JP4242470B2 - オレフィン重合用触媒成分およびポリオレフィンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は担体つきのオレフィン重合用固体触媒成分およびそれを用いるポリオレフィンの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は平均粒径が大きく、微粉状部分が少なく、かさ密度が高いなど良好な粒子性状を有し、かつ加工成形品のフィッシュアイ(ゲル)の少ないポリオレフィンを高活性に製造することのできる、担体つきの固体触媒成分およびそれを用いるポリオレフィンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来オレフィン重合の分野においては、ハロゲン化マグネシウム、酸化マグネシウムなどの無機マグネシウム化合物を担体として、これにチタンおよび/またはバナジウムを担持させた触媒が数多く知られている。しかしながらこれらの公知技術においては、得られるポリオレフィンの平均粒径は比較的小さく、粒径分布も概して広いため微粉状部分が多く、またさか密度も一般に小さいため、重合工程における生産性の面あるいはポリマーハンドリングの面から改良が強く望まれていた。さらにこれらのポリマーを成型加工する際にも粉塵の発生、成型時の能率の低下等の問題を生ずるため、前述したかさ密度の増大、微粉状部分の減少が強く望まれていた。
【0003】
これらの問題を解決するため、前記マグネシウム化合物、チタンおよび/またはバナジウムをシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ等の粒状担体に担持させた触媒成分も多く知られている(特公平1−11651、特公平1−12289、特開昭60−149605、特開昭62−32105、特開昭62−207306等)。しかしながらこれらの触媒成分を用いた場合、ある程度かさ密度が高く、平均粒径の大きいポリマーを得ることができるが、ペレット化工程を省略し粉体ポリマーをそのまま加工機にかけるためにはさらに改良が必要とされた。
【0004】
これらの改良技術として、前記マグネシウム化合物、チタンおよび/またはバナジウムを特定の性状をもつシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ等の粒状担体に担持させた触媒成分も知られている(特開昭63−61008、特開平6−306116)。かかる金属酸化物担体を用いた触媒成分を重合に使用した場合、かさ密度が高く、平均粒径の大きいポリマーを得ることができるが、得られたポリマーを加工成形した場合に、触媒またはその担体であるケイ素酸化物および/またはアルミニウム酸化物を核とするフィッシュアイが生成する場合があり、製品の外観を損ね強度を低下させるなど商品価値を低下させる結果をもたらす。特にフィルム用途の場合に、このフィッシュアイ低減が強く望まれる。
本発明はこれらの欠点を改良し、平均粒径が大きく、微粉状部分が少なく、かさ密度が高いなど良好な粒子性状を有し、かつ加工成形品のフィッシュアイ(ゲル)の少ないポリオレフィンを高活性に得ることを目的として鋭意研究の結果、本発明に到達したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、少なくともマグネシウム、チタンおよび/またはバナジウム、およびハロゲンをケイ素酸化物粒子に担持したオレフィン重合用固体触媒成分において、ケイ素酸化物粒子の圧縮強度をSt(kgf/mm2 )、該ケイ素酸化物粒子の個数パーセントをR(%)としたとき、圧縮強度の分布がSt<0.2の粒子が0≦R≦15、0.2≦St≦0.6の粒子が70≦R≦100、かつ0.6<Stの粒子が0≦R≦15の条件を満足するケイ素酸化物粒子を担体として用いることを特徴とするオレフィン重合用固体触媒成分である。
本発明の第2は、上記の固体触媒成分および有機金属化合物からなる触媒の存在下に少なくとも1種のオレフィンを重合せしめることを特徴とするポリオレフィンの製造方法である。
【0006】
本発明の固体触媒成分は、少なくともマグネシウム、チタンおよび/またはバナジウム、およびハロゲンを、ケイ素酸化物粒子の圧縮強度をSt(kgf/mm2 )、該ケイ素酸化物粒子の個数パーセントをR(%)としたとき、St<0.2の粒子が0≦R≦15、0.2≦St≦0.6の粒子が70≦R≦100、かつ0.6<Stの粒子が0≦R≦15の圧縮強度分布の関係を満足するケイ素酸化物粒子に担持させたものである。
上記性状を満足するケイ素酸化物を用いると、従来用いられてきたケイ素酸化物を用いた場合に比し、平均粒径が大きく、微粉状部分が少なく、かさ密度が高いなど良好な粒子性状を有し、かつ加工成形品のフィッシュアイ(ゲル)の少ないポリオレフィンを高活性に得ることができる。
本発明で用いる選択されたケイ素酸化物がこのような顕著な効果を示す理由としては次のことが考えられる。
【0007】
担体として用いる該ケイ素酸化物は、ケイ素と酸素の三次元網目構造を有する多孔質な化合物であり、該ケイ素酸化物の多孔質部に触媒成分を担持させたものが通常固体触媒成分として用いられる。ここで重合条件下に供給された固体触媒成分の中の一粒について考えると、この固体触媒成分が助触媒と接触して活性を発現し、多孔質部に拡散してきたモノマーと接触して重合が開始される。固体触媒内部での重合がすすむと、固体触媒内部でのポリマーの増加により固体触媒粒子が膨張し、該ケイ素酸化物の強度を越えると、該ケイ素酸化物の三次元網目構造が崩壊しはじめる。このような崩壊が固体触媒粒子の内部で均一に起これば、ポリマーが増加した固体触媒粒子、すなわちポリマー粒子中のケイ素酸化物は著しく微細に崩壊されるため、フィルム成型を行なった場合においても、フィルム面に微分散するためフィッシュアイの核にはならない。
【0008】
ここで該ケイ素酸化物の強度が高すぎると該ケイ素酸化物が重合過程で崩壊せずにポリマーに残存しやすくなり、得られたポリマーを加工成型した場合にそのまま成型物中に存在しフィッシュアイの原因となる。
一方該ケイ素酸化物の強度が低すぎると該ケイ素酸化物はポリマー中で著しく微細に崩壊するものの、形成されたポリマー粒子の形態が維持できず微粉状のポリマー粒子が生成し好ましくない。また該ケイ素酸化物の強度が低すぎると触媒成分を担持させる工程において、攪拌翼からの力で微粉化し、触媒調製槽上部のフランジ、配管、フィルター等に付着をして、触媒調製を困難にし好ましくない。さらに微粉化した触媒からは微粉状のポリマーが生成し好ましくない。
【0009】
したがって適度な強度を有するケイ素酸化物を固体触媒成分に使用すると、固体触媒からポリマー粒子に成長した時に、一粒の粒子形態を維持しつつ、内部のケイ素酸化物は微細に崩壊しているため、平均粒径が大きく、微粉状部分が少なく、かさ密度が高いなど良好な粒子性状を有し、かつ加工成形品のフィッシュアイ(ゲル)の少ないポリオレフィンを製造することができる。
【0010】
本発明における該ケイ素酸化物圧縮強度は次のようにして求めることができる。
固定した粒子の真上から加圧圧子を一定の割合で負荷力を加えて粒子を破壊し、その時の破壊荷重(P:kgf)を測定し、次式からその粒子の圧縮強度(St:kgf/mm2 )を求める。dはその粒子の直径(mm)を示す。
St=2.8P/πd2
通常無作為に100粒子を選び直径と破壊強度を満足する。圧縮強度(St:kgf/mm2 )がSt<0.2の粒子の割合(R:個数%)が0≦R≦15であり、特に0≦R≦10が好ましく、かつ0.2≦St≦0.6の粒子の割合が70≦R≦100であり、特に80≦R≦100が好ましく、かつ0.6<Stの粒子の割合が0≦R≦15であり、特に0≦R≦10が好ましい。
【0011】
St<0.2の粒子の割合が15個数%より多いと、微粉状のポリマーが増加し、一方0.6<Stの粒子の割合が15個数%より多いと、フィッシュアイ(ゲル)が生成しやすくなる。
本発明で用いる該ケイ素酸化物は上記の性状に加え、通常平均粒径は20〜100μm、好ましくは30〜60μm、比表面積は150〜500m2/g、好ましくは200〜300m2/g、細孔容積は0.3〜2.0cm3/g、好ましくは0.5〜1.5cm3/g、見掛比重は0.32〜0.45g/cm3、好ましくは0.35〜0.45g/cm3を満足するものである。
【0012】
以下、本発明のオレフィン重合用固体触媒成分について具体的に説明する。
本発明において用いるケイ素酸化物とは、シリカもしくはケイ素と周期律表I〜VI族の少なくとも一種の他の金属との複酸化物である。ケイ素と周期律表I〜VI族の少なくとも一種の他の金属との複酸化物の代表的なものとしては、Al2 O3 ・SiO2 、Al2 O3 ・MgO・SiO2 、Al2 O3 ・NiO、SiO2 ・MgOなどの天然または合成の各種複酸化物を例示することができる。ここで上記の式は分子式ではなく組成のみを表すものであって、本発明において用いられる複酸化物の構造および成分比率は特に限定されるものではない。なお本発明において用いるケイ素酸化物は通常200〜800℃で焼成後使用するのが好ましいが、少量の水分を吸着していても差し支えなく、また少量の不純物を含有していても支障なく使用できる。
【0013】
本発明に使用する上記ケイ素酸化物の合成法は種々考えられる。シリカに関しては例えば次のような方法で合成することができる。
1)ケイ酸ソーダおよび硫酸を各々約10%および約20%に希釈した後、反応槽にまず硫酸を既定量入れ、激しく攪拌しながら20℃でケイ酸ソーダを注入して反応させる。反応生成物(ヒドロゾル)の温度、PHを調節してゲル化させヒドロゲルとし、その後水洗しろ過して固体状のヒドロゲルとする。次に乾式の衝撃ミルを用いてヒドロゲルを粗粉砕しゲルの平均粒径を90〜100μmとし、ビーズミルまたはポットミルを用いて湿式粉砕を行い、20%のシリカヒドロゾルスラリーをスプレー乾燥器を用いて乾燥し、微小球シリカとし、さらに約180℃で乾燥して水分を除去し本発明に使用する微小球シリカとする。これらの工程の中で、湿式粉砕条件およびスプレー乾燥条件等を変化させることにより本発明の性状を有するシリカを製造することができる。
2)ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂層を通して、SiO2 /Na2 O(モル比)40〜60のゾルを得、これを加熱熟成して密度の大きい独立分散粒子まで成長させ、これに新たにイオン交換樹脂層を通して得た希薄ゾルを徐々に添加することにより前記独立分散粒子表面に重合沈着させて安定なゾルを得る。この際安定剤としてNaOH、LiOHまたはKOH等を添加してもよい。得られた安定ゾルを適当な濃度に希釈後、スプレー乾燥により球状の微小球シリカを得、さらに約180℃で乾燥して水分を除去し本発明に使用する微小球シリカとする。上記方法のうち1)の方法が特に好ましい。
【0014】
本発明のオレフィン重合用固体触媒成分は、上記ケイ素酸化物に少なくともマグネシウム、チタンおよび/またはバナジウム、およびハロゲンを担持させたものである。
マグネシウム化合物としては特に制限はないが、
一般式 Mg(OR1 )n X1 2-n
(ここでR1 は炭素数1〜20の炭化水素残基を示し、X1 はハロゲン原子を、nは0≦n≦2を示す)で表される化合物があげられ、具体的にはフッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、メトキシクロロマグネシウム、エトキシクロロマグネシウム、n−プロポキシクロロマグネシウム、iso−プロポキシクロロマグネシウム、n−ブトキシクロロマグネシウム、sec−ブトキシクロロマグネシウム、tert−ブトキシクロロマグネシウム、メトキシブロモマグネシウム、エトキシブロモマグネシウム、n−プロポキシブロモマグネシウム、iso−プロポキシブロモマグネシウム、n−ブトキシブロモマグネシウム、sec−ブトキシブロモマグネシウム、tert−ブトキシブロモマグネシウム、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジn−プロポキシマグネシウム、ジiso−プロポキシマグネシウム、ジn−ブトキシマグネシウム、ジsec−ブトキシマグネシウム、ジtert−ブトキシマグネシウムなどの化合物をあげることができ、特に塩化マグネシウムが好ましい。また本発明において、これらのマグネシウム化合物はアルコール、エステル、ケトン、カルボン酸、エーテル、アミン、ホスフインなどの電子供与体で処理したものであってもよい。
【0015】
上記マグネシウム化合物にさらに
一般式 M1 (OR2 )p X2 z-p
(ここでM1 は周期律表I〜IV族の元素、zは元素M1 の原子価、pは0<p≦z、X2 はハロゲン原子を示す。またR2 は炭素数1〜20、好ましくは1〜8、のアルキル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素残基を示し、それぞれ同一でもまた異なっていてもよい)で表される化合物を加え相互に反応させて得られる化合物を用いてもよい。例えばNaOR2 、Mg(OR2 )2 、Mg(OR2 )X2 、Ca(OR2 )2 、Zn(OR2 )2 、Cd(OR2 )2 、B(OR2 )3 、Al(OR2 )3 、Al(OR2 )2 X2 、Al(OR2 )X2 2 、Si(OR2 )4 、Si(OR2 )3 X2 、Si(OR2 )2 X2 2 、Si(OR2 )X2 3 、Sn(OR2 )4 などで示される各種の化合物をあげることができる。これらの好ましい具体例としては、ジエトキシマグネシウム、エトキシクロロマグネシウム、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、ジメトキシクロロアルミニウム、ジエトキシクロロアルミニウム、エトキシジクロロアルミニウム、ジイソプロポキシクロロアルミニウム、イソプロポキシジクロロアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジフェノキシクロロアルミニウム、フェノキシジクロロアルミニウム、トリメチルフェノキシアルミニウム、ジメチルフェノキシクロロアルミニウム、メチルフェノキシジクロロアルミニウム、トリベンゾキシアルミニウム、テトラエトキシシラン、トリエトキシクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、テトラフェノキシシラン、トリフェノキシクロロシラン、ジフェノキシジクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラベンゾキシシランなどの化合物をあげることができる。
【0016】
チタン化合物としては特に制限はないが、
一般式 Ti(OR3 )m X3 4-m
(ここでR3 は炭素数1〜20の炭化水素残基、X3 はハロゲン原子を表し、mは0≦m≦4である)で表される化合物があげられ、具体的には四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン、モノメトキシトリクロロチタン、ジメトキシジクロロチタン、トリメトキシモノクロロチタン、テトラメトキシチタン、モノエトキシトリクロロチタン、モノエトキシトリフルオロチタン、モノエトキシトリブロモチタン、ジエトキシジフルオロチタン、ジエトキシジクロロチタン、ジエトキシジブロモチタン、トリエトキシフルオロチタン、トリエトキシクロロチタン、テトラエトキシチタン、モノプロポキシトリクロロチタン、モノイソプロポキシトリクロロチタン、ジプロポキシジクロロチタン、ジイソプロポキシジクロロチタン、ジイソプロポキシジブロモチタン、トリイソプロポキシフルオロチタン、トリプロポキシクロロチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、モノブトキシトリクロロチタン、モノイソブトキシトリクロロチタン、ジブトキシジクロロチタン、トリブトキシフルオロチタン、トリブトキシクロロチタン、トリイソブトキシクロロチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラsec−ブトキシチタン、テトラtert−ブトキシチタン、モノペントキシトリクロロチタン、ジペントキシジクロロチタン、トリペントキシジモノクロロチタン、テトラn−ペンチルオキシチタン、テトラシクロペンチルオキシチタン、モノオクチルオキシトリクロロチタン、ジオクチルオキシジクロロチタン、トリオクチルオキシモノクロロチタン、テトラn−ヘキシルオキシチタン、テトラシクロヘキシルオキシチタン、テトラn−ヘプチルオキシチタン、テトラn−オクチルオキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、モノ2−エチルヘキシルオキシトリクロロチタン、ジ2−エチルヘキシルオキシジクロロチタン、トリ2−エチルヘキシモノクロロチタン、テトラ−ノニルオキシチタン、テトラデシルオキシチタン、テトライソボルニルオキシチタン、テトラオレイルオキシチタン、テトラアリルオキシチタン、テトラベンジルオキシチタン、テトラベンズヒドリルオキシチタン、モノフェノキシトリクロロチタン、ジフェノキシジクロロチタン、トリフェノキシクロロチタン、トリo−キシレンオキシクロロチタン、テトラフェノキシチタン、テトラ−o−メチルフェノキシチタン、テトラ−m−メチルフェノキシチタン、テトラ−1−ナフチルオキシチタン、テトラ−2−ナフチルオキシチタン、または、これらの任意混合物などが例示される。特に、四塩化チタン、モノエトキシトリクロロチタン、ジエトキシジクロロチタン、モノブトキシトリクロロチタン、ジブトキシジクロロチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ヘキシルオキシチタン、テトラ−n−オクチルオキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタンなどが好ましい。
【0017】
バナジウム化合物としては四塩化バナジウム、四臭化バナジウム、四ヨウ化バナジウム等の4価のバナジウム化合物、オキシ三塩化バナジウム、エトキシジクロルバナジル、トリエトキシバナジル、トリブトキシバナジル等の5価のバナジウム化合物、三塩化バナジウム、バナジウムトリエトキシド等の3価のバナジウム化合物などがあげられる。またバナジウム化合物は通常単独であるいは前記チタン化合物と併用して用いられる。
【0018】
ハロゲンとしては、前記マグネシウム化合物、チタン化合物、バナジウム化合物のいずれかとしてハロゲン化合物を用いる場合は、それらが本発明にいうハロゲンとしても機能するので、更なるハロゲン化合物を用いる必要はない。前記化合物がいずれもハロゲン化合物でない場合には別途適宜のハロゲン化合物を添加する。
【0019】
前記チタン化合物、マグネシウム化合物にさらにアルコール類、フエノール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミン類、ニトリル類等の有機化合物を加えて相互に反応させてもよい。この中でとくにアルコール類が好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、1−ノナノール、5−ノナノ−3,5−ジメチル−4−ヘプタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、2,6,8−トリメチル−4−ノナノール、1−トリデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノーウ、1−エイコサノール、フェノール、クロロフェノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブまたはこれらの任意混合物などがあげられる。特に、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、3,5−ジメチル−4−ヘプタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールなどが好ましい。もちろん、工業用アルコールとして市販されているメタノール変性アルコール、ヘキサン変性アルコールと称される各種変性アルコールも何ら支障なく用いることができる。
【0020】
前記チタン化合物および/またはバナジウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素酸化物にさらにケイ素化合物を加え相互に反応させる方法を用いることができる。好ましい具体例としては、テトラエトキシシラン、トリエトキシクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、テトラフェノキシシラン、トリフェノキシクロロシラン、ジフェノキシジクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラベンゾキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ビスジメチルアミノジメチルシラン、四塩化ケイ素などの化合物をあげることができる。
【0021】
前記チタン化合物および/またはバナジウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素酸化物にさらに有機アルミニウム化合物を加え相互に反応させる方法を用いることができる。好ましい具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリドなどの化合物をあげることができる。
【0022】
本発明で使用するマグネシウム、チタンおよび/またはバナジウム、ハロゲンを必須成分として含有する固体成分の調製方法は特に限定されるものではなく、不活性の炭化水素溶媒の存在下または不存在下に上記チタン化合物および/またはバナジウム化合物、マグネシウム化合物などを温度0〜200℃にて30分〜50時間、ボールミル、振動ミル、ロッドミル、衝撃ミルなどを用いて共粉砕する方法を用いてもよく、また、不活性炭化水素、アルコール類、フェノール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミン類、ニトリル類等あるいはそれらの混合物からなる有機溶媒中で0〜400℃、好ましくは20〜300℃の温度で5分〜10時間混合加熱反応させ、しかる後溶媒を蒸発除去する方法を用いてもよい。上記ケイ素酸化物を加え相互に反応させる場合には、有機溶媒中で反応させる方法が好ましい。
【0023】
各成分の反応割合については特に制限はないが、Ti/Mgモル比で0.001〜1000、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.05〜10を用いることが望ましい。
【0024】
これら固体触媒成分の具体例として、特公昭63−63561、特公昭63−63681、特公平1−10528、特公平1−11651、特公平1−12286、特公平1−12289、特公平1−35846、特公平1−35844、特公平1−35845、特開昭60−149605、特開昭62−32105、特開昭61−207306、特開昭63−61008、特開平3−35004、特開平3−64306、特開平3−153707、特開平3−185004、特開平3−252407、特開平3−121103、特開平4−261408等があげられる。
【0025】
本発明の固体触媒成分は、いわゆるチグラー触媒として周期律表第I〜IV族の有機金属化合物と組合せてオレフィンの重合に用いられる。有機金属化合物としては特に有機アルミニウム化合物および有機亜鉛化合物が好ましい。具体的な例としては一般式R4 3Al、R4 2AlX4 、R4 AlX4 2、R4 2AlOR4 、R4 Al(OR4 )X4 およびR4 3Al2 X4 3の有機アルミニウム化合物(ただしR4 は炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基、X4 はハロゲン原子を示し、R4 は同一でもまた異なってもよい)または一般式R5 2Zn(ただしR5 は炭素数1〜20のアルキル基であり二者同一でもまた異なっていてもよい)の有機亜鉛化合物があげられ、より具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセキスクロリド、ジエチル亜鉛およびこれらの混合物等があげられる。有機金属化合物の使用量は特に制限はないが、通常チタン化合物に対して0.1〜1000mol倍使用することができる。
【0026】
本発明においては、有機金属化合物成分は、前記有機金属化合物と有機酸エステルとの混合物もしくは付加化合物として用いることも好ましい。有機金属化合物と有機酸エステルを混合物として用いる場合には、有機金属化合物1モルに対して、有機酸エステルを通常0.1〜1モル、好ましくは0.2〜0.5モル使用する。また、有機金属化合物と有機酸エステルとの付加化合物として用いる場合は、有機金属化合物:有機酸エステルのモル比が2:1〜1:2のものが好ましい。
【0027】
この時に用いられる有機酸エステルとしては、炭素数が1〜24の飽和もしくは不飽和の一塩基性ないし二塩基性の有機カルボン酸素と炭素数1〜30のアルコールとのエステルがあげられる。具体的には、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸フェニル、酢酸オクチル、メタクリル酸メチル、ステアリン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸ジ−プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ヘキシル、安息香酸シクロペンチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸4−トリル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル、サリチル酸フェニル、p−オキシ安息香酸シクロヘキシル、サリチルサンペンジル、α−レゾルシン酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アニス酸フェニル、アニス酸ベンジル、o−メトキシ安息香酸エチル、p−エトキシ安息香酸メチル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、p−トルイル酸フェニル、o−トルイル酸エチル、m−トルイル酸エチル、p−アミノ安息香酸メチル、p−アミノ安息香酸エチル、安息香酸ビニル、安息香酸アリル、安息香酸ベンジル、ナフトエ酸メチル、ナフトエ酸エチルなどをあげることができる。これらの中でも特に好ましいのは安息香酸、o−またはp−トレイル酸またはp−アニス酸のアルキルエステルであり、特にこれらのメチルエステル、エチルエステルが好ましい。
【0028】
本発明の固体触媒成分と有機金属化合物とを組合せた触媒を用いるオレフィンの重合は、スラリー重合、溶液重合または気相重合にて行うことができる。特に本発明の触媒は気相重合に好適に用いることができ、重合反応は通常のチグラー型触媒によるオレフィン重合反応と同様にして行われる。すなわち反応はすべて実質的に酸素、水などを絶った状態で不活性炭化水素の存在化、あるいは不存在下で行われる。オレフィンの重合条件は温度は20ないし120℃、好ましくは50ないし100℃であり、圧力は常圧ないし70kg/cm2 、好ましくは2ないし60kg/cm2 である。分子量の調節は重合温度、触媒のモル比などの重合条件を変えることによってある程度調節できるが重合系中に水素を添加することにより効果的に行われる。もちろん、本発明の触媒を用いて、水素濃度、重合温度など重合条件の異なった2段階ないしそれ以上の多段階の重合反応も何等支障なく実施できる。
【0029】
本発明の固体触媒成分と有機金属化合物を組合せた触媒を用いるオレフィンの重合はチグラー触媒で重合できるいずれのオレフィンの重合にも適用できるが、特に炭素数2〜12のα−オレフィンの重合に適用することが好ましく、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィン類の単独重合およびエチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンとヘキセン−1、エチレンと4−メチルペンテン−1等のエチレン炭素数3〜12のα−オレフィンの共重合、プロピレンと1−ブテンの共重合およびエチレンと他の2種類以上のα−オレフィンとの共重合などに好適に適用される。また、ポリオレフィンの改質を目的とする場合のジエンとの共重合も好ましく行われる。この時使用されるジエン化合物の例としてはブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等をあげることができる。なお、共重合の際のコモノマー含有率は任意に選択できるが、例えば、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合の場合、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は0〜40モル%、特に0〜30モル%とするのが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に実施例をのべるが、これらは本発明を実施するための説明用のものであって本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本発明に使用するケイ素酸化物の圧縮強度、平均粒径、比表面積、細孔容積および見掛比重は下記の方法により測定した。
〈圧縮強度〉
島津製作所製、微小圧縮試験機MCTM−200型を使用し、粒径5〜150μmを無作為に100粒子を選び測定した。まず一粒の粒子を測定試料台に固定し、粒子の直径を計り(d:mm)、次にこの粒子の真上から加圧圧子を一定の割合で負荷力を加えて粒子を破壊し、その時の破壊荷重(P:kgf)を測定した。そして次式から圧縮強度(St:kgf/mm2 )を求めた。
St=2.8P/πd2
【0031】
〈平均粒径〉
内径75mmの標準篩い10個(呼び寸法22、32、53、75、100、125、150、180、212、250μmを各1個ずつ)に試料1.5gをいれ、20分間振とう後、各篩い上の試料の重量%を対数確率紙にプロットし、50%の積算値が示す粒径をもって平均粒径とした。
〈比表面積〉
島津製作所製、比表面積自動測定装置2200型を使用し、常法に従いBET法で測定した。
〈細孔容積〉
島津製作所製、マイクロメリテックス オートポアー9220型を使用し、圧力0.033〜4200kg/cm2 で測定し、細孔半径18〜1,000オングストローム間の容積をもって細孔容積とした。
【0032】
〈見掛比重〉
JIS K−6220−6.8の見掛比重測定法にしたがって測定した。
50ml三角フラスコにサンプル1gをとり、天秤にて0.01gの桁まで正確に計る(S2:g)。見掛比重測定装置(シリンダー:ステンレス製、内径22.0±0.05mm、長さ115.0mm)のシリンダーにピストンを正しくいれ、ゆっくり自然落下させて、上部の突き出しの寸法をノギスで0.01cmまで計る(H1:cm)。ピストンを抜き出しシリンダー内にサンプルを静かに入れピストンを正しく穏やかに落とし込む。ピストンが試料面に達したら、ピストンを軽く一回転させ、シリンダー上部の突出部の寸法をノギスで0.01cmまで計る(S1:g)。次式にしたがって見掛比重を求める(G:g/ml)。
G=(S2−S1)/{(H2−H1)×0.785×D2 }
(D:シリンダーの直径 cm)
【0033】
またフィルム成型とゲルの測定法は下記の通りである。
〈フィルム成型−ゲル測定法〉
180℃で65mmφ押し出し機を用いてTダイにてフィルム成型を行い、フィルムの10cm×10cm×90μm(厚さ)中の50μm以上のゲルの個数を肉眼で計測した。
【0034】
実施例および比較例に使用したケイ素化合物の性状を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1
[固体触媒成分の調製]
攪はん機および還流冷却器をつけた500ml三ッ口フラスコを窒素置換し、この中に表1のIに示した性状を持ったシリカ50gを入れ、脱水ヘキサン160ml、四塩化チタン2.2mlを加えてヘキサンリフラックス下3時間反応させた。冷却後ジエチルアルミニウムクロリドの1mmol/ccのヘキサン溶液を30ml加えて再びヘキサンリフラックスで2時間反応させた後、120℃で減圧乾燥を行いヘキサンを除去した。
1/2インチ直径を有するステンレススチール製ボールが25個入った内容積400mlのステンレススチール製ポットに、市販の無水塩化マグネシウム10g、トリエトキシアルミニウム4.2gを入れ窒素雰囲気下、室温で16時間ボールミリングを行い反応生成物を得た。
該反応生成物5.4gを脱水エタノール160mlに溶解させ、その溶液を全量三ッ口に加え、エタノールリフラックス下3時間反応させた後、150℃で6時間減圧乾燥を行い固体触媒成分を得た。
【0037】
[気相重合]
気相重合装置としては攪はん機が付いたステンレス製品オートクレーブを用い、ブロワー、流量調節器および乾式サイクロンでループをつくり、オートクレーブはジャケットに温水を流すことによって温度を調節した。80℃に調節したオートクレーブに上記固体触媒成分Aを250mg/hr、およびトリエチルアルミニウムを50mmol/hrの速度で供給し、またオートクレーブ気相中のブテン−1/エチレンモル比を0.30に、水素/エチレンモル比を0.1となるように調製しながら各々のガスを供給し、全圧を8kg/cm2 Gに保ちながらブロワーにより系内のガスを循環させ、生成ポリマーを間欠的に吹き出しながら2日間の連続重合を行った。
触媒効率は280,000g重合体/gTiときわめて高活性であった。生成したエチレン共重合体は、メルトフローレイト(MFR)0.97g/10min、(ASTM−D1238−65T準拠、条件190℃、荷重2.16kg)、密度0.9201g/cm3 であり、かさ密度0.48g/cm3 、平均粒径740μmの形状の丸い粒状物であった。また、2日間の連続重合後、オートクレーブ内部の点検を行ったところ、内壁および攪はん機には全くポリマーは付着していなかった。
【0038】
[ゲルの評価]
得られた重合体をTダイ成型によりフィルムを得た。10cm×10cm×90μmのフィルム中のゲルは8個であった。
【0039】
実施例2
[固体触媒成分の調製]
実施例1の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例1と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0040】
実施例3
[固体触媒成分の調製]
実施例1の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例1と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0041】
実施例4
[固体触媒成分の調製]
実施例1の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIVの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例1と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0042】
実施例5
[固体触媒成分の調製]
1/2インチ直径を有するステンレススチール製ボールが25個入った内容積400mlのステンレススチール製ポットに、市販の無水塩化マグネシウム10g、トリエトキシアルミニウム4.2gを入れ窒素雰囲気下、室温で16時間ボールミリングを行い反応生成物を得た。攪はん機および還流冷却器をつけた三ッ口フラスコを窒素置換し、この中に脱水した2−メチル−1−ペンタノール100g、上記の無水塩化マグネシウムとトリエトキシアルミニウムの反応物5.0g、テトラエトキシチタン10.0gをいれ80℃、1時間反応させた。室温に冷却後、表1のIに示した性状を持ったシリカ46gを入れ、再び80℃で2時間反応させた後、120℃で2時間減圧乾燥を行い固体粉末を得た。次に脱水したヘキサン100ccおよびジエチルアルミニウムクロリド10.0gを加えて室温で1時間反応させ、その後60℃で3時間窒素ブローを行い、ヘキサンを除去して固体触媒成分を得た。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0043】
実施例6
[固体触媒成分の調製]
実施例5の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例5と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0044】
実施例7
[固体触媒成分の調製]
実施例5の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例5と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0045】
実施例8
[固体触媒成分の調製]
実施例5の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIVの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例5と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0046】
実施例9
[固体触媒成分の調製]
1/2インチ直径を有するステンレススチール製ボールが25個入った内容積400mlのステンレススチール製ポットに、市販の無水塩化マグネシウム10g、トリエトキシアルミニウム4.2gを入れ窒素雰囲気下、室温で16時間ボールミリングを行い反応生成物を得た。攪はん機および還流冷却器をつけた三ッ口フラスコを窒素置換し、この中に上記反応生成物5gおよび表1のIに示した性状を持ったシリカ5gを入れ、ついでテトラヒドロフラン100mlを加えて、60℃2時間反応させた後、120℃で減圧乾燥を行いテトラヒドロフランを除去した。次にヘキサン50mlを加えて攪拌した後、四塩化チタンを1.1ml加えてヘキサン還流下で2時間反応させて、その後60℃で3時間窒素ブローを行いヘキサンを除去した。上記で得られた固体粉末をヘキサン50ml中にいれ、ついで四塩化バナジウム1mlを加え、ヘキサン還流下で2時間反応させ、その後60℃で3時間窒素ブローを行いヘキサンを除去して固体触媒成分を得た。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0047】
実施例10
[固体触媒成分の調製]
実施例9の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例9と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0048】
比較例1
[固体触媒成分の調製]
実施例1の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のVの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例1と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0049】
比較例2
[固体触媒成分の調製]
実施例1の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のVIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例1と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0050】
比較例3
[固体触媒成分の調製]
実施例5の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のVIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例5と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0051】
比較例4
[固体触媒成分の調製]
実施例5の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のVIIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例5と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。結果を表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例11
[固体触媒成分の調製]
1/2インチ直径を有するステンレススチール製ボールが25個入った内容積400mlのステンレススチール製ポットに、市販の無水塩化マグネシウム10g、ビニルトリエトキシシラン4.56gおよびフェノール1.51gを入れ、窒素雰囲気下、室温で6時間ボールミリングを行った後、フェニルエーテル0.68gを加え窒素雰囲気下、室温でさらに16時間ボールミリングを行った。攪はん機および還流冷却器をつけた三ッ口フラスコを窒素置換し、この中に脱水したエタノール100g、上記反応生成物5gを加えて、80℃1時間反応させた。その後室温に冷却し四塩化チタン10.0gを1時間かけて加えた。次に表1のIに示した性状を持ったシリカ46gを入れ、再び80℃で2時間反応させた後、120℃で2時間減圧乾燥を行い固体粉末を得た。次に脱水したヘキサン100ccおよびジエチルアルミニウムクロリド10.0gを加えて室温で1時間反応させ、その後60℃で3時間窒素ブローを行い、ヘキサンを除去して固体触媒成分を得た。
【0054】
[気相重合]
実施例1と同様の装置を用いて気相重合を行った。70℃に調節したオートクレーブに上記固体触媒Nを250mg/hr、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(1mmol/ml)を50mmol/hrおよびフェニルトリエトキシシラン25mmol/hr25mmol/hrの速度で供給して供給し、オートクレーブ気相中の水素/プロピレンモル比を0.05になるように水素、プロピレンを供給し、全圧を8kg/cm2 Gに保ちながらブロワーにより系内のガスを循環させ、生成ポリマーを間欠的に抜き出しながら2日間の連続重合を行った。
触媒効率は150,000g共重合体/gTiと高活性であった。生成したプロピレン重合体は、メルトフローレイト(MFR)7.8g/10min、沸騰n−ヘプタンによる抽出残量は98.0wt%、かさ密度0.48g/cm3 、平均粒径650μmの形状の丸い粒状物であった。また、2日間の連続重合後、オートクレーブ内部の点検を行ったところ、内壁および攪はん機には全くポリマーは付着していなかった。
得られた重合体をTダイ成型を行い、10cm×10cm×90μmのフィルムにある50μm以上のゲル数は17個であった。
【0055】
実施例12
[固体触媒成分の調製]
実施例11の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例11と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例11と同様の方法で重合評価を行った。結果を表3に示した。
【0056】
比較例5
[固体触媒成分の調製]
実施例11の固体触媒成分の調製において、表1のIの性状をもったシリカのかわりに、表1のVIIIの性状をもったシリカを用いる事を除いては実施例11と同様の方法で固体触媒成分を調製した。
[気相重合]
実施例11と同様の方法で重合評価を行った。結果を表3に示した。
【0057】
【表3】
Claims (3)
- 少なくともマグネシウム、チタンおよび/またはバナジウム、およびハロゲンをケイ素酸化物粒子に担持したオレフィン重合用固体触媒成分において、ケイ素酸化物粒子は、標準篩による平均粒径が30〜60μmであり、BET法で測定した比表面積が200〜300m 2 /gであり、細孔半径18〜1,000オングストローム間の容積による細孔容積が0.5〜1.5cm 3 /gであり、JIS K−6220−6.8で測定された見掛比重が0.35〜0.45g/cm 3 であり、ケイ素酸化物粒子の圧縮強度をSt(kgf/mm2)、該ケイ素酸化物粒子の個数パーセントをR(%)としたとき、圧縮強度の分布がSt<0.2の粒子が0≦R≦15、0.2≦St≦0.6の粒子が70≦R≦100、かつ0.6<Stの粒子が0≦R≦15の条件を満足するケイ素酸化物粒子を担体として用いることを特徴とするオレフィン重合用固体触媒成分。
- 請求項1に記載の固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物および有機亜鉛化合物からなる群から選択される1または複数の有機金属化合物とを組合わせた触媒の存在下に少なくとも1種のオレフィンを重合せしめることを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
- 有機アルミニウム化合物がR 4 3 Al、R 4 2 AlX 4 、R 4 AlX 4 2 、R 4 2 AlOR 4 、R 4 Al(OR 4 )X 4 およびがR 4 3 Al 2 X 4 3 の有機アルミニウム化合物(ただしR 4 は炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基、X 4 はハロゲン原子を示し、R 4 は同一でもまた異なってもよい)であることを特徴とする請求項2に記載のポリオレフィンの製造方法。
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