JP4243065B2 - 揚げ物用組成物及び揚げ物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、揚げ物用組成物及び揚げ物に関する。
【0002】
【従来の技術】
天ぷら、から揚げ、とんかつ、フライ、フリッターなどの揚げ物は、それぞれ小麦粉、澱粉などの穀粉を主体として加水したスラリー状のバッターを衣とし、もしくは粉状バッターを衣とし、揚げ種に付着させ、さらにとんかつ等では、パン粉を付着させ、高温に熱した油で揚げることで得られる。
【0003】
これらの揚げ物は、揚げ物の種類によって衣に求められる機能が異なるが、総じて、衣にはサクサクとした食感、また衣に包まれた揚げ種には水分が保持されたジューシー感が求められる。更に、揚げたての食感が長時間保たれ、冷蔵・冷凍後の再加熱においても、さくみのある食感が望まれる。
【0004】
このような揚げ物を得るために、衣に乳化剤を配合する技術が知られている。例えば、以下のものが挙げられる。
天ぷら関係では、▲1▼膨張剤及びジグリセリン脂肪酸エステルを主成分とする天ぷら衣用改良剤およびこれを含有する天ぷら衣用油脂組成物(特開平9−275921)、▲2▼植物性ステロール及びレシチンを含有する天ぷら用小麦粉組成物(特開平2000−175643)、▲3▼小麦粉を主成分とする天ぷら粉中、分離大豆蛋白質を1〜10重量%、グリセリン有機酸エステル0.1〜1.0重量%、硬化油粉末を1〜10重量%、トレハロースを1〜10重量%含有することを特徴とする冷凍保存に適した天ぷら粉組成物(特開平10−327788)等が知られている。
【0005】
また、から揚げ粉関係では、▲4▼ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびレシチンから選ばれる乳化剤の少なくとも1種をカラ揚げ粉の全重量に基いて0.5〜5重量%含有していることを特徴とするカラ揚げ粉(特開平6−237723)、▲5▼その他揚げ物については有機酸若しくはその塩及び有機酸モノグリセリドを含有することを特徴とする揚げ物用衣材(特開平8−140610)等が知られている。
【0006】
上記の従来技術▲1▼〜▲5▼において、▲1▼と▲3▼〜▲5▼は合成乳化剤を使用するものであるが、最近の健康志向の高まりから合成品の配合は敬遠される傾向にある。
また、▲2▼においては、天然素材から得られる乳化剤であるレシチンを用い、レシチンを配合する場合の衣付き、花咲き感が十分でない、さくみのある食感を必ずしも得られないという問題点を、植物ステロールの併用により解決したと記載されているが、揚げ種の水分保持効果や食感の長時間保持などの機能は得られない。
次に、▲3▼は、冷凍保存に適した方法であるが、数種類の添加物を必要としている。
【0007】
そして、これら揚げ物は、油分が多いことや、揚げ種がえび、食肉類などの場合にはコレステロールが高いということで、最近では摂取量を控える消費者も少なくない。
一方、植物ステロールは、天然の乳化剤であるが、血漿コレステロール低下作用等も有するとされていたが、水への分散性や油脂への溶解性が悪いので、そのままでは、食品等への適用ができなかった。
【0008】
このため、最近、植物ステロールの、水への分散性や油脂への溶解性を高める工夫がなされて来ている。
このような方法としては、例えば、▲6▼植物ステロール0.1〜15重量%、レシチン1〜30重量%、油脂1〜50重量%、多価アルコール1〜70重量%、エタノール1〜10重量%を含有し、植物ステロールに対するレシチンの重量比が1:2〜1:20であることを特徴とする水中油型乳化組成物(特開2001−117)、▲7▼シトステロールを含む植物ステロールを含有する飲食物において、シトステロールを含む植物ステロールにビタミンE及び乳化剤を添加して植物ステロールを油に可溶化状態にしてあることを特徴とする飲食物(特開平10−179086)、▲9▼アシル基の炭素数8〜24のジグリセリド重量%以上、炭素数8〜24の脂肪酸及び/又は該脂肪酸のモノエステル1〜30重量%、並びに植物ステロール1.2〜15重量%を含有する油脂組成物(特開2001−64669)等が挙げられる。
【0009】
上記の▲6▼〜▲9▼等の工夫にもかかわらず、実際に、植物ステロールの一般食品への利用は殆どなく、従って、植物ステロールの食品における品質改良機能などは、殆ど解明されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、揚げ物のサクサクした食感、揚げ種の水分が保持されることによるジューシー感、食感の長時間保持、冷蔵・冷凍耐性を改良するから揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物と揚げ物を提供すること、更に、揚げ種に由来するコレステロール摂取が気になる場合に、コレステロールの吸収抑制が期待できる、健康志向にマッチしたから揚げ、とんかつ、フライ食品のいずれかである揚げ物食品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、植物ステロールを特定量含有するから揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物を用いれば、揚げ物のサクサクした食感、揚げ種の水分が保持されることによるジューシー感、揚げ種に由来する生臭み・獣臭などの優れたマスキング効果等が得られることを見出したが、この植物ステロールの配合により改良された食感、水分保持等の機能は、長時間保持されるだけではなく、冷蔵、冷凍後の再加熱によっても、その機能が維持され、良好な揚げ物食品が得られることを見出し、更に研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0012】
本発明は、以下の構成からなるものである。
1.粉末状で揚げ種に付着させて用いる揚げ物用組成物において、植物性ステロールを0.5〜65重量%含有させることを特徴とするから揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物。
2.請求項1記載のから揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物から形成された揚げ物。
【0013】
本発明の特徴は、から揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物や揚げ物に、特定量の植物ステロールを含有させたことにある。
本発明は、意外な新事実、即ち、「植物ステロールは、それ自体が水や油への溶解性、分散性が低いので、そのままの形態での食品への利用は制限されていたが、特定量の植物ステロールを揚げ物用組成物に配合すると、驚くべきことに、揚げ物の食感、揚げ種のジューシー感などの食感や冷凍耐性が向上する。」という新事実の発見に基づいてなされたものである。
通常、揚げ物用組成物に単に植物ステロールを配合したのでは、食感などの向上は期待できないとされていたことからみて(例えば、先の従来法(2)の比較例3参照)、上記の発見には意外性があることが分かる。
【0014】
本発明において、上記のような優れた効果が奏される理由は、以下の通りであると推察される。
精製された植物ステロールは、常温では白色の結晶であるが、本件の場合、から揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物中の植物ステロールは、揚げ種に衣として付着させ、油ちょうして揚げ物を作る時には、その一部が油ちょう処理により溶融状態となるが、衣中に分散してとどまり、揚げ物が冷えた時には、再結晶し、微細結晶を形成するか、若しくは衣中の他の成分との間でこれまでにない構造を形成することが予測される。
従って、本件の場合、揚げ物中に存在する植物ステロールの状態とその存在量が、ある程度以上になると、上記のような本発明の優れた食感形成等に、大きく寄与するものと考えられる。
更に、本発明は、上記のような優れた効果の外に、植物ステロールを有効成分とするものであるので、本発明では、該成分による血漿コレステロール低下作用も期待できる。
【0015】
上記の植物ステロールのコレステロール低下作用のメカニズムは、以下の通りであるとされている(食品と開発 VOL.35 NO.8、11〜13)。
「食事を通じて摂取したコレステロールは、小腸から吸収される過程で親水性の壁を通過しなければならないが、そのために、疎水性のコレステロールは、胆汁酸、リン脂質、脂肪酸やモノアシルグリセロールとともに、ミセルを形成して水溶化する。もしも、その際に、植物ステロールが存在すると、コレステロールと同様にミセル中に取り込まれる。しかし、ミセルのステロール溶解性には限界があるので、既に植物ステロールに占領されたミセル中には、もはやコレステロールの入っていく余地はなくなり、その結果、コレスレロールは体内に取り込まれなくなってしまう。」
然るに、上述したように、本発明では、植物ステロールは、揚げ物中に分散し、油分を含む他の成分となじんだ状態で摂取され易く、その結果、上記のミセル形成が容易になるので、植物ステロールのコレステロール低下作用が効率的に向上できると推察される。
従って、本発明は、揚げ物のような比較的油分の高く、揚げ種由来のコレステロールが高い食品において、植物ステロールの摂取を可能とする。即ち、高コレステロール食品摂取時において、血漿コレステロールの上昇を抑える作用が効果的に発揮できることが期待できる。
【0016】
以上のように、本発明は、▲1▼本発明の揚げ物は、衣の風味、衣のサクサク感、長時間経過後の歯ごたえ、揚げ種のジューシー感、揚げ種の魚、貝類の生臭さや肉類の獣臭さのマスキング効果等の食感、食味、風味において優れた特性を有しており、これらの特性は、冷凍後においても、維持される点において優れている、▲2▼揚げ種と衣の結着性や揚げ物のかたさ等の物理的特性についても、優れている、▲3▼血漿コレステロール低下作用も同時に期待できる等、多くの点で優れた効果を奏するものであることからみて、本発明の植物ステロールを特定量含有する揚げ物用組成物には、特段の価値があることが分かる。
【0017】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、から揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物に植物ステロールを含有させ、該組成物から優れた特性の揚げ物を得ることを特徴とするものである。
【0018】
以下、本発明の構成要件である、(1)植物ステロール、(2)揚げ物用組成物、(3)揚げ物について、説明する。
(1)植物ステロール
本植物ステロールは、揚げ物の食感などの機能を改善するために使用するものであり、から揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物中に配合される。
植物ステロールは、野菜、豆類、果実や酵母類など様々な植物中に広く存在する成分であり、植物から抽出、精製して得ることができる。例えば、植物油の製造工程で得られるガム質、脱臭留出物、または油脂中に残存した不ケン化物などから得られる。これらを直接使用することも可能であるが、溶剤分別やクロマト分離などによって風味に影響を及ぼさない程度に精製して用いることも可能である。また、植物ステロール製剤として高純度に精製され、無色の粉末状を呈するものが市販されている。
【0019】
植物ステロールには、カンペステロール、シトステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、カンペスタノール、シトスタノール、スチグマスタノール、ブラシカスタノールなど、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、配糖体などが好ましいものと挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これら植物ステロールは、前記の方法で植物から抽出、精製したものを用いてもよく、工業的に製造された市販品を用いてもよい。
植物ステロールは、粉末状、粒状、ペースト状のものなど形態を問わず使用できるが、揚げ物用組成物を粉状の形態で流通させる場合や粉状で揚げ種に付着させる場合には、粉末化した植物ステロールを用いることが好ましい。
【0020】
植物ステロールの使用量は、使用目的によって、その適量は異なる。
打ち粉や調味料の場合は、0.5重量%以上、好ましくは5〜100重量%がよい。0.5重量%未満であると、所期の目的を達成することができない。一方、100重量%でもよいが、80重量%より多く用いても、効果に遜色はないので、コスト面からは80重量%以下が好ましい。
バッターの場合は、0.5〜65重量%がよく、更に好ましくは5〜50%がよい。0.5重量%未満であると、所期の目的を達成することができない。また、65重量%より多く用いても、所期の目的を達成することができない。
【0021】
(2)揚げ物用組成物
本揚げ物用組成物としては、▲1▼植物ステロールを特定量含有させた小麦粉、澱粉などの穀粉類を主体とし、加水してスラリー状のバッターを形成したものであって、衣として揚げ種に付着されるもの、また加水せずに粉状のままのものであって、衣として揚げ種に付着させるもの、▲2▼小麦粉、澱粉などに植物ステロールを配合し打ち粉としたものであって、揚げ種に直接付着させるもの、▲3▼粉末状の植物ステロールを、そのまま打ち粉とするもの、▲4▼揚げ種の下味付け用調味料又は臭み消し用調味料として、調味素材と植物ステロールを特定量配合したものであって、揚げ種に付着させるもの、等が挙げられる。
また、その実施形態としては、粉状のプレミックス、液状のバッター、揚げ種に付着させたものとその冷蔵、冷凍、油ちょう済みのものなどが挙げられる。
本発明の揚げ物用組成物を用いることにより、植物ステロールを特定量含有する、優れた特性の揚げ物を得ることができる。
【0022】
上述したように、本揚げ物用組成物は、(a)バッター、(b)打ち粉、(c)調味料等からなるものであるので、これらについて、以下、説明する。
(a)バッター
本バッターは、揚げ物の衣を構成するものである。
本発明のバッターは、小麦粉、澱粉などの穀粉類を主体とする原材料に、特定量の植物ステロールを配合したものである。
バッターの一つの形態は、加水してスラリー状にして揚げ種に付着させるものであり、から揚げ用衣、とんかつ用衣、フライ用衣などに用いる。もう一つの形態は、バッターを粉末状で揚げ種に付着させるものであり、まぶしタイプのから揚げ用、とんかつ用、フライ用などとして用いることができる。
【0023】
バッターの調製においては、必要により、膨張剤、卵黄粉、カボチャ粉、色素、粉末醤油、粉末調味料、多糖類、粉末油脂、乳化剤などを用いることができるが、それぞれ天然素材であることが望ましい。
これらバッター用には、植物ステロールと所定の原材料を配合した粉体状バッター用粉を、唐揚げ粉、かつ揚げ用粉、フライ用粉などとして流通させることができる。これらのバッター用粉は、造粒操作により造粒物、顆粒物とすることも好適である。
【0024】
本発明のバッターを用いると、揚げ調理後の揚げ物は、衣がサクサクした好ましい軽い食感となり、更に、揚げ種の水分が保持され、ジューシー感が向上する。これらの機能は、揚げ直後はもちろんのこと、時間が経過しても維持され、冷蔵、冷凍後に電子レンジやオーブントースターでの再加熱によっても、その機能が再現できる。
そして、本発明では、とんかつ、フライ食品など、衣の結着性が特に問題となる揚げ物においては、植物ステロールを含有させることにより、揚げ種の水分を保持しながら同時に衣と揚げ種との結着性が顕著に向上する。また、パン粉の結着性もよい。更に、本発明の植物ステロールを含有するバッターは、揚げ種がえび等の魚介類では生臭さ、豚肉等の肉類では獣臭さのマスキング効果にも優れている。
【0025】
(b)打ち粉
本打ち粉は、揚げ種の水分の保持と衣の結着性を高める目的で、揚げ種に付着させ被覆するものである。
本発明の打ち粉は、通常、打ち粉として使用する小麦粉、澱粉類などに、植物ステロールを特定量(0.5〜100重量%)含有させることにより得られる。従って、粉末状の植物ステロールを、そのまま打ち粉とすることもできる。
本発明の打ち粉は、前記バッターと組み合わせて用いることができる。
本発明では、打ち粉として、植物ステロールを特定量含有するものを使用することにより、揚げ種の水分保持効果が高まり、衣の付着性を維持しながら、揚げ種のジューシー感が向上し、更に、揚げ種の好ましくない臭いのマスキング効果も向上する。
【0026】
(c)調味料
本調味料は、下味付け用調味料や臭み消し用調味料とするものである。
下味付け用調味料は、例えば、竜田揚げ、味付けのとんかつ等のように、予め揚げ種に下味を付けるために、揚げ種を漬け込む、または、揚げ種にまぶして用いる調味料である。
また、臭み消し用調味料は、揚げ種の臭み消しの目的で、揚げ種を漬け込む、または、揚げ種にまぶして用いる調味料である。
本発明の調味料は、通常の調味料、例えば、醤油、酒、食用油、香辛料、胡椒、食塩等を用い、これに、植物ステロールを特定量配合することにより得ることができる。また、本発明の調味料は、揚げ調理後の衣の結着性を向上させるためには、揚げ種にまぶして用いる粉末状のものが好適である。
本発明の植物ステロールを特定量含有する調味料を、揚げ種の下処理に加えると、揚げ種の好ましくない臭いのマスキング効果が顕著となる。
本発明の調味料は、前記の打ち粉やバッターに配合することにより用いることもができる。
【0027】
(3)揚げ物
本揚げ物とは、揚げ種の周りに衣を付着させて高温の油で揚げて食するものである。具体的には、から揚げ、とんかつ、エビフライなどフライ食品等が挙げられる。
本発明の揚げ物は、上記の本発明の揚げ物用組成物を使用することにより形成することができる。、
【0028】
(4)コレステロール低下
コレステロール低下は、植物ステロールの配合量が、揚げ物一食あたり0.01g〜6gに設定すれば、その効果が期待できる。
即ち、本発明の植物ステロールを含有する揚げ物は、揚げ物の形態として植物ステロールを摂取することで、揚げ種由来のコレステロールの吸収を抑制する効果が期待される。この場合、揚げ物食品中の植物ステロールの含有量が0.01g〜6gとなることが望ましい。ここでの揚げ物食品中とは、揚げ物一つあたり、もしくは一食あたりでの含有量である。
このようにして、植物ステロールを揚げ物とともに摂取することにより、食事に起因する血漿コレステロールの上昇を効果的に抑えられることが期待できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「%」は「重量%」を意味する。
【0030】
1.評価方法
実施例及び比較例の揚げ物の評価は、以下の官能試験及び機器試験で行った。
【0031】
2.官能試験(食感等)
本発明の揚げ物について、揚げてから1時間後に、10人のパネラーが試食し、(1)衣の風味、(2)衣のサクサク感、(3)3時間後の歯ごたえ、(4)揚げ種のジューシー感、(5)揚げ種の生臭さ・獣臭さのマスキング効果、(6)冷凍耐性、(7)揚げ種と衣の結着性の各項目について、以下に示す評価基準で官能評価を行った。
【0032】
<評価基準>
(1)衣の風味
5:非常に風味が良好である。
4:風味が良好である。
3:やや風味がある。
2:やや風味が劣る
1:非常に風味が劣る。
【0033】
(2)衣のサクサク感
5:非常にサクサクしている。
4:サクサクしている。
3:ややサクサクしている。
2:全体にしんなりしてサクッとした感じが少ない。
1:サクサク感は全く感じられない。
【0034】
(3)3時間後の歯ごたえ
5:揚げたてと同等の歯ごたえがある。
4:揚げたてほどではないが、適度な硬さがある。
3:ややしんなりしはじめているが、硬さは残っている。
2:しんなりしていてやや軟らかい。
1:しんなりしていて非常に軟らかい。
【0035】
(4)揚げ種のジューシー感
5:非常にジューシー感が強い。
4:ジューシー感がある。
3:ややジューシー感がある。
2:ややぱさつく。
1:ぱさつく。
【0036】
(5)揚げ種の生臭さ、獣臭さのマスキング効果
5:マスキング効果が非常に高い。
4:マスキング効果が高い。
3:ややマスキング効果がある。
2:ややマスキング効果が劣っている。
1:マスキング効果がない。
【0037】
(6)冷凍耐性
「冷凍耐性」は、以下の評価方法で行った。
揚げてから1時間経過した揚げ物を−20℃で凍結した。これを−20℃で3ヶ月間保存し、保存テストを行った。
再加熱調理は、凍結した各揚げ物1個を、500Wの電子レンジで、一定時間加熱することにより行った。
【0038】
再加熱した揚げ物を、10人のパネラーが試食し、上記の(1)〜(6)の項目について、冷凍前の揚げ物と比較し、以下の評価基準で評価した。
5:揚げたてと変わらず非常に優れている。
4:優れている。
3:揚げたてよりは少し悪い。
2:悪い。
1:非常に悪い。
【0039】
(7)揚げ種と衣の結着性(物性)
5:結着性に非常に優れている。
4:結着性に優れている。
3:やや結着性がよい。
2:やや結着性に劣っている。
1:結着性に劣っている。
【0040】
3.機器試験(物性)
かたさと強度は、以下の方法により行った。
(8)かたさ(パリッとしたさくみの評価)
「かたさ」の評価は、以下の機器測定による応力の測定により行った。
レオナーRE-33005(山電社製)を用い、以下の条件で応力を測定した。
プランジャーは円柱状(直径40mm)を用い、破断スピード0.5mm/sで、揚げ物の厚さの15%が衣上面に相当すると仮定し、15%圧縮したときの荷重を読み取り、パリットしたさくみをかたさの指標として、以下の評価基準により評価した。
【0041】
<評価基準>
5:1000〜1300
4:800〜1000
3:600〜800
2:400〜600
1:400未満
【0042】
(9)強度(歯もろさの評価)
強度の測定は、レオナーRE-33005(山電社製)を用い、以下の条件で破断応力により測定した。
プランジャーはカッターナイフの波状(厚さ0.4mm)を用い、破断スピード0.5mm/s、格納ピッチ0.04。
得た応力波形の凹凸(ギザギザ)を読み取り、衣の歯もろさのあるサクサク感を強度の指標として、以下の評価基準により評価した。
【0043】
<評価基準>
5:900〜1700
4:700〜900
3:500〜700
2:300〜500
1:300未満
【0044】
【実施例1〜5】及び【比較例1〜3】
(とんかつ)
1.バッター及びとんかつの調製
かつ揚げバッター用プレミックス(「早ワザカツ揚げ粉」:昭和産業(株)製)を基本配合とし、これに植物ステロールを、以下の表1に示した割合で配合し均一化して、かつ揚げ用粉とした。
次に、得られた各かつ揚げ用粉200gに水320gを加え、混合してバッターを調製した。
次いで、得られた各バッターに、厚さ1cm、重さ100gのロース豚肉を、まんべんなく漬けた後、生パン粉をまぶした。バッターの付着量は1個当たり平均30gであった。
続いて、得られたバッター付きロース豚肉を、175℃で3分間油揚げして、とんかつを得た。
【0045】
2.官能試験(食感等)
官能試験は、上記の項目(1)〜(7)について行ったが、項目(6)の冷凍耐性については、再加熱調理の加熱時間を120秒間行うことにより実施した。
【0046】
3.機器試験(物性)
「かたさ」について、パリッとしたさくみを評価する方法で行った。
【0047】
4.評価結果
得られたとんかつの評価結果は、表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【実施例6〜10】及び【比較例4〜6】
(から揚げ)
1.バッター及びから揚げの調製
から揚げ用のプレミックスである、から揚げ粉(昭和産業(株)製「お肉をやわらかくするから揚げ粉」)に、植物ステロールを、表4に示した割合で配合して、揚げ用バッター(粉)を調製した。
次に、得られた各から揚げ用バッター(粉)30gを、重さ60gのモモ鶏肉5個に、まんべんなくまぶした。バッターの付着量は1個あたり6gであった。
次いで、得られたバッター付きモモ鶏肉を20分置いた後、170℃度で5分間油揚げして、モモ鶏肉のから揚げを得た。
【0050】
2.官能試験(食感等)
官能試験は、上記の項目(1)〜(6)について行ったが、項目(6)の冷凍耐性については、再加熱調理の加熱時間を70秒間行うことにより実施した。
【0051】
3.評価結果
得られた評価結果は、表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
(1)本発明の揚げ物は、衣の風味を保ち、衣のサクサク感、長時間経過後の歯ごたえ、揚げ種のジューシー感、揚げ種の生臭さ・獣臭さのマスキング効果等の食感、食味、風味において優れた特性を有する。これらの特性は、冷凍後においても、維持される点において優れている。
【0054】
(2)揚げ種と衣の結着性や揚げ物のかたさ等の物理的特性についても、優れている。
【0055】
(3)血漿コレステロール低下作用も同時に期待できる。
【0056】
3.機器試験(物性)
実施例2と同様に行った。
【0057】
4.評価結果
得られた評価結果は、表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
【実施例16〜20】及び【比較例9〜11】
(から揚げ)
1.バッター及びから揚げの調製
から揚げ用のプレミックスである、から揚げ粉(昭和産業(株)製「お肉をやわらかくするから揚げ粉」)に、植物ステロールを、表4に示した割合で配合して、揚げ用バッター(粉)を調製した。
次に、得られた各から揚げ用バッター(粉)30gを、重さ60gのモモ鶏肉5個に、まんべんなくまぶした。バッターの付着量は1個あたり6gであった。
次いで、得られたバッター付きモモ鶏肉を20分置いた後、170℃度で5分間油揚げして、モモ鶏肉のから揚げを得た。
【0060】
2.官能試験(食感等)
官能試験は、上記の項目(1)〜(6)について行ったが、項目(6)の冷凍耐性については、再加熱調理の加熱時間を70秒間行うことにより実施した。
【0061】
3.評価結果
得られた評価結果は、表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
【発明の効果】
(1)本発明の揚げ物は、衣の風味を保ち、衣のサクサク感、長時間経過後の歯ごたえ、揚げ種のジューシー感、揚げ種の生臭さ・獣臭さのマスキング効果等の食感、食味、風味において優れた特性を有する。これらの特性は、冷凍後においても、維持される点において優れている。
【0064】
(2)揚げ種と衣の結着性や揚げ物のかたさ等の物理的特性についても、優れている。
【0065】
(3)血漿コレステロール低下作用も同時に期待できる。
Claims (2)
- 粉末状で揚げ種に付着させて用いる揚げ物用組成物において、植物性ステロールを0.5〜65重量%含有させることを特徴とするから揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物。
- 請求項1記載のから揚げ用、とんかつ用、フライ食品用のいずれかである揚げ物用組成物から形成された揚げ物。
Priority Applications (1)
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