JP4241037B2 - エアバッグの起動装置 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用エアバッグの起動装置に係り、特に2つのインフレータを有してこれらを衝突事象に応じて所定の順序および時間間隔で点火するように構成された2段点火式のエアバッグの起動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のエアバッグシステムの構成を示す図である。図1において、101は車載用バッテリ、102はイグニションスイッチ、103は運転席エアバッグ、104は運転席エアバッグの1段目インフレータの点火装置、105は運転席エアバッグの2段目インフレータの点火装置、106は助手席エアバッグ、107は助手席エアバッグの1段目インフレータの点火装置、108は助手席エアバッグの2段目インフレータの点火装置、109はエアバッグコントロールユニット、110はDC−DCコンバータ、111はバックアップコンデンサ、112は機械式加速度スイッチ、113は加速度センサ、114は点火判定手段、115,116は運転席エアバッグ103の1段目インフレータに対する駆動トランジスタ、117,118は運転席エアバッグ103の2段目インフレータに対する駆動トランジスタ、119,120は助手席エアバッグ106の1段目インフレータに対する駆動トランジスタ、121,122は助手席エアバッグ106の2段目インフレータに対する駆動トランジスタである。
【0003】
次に、図1に示されるエアバッグシステムに係る動作について説明する。イグニションスイッチ102が閉じられると、車載用バッテリ101から出力される直流電力がDC−DCコンバータ110で昇圧され、バックアップコンデンサ111を充電する。
【0004】
衝突が発生した場合には、衝突に係る大きな減速加速度が作用する間において、機械式加速度スイッチ112が閉じる。また、点火判定手段114は、加速度センサ113から出力される加速度信号を入力して、衝突が発生したと判定すると、運転席エアバッグ103および助手席エアバッグ106の1段目インフレータを点火させるために駆動トランジスタ115,116,119,120をオンする。これにより、点火に必要な電流が点火装置104および点火装置107に流れ運転席エアバッグ103および助手席エアバッグ106の1段目インフレータがそれぞれ点火されて、運転席エアバッグ103および助手席エアバッグ106が適度な大きさまで展開を始める。1段目インフレータを点火後、所定の条件が充足されている場合には、点火判定手段114は、さらに運転席エアバッグ103および助手席エアバッグ106の2段目インフレータを点火させるために駆動トランジスタ117,118,121,122をオンする。これにより、点火に必要な電流が点火装置105および点火装置108に流れ運転席エアバッグ103および助手席エアバッグ106の2段目インフレータがそれぞれ点火されて、運転席エアバッグ103および助手席エアバッグ106が最大限膨張する。
【0005】
上記のような2段点火式のエアバッグシステムは、例えば特許文献1に記載されており、1段目インフレータを点火した後に2段目インフレータを点火するか否かの判定については、実験または計算機シミュレーションに基づいて取得した種々の減速加速度の変化特性データと比較対照すること等の方法を用いることで実施する。
【0006】
また、機械式加速度スイッチ112は、駆動トランジスタが誤作動してもインフレータに電流が流れないようにして、誤作動によるインフレータの点火を防止するために設けられている。このような機械式加速度スイッチについては、例えば特許文献2に記載されており、当該公報に記載されている機械式加速度スイッチは、衝突時のいわゆる衝突加速度により重りが移動することでスイッチが閉じるとともに、加速度が無くなればバネ力により重りが所定位置に復帰することでスイッチが開くという構造を有している。
【0007】
特許文献1】
特開平11−263188号公報
【特許文献2】
特開平09−211023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の2段点火式エアバッグシステムは以上のように構成されているので、1段目インフレータを点火した後に所定の時間遅延させて2段目インフレータを点火させる場合に、当該2段目インフレータを点火させる時点における減速加速度が所定の加速度よりも小さくなっていると、機械式加速度スイッチが開いて、バックアップコンデンサから点火電流を供給できなくなり、エアバッグをさらに展開させる必要がある場合にも2段目インフレータを点火することができないという課題があった。
【0009】
また、上記のような問題を回避するために、機械式加速度スイッチを省略すると、電気的な誤作動に対するフェイルセーフ機能が失われるという課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、電気的な誤作動に対するフェイルセーフ機能を具備して、機械式加速度スイッチの開閉に関連なく2段目インフレータを強制点火することが可能なエアバッグの起動装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエアバッグの起動装置は、少なくとも1つの2段点火式エアバッグを展開させるエアバッグの起動装置において、1段目インフレータの点火装置および2段目インフレータの点火装置の点火に必要な電流を供給する給電手段と、給電手段に対し機械式加速度センサを介して接続された共通給電線と、共通給電線とアース間に並列接続する前記1段目インフレータの点火装置および2段目インフレータの点火装置に対しそれぞれ直列に接続した第1のスイッチ手段および第2のスイッチ手段と、車両の加速度を検出して加速度に応じた信号を出力する加速度センサと、複数の展開形態が選定可能であり、その選定された展開形態に応じて1段目インフレータの点火装置および2段目インフレータの点火装置の点火信号を、加速度センサから入力される信号に応じて第1のスイッチ手段および第2のスイッチ手段に同時または第1のスイッチ手段をオン制御させた後、所定の時間経過して前記第2のスイッチ手段に供給する点火判定手段と、共通給電線と給電手段との間に機械式加速度スイッチと並列に接続されて、点火判定手段からの2段目インフレータの点火装置の点火信号に応じて共通給電線と給電手段とを電気的に接続する強制点火手段とを備えたものである。
【0012】
このことによって、点火判定手段から2段目インフレータに係る点火指示を受ければ、機械式加速度スイッチの開閉に関連なく給電手段から電流を供給することができるから、2段目インフレータを点火する必要がある場合に確実に点火することができるという効果を奏する。
【0013】
この発明に係るエアバッグの起動装置は、強制点火手段は、共通給電線と給電手段との間に機械式加速度スイッチに並列に配置された強制点火用スイッチ手段と、前記機械式加速度スイッチの開閉状態を検出して機械式加速度スイッチが閉じて開いた後の一定時間、前記強制点火用スイッチ手段を閉じる信号出力を保持する閉成検出手段と、入力部が点火判定手段および前記閉成検出手段に接続されるとともに出力部が前記強制点火用スイッチ手段の制御端子に接続されて、前記点火判定手段から2段目インフレータの点火を指示する信号が出力されるとともに前記閉成検出手段から前記機械式加速度スイッチが閉じたことを指示する信号が出力されている場合にのみ前記強制点火用スイッチ手段をオンさせる論理手段とを備えるようにしたものである。
【0014】
このことによって、機械式加速度スイッチが閉じたことが示された上で2段目インフレータの点火が指示された場合にのみ強制点火用スイッチ手段がオンして給電手段からの電流が供給されて2段目インフレータが点火されるので、2段目インフレータを強制的に点火させるためには機械式加速度スイッチが閉じたことの確認が条件となるから、点火判定手段が誤動作することによるインフレータの誤った点火を防止することができてエアバッグシステムの安全性を高めることができるという効果を奏する。
【0015】
この発明に係るエアバッグの起動装置は、強制点火手段を介して1または複数の2段目点火装置にのみ電流を流すように共通給電線に接続した一方向にしか電流を流させない一方向通電素子を備えたものである。
【0016】
このことによって、強制点火手段を介して1段目点火装置に電流が流れることはないので、強制点火手段が誤動作してエアバッグが展開したとしても1段目インフレータが点火することはなくエアバッグの展開の程度を最小限に抑えることができるから、エアバッグシステムの安全性を高めることができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
この発明のエアバッグの起動装置によれば、機械式加速度スイッチの開閉に関連なく給電手段から電流を供給することができるから、2段目インフレータを確実に点火することができる。また、2段目インフレータを強制的に点火させるためには機械式加速度スイッチが閉じたことの確認が条件となるから、点火判定手段が誤動作することによるインフレータの誤った点火を防止することができる。さらに、強制点火手段を介して1段目点火装置に電流が流れることはないので、強制点火手段が誤動作してもエアバッグの展開の程度を最小限に抑えることができ、エアバッグシステムの安全性を高めることができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面にしたがって説明する。
実施の形態1.
図2は、この発明の実施の形態1によるエアバッグの起動装置を含むエアバッグシステムの構成を示す図である。図2において、1は車載用バッテリ、2はイグニションスイッチ、3は運転席エアバッグ、4は運転席エアバッグ3を展開させるための1段目インフレータに対する点火装置、5は必要に応じて1段目インフレータと共にまたは1段目インフレータの点火後所定の時間遅延して点火される2段目インフレータに対する点火装置、6は助手席エアバッグ、7は助手席エアバッグ6を展開させるための1段目インフレータに対する点火装置、8は必要に応じて1段目インフレータと共にまたは1段目インフレータの点火後所定の時間遅延して点火される2段目インフレータに対する点火装置、9はエアバッグコントロールユニット、10は車載用バッテリ1から供給される入力電圧を昇圧して出力するDC−DCコンバータ、11はDC−DCコンバータ10の出力電流により充電されるバックアップコンデンサ(給電手段)、12は所定の減速加速度を超えると閉じるように構成された機械式加速度スイッチ、13は加速度センサ、14は加速度センサ13から入力される加速度信号を基にして運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6それぞれの1段目インフレータおよび2段目インフレータの点火に係る判定を実施する点火判定手段、15は機械式加速度スイッチ12に並列に配置され点火判定手段14からの信号を受けて2段目インフレータを強制的に点火させる際にバックアップコンデンサ11とそれぞれ並列に接続された1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に係る共通接続部位とを接続して2段目点火装置5,8に点火電流を供給する2段目強制点火手段(強制点火手段)、16,17は運転席エアバッグ3の1段目インフレータを点火する電流の導通−非導通を制御する駆動トランジスタ(第1のスイッチ手段)、18,19は運転席エアバッグ3の2段目インフレータ用の駆動トランジスタ(第2のスイッチ手段)、20,21は助手席エアバッグ6の1段目インフレータ用の駆動トランジスタ(第1のスイッチ手段)、22,23は助手席エアバッグ6の2段目インフレータ用の駆動トランジスタ(第2のスイッチ手段)である。なお、点火判定手段14は、駆動トランジスタ16,17,18,19,20,21,22,23のゲート(制御端子)に接続されて、加速度センサ13から入力される加速度信号に応じて駆動トランジスタ16,17,18,19,20,21,22,23のオン−オフを制御するように構成されている。
【0019】
なお、共通接続部位は機械式加速度センサ12を介してバックアップコンデンサ(給電手段)11に接続された共通給電線aであって、この共通給電線aとアースとの間に、駆動トランジスタ16と17,18と19,20と21,22と23を直列に接続して、1または複数の1段目点火装置4,7と1または複数の1段目点火装置5,8がそれぞれ並列に接続されている。
【0020】
次に、図2に示されるエアバッグシステムに係る動作について説明する。図3は、図2に示されるエアバッグシステムにおける点火動作に係る各種状態を示すタイミング図である。
【0021】
キーがエンジンを起動する位置まで回動されてイグニションスイッチ2が閉じられると、車載用バッテリ1から出力される直流電力がDC−DCコンバータ10により昇圧され、バックアップコンデンサ11を充電する。
【0022】
衝突が発生した場合には、衝突に係る減速加速度が所定の加速度を超える間において、機械式加速度スイッチ12が閉じる。また、点火判定手段14は、加速度センサ13から入力される加速度信号に基づき、運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6の展開形態について、以下に示す4つの展開形態のなかから適切な展開形態を選定する。
展開形態A: エアバッグを展開しない。
展開形態B: 1段目のインフレータのみを点火して、エアバッグを適度に展開させる。
展開形態C: 1段目のインフレータを点火した後、所定の時間遅延させて2段目のインフレータをも点火して、エアバッグをある程度強く展開させる。
展開形態D: 1段目のインフレータおよび2段目のインフレータを同時に点火してエアバッグを強く展開させる。
【0023】
点火判定手段14は、展開形態Dを選定した場合には、運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6それぞれの1段目インフレータおよび2段目インフレータを点火させるために駆動トランジスタ16,17,18,19,20,21,22,23を同時にオンする。これにより、点火に必要な電流が1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に流れ1段目インフレータおよび2段目インフレータが点火されて、運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6が強く展開する。
【0024】
また、点火判定手段14は、展開形態Bまたは展開形態Cを選定した場合には、運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6の1段目インフレータを点火させるために駆動トランジスタ16,17,20,21をオンする。これにより、点火に必要な電流が1段目点火装置4,7に流れ1段目インフレータが点火されて、運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6が適度に展開する。この際、図3に示されるように、1段目インフレータ点火用の駆動トランジスタをオンする際には機械式加速度スイッチ12は閉じているので、1段目インフレータを確実に点火することができる。
【0025】
次に、点火判定手段14は、展開形態Bを選定した場合には、2段目インフレータを未点火のまま放置するのは安全上好ましくないので、衝突事象が終了した時点で2段目インフレータを強制的に点火する。この場合、1段目インフレータの点火から2段目インフレータの点火までの遅延時間は例えばT=100ミリ秒であり、図3に示されるように2段目インフレータの点火時点においては機械式加速度スイッチ12が開いていることも想定されるので、点火判定手段14は、2段目インフレータを点火させるために駆動トランジスタ18,19,22,23をオンするとともに2段目強制点火手段15を駆動してバックアップコンデンサ11とそれぞれ並列に接続された1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に係る共通接続部位とを接続することにより、2段目点火装置5,8に電流を供給して2段目インフレータを点火する。
【0026】
また、点火判定手段14は、展開形態Cを選定した場合には、所定の遅延時間経過後に2段目インフレータを強制的に点火する。この場合、1段目インフレータの点火から2段目インフレータの点火までの遅延時間は例えばT’=数10ミリ秒程度の長時間になることもあり、同様に2段目インフレータ点火時点においては機械式加速度スイッチ12が開いていることも想定されるので、点火判定手段14は、駆動トランジスタ18,19,22,23をオンするとともに2段目強制点火手段15を駆動する。これにより、点火に必要な電流が2段目点火装置5,8に流れて2段目インフレータが点火され、運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6がある程度強く展開するようになる。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、機械式加速度スイッチ12に並列に配置されて、点火判定手段14からの信号に応じてそれぞれ並列に接続される1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に係る共通接続部位とバックアップコンデンサ11とを電気的に接続または遮断する2段目強制点火手段15を備えるように構成したので、点火判定手段14から2段目インフレータに係る点火指示を受ければ、機械式加速度スイッチ12の開閉に関連なくバックアップコンデンサ11から電流を供給することができ、2段目インフレータを点火する必要がある場合に確実に点火することができるという効果を奏する。
【0028】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2によるエアバッグの起動装置を含むエアバッグシステムの構成を示す図である。図4において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。31はそれぞれ並列に接続される1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に係る共通接続部位とバックアップコンデンサ11との間で機械式加速度スイッチ12に並列に配置された駆動トランジスタ(強制点火用スイッチ手段)、32は機械式加速度スイッチ12の開閉状態を検出して一旦機械式加速度スイッチ12が閉じて開いた後の一定時間閉じたことを示す信号出力を保持する閉成検出手段、33は2つの入力端子がそれぞれ点火判定手段14および閉成検出手段32に接続されるとともに出力端子が駆動トランジスタ31のゲート(制御端子)に接続された2入力ANDゲート(論理手段)である。上記の構成により、点火判定手段14から2段目インフレータの点火を指示するHレベル信号が出力されるとともに、閉成検出手段32から機械式加速度スイッチ12が閉じたことを示すHレベル信号が出力される場合に限って、駆動トランジスタ31がオンして導通状態となる。なお、駆動トランジスタ31、閉成検出手段32およびANDゲート33から実施の形態1で示された2段目強制点火手段15が構成される。
【0029】
次に図4に示されるエアバッグシステムに係る動作について説明する。なお、バックアップコンデンサ11の充電、エアバッグの展開形態の選定および1段目インフレータの点火に係る動作については、実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0030】
衝突が発生した場合に、衝突に係る減速加速度が所定の加速度を超えると、機械式加速度スイッチ12が閉じる。この際、閉成検出手段32は、機械式加速度スイッチ12が閉じていることを検出してANDゲート33への出力信号をLレベルからHレベルに転換して当該信号レベルを保持する。
【0031】
点火判定手段14は、実施の形態1に記載された展開形態Bおよび展開形態Cを選定した場合には、1段目インフレータの点火から所定の遅延時間経過した後に2段目インフレータを点火する。この時点では、実施の形態1でも述べたように機械式加速度スイッチ12が開いていることも想定されるので、点火判定手段14は、運転席エアバッグ3および助手席エアバッグ6の2段目インフレータを点火させるために駆動トランジスタ18,19,22,23をオンするとともにANDゲート33への出力信号をLレベルからHレベルに転換する。
【0032】
ANDゲート33は、2つの入力端子のいずれにもHレベルの信号が入力されることで、Hレベルの信号を出力して駆動トランジスタ31をオンして導通状態にする。これにより、それぞれ並列に接続される1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に係る共通接続部位とバックアップコンデンサ11とが電気的に接続されるから、バックアップコンデンサ11から2段目点火装置5,8に電流が供給されて2段目インフレータが点火される。
【0033】
以上のように、この実施の形態2によれば、機械式加速度スイッチ12に並列に接続された駆動トランジスタ31と、機械式加速度スイッチ12の開閉状態を検出して機械式加速度スイッチ12が閉じて開いた後の一定時間閉じたことを示す信号出力を保持する閉成検出手段32と、2つの入力端子がそれぞれ点火判定手段14および閉成検出手段32に接続され出力端子が駆動トランジスタ31のゲートに接続されたANDゲート33とを備えるように構成したので、点火判定手段14から2段目インフレータの点火を指示するHレベル信号が出力されるとともに、閉成検出手段32から機械式加速度スイッチ12が閉じたことを示すHレベル信号が出力される場合に限って、駆動トランジスタ31がオンしてバックアップコンデンサ11からの電流を供給して2段目インフレータを点火させるので、2段目インフレータの強制点火に係る点火条件として機械式加速度スイッチ12が閉じたことの確認が付加されることになり、点火判定手段14が誤作動することによるインフレータの誤った点火を防止することができてエアバッグシステムの安全性を高めることができるという効果を奏する。
【0034】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3によるエアバッグの起動装置を含むエアバッグシステムの構成を示す図である。図5において、図4と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。41は、それぞれに並列に接続される1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に係る共通接続部位に配置されて一方向にしか電流を流させないダイオード(一方向通電素子)である。また、共通接続部位は、ダイオード41により第1の接続部位と第2の接続部位とに区画され、第1の接続部位から第2の接続部位へのみ電流を流すことが可能であり、第1の接続部位には運転席エアバッグ3に係る1段目点火装置4、助手席エアバッグ6に係る1段目点火装置7および機械式加速度スイッチ12が接続され、第2の接続部位には運転席エアバッグ3に係る2段目点火装置5、助手席エアバッグ6に係る2段目点火装置8および2段目強制点火手段15が接続される。
【0035】
次に、図5に示されるエアバッグシステムに係る動作について説明する。なお、1段目および2段目のインフレータの点火等に係る動作については、実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0036】
上記の構成を有することで、2段目強制点火手段15を介して流れる電流は、1段目点火装置4,7には流れない。したがって、2段目強制点火手段15が誤作動したとしても、1段目インフレータに点火電流が流れることはなく、例え2段目のインフレータが点火されたとしてもエアバッグは弱く展開するのみである。
【0037】
以上のように、この実施の形態3によれば、それぞれに並列に接続される1段目点火装置4,7および2段目点火装置5,8に係る共通接続部位に配置されて一方向にしか電流を流させないダイオード41を備えて、2段目強制点火手段15を介して流れる電流が1段目点火装置4,7には流れないように構成したので、2段目強制点火手段15が誤作動してエアバッグが展開したとしてもその展開の程度を最小限に抑えることができるから、エアバッグシステムの安全性を高めることができるという効果を奏する。
【0038】
なお、上記の実施の形態1から実施の形態3において、点火判定手段14、閉成検出手段32および論理手段としてのANDゲート33等については、それらの機能をソフトウエア的に実現することが可能であり、当該手段に係る動作を記述したプログラムを備えたマイクロコンピュータにより上記の各手段を代替させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来のエアバッグシステムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるエアバッグの起動装置を含むエアバッグシステムの構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるエアバッグシステムにおける点火動作に係る各種状態を示すタイミング図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるエアバッグの起動装置を含むエアバッグシステムの構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態3によるエアバッグの起動装置を含むエアバッグシステムの構成を示す図である。
【0040】
【符号の説明】
4,5 1段目点火装置、7,8 2段目点火装置、11 バックアップコンデンサ(給電手段)、12 機械式加速度センサ、13 加速度センサ、14 点火判定装置、15 2段目強制点火手段(強制点火手段)、16と17 , 20と21 駆動トランジスタ(第1のスイッチ手段)、18と19 , 22と23 駆動トランジスタ(第2のスイッチ手段)、31 駆動トランジスタ、32 閉成検出手段、33 ANDゲート、41 ダイオード(一方向通電素子)。

Claims (3)

  1. 1段目インフレータの点火装置、および該1段目インフレータの点火装置と同時または該1段目インフレータの点火装置の点火後所定の時間経過して点火される2段目インフレータの点火装置を有する少なくとも1つの2段点火式エアバッグを展開させるエアバッグの起動装置において、
    前記1段目インフレータの点火装置および前記2段目インフレータの点火装置の点火に必要な電流を供給する給電手段と、
    前記給電手段に対し機械式加速度センサを介して接続された共通給電線と、
    前記共通給電線とアース間に並列接続する前記1段目インフレータの点火装置および前記2段目インフレータの点火装置に対しそれぞれ直列に接続した第1のスイッチ手段および第2のスイッチ手段と、
    車両の加速度を検出して加速度に応じた信号を出力する加速度センサと、
    複数の展開形態が選定可能であり、その選定された展開形態に応じて前記1段目インフレータの点火装置および前記2段目インフレータの点火装置の点火信号を、前記加速度センサから入力される信号に応じて前記第1のスイッチ手段および前記第2のスイッチ手段に同時または前記第1のスイッチ手段をオン制御させた後、所定の時間経過して前記第2のスイッチ手段に供給する点火判定手段と、
    前記共通給電線と前記給電手段との間に前記機械式加速度スイッチと並列に接続されて、前記点火判定手段からの前記2段目インフレータの点火装置の点火信号に応じて前記共通給電線と前記給電手段とを電気的に接続する強制点火手段とを備えることを特徴とするエアバッグの起動装置。
  2. 強制点火手段は、共通給電線と給電手段との間に機械式加速度スイッチに並列に配置された強制点火用スイッチ手段と、
    前記機械式加速度スイッチの開閉状態を検出して該機械式加速度スイッチが閉じて開いた後の一定時間、前記強制点火用スイッチ手段を閉じる信号出力を保持する閉成検出手段と、
    入力部が点火判定手段および前記閉成検出手段に接続されるとともに出力部が前記強制点火用スイッチ手段の制御端子に接続されて、前記点火判定手段から2段目インフレータの点火装置の点火を指示する信号が出力されるとともに前記閉成検出手段から前記機械式加速度スイッチが閉じたことを指示する信号が出力されている場合にのみ前記強制点火用スイッチ手段をオンさせる論理手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のエアバッグの起動装置。
  3. 強制点火手段を介して1または複数の2段目点火装置にのみ電流を流すように共通給電線に接続した一方向にしか電流を流させない一方向通電素子を備えたことを特徴とする請求項1記載のエアバッグの起動装置。
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