JP4242505B2 - ガイドカム機構 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉自在の車両ルーフのカバーのガイドカム機構であって、少なくとも１つのスリット状開口を含みカバーに結合されたカム本体を有し、開口が、案内路を形成するか、案内路を有する案内部材の受けに役立つ形式のものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
このようなガイドカム機構は、例えば、ドイツ特許ＤＥ３５２９１１８Ｃ２またはＤＥ１９６２３９４５Ｃ１から公知である。
ガイドカム機構の案内路は、カバーの旋回および／または車両縦方向の摺動を行うためのカバー作動機構の連結ピンを摺動自在に受容するのに役立つ。カバーが、特に風負荷によって誘起されるような垂直負荷を受けた際に、振動しないよう、上述の種類のガイドカム機構のカム本体は、十分な剛性およびねじり強さを有していなければならない。例えば、カバーが車両に固定のフレームに氷結した状態において、カバー作動機構を作動した場合に現れる過負荷運転においても、カム本体が塑性変形してはならない。この場合、特に、極めて長い案内路を有し、カバーの摺動方向へ延びる案内レールのすべり部材に連結ピンを直接に設置した、カバー作動機構に使用される如きガイドカム機構が問題である。しかしながら、案内レールのすべり部材に旋回自在に設けた昇降レバーに連結ピンを設置した場合に典型的に使用される、案内路のより短いガイドカム機構のカム本体は、スリット状開口によって、少なからず脆弱化される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従って、冒頭に述べた種類のガイドカム機構は、概ね、補足的に折曲部を設けることができる比較的厚い金属板部材として構成される。負荷時の案内路の塑性変形を回避し、弾性変形および振動を最少化するため、開口の上下に十分に高いウェブが残っていなければならない。その結果、ガイド本体が金属板部材からなる場合、上述の種類のガイドカム機構は、大きい重量を有し、大きい組込高さを必要とする。冒頭に述べた種類のガイドカム機構において、カム本体を合成樹脂から構成した場合、上記カム本体は、強度的理由から、更に厚く設計しなければならず、更に大きい組込スペースを必要とする。
【０００４】
カム本体を、例えば、内側の合成樹脂部材と、好ましくは２つの外側の金属部材とからなる層状構造を有する複合体として構成した場合にも（ドイツ特許ＤＥ４４０５７４２Ｃ１）、上記の基本的欠点が現れる。
請求項１に開示の本発明の課題は、大きい強度を特徴とし、しかも、材料厚さを薄く、開口の上下のウェブを細く構成でき、多大の製造技術的作業を必要とすることなく妥当な経費で製造できる、冒頭に述べた種類のカム本体を創成することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この課題は、請求項１の前提条件の特徴を有するガイドカム機構において、開口を少なくとも部分範囲においてブリッジ状に被い、開口の両側のカム本体の材料範囲（開口の両側部分）を相互に結合する少なくとも１つの補強要素を設けることによって、解決される。
かくして、カム本体を薄肉に構成し、開口の両側のウェブを細く構成することができる。補強要素は、開口の自由弾性長さを減少することによってカム本体を強化し、構造高さを増大することなく高負荷の箇所に適切に設置できる。カム本体の確実な機能が、過負荷運転においても本質的に改善される。
【０００６】
本発明に係るガイドカム機構は、開閉自在のすべての種類の車両ルーフ（例えば、スライドルーフ、チルトルーフ、スライド／チルトルーフまたはスラットルーフ）に使用するのに適する。カバーは、単一カバーまたは多分割カバーであってよい。
本発明の有利な実施の形態は、従属請求項の対象である。
補強要素をＵ字状に構成し、カム本体と形状結合および／または力結合させれぱ好ましい。この場合、補強要素は、カム本体に係止および／またはリベット止めしたＵ字状に湾曲した金属板片から形成できる。金属板片は、案内路のほぼ全長にわたって延ばすことができる。
【０００７】
補強要素は、カム本体の受容ボア内にかしめ加工した、横断面が円形のＵ字状に湾曲した金属部材として、構造的に特に簡単に構成できる。この場合、カム本体は、同じく金属から構成するのが合目的的である。
補強要素は、本発明の別の実施の形態にもとづき、カム本体と材料結合させるか、カム本体と一体に構成できる。射出成形時に少なくとも１つの補強要素を同時に射出成形した合成樹脂製カム本体の場合、一体構造は、特に有利である。
製造技術的に適切に、補強要素をカム本体の周囲に射出した本質的にＵ字状の合成樹脂部材として構成することもできる。この場合、成形に関して大きい自由度が得られ、補強要素を強度的、スペース的に最適化できる。案内路をカム本体の開口自体からではなくカム本体の開口内にある合成樹脂製案内部材から形成すれば、案内部材と少なくとも１つの補強要素とを一体に構成し、カム本体に一緒に射出成形することができる。
【０００８】
補強要素が、開口の両側の材料範囲を相互に弾性的に負荷すれば特に有利であり、かくして、案内路の壁も横方向へ軽く負荷され、摺動自在に受容された案内ピンは、上記案内路に遊びなく当接する。
補強要素が、カム本体の開口のうち、カバーの閉鎖位置からカバー後縁を車両の固定ルーフ面の上方へ上昇した換気位置への移行箇所に対応する案内路部分がある範囲を被えば特に有利である。更に、補強要素は、換気位置に対応する案内路部分において開口を合目的的に補強する。かくして、しばしば過負荷運転が現れることになるカバー位置において、ガイドカム機構を特に剛に構成できる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、以下に、本発明の有利な実施の形態を詳細に説明する。
図１に示した如く、車両の固定ルーフ面１０には、カバー１４によって閉鎖または完全なまたは部分的な開放を選択的に行うことができるルーフ開口部１２が設けてある。カバー１４は、フレーム８に支持されカバー１４の後縁１６の昇降および摺動方向６のカバー摺動に役立つ公知の種類のカバー作動機構によって駆動される。
【００１０】
図２、３を参照して説明する。同図に、カム本体の縦方向へ延びるスリット状開口２２を有する縦長の金属製カム本体２０を有するガイドカム機構１８を示した。保持部材３４は、カバー１４にカム本体２０を固定するのに役立つ。カム本体２０の開口２２には、上部壁２４および下部壁２５から形成された案内路２３を有する合成樹脂製案内部材２６が射出成形されている。壁２４、２５は、壁の間に可動に案内された連結ピン４４の太さに対応する間隔を置いて延びる。カム本体は、前端において、ピン４３を介して前部すべり部材３６のウェブ４０に枢着されている。この場合、すべり部材３６は、カバーの摺動方向６へ延びる案内レール４６に摺動自在に受容されている。
【００１１】
連結ピン４４は、同じく案内レール４６に沿って摺動自在に支持された後部すべり部材３８のウェブ４２に支持される。後部すべり部材３８は、カバー作動機構の一部であり、非伸縮性ケーブルを介して駆動装置（図示してない）によって公知の態様で摺動方向へ駆動され、この場合、連結ピン４４は、双方のすべり部材３６、３８の間隔に応じて案内路２３に沿って摺動される。かくして、後部すべり部材３８の縦方向運動は、ピン４３（の縦軸線）のまわりのカバー１４の回転運動に変換される。連結ピン４４が案内路２３の前部（案内路部分）２８にある場合、カバー後縁１６は、固定ルーフ面１０の上方へ上昇されている。図２に示した如く、連結ピン４４が、案内路２３の中央部分（中途部）３０に位置した場合、カバー１４は閉位置にある。更に、連結ピン４４が後部３２にある場合は、カバー１４の後縁１６は、固定ルーフ面１０の下方に旋回され、かくして、双方のすべり部材３６、３８の摺動によってカバー１４を摺動方向へ摺動させることができる。
【００１２】
カム本体は、折曲部分５２を有するＬ字状横断面を有し、開口２２を摺動方向６へ３つのほぼ等長の部分に分割し開口２２の上下の材料範囲を相互に結合する２つの補強要素４８を備えている。補強要素４８は、Ｕ字状丸鋼から形成され、その脚の端部には、それぞれ、カム本体２０のボア５０に導入され、サラ頭リベット結合の形で上記ボアに形状・力結合された突起が設けてある。
図４に示した実施の形態の場合、補強要素は、同じくＵ字状カム本体５４を脚で囲むＵ字状弾性部材５６として構成されている。Ｕ字状弾性部材５６の各脚には、カム本体５４の受け５８に形状結合状態で係合する係止部材６０がプレス加工されている。Ｕ字状弾性部材５６の脚は、カム本体５４に対する確実な当接を保証し、同時に、案内部材２６の上部壁２４または下部壁２５を僅かに弾性的に圧縮するため、相互に負荷（支持）され、かくして、連結ピン４４は、案内路２３を遊びなく追従する。
【００１３】
図５に、実施の形態として、Ｕ字状弾性部材６６として構成された本質的にＵ字状の補強要素と、合成樹脂製案内部材６４を開口２２に射出成形したＬ字状カム本体６２とを示した。Ｕ字状弾性部材６６の下部脚は、カム本体６２の短い脚を形状結合状態で囲み、他方、Ｕ字状弾性部材６６の上部脚には、カム本体６２の長い脚に溶接点７０で結合された突起６８が形成されている。Ｕ字状弾性部材６６は、カム本体６２の縦方向へ、案内路のほぼ全長にわたって延びる。
図６に、補強要素が、同じくＵ字状のカム本体７２の上部脚と下部脚とを結合するＵ字状の合成樹脂射出成形部７６である実施の形態を示した。カム本体７２の脚の開口７４は、合成樹脂射出成形部７６をカム本体７２と形状結合するのに役立つ。この場合、案内部材６４は、別個の構成部材として構成するか、場合によっては、合成樹脂射出成形部７６と一体に製造できる。
【００１４】
上述した本発明の態様を次に示す。
開閉自在の車両ルーフのカバー１４のガイドカム機構であって、少なくとも１つのスリット状開口２２（複数でもよく、実施形態では１つ）を含みカバー１４に結合されたカム本体２０、５４、６２、７２を有し、開口２２が、案内路２３を形成するか、又は案内路２３を有する案内部材２６、６４の受けに役立つ形式のものにおいて、開口２２を少なくとも部分範囲（中途部、前部、後部の内の少なくとも１部分または全長）において、ブリッジ状（開口を跨ぐ状態）に被い、開口２２の両側のカム本体２０、５４、６２、７２の材料範囲を相互に結合する少なくとも１つの補強要素４８、５６、６６、７６が設けてある。
【００１５】
また、補強要素４８、５６、６６、７６が、ほぼＵ字状（Ｕ字状の他に、ほぼＶ字状、ほぼコ字状等を含む）に構成されており、しかも、カム本体２０、５４、６２、７２と形状結合および／または力結合されている。
補強要素４８、５６、６６、７６は、カム本体２０、５４、６２、７２と材料結合されている、カム本体２０、５４、６２、７２と一体に構成されている、および／または開口２２の両側の材料範囲を相互に弾性的に負荷する。
カム本体２０、５４、６２、７２が、金属板部材として構成されている。
【００１６】
少なくとも１つの補強要素４８、５６、６６、７６が、開口２２のうち、カバー１４の閉鎖位置からカバー１４の後縁１６を車両の固定ルーフ面１０の上方へ上昇した換気位置への移行箇所に対応する案内路２３の部分がある範囲を被う。
換気位置に対応する案内路部分２８において開口２２を補強する少なくとも１つの補強要素４８、５６、６６、７６が設けてある。
補強要素が、ほぼＵ字状に湾曲した金属板片５６、６６から、または、ほぼＵ字状に湾曲した横断面が円形の金属部材４８から形成される。
【００１７】
補強要素が、カム本体７２の本質的にほぼＵ字状に湾曲した合成樹脂射出成形部７６から形成される。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができ、また、前記各実施の形態におけるカム本体および補強部材の材質、形状、固着方法等は、適宜組み合わせることができる。
【００１８】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、スリット状開口２２を有するカム本体２０、５４、６２、７２は、強度を大きく、材料厚さを薄く、開口２２の上下のウェブを細く構成でき、多大の製造技術的作業を必要とすることなく妥当な経費で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 車両ルーフの略平面図である。
【図２】 図１の線IIーIIに沿う部分断面図である。
【図３】 図２の線IIIーIIIに沿う部分断面図である。
【図４】 変更例の補強要素の図３と類似の部分断面図である。
【図５】 補強要素の他の実施形態の図３と類似の部分断面図である。
【図６】 補強要素の他の実施形態の図３と類似の部分断面図である。
【符号の説明】
６ カバーの摺動方向
８ フレーム
１０ 固定ルーフ面
１２ ルーフ開口部
１４ カバー
１６ カバーの後縁
１８ ガイドカム機構
２０ カム本体
２２ 開口
２３ 案内路
２４ 上部壁
２５ 下部壁
２６ 案内部材
２８ 案内路の前部（案内路部分）
３０ 案内路の中途部分
３２ 案内路の後部
３４ 保持部材
３６ 前部すべり部材
３８ 後部すべり部材
４０ 前部すべり部材のウェブ
４２ 後部すべり部材のウェブ
４３ ピン
４４ 連結ピン
４６ 案内レール
４８ 補強要素
５０ ボア
５２ カム本体の折曲部分
５４ カム本体
５６ Ｕ字状弾性部材
５８ 受け
６０ Ｕ字状係止部材
６２ カム本体
６４ 案内部材
６６ Ｕ字状弾性部材
６８ 突起
７０ 溶接点
７２ カム本体
７４ 開口
７６ 合成樹脂射出成形部

Claims (11)

1. 開閉自在の車両ルーフのカバー（１４）のガイドカム機構であって、少なくとも１つのスリット状開口（２２）を含みカバー（１４）に結合されたカム本体（２０、５４、６２、７２）を有し、開口（２２）が、案内路（２３）を形成するか案内路（２３）を有する案内部材（２６、６４）の受けに役立つ形式のものにおいて、開口（２２）を少なくとも部分範囲においてブリッジ状に被ってカム本体（２０、５４、６２、７２）の開口（２２）の両側部分を相互に結合する少なくとも１つの補強要素（４８、５６、６６、７６）が設けてあることを特徴とするガイドカム機構。
2. 補強要素（４８、５６、６６、７６）が、ほぼＵ字状に構成されていることを特徴とする請求項１のガイドカム機構。
3. 補強要素（４８、６６）がカム本体（２０、６２）にリベット結合、または溶接されていることを特徴とする請求項１または２のガイドカム機構。
4. 補強要素（５６）が、カム本体（５４）の受け（５８）に係止部材（６０）を係合して結合されていることを特徴とする請求項１または２のガイドカム機構。
5. 補強要素（７６）が、カム本体（７２）と一体に構成されていることを特徴とする請求項１または２に記載のガイドカム機構。
6. 補強要素（４８、５６、６６、７６）が、案内路（２３）における遊びをなくすべく、開口（２２）の両側部分を相互に弾性的に圧縮することを特徴とする先行請求項の１つに記載のガイドカム機構。
7. カム本体（２０、５４、６２、７２）が、金属板部材として構成されていることを特徴とする先行請求項の１つに記載のガイドカム機構。
8. 少なくとも１つの補強要素（４８、５６、６６、７６）が、開口（２２）のうち、カバー（１４）の閉鎖位置からカバー（１４）の後縁（１６）を車両の固定ルーフ面（１０）の上方へ上昇した換気位置への移行箇所に対応する案内路（２３）の部分がある範囲を被うことを特徴とする先行請求項の１つに記載のガイドカム機構。
9. カバー（１４）の閉鎖位置からカバー（１４）の後縁（１６）を車両の固定ルーフ面（１０）の上方へ上昇した換気位置に対応する案内路部分（２８）において、開口（２２）を補強する少なくとも１つの補強要素（４８、５６、６６、７６）が設けてあることを特徴とする先行請求項の１つに記載のガイドカム機構。
10. 補強要素が、ほぼＵ字状に湾曲した金属板片（５６、６６）からまたはほぼＵ字状に湾曲した横断面が円形の金属部材（４８）から形成されることを特徴とする先行請求項の１つに記載のガイドカム機構。
11. 補強要素が、カム本体（７２）の開口（２２）の両側部分を相互に結合するほぼＵ字状に湾曲した合成樹脂射出成形部（７６）から形成されることを特徴とする請求項１、２、５のいずれか１つに記載のガイドカム機構。

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