JP4243501B2 - 合成樹脂製コルゲートパイプ - Google Patents
合成樹脂製コルゲートパイプ Download PDFInfo
- Publication number
- JP4243501B2 JP4243501B2 JP2003072226A JP2003072226A JP4243501B2 JP 4243501 B2 JP4243501 B2 JP 4243501B2 JP 2003072226 A JP2003072226 A JP 2003072226A JP 2003072226 A JP2003072226 A JP 2003072226A JP 4243501 B2 JP4243501 B2 JP 4243501B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- synthetic resin
- pipe
- reinforcing member
- corrugated pipe
- tube
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製コルゲートパイプに関し、更に詳しくは建物内、特に戸建て住宅内の排水管路や、屋外、地中等に設置され、流体、気体、及び樹脂ペレットやゴミ、ホコリなどの固形物の輸送用管路としての使用に適した合成樹脂製コルゲートパイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の流体の輸送用管路として、管外壁の形状が軸方向に凹凸である波付管、具体的には、円筒状管本体の外側に螺旋状又は環状の山部および谷部を軸方向に交互に設けられた外管と、この外管の谷部の内面で一体に接合された筒状の内管とからなる合成樹脂製二重管や、管外壁の形状が軸方向に直線状である合成樹脂製ストレート管がよく知られており、既に様々な物質の送・排液管あるいは輸送用管として広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の合成樹脂製二重管の輸送性能等を高める目的で内管の内面を平滑にしてあるものは、可撓性(曲げ性)が低く、曲げた時に管が潰れたり、内面にしわが突出して輸送能力が低下するので湾曲する部分には特別なエルボ等の継手を用いなければならなかった。
【0004】
また、この問題を解決する目的で、実開昭62−66084号公報や特開平10−122448号公報に開示される様に、硬質補強線体を有するゴム製軟質帯状体を螺旋状に巻き付けて、少なくとも内面をゴム製軟質帯状体で構成した管状体とすることにより、管状体の内面へのしわの突出を防止し曲げ性を高めたものがあるが、ゴム製軟質帯状体が内面にむき出しであることから耐久性が悪いといった問題や、ゴム原料は押出後にゴムとしての特性を発現させるための加硫工程が必要である。そのため加工工程が煩雑になりコストも高く、又、ゴム原料の分子鎖が架橋構造になっているためにリサイクルが難いといった課題があった。
さらに、塩化ビニル樹脂で作られた管には、リブに硬質塩化ビニルを用い内面に軟質塩化ビニルを用いたダクト管等があるが、軟質塩化ビニルの可塑剤に使用されるフタル酸エステルの多くは、化学物質管理促進法で規定される対象物質であり、今後の使用は減少方向に向かうと予測されている。
【0005】
そこで、本発明の発明者は、鋭意研究を重ねて、内側の管本体および外側の補強部材を特定の合成樹脂で形成し、かつ管本体を形成する材料を特定の硬さ試験方法による硬さと補強部材を形成する材料の曲げ弾性率とをそれぞれ特定の値にして組み合わせることにより、パイプを曲げたときに、補強部材の曲がり程度に対する管本体の柔軟性を利用してしわの発生を防止できることが判明した。また、ゴム原料を用いないので耐久性は向上し、成形加工も容易であり、さらにリサイクル性も可能になり、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成樹脂の管本体と、この管本体の外側に螺旋状に又は環状で軸方向に並んで一体に設けられた、合成樹脂の補強部材とからなり、
管本体は、その全体または内面部分の硬さが50〜90(JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験による)とされ、
補強部材は、曲げ弾性率が800〜1500MPaとされてなるコルゲートパイプを提供する。
【0007】
本発明において、管本体の硬さとは、JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験によって求められる硬さを意味する。ここで、具体的なスプリング式硬さ試験方法を簡単に説明すれば、試験片表面に試験機の加圧面を接触させたときに、加圧面の中心の孔からバネ圧力により突き出ている押針が試験片表面によって押し戻される距離(目盛り)を硬さとして求めるものである。
また、補強部材について弾性率とは、補強部材を弾性体とみなして、その応力とひずみの比(応力/ひずみ)を表す比例定数または弾性係数を意味する。具体的には、曲げ弾性率、ヤング率(縦弾性係数)、剛性率、体積弾性率などを挙げることができ、ここでは、代表例として曲げ弾性率(単位:MPa、試験方法:JIS K7171参照)を挙げる。
【0008】
本発明においては、管本体の全体または内面部分の硬さ(JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験)は50〜90に設定されるが、実用的には75〜90に設定されるのが好ましい。
なお、管本体の全体または内面部分(内管部)の硬さが、90を超えると、コルゲートパイプを曲げたときに内管部が容易に延び(伸び)ないので曲げるのに大きな力を要し、良好な施工性が損なわれる。一方、管本体の全体または内面部分の硬さが50未満になると、管本体が柔らかくなり過ぎて発生する弛み(縮み)が十分吸収されなくなってしわが発生する。
【0009】
さらに本発明においては、補強部材の曲げ弾性率は800〜1500MPaに設定され、実用的には1100〜1400MPaに設定されるのが好ましい。
なお、補強部材の曲げ弾性率が1500MPaを越えると、管体が硬くなり過ぎるため、曲げによる反発が大きくなり、たとえ曲げ施工が出来たとしても不安定な状態は免れない。一方、800MPa未満になると管を曲げた時に管形状が保持できず、偏平に変形して流路の断面積が減少したり、ときには座屈を起こす場合がある。
さて、本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプは、合成樹脂材料で言えば、補強部材を硬質合成樹脂(曲げ弾性率:800〜1500MPa)で形成し、管本体を軟質合成樹脂(硬さ:50〜90(JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験))で形成する。
【0010】
さらに、管本体と補強部材とは、次のような組み合わせ構造を選択することができる。すなわち、
(1) 補強部材を、螺旋状または環状に複数対の山部および谷部を備え、かつ軸方向に隣接する山部と谷部とが交互に繋がってなる外管部とし、管本体を、前記外管部の内面に一体に接合された内管部とする。
(2) 補強部材を、螺旋状または環状に複数の山部を軸方向に間隔を有して備えた外条部とし、管本体を、前記外条部の内面に一体に接合された内管部とする。
(3) 補強部材を、螺旋状に一つの山部を備え、軸方向に隣接する山部が間隔を有してなる外条部とし、管本体を、前記外条部の内面に一体に接合された内管部とする。
(4) 補強部材を、螺旋状に一対の山部および谷部を備え、かつ軸方向に隣接する山部と谷部とが交互に繋がってなる外管部とし、管本体を、前記外管部の内面に一体に接合された内管部とする。
【0011】
これら(1)〜(4)の場合に、補強部材(外管部または外条部)を高密度ポリエチレン樹脂(密度:0.941〜0.965)または中密度ポリエチレン樹脂(密度:0.926〜0.940)で形成し、内管部を熱可塑性エラストマー又は熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂の混合物、あるいは低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.925以下)で形成する。また低密度ポリエチレン樹脂は、一種類を単独で用いてもよく、2種類以上のポリエチレン樹脂を混合し密度を0.925以下に調整したものを用いてもよい。
【0012】
なお、本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプは、様々な物質の送排用の合成樹脂製管として用いられるが、特に曲げたときに、内面のしわの発生を防止でき、かつその良好な耐久性、曲げ性、座屈強度などのために、土中や建物内部に設置して様々な物質の輸送用管などに好適に利用できる。 例えば、戸建て住宅内の排水管路や、屋外、地中等に設置され、水道水、工業用水、排水(廃水)などの流体、気体、及び樹脂ペレットやゴミ、ホコリなどの固形物の輸送用管路に使用できる。
【0013】
次に、この合成樹脂製二重管の製造方法の例を簡単に説明するが、これに限定されるわけではない。
▲1▼まず、円筒状の回転マンドレルの周面に、押出機から熱可塑性樹脂の溶融した帯状体を一部を重ね合わすように螺旋状に捲回して内管部を形成しながら、さらにその内管部の周面に、別途熱可塑性樹脂(高密度ポリエチレン樹脂または中密度ポリエチレン樹脂)の溶融した帯状体を断面を屈曲状または中空状にして一部を重ね合わせるように供給して外管部を形成することにより、内面の横断面を略円形とし、外面に螺旋状の山部および谷部を軸方向に交互に備えた外管部と、この外管部の各谷部の内面で一体に接合された円筒状の内管部とからなる合成樹脂製コルゲートパイプ(二重管)を得ることができる(詳細は特公平5−72852号公報図24〜26参照)。
【0014】
▲2▼更に環状の凹部及び凸部を交互に有する外管部成形面と、外管部成形面の凹部と同一径の内管部成形面とを備えた成形型内へ、それぞれ溶融樹脂を押し出して上記外管部成形面に溶融樹脂(高密度または中密度ポリエチレン樹脂)の外管部を形成しながら、この外管部内へ内管部成形面から溶融樹脂を筒状に押し出し、その内外間に差圧を生じさせて、該溶融樹脂を上記外管部の谷部内面に付着させて熱融着させ、もって円筒状の溶融樹脂内管部を形成させることによって、外管部の外面に螺旋状ではなく、環状の山部および谷部を軸方向に交互に備え、他の構成は上述の例と略同様の合成樹脂製コルゲートパイプ(二重管)を得ることができる(詳細は特公平2−21477号公報参照)。
そのほか、▲3▼内管部をチューブ状に押し出した後、補強部材を巻き付けて二重管とすることもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態に基づいて本発明を説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
[実施の形態1]
まず図1は、本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプの1つの実施の形態を示す一部破断正面図、図2は図1の要部拡大断面図である。
【0016】
図1〜2において、上記の輸送用二重管Hは、環状に山部および谷部を備え、かつ軸方向に隣接する山部と谷部とが交互に繋がってなる補強部材としての外管部1と、この外管部の谷部1bの内面で一体に接合された管本体としての円筒状内管部2とからなり、外管部1が、曲げ弾性率:1200MPa(JIS K7171)である高密度ポリエチレンからなり、内管部2が、硬さ80(JIS K6301 5.2)である、熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂の混合物でそれぞれ形成されている。
【0017】
かくして、輸送用二重管Hは、土中やジョイントボックス内で曲げた状態に配置されても、外管部1を、曲げ弾性率1200MPaである高密度ポリエチレン樹脂で、内管部2を、硬さ80である熱可塑性エラストマーでそれぞれ形成しているので、内管部2が容易に延び(伸び)ることと、内管部2の弛み(縮み)が吸収されるので内面でのしわの発生を抑制することができる。さらに、本二重管Hは、座屈強度、引裂強度、耐久性、耐薬品性、リサイクル性が良好である。
【0018】
ここで参考までに、輸送用二重管Hの具体的な材料・寸法仕様例を挙げる。
内管部2(密度0.950の熱可塑性エラストマー60重量%と密度0.922のオレフィン系樹脂40重量%の混合物、比重:0.938)
内径D1:49.0mm
外径D2:51.0mm
外管部1(高密度ポリエチレン樹脂、密度:0.95)
内径D3(谷部外径):52.6mm
外径D4(山部外径):60.6mm
山高さM1:4.0mm
ピッチP1:8.5mm
尚、内管と外管を合わせた谷部厚みT1は1.8mmであった。
この実施の形態1の輸送用二重管Hは、外管部1が高密度ポリエチレン樹脂で形成されているが、主としてその山部1a・谷部1bを有する構成と材料自体の弾性により、曲率半径として約300mmまで曲げることが可能であり、その曲げで内管部2の内面にしわが生じなかった。ここで、曲率半径300mmとは、住宅内の配管で曲げ施工するとき、最も曲げがきつい状態のときの曲率半径に由来している。
なお、この実施の形態1の輸送用二重管Hは、上述の▲2▼の製造方法により製造することができる。
【0019】
以上の実施の形態1とは異なり、内管部の外側に、外管部の一対又は複数対の山部及び谷部を螺旋状に軸方向に設けることもできる。
[実施の形態2]
図3、図4は、本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプの実施の形態2を示す図1、図2相当図である。
【0020】
図3、図4に示すように、この実施の形態2の輸送用二重管H10は、外面に螺旋状の山部11aおよび谷部11bを軸方向に交互に連続的に備えた補強部材としての外管部11と、この外管部11の内面で一体に接合された管本体としての円筒状内管部12とからなり、外管部11が、曲げ弾性率:1200MPa(JIS K7171)の高密度ポリエチレン樹脂で、内管部12が硬さ80(JIS K6301 5.2)であり、密度0.950の熱可塑性エラストマー60重量%とオレフィン系樹脂40重量%の混合物(比重:0.938)でそれぞれ形成されている。
【0021】
かくして、輸送用二重管H10は、土中やジョイントボックス内で曲げた状態に配置されても、外管部11を高密度ポリエチレン樹脂で、内管部12を、硬さ80である熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂の混合物で形成しているので、内面の柔軟性を利用して内管部12の内面でのしわの発生を抑制することができると共に、座屈強度、引裂強度、耐久性、耐薬品性、リサイクル性が良好である。
【0022】
ここで参考までに、輸送用二重管H10の具体的な材料・寸法仕様例を挙げる。
内管部12(密度0.950の熱可塑性エラストマー60重量%と密度0.922のオレフィン系樹脂40重量%の混合物、比重:0.938)
内径D11:49.8mm
外径D12:51.6mm
外管部11(高密度ポリエチレン樹脂、密度:0.95)
内径D13(谷部外径):53.5mm
外径D14(山部外径):60.5mm
山高さM11:3.5mm
ピッチP11:8.5mm
尚、内管と外管を合わせた谷部厚みT11は1.9mmであった。
この輸送用二重管H10は、外管部11が高密度ポリエチレン樹脂で形成されているが、主としてその山部11a・谷部11bを有する構成と、高密度と低密度ポリエチレン樹脂の組み合わせの弾性により、曲率半径として約300mmまで曲げることが可能であり、その曲げで内管部12の内面にしわが生じなかった。
なお、この実施の形態2の輸送用二重管H10は、上述の▲1▼の製造方法により製造することができる。この製造時において、外管部11は、一対の山部11aと谷部11b、あるいは複数対の山部11aと谷部11bが、ヒレ状の端縁(谷部11bの底に相当する部分)を繋ぎ(重ね)合わせて一体化しながら内管部12の外面に螺旋状に形成される。
【0023】
以上の実施の形態とは異なり、内管部の外側に、螺旋状に一つまたは複数の山部を軸方向に備える外条部を形成することもできる。
[実施の形態3]
図5は本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプの実施の形態3を示す図2、図4相当図である。
【0024】
図5に示すように、この実施の形態3の輸送用二重管H20は、外面に螺旋状の山部21aを軸方向に連続的に備えた補強部材として外条部21と、この外条部21の内面で一体に接合された管本体としての円筒状内管部(内側管部)22とからなり、外条部21が、曲げ弾性率:1100MPa(JIS K7171)の高密度ポリエチレン樹脂で、内管部12が、硬さ90(JIS K63015.2)の低密度ポリエチレン樹脂(比重:0.92)でそれぞれ形成されている。
【0025】
かくして、輸送用二重管H20は、土中やジョイントボックス内で曲げた状態に配置されても、外条部21を高密度ポリエチレン樹脂で、内管部22を低密度ポリエチレン樹脂で形成しているので、内面の柔軟性を利用して内管部22の内面でのしわの発生を抑えることができると共に、座屈強度、引裂強度、耐久性、耐薬品性、リサイクル性が良好である。
【0026】
ここで参考までに、輸送用二重管H20の具体的な材料・寸法仕様例を挙げる。
内管部22(低密度ポリエチレン樹脂、密度:0.92)
内径:49.7mm
外径:51.4mm
外管部21(高密度ポリエチレン樹脂、密度:0.95)
外径(山部外径):60.2mm
山高さ:4.4mm
ピッチ:8.5mm
尚、内管部の谷部厚みは0.9mmであった。
この輸送用二重管H20は、外条部21が高密度ポリエチレン樹脂で形成されているが、主としてその山部21aを有する構成と、高密度と低密度ポリエチレン樹脂の組み合わせの弾性により、曲率半径として約300mmまで曲げることが可能であり、その曲げで内管部22の内面にしわが生じなかった。かくして、輸送用二重管H20は、土中やジョイントボックス内で曲げた状態に配置されても、外条部21を高密度ポリエチレン樹脂で、内管部22を低密度ポリエチレン樹脂で形成しているので、内面の柔軟性を利用して内管部22の内面でのしわの発生を抑えることができると共に、座屈強度、引裂強度、耐久性、耐薬品性、リサイクル性が良好である。
なお、この実施の形態3の輸送用二重管H20は、上述の▲3▼の製造方法により製造することができる。この製造時において、外管部21は、一つの山部21aが、内管部22の外面に螺旋状に形成される。
【0027】
[実施の形態4]
実施の形態4の輸送用二重管(図示省略)は、外面に環状の複数の山部を軸方向に間隔を有して備えた補強部材として外条部と、この外条部の内面で一体に接合された管本体としての円筒状内管部(内側管部)とからなり、外条部が、曲げ弾性率:1100MPa(JIS K7171)の高密度ポリエチレン樹脂(密度:0.95)で、内管部が、硬さ90(JIS K6301 5.2)の低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92)でそれぞれ形成されている。
かくして、この輸送用二重管によれば、土中やジョイントボックス内で曲げた状態に配置されても、外条部を高密度ポリエチレン樹脂で、内管部を低密度ポリエチレン樹脂で形成しているので、内面の柔軟性を利用して内管部の内面でのしわの発生を抑えることができると共に、座屈強度、引裂強度、耐久性、耐薬品性、リサイクル性が良好である。
なお、この実施の形態4の輸送用二重管の具体的な寸法仕様は、実施の形態3が外条部を螺旋状としていることを除けば同様とすることができる。
【0028】
【実施例】
図1、2(実施の形態1)で説明した構造の輸送用二重管Hとして、下記の実施例(試験体A、B、E、F)および比較例(試験体C、D、G、H)を準備し、下記のしわ測定試験により各試験体の内管の内面に発生するしわの発生状況等を確認した。
<各試験体の条件>
試験体A:外管の曲げ弾性率800MPa、内管の硬さ85(実施例)
試験体B:外管の曲げ弾性率1500MPa、内管の硬さ85(実施例)
試験体C:外管の曲げ弾性率700MPa、内管の硬さ85(比較例)
試験体D:外管の曲げ弾性率1600MPa、内管の硬さ85(比較例)
試験体E:外管の曲げ弾性率1200MPa、内管の硬さ50(実施例)
試験体F:外管の曲げ弾性率1200MPa、内管の硬さ90(実施例)
試験体G:外管の曲げ弾性率1200MPa、内管の硬さ40(比較例)
試験体H:外管の曲げ弾性率1200MPa、内管の硬さ100(比較例)
なお、各試験体は、長さ:2000mm、内径:50mmである。
<しわ測定試験の試験方法>
しわ測定試験の試験方法の一例を簡単に説明すると、図6に示すように、輸送用二重管H(各試験体)を曲率半径として300mmの状態に保持可能な冶具3を準備し、この冶具3の湾曲面(曲率半径:300mm)に各試験体を沿わせた状態で、内管の内面に発生するしわの有無をファイバースコープを用いて確認する。試験体A〜Dは内管の硬さを85に設定し、外管の曲げ弾性率を変化させて比較し、また、試験体E〜Hは外管の曲げ弾性率を1200MPaに設定し、内管の硬さを変化させて比較し、それらの試験結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すように、内管の硬度を50〜90(JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験による)とし、外管の曲げ弾性率を800〜1500MPaとしてなる実施例の輸送用二重管H(合成樹脂製コルゲートパイプ)とすることにより、曲率半径として約300mmに曲げても、内管の内面にしわが発生しないことが判明した。一方、外管の曲げ弾性率が800〜1500MPaの範囲から逸脱する比較例と、内管の硬度が50〜90の範囲から逸脱する比較例は、全て内管にしわが発生した。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプによれば、合成樹脂からなる管本体の全体または内面部分の硬さ(JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験)を50〜90とし、補強部材の曲げ弾性率を800〜1500MPaとすることによって、曲げたときに、内面の柔軟性を利用してしわの発生を防止すると共に、耐久性、耐薬品性及び成形加工性を良好にし、かつリサイクル性も良好にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプの実施の形態1を示す一部破断正面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプの実施の形態2を示す図1相当図である。
【図4】本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプの実施の形態2を示す図2相当図である。
【図5】本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプの実施の形態3を示す図2及び図4相当図である。
【図6】本発明に係る合成樹脂製コルゲートパイプのしわ測定試験を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、11、21 外管部
1a、11a、21a 山部
1b、11b 谷部
2、12、22 内管部
3 固定冶具
H、H10、H20 輸送用合成樹脂製二重管
Claims (8)
- 合成樹脂の管本体と、この管本体の外側に螺旋状に又は環状で軸方向に並んで一体に設けられた、合成樹脂の補強部材とからなり、
管本体は、その全体または内面部分の硬さが50〜90(JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験による)とされ、
補強部材は、曲げ弾性率が800〜1500MPaとされてなる合成樹脂製コルゲートパイプ。 - 補強部材が、硬質合成樹脂で形成され、管本体が、軟質合成樹脂で形成されてなる請求項1に記載の合成樹脂製コルゲートパイプ。
- 補強部材が、螺旋状または環状に複数対の山部および谷部を備え、かつ軸方向に隣接する山部と谷部とが交互に繋がってなる外管部であり、管本体が、前記外管部の内面に一体に接合された内管部である請求項1または2に記載の合成樹脂製コルゲートパイプ。
- 補強部材が、螺旋状または環状に複数の山部を軸方向に間隔を有して備えた外条部であり、
管本体が、前記外条部の内面に一体に接合された内管部である請求項1または2に記載の合成樹脂製コルゲートパイプ。 - 補強部材が、螺旋状に一つの山部を備え、軸方向に隣接する山部が間隔を有してなる外条部であり、
管本体が、前記外条部の内面に一体に接合された内管部である請求項1または2に記載の合成樹脂製コルゲートパイプ。 - 補強部材が、螺旋状に一対の山部および谷部を備え、かつ軸方向に隣接する山部と谷部とが交互に繋がってなる外管部であり、
管本体が、前記外管部の内面に一体に接合された内管部である請求項1または2に記載の合成樹脂製コルゲートパイプ。 - 補強部材が、高密度ポリエチレン樹脂または中密度ポリエチレン樹脂で形成され、
管本体が、熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂の混合物で形成されてなる請求項1〜6のいずれか一つに記載の合成樹脂製コルゲートパイプ。 - 補強部材が、高密度ポリエチレン樹脂または中密度ポリエチレン樹脂で形成され、
管本体が、硬さを50〜90(JIS K6301の5.2スプリング式硬さ試験による)とするポリエチレンで形成されてなる請求項1〜6のいずれか一つに記載の合成樹脂製コルゲートパイプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003072226A JP4243501B2 (ja) | 2002-03-22 | 2003-03-17 | 合成樹脂製コルゲートパイプ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002081265 | 2002-03-22 | ||
JP2003072226A JP4243501B2 (ja) | 2002-03-22 | 2003-03-17 | 合成樹脂製コルゲートパイプ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004003618A JP2004003618A (ja) | 2004-01-08 |
JP4243501B2 true JP4243501B2 (ja) | 2009-03-25 |
Family
ID=30445809
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003072226A Expired - Fee Related JP4243501B2 (ja) | 2002-03-22 | 2003-03-17 | 合成樹脂製コルゲートパイプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4243501B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005233373A (ja) * | 2004-02-23 | 2005-09-02 | Aron Kasei Co Ltd | 二層コルゲート管 |
JP4690671B2 (ja) * | 2004-07-16 | 2011-06-01 | 本田技研工業株式会社 | 燃料タンクのフィラーチューブ |
-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072226A patent/JP4243501B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004003618A (ja) | 2004-01-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3547231B2 (ja) | ポリマーチューブ | |
US3861424A (en) | Elastic flexible hose | |
US8646489B2 (en) | Connection structure of wave-shaped synthetic resin pipes, wave-shaped synthetic resin pipes used for the connection structure, and manufacturing method thereof | |
US3336950A (en) | Culvert construction | |
EP0246360A1 (en) | Flexible hard pipe | |
JP4243501B2 (ja) | 合成樹脂製コルゲートパイプ | |
EP1719939B1 (en) | Hose | |
JP2002257269A (ja) | 合成樹脂製コルゲートパイプ | |
JP2003227584A (ja) | 合成樹脂製コルゲートパイプ | |
JPH0942545A (ja) | 可撓性ホース | |
JP4481108B2 (ja) | ホース | |
CN210716344U (zh) | 柔性密封自锁承插缠绕实壁管 | |
JP5014135B2 (ja) | 電気掃除機用ホースの気流共鳴音の発生防止方法 | |
JP4158560B2 (ja) | ホース | |
JP7290252B2 (ja) | 管更生部材 | |
CN220891337U (zh) | 一种hdpe钢带管套管结构 | |
JP2004019700A (ja) | 可撓性と内面耐磨耗性を有する合成樹脂管 | |
JP7372631B2 (ja) | ライニング部材 | |
CN212080380U (zh) | 一种frpe缠绕复合管 | |
JP4709817B2 (ja) | 可撓性ホース | |
JP3407048B2 (ja) | 耐圧合成樹脂管 | |
JPH0432548Y2 (ja) | ||
JP6386597B2 (ja) | 樹脂配管の巻き取り構造体、巻き取り構造体の製造方法、および、樹脂配管の敷設方法 | |
CN215410629U (zh) | 埋地排水排污用增强聚丙烯hrpp双壁波纹管 | |
CN215172912U (zh) | Uhmwpe复合增强缠绕管 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050908 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081127 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081209 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090105 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4243501 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140109 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |