JP2007218132A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リッチ運転、ストイキ運転、リーン運転の間で運転モードを切り換える際に、トルクの変動を抑えることで、ドライバビリティを良好にする。
【解決手段】内燃機関の運転モードをリッチ運転、ストイキ運転、リーン運転の間で切り換える切換手段と、運転モードを切り換える際に内燃機関の吸入空気量を目標値に制御する吸入空気量制御手段と、運転モードを切り換える際の吸入空気量に基づいて内燃機関のトルクを推定するトルク推定手段と、推定したトルクに基づいて点火時期を制御し、運転モードを切り換える際のトルク変動を抑える点火時期制御手段と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】内燃機関の運転モードをリッチ運転、ストイキ運転、リーン運転の間で切り換える切換手段と、運転モードを切り換える際に内燃機関の吸入空気量を目標値に制御する吸入空気量制御手段と、運転モードを切り換える際の吸入空気量に基づいて内燃機関のトルクを推定するトルク推定手段と、推定したトルクに基づいて点火時期を制御し、運転モードを切り換える際のトルク変動を抑える点火時期制御手段と、を備える。
【選択図】図3
Description
この発明は、内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば実開平1−71155号公報には、スロットル開度変化に対応するトルク時系列変化に基づき、運転状態を判別し、点火時期を運転状態が最適となるように補正する方法が記載されている。
また、特開2004−360530号公報には、点火時期St(t)と、以降のトルクTq(t+1)との相関関係に基づいて、トルクTq(t+d)を制御する方法が記載されている。
近時においては、リッチ運転、リーン運転、ストイキ運転の間で相互に運転モードを切り換える制御が行われている。上記従来の技術は、このような運転モード切り換え時の制御に対応していないため、運転モード切換の過程でトルクが一時的に増減し、トルクに段差が発生する場合がある。このため、ドライバビリティの悪化を招来するという問題がある。特に、マップをベースとして燃焼状態を切り換える場合は、様々な運転条件に対応させて最適な制御を行うことができず、前もって実機のエンジンのデータを様々な条件で取得しておく必要が生じ、膨大な作業が必要となる。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、リッチ運転、ストイキ運転、リーン運転の間で運転モードを切り換える際に、トルクの変動を抑えることで、ドライバビリティを良好にすることを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の運転モードをリッチ運転、ストイキ運転、リーン運転の間で切り換える切換手段と、前記運転モードを切り換える際に内燃機関の吸入空気量を目標値に制御する吸入空気量制御手段と、前記運転モードを切り換える際の吸入空気量に基づいて内燃機関のトルクを推定するトルク推定手段と、推定したトルクに基づいて点火時期を制御し、前記運転モードを切り換える際のトルク変動を抑える点火時期制御手段と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記吸入空気量制御手段は、前記運転モードを切り換える際に、吸入空気量が前記目標値に到達するまでの時間的変化を取得する吸入空気量取得手段を含み、前記トルク推定手段は、吸入空気量の前記時間的変化に基づいてトルクを推定することを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記吸入空気量制御手段は、任意の時刻までに取得された内燃機関のスロットル開度及び吸入空気量と、前記任意の時刻以降の吸入空気量との関係を規定した第1の線形モデルと、前記第1の線形モデルから導出され、吸入空気量を前記目標値に制御するためのスロットル開度を算出する第1の適応制御のモデルとを含み、前記第1の線形モデル及び前記第1の適応制御のモデルに基づいて吸入空気量を前記目標値に制御することを特徴とする。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記トルク算出手段は、任意の時刻までに取得された内燃機関の吸入空気量及びトルクと、前記任意の時刻以降のトルクとの関係を規定した第2の線形モデルを含み、前記第2の線形モデルに基づいてトルクを推定することを特徴とする。
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、前記点火時期制御手段は、任意の時刻までに取得された内燃機関のトルク及び点火時期と、前記任意の時刻以降のトルクとの関係を規定した第3の線形モデルと、前記第3の線形モデルから導出され、トルクを目標値に制御する第2の適応制御のモデルとを含み、前記第3の線形モデル及び前記第2の適応制御のモデルに基づいて前記点火時期を制御することを特徴とする。
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれかにおいて、前記吸入空気量制御手段は、過渡運転時における吸入空気量の変動を考慮した上で、前記吸入空気量を制御することを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、前記トルク推定手段は、過渡運転時における吸入空気量の変動を考慮した上で、前記トルクを推定することを特徴とする。
第1の発明によれば、運転モードを切り換える際のトルク変動を抑えることができるため、トルクに段差が生じてしまうことを抑止できる。従って、運転モードを切り換える際にドライバビリティが悪化してしまうことを確実に抑止することができる。
第2の発明によれば、吸入空気量が目標値に到達するまでの時間的変化を取得することができるため、吸入空気量の時間的変化に基づいてトルクを推定することが可能となる。
第3の発明によれば、任意の時刻までに取得された内燃機関のスロットル開度及び吸入空気量と、任意の時刻以降の吸入空気量との関係を規定した第1の線形モデルと、第1の線形モデルから導出され、吸入空気量を目標値に制御するためのスロットル開度を算出する第1の適応制御のモデルとに基づいて吸入空気量を制御することが可能となる。
第4の発明によれば、任意の時刻までに取得された内燃機関の吸入空気量及びトルクと、任意の時刻以降のトルクとの関係を規定した第2の線形モデルに基づいてトルクを推定することが可能となる。
第5の発明によれば、任意の時刻までに取得された内燃機関のトルク及び点火時期と、任意の時刻以降のトルクとの関係を規定した第3の線形モデルと、第3の線形モデルから導出され、トルクを目標値に制御する第2の適応制御のモデルとに基づいて点火時期を制御することが可能となる。
第6の発明によれば、過渡運転時における吸入空気量の変動を考慮した上で、吸入空気量を制御するため、過渡運転時においても点火時期を最適に制御することが可能となる。
第7の発明によれば、過渡運転時における吸入空気量の変動を考慮した上で、トルクを推定するため、過渡運転時においても点火時期を最適に制御することが可能となる。
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の各実施形態にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組みつけられている。また、排気通路14には排気浄化触媒32が配置されている。
図1は、本発明の各実施形態にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組みつけられている。また、排気通路14には排気浄化触媒32が配置されている。
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24と、スロットルバルブ22が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ26とが配置されている。
スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。また、サージタンク28の更に下流には、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁30が配置されている。
内燃機関10の各気筒は点火プラグ31およびピストン34を備えている。ピストン34には、その往復運動によって回転駆動されるクランク軸36が連結されている。車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)は、このクランク軸36の回転トルクによって駆動される。クランク軸36の近傍には、クランク軸36のトルクTq(t)を検出するためのトルクセンサ38が取り付けられている。また、エンジン10のシリンダブロックには、冷却水温を検出する水温センサ42が取り付けられている。
図1に示すように、本実施形態の制御装置はECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した各種センサ、燃料噴射弁30および点火プラグ31に加えて、車速SPDを検出する車速センサ44などが接続されている。ECU40は、点火プラグ31に対して点火時期St(t)を指示する。
本実施形態のシステムでは、運転条件に応じて、空燃比をリーンにするリーン運転と、空燃比をストイキにするストイキ運転のモードが適宜選択されて運転が行われる。例えば、車両を加速させる際には、出力を増加させるためにストイキ運転が行われる。一方、加速が完了し定常運転に以降した場合は、ストイキ運転からリーン運転へ切り換える制御を行う。これにより、燃料噴射量を低減することができ、燃費を向上することができる。
図2は、リーン運転からストイキ運転へ切り換える際に吸入空気量、トルクが変化する様子を示す特性図である。図2において、横軸は負荷KLを、縦軸はトルクTqを示しているが、負荷KLは吸入空気量と同等の特性値と考えることができるため、以下の説明では、KLを吸入空気量として説明を行う。図2中の実線の特性はストイキ運転における吸入空気量KLとトルクTqとの関係を示しており、破線の特性はリーン運転における吸入空気量KLとトルクTqとの関係を示している。
以下、ストイキ運転からリーン運転へ切り換える場合について、その弊害を含めて説明する。図2において、ストイキ運転の状態では、吸入空気量KL1、トルクTq1の状態で運転が行われているものとする。リーン運転に切り換える場合は、空燃比をリーンにするため、吸入空気量をKL1からKL2へ増加させる。一方、切り換えの過程で現在のトルクTq1が低下してしまうことを抑えるため、吸入空気量KLを増加させるとともに、燃料噴射量を増量する制御が行われる。このため、切り換えの過程ではストイキ運転が継続して行われ、トルクがTq1からTq2へ上昇する。
そして、トルクがTq2へ到達した後に燃料噴射量を減少させる制御が行われる。これにより、トルクがTq2からTq1へ低下する。これにより、吸入空気量(=KL2)、トルク(=Tq2)が図2の破線の特性上の値となり、リーン運転への切り換えが完了する。
以上のような切り換えの過程において、空燃比(A/F)、吸入空気量KL、トルクTqが変化する様子を図3のタイミングチャートに基づいて説明する。ここで、図3(A)は空燃比(A/F)の変化を、図3(B)は吸入空気量の変化を、図3(C)はトルクの変化を、それぞれ示している。ここで、図3(B)及び図3(C)は、図2で説明した方法でストイキ運転からリーン運転への切り換えを行った場合の吸入空気量、トルクの変化を示している。
また、図3(D)は、後述する本実施形態の手法により、ストイキ運転からリーン運転への切り換えの際に点火時期を制御した例を示しており、図3(E)は、点火時期を制御した場合のトルクの変化を示している。
図3において、時刻t1は、ストイキ運転からリーン運転への切り換え動作を開始するタイミングを示している。図2の例では、吸入空気量をKL1からKL2へ切り換える動作を開始するタイミングが時刻t1に該当する。
また、時刻t2は、ストイキ運転からリーン運転への切り換えが完了したタイミングを示している。図2の例では、燃料噴射量を減少させてトルクがTq2からTq1へ減少したタイミングが時刻t2に該当する。このように、時刻t2で切り換えを完了するためには、スロットルバルブ22の応答遅れ等を考慮して、時刻t1からスロットルバルブ22の駆動を開始する必要がある。
図3(B)に示すように、時刻t1でリーン運転への切り換えを開始すると、吸入空気量KLは、時刻t1からt2までの間に、KL1からKL2へ非線形に増加する。これは、ECU40からの指令に対して実際のスロットルバルブ22の開きに遅れが生じるためであり、また、スロットルバルブ22の開度の増加に対して吸入空気量の増加に遅れが生じるためである。
また、図3(C)に示すように、切り換え時の燃料噴射量の増量により、トルク1は時刻t1からt2までの間にTq1からTq2へ増加する。そして、時刻t2で燃料噴射量が減量されると、トルク1の値はTq1に低下する。
図3(A)に示すように、空燃比は、吸入空気量がKL1からKL2へ変化し、且つ、時刻t2で燃料噴射量が減量され、トルクがTq2まで低下した時点でリーンとなる。
従って、図2で説明した方法でストイキ運転からリーン運転への切り換えを行った場合、時刻t1と時刻t2の間で一時的にトルクが増加し、トルクの段差が発生する。このため、ドライバビリティに影響が生じる場合がある。
このため、本実施形態では、定常運転時にストイキ運転からリーン運転に切り換える際に、点火時期を遅角側へシフトすることで、トルクの段差の発生を抑えるようにしている。図3(D)は、本実施形態の手法により、時刻t1と時刻t2の間で点火時期を制御した状態を示している。図3(D)に示すように、本実施形態の手法では、時刻t1から時刻t2の間で点火時期を遅角側にシフトさせる制御が行なわれる。また、図3(E)は、図3(D)の点火時期制御を行った場合のトルクを示している。
図3(E)に示すように、時刻t1と時刻t2の間で点火時期を遅角側にシフトすることで、切り換え時のトルクを一定に保つことができる。従って、ストイキ運転からリーン運転へ切り換える過程でトルクに段差が生じてしまうことを抑止でき、ドライバビリティの低下を抑止することができる。
時刻t1からt2までの間で点火時期を制御する際には、図3(C)に示すようなトルクの変化を予測し、トルクの変化に基づいて点火時期を制御する必要がある。また、トルクの変化を予測するためには、図3(B)に示すような吸入空気量の変化を予測する必要がある。
このため、本実施形態では、以下に説明するように、空気量モデル、トルクモデル1、トルクモデル2を用いて、時刻t1以降のトルク変化を予測し、これに基づいて点火時期を制御するようにしている。
以下、本実施形態の装置における処理の具体的内容について説明する。図4は、本実施形態の空気量モデルを示す模式図である。図4に示すように、空気量モデルは、スロットル開度Ta(t)を入力として、吸入空気量KL(t)を出力する。
以下の(1)式は、図2のシステムを最小二乗法でモデル化(規格化)したものである。(1)式は、スロットル開度Ta(t)と吸入空気量KL(t)との関係を表すものである。
(1)式は、現在の時刻tまでに求められた吸入空気量KL(t)、KL(t-1)、KL(t-2)…、及びスロットル開度Ta(t)、Ta(t-1)、Ta(t-2)…に基づいて、次の時刻(t+d1)での吸入空気量KL(t+d1)を算出するものである。ここで、tの単位は、例えば[秒]とする。d1はシステムの遅れであって、ここでは簡易的にd1=1とすることができる。また、fk、gk(k=0,1,2…)はそれぞれ所定の係数であり、各係数fk、gkによって図4のシステムの特性が決定される。現在の時刻をtとすると、時刻tまでの吸入空気量KL(t)、KL(t-1)、KL(t-2)…はエアフロメータ20によって検出される。また、現在の時刻tまでのスロットル開度Ta(t)、Ta(t-1)、Ta(t-2)…は、スロットルセンサ24によって検出される。現在の時刻tまでの吸入空気量KL(t)、KL(t-1)、KL(t-2)…、スロットル開度Ta(t)、Ta(t-1)、Ta(t-2)…、及び各係数fk、gk(k=0,1,2…)はECU40に記憶されている。
ここで、図4のシステムから出力される目標吸入空気量を、時刻t2の時点の空気量KL2とし、評価関数E1を以下の(2)式で表すこととする。評価関数E1は、時刻t+dでの空気量KL(t+d)をKL_targetへ収束させることを規定した関数である。
(2)式の右辺を0に限りなく近づけると、右辺の[ ]内が0に近づく。従って、{KL2−KL(t2)}、{KL(t)-KL(T-1)}、{Ta(t)-Ta(T-1)}の各項がそれぞれ0に近づくことになる。すなわち、評価関数E1→0とすることで、時刻t+dでの吸入空気量KL(t+d)を目標吸入空気量KL_targetとする制御が可能となる。
また、(2)式の右辺において、係数γ1,γ2は、吸入空気量KLとスロットル開度Taの応答性を決定する係数である。係数γ1,γ2を適宜に選択することで、吸入空気量KLとスロットル開度Taの応答性を変更することができる。
例えば、評価関数E1→0として時刻t2での吸入空気量KL(t2)を目標吸入空気量KL2に制御する際に、吸入空気量の変動を最小限に抑えた状態で制御を行う場合は、係数γ1の値をより大きな値に設定する。これにより、KL(t)-KL(T-1)の変動が評価関数E1の変動へ与える影響が大きくなるため、E1→0とする場合はKL(t)-KL(T-1)の変動を抑えることができる。従って、吸入空気量の変動を最小とする制御が要求される場合は、係数γ1の値を大きく設定することで、吸入空気量の変動を抑えた状態で目標吸入空気量KL2への制御が可能となる。
反対に、吸入空気量の変動を許容した制御を行う場合は、係数γ1の値をより小さい値に設定すればよい。特に、吸入空気量の変動を考慮することなく単に吸入空気量KL(t+d)を目標吸入空気量KL_targetに制御したい場合はγ1=0とする。
同様に、評価関数E1→0として時刻t+dでの吸入空気量KL(t+d)を目標吸入空気量KL_targetに制御する際に、スロットル開度の変動を最小限に抑えた状態で制御を行う場合は、係数γ2の値をより大きな値に設定する。これにより、Ta(t)-Ta(T-1)の変動、すなわちスロットル開度の変動を最小限に抑えた制御を実現できる。反対に、スロットル開度の変動を許容した制御を行う場合は、係数γ2の値をより小さい値に設定すればよく、スロットル開度の変動を考慮することなく単に吸入空気量KL(t+d)を目標吸入空気量KL_targetに制御したい場合はγ2=0とする。従って、係数γ1,γ2を最適な値に設定することで、運転状態に応じた最適な制御を実現できる。
このように、評価関数E1→0とすることで、時刻t+dでの吸入空気量KL(t+d)を目標吸入空気量KL_targetとする制御が可能となる。一方、図4のシステムにおける吸入空気量KLとスロットル開度Taとの間には(1)式の関係があり、(2)式の右辺=0として、すなわち右辺の[ ]内を0として(1)式へ代入し、Ta(t)について解くと以下の(3)式が得られる。(3)式は、時刻t+dでの吸入空気量KL(t+d)を目標吸入空気量KL_targetへ適応制御するものであり、時刻tでの最適なスロットル開度Ta(t)を算出する式である。
(3)式において、KL_target=KL2とすると、過去に求められた吸入空気量KL(t), KL(T-1), KL(T-2)…、およびスロットル開度Ta(t), Ta(T-1), Ta(T-2)…に基づいて、現在の時刻tにおける最適なスロットル開度Ta(t)を算出することができる。従って、現在の時刻t=t1とし、時刻t1の時点でのTa(t)を算出し、スロットル開度をTa(t)に設定することで、時刻t2での吸入空気量KL(t2)を目標吸入空気量KL2とする制御が可能となる。(3)式によれば、時刻t2において吸入空気量KL(t2)を確実に目標吸入空気量KL2とすることができるため、ゲイン調整などの試行錯誤を行うことなく目標吸入空気量への制御が可能となる。この際、吸入空気量またはスロットル開度の変化率に要求がある場合は、上述したようにγ1,γ2の値を適宜選択することで、吸入空気量、スロットル開度の応答性を最適に設定した上でスロットル開度Ta(t)を算出することができる。例えば、吸入空気量をKL2へ制御する過程で吸入空気量KLが変動することを許容する制御を行う場合は、係数γ1=0とすれば良い。これにより、吸入空気量の変動を考慮することなく最適なスロットル開度Ta(t)を即座に算出することができる。従って、(3)式によれば、様々な制約条件を(2)式の評価関数E1に含ませることにより、最適な制御を実現することができる。
(1)式において、右辺における現在の時刻までの吸入空気量KL(t), KL(t-1), KL(t-2),・・・はエアフロメータ20の検出値により既に求められている。また、現在までのスロットル開度Ta(t-1), Ta(t-2),・・・についても、ECU40に記憶されている。従って、(3)式から、現在の時刻t=t1における最適なスロットル開度Ta(t)が求まると、これを(1)式に代入することにより、時刻t=t1+1における吸入空気量KL(t1+1)が求まる(但し、(1)式においてd1=1とする)。そして、(3)式においてt=t1+1とし、(1)式から算出した吸入空気量KL(t1+1)を代入すると、時刻t=t1+1における最適なスロットル開度Ta(t1+1)が求まる。そして、(1)式において、t=t1+1とし、スロットル開度Ta(t1+1)を(1)式に代入すると、時刻t1+2における吸入空気量KL(t1+2)が求まる。このような処理を繰り返すことにより、図3(B)に示すような、空気量がKL1からKL2へ変化する際の時間的変化(KL(t1+1), KL(t1+2), KL(t1+3), KL(t1+4),・・・,KL(t2))を求めることができる。
(3)式からスロットル開度Ta(t)を求める場合は、各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…を予め取得しておく必要がある。各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…を求める場合は、各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…を未知数とし、未知数の数に相当する数の(1)式を連立して解くことにより求めることができる。この際、(1)式に過去に取得された吸入空気量KLおよびスロットル開度Taを代入することにより、異なる時刻で得られた複数の(1)式を設定する。例えば、(1)式でd1=1, t=t-1とすると以下の(4)式が得られ、同様に(1)式でd1=1, t=t-2とすると以下の(5)式が得られる。(4)式において、KL(t), KL(t-1), KL(T-2), KL(T-3)…, Ta(t-1), Ta(T-2), Ta(T-3)…はECU40で既に取得され、記憶されている。同様に(5)式においても各吸入空気量KL、スロットル開度Taの値はECU40に記憶されている。従って、(1)式のtを異なる値に設定することで、必要な数の(1)式を連立方程式として設定することができ、その解を求めることで各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…の値を算出することができる。
各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…は、過去に取得された各吸入空気量KL、スロットル開度Taと、時刻t+dにおける吸入空気量KL(T+d)との関係を定める係数であり、スロットル開度Taから吸入空気量KLを求める図4に示すシステムの状態を反映するものである。本実施形態の空気量モデルは、上述した方法により各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…を一定期間毎に算出し、常に最新の値に更新する。これにより、システムの最新の状態を取得することができ、システムの状態に応じて高精度に吸入空気量KL(t+d)を制御することが可能となる。
そして、各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…を最新の値に更新することで、システムに経時変化が生じた場合であっても、その経時変化が各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…に反映されることとなる。従って、本実施形態の空気量モデルによれば、機関の摺動部分における摩擦係数、燃料の性状、点火プラグの劣化など、様々な要因に起因する経時変化が生じた場合であっても、最新の各係数f0, f1, f2…, g0, g1, g2…を用いて演算を行うことにより、吸入空気量KL(t+d)を正確に算出することが可能となる。
次に、本実施形態のトルクモデル1について説明する。図5は、トルクモデル1を示す模式図である。図5に示すように、トルクモデル1は、吸入空気量KL(t)を入力として、トルクTq(t)を出力する。
以下の(6)式は、図5のシステムを最小二乗法でモデル化(規格化)したものである。(6)式は、吸入空気量KL(t)とトルクTq(t)との関係を表すものである。
(6)式は、現在の時刻tまでに求められたトルクTq(t)、Tq(t-1)、Tq(t-2)…、及び吸入空気量KL(t)、KL(t-1)、KL(t-2)…に基づいて、次の時刻(t+d2)でのトルクTq(t+d2)を算出するものである。ここで、tの単位は、例えば[秒]とする。d2はシステムの遅れであって簡易的にはd2=1とすることができる。また、hk、jk(k=0,1,2…)はそれぞれ所定の係数であり、各係数hk、jkによって図5のシステムの特性が決定される。各係数hk、jkは、空気量モデルの係数fk、gkと同様の方法で予め算出することができる。
現在の時刻tまでのトルクTq(t)、Tq(t-1)、Tq(t-2)…はトルクセンサ38によって検出される。また、現在の時刻tまでの吸入空気量KL(t)、KL(t-1)、KL(t-2)…は、エアフロメータ20によって検出される。現在の時刻tまでのトルクTq(t)、Tq(t-1)、Tq(t-2)…、吸入空気量KL(t)、KL(t-1)、KL(t-2)…、及び各係数hk、jk(k=0,1,2…)はECU40に記憶されている。
そして(6)式において、d2=1とし、t=t1-1, t1, t1+1, t1+2,…を順次に代入すると、Tq(t1), Tq(t+1), Tq(t+2), Tq(t+3)…を求める式が導き出される。これらの式において、右辺のKL(t), KL(t+1), KL(t+2), KL(t+3)…は、空気量モデルの(1)式、(3)式から算出されている。また、トルクTqの各項は現在までに取得された値、および(6)式から導き出されたTq(t1), Tq(t+1), Tq(t+2), Tq(t+3)…を求める式から算出される値を用いることができる。従って、(6)式によれば、空気量がKL1からKL2へ変化する際にトルクTqがTq1からTq2へ変化する様子を求めることができる。これにより、図3(C)に示すようなトルクの時間的変動を予測することが可能となる。
次に、本実施形態のトルクモデル2について説明する。図6は、本実施形態の制御装置のトルクモデル2を示す模式図である。図6に示すように、トルクモデル2は、点火時期St(t)を入力として、トルクTq(t)を出力する。
以下の(7)式は、図6のシステムを最小二乗法でモデル化(規格化)したものである。(7)式は、点火時期St(t)とトルクTq(t)との関係を表すものである。
(7)式は、現在の時刻tまでに求められたトルクTq(t)、Tq(t-1)、Tq(t-2)…、及び点火時期St(t)、St(t-1)、St(t-2)…に基づいて、次の時刻(t+d3)でのトルクTq(t+d3)を算出するものである。ここで、tの単位は、例えば[秒]とする。d3はシステムの遅れであって簡易的にはd3=1とすることができる。また、kk、mk(k=0,1,2…)はそれぞれ所定の係数であり、各係数kk、mkによって図6のシステムの特性が決定される。各係数kk、mkは、空気量モデルの係数fk、gkと同様の方法で予め算出することができる。
現在の時刻tまでのトルクTq(t)、Tq(t-1)、Tq(t-2)…はトルクセンサ38によって検出される。また、現在の時刻tまでの点火時期St(t)、St(t-1)、St(t-2)…は、ECU40の指令値である。現在の時刻tまでのトルクTq(t)、Tq(t-1)、Tq(t-2)…、点火時期St(t)、St(t-1)、St(t-2)…、及び各係数kk、mk(k=0,1,2…)はECU40に記憶されている。
図6のトルクモデルの評価関数は、空気量モデルの評価関数と同様にして、以下の(8)式で表すことができる。評価関数E2は、時刻t+dでのトルクTq(t+d)をTq_targetへ収束させることを規定した関数である。評価関数E1と同様に、評価関数E2→0とすることで、時刻t+dでのトルクTq(t+d)を目標トルクTq_targetとする制御が可能となる。ここでは、時刻t2でのトルクTq(t2)をTq1に制御することで、トルクの段差の発生を抑える制御を行う。従って、(8)式において、Tq_target=t2に設定する。
そして、図6のシステムにおけるトルクTqと点火時期Stとの間には(7)式の関係があり、(8)式の右辺=0として、すなわち右辺の[ ]内を0として(7)式へ代入し、St(t)について解くと以下の(9)式が得られる。(9)式は、時刻t2でのトルクTq(t2)を目標トルクTq1へ適応制御する式であり、時刻t(=t1)での最適な点火時期St(t)を算出する式である。
(9)式によれば、過去に求められたトルクTq(t), Tq(T-1), Tq(T-2)…、および点火時期St(t), St(T-1), St(T-2)…に基づいて現在の時刻tにおける最適な点火時期St(t)を算出することができる。従って、現在の時刻t=t1とし、時刻t1の時点でのSt(t)を算出し、点火時期をSt(t)に設定することで、時刻t2でのトルクTq(t2)を目標トルクTq1とする制御が可能となる。なお、係数γは、空気量モデルの場合と同様に設定することができる。
そして、(9)式において、t=t1, t1+1, t1+2,…を順次に代入すると、St(t1), St(t+1), St(t+2), St(t+3)…を求める式が導き出される。これらの式において、Tqの項(Tq(t), Tq(t+1), Tq(t+2), Tq(t+3),…)は、トルクモデル1から算出されている。従って、(9)式によれば、時刻t2におけるトルクTq(t2)をTq1へ制御するために最適な点火時期St(t), St(t+1), St(t+2), St(t+3), …を順次に求めることができる。
従って、図3(D)に示すように、時刻t2におけるトルクをTq1に設定するために、時刻t1以降の点火時期St(t)を最適に制御することが可能となる。これにより、図3(E)に示すように、時刻t1からt2の間でトルクの変動を抑えることができ、トルクを一定値Tq1に維持することが可能となる。従って、運転モードを切り換える際にトルクに段差が生じてしまうことを抑止でき、ドライバビリティを良好にすることが可能となる。
なお、上述の例では、ストイキ運転からリーン運転に切り換える際の点火時期制御を例示したが、リーン運転からストイキ運転に切り換える場合も同様の手法でトルク変動を抑えることが可能である。更に、リッチ運転とストイキ運転との間で運転状態を切り換える場合も、同様の手法でトルク変動を抑えることが可能である。
以上説明したように実施の形態1によれば、ストイキ運転とリーン運転との間で運転状態を切り換える際に、トルクの変化を予測することができ、トルクの変化を抑えるように点火時期を制御することが可能となる。従って、切り換えの際にトルクの段差が生じてしまうことを抑止でき、ドライバビリティを良好にすることが可能となる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では定常運転時に運転状態を切り換える制御について説明したが、実施の形態2は、過渡運転時に運転状態を切り換える制御に関するものである。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では定常運転時に運転状態を切り換える制御について説明したが、実施の形態2は、過渡運転時に運転状態を切り換える制御に関するものである。
ストイキ運転、リーン運転、リッチ運転の切り換えは、加速中など過渡運転の最中に行われる場合がある。以下、図7及び図8に基づいて、過渡運転の最中にリッチ運転からストイキ運転に切り換えた場合について、その弊害を含めて説明する。図7は、吸入空気量とトルクとの関係を示す特性図である。図7中の実線の特性はストイキ運転における吸入空気量KLとトルクTqとの関係を示しており、破線の特性はリッチ運転における吸入空気量KLとトルクTqとの関係を示している。また、一点鎖線の特性は、リーン運転における吸入空気量KLとトルクTqとの関係を示している。
以下、リッチ運転からストイキ運転へ切り換える場合について、その弊害を含めて説明する。図7において、リッチ運転の状態では、吸入空気量KL0、トルクTq0の状態で運転が行われているものとする。ストイキ運転に切り換える場合は、空燃比を薄くするため、吸入空気量をKL0からKL1へ増加させる。一方、切り換えの過程で現在のトルクTq0が低下してしまうことを抑えるため、吸入空気量KLを増加させるとともに、燃料噴射量を増量する制御が行われる。このため、切り換えの過程ではリッチ運転が継続して行われ、トルクがTq0からTq1へ上昇する。
そして、トルクがTq1へ到達した後に燃料噴射量を減少させる制御が行われる。これにより、トルクがTq1からTq0へ低下し、吸入空気量(=KL1)、トルク(=Tq0)が図7の実線の特性上の値となり、ストイキ運転への切り換えが完了する。
リッチ運転からストイキ運転への切り換えの過程において、空燃比(A/F)、吸入空気量、トルクが変化する様子を図8のタイミングチャートに基づいて説明する。ここで、図8(A)は空燃比(A/F)の変化を、図8(B)は吸入空気量の変化を、図8(C)はトルクの変化を、それぞれ示している。ここで、ここで、図8(B)及び図8(C)は、図7で説明した方法でリッチ運転からストイキ運転への切り換えを行った場合の吸入空気量、トルクの変化を示している。
また、図8(D)は、後述する本実施形態の手法により、ストイキ運転からリーン運転への切り換えの際に点火時期を制御した例を示しており、図8(E)は、点火時期を制御した場合のトルクの変化を示している。
図8において、時刻t1は、過渡運転中において、リッチ運転からストイキ運転への切り換えを開始する以前の任意の時刻を示している。また、時刻t1+dは、過渡運転中において、リッチ運転からストイキ運転への切り換えるための動作を開始するタイミングを示している。図7の例では、吸入空気量をKL0からKL1へ切り換える動作を開始するタイミングが時刻t1+dに該当する。
また、時刻t2は、リッチ運転からストイキ運転への切り換えが完了したタイミングを示している。図7の例では、燃料噴射量を減少させてトルクがTq1からTq0へ減少したタイミングが時刻t2に該当する。
図8(B)に示すように、時刻t1+dでストイキ運転への切り換えを開始すると、吸入空気量KLは、時刻t1+dからt2までの間に、KL0からKL1へ非線形に増加する。これは、ECU40からの指令に対して実際のスロットルバルブ22の開きに遅れが生じるためであり、また、スロットルバルブ22の開度の増加に対して吸入空気量の増加に遅れが生じるためである。
また、図8(C)に示すように、切り換え時の燃料噴射量の増量により、トルク1は時刻t1+dからt2までの間にTq0からTq1へ増加する。そして、時刻t2で燃料噴射量が減量されると、トルク1の値はTq0に低下する。
図8(A)に示すように、空燃比は、吸入空気量がKL0からKL1へ変化し、且つ、時刻t2で燃料噴射量が減量され、トルクがTq0まで低下した時点でストイキとなる。
従って、図7で説明した方法でリッチ運転からストイキ運転への切り換えを行った場合、時刻t1+dと時刻t2の間で一時的にトルクが増加し、トルクの段差が発生する。このため、ドライバビリティに影響が生じる場合がある。
このため、本実施形態では、リッチ運転からストイキ運転に切り換える際に、点火時期を遅角側へシフトすることで、トルクの段差の発生を抑えるようにしている。図8(D)は、本実施形態の手法により、時刻t1+dと時刻t2の間で点火時期を制御した状態を示している。図8(D)に示すように、本実施形態の手法では、時刻t1+dから時刻t2の間で点火時期を遅角側にシフトさせる制御が行なわれる。また、図8(E)は、図8(D)の点火時期制御を行った場合のトルクを示している。
図8(E)に示すように、時刻t1+dと時刻t2の間で点火時期を遅角側にシフトすることで、切り換え時のトルクを一定に保つことができる。従って、リッチ運転からストイキ運転へ切り換える過程でトルクに段差が生じてしまうことを抑止でき、ドライバビリティの低下を抑止することができる。
時刻t1+dからt2までの間で点火時期を制御する際には、図8(C)に示すようなトルクの変化を予測し、トルクの変化に基づいて点火時期を制御する必要がある。また、トルクの変化を予測するためには、図8(B)に示すような吸入空気量の変化を予測する必要がある。
ところで、過渡運転時(加速中)には、運転モードの切り換えを行わない場合であっても、時刻t1+dから時刻t2の間で吸入空気量KLは増加しており、これに伴ってトルクTqも増加する(図8(B)、図8(C)中に示す破線の特性を参照)。従って、過渡運転による吸入空気量、トルクの増加分を考慮せずに点火時期の制御を行うと、トルクの段差を確実に抑えることができない場合がある。
このため、本実施形態では、以下に説明するように、空気量モデル、トルクモデル1、トルクモデル2を用いて、過渡運転による吸入空気量、トルクの増加分を予測した上で、リッチ運転からストイキ運転へ切り換える際の点火時期の制御を最適に行うようにしている。
空気量モデル、トルクモデル1、トルクモデル2の構成は、実施の形態1の図4、図5、図6で説明したものと同様である。先ず、空気量モデルを用いて、運転状態を切り換える動作を開始する時刻t+dまでの吸入空気量を推定する。吸入空気量の推定は以下の手法により行う。
先ず、以下の(10)式〜(14)式に示すように、(1)式の線形モデルと、時刻t1までの実測値を用いて、時刻t1+dまでの吸入空気量を以下のようにして求める。(10)式〜(14)式は、(1)式において、d1=dとし、t=t1-d, t1-d+1, t1-d+2,・・・, t1-1, t1とすることにより導き出される。(10)式〜(14)式において、トルクTq、スロットル開度Taの各項は現在の時刻t1以前の値であり、ECU40に記憶された実測値を用いることができる。時刻t1は、時刻t2で切り換えを行うことを決定する時刻である。
同様にして、時刻t1+dから時刻t2までの吸入空気量KLも以下の(15)式〜(17)式から求めることができる。(15)式〜(17)式は、(1)式において、d1=dとし、t=t1+1, t1+2,・・・, t2-dとすることにより導き出される。
ここで、(15)式〜(17)式において、現在の時刻がt1であるため、下線を付したトルクTqの項は実測により求められていない。このため、(15)式〜(17)式で下線を付した項を以下の(18)式〜(21)式から求める。(18)式〜(21)式は、適応制御を表す式であって、(3)式において、KL_target=KL2とし、t=t1+1, t1+2,・・・, t1+d, t1+d+1,・・・, t2-d-1, t2-d, ・・・, t2-1, t2とすることにより導き出される。
(18)式によれば、(15)式、(16)式におけるTa(t1+1)を算出することができる。また、(19)式によれば、(16)式におけるTa(t1+2)を算出することができる。同様にして、(17)式のTa(t2-d-1)、Ta(t2-d)は、(20)式以降に導き出される、Ta(t2-d-1)、Ta(t2-d)の算出式から算出することができる。
なお、(18)式〜(21)式の右辺においても、時刻t1の時点では未知の値があるが、これらの値は(15)式〜(17)式、または(18)式〜(21)式の各式から求めることができる。例えば、(20)式において、KL(t1+d+1)は(15)式から、KL(t1+d)は(14)式から、それぞれ算出することができる。また、(20)式において、Ta(t1+d)は(20)式の1つ前に導き出されたTa(t1+d)の算出式から、それぞれ算出することができる。
従って、(18)式〜(21)式を用いることにより、(15)式〜(17)式に基づいて、時刻t1+d+1から時刻t2までの吸入空気量KL(t1+d+1), KL(t1+d+2),・・・,KL(t2)を算出することが可能となる。
上述したように、時刻t1から時刻t1+dまでの吸入空気量KL(t1)〜KL(t1+d)は、(10)式〜(14)式に基づいて、時刻t1の時点で既知の吸入空気量KL、スロットル開度Taから算出される。そして、時刻t1+d+1から時刻t2までの吸入空気量は、(15)式〜(17)式に基づいて算出することができる。従って、以上のような手法によれば、過渡運転時において、時刻t1から時刻t2までの吸入空気量KLの時間的変化KL(t1), KL(t1+1),・・・, KL(t1+d),・・・,KL(t2)を先読みして算出することができる。
吸入空気量KL(t1), KL(t1+1),・・・, KL(t1+d),・・・,KL(t2)が求まると、トルクモデル1を用いて時刻t1からt2の間のトルクの推定を行う。
実施の形態1と同様に、吸入空気量KLが求まると、トルクモデル1の(6)式からトルクTqを算出することができる。実施の形態2では、空気量モデルにより、現在の時刻t1から燃焼切換時(=t2)までの空気量KL(t1), KL(t1+1),・・・, KL(t1+d),・・・,KL(t2)が求められているため、切換時のトルクは以下の(22)式〜(26)式から算出することができる。ここで、(22)式〜(26)式は、(6)式の時刻をシフトさせた式であり、(6)式において、d2=dとし、t=t1-d, t1-d+1,・・・,t1, t1+1,・・・,t2-dを代入することにより導き出される数式である。
(22)式、(23)式では、右辺のTqの項が時刻t1以前の値であるため、Tqの項に実測値を代入することができる。また、(22)式〜(26)式において、一点鎖線で囲まれた領域Aに属する吸入空気量KLの項は、上述のように空気量モデルから算出されている。従って、(22)式、(23)式によれば、トルクTq(t1), Tq(t1+1)を算出することができる。
また、(24)式、(25)式の右辺におけるトルクTq(t1), Tq(t1+1),・・・は、(22)式、(23)式によって既に算出されている。従って、(22)式、(23)式、(24)式、(25)式・・・(26)式の演算処理を順次に行うことで、過渡運転時における時刻t1からt2までのトルクTq(t1), Tq(t1+1),・・・, Tq(t1+d),・・・,Tq(t2)の時間的変化を算出することができる。
時刻t1からt2までのトルクTq(t1), Tq(t1+1),・・・, Tq(t1+d),・・・,Tq(t2)が求まると、トルクモデル2により点火時期St(t)を算出する処理が行われる。ここでは、トルクモデル2の(7)式、(9)式に基づいて、時刻t1からt2の間における点火時期を算出する処理が行われる。これらの式において、Tqの項(Tq(t), Tq(t+1), Tq(t+2), Tq(t+3),…)は、上述のようにトルクモデル1から算出されている。具体的な処理方法は、空気量モデルによる吸入空気量の算出と同様であり、(7)式と(9)式の間で未知数を互いに補間しながら、順次にSt(t1), St(t1+1),・・・, St(t1+d),・・・,St(t2)を算出する。
従って、(7)式、(9)式に基づいて、時刻t2におけるトルクTqをTq0へ制御するための最適な点火時期St(t), St(t+1), St(t+2), St(t+3), …, St(t+n)= を順次に求めることができる。これにより、図8(E)に示すように、時刻t2におけるトルクをTq0に制御することが可能となり、トルクの段差を抑えることができる。
図8の例では、時刻t2以降は定常運転が行われる。そして、時刻t3から時刻t4の間で、ストイキ運転からリーン運転への切り換えが行われる。この場合は、既に定常運転に移行しているため、実施の形態1で説明した制御によりトルク段差を抑えることができる。
なお、上述の例では、過渡運転時にリッチ運転からストイキ運転に切り換える際の点火時期制御を例示したが、ストイキ運転からリッチ運転に切り換える場合も同様の手法でトルク変動を抑えることが可能である。更に、過渡運転時にリーン運転とストイキ運転との間で運転状態を切り換える場合も、同様の手法でトルク変動を抑えることが可能である。
以上説明したように実施の形態2によれば、過渡運転時にリッチ運転、ストイキ運転、リーン運転の切り換えを行う場合において、過渡運転の際の吸入空気量の増減を考慮した上で、トルクに段差が生じないように点火時期を最適に制御することが可能となる。従って、運転モードを切り換える際にドライバビリティが悪化してしまうことを確実に抑止することが可能となる。
20 エアフロメータ
31 点火プラグ
38 トルクセンサ
40 ECU
31 点火プラグ
38 トルクセンサ
40 ECU
Claims (7)
- 内燃機関の運転モードをリッチ運転、ストイキ運転、リーン運転の間で切り換える切換手段と、
前記運転モードを切り換える際に内燃機関の吸入空気量を目標値に制御する吸入空気量制御手段と、
前記運転モードを切り換える際の吸入空気量に基づいて内燃機関のトルクを推定するトルク推定手段と、
推定したトルクに基づいて点火時期を制御し、前記運転モードを切り換える際のトルク変動を抑える点火時期制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記吸入空気量制御手段は、前記運転モードを切り換える際に、吸入空気量が前記目標値に到達するまでの時間的変化を取得する吸入空気量取得手段を含み、
前記トルク推定手段は、吸入空気量の前記時間的変化に基づいてトルクを推定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記吸入空気量制御手段は、
任意の時刻までに取得された内燃機関のスロットル開度及び吸入空気量と、前記任意の時刻以降の吸入空気量との関係を規定した第1の線形モデルと、
前記第1の線形モデルから導出され、吸入空気量を前記目標値に制御するためのスロットル開度を算出する第1の適応制御のモデルとを含み、
前記第1の線形モデル及び前記第1の適応制御のモデルに基づいて吸入空気量を前記目標値に制御することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記トルク算出手段は、
任意の時刻までに取得された内燃機関の吸入空気量及びトルクと、前記任意の時刻以降のトルクとの関係を規定した第2の線形モデルを含み、
前記第2の線形モデルに基づいてトルクを推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 前記点火時期制御手段は、
任意の時刻までに取得された内燃機関のトルク及び点火時期と、前記任意の時刻以降のトルクとの関係を規定した第3の線形モデルと、
前記第3の線形モデルから導出され、トルクを目標値に制御する第2の適応制御のモデルとを含み、
前記第3の線形モデル及び前記第2の適応制御のモデルに基づいて前記点火時期を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 前記吸入空気量制御手段は、過渡運転時における吸入空気量の変動を考慮した上で、前記吸入空気量を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記トルク推定手段は、過渡運転時における吸入空気量の変動を考慮した上で、前記トルクを推定することを特徴とする請求項6記載の内燃機関の制御装置。
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- 2006-02-15 JP JP2006037764A patent/JP2007218132A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20090512 |