JP4244245B2 - 水平対向型多気筒エンジンにおけるオイル戻し通路構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線を略水平とした複数のシリンダボアがシリンダブロックに並設され、各シリンダボアに個別に対応した複数の燃焼室が、各シリンダボアに摺動自在に嵌合されるピストンおよびシリンダヘッド間に形成され、各燃焼室に対する吸・排気を司る複数の吸気弁および複数の排気弁に連動、連結されるカムシャフトが、前記シリンダヘッドと該シリンダヘッドに結合されるヘッドカバーとの間に形成される動弁室内に配置され、前記シリンダブロックに結合されるクランクケース内のクランク室で前記各ピストンが共通に連結されるクランクシャフトと、前記カムシャフトとの間に、前記クランクシャフトの回転動力を1/2に減速してカムシャフトに伝達する伝動機構が設けられるエンジンに関し、特に、動弁室からクランク室にオイルを戻すためのオイル戻し通路構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかるエンジンにあっては、たとえば実開昭63−65811号公報で開示されるように、シリンダヘッドおよびシリンダブロックにオイル戻し通路が設けられるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のように、専用のオイル戻し通路がシリンダブロックおよびシリンダヘッドに設けられる構成では、そのオイル戻し通路の配置スペース分だけシリンダブロックおよびシリンダヘッドが大きくなり、重量増加にもつながることになる。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、専用のオイル通路を不要として軽量かつコンパクト化を図りつつ、動弁室のオイルをクランク室に戻し得るようにした水平対向型多気筒エンジンにおけるオイル戻し通路構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、相互に締結される左右クランクケースの相互間に形成したクランク室に、その両クランクケースの分割面に沿って水平に延びる単一のクランクシャフトが配置されると共に、そのクランクシャフトの両側で軸線を略水平として対向配置される複数のシリンダボアを各々並設した左右シリンダブロックが左右クランクケースにそれぞれ連設され、その左右シリンダブロックの各シリンダボアに個別に対応した複数の燃焼室が、各シリンダボアに摺動自在に嵌合されるピストンと、その左右シリンダブロックにそれぞれ結合した左右シリンダヘッドとの間に形成され、各燃焼室に対する吸・排気を司る複数の吸気弁および複数の排気弁に連動、連結されるカムシャフトが、左右シリンダヘッドとその両シリンダヘッドにそれぞれ結合される左右ヘッドカバーとの間に形成される左右動弁室内にそれぞれ配置され、クランク室で各ピストンが共通に連結されるクランクシャフトと、左右動弁室内のカムシャフトとの間に、クランクシャフトの回転動力を1/2に減速してカムシャフトに伝達する伝動機構が設けられる水平対向型多気筒エンジンにおけるオイル戻し通路構造において、
クランクシャフトの一端に固定される駆動スプロケットならびに左右動弁室内のカムシャフトの一端に固定される被動スプロケットに無端状のチェーンが巻掛けられて成る前記伝動機構が、左右動弁室に一端部を通じさせるとともにクランクシャフトの軸方向一端を他端部に臨ませるようにして左右ヘッドカバー、左右シリンダヘッド、左右シリンダブロックおよびクランクケース間にわたって形成される伝動室に収納され、クランクシャフトの軸線方向に沿う複数箇所で左右一方のクランクケースに一体に形成される複数のジャーナル壁と、それらジャーナル壁にそれぞれ締結した複数の軸受キャップとによりクランクシャフトが回転自在に支承されると共に、それらジャーナル壁に当接される複数のリブが、各軸受キャップを囲むようにして左右他方のクランクケースに一体に形成され、伝動室の他端下部をクランク室に連通せしめる戻し孔が、各ジャーナル壁のうち伝動室に臨むジャーナル壁と、このジャーナル壁に当接されるリブとに亘って、且つ該ジャーナル壁への軸受キャップの締結方向に沿って長く延びるように形成され、該戻し孔は、これが前記一方のクランクケース側に偏った配置となるように、ジャーナル壁側の戻し孔部分がリブ側の戻し孔部分よりも前記締結方向に長く形成されることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、伝動機構がチェーンを介して動力伝達を行なうものであるので該伝動機構を収納せしめた伝動室にオイルを流通させることが可能であって、カムシャフトおよびクランクシャフト間に設けられる伝動機構を収納する伝動室を用いて動弁室から戻し孔を経てクランク室にオイルを戻すことが可能であり、したがって、少なくとも伝動室からクランク室に戻るオイルの流通分については、シリンダブロックおよびシリンダヘッドに専用のオイル戻し通路を設けることが不要であるので、シリンダブロックおよびシリンダヘッドをその分だけコンパクト化し、軽量化を図ることができる。
【0007】
また上記戻し孔が軸受キャップの締結方向に沿って長く形成されるので、クランクシャフトの支持剛性を損なうことなく、戻し孔の開口面積を比較的広く設定することができ、クランク室へのオイル戻し性が向上する。
【0008】
さらに一対のシリンダボア列を略水平な面内で対向せしめた水平対向エンジンにおいて、軸受キャップとともにクランクシャフトを支持するジャーナル壁が一体に形成されない側のクランクケースの剛性が低下するのを回避しつつ、戻し孔の開口面積をより大きくしてオイルの戻り性をより一層向上することができる。
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記左右動弁室が、クランクシャフト及び左右の各シリンダボアの軸線を含む平面よりも上方に配置されることを特徴とし、かかる構成によれば、左右動弁室内から伝動室の一端部に導入されたオイルを、伝動室の他端部すなわちクランクシャフトの一端を臨ませる部分まで導くことが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図14は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車に搭載された水平対向型エンジンの側面図、図2は図1の2矢視正面図、図3は図1の3−3線拡大断面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図4の5−5線矢視拡大図、図6は図4の6−6線矢視拡大図、図7は図4の7−7線拡大断面図、図8は図4の8−8線矢視拡大図、図9は図4の9−9線拡大断面図、図10は図8の10−10線断面図、図11は図3の11−11線断面図、図12は図11の12−12線断面図、図13はミッションケースを後方側から見た簡略図、図14は図13の14−14線拡大断面図である。
【0011】
先ず図1および図2において、自動二輪車には4サイクルである多気筒たとえば6気筒の水平対向型エンジンが搭載されており、該エンジンのエンジン本体Eは、自動二輪車の走行方向前方を向いた状態で左側に配置される左エンジンブロックBL と、前記走行方向前方を向いた状態で右側に配置される右エンジンブロックBR とを備える。
【0012】
図3および図4を併せて参照して、左エンジンブロックBL は、複数たとえば3つのシリンダボア21L …が並列配置されて成る左側シリンダボア列22L を構成する左シリンダブロック23L と、各シリンダボア21L …にそれぞれ摺動自在に嵌合されるピストン25L …との間に燃焼室26L …をそれぞれ形成して左シリンダブロック23L に結合される左シリンダヘッド24L とを備え、左シリンダヘッド24L とは反対側でシリンダブロック23L に左クランクケース27L が一体に形成される。また右エンジンブロックBR は、複数たとえば3つのシリンダボア21R …が並列配置されて成る右側シリンダボア列22R を構成する右シリンダブロック23R と、各シリンダボア21R …にそれぞれ摺動自在に嵌合されるピストン25R …との間に燃焼室26R …をそれぞれ形成して右シリンダブロック23R に結合される右シリンダヘッド24R とを備え、右シリンダヘッド24R とは反対側でシリンダブロック23R に右クランクケース27R が一体に形成される。
【0013】
両エンジンブロックBL ,BR は、各シリンダボア21L …,21R …の軸線を略水平として対向配置されるものであり、両エンジンブロックBL ,BR がそれぞれ備える左、右クランクケース27L ,27R が相互間にクランク室28を構成して締結される。
【0014】
両エンジンブロックBL ,BR の各ピストン25L …,25R …は、一端側を自動二輪車の前後方向に沿う前方側に配置して自動二輪車の前後方向に軸線を沿わせたクランクシャフト29に、コンロッド30L …,30R …を介して共通に連結されるものであり、該クランクシャフト29は、両クランクケース27L ,27R の一方、この実施例では左クランクケース27L に前記クランクシャフト29の軸線方向に間隔をあけた複数箇所で一体に形成されるジャーナル壁31…と、それらのジャーナル壁31…に一対ずつのボルト33,33でそれぞれ締結される軸受キャップ32…とで回転自在に支持される。
【0015】
しかも右エンジンブロックBR 側でシリンダボア列22R を構成する各シリンダボア21R …は、左エンジンブロックBL 側でシリンダボア列22L を構成する各シリンダボア21L …よりも、自動二輪車の前後方向に沿う前方側に第1のオフセット量L1だけオフセットした位置に配置されている。
【0016】
図5、図6および図7を併せて参照して、左シリンダヘッド24L には、各燃焼室26L …に通じ得る吸気通路34L …および排気通路35L …が、各燃焼室26L …毎に吸気通路34L および排気通路35L を1つずつ対応させるようにして設けられるとともに、各吸気通路34L …を開閉する吸気弁36L …ならびに各排気通路35L …を開閉する排気弁37L …が配設される。
【0017】
吸気弁36L …および排気弁37L …は、シリンダボア21L …およびクランクシャフト29の軸線を通る平面38L から上方に偏倚した位置で、排気弁37L …を吸気弁36L …よりも自動二輪車の前後方向に沿う前方側に配置するようにして、クランクシャフト29の軸線と平行な方向に並んで配置される。前記平面38L に関して吸気弁36L …および排気弁37L …が配置される側とは反対側すなわち平面38L より下側で左シリンダヘッド24L には、吸気弁36L …および排気弁37L …間に対応する位置で各燃焼室26L …の中央部にそれぞれ臨む点火プラグ39L …が取付けられる。
【0018】
吸気弁36L …および排気弁37L …は、前記平面38L と鋭角をなす方向に傾斜して左シリンダヘッド24L に配設されており、前記平面38L に関して吸気弁36L …および排気弁37L …が配置される側とは反対側すなわち平面38L より下側で左シリンダヘッド24L には、該平面38L に対して鋭角をなすように傾斜せしめて点火プラグ39L …を取付けるためのプラグ取付け孔40L …が設けられる。すなわち点火プラグ39L …は斜め下向きで左シリンダヘッド24L に取付けられる。
【0019】
各吸気通路34L …は、各シリンダボア21L …の軸線に直交する投影図上では、前記平面38L にほぼ直交するように延びて左シリンダヘッド24L に設けられており、前記平面38L に関して各吸気弁36L …および各排気弁37L …が配置される側すなわち上側で左シリンダヘッド24L の一側面に開口する。各排気通路35L …は、前記平面38L に関して各吸気弁36L …および各排気弁37L …が配置される側と反対側すなわち下側で左シリンダヘッド24L の他側面に開口するものであり、点火プラグ39L …、すなわち点火プラグ39L …を取付けるためのプラグ取付け孔40L …を迂回すべくクランクシャフト29の一端側である自動二輪車の前方側に膨らむように曲げられている。
【0020】
各排気通路35L …は、自動二輪車の幅方向中央側に向けて傾斜した下向きで前記左シリンダヘッド24L の他側面すなわち下側面に開口するように形成される。また各排気通路35L …に個別に通じる排気管41L …,触媒コンバータ42および図示しない排気マフラー等で排気装置43L が構成されるのであるが、該排気装置43L の各排気管41L …は、左シリンダヘッド24L から下方に向うにつれて自動二輪車の幅方向中央部側に寄るように傾斜して、各排気通路35L …の外端開口部に接続される。
【0021】
各排気通路35L …の外端開口部の中心は、各燃焼室26L …の中心CL …から自動二輪車の前方側に第2のオフセット量L2だけオフセットした位置に配置される。
【0022】
前記平面38L に関して各吸気弁36L …および各排気弁37L …が配置される側、すなわち前記平面38L よりも上方側には、クランクシャフト29と平行であるとともに各吸気弁36L …および各排気弁37L …の開閉作動軸線と直交する軸線を有する単一のカムシャフト46L が配置される。一方、閉弁方向すなわち上方に向けてばね付勢された各吸気弁36L …および各排気弁37L …の上端は、それらの弁36L …,37L …の作動軸線に沿う方向への摺動を可能として左シリンダヘッド24L に支持される弁リフタ47L …に当接されており、カムシャフト46L には、吸気弁36L …に対応した弁リフタ47L …に当接する吸気側カム48L …と、排気弁37L …に対応した弁リフタ47L …に当接する排気側カム49L …とが設けられる。すなわち各吸気弁36L …および各排気弁37L …は、カムシャフト46L の吸気側カム48L …および排気側カム49L …で直接開閉駆動される。
【0023】
カムシャフト46L は、該カムシャフト46L の軸線方向に間隔をあけた複数箇所たとえば4箇所で左シリンダヘッド24L に設けられるカム軸受部50L …と、それらのカム軸受部50L …に共通に締結されるカムホルダ51L とで回転自在に支承される。而して各カム軸受部50L …のうち3つのカム軸受部50L …は、各燃焼室26L …に対応した吸気弁36L …および排気弁37L …間に配置されるようにして左シリンダヘッド24L に設けられ、残余の1つのカム軸受部50L は、カムシャフト46L の一端側(自動二輪車の前端側)最外端に配置される燃焼室26L よりもさらに外方側で左シリンダヘッド24L に設けられている。
【0024】
ところで、カムシャフト46L 内には、両端を閉じたオイル通路52L が同軸に設けられており、各カム軸受部50L …に対応する位置でカムシャフト46L には、図3で示すように、その内外面間にわたる給油孔53L …が設けられる。したがって各カム軸受部50L …およびカムホルダ51L と、カムシャフト46L との間に潤滑用のオイルが供給される。しかもカムシャフト46L の一端側最外端に配置されるカム軸受部50L には、カムシャフト46L の外面に対向するオイル溝54L が設けられ、左シリンダヘッド24L および左シリンダブロック23L に設けられる給油路55L が前記オイル溝54L に連通される。したがって、給油路55L からオイル溝54L および給油孔53L を介してカムシャフト46L 内のオイル通路52L にオイルが給油される。
【0025】
また各吸気側カム48L …および排気側カム49L …にもカムシャフト46L 内のオイル通路52L に通じる給油孔(図示せず)が、各吸気側カム48L …および排気側カム49L …の外面に外端を開口するようにして設けられており、各吸気側カム48L …および排気側カム49L …と、各吸気弁36L …および各排気弁37L …にそれぞれ対応した弁リフタ47L …との摺接部にも潤滑用のオイルがそれぞれ供給される。
【0026】
左シリンダヘッド24L は、複数箇所で左シリンダブロック23L に締結されるのであるが、前記平面38L に関して吸気弁36L …および排気弁37L が配置される側とは反対側なわち前記平面38L よりも下方側で左シリンダヘッド24L には、各燃焼室26L …間に対応する部分に1つずつ配置される2つの挿通孔56L ,56L を含む複数たとえば4つの挿通孔56L …が、左シリンダヘッド24L を左シリンダブロック23L に締結する締結ボルト57L …をそれぞれ挿通せしめるべくカムシャフト46L の軸線方向に沿って間隔をあけて設けられる。
【0027】
しかも前記各挿通孔56L …のうち点火プラグ39L …を迂回する排気通路35L …にカムシャフト46L の一端側(図7の左側)で隣接する挿通孔56L …の中心と、当該排気通路35L …に対応する燃焼室26L …の中心CL との間の距離L4が、相互に隣接する燃焼室26L …の中心CL 間の距離2L3の1/2であるL3よりも大きく(L3<L4)設定される。
【0028】
また前記平面38L に関して吸気弁36L …および排気弁37L …が配置される側すなわち平面38L よりも上方側で左シリンダヘッド24L には、各燃焼室26L …間に対応する部分に1つずつ配置される挿通孔58L ,58L を含む複数たとえば4つの挿通孔58L …が、左シリンダヘッド24L を左シリンダブロック23L に締結する締結ボルト59L …をそれぞれ挿通せしめるべくカムシャフト46L の軸線方向に沿って間隔をあけて設けられ、各挿通孔58L …すなわち締結ボルト59L …は、カムシャフト46L で一部が覆われる位置に配置される。
【0029】
左シリンダヘッド24L には、カムシャフト46L およびカムホルダ51L を収納せしめる動弁室61L を左シリンダヘッド24L との間に形成するようにして、左ヘッドカバー60L が締結される。しかもカムシャフト46L が、各シリンダボア21L …の軸線を含む平面38L よりも上方に配置されることから、前記動弁室61L も、前記平面38L よりも上方に偏倚するようにして左ヘッドカバー60L および左シリンダヘッド24L 間に形成される。
【0030】
この左ヘッドカバー60L には、排気装置43L における各排気管41L …の各排気通路35L …への接続部、ならびに下向きに配置されている点火プラグ39L …を外側方から覆うカバー部62L が一体に形成される。
【0031】
図8および図9を併せて参照して、右シリンダヘッド24R には、各燃焼室26R …に通じ得る吸気通路34R …および排気通路35R …が、各燃焼室26R …毎に吸気通路34R および排気通路35R を1つずつ対応させるようにして設けられるとともに、各吸気通路34R …を開閉する吸気弁36R …ならびに各排気通路35R …を開閉する排気弁37R …が配設される。
【0032】
吸気弁36R …および排気弁37R …は、シリンダボア21R …およびクランクシャフト29の軸線を通る平面38R から上方に偏倚した位置で、排気弁37R …を吸気弁36R …よりも自動二輪車の前後方向に沿う前方側に配置するようにして、クランクシャフト29の軸線と平行な方向に並んで配置され、前記平面38R より下側で右シリンダヘッド24R には、各燃焼室26 R の中央部にそれぞれ臨む点火プラグ39R …が取付けられる。
【0033】
吸気弁36R …および排気弁37R …は、前記平面38 R と鋭角をなす方向に傾斜しており、前記平面38 R より下側で右シリンダヘッド24R には、該平面38 R に対して鋭角をなすように傾斜せしめて点火プラグ39R …を取付けるためのプラグ取付け孔40R …が設けられ、点火プラグ39R …は斜め下向きで右シリンダヘッド24R に取付けられる。
【0034】
各吸気通路34R …は、各シリンダボア21R …の軸線に直交する投影図上では、前記平面38R にほぼ直交するように延びて右シリンダヘッド24R に設けられており、前記平面38R よりも上側で右シリンダヘッド24R の一側面に開口する。一方、各排気通路35R …は、前記平面38R よりも下側で右シリンダヘッド24R の他側面に開口しており、点火プラグ39R …すなわちプラグ取付け孔40R …を迂回すべくクランクシャフト29の軸方向に沿う一端側である自動二輪車の前方側に膨らむように曲げられている。
【0035】
しかも各排気通路35R …は、自動二輪車の幅方向中央側に向けて傾斜した下向きで前記右シリンダヘッド24R の下側面に開口するように形成されており、各排気通路35R …に個別に通じる排気管41R …ならびに図示しない触媒コンバータ、排気マフラー等で構成される排気装置43R の各排気管41R …は、右シリンダヘッド24R から下方に向うにつれて自動二輪車の幅方向中央部側に寄るように傾斜して各排気通路35R …の外端開口部に接続される。
【0036】
各排気通路35R …の外端開口部の中心は、各燃焼室26R …の中心CR …から自動二輪車の前方側に第2のオフセット量L2だけオフセットした位置に配置される。
【0037】
閉弁方向にばね付勢された各吸気弁36R …および各排気弁37R …の上端は右シリンダヘッド24R に支持された弁リフタ47R …に当接されており、吸気弁36R …に対応した弁リフタ47R …に当接する吸気側カム48R …と、排気弁37R …に対応した弁リフタ47R …に当接する排気側カム49R …とが、クランクシャフト29と平行であるとともに各吸気弁36R …および各排気弁37R …の開閉作動軸線と直交する軸線を有して前記平面38R よりも上方側に配置される単一のカムシャフト46R に設けられる。すなわち各吸気弁36R …および各排気弁37R …は、カムシャフト46R の吸気側カム48R …および排気側カム49R …で直接開閉駆動される。
【0038】
カムシャフト46 R は、該カムシャフト46 R の軸線方向に間隔をあけた複数箇所たとえば4箇所で右シリンダヘッド24R に設けられるカム軸受部50R …と、それらのカム軸受部50R …に共通に締結されるカムホルダ51R とで回転自在に支承される。而して各カム軸受部50R …のうち3つのカム軸受部50R …は、各燃焼室26R …に対応した吸気弁36R …および排気弁37R …間に配置されるようにして右シリンダヘッド24R に設けられ、残余の1つのカム軸受部50R は、カムシャフト46R の一端側(自動二輪車の前端側)最外端に配置される燃焼室26R よりもさらに外方側で右シリンダヘッド24R に設けられている。
【0039】
カムシャフト46R の各カム軸受部50R …に対応する位置には、図3で示すように、内外面間にわたる給油孔53R …が設けられており、各カム軸受部50R …およびカムホルダ51R と、カムシャフト46R との間には、カムシャフト46R 内のオイル通路52R から前記各給油孔53R …を介して潤滑用のオイルが供給される。しかもカムシャフト46R の一端側最外端から2番目のカム軸受部50R には、カムシャフト46R の外面に対向するオイル溝54R が設けられており、右シリンダヘッド24R および右シリンダブロック23R に設けられる給油路55R が前記オイル溝54R に連通される。
【0040】
また各吸気側カム48R …および排気側カム49R …にもカムシャフト46R 内のオイル通路52R に通じる給油孔(図示せず)が設けられており、各吸気側カム48R …および排気側カム49R …と、各吸気弁36R …および各排気弁37R …にそれぞれ対応した弁リフタ47R …との摺接部にも潤滑用のオイルがそれぞれ供給される。
【0041】
前記平面38R よりも下方側で右シリンダヘッド24R には、各燃焼室26R …間に対応する部分に1つずつ配置される2つの挿通孔56R ,56R を含む複数たとえば4つの挿通孔56R …が、右シリンダヘッド24R を右シリンダブロック23R に締結する締結ボルト57R …をそれぞれ挿通せしめるべくカムシャフト46R の軸線方向に沿って間隔をあけて設けられる。
【0042】
前記各挿通孔56R …のうち点火プラグ39R …を迂回する排気通路35R …にカムシャフト46R の一端側(図9の右側)で隣接する挿通孔56R …の中心と、当該排気通路35R …に対応する燃焼室26R …の中心CR …との間の距離L4は、相互に隣接する燃焼室26R …の中心CR 間の距離の1/2(=L3)よりも大(L3<L4)となるように設定される。
【0043】
前記平面38R よりも上方側で右シリンダヘッド24R には、各燃焼室26R …間に対応する部分に1つずつ配置される2つの挿通孔58R ,58R を含む複数たとえば4つの挿通孔58R …が、右シリンダヘッド24R を右シリンダブロック23R に締結する締結ボルト59R …をそれぞれ挿通せしめるべくカムシャフト46R の軸線方向に沿って間隔をあけて設けられ、各挿通孔58R …すなわち締結ボルト59R …は、カムシャフト46R で一部が覆われる位置に配置される。
【0044】
図10を併せて参照して、前記複数たとえば4つの挿通孔58R …のうち、カムシャフト46R の一端側最外端の挿通孔58R は、4つのカム軸受部50R …のうちカムシャフト46R の一端側最外端に配置されるカム軸受部50R に設けられるものであり、前記オイル溝54R は、当該カム軸受部50R に隣接したカム軸受部50R に設けられている。
【0045】
しかも、カムシャフト46R の一端側最外端の挿通孔58R の中心と、カムシャフト46R の一端側最外端に配置される燃焼室26R の中心CR との間の距離L5は、相互に隣接する燃焼室26R …の中心間の距離の1/2(=L3)よりも小さく(L5<L3)設定される。
【0046】
右シリンダヘッド24R には、カムシャフト46R およびカムホルダ51R を収納せしめる動弁室61R を右シリンダヘッド24R との間に形成するようにして、右ヘッドカバー60R が締結され、該動弁室61R も、前記平面38R よりも上方に偏倚するようにして右ヘッドカバー60R および右シリンダヘッド24R 間に形成される。
【0047】
右ヘッドカバー60R には、排気装置43R における各排気管41R …の各排気通路35R …への接続部、ならびに下向きに配置されている点火プラグ39R …を外側方から覆うカバー部62 R が一体に形成される。
【0048】
ところで、上述のように左、右シリンダヘッド24L ,24R に吸気通路34L …,34R …および排気通路35L …,35R …がそれぞれ設けられるのであるが、左シリンダヘッド24L においてクランクシャフト29の軸線方向に沿う各吸気通路34L …および各排気通路35L …の相対位置と、右シリンダヘッド24R においてクランクシャフト29の軸線方向に沿う各吸気通路34R …および各排気通路35R …の相対位置とは、ほぼ同一に設定されている。
【0049】
両シリンダヘッド24L ,24R 間の上方位置には、スロットルボディ63、吸気マニホールド64ならびに各燃焼室26L …,26R …に個別に対応した燃料噴射弁65等を含む吸気装置66が配置されており、両シリンダヘッド24L ,24R の各吸気通路34L …,34R …には、吸気マニホールド64が接続される。
【0050】
左,右エンジンブロックBL ,BR におけるシリンダヘッド24L ,24R およびシリンダブロック23L ,23R には、各排気通路35L …,35R …に個別に通じる二次空気供給路44L …,44R …が設けられており、各二次空気供給路44L …,44R …は、シリンダブロック23L ,23R に設けられるチェック弁45…をそれぞれ介して、図示しない制御弁に接続される。
【0051】
図11を併せて参照して、左エンジンブロックBL 側のカムシャフト46L の一端部およびクランクシャフト29の一端部間には、クランクシャフト29の回転動力を1/2に減速してカムシャフト46L に伝達するための伝動機構68L が設けられ、右エンジンブロックBR 側のカムシャフト46R の一端部およびクランクシャフト29の一端部間には、クランクシャフト29の回転動力を1/2に減速してカムシャフト46R に伝達するための伝動機構68R が設けられる。
【0052】
両伝動機構68L ,68R は、クランクシャフト29の一端部に固定される駆動スプロケット69L ,69R と、カムシャフト46L ,46R の一端部に固定される被動スプロケット70L ,70R とに無端状のチェーン71L ,71R が巻掛けられて成るものである。しかも右エンジンブロックBR 側でシリンダボア列22R を構成する各シリンダボア21R …が、左エンジンブロックBL 側でシリンダボア列22L を構成する各シリンダボア21L …よりも、自動二輪車の前後方向に沿う前方側に第1のオフセット量L1だけオフセットして配置されているのに対応して、右エンジンブロックBR 側の伝動機構68R が、左エンジンブロックBL 側の伝動機構68L よりも自動二輪車の前後方向に沿う前方側にオフセットして配置されるのであるが、両伝動機構68L ,68R 間の間隔L6は、第1のオフセット量L1よりも小さく(L6<L1)設定されている。
【0053】
自動二輪車の前後方向に沿う左エンジンブロックBL の前端部において、ヘッドカバー60L 、シリンダヘッド24L 、シリンダブロック23L およびクランクケース27L 間にわたっては、一端を動弁室61L に臨ませるとともに他端部にクランクシャフト29の一端を臨ませて前記伝動機構68L を収納する伝動室72L が形成され、また自動二輪車の前後方向に沿う右エンジンブロックBR の前端部において、ヘッドカバー60R 、シリンダヘッド24R 、シリンダブロック23R およびクランクケース27R 間にわたっては、一端を動弁室61R に臨ませるとともに他端部にクランクシャフト29の一端を臨ませて前記伝動機構68R を収納する伝動室72R が形成される。而して両伝動室72L ,72R の他端部は、クランクシャフト29の一端を臨ませるようにして共通に形成されるものであり、両伝動室72L ,72R の他端部に臨んで左、右クランクケース27L ,27R に設けられる開口部73は、左、右クランクケース27L ,27R に締結される蓋部材74で閉塞される。
前記伝動室72L ,72R の他端部内において前記両駆動スプロケット68L ,68R よりも外方側に位置するようにして、クランクシャフト29の一端部にはパルスロータ75が固定されており、左、右クランクケース27L ,27R の一方、この実施例では左クランクケース27L に、パルスロータ75の外周に対向したセンサ76が取付けられる。該センサ76は、パルスロータ75の外周に設けられている歯部の通過を検出するものであり、クランクシャフト29の回転位置が該センサ76で検出される。
【0054】
また両カムシャフト46L ,46R の一方、この実施例ではカムシャフト46L の一端部において、被動スプロケット70L よりも外方側にはパルスロータ77が固定されており、カムシャフト46L の回転位置を検出するためのセンサ(図示せず)が該パルスロータ77の外周に対向して左シリンダヘッド24L に取付けられる。
【0055】
ところで、クランクシャフト29は、図11の矢印78で示す回転方向で回転するものであり、左側の伝動機構68L において駆動スプロケット69L から被動スプロケット70L に向けてのチェーン71L の往行部すなわち下方走行部には、チェーンテンショナ79L が弾発的に摺接されており、また被動スプロケット70L から駆動スプロケット69L に向けてのチェーン71L の復行部すなわち上方走行部にはチェーンガイド80L が摺接される。
【0056】
チェーンテンショナ79L は前記チェーン71L の走行方向に沿って長く形成されるものであり、該チェーンテンショナ79L の一端部は、クランクシャフト29を複数のジャーナル壁31…と共働して回転自在に支承する複数の軸受キャップ32…のうち、伝動機構68L に最も近い軸受キャップ32にクランクシャフト29の回転軸線と平行な軸線を有する支軸81L を介して回動可能に支持される。また左シリンダブロック23L には、チェーンテンショナ79L をチェーン71L に押付ける方向の力を発揮して該チェーンテンショナ79L の長手方向中間部に当接するテンショナリフタ82L が取付けられる。
【0057】
チェーンガイド80L は、チェーン71L の走行方向に沿って長く形成されるものであり、該チェーンガイド80L の一端部は、伝動機構68L に最も近いジャーナル壁31にボルト83L を介して支持され、チェーンガイド80L の中間部および他端部は左シリンダブロック23L および左シリンダヘッド24L に当接、支持される。
【0058】
右側の伝動機構68R において駆動スプロケット69R から被動スプロケット70R に向けてのチェーン71R の往行部すなわち上方走行部には、チェーンテンショナ79R が弾発的に摺接されており、また被動スプロケット70R から駆動スプロケット69R に向けてのチェーン71R の復行部すなわち下方走行部にはチェーンガイド80R が摺接される。
【0059】
チェーンテンショナ79R は前記チェーン71R の走行方向に沿って長く形成されるものであり、該チェーンテンショナ79R の一端部は、左クランクケース27L に一体に形成される複数のジャーナル壁31…のうち伝動機構68L ,68R に最も近いジャーナル壁31にクランクシャフト29の回転軸線と平行な軸線を有する支軸81R を介して回動可能に支持される。また右シリンダブロック23R には、チェーンテンショナ79R をチェーン71R に押付ける方向の力を発揮して該チェーンテンショナ79R の長手方向中間部に当接するテンショナリフタ82R が取付けられる。
【0060】
チェーンガイド80R は、チェーン71R の走行方向に沿って長く形成されるものであり、該チェーンガイド80R の一端部は、右クランクケース27R に一体に形成される支持部84にボルト83R を介して支持され、チェーンガイド80R の中間部および他端部は右シリンダブロック23R および右シリンダヘッド24R に当接、支持される。
【0061】
ところで、両伝動機構68L ,68R をそれぞれ収納せしめた伝動室72L ,72R の一端部は動弁室61L ,61R に通じており、動弁室61L ,61R はクランクシャフト29および各シリンダボア21L …,21R …の軸線を含む平面38L ,38R よりも上方に配置されているので、動弁室61L ,61R 内から各伝動室72L ,72R の一端部に導入されたオイルを、両伝動室72L ,72R の他端部すなわちクランクシャフト29の一端を臨ませる部分まで導くことが可能であり、両伝動室72L ,72R の他端下部をクランク室28に連通せしめる戻し孔85が、左、右クランクケース27L ,27R に設けられる。
【0062】
図12を併せて参照して、左クランクケース27L に一体に形成される複数のジャーナル壁31…に当接、結合される複数のリブ88…が、各軸受キャップ32…を囲むようにして右クランクケース27R に一体に形成されており、戻し孔85は、各ジャーナル壁31…のうち両伝動室72L ,72R に臨むジャーナル壁31と、当該ジャーナル壁31に当接、結合されるリブ88との間にわたって形成される。すなわち、リブ88側に開口するようにして前記ジャーナル壁31に設けられた凹部86と、前記ジャーナル壁31側に開口するようにしてリブ88に設けられる凹部87とで戻し孔85が形成される。
【0063】
軸受キャップ32は、一対のボルト33,33でジャーナル壁31に締結されるのであるが、前記戻し孔85は、軸受キャップ32のジャーナル壁31への締結方向すなわちボルト33,33の軸線方向に沿って長く形成される。
【0064】
前記戻し孔85は、両クランクケース27L ,27R のうち左クランクケース27L 側に偏った配置で両クランクケース27L ,27R 間にわたって形成される。すなわち戻し孔85を共働して構成する凹部86,87のうち、ジャーナル壁31側の凹部86の方が、ボルト33,33の軸線方向に沿う長さを、リブ88に設けられる凹部87よりも大として形成されている。
【0065】
左、右エンジンブロックBL ,BR には、クランクケース27L ,27R の下方ならびに両シリンダブロック23L ,23R から自動二輪車の前後方向に沿う後方側にそれぞれ延びるようにしてミッションケース90が連設されており、前記戻し孔85と、ミッションケース90内との間に配置されるジャーナル壁31および前記リブ88の下部間にわたっても、前記戻し孔85と同様に形成される通路孔89が設けられており、伝動室72L ,72R から戻し孔85を経てクランク室28内に戻されたオイルは、前記通路孔89を経てミッションケース90内に導かれる。
【0066】
上述のように、動弁室61L ,61R 内のオイルは、カムシャフト64L ,64R の一端側の伝動室72L ,72R を介してクランク室28側に戻されるのであるが、カムシャフト64L ,64R が略水平に配置されるので、動弁室61L ,61R 内で前記カムシャフト64L ,64R の他端側からも前記クランク室28側へのオイルの戻りを可能としておくことが望ましい。そこで、左、右シリンダヘッド24L ,24R および左、右シリンダブロック23L ,23R には、カムシャフト64L ,64R の他端側で動弁室61L ,61R 内に一端を通じさせるとともに他端をクランク室28に連通させた戻り通路91L ,91R が設けられる。
【0067】
図13および図14を併せて参照して、前記ミッションケース90の後面には、クランクケース29に直接連結されるポンプ軸95を備えるウォータポンプ94が配設される。このウォータポンプ94のケーシング96は、ポンプ軸95を回転自在に支承するポンプボディ97と、ポンプ軸95に固定されるインペラ99を覆ってポンプボディ97に締結されるポンプカバー98とで構成される。
【0068】
ポンプボディ97は、ミッションケース90に一体に形成されるものであり、ポンプカバー98は、ポンプ室100をポンプボディ97との間に形成して該ポンプボディ97に締結される。ポンプ軸95は、ポンプ室100を一端に突入せしめてポンプボディ97に回転自在に支承されるものであり、該ポンプ軸95の他端には、クランクシャフト29の他端に設けられる係合凹部29aに係合される係合板部95aが突設される。すなわちクランクシャフト29の一端側には、伝動機構68L ,68R を介してカムシャフト64L ,64R が連結されるのに対し、クランクシャフト29の他端にはウォータポンプ94のポンプ軸95が直接連結されることになる。
【0069】
インペラ99はポンプ室100内に配置されてポンプ軸95の一端に固定されており、インペラ99よりも上方においてポンプカバー98の上部には、前記ポンプ室100の中央部に通じる収容部101が形成される。
【0070】
ウォータポンプ94には、ワックス式のサーモスタット102が付設されるものであり、該サーモスタット102は、ポンプボディ97およびポンプカバー98間に挟持されて前記収容部101内に収容される。
【0071】
サーモスタット102は、従来公知のものであり、ポンプボディ97およびポンプカバー98間に挟持される支持板103と、サーモスタット弁104と、バイパス弁105とを備える。
【0072】
ポンプボディ97の上部には、前記収容部101の一端に開口する第1の吸入口106がサーモスタット弁104による開閉を可能として設けられ、ポンプカバー98には、前記収容部101の他端に開口する第2の吸入口107がバイパス弁105による開閉を可能として設けられる。またポンプカバー98には、前記インペラ99の回転に応じて吐出される冷却水を吐出するための吐出口108がポンプ室100に通じて設けられる。
【0073】
左、右シリンダブロック23L ,23R にはウォータージャケット109L ,109R が設けられ、左、右シリンダヘッド24L ,24R には、シリンダブロック23L ,23R のウォータージャケット109L ,109R に通じるウォータージャケット110L ,110R が設けられている。而して前記ウォータポンプ94の吐出口108は、左、右シリンダブロック23L ,23R に接続される冷却水供給管111…を介してウォータージャケット109L ,109R に連通される。
【0074】
左、右シリンダヘッド24L ,24R には、ウォータージャケット110L ,110R の冷却水を排出するための冷却水排出管112L ,112R が接続されており、それらの冷却水排出管112L ,112R は、ウォータポンプ94における第2の吸入口107に接続されるとともに、各冷却水排出管112L ,112R に個別に対応したラジエータ113L ,113R の入口に接続される。
【0075】
各ラジエータ113L ,113R は、左、右エンジンブロックBL ,BR すなわち両シリンダボア列22L ,22R の上方に配置されており、両ラジエータ113L ,113R の出口は、前記ウォータポンプ94における第1の吸入口106に接続される。
【0076】
このような冷却水回路では、エンジンの暖機前において冷却水の温度が低い状態では、サーモスタット102がサーモスタット弁104を閉じるとともにバイパス弁105を開いた状態にあり、ウォータポンプ94の吐出口108から吐出される冷却水は、ウォータージャケット109L ,110L ;109R ,110R から前記ラジエータ113L ,113R を経由せずにウォータポンプ94に吸入されることになる。一方、暖機の完了に伴って冷却水の温度が高くなると、サーモスタット102がサーモスタット弁104を開くとともにバイパス弁105を閉じた状態となり、ウォータポンプ94の吐出口108から吐出される冷却水は、ウォータージャケット109L ,110L ;109R ,110R から前記ラジエータ113L ,113R を経由してウォータポンプ94に吸入されることになる。すなわちウォータポンプ94、ウォータージャケット109L ,109R ;110L ,110R およびラジエータ113L ,113R 間に、サーモスタット102を用いたボトムバイパス型の冷却水路が構成されることになる。
【0077】
またインペラ99よりも上方に配置されているサーモスタット102の支持板103における上部には、ウォータポンプ94内の空気を第1の吸入口106側に抜くためのジグル弁114が取付けられる。
【0078】
図13に特に注目して、ミッションケース90には、クランクシャフト29に連動、連結される主軸115と、選択的に確立可能な複数段の歯車列が前記主軸115との間に設けられるカウンタ軸116と、該カウンタ軸116に図示しないワンウェイクラッチを介して連動、連結される出力軸117とが、クランクシャフト29と平行な軸線を有して回転自在に支承されており、出力軸117は、自動二輪車の後輪側に動力を伝達すべくミッションケース90の後面から後方に突出される。
【0079】
前記主軸115およびカウンタ軸116間の歯車列を選択的に確立するための複数のシフタ118…を軸方向に移動可能に支持するシフタ軸119が、主軸115およびカウンタ軸116間の下方でミッションケース90に支持されており、該シフタ軸119に隣接した位置でミッションケース90には、各シフタ118…の1つを選択的に移動せしめるシフトドラム120が軸線まわりの回転を可能として支承される。
【0080】
クランクシャフト29および出力軸117間の上方でミッションケース90の後面にはクランクシャフト29と平行な回転軸線を有するモータ121が取付けられており、クランクシャフト29およびモータ121間でミッションケース90には中間軸122が支持される。前記中間軸122を中間部に介在させたモータ121およびクランクシャフト29間には、モータ121の回転動力をクランクシャフト29に伝達可能であるがクランクシャフト29からの動力がモータ121に伝達されないようにした歯車列(図示せず)が設けられ、エンジンの始動時にモータ121の動力がクランクシャフト29に伝達される。
【0081】
モータ121および出力軸117間には、乗員の後進操作に応じてモータ121の回転動力を出力軸117に伝達して該出力軸117を前進時とは逆方向に回転させる後進時動力伝達機構123が設けられており、該後進時動力伝達機構123は、非後進操作時には出力軸117からモータ121への動力伝達を遮断する。
【0082】
ミッションケース90の後面には、クランクシャフト29に連動、連結される発電機124が、クランクシャフト29の軸線と平行にして取付けられる。さらに主軸115と同軸であるクラッチ125が、クランクシャフト29および主軸115間の接・断を切換可能としてミッションケース90の後面側に配設される。すなわちクランクシャフト29と同軸であるウォータポンプ94と並列にして、発電機124およびクラッチ125がミッションケース90の後面に配設されることになる。
【0083】
ミッションケース90内の下部には、主軸115にチェーン等の動力伝達機構128を介して連結されるオイルポンプ126が設けられており、該オイルポンプ126から吐出されるオイルは、ミッションケース90の前面側に設けられるオイルフィルタ127(図2参照)を介してエンジン本体Eの各潤滑部に供給される。而して、カムシャフト46L ,46R に関連する潤滑部にオイルを導くべく左、右シリンダブロック23L ,23R および左、右シリンダヘッド24L ,24R に設けられる給油路55L ,55R も前記オイルフィルタ127に接続される。
【0084】
再び図1および図2を参照して、自動二輪車の図示しない車体フレームには、乗員の左、右両足を載せるためのステップ130L ,130R が、エンジン本体Eにおける左、右シリンダヘッド24L ,24R の後方下部で左、右両側に張出すようにして取付けられる。しかも各シリンダヘッド24L ,24R に設けられる排気通路35L …,35R …の外端開口部よりも、自動二輪車の幅方向に沿って距離L7だけ内方側に位置するようにして、各ステップ130L ,130R の内端部が配置される。
【0085】
左、右シリンダヘッド24L ,24R および左、右ヘッドカバー60L ,60R の後方下部には、ステップ130L ,130R 上での足の動きを支障を来たすことがないようにするための切欠き部131…が設けられる。
【0086】
次にこの実施例の作用について説明すると、自動二輪車に搭載される水平対向型の多気筒たとえば6気筒エンジンにおいて、略水平なクランクシャフト29の両側に配置される左、右一対のシリンダボア列22L ,22R は、複数たとえば3つのシリンダボア21L …,21R …がそれぞれ並列配置されて成るものであり、両シリンダボア列22L …,22R …にそれぞれ対応したカムシャフト46L ,46R が、各シリンダボア21L …,21R …およびクランクシャフト29の軸線を含む平面38L ,38R よりも上方に配置されている。このため、カムシャフト46L ,46R を含む動弁機構がシリンダボア21L …,21R …の軸線よりも上方に偏倚して配置されることになり、シリンダヘッド24L ,24R を、前記動弁機構に対応する部分の下方に空きスペースを確保するように形成することが可能であり、シリンダヘッド24L ,24R の下方に比較的大きな空きスペースを確保することが可能となる。
【0087】
しかもクランクシャフト29の軸線は、自動二輪車の前後方向に沿うものであり、自動二輪車の幅方向両側にシリンダヘッド24L ,24R を張出すようにして該自動二輪車に水平対向型の多気筒エンジンが搭載されるにあたって、シリンダヘッド24L ,24R の下方に乗員の足元を配置する充分なスペースを確保することが可能となるとともに、自動二輪車のバンク角αを比較的大きく設定することができる。
【0088】
各シリンダボア21L …,21R …毎すなわち各燃焼室26L …,26R …毎にシリンダヘッド24L ,24R に配設される吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …は、前記平面38L ,38R から上方に偏倚した位置で並列配置されており、カムシャフト46L ,46R に設けられる吸気側カム48L …,48R …および排気側カム49L …,49R …により直接開閉駆動されるので、吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …を駆動する動弁機構の構成が極めて単純となる。しかもカムシャフト46L ,46R は、各シリンダボア列22L ,22R 毎に1つずつ配置されるので、シリンダヘッド24L ,24R のコンパクト化に寄与することができる。
【0089】
吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …は、前記平面38L ,38R と鋭角をなすように傾斜してシリンダヘッド24L ,24R に配設されるものであり、そのような吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …の配置により、各燃焼室26L …,26R …の天井壁面をペントルーフ型や半球型に構成してS/V比を比較的小さく設定することが可能となる。
【0090】
前記平面38L ,38R に関して吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …が配置される側とは反対側、すなわち前記平面38L ,38R よりも下方側で前記シリンダヘッド24L ,24R には、各燃焼室26L …,26R …の中央部に臨む点火プラグ39L …,39R …が取付けられる。而して吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …が前記平面38L ,38R と鋭角をなすように傾斜していることに基づいて、前記平面38L ,38R に関して他方側すなわち下方側には比較的広いスペースを確保することができるものであり、吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …との干渉を回避して点火プラグ39L …,39R …を燃焼室26L …,26R …の中央部に臨ませることが容易となるとともに、点火プラグ39L …,39R …の配置上の自由度を増大することができる。
【0091】
各点火プラグ39L …,39R …も前記平面38L ,38R に対して鋭角をなすように傾斜しているのであるが、吸気弁36L …,36R …および排気弁37L …,37R …が平面38L ,38R に対して鋭角をなすように傾斜しているので、点火プラグ39L …,39R …の傾斜角を大きく設定しなくともカムシャフト46L ,46R との干渉を回避しつつ該点火プラグ39L …,39R …を燃焼室26L …,26R …の中央部に臨ませることができる。
【0092】
シリンダヘッド24L ,24R には、前記平面38L ,38R の上方側でシリンダヘッド24L ,24R の側面にそれぞれ開口するようにして吸気通路34L …,34R …が設けられるとともに、前記平面38L ,38R の下方側でシリンダヘッド24L ,24R の側面にそれぞれ開口するようにして排気通路35L …,35R …が設けられており、前記平面38L ,38R の両側でシリンダヘッド24L ,24R の側面に開口するようにして吸気通路34L …,34R …および排気通路35L …,35R …が設けられることにより、シリンダヘッド24L ,24R への吸気装置66および排気装置43L ,43R の接続が容易となる。
【0093】
吸気通路34L …,34R …は、シリンダボア21L …,21R …の軸線に直交する投影面上では前記平面38L ,38R にほぼ直交するように延びてシリンダヘッド24L ,24R に設けられる。すなわち吸気通路34L …,34R …は、各燃焼室26L …,26R …側への屈曲を比較的緩やかにしつつほぼ直線状に延びるように形成されることになり、吸気通路34L …,34R …での吸気抵抗を小さく抑えて、充填効率を高めることができる。
【0094】
排気通路35L …,35R …は、各点火プラグ39L …,39R …を迂回すべく、カムシャフト46L ,46R の一端側すなわち自動二輪車の前方側に膨らむように曲がってシリンダヘッド24L ,24R に設けられている。このため、各排気通路35L …,35R …の流通抵抗は、吸気通路34L …,34R …の流通抵抗よりも大きくなるが、燃焼室26L …,26R …からの排気は加圧排出されるので、特に問題は生じない。
【0095】
またカムシャフト46L ,46R が各シリンダボア列22L ,22R の軸線よりも上方に配置されること、ならびに点火プラグ39L …,39R …を迂回する排気通路35L …,35R …が前方側に曲がっていることにより、自動二輪車に搭載される水平対向エンジンの後部下方に乗員の足元を配置するスペースを確保することがより容易となる。
【0096】
排気通路35L …,35R …は、シリンダヘッド24L ,24R の下側面に下向きに開口せしめられるのであるが、前記各点火プラグ39L …,39R …も下向きでシリンダヘッド24L ,24R に取付けられている。したがって、自動二輪車に搭載される水平対向型の多気筒エンジンにおいて、点火プラグ39L …,39R …まわりの外観性を向上するとともに、シリンダヘッド24L ,24R の外面側で点火プラグ39L …,39R …の近傍に侵入した水分の排出が容易となり、さらに各排気通路35L …,35R …に接続される排気管41L …,41R …の取りまわしが容易となる。
【0097】
しかもカムシャフト46L ,46R を収納せしめる動弁室61L ,61R を左、右シリンダヘッド24L ,24R との間に形成してそれらのシリンダヘッド24L ,24R に結合される左、右ヘッドカバー60L ,60R に、点火プラグ39L …,39R …を外側方側から覆うカバー部62L ,62R が一体に形成されているので、点火プラグ39L …,39R …まわりの外観性をより一層向上することができる。
【0098】
各排気通路35L …,35R …は、自動二輪車の幅方向中央側に向けて傾斜して下向きに開口するようにシリンダヘッド24L ,24R に設けられており、それにより各排気通路35L …,35R …に接続される排気管41L …,41R …を自動二輪車の幅方向中央寄りに配置することが可能となるので、排気管41L …,41R …による自動二輪車のバンク角αの制約を緩やかにし、前記バンク角αの確保が容易となる。
【0099】
しかも各排気管41L …,41R …が前記シリンダヘッド24L ,24R から下方に向うにつれて自動二輪車の幅方向中央側に寄るように傾斜して各排気通路35L …,35R …に接続されているので、排気管41L …,41R …によるバンク角αの制約をより一層緩やかにし、バンク角αの確保がより容易となる。
【0100】
ところで、排気弁37L …,37R …が前記平面38L ,38R よりも上方に配置されているのに対して、各排気通路35L …,35R …がシリンダヘッド24L ,24R の下側面に開口していることにより、燃焼室26L …,26R …とシリンダヘッド24L ,24R の下側面への排気通路35L …,35R …の開口端との間の距離を比較的大とすることが可能であり、排気通路35L …,35R …が自動二輪車の幅方向中央部側に向けて傾斜して開口しているにもかかわらず、クランクシャフト29の軸線に直交する平面内での排気通路35L …,35R …の曲りを比較的緩やかにして、排気抵抗の増大を抑えることができる。
【0101】
左、右ヘッドカバー60L ,60R に一体に形成されるカバー部62L ,62R は、各排気通路35L …,35R …および各排気管41L …,41R …の接続部を外側方から覆う機能をも果すものであり、それにより各排気通路35L …,35R …および各排気管41L …,41R …の接続部の外観性を向上することができる。しかも排気管41L …,41R …は下方に向うにつれてカバー部62L ,62R から離反するので、ヘッドカバー60L ,60R が合成樹脂製のものであったとしてもカバー部62L ,62R に熱的な劣化が生じることを回避することができる。
【0102】
各吸気通路34L …,34R …および各排気通路35L …,35R …は、クランクシャフト29の軸線に沿う方向での各吸気通路34L …,34R …および各排気通路35L …,35R …の相対配置をほぼ同一として、左、右シリンダヘッド24L ,24R にそれぞれ設けられており、それにより吸気装置66および排気装置43L ,43R の構造を単純化することができる。
【0103】
シリンダヘッド24L ,24R をシリンダブロック23L ,23R に締結するために、前記平面38L ,38R よりも下方側でシリンダヘッド24L ,24R には、複数の挿通孔56L …,56R …が締結ボルト57L …,57R …をそれぞれ挿通せしめるべくカムシャフト46L ,46R の軸線方向に沿って間隔をあけて設けられている。しかも各挿通孔56L …,56R …のうち点火プラグ39L …,39R …を迂回する排気通路35L …,35R …にカムシャフト46L ,46R の一端側で隣接する挿通孔56L …,56R …の中心と、当該排気通路35L …,35R …に対応する燃焼室26L …,26R …の中心CL …,CR …との間の距離L4が、相互に隣接する燃焼室26L …,26R …の中心C L …,C R …間の距離の1/2であるL3よりも大となるように設定される。これにより点火プラグ39L …,39R …を迂回する排気通路35L …,35R …の曲りを比較的小さくすることが可能であり、排気通路35L …,35R …での流通抵抗が無闇に大きくなることを防止することができる。
【0104】
右シリンダヘッド24R において、前記平面38R に関して吸気弁36R …および排気弁37R が配置される側には、各燃焼室26R …間に対応する部分に1つずつ配置される挿通孔58R …を含む複数の挿通孔58R …が、締結ボルト59R …をそれぞれ挿通せしめるべくカムシャフト46R の軸線方向に沿って間隔をあけて設けられるが、前記各挿通孔58R …のうち、カムシャフト46R の一端側最外端の挿通孔58R と、カムシャフト46R の一端側最外端の燃焼室26R の中心との間の距離L5が、隣接する燃焼室26R …の中心CR 間の距離の1/2(=L3)よりも小さく設定される。したがって点火プラグ39R …を迂回する排気通路35R …の曲り側での最外端の燃焼室26R の中心CR に、カムシャフト46R の一端側のシリンダヘッド24R の端部を極力近接せしめることができ、カムシャフト46R の軸方向に沿うシリンダヘッド24R の長さを極力短くすることができる。
【0105】
カムシャフト46L ,46R は、該カムシャフト46L ,46R の軸線方向に間隔をあけた複数箇所でシリンダヘッド24L ,24R に設けられるカム軸受部50L …,50R …と、それらのカム軸受部50L …,50R …に締結されるカムホルダ51L ,51R とで回転自在に支承されており、クランクシャフト29およびカムシャフト46L ,46R 間には、クランクシャフト29の回転動力を1/2に減速してカムシャフト46L ,46R に伝達する伝動機構68L ,68R が設けられている。しかもカムシャフト46L ,46R 内には、シリンダヘッド24L ,24R およびシリンダブロック23L ,23R に設けられる給油路55L ,55R からのオイルを供給可能なオイル通路52L ,52R が形成されている。而して、左シリンダヘッド24L 側のカムシャフト46L 内のオイル通路52L には、該カムシャフト46L の一端側最外端のカム軸受部50L に設けられるオイル溝54L からカムシャフト46L が備える給油孔53L を介してオイルが供給されるのであるが、右シリンダヘッド24R 側のカムシャフト46R のオイル通路52R に、該カムシャフト46R が備える給油孔53R を介してオイルを供給するためのオイル溝54R は、カムシャフト46R の軸線方向に並ぶ複数の燃焼室26R …のうち伝動機構68R に最も近い燃焼室26R に対応してシリンダヘッド24R に設けられるカム軸受部50R に設けられる。
【0106】
このようなオイル溝54R の配置によれば、右シリンダヘッド24R を右シリンダブロック23R に締結する締結ボルト57R …,59R …の配置に制約を加えることなく、カムシャフト46R 内のオイル通路52R にオイルを供給することが可能となる。
【0107】
また右シリンダヘッド24R に設けられる複数のカム軸受部50R …のうち伝動機構68 R に最も近いカム軸受部50R には、シリンダヘッド24R をシリンダブロック23R に締結する締結ボルト57R …,59R …の1つ59R を挿通せしめる挿通孔58R が設けられている。このため、伝動機構68R および燃焼室26R 間の締結ボルト59R が燃焼室26R に極力近接して配置されることになり、それによりカムシャフト46R の軸線方向に沿うシリンダヘッド24R の長さを短くすることができる。
【0108】
右シリンダヘッド24R 側のカムシャフト46R に対応した伝動機構68R は、左シリンダヘッド24L 側のカムシャフト46L に対応した伝動機構68L よりも、クランクシャフト29の軸線方向に沿う前方側に配置されるものであり、両伝動機構68L ,68R のうちカムシャフト46L ,46R の一端側最外端に配置される伝動機構68R が連結されるカムシャフト46R に対応した複数のカム軸受部50R …のうちの2つ50R ,50R に、前記挿通孔58R および前記オイル溝54R がそれぞれ設けられている。したがって、伝動機構68R および燃焼室26R 間の距離を短縮し、カムシャフト46L ,46R の軸線方向に沿う多気筒エンジンの長さをより効果的に短くすることができる。
【0109】
ところで、一対のシリンダボア列22L ,22R は、クランクシャフト29の軸線に沿う方向で相互にオフセットして配置されるのであるが、両伝動機構68L ,68R は、それらの伝動機構68L ,68R 間の間隔L6を前記各シリンダボア列22L ,22R 相互間に設定される第1のオフセット量L1よりも小さくして配置されている。したがって両伝動機構68L ,68R 間の間隔をより小さく設定し、カムシャフト46L ,46R の軸線方向に沿うエンジン本体Eの長さをより短くすることができる。
【0110】
しかも伝動機構68L ,68R は、クランクシャフト29の一端部およびカムシャフト46L , 46R の一端部間に設けられるものであり、両伝動機構68L ,68R 間の間隔をより自由に設定することができる。
【0111】
左、右シリンダヘッド24L ,24R の下側面への各排気通路35L …,35R の外端開口部は、各燃焼室26L …,26R …の中心CL …,CR …、すなわち各シリンダボア21L …,21R …の軸線よりもカムシャフト46L ,46R の一端側、すなわち各伝動機構68L ,68R 側に偏倚した位置に配置される。それにより排気通路35L …,35R …に接続される排気装置43L ,43R を、各伝動機構68L ,68R 相互間のスペースを有効に活用して配置することができ、排気装置43L ,43R を含むエンジン全体をコンパクトに構成することができる。
【0112】
しかも各伝動機構68L ,68R がエンジン本体Eにおける前部に配置されるので、左、右シリンダヘッド24L ,24R の24L ,24R の後方下部に比較的大きな空きスペースが生じることになり、左、右シリンダヘッド24L ,24R の後方にはステップ130L ,130R がそれぞれ配置されるので、乗員の足を載せるステップ130L ,130R を無理なく配置することができる。また自動二輪車の幅方向で各排気通路35L …,35R …の外端開口部よりも内方側に前記ステップ130L ,130R の内端部が配置されるので、自動二輪車の左、右方向へのステップ130L ,130R の突出量を極力小さくし、自動二輪車のバンク角αにステップ130L ,130R が加える制約を小さくすることができる。
【0113】
前記両伝動機構68L ,68R はチェーン71L ,71R による動力伝達を行なうものであり、動弁室61L ,61R に一端を通じさせるとともにクランクシャフト29の一端を臨ませて前記伝動機構68L ,68R を収納した伝動室72L ,72R が、ヘッドカバー60L ,60R 、シリンダヘッド24L ,24R 、シリンダブロック23L ,23R およびクランクケース27L ,27R 間にわたって形成されており、両伝動室72L ,72R の他端はクランク室28に連通されている。
【0114】
このような伝動機構68L ,68R を収納した伝動室72L ,72R 内には、ベルトを用いた伝動機構を収納した伝動室とは異なり、オイルを流通させることが可能であり、伝動室72L ,72R 側にクランクケース27L ,27R 側からのオイルが漏れることを防止する必要がなく、クランクケース27L ,27R にシール構造が設けられることを不要として、エンジンのコンパクト化を図ることができる。
【0115】
しかもカムシャフト46L ,46R がクランクシャフト29よりも上方に配置されているので、動弁室61L ,61R 内のオイルをより下方位置にあるクランクシャフト29側に向けて伝動室72L ,72R 内を流通させることができ、それにより動弁室61L ,61R 内のオイルをクランクケース27L ,27R 側に戻すことが容易となる。
【0116】
伝動室72L ,72R の他端下部をクランク室28内に連通せしめるために、左、右クランクケース27L ,27R には戻し孔85が設けられる。したがって少なくとも伝動室72L ,72R からクランク室28に戻るオイルの流通分については、シリンダブロック23L ,23R およびシリンダヘッド24L ,24R に専用のオイル戻し通路を設けることは不要であり、シリンダブロック23L ,23R およびシリンダヘッド24L ,24R をその分だけコンパクト化し、軽量化を図ることができる。
【0117】
クランクシャフト29は、左クランクケース27L に一体に形成される複数のジャーナル壁31…と、それらのジャーナル壁31…にそれぞれ締結される複数の軸受キャップ32…とで回転自在に支承されるものであり、前記戻し孔85は、各ジャーナル壁31…への軸受キャップ32…の締結方向に沿って長く形成されている。これによりクランクシャフト29の支持剛性を損なうことなく、戻し孔85の開口面積を比較的広く設定することができ、クランク室28へのオイル戻し性が向上する。
【0118】
前記戻し孔85は、左クランクケース27L 側に偏った配置で左、右クランクケース27L ,27R 間にわたって形成されるものであり、ジャーナル壁31…が一体に形成されない側のクランクケースすなわち右クランクケース27R の剛性が低下するのを回避しつつ、戻し孔85の開口面積をより大きくしてオイルの戻り性をより一層向上することができる。
【0119】
左側のカムシャフト46L およびクランクシャフト29間に設けられる伝動機構68L において、チェーン71L には、該チェーン71L の走行方向に沿って延びるチェーンテンショナ79L が弾発的に摺接されており、該チェーンテンショナ79L の長手方向一端部は、複数の軸受キャップ32…のうち伝動機構68L に最も近い軸受キャップ32に回動可能に軸支されている。これによりチェーンテンショナ79L の軸支位置の制限を緩和することが可能となるとともに、チェーンテンショナ79L の長さを比較的大きく設定してチェーン71L の挙動を確実に拘束することができる。
【0120】
また伝動機構68L が、カムシャフト46L の一端部およびクランクシャフト29の一端部間に設けられていることにより、チェーンテンショナ79L の軸支部が、クランクシャフト29が備えるクランクウエイトとの干渉を回避する位置に配置されるように考慮される必要がなく、チェーンテンショナ79L の軸支位置を簡単に設定可能となる。
【0121】
さらにジャーナル壁31…を一体に有するシリンダブロック23L 側の伝動機構68L に対応する前記チェーンテンショナ79L の一端が、当該伝動機構68L に最も近い軸受キャップ32に軸支されているので、水平対向型の多気筒エンジンに必然的に備えられる軸受キャップ32…の1つを有効に活用して、チェーンテンショナ79L の軸支位置を簡単に設定することができる。
【0122】
両伝動機構68L ,68R が一端側に連結されるクランクシャフト29の他端、すなわち自動二輪車の前後方向に沿うクランクシャフト29の後端には、ウォータポンプ94のポンプ軸95が直接連結されており、ウォータポンプ94はクランクシャフト29で直接駆動される。したがって従来のウォータポンプの駆動に必要であったギヤ、チェーンまたはベルト等が不要となり、部品点数の低減を可能としつつ、ウォータポンプ94の駆動機構を単純化することができる。
【0123】
クランクシャフト29の一端部には、該クランクシャフト29の回転位置を検出するためのパルスロータ75が固定されており、このパルスロータ75により、クランクシャフト29の回転位置をウォータポンプ94に邪魔されずに容易に検出することができる。
【0124】
しかもウォータポンプ94が自動二輪車の前後方向に沿う後方側に配置されるので、ウォータポンプ94に接続される冷却水の配管系を目立たない位置に配置することができる。
【0125】
さらに両エンジンブロックBL ,BR の上方、すなわち両シリンダボア列22L ,22R の上方にラジエータ113L ,113R がそれぞれ配置されており、エンジンおよび両ラジエータ113L ,113R 間の冷却水配管を、左、右でほぼ同じくし、しかも短く纏めることができる。
【0126】
しかも発電機124およびクラッチ125がウォータポンプ94に並列して配置されるので、ウォータポンプ94をクランクシャフト29で直接駆動しているにもかかわらず、発電機124およびクラッチ125を配置するためにクランクシャフト29の長さを大とすることが不要であり、クランクシャフト29の軸線方向に沿うエンジンのコンパクト化を図ることができる。
【0127】
ウォータポンプ94のケーシング96は、ポンプ軸95を回転自在に支承するポンプボディ97と、ポンプ軸95に固定されるインペラ99を覆ってポンプボディ97に結合されるポンプカバー98とで構成されており、ポンプカバー98内に形成される収容部101に、ポンプボディ97およびポンプカバー98間に挟持されるサーモスタット102が収容される。したがって、サーモスタット102をウォータポンプ94に付設するにあたって、部品点数が少なくなり、コストおよび重量の低減を図ることが可能となるとともに組付工数も低減することができる。
【0128】
また収容部101の一端に開口する第1の吸入口106がラジエータ113L ,113R に通じてポンプボディ97に設けられ、ラジエータ113L ,113R を迂回してエンジンから戻される水を導くべく収容部101の他端に開口する第2の吸入口107がポンプカバー98に設けられており、第1の吸入口106を開閉し得るサーモスタット弁104ならびに第2の吸入口107を開閉し得るバイパス弁105を有するサーモスタット102が、収容部101に収容されている。したがって、冷却水温が低いときにはサーモスタット弁104を閉じるとともにバイパス弁105を開き、また冷却水温の上昇に応じてサーモスタット弁104を開くとともにバイパス弁105を閉じるようにして、ボトムバイパス型の冷却水回路を単純化して構成することができる。
【0129】
ポンプカバー98には、インペラ99の回転に応じて吐出される冷却水を吐出するための吐出口108が設けられており、ウォータポンプ94からの冷却水を導く回路を単純に構成することができる。
【0130】
さらにサーモスタット102がインペラ99よりも上方に配置されているので、ウォータポンプ94内の空気をサーモスタット102のジグル弁114により確実に抜くことができる。
【0131】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0132】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、左右一対のシリンダボア列を略水平な面内で対向せしめた水平対向型多気筒エンジンにおけるオイル戻し通路構造において、伝動機構を収納せしめた伝動室にオイルを流通させるようにして動弁室から戻し孔を経てクランク室にオイルを戻すようにし、少なくとも伝動室からクランク室に戻るオイルの流通分については、シリンダブロックおよびシリンダヘッドに専用のオイル戻し通路を設けることを不要とし、シリンダブロックおよびシリンダヘッドをその分だけコンパクト化して軽量化を図ることができる。
【0133】
また左右一方のクランクケースに一体に形成される複数のジャーナル壁と、それらジャーナル壁にそれぞれ締結した複数の軸受キャップとによりクランクシャフトが回転自在に支承されると共に、それらジャーナル壁に当接される複数のリブが、各軸受キャップを囲むようにして左右他方のクランクケースに一体に形成され、伝動室の他端下部をクランク室に連通せしめる戻し孔が、各ジャーナル壁のうち伝動室に臨むジャーナル壁と、このジャーナル壁に当接されるリブとに亘って、且つ軸受キャップの締結方向に沿って長く形成されるので、クランクシャフトの支持剛性を損なうことなく、戻し孔の開口面積を比較的広く設定してクランク室へのオイル戻し性を向上することができる。
【0134】
さらに上記戻し孔は、これが前記一方のクランクケース側に偏った配置となるように、ジャーナル壁側の戻し孔部分がリブ側の戻し孔部分よりも前記締結方向に長く形成されるので、軸受キャップとともにクランクシャフトを支持するジャーナル壁が一体に形成されない側(即ち上記リブが形成される側)のクランクケースの剛性が低下するのを回避しつつ戻し孔の開口面積をより大きくし、オイルの戻り性をより一層向上することができる。 また特に請求項2の発明によれば、左右動弁室が、クランクシャフト及び左右の各シリンダボアの軸線を含む平面よりも上方に配置されるので、左右動弁室内から伝動室の一端部に導入されたオイルを、伝動室の他端部すなわちクランクシャフトの一端を臨ませる部分まで導くことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車に搭載された水平対向型エンジンの側面図である。
【図2】図1の2矢視正面図である。
【図3】図1の3−3線拡大断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図4の5−5線矢視拡大図である。
【図6】図4の6−6線矢視拡大図である。
【図7】図4の7−7線拡大断面図である。
【図8】図4の8−8線矢視拡大図である。
【図9】図4の9−9線拡大断面図である。
【図10】図8の10−10線断面図である。
【図11】図3の11−11線断面図である。
【図12】図11の12−12線断面図である。
【図13】ミッションケースを後方側から見た簡略図である。
【図14】図13の14−14線拡大断面図である。
【符号の説明】
21L ,21R ・・・シリンダボア
23L ,23R ・・・シリンダブロック
24L ,24R ・・・シリンダヘッド
25L ,25R ・・・ピストン
26L ,26R ・・・燃焼室
27L ,27R ・・・クランクケース
28・・・クランク室
29・・・クランクシャフト
31・・・ジャーナル壁
32・・・軸受キャップ
36L ,36R ・・・吸気弁
37L ,37R ・・・排気弁
46L ,46R ・・・カムシャフト
60L ,60R ・・・ヘッドカバー
61L ,61R ・・・動弁室
68L ,68R ・・・伝動機構
69L ,69R ・・・駆動スプロケット
70L ,70R ・・・被動スプロケット
71L ,71R ・・・チェーン
72L ,72R ・・・伝動室
85・・・戻し孔
Claims (2)
- 相互に締結される左右クランクケース(27 L ,27 R )の相互間に形成したクランク室(28)に、その両クランクケース(27 L ,27 R )の分割面に沿って水平に延びる単一のクランクシャフト(29)が配置されると共に、そのクランクシャフト(29)の両側で軸線を略水平として対向配置される複数のシリンダボア(21 L ,21 R )を各々並設した左右シリンダブロック(23 L ,23 R )が左右クランクケース(27 L ,27 R )にそれぞれ連設され、その左右シリンダブロック(23 L ,23 R )の各シリンダボア(21L ,21R )に個別に対応した複数の燃焼室(26L ,26R )が、各シリンダボア(21L ,21R )に摺動自在に嵌合されるピストン(25L ,25R )と、その左右シリンダブロック(23 L ,23 R )にそれぞれ結合した左右シリンダヘッド(24L ,24R )との間に形成され、各燃焼室(25L ,25R )に対する吸・排気を司る複数の吸気弁(36L ,36R )および複数の排気弁(37L ,37R )に連動、連結されるカムシャフト(46L ,46R )が、左右シリンダヘッド(24L ,24R )とその両シリンダヘッド(24L ,24R )にそれぞれ結合される左右ヘッドカバー(60L ,60R )との間に形成される左右動弁室(61L ,61R )内にそれぞれ配置され、クランク室(28)で各ピストン(25L ,25R )が共通に連結されるクランクシャフト(29)と、左右動弁室(61 L ,61 R )内のカムシャフト(46L ,46R )との間に、クランクシャフト(29)の回転動力を1/2に減速してカムシャフト(46L ,46R )に伝達する伝動機構(68L ,68R )が設けられる水平対向型多気筒エンジンにおけるオイル戻し通路構造において、
クランクシャフト(29)の一端に固定される駆動スプロケット(69L ,69R )ならびに左右動弁室(61 L ,61 R )内のカムシャフト(46L ,46R )の一端に固定される被動スプロケット(70L ,70R )に無端状のチェーン(71L ,71R )が巻掛けられて成る前記伝動機構(68L ,68R )が、左右動弁室(61L ,61R )に一端部を通じさせるとともにクランクシャフト(29)の軸方向一端を他端部に臨ませるようにして左右ヘッドカバー(60L ,60R )、左右シリンダヘッド(24L ,24R )、左右シリンダブロック(23L ,23R )およびクランクケース(27L ,27R )間にわたって形成される伝動室(72L ,72R )に収納され、
クランクシャフト(29)の軸線方向に沿う複数箇所で左右一方のクランクケース(27 L )に一体に形成される複数のジャーナル壁(31)と、それらジャーナル壁(31)にそれぞれ締結した複数の軸受キャップ(32)とによりクランクシャフト(29)が回転自在に支承されると共に、それらジャーナル壁(31)に当接される複数のリブ(88)が、各軸受キャップ(32)を囲むようにして左右他方のクランクケース(27 R )に一体に形成され、
伝動室(72L ,72R )の他端下部をクランク室(28)に連通せしめる戻し孔(85)が、各ジャーナル壁(31)のうち伝動室(72 L ,72 R )に臨むジャーナル壁(31)と、このジャーナル壁(31)に当接されるリブ(88)とに亘って、且つ該ジャーナル壁(31)への軸受キャップ(32)の締結方向に沿って長く延びるように形成され、
該戻し孔(85)は、これが前記一方のクランクケース(27 L )側に偏った配置となるように、ジャーナル壁(31)側の戻し孔部分がリブ(88)側の戻し孔部分よりも前記締結方向に長く形成されることを特徴とする、水平対向型多気筒エンジンにおけるオイル戻し通路構造。 - 前記左右動弁室(61 L ,61 R )は、クランクシャフト(29)及び左右の各シリンダボア(21 L ,21 R )の軸線を含む平面(38 L ,38 R )よりも上方に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の水平対向型多気筒エンジンにおけるオイル戻し通路構造。
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