JP4242182B2 - 応答指定型制御を用いてプラントを制御する装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、応答指定型制御を用いて、外乱に対してロバストにプラントを制御する装置に関し、より具体的には、エンジンがアイドリング運転状態にある時またはトランスミッションが変速している時に、外乱に対してロバストにエンジン回転数を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両がアイドリング運転状態にあるとき、エンジン回転数をPID制御により制御する手法が知られている。
【0003】
また、車両が自動変速機で変速されている時、乗車員に不快感を与える変速ショックを低減する手法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この手法によると、車速とアクセル開度から、駆動軸トルクの目標値を求める。該目標駆動軸トルクを与えるエンジントルクの目標値およびエンジン回転数の目標値が算出される。該エンジントルク目標値およびエンジン回転数目標値から、スロットル開度が決定される。決定されたスロットル開度に応じて、スロットル弁が調節される。
【0004】
【特許文献1】
特許第3203602号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回転数制御では、アイドリング状態にあるときに負荷の急激な変動がエンジンにかかった場合、回転数を安定的に維持することができずに、エンジン停止を起こしやすかった。たとえば、マニュアルトランスミッションが採用されている車両が発進した時に、クラッチを急激に締結すると、エンジンが停止しやすい。
【0006】
また、とりわけ自動マニュアルトランスミッション(自動MT)または自動トランスミッション(AT)が採用されている車両では、該トランスミッションの変速時において、十分な速応性をもった回転数同期制御が行われていなかった。そのため、トランスミッションの選択された変速比に適合した回転数を速やかに得られないおそれがあった。
【0007】
したがって、アイドリング運転時およびトランスミッションの変速時の回転数同期制御において、高応答および高安定の制御が必要とされている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の一つの側面によると、モデル化されたプラントを制御する制御装置は、プラントに印加される外乱を推定する推定器と、プラントの出力が目標値に収束するように、応答指定型アルゴリズムを用いてプラントへの入力を算出する制御ユニットとを備える。制御ユニットは、推定器によって推定された外乱推定値を含むように、プラントへの入力を算出する。この発明によれば、外乱推定値を含むようプラントへの入力が算出されるので、プラントに外乱が印加されたときに生じるプラントの出力とその目標値の間の定常偏差を、オーバーシュートを生じさせることなく収束させることができる。
【0009】
この発明の一実施形態によると、外乱推定器は、逐次型同定アルゴリズムを用いて外乱を同定する適応外乱オブザーバである。逐次型同定アルゴリズムにより、外乱推定値を速やかかつ安定的に同定することができる。また、プラントの出力にノイズ等が混入した場合にも、逐次型同定アルゴリズムの統計処理効果により、該ノイズ等によって外乱推定値が変動することを防止することができる。
【0010】
この発明の他の側面によると、制御装置は、さらに、プラントが有するむだ時間および外乱推定値に基づいて、プラントから出力される値を予測する状態予測器を備える。制御ユニットは、予測値がプラントの出力の目標値に収束するように、応答指定型制御アルゴリズムを用いて該プラントへの入力を算出する。この発明によると、状態予測器によってプラントのむだ時間が補償されるので、制御の速応性を高めることができる。
【0011】
この発明の他の側面によると、プラントはエンジンである。エンジンは、該プラントへの入力が、該エンジンに吸入される空気量の目標値であり、該プラントの出力が、該エンジンの回転数であるようにモデル化される。この発明によれば、車両発進時のストールを抑制することができる。さらに、トランスミッションの変速時におけるエンジン回転数制御の速応性を向上させることができる。
【0012】
この発明の一実施形態によると、制御装置は、モデル化されたプラントについて、エンジン回転数に基づくモデルパラメータを格納する記憶装置を備える。制御ユニットは、検出されたエンジン回転数に基づくモデルパラメータを、記憶装置から抽出する。抽出されたモデルパラメータを用いて、プラントへの入力が算出される。この発明によれば、様々なエンジン回転数において、安定性を損なうことなく、エンジン回転数制御の速応性を向上させることができる。
【0013】
この発明の一実施形態によると、プラントへの入力は、車両を駆動するのに必要な車両駆動トルクの推定値に所定のゲインを乗じた値を含む。この発明の他の実施形態によると、プラントへの入力は、車両に搭載された機器を駆動するのに必要な機器駆動トルクの推定値に所定のゲインを乗じた値を含む。したがって、車両駆動トルクおよび(または)機器駆動トルクに起因する、プラントの出力とその目標値との偏差を収束させることができる。
【0014】
この発明の他の実施形態によると、状態予測器は、さらに、車両を駆動するのに必要な車両駆動トルクに基づいて、予測値を算出する。また、状態予測器は、車両に搭載された機器を駆動するのに必要な機器駆動トルクに基づいて、予測値を算出する。したがって、車両駆動トルクおよび(または)機器駆動トルクに起因する、予測値とプラントの出力とその目標値との偏差を収束させることができる。
【0015】
この発明の他の実施形態によると、制御ユニットは、さらに、車両駆動トルクに所定のゲインを乗じた値を前記プラントへの入力が含むように、該プラントへの入力を算出する。また、制御ユニットは、機器駆動トルクに所定のゲインを乗じた値を前記プラントへの入力が含むように、該プラントへの入力を算出することもできる。したがって、車両駆動トルクおよび(または)機器駆動トルクの変動に起因する、予測値と、プラントの出力の目標値との間の偏差を収束させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
内燃機関および制御装置の構成
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施形態による内燃機関(以下、「エンジン」という)およびその制御装置の全体的なシステム構成図である。
【0017】
電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)1は、車両の各部から送られてくるデータを受け入れる入力インターフェース1a、車両の各部の制御を行うための演算を実行するCPU1b、読み取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を有するメモリ1c、および車両の各部に制御信号を送る出力インターフェース1dを備えている。メモリ1cのROMには、車両の各部の制御を行うためのプログラムおよび各種のデータが格納されている。ROMは、EEPROMのような書き換え可能なROMでもよい。RAMには、CPU1bによる演算のための作業領域が設けられる。車両の各部から送られてくるデータおよび車両の各部に送り出す制御信号は、RAMに一時的に記憶される。
【0018】
エンジン2は、たとえば4気筒を備えるエンジンである。エンジン2には、燃焼室7を吸気管3に連通するための吸気弁5および燃焼室7を排気管4に連通するための排気弁6が各気筒ごとに設けられている。
【0019】
吸気管3の上流側にはスロットル弁8が設けられている。スロットル弁8は、電子制御弁であり、ECU1からの制御信号によって開度が制御される。スロットル弁8に連結されたスロットル弁開度センサ(θTH)9は、スロットル弁8の開度に応じた電気信号を、ECU1に供給する。
【0020】
スロットル弁8の上流には、エアフローセンサ(AFS)10が設けられている。エアフローセンサ10は、スロットル弁8を通過する空気量Gthを検出し、それをECU1に送る。エアフローセンサ10は、ベーン式エアフローセンサ、カルマン渦式エアフローセンサ、および熱線式エアフローセンサ等であることができる。
【0021】
吸気管圧力(Pb)センサ11は、吸気管3のスロットル弁8の下流側に設けられている。Pbセンサ11によって検出された吸気管圧力Pbは、ECU1に送られる。
【0022】
燃料噴射弁12は、吸気管3の吸気弁5の少し上流側に各気筒毎に設けられている。燃料噴射弁12は、燃料タンク(図示せず)から燃料の供給を受け、ECU1からの制御信号に従って駆動される。
【0023】
回転数(Ne)センサ13は、エンジン2のカム軸またはクランク軸(共に図示せず)周辺に取り付けられる。Neセンサ13は、たとえばピストンのTDC位置に関連したクランク角度で出力されるTDC信号パルスの周期よりも短いクランク角度(たとえば、30度)の周期で、CRK信号パルスを出力する。CRK信号パルスは、ECU5によってカウントされ、エンジン回転数Neが検出される。
【0024】
ECU1に向けて送られた信号は入力インターフェース1aに渡され、アナログ−デジタル変換される。CPU1bは、変換されたデジタル信号を、メモリ1cに格納されているプログラムに従って処理し、制御信号を生成する。出力インターフェース1dは、これらの制御信号を、燃料噴射弁12、およびその他のアクチュエータに送る。
【0025】
吸気管3に吸入された空気は、スロットル弁8を経由してチャンバ14に充填される。吸気弁5が開くと、チャンバ14に充填された空気がエンジン2の燃焼室7に供給される。燃料噴射弁12を介して燃料が供給され、混合気は、燃焼室7内で点火装置によって点火される。
【0026】
制御装置の全体的なブロック図
図2は、本発明の一実施例に従う制御装置の全体的なブロック図を示す。エンジントルク設定部20、回転数フィードバック(FB)制御部21、スイッチ22および吸気量フィードバック(FB)制御部23は、典型的にはコンピュータプログラムによって実現される。
【0027】
エンジントルク設定部20は、アクセルペダル開度、車速およびトランスミッションの変速比等に基づいて、メモリ1cに予め記憶されたマップを参照し、目標エンジントルクを決定する。エンジントルク設定部20は、目標エンジントルクに必要な吸気量を、目標吸気量Gcyl_cmdとして算出する。
【0028】
回転数FB制御部21は、エンジン回転数NEをフィードバック制御する。回転数FB制御の制御対象(以下、プラントと呼ぶ)は、エンジン2である。制御入力は、目標吸気量Gcyl_cmdであり、制御出力は、エンジン回転数NEである。回転数FB制御部21は、エンジン回転数NEが目標値に収束するように、目標吸気量Gcyl_cmdを算出する。
【0029】
スイッチ22により、車両が通常走行している時には、吸気量FB制御部23がエンジントルク設定部20に接続される。この場合、吸気量FB制御部23では、エンジントルク設定部20によって算出された目標吸気量Gcyl_cmdが用いられる。車両がアイドリング運転状態にある時、または車両のトランスミッションが変速中である時には、吸気量FB制御部23は、回転数FB制御部21に接続される。この場合、吸気量FB制御部23では、回転数FB制御部21によって算出された目標吸気量Gcyl_cmdが用いられる。
【0030】
吸気量FB制御部23は、エンジンのシリンダに吸入される空気量Gcylをフィードバック制御する。プラントは吸気管3である。制御入力は、スロットル開度の目標値THcmdであり、制御出力は、エンジンに吸入される空気量Gcylである。吸気量FB制御部23は、吸気量Gcylが目標値Gcyl_cmdに収束するように、目標スロットル開度THcmdを算出する。スロットル弁8は、目標スロットル開度THcmdに従って、ECU1により制御される。
【0031】
このように、車両がアイドリング運転状態にある時、またはトランスミッションが変速中である時は、回転数NEを目標値に収束するための吸気量が目標吸気量として設定される。したがって、アイドリング中におけるエンジンのストールを抑制することができる。また、トランスミッションの変速中における回転数を安定かつ高速に目標値に収束させることができる。
【0032】
本明細書では、最初に吸気量FB制御を説明し、次に回転数FB制御を説明する。
【0033】
1.吸気量フィードバック制御
1.1 吸気動特性のモデル化
まず、吸気管3の吸気動特性をモデル化する手法を説明する。吸気管3を、入力をTHcmd、出力をGcylとしたモデルで表す。
【0034】
各サイクルにおける各シリンダへの吸入空気量Gcyl’は、既知の気体状態方程式から式(1)のように表すことができる。Kηc’はインマニの充填効率(%)であり、Pbは吸気管内の圧力(Pa)であり、Vcylはシリンダの容積(m3)であり、Tcylはシリンダ内の温度(K)であり、Rは気体定数(m3・Pa/g・K)であり、nはサンプリングサイクルを識別する識別子である。
【0035】
【数1】
【0036】
直列型4気筒エンジンの場合、エンジンが1回転するたびに吸気が2回実施されるので、単位時間あたりのシリンダに流入する空気量Gcylは、式(2)のように表される。NEはエンジン回転数(rpm)であり、kはサンプリングサイクルを識別する識別子である。Fcylは、回転数NEの関数である。
【0037】
【数2】
【0038】
一方、チャンバ14内の充填される空気量ΔGbは、式(3)で表される。
【0039】
【数3】
【0040】
チャンバ14について、気体状態方程式(4)から、式(5)が導かれる。Pb、Vb、Tbは、それぞれ、吸気管の圧力(Pa)、体積(m3)および温度(K)である。Rは、前述した気体定数である。
【0041】
【数4】
【0042】
式(5)を式(3)に代入すると、式(6)が得られる。式(6)は、吸気量Gcylを、吸気管内圧力Pbの関数として表したものである。Tは、サンプリング周期を示す。
【0043】
【数5】
【0044】
式(6)のPbをGcylを用いて表すようにするため、式(6)に式(2)を代入して式(7)を導く。式(7)は、Gthを入力とした吸気動特性モデルを表している。
【0045】
【数6】
【0046】
一方、スロットル弁を通過する空気量Gthとスロットル開度THの関係は、式(8)によって表すことができる。Pcは、スロットル弁の上流の圧力(Pc)である。Fthは、スロットル弁の有効開度当たりの流量(g/deg)を示し、スロットル弁の下流の圧力Pb(すなわち、吸気管圧力)およびスロットル弁の上流の圧力Pcに応じて決定される。式(8)を式(7)に代入すると、式(9)が得られる。式(9)は、スロットル弁の開度THを入力とした吸気動特性モデルを表す。
【0047】
【数7】
【0048】
さらに、電子制御スロットル弁の目標スロットル開度THcmdと実開度THとの関係を、式(10)のように近似することができる。式(10)は、むだ時間dthを有する一次遅れ系である。むだ時間dthは、主に、スロットル弁を操作するのに要する電気的な通信により生ずる。式(10)を式(9)に代入すると、式(11)が得られる。
【0049】
【数8】
【0050】
式(9)から、TH(k-1)をGcyl(k-1)およびGcyl(k-2)で表すことができる。このTH(k-1)を式(11)に代入すると、式(12)が得られる。式(12)が、入力として目標スロットル開度THcmd、出力として吸気量Gcylを持つ吸気動特性のモデル式である。
【0051】
【数9】
【0052】
モデルパラメータAair1、Aair2およびBair1は、回転数NE、吸気管圧力Pbおよびスロットル弁上流の圧力Pcに応じて変動する値FcylおよびFthを含む。回転数NEおよびスロットル開度THに基づくモデルパラメータを、マップとして予めメモリ1cに記憶しておくことができる。代替的に、制御装置に同定器を設けて該モデルパラメータを同定してもよい。
【0053】
1.2 一般化予測制御(GPC)の適用の問題点
本発明では、予見制御アルゴリズムを用いて吸気量フィードバック制御を実現する。予見制御に類似した制御手法として、一般化予測制御(以下、GPCと呼ぶ)が知られている(GPCを、予見制御のカテゴリに含める場合もある)。しかしながら、従来のGPCを単に用いるだけでは、実現可能な吸気量フィードバック制御部23を構成することができない。その理由を、まず説明する。
【0054】
式(12)で表される吸気動特性モデルは、式(13)のように表される。ここで、むだ時間dthの値を「2」と仮定する。
【0055】
【数10】
【0056】
式(13)を状態空間表現で表すと、式(14)を得る。
【0057】
【数11】
【0058】
Δ=1−Z-1と定義される差分演算子Δを導入し、式(15)で示される拡大系を定義する。拡大系では1行成分が付加されているが、これは、定常偏差を抑制する積分項を導出するためである。
【0059】
【数12】
【0060】
GPCは、時点kから時点(k+M)までのM区間において、制御量Gcylを目標値Gcyl_cmdに収束させる制御手法である。そこで、式(16)に示されるような評価関数JGを定義する。Hは、重みパラメータ(>0)である。
【0061】
【数13】
【0062】
評価関数JGを最小とする制御入力ΔTHcmdを、最適性の原理を用いて求めることができる。制御入力ΔTHcmdは、式(18)のRiccati方程式の解Pを用いて、式(17)のように表される。
【0063】
【数14】
【0064】
【数15】
【0065】
式(19)のような初期条件を定めることにより、PおよびDを逐次的に求めることができる。
【0066】
【数16】
【0067】
M=1の場合(1ステップ先の目標値が使用可能な場合)、式(16)は式(20)のように表され、式(17)は式(21)のように表される。
【0068】
【数17】
【0069】
式(21)のX’(k)およびGcyl_cmd(k+1)のフィードバック係数を具体的に計算する。
【0070】
【数18】
【0071】
このように、従来のGPCを実行するだけでは、むだ時間が存在することによってGおよびG’ベクトルの1行目の成分がゼロの場合、実行可能な吸気量FB制御部23を構成することができない。
【0072】
1.3 吸気量FB制御部の構成
図3は、本発明の一実施形態に従う、吸気量FB制御部23の構成を示す。本願発明では、このように吸気量FB制御部23を構成することによって、予見制御を用いた実行可能な吸気量フィードバック制御を実現する。
【0073】
吸気量FB制御部23は、適応外乱オブザーバ31、状態予測器32、制御ユニット33を備える。適応外乱オブザーバ31は、吸気管3に印加される外乱の推定値γ1を同定する。状態予測器32は、外乱推定値γ1を用いて、プラントである吸気管3の出力の予測値Pre_Gcylを算出する。制御ユニット33は、予測値Pre_Gcylを用いた予見制御アルゴリズムにより、プラントへの制御入力である目標スロットル開度THcmdを算出する。制御入力THcmdには、外乱推定値γ1に所定のゲインを乗じた値が含まれる。予測値Pre_Gcylを目標値に収束させることにより、プラントの出力Gcylを該目標値に収束させることができる。
【0074】
上記のGおよびG’ベクトルの1行目成分がゼロにされてしまうという問題は、状態予測器32を導入することによって防止することができる。状態予測器32について説明する。
【0075】
電子制御スロットル弁に起因するむだ時間dthを補償するのに必要な値はGcyl(k+dth-1)であるので、吸気動特性モデル式(13)を、(dth-1)ステップだけ未来にシフトする。
【0076】
【数19】
【0077】
式(23)は、観測不可能な未来値Gcyl(k+dth-2)およびGcyl(k+dth-3)を含んでいるので、これらの未来値を消去する。消去は、以下に示すような再帰的な計算によって求めることができる。式(24)は、吸気量Gcylの予測式を表す。
【0078】
【数20】
【0079】
GPCは、最適性の原理を用いた制御理論であるが、モデル化誤差および予測誤差を考慮した設計がなされていないため、これらに対するロバスト性が十分ではない。そこで、予測式(24)に、モデル化誤差および予測誤差を補償するための外乱推定値γ1を含める。式(25)が、状態予測器32によって実行される、予測値Pre_Gcylを求めるための式である。
【0080】
【数21】
【0081】
状態予測器32によって予測値を算出することにより、むだ時間が補償され、よって吸気量制御の速応性を高めることができる。また、予測値に外乱推定値γ1を含めることにより、制御対象である吸気管の出力Gcylと予測値Pre_Gcylの間の定常偏差を解消することができる。
【0082】
外乱推定値γ1は、適応外乱オブザーバ31によって同定される。式(26)は、適応外乱オブザーバ31によって実行される、外乱推定値γ1を求めるための式である。
【0083】
【数22】
【0084】
式(26)から明らかなように、適応外乱オブザーバ31は、現在のサイクルに対する予測値Gcyl_hat(k)を算出する(算出方法は、予測式(25)と同様である)。さらに、適応外乱オブザーバ31は、予測値Gcyl_hat(k)と実際に検出された値Gcyl(k)との偏差e_dovを算出する。その後、逐次型同定アルゴリズムを用い、偏差e_dovを無くすように外乱推定値γ1が算出される。逐次型同定アルゴリズムを用いることにより、外乱推定値を速やかかつ安定的に同定することができる。また、制御対象である吸気管3の出力にノイズが混入した場合でも、逐次型同定アルゴリズムの統計処理効果により、該ノイズによって外乱推定値が変動することを防止することができる。
【0085】
λ1およびλ2は重みパラメータである。λ1=1およびλ2=1の場合は、最小2乗法、λ1<1およびλ2=1の場合は重み付き最小2乗法、λ1=1およびλ2=0の場合は固定ゲイン法、λ11およびλ2<1の場合は漸減ゲイン法となる。
【0086】
次に、制御ユニット33について説明する。予測式(25)を1ステップだけ未来へシフトし、さらに、未来値を含むよう変換すると、式(27)が得られる。未来値を含める該変換は、式(23)から式(24)への変換処理の逆を行えばよい。
【0087】
【数23】
【0088】
Δ=1−Z-1と定義される差分演算子Δを導入し、式(28)のような拡大系を定義する。Egcは、実際の吸気量Gcylと目標値Gcyl_cmdの偏差である。拡大系において1行成分を付加するのは、定常偏差を抑制する積分項を導出するためである。また、外乱の変動は一定していると仮定する(すなわち、Δγ1(k)=Δγ1(k+1))。
【0089】
【数24】
【0090】
評価関数JSGを定義する。目標予見段数をNrで表し、外乱予見段数をNdで表すと、評価関数JSGは、N=Max(Nr,Nd)を用いて定義される。目標予見段数Nrは、前述した区間Mと同じであり、目標値Gcyl_cmdについて、どの区間の未来値を使うかを規定する。外乱予見段数Ndは、適応外乱オブザーバ31によって算出された外乱推定値γ1について、どの区間の未来値を使うかを規定する。本実施例では、Ndはゼロであり、Nrは1である。したがって、Nは1である。評価関数JSGを、式(29)に示す。
【0091】
【数25】
【0092】
評価関数JSGを最小とする制御入力ΔTHcmdを、最適性の原理を用いて求めることができる。式(31)で示されるRiccati方程式の解Πを用いると、制御入力ΔTHcmdは式(30)のように表される。
【0093】
【数26】
【0094】
【数27】
【0095】
式(32)の初期条件に基づいて式(30)を解く。N=1(すなわち、Nr=1およびNd=0)の場合、式(33)が得られる。
【0096】
【数28】
【0097】
【数29】
【0098】
式(33)のフィードバック係数Fx、Fdおよびフィードフォワード係数Frを具体的に計算する。
【0099】
【数30】
【0100】
N=1の場合の制御入力ΔTHcmdは、式(33)および(34)に基づいて算出されることができる。
【0101】
【数31】
【0102】
式(35)は、差分ΔTHcmdを算出する式である。式(35)を積分して、制御入力THcmdを算出する。
【0103】
【数32】
【0104】
Gcyl(0+dth-1)〜Gcyl(0)、Gcyl_cmd(0+dth)〜Gcyl_cmd(0)、γ1(0)およびTHcmd(0)の初期値をゼロとすると、式(36)は式(37)のように表される。
【0105】
【数33】
【0106】
式(37)は、現時点kでは観測不可能な未来値Gcyl(k+dth-1)およびGcyl(k+dth-2)を含んでいる。これらの値の代わりに、状態予測器32によって算出された予測値Pre_Gcyl(k)およびPre_Gcyl(k-1)を用いる。式(38)は、制御ユニット33によって実行される式である。こうして、制御ユニット33によって、制御入力THcmd(k)が生成される。
【0107】
【数34】
【0108】
制御入力THcmdには外乱推定値γ1のフィードバック項が含まれるので、外乱が印加されることによって生じる吸気量Gcylと目標値Gcyl_cmdの偏差を速やかに収束させることができる。また、制御入力THcmdには、目標値のフィードフォワード項Gcyl_cmd(k+dth)が含まれているので、吸気量Gcylの目標値Gcyl_cmdに対する追従速度を向上させることができる。
【0109】
1.4 吸気量FB制御のシミュレーション結果
図4は、本願発明の一実施例に基づく吸気量FB制御のシミュレーションで用いられた仮想の制御対象モデルを示す。仮想制御対象は、式(13)のモデル式に基づく構造を有している。制御入力は、時間dthだけ遅延された目標スロットル開度THcmd(k-dth)である。制御出力は吸気量Gcyl(k)である。1サイクル前の吸気量Gcyl(k-1)および2サイクル前の吸気量Gcyl(k-2)が、フィードバックされる。
【0110】
シミュレーションは、仮想制御対象に3つの外乱を加えることができるよう構成される。図4には、入力外乱d1、状態量外乱d2および出力外乱d3が示されている。入力外乱d1には、たとえばスロットル弁の挙動のバラツキが含まれる。状態量外乱d2には、たとえばモデル化誤差が含まれる。出力外乱d3には、たとえばセンサのノイズが含まれる。
【0111】
表1に、シミュレーションで実施されたケースG−1〜G−5の条件を示す。
【0112】
【表1】
【0113】
ケースG−1では、外乱は全く加えられない。状態予測器32および制御ユニット33では、外乱推定値γ1を使用して、予測値Pre_Gcylおよび目標スロットル開度THcmdがそれぞれ算出される。図5は、ケースG−1におけるシミュレーション結果を示す。外乱が無いので、予測値Pre_Gcylと実吸気量Gcylとの間に偏差は無い。制御ユニット33は、オーバーシュートを生じさせることなく、吸気量Gcylを目標値Gcyl_cmdに追従させることができる。
【0114】
ケースG−2では、外乱d1〜d3が加えられ、状態予測器32および制御ユニット33の両方で、外乱推定値γ1が用いられない。図6は、ケースG−2におけるシミュレーション結果を示す。外乱によって予測値Pre_Gcylと実吸気量Gcylの間に定常偏差が生じる。制御ユニット33は、予測値Pre_Gcylに基づいて制御入力THcmdを算出するので、吸気量Gcylを目標値Gcyl_cmdに収束させることができない。
【0115】
ケースG−3では、外乱d1〜d3が加えられ、予測器32では外乱推定値γ1が用いられるが、制御ユニット33では外乱推定値γ1が用いられない。図7は、ケースG−3におけるシミュレーション結果を示す。外乱によって生じた、Pre_GcylとGcylの間の定常偏差が、予測器32によって解消されている。そのため、制御器33は、吸気量Gcylを目標値Gcyl_cmdに収束させることができる。しかしながら、制御入力THcmdに、外乱推定値γ1に基づくフィードバック項が含まれないので、収束速度が比較的遅い。
【0116】
ケースG−4では、外乱d1〜d3が加えられ、予測器32および制御ユニット33の両方で、外乱推定値γ1が用いられる。ケースG−4は、図3を参照して説明した本願発明の好ましい実施例に対応する。図8は、ケースG−4におけるシミュレーション結果を示す。図7と比較して明らかなように、吸気量Gcylと目標値Gcyl_cmdの偏差が収束するのに要する時間が飛躍的に短くなっている。
【0117】
ケースG−5では、外乱d1〜d3が加えられ、予測器32よび制御ユニット33の両方で、外乱推定値γ1が用いられる。しかしながら、制御入力THcmdには、目標値のフィードフォワード項Gcyl_cmd(k+dth)が含まれない。図9は、ケースG−5におけるシミュレーション結果を示す。図8と比較して明らかなように、吸気量Gcylの目標値Gcyl_cmdに対する追従速度が遅くなっている。これは、制御入力THcmdに含まれる偏差(GcylとGcyl_cmd)の項が積分項(Pre_Egc項)のみであるためである。このように、目標値フィードフォワード項を制御入力に含めることにより、吸気量Gcylの目標値Gcyl_cmdに対する追従性を向上させることができる。
【0118】
ここで、制御モデルがむだ時間を持たないケースを考察する。この場合、状態予測器32を含めなくてもよく、吸気量Gcylを制御するための吸気動特性モデルは、式(39)のように表されることができる。
【0119】
【数35】
【0120】
むだ時間が存在しないので、適応外乱オブザーバ31によって実行される式(26)は、式(40)によって表される。
【0121】
【数36】
【0122】
むだ時間が存在しないので、制御ユニット33によって実行される式(38)は、式(41)によって表される。
【0123】
【数37】
【0124】
このようなモデルがむだ時間を含まないケースについて、表2に示されるようなシミュレーションを行った。
【0125】
【表2】
【0126】
ケースG−6では、外乱d1〜d3が加えられ、制御ユニット33が、外乱推定値γ1を用いて目標スロットル開度THcmdを算出する。制御入力THcmdには、目標値のフィードフォワード項Gcyl_cmd(k+dth)が含まれる。図10は、ケースG−6におけるシミュレーション結果を示す。
【0127】
ケースG−7では、外乱d1〜d3が加えられ、制御ユニット33が、外乱推定値γ1を用いずに、目標スロットル開度THcmdを算出する。制御入力THcmdには、目標値のフィードフォワード項Gcyl_cmd(k+dth)が含まれる。図11は、ケースG−7におけるシミュレーション結果を示す。
【0128】
図12において、図10(ケースG−6)のGcylの挙動と図11(ケースG−7)のGcylの挙動とが比較されている。前者の方が、後者よりも収束性が良いことがわかる。このように、制御ユニット33において、外乱推定値γ1を用いて制御入力THcmdを算出することにより、制御量Gcylの目標値Gcyl_cmdに対する収束性を高めることができる。
【0129】
前述した実施形態においては、外乱を推定するのに、逐次型同定アルゴリズムを用いる適応外乱オブザーバが用いられている。代替的に、所定のマップ等を参照することによって外乱を推定する他の適切な推定器を用いてもよい。
【0130】
また、前述した実施形態においては、吸入空気量を制御する弁としてスロットル弁が用いられている。代替的に、吸入空気量を制御する他の弁、たとえばバイパス弁等を用いてもよい。
【0131】
2.回転数フィードバック制御
2.1 エンジンのモデル化
まず、エンジン2をモデル化する手法を説明する。エンジン2を、入力を吸気量Gcyl、出力を回転数NEとしたモデルで表す。
【0132】
エンジンの慣性系の運動方程式は、式(42)で表される。Iengはエンジンの慣性モーメント(kgm2)であり、Kneはエンジンのフリクション係数であり、NEは、エンジン回転数(rad/秒)である。Tengはエンジンのトルク(Nm)であり、Tloadは、車両に搭載されたエアーコンディショナーや発電機等の電装部品を駆動するための機器駆動トルク(Nm)であり、Tdrvは、車両の駆動系に配分される、車両を駆動するためのトルク(Nm)である。tは、時間を示す。
【0133】
【数38】
【0134】
エンジントルクTengは、式(43)のように表される。Ktrqは、トルク係数であり、エンジン回転数NE、エンジンの点火時期IG、および当量比(空燃比の逆数)λに応じて決定される。Gcylは、エンジンに吸入される空気量(g)である。
【0135】
【数39】
【0136】
式(43)を式(42)に代入すると、式(44)が得られる。式(44)は、吸気量Gcylを入力とした回転数NEの一次遅れ系を表している。外乱項として、”-(Tload+Tdrv)/Ieng”が付加されている。
【0137】
【数40】
【0138】
式(44)を離散時間系に変換し、式(45)を得る。Tはサンプリング周期を示し、kはサンプリングサイクルを識別する識別子である。式(45)が、エンジン慣性系のモデル式である。
【0139】
【数41】
【0140】
モデルパラメータAne、BneおよびCneは、回転数NEおよびスロットル開度THに応じて変化する。回転数NEおよびスロットル開度THに基づくモデルパラメータを、マップとして予めメモリ1cに記憶しておくことができる。代替的に、制御装置に同定器を設けて該モデルパラメータを同定してもよい。
【0141】
2.2 回転数FB制御部の構成
図13は、本願発明の一実施形態に従う回転数FB制御部21のブロック図を示す。回転数FB制御部21は、適応外乱オブザーバ41、状態予測器42、および制御ユニット43を備える。適応外乱オブザーバ41および状態予測器42は、吸気量FB制御部21について図3に示されるものと同様の構成を有する。
【0142】
適応外乱オブザーバ41は、エンジン2に印加される外乱の推定値δneを同定する。状態予測器42は、外乱推定値δneに基づいて、プラントであるエンジンの出力(すなわちエンジン回転数)の予測値Pre_NEを算出する。制御ユニット43は、予測値Pre_NEを用いた応答指定型制御により、プラントへの制御入力である目標吸気量Gcyl_cmdを算出する。制御入力Gcyl_cmdには、外乱推定値δneに所定のゲインが乗算された値が含まれる。予測値Pre_NEを目標値に収束させることにより、プラントの出力NEを目標値に収束させることができる
まず、状態予測器42について説明する。図2を参照して説明したように、回転数FB制御部21は、吸気量FB制御部23の上流に位置づけられる。吸気管3の吸気動特性にはむだ時間が含まれるが、これを回転数FB制御と吸気量FB制御の両方で補償すると干渉が起こる。したがって、吸気管3が有するむだ時間を吸気量FB制御部23によって補償し、回転数FB制御部21からは、吸気管3をむだ時間要素とみなす。その結果、回転数FB制御部21からは、Gcyl_cmd(k-dth)=Gcyl(k)と見える。言い換えると、回転数FB制御部21からは、Gcyl_cmdの算出からむだ時間dth後に、吸気量Gcylがエンジンに吸入されるように見える。したがって、式(45)のエンジン慣性系のモデル式は、式(46)のように表すことができる。ここで、外乱Tdは、TloadとTdrvの和を示す。
【0143】
【数42】
【0144】
むだ時間dthを補償するためには、制御出力NE(k+dth)を予測する必要がある。したがって、式(46)を未来に(dth-1)ステップだけシフトする。
【0145】
【数43】
【0146】
式(47)は、観測不可能な未来値NE(k+dth-1)およびTd(k+dth-1)を含んでいるので、これらの未来値を消去する。消去は、前述した式(23)からの未来値の消去と同様の手法で実施されることができる。
【0147】
【数44】
【0148】
式(48)における、Td(k+dth-1)〜Td(k)は、ドライバの運転操作や走行条件によって変動するので、その予測は困難である。したがって、式(49)に示されるように、外乱Tdは一定であると仮定する。この仮定により、式(48)は、式(50)で表される。
【0149】
【数45】
【0150】
式(50)に、外乱推定値δneを導入する。外乱推定値δneは、外乱Tdの推定誤差だけでなく、プラントに印加される他の外乱をも含む。式(51)は、回転数の予測値Pre_NEを算出する式であり、状態予測器42によって実行される。
【0151】
【数46】
【0152】
状態予測器42によって予測値を算出することにより、むだ時間が補償され、よって回転数制御の速応性を高めることができる。また、外乱推定値δneに基づいて予測値Pre_NEが算出されるので、制御対象であるエンジンの出力NEと予測値Pre_NEの間の定常偏差を解消することができる。
【0153】
外乱推定値δneは、適応外乱オブザーバ41によって同定される。式(52)は、適応外乱オブザーバ41によって実行される、外乱推定値δneを求めるための式である。
【0154】
【数47】
【0155】
式(52)から明らかなように、適応外乱オブザーバ41は、現在のサイクルに対する推定値NE_hat(k)を算出する(これは、予測式(51)を過去にdthステップだけシフトすることによって算出される)。ここで、外乱推定値δneは一定と仮定する。すなわち、δne(k-dth)=δne(k-1)である。さらに、適応外乱オブザーバ41は、予測値NE_hat(k)と実際に検出された値NE(k)との偏差e_dneを算出する。その後、逐次型同定アルゴリズムを用い、偏差e_dneを無くすように外乱推定値δneが算出される。
【0156】
逐次型同定アルゴリズムを用いることにより、外乱推定値δneを速やかかつ安定的に推定することができる。前述したように、λ1およびλ2は重みパラメータであり、逐次型同定アルゴリズムの種類に応じて決定される。
【0157】
次に、制御ユニット43について説明する。予測式(51)を1ステップだけ未来にシフトし、さらに、未来値を含むように変換すると、式(53)が得られる。未来値を含める該変換は、式(47)から式(48)への変換の逆を行えばよい。ここで、外乱Tdおよび外乱推定値δneの未来値の変動は一定と仮定する。すなわち、Td(k+dth)=Td(k)およびδne(k+dth)=δne(k)である。
【0158】
【数48】
【0159】
応答指定型制御を実施するため、切り換え関数σneを定義する。切り換え関数σneにより、実回転数NEの目標値NE_cmdに対する収束挙動を規定することができる。E_neは、実回転数NEと目標値NE_cmdの偏差である。
【0160】
【数49】
【0161】
切り換え関数σneがゼロとなるように制御入力を決定する。
【0162】
【数50】
【0163】
式(55)は、入力の無い一次遅れ系を示す。すなわち、制御ユニット43は、制御量E_neを、式(55)に示される一次遅れ系に拘束するように動作する。
【0164】
図14は、縦軸にE_ne(k)および横軸にE_ne(k-1)を有する位相平面を示す。位相平面には、式(55)によって表現される切り換え線61が示されている。点62を状態量(E_ne(k-1), E_ne(k))の初期値と仮定すると、制御ユニット43は、該状態量を、切り換え線61上に載せて該切り換え線61上に拘束させる。こうして、状態量が入力の無い一次遅れ系に拘束されるので、時間の経過とともに、状態量は、位相平面の原点(すなわち、E_ne(k), E_ne(k-1)=0)に自動的に収束する。状態量を切り換え線61上に拘束することにより、外乱の影響を受けることなく、状態量を原点に収束させることができる。
【0165】
式(55)の設定パラメータS_neは、-1<S_ne<1を満たすよう設定される。好ましくは、−1<S_ne<0を満たすよう設定される。これは、S_neが正の値を持つと、式(55)の一次遅れ系が振動安定系となるためである。
【0166】
設定パラメータS_neは、偏差E_neの収束の速さを規定するパラメータである。図15には、S_ne=−1、−0.8、および−0.5の場合の収束速度が、グラフ63、64および65でそれぞれ示されている。設定パラメータS_neの絶対値が小さくなるにつれ、偏差E_neの収束速度は速くなる。
【0167】
制御ユニット43は、式(56)に従って制御入力Upasを求める。等価制御入力Ueqは、状態量を切り換え線上に拘束するための入力である。到達則入力Urchは、状態量を切り換え線上に載せるための入力である。
【0168】
【数51】
【0169】
等価制御入力Ueqを求める手法について説明する。等価制御入力Ueqは、位相平面上の任意の場所に、状態量をホールドする機能を持つ。したがって、式(57)を満たす必要がある。
【0170】
【数52】
【0171】
式(54)から、式(57)は式(58)で表される。
【0172】
【数53】
【0173】
式(58)に式(53)を代入すると、式(59)が得られる。
【0174】
【数54】
【0175】
制御入力Ueq(k)は、式(60)により算出される。
【0176】
【数55】
【0177】
式(60)は、現時点kでは観測不可能な未来値NE(k+dth)およびNE(k+dth-1)を含んでいる。これらの値の代わりに、状態予測器42によって算出された予測値Pre_NE(k)およびPre_NE(k-1)を用いる。制御ユニット43は、式(61)を実行して、等価制御入力Ueq(k)を生成する。
【0178】
【数56】
【0179】
このように、等価制御入力Ueqには、外乱フィードバック項δneおよび外乱フィードフォワード項Tdが含まれる。したがって、制御対象であるエンジン2に外乱が印加されることによって生じる回転数NEと目標値NE_cmdの偏差を速やかに収束させることができる。
【0180】
制御ユニット43は、さらに、式(62)を実行して、到達則入力Urchを生成する。Fは、到達則ゲインを示す。
【0181】
【数57】
【0182】
2.3 回転数FB制御のシミュレーション結果
図16は、本願発明の一実施形態に基づく回転数FB制御のシミュレーションで用いられる仮想の制御対象モデルを示す。仮想制御対象は、エンジンのモデル式(46)に基づく構造を有している。制御入力は、時間dthだけ遅延された目標吸気量Gcyl_cmdである。制御出力は、回転数NEである。さらに、制御対象には、外乱として駆動トルクTdが入力される。1サイクル前の回転数NEがフィードバックされる。
【0183】
シミュレーションは、仮想制御対象に3つの外乱を加えることができるよう構成されている。図には、入力外乱L1、状態量外乱L2および出力外乱L3が加えられる場所が示されている。入力外乱L1には、たとえば駆動トルクTdの推定誤差Td_errorが含まれる。状態量外乱L2には、たとえばモデル化誤差が含まれる。出力外乱L3には、たとえばセンサのノイズが含まれる。
【0184】
表3に、シミュレーションで実施されたケースN−1〜ケースN−5の条件を示す。
【0185】
【表3】
【0186】
ケースN−1では、外乱L1〜L3が加えられる。予測器42および制御ユニット43の両方で、外乱推定値δneおよび駆動トルクTdが用いられる。ケースN−1は、図13の本願発明の回転数FB制御に基づく好ましいケースである。図17は、ケースN−1のシミュレーション結果を示す。外乱が加えられた状態で、回転数NEを目標値NE_cmdに定常偏差無く収束させることができる。目標値NE_cmdが変動した時、回転数NEの目標値NE_cmdへの追従特性も良好である。
【0187】
ケースN−2では、予測器42および制御ユニット43で、外乱推定値δneおよび駆動トルクTdが用いられない。図18は、ケースN−2のシミュレーション結果を示す。外乱により、実回転数NEと予測値Pre_NEの間に定常偏差が生じている。制御ユニット43は、予測値Pre_NEに基づいて応答指定型制御を実施するので、実回転数NEを目標値NE_cmdに収束させることができない。
【0188】
ケースN−3では、予測器42および制御ユニット43において、駆動トルクTdは用いられるが、外乱推定値δneは用いられない。図19は、ケースN−3のシミュレーション結果を示す。時間t1において、駆動トルクTdの推定誤差Td_errorがステップ入力される。これに応じて、外乱推定値δneも増加する。駆動トルクTdのフィードフォワード項が用いられているので、実回転数NEと予測値Pre_NEの間の偏差は変化しない。
【0189】
時間t2において、駆動トルクTdが変動する。この時、他の外乱L2およびL3もプラントに印加されている。駆動トルクTdのフィードフォワード項により、駆動トルクTdが変動しても、実回転数NEと目標値NE_cmdの偏差は変化しない。しかしながら、外乱推定値δneが用いられていないので、実回転数NEと予測値Pre_NEの間の定常偏差は解消されず、よって回転数NEを目標値NE_cmdに収束することはできない。
【0190】
ケースN−4では、予測器42および制御ユニット43において、外乱推定値δneおよび駆動トルクTdが用いられないが、制御ユニット43で、制御入力に適応則入力Uadpが付加された場合を示す。適応則入力Uadpは、式(63)で示される。Gは、適応則入力のゲインを示す。
【0191】
【数58】
【0192】
図20は、ケースN−4のシミュレーション結果を示す。制御ユニット43により、予測値Pre_NEは目標値NE_cmdに収束する。しかしながら、予測値Pre_NEが外乱推定値δneに基づいて算出されないので、実回転数NEと予測値Pre_NEの定常偏差が解消されず、よって回転数NEを目標値NE_cmdに収束させることができない。
【0193】
ケースN−5では、予測器42において、駆動トルクTdおよび外乱推定値δneが使用される。制御ユニット43では、駆動トルクTdは用いられるが、外乱推定値δneは使用されない。代わりに、制御ユニット43では、適応則入力Uadpが制御入力に付加される。
【0194】
図21に、ケースN−5のシミュレーション結果を示す。適応則入力UadpのゲインGを大きくすることにより、回転数NEの収束時間を短縮させることができる。しかしながら、図17と比較して明らかなように、ゲインGを大きくすると、積分的なオーバーシュートが生じる。
【0195】
ここで、制御モデルがむだ時間を持たないケースを考察する。この場合、状態予測器42を含めなくてもよく、エンジン回転数NEを制御するためのエンジン慣性系のモデルは、式(64)のように表されることができる。
【0196】
【数59】
【0197】
むだ時間が存在しないので、適応外乱オブザーバ41によって実行される式(52)は、式(65)によって表される。
【0198】
【数60】
【0199】
むだ時間が存在しないので、制御ユニット43によって実行される式(61)および(62)は、式(66)および(67)によって表される。
【0200】
【数61】
【0201】
【数62】
【0202】
このような、モデルがむだ時間特性を含まないケースN−6〜N−9について、表4に示されるようなシミュレーションを行った。
【0203】
【表4】
【0204】
ケースN−6では、外乱L1〜L3が加えられる。制御ユニット43で、外乱推定値δneおよび駆動トルクTdが用いられる。ケースN−6は、前述したように、本願発明の回転数FB制御に基づく好ましいケースである。図22は、ケースN−6のシミュレーション結果を示す。外乱が加えられた状態で、回転数NEを目標値NE_cmdに定常偏差無く収束させることができる。目標値NE_cmdが変動した時、回転数NEの目標値NE_cmdへの追従特性も良好である。
【0205】
ケースN−7では、制御ユニット43において、駆動トルクTdは用いられるが、外乱推定値δneは用いられない。図23は、ケースN−7のシミュレーション結果を示す。外乱が印加されるたびに、実回転数NEと目標値NE_cmdの偏差が大きくなっていくのがわかる。外乱推定値δneが用いられていないので、実回転数NEを目標値NE_cmdに収束することはできない。
【0206】
ケースN−8では、制御ユニット43において、外乱推定値δneが用いられないが、制御入力に適応則入力Uadpが付加された場合を示す。ケースN−8では、比較的小さい値を持つゲインGが用いられる。図24は、ケースN−8のシミュレーション結果を示す。ケースN−9では、制御ユニット43において、比較的大きい値を持つゲインGが用いられる。図25は、ケースN−9のシミュレーション結果を示す。図26は、図24(ケースN−8)の回転数NEの挙動と、図25(ケースN−9)の回転数NEの挙動とを比較した図である。適応則入力UadpのゲインGを大きくすることにより、回転数NEの収束時間を短縮させることができるが、積分的なオーバーシュートが生じていることがわかる。それに対し、ケースN−6に対応する外乱推定値δneを用いると、積分的なオーバーシュートを生じさせることなく、回転数NEを目標値NE_cmdに収束させることができる。
【0207】
前述した実施形態においては、外乱を推定するのに、逐次型同定アルゴリズムを用いる適応外乱オブザーバが用いられている。代替的に、所定のマップ等を参照することによって外乱を求める他の適切な推定器を用いてもよい。
【0208】
3 動作フロー
図27は、図2に示される本発明の一実施形態に従う回転数FB制御および吸気量FB制御のフローチャートを示す。このフローチャートは、マニュアルトランスミッション(MT)、自動マニュアルトランスミッション(自動MT)および自動トランスミッション(AT)のいずれの車両にも適用されることができる。
【0209】
ステップS1において、車両がアイドリング運転状態にあるかどうか、またはトランスミッションの変速中であるかどうかが判断される。ステップS1の判断がYesならば、前述した回転数FB制御を実施するため、ステップS2に進む。
【0210】
ステップS2において、目標エンジン回転数NE_cmdを求める。たとえば、アイドリング運転状態にあるときは、走行条件、暖機状態等に応じた値が、目標値NE_cmdに設定される。変速中であるときは、車速および変速比に応じた値が、目標値NE_cmdに設定される。
【0211】
ステップS3において、検出された実回転数NEに基づいて、ECU1のメモリ1cに記憶されたマップを参照し、モデルパラメータAneおよびBneを抽出する。ステップS4において、機器駆動トルクTloadおよび車両駆動トルクTdrvを求める。車両に搭載された電装部品のオン/オフ状態等に応じて、機器駆動トルクTloadは算出されることができる。また、走行抵抗、クラッチの状態等に応じて、車両駆動トルクTdrvは算出されることができる。TloadおよびTdrvは加算され、外乱としての駆動トルクTdが算出される。ステップS5において、前述した回転数FB制御を実施し、目標吸気量Gcyl_cmdを算出する。
【0212】
一方、車両が通常走行にあるとき、ステップS6に進み、目標エンジントルクを求める。目標エンジントルクは、アクセルペダルの開度、車速、トランスミッションの変速比、および走行環境等に応じて算出されることができる。ステップS7において、目標エンジントルクを実現するのに必要なエンジン吸気量Gcyl_cmdを算出する。たとえば、空燃比および点火時期に基づいて所定のマップを参照し、目標吸気量Gcyl_cmdを得ることができる。
【0213】
ステップS8において、吸気量Gcylを推定する。エアフローメータ10およびPbセンサ11からの出力値に基づいて、吸気量Gcylを推定することができる。ステップS9において、エンジン回転数NEおよびスロットル開度THに基づいて所定のマップを参照し、モデルパラメータAair1、Aair2およびBair1を抽出する。スロットル開度の代わりに、スロットルを通過する空気量GthやステップS8において算出された吸気量Gcylを用いてもよい。
【0214】
ステップS10において、前述した吸気量FB制御を実施し、目標スロットル開度THcmdを算出する。
【0215】
本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に従う、内燃機関および制御装置を概略的に示す図。
【図2】この発明の一実施例に従う、制御装置の概略を示す図。
【図3】この発明の一実施例に従う、吸気量フィードバック制御の構成を示す図。
【図4】この発明の一実施例に従う、吸気量フィードバック制御のシミュレーションにおける仮想制御対象を示す図。
【図5】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−1の結果を示す図。
【図6】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−2の結果を示す図。
【図7】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−3の結果を示す図。
【図8】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−4の結果を示す図。
【図9】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−5の結果を示す図。
【図10】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−6の結果を示す図。
【図11】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−7の結果を示す図。
【図12】この発明の一実施例に従う、吸気量制御シミュレーションのケースG−7とケースG−8を比較するための図。
【図13】この発明の一実施例に従う、回転数フィードバック制御の構成を示す図。
【図14】この発明の一実施例に従う、応答指定型制御の切り換え線を示す図。
【図15】この発明の一実施例に従う、応答指定型制御の切り換え関数の設定パラメータの値と収束速度の関係を示す図。
【図16】この発明の一実施例に従う、回転数フィードバック制御のシミュレーションにおける仮想制御対象を示す図。
【図17】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−1の結果を示す図。
【図18】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−2の結果を示す図。
【図19】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−3の結果を示す図。
【図20】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−4の結果を示す図。
【図21】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−5の結果を示す図。
【図22】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−6の結果を示す図。
【図23】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−7の結果を示す図。
【図24】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−8の結果を示す図。
【図25】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−9の結果を示す図。
【図26】この発明の一実施例に従う、回転数制御シミュレーションのケースN−8とケースN−9を比較するための図。
【図27】この発明の一実施例に従う、回転数フィードバック制御および吸気量フィードバック制御のフローチャート。
【符号の説明】
1 ECU
2 エンジン
3 吸気管
Claims (15)
- プラントを制御する制御装置であって、該プラントへの入力および該プラントの出力を用いたモデル式で、該プラントはモデル化されており、
前記モデル式に基づいて推定される該プラントの出力についての推定値と、該推定と同じタイミングで検出された該プラントの出力との偏差を用いて、前記プラントに印加される外乱を推定して外乱推定値を算出する推定器と、
前記プラントの出力が目標値に収束するように、該収束の速度を指定可能な応答指定型制御アルゴリズムを用いて該プラントへの入力を算出する制御ユニットであって、前記プラントの出力と該プラントの出力の目標値との偏差の現在値および前回値を軸とした位相平面上に、前記収束の速度を規定するパラメータに基づいて切り換え線を設定し、該プラントの出力と該プラントの出力の目標値との偏差の現在値と前回値からなる状態量を該切り換え線上に拘束するための入力項を、前記推定器によって算出された外乱推定値に所定のゲインを乗じた値を含むように算出し、該算出された入力項を少なくとも含むように前記プラントへの入力を算出する制御ユニットと、
を備える制御装置。 - 前記推定器は、逐次型同定アルゴリズムを用いて前記外乱推定値を同定する適応外乱オブザーバである、請求項1に記載の制御装置。
- 前記プラントはエンジンであり、
該エンジンは、該プラントへの入力が、該エンジンに吸入される空気量の目標値であり、該プラントの出力が、該エンジンの回転数であるようにモデル化される、請求項1または請求項2に記載の制御装置。 - 前記モデル化されたプラントについて、エンジン回転数に基づくモデルパラメータを格納する記憶装置をさらに備え、
前記制御ユニットは、検出されたエンジン回転数に基づくモデルパラメータを該記憶装置から抽出し、該抽出したモデルパラメータを用いて、前記プラントへの入力を算出する、請求項3に記載の制御装置。 - 前記制御ユニットは、さらに、車両を駆動するのに必要な車両駆動トルクの推定値に所定のゲインを乗じた値を含むように、前記プラントへの入力を算出する、請求項3または請求項4に記載の制御装置。
- 前記制御ユニットは、さらに、車両に搭載された機器を駆動するのに必要な機器駆動トルクの推定値に所定のゲインを乗じた値を含むように、前記プラントへの入力を算出する、請求項3から請求項5のいずれかに記載の制御装置。
- 前記制御ユニットは、エンジンがアイドリング運転状態にある時、またはトランスミッションが変速中である時、前記応答指定型制御アルゴリズムを実行する、請求項3から請求項6のいずれかに記載の制御装置。
- プラントを制御する制御装置であって、該プラントの出力に応じて変化するモデルパラメータを用いたモデル式で該プラントはモデル化されており、
前記プラントに印加される外乱を推定する推定器と、
前記プラントが有するむだ時間および前記推定器によって推定された外乱推定値に基づいて、該プラントから出力される値を予測する状態予測器と、
前記予測値が前記プラントの出力の目標値に収束するように、該収束の速度を指定可能な応答指定型制御アルゴリズムを用いて、前記外乱推定値に前記モデルパラメータを乗じた値を含むよう該プラントへの入力を算出する制御ユニットと、を備える、制御装置。 - 前記外乱推定器は、逐次型同定アルゴリズムを用いて、前記外乱を同定する適応外乱オブザーバである、請求項8に記載の制御装置。
- 前記プラントはエンジンであり、
該エンジンは、該プラントへの入力が、該エンジンに吸入される空気量の目標値であり、該プラントの出力が、該エンジンの回転数であるようにモデル化される、請求項8または請求項9に記載の制御装置。 - 前記モデル化されたプラントについて、エンジン回転数に基づく前記モデルパラメータを格納する記憶装置をさらに備え、
前記制御ユニットは、検出されたエンジン回転数に基づくモデルパラメータを該記憶装置から抽出し、該抽出したモデルパラメータを用いて、前記プラントへの入力を算出する、請求項10に記載の制御装置。 - 前記制御ユニットは、さらに、車両を駆動するのに必要な車両駆動トルクの推定値に所定のゲインを乗じた値を含むように、前記プラントへの入力を算出する、請求項10または請求項11に記載の制御装置。
- 前記制御ユニットは、さらに、車両に搭載された機器を駆動するのに必要な機器駆動トルクの推定値に前記モデルパラメータを乗じた値を含むように、前記プラントへの入力を算出する、請求項10から請求項12のいずれかに記載の制御装置。
- 前記状態予測器は、さらに、車両を駆動するのに必要な車両駆動トルクの推定値に基づいて、前記予測値を算出する、請求項10から請求項13のいずれかに記載の制御装置。
- 前記状態予測器は、さらに、車両に搭載された機器を駆動するのに必要な機器駆動トルクの推定値に基づいて、前記予測値を算出する、請求項10から請求項14のいずれかに記載の制御装置。
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