動中心となる軸棒3に揺動アーム4の他端部を支持させるためのもので、本例では、穴部5は他端部の側端から横長のU字状に形成されている。このU字状の穴部5は、軸棒3の外面にガタつきなく当接するように、穴部5の内側寄りの部分は、軸棒3の外面と同一の曲率を有している。該穴部5は、図2(b)に示すように、揺動アーム4の他端部に下側から設けても、あるいは上側から設けてもよく、さらには軸棒3に嵌合する丸穴あるいは楕円穴であってもよい。
【0019】
揺動アーム4の平行部4aには、その長手方向に延びる長穴6が開設され、また取付金具7寄りの外面位置に、平行部4aから外側に向けて起立するように突片4cが設けられている。取付金具7は、図3(b)に示すように、その上端と長手方向の途中位置に回転部2の方向に垂直に起立するように上下のガイド片7a、7bが設けられ、また下のガイド片7bの直上の外面側の位置に突片7cが設けられている。図3では、取付金具7の本体の平板面から外方に垂直に板金を折り曲げて突片7cを形成しているが、別途金属片を溶接して突片7cを設けてもよい。この取付金具7の下端に駆動リンク12の上端がピン12aによって軸支されている。
【0020】
取付金具7の上下のガイド片7a、7bを揺動アーム4の平行部4a(軸棒3に直交した面内で水平に延びた部分の全体)の上端および下端に当て、ガイド片7a、7bで平行部4aを挟持するようにして取付金具7を平行部4aに沿って所望の位置に移動し、その位置で揺動アーム4の突片4cの孔4c1と取付金具7の突片7cの孔7c1に挿通したボルト8aと、これに螺合したナット8b、8cで突片4cを締め付け、ナット8dおよび図示しない裏側のナットで突片7cを締め付けることにより、取付金具7の位置を固定する。取付金具7はボルト8aのねじ回転に応じて移動量の微調整が可能である。ついで揺動アーム4の長穴6を通って取付金具7の上部の孔7dに挿通したボルト9aと、これに螺合したナット9bと図示しない裏側のナットとで取付金具7を締め付けて縦方向のずれを規制し、取付金具7を揺動アーム4に固定する。これにより、揺動アーム4に駆動リンク12が該アーム4の長手方向上の位置を調整自在に軸支される。
【0021】
前記の支持台10には、取付金具7の下端位置近くにその幅より十分に長い駆動リンク12の通路としての長方形の穴11が開口されており、駆動リンク12の上端は、この穴11を下から通って取付金具7の下端に軸支される。駆動リンク12の下端には、給水器の玉形水量制御弁14の弁棒15の上端がピン12bにより軸支される。制御弁13は、支持台10の下面に設けた一対の支持アーム13により支持台10の下に保持されている。
【0022】
上記の動力伝達機構によれば、制御用モータ1の回転部2を設定した二位置間で、左向きに一方向に回転すると、回転する軸棒3と共に揺動アーム4が軸棒3を中心として同方向に揺動して下がり、揺動アーム4に取付金具7を介して軸支した駆動リンク12の上端が同方向に揺動して下がって、駆動リンク12の下端が降下する。取付金具7と弁棒15との間の距離は、駆動リンク12によって変わらないので、制御弁14内に上下方向に摺動自在に支持された弁棒15は、駆動リンク12が下がると下方に移動される。これにより、弁棒15下端の弁体による流路の開度が設定値に狭まり、設定によっては全閉する。逆にその状態から回転部2を右向きに回転すると、駆動リンク12が上り、弁棒15が上昇して弁体による流路の開度が設定値に広がり、設定によっては全開する。以上により、流量制御弁14の流量制御あるいは開閉制御が行われる。
【0023】
制御用モータ1の設定した二位置間で、制御弁14の流量を変更するには、揺動アーム4への取付金具7の固定を解いて、取付金具7を揺動アーム7の平行部4a上で所望位置に移動し、その位置に固定すればよい。揺動中心の軸棒3からの駆動リンク12の上端位置(揺動半径)が変わるので、制御弁14の流量を変更することができる。
【0024】
本発明の他の実施の形態について示す。本実施の形態では、図4に示すように、自動制御用モータの動力伝達機構をギロチン式ダンパーのダンパー翼開閉制御に適用した。
【0025】
ダンパー21は、底壁にダンパー翼18の下半部を収容する縦溝19を備える。ダンパー翼18は、その上端の幅方向中央位置に取り付けたロッド16によって吊り下げられている。ダンパー21の上壁には、ガイド筒17が貫通して設置され、このガイド筒17内にロッド16を通すことにより、ロッド16に吊り下げられたダンパー翼18をガイド筒17に沿って上下方向に昇降自在に設置している。ガイド筒17を通って上方に突出したロッド16の上端は、駆動リンク12の下端にピン12aにより軸支されている。
【0026】
動力伝達機構自体は、図1〜図3を参照して説明した前の実施の形態と同様であり、支持台10上に設置された自動制御用モータ1の回転部2に取り付けた軸棒3と、回転部2に取り付けて両端を支持台10の支持板10aに回転自在に支持させた揺動アーム4と、揺動アーム4に取付金具7を介して位置調整自在に一端を取り付けた駆動リンク12とを備えてなる。支持台10は、その下面に設けた1対の脚板10cを介してダンパー21上に固定設置されている。
【0027】
本実施の形態によれば、制御用モータ1の回転部2を設定した二位置間で、右向きに一方向に回転すると、回転する軸棒3と共に揺動アーム4が軸棒3を中心として同方向に揺動して上がり、揺動アーム4に取付金具7を介して軸支した駆動リンク12の上端が同方向に揺動して上がって、駆動リンク12の下端が上昇するので、ロッド16、したがってダンパー翼18が上昇して、ダンパー翼18によるダンパー21の開度が設定値に狭まり、設定によっては全閉する。逆にその状態から回転部2を左向きに回転すると、駆動リンク12が上り、ダンパー翼18が上昇して、ダンパー21の開度が設定値に広がり、設定によっては全開する。以上により、ダンパー21の流量制御あるいは開閉制御が行われる。
【0028】
以上のように、本発明では、二位置制御型などの自動制御用モータの動力伝達機構を、駆動リンクを除けば1つの揺動部を有する構造で構成したので、動力伝達機構の構造が簡単である。またピン結合部分が少ないので、制御用モータの動力を小さい変位量のずれで移動体に伝達して、移動制御することが可能になる。したがって、自動制御用モータの用途を拡大することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の自動制御用モータの動力伝達機構によれば、自動制御用モータの動力を簡単な構造でかつ小さい変位量のずれで移動体に伝達して、移動体を移動制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、自動制御用モータの動力伝達機構を流量制御弁の流量制御に適用したところを示す斜視図である。
【図2】図1の動力伝達機構の揺動アームを示す斜視図である。
【図3】図2の揺動アームに駆動リンクを取り付けるための取付金具およびその固定法を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】従来の自動制御用モータによるダンパーの開閉制御を示す斜視図である。
【図6】自動制御用モータを流量制御弁の流量制御に使用する際に従来適用が考えられている動力伝達機構を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 自動制御用モータ
2 回転部
3 軸棒
4 揺動アーム
4b 取付部
5 穴部
6 長穴
7 取付金具
10 支持台
11 開口
12 駆動リンク
14 流量制御弁
15 弁棒
16 ロッド
18 ダンパー翼
21 ダンパー

Claims (3)

  1. 自動制御用モータの回転部に貫通させて取り付けられ、両端が前記モータを設置した支持台に軸支された軸棒と、前記回転部に一端が取り付けられ、他端に前記軸棒に当接する穴部を有する揺動アームと、前記揺動アームに位置調整自在に軸支された取付部材と、一端が前記取付部材に軸支され、他端が直線状に移動可能に支持された移動体に軸支された駆動リンクとからなることを特徴とする自動制御用モータの動力伝達機構。
  2. 前記揺動アームは、軸棒の方向に延びた長穴を有し、前記取付部材を前記長穴を介して前記揺動アームに位置調整自在に固定したことを特徴とする請求項1記載の自動制御用モータの動力伝達機構。
  3. 前記移動体は上下動して流路の流量制御または開閉制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の自動制御用モータの動力伝達機構。
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