JP4240927B2 - 移動体通信装置 - Google Patents

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  • Telephone Function (AREA)
  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信装置に関するもので、特にテレマティクスに用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信装置の中には、移動体の主電源がオフの時でも無線待ち受け状態となることが求められるものがある。例えばテレマティクスと呼ばれるものがある。これは、GPS、無線移動体電話、インターネット等を統合的に利用して様々なサービスを提供するものである。このテレマティクスの応用としては様々なものが考えられる。例えば、自動車や船舶の盗難に遭ったとき、盗まれた車や船に対して、自らの現在位置情報をGPSによって取得し、その情報をサーバ局に送信するようにリモートから命令すると、車や船が自動的に自分の位置を返して、その所在が特定できる。
【0003】
また広い駐車場等、上の例と比べて狭い領域内において、自分の車を見つけるのが困難なとき、携帯電話等でサーバ局に連絡して所定の手続きを取ると、サーバ局が車に対してホーンを鳴らすよう命令し、それを受信した車がホーンを鳴らすことによって車の発見が容易になる。
【0004】
また、エアバッグが展開したとき、それを感知した車載通信機が、自動的にサーバ局に対して自分の位置とエアバッグ展開情報を送信し、それを受けたサーバ局が運転者と連絡を取ることにより状況を把握し、事故等の緊急の場合は警察や保険会社等に事故情報を通報するする。これにより、事故等のトラブルに対する迅速な処理が可能となる。
【0005】
その他にも、遠隔ドアロック/アンロック、カーステレオ−ハンズフリーホン連動、e−mailサービス等、多様なサービスが提案されている。
【0006】
これらを実現させるには、移動体の主電源がオフとなっていても、移動体通信装置はリモートからの命令受信、現在位置取得、情報送信の動作を行えるように無線待ち受け状態となっていなければならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般にテレマティクス通信装置のような移動体通信装置は、無線待ち受け処理または着信処理を行うCPUを有している。この場合、主電源オフ時には、消費電力を少なくするため、CPUを間欠的に無線待ち受け状態とすることが考えられる。このようなCPUは、主電源オン時などのタイミングでリセットされる。このようなリセット時にCPUが無線待ち受け処理または着信処理を行っていると、その処理が中断してしまうという問題が発生する。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、CPUが無線待ち受け処理または着信処理を行っているときには、その処理が中断されないようにすることを第1の目的とする。
【0009】
また、例えば車両等の移動体においては、主電源オンと同時にエンジンスタートした時などにバッテリ電圧が急激に変動し、必ずしもリセットがうまく実行できない可能性がある。また、主電源のオンオフが急速に繰り返されると、リセットがうまく実行されない可能性もある。主電源オフ後に主電源オンがあった場合の通信装置の電源電圧変化とリセット信号の関係について、横軸を時間、縦軸を電圧値として示したのが図6である。主電源オフとオンとの間の時間間隔Tが短かすぎると、主電源オン直前の電圧が十分に低くならず、そのため主電源オンであると認識されず、結果として図6のようなリセット信号を発生させるに至らないことがある。
【0010】
本発明は、主電源オン時に確実にCPUをリセットすることができるようにすることを第2の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の移動体通信装置では、移動体の主電源オフ時においても間欠的に無線待ち受け状態となる移動体通信装置において、無線待ち受け処理を行う第1のCPU(101)と、移動体の主電源オフの間、第1のCPUに対して間欠的に電力を供給する無線部電源回路(203)と、無線部電源回路による電力供給があると第1のCPUをリセットするパワーオンリセット回路(105)と、移動体の主電源オン時において第1のCPUをリセットする第2のCPU(201)とを有し、2のCPUは、移動体の主電源オン時において、第1のCPUから第1のCPUが無線待ち受け処理を行っていることを示す無線待ち受け処理中信号が出力されていることを判定して、無線部電源回路による電力供給を継続させることで、第1のCPUをリセットしないようにしたことを特徴としている。
【0012】
これにより、第1のCPUが無線待ち受け処理中にその処理を中断されることがなくなる。
【0014】
また、請求項に記載の発明では、請求項に記載の移動体通信装置において、第1のCPUはさらに着信処理を行い、第2のCPUは、リセットを行うタイミングにおいて、さらに第1のCPUが着信処理を行っているときには、第2のCPUによるリセットが行われないようにしたことを特徴とする。
【0015】
これにより、第1のCPUがさらに着信処理中にその処理を中断されることがなくなる。
【0016】
また、第1のCPUがリセットを行わないための動作手順の例として、請求項に記載の発明では、請求項に記載の移動体通信装置において、第2のCPUはさらに、第1のCPUからこの第1のCPUが着信処理を行っていることを示す着信処理中信号が出力されていることを判定してリセットを行わないようになっていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の移動体通信装置において、第1のCPUはさらに無線通信処理を行い、第2のCPUは、リセットを行うタイミングにおいて、さらに第1のCPUが無線通信処理を行っているときには、第2のCPUによるリセットが行われないようにしたことを特徴としている。
【0018】
これにより、第1のCPUがさらに無線通信処理中にその処理を中断されることがなくなる。
【0019】
また、第1のCPUがリセットを行わないための動作手順の例として、請求項に記載の発明は、請求項に記載の移動体通信装置において、第2のCPUはさらに、第1のCPUからこの第1のCPUが無線通信処理を行っていることを示す無線通信処理中信号が出力されていることを判定してリセットを行わないようになっていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項6に記載の移動体通信装置では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の移動体通信装置において、前記移動体の主電源オフの間、前記無線部電源回路(203)に対する電源要求信号を間欠的にオンとすることで、前記無線部電源回路(203)から前記第1のCPUへの電力供給を間欠的に行わせるリアルタイムクロック(105)を備え、前記第2のCPUは、前記移動体の主電源オン時において、前記第1のCPUから前記第1のCPUが前記無線待ち受け処理を行っていることを示す無線待ち受け処理中信号が出力されていることを判定して、前記リアルタイムクロック(105)からの電源要求信号をオンとしたまま、当該第2のCPUから前記無線部電源回路(203)に対する電源要求信号をオンとし、その後、前記リアルタイムクロック(105)からの電源要求信号をオフとすることで、前記無線部電源回路(203)の電力供給を継続させ、それによって、前記第1のCPUをリセットしないようにしたことを特徴としている。
【0021】
このように、CPU同士の通信によりリセット信号を授受することで、上記したような主電源オン時にリセットがうまく実行されない状況を回避することが可能となり、第1のCPUを確実にリセットできる。
【0022】
また、請求項に記載の発明では、請求項ないしのいずれか1つに記載の移動体通信装置において、第2のCPUは、スリープモードとアクティブモードの2種類の動作モードで動作し、主電源がオンしてスリープモードからアクティブモードに遷移したときに、無線待ち受け処理中信号が出力されているか否かを判定することを特徴とし、請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の移動体通信装置において、第2のCPUは、外部インターフェースからの信号によってスリープモードからアクティブモードに遷移したときにも、無線待ち受け処理中信号が出力されているか否かを判定することを特徴としている。
【0023】
ここで、外部インターフェースは、例えば車内LANや操作ボタンと制御や通信のための信号のやりとりを行う。
【0024】
また、請求項に記載の発明では、請求項ないしのいずれか1つに記載の移動体通信装置において、第2のCPUは、第1のCPUの電力供給を制御し、第1のCPUをリセットする場合に、第1のCPUに出力するリセット信号をアサートし、続いて第1のCPUに電力供給を開始し、この後リセット信号をネゲートすることを特徴とする。
【0025】
すなわち、第2のCPUが第1のCPUの電力供給を制御し、かつ第1のCPUをリセットする場合に、電力供給開始時に確実にリセット信号がアサートされており、これにより、第1のCPUを確実にリセットできる。
【0026】
また、請求項10に記載の発明では、移動体の主電源オフ時においても間欠的に無線待ち受け状態となる移動体通信装置において、無線待ち受け処理および着信処理を行う第1のCPU(101)と、移動体の主電源オフの間、第1のCPUに対して間欠的に電力を供給する無線部電源回路(203)と、無線部電源回路による電力供給があると第1のCPUをリセットするパワーオンリセット回路(105)と、移動体の主電源オン時において第1のCPUをリセットする第2のCPU(201)とを有し、2のCPUは、移動体の主電源オン時において、第1のCPUから前記第1のCPUが着信処理を行っていることを示す着信処理中信号が出力されていることを判定して、無線部電源回路による電力供給を継続させることで、第1のCPUをリセットしないようにしたことを特徴とする。
【0027】
これにより、第1のCPUが着信処理中にその処理を中断されることがなくなる。
【0028】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は本実施形態のテレマティクス通信装置の内部構成を示すブロック図である。このテレマティクス通信装置は無線信号を送受信する無線部1と、制御部2とを備えている。
【0030】
無線部1は、後述する無線待ち受け処理、着信処理、および無線通信処理をする第1のCPUである無線部CPU101と、電話通信モジュール102と、GPSレシーバ103と、RTC(リアルタイムクロック)104と、パワーオンリセット回路105と、ORゲート106と、GPSレシーバスイッチ107と、電話通信モジュールスイッチ108とを有している。
【0031】
無線部CPU101は、アンテナ110から無線信号を送出させるための送信信号を電話通信モジュール102に送り、アンテナ110から電話通信モジュール102を介して受信信号を受ける。また、無線部CPU101は、アンテナ109に接続されたGPSレシーバ103から位置情報を取得する。さらに、無線部CPU101は、GPSレシーバ103に電源供給を行うためのGPSレシーバスイッチ107、および電話通信モジュール102に電源供給を行うための電話通信モジュールスイッチ108をオンオフ制御する。
【0032】
RTC104は、時間計測をするカウンタ(図示せず)を有し、そのカウンタが所定時間をカウントするとエクスパイアし、後述するように電源要求信号をオンにする(アラームの発生)。また、このRTC104は、無線部CPU101によってカウンタがリセットされ(アラームセット)、電源要求信号をオフにする。ここで、電源要求信号のオンとは、電圧値がハイレベル、電源要求信号のオフとは、電圧値がローレベルの信号のことをいう。
【0033】
パワーオンリセット回路105は、電力が供給されると、制御部CPU101をパワーオンリセットするためのリセット信号を出力する。
【0034】
制御部2は、第2のCPUであり、かつリセット手段である制御部CPU201と、電源回路202と、無線部電源回路203と、ORゲート204とを有している。また制御部2は、制御部CPU201から制御されることにより、外部の音声出力装置(図示せず)に音声を出力させるエコーキャンセラ(図示せず)を有している。
制御部CPU201は電源回路202より電力が供給され、また、ORゲート204を介して無線部電源回路203を制御する。電源回路202は外部のバッテリ電源より電力供給を受ける。
【0035】
また制御部CPU201は、操作ボタン等のユーザー入力装置や車内LANとのインターフェースを有しており、また、車の主電源を制御するイグニッションスイッチ(以下IGと記す)のオン、オフを感知する入力線も有している。
【0036】
車のドア、ホーン、ランプ、エアバッグ、エアコン、ステレオ等車内の各部は車内LANを介し、制御部CPU201と情報のやりとりを行っている。例えば、制御部CPU201は車内LANを介してエアバッグの展開の有無等の各部の状態を感知し、あるいは車のドアの開閉等の各部の挙動を制御することができる。
【0037】
無線部1と制御部2とはコネクタ3を介して接続され、電源回路202からの電源供給線301と、無線部電源回路203からの電源供給線302と、電源要求信号線303と、リセット制御線304と、シリアル通信線305とは、このコネクタ3を通って無線部1と制御部2との間の信号を搬送している。
【0038】
電源供給線301は、無線部1側でRTC104に繋がり、これによってRTC104は常時電力が供給されている。また電源供給線302を介して、無線部1側の無線部CPU101と、パワーオンリセット回路105とに電力が供給される。
【0039】
IGがオフの時、制御部CPU201は外部からのウェイクアップ信号が入らない限りスリープモードになっており、無線部CPU101は以下で説明するような状態にある。常時電力供給を受けているRTC104では、IGオフ時には15分でカウンタがエクスパイアし、カウンタがエクスパイアするとRTC104は電源要求信号をオンとし、電源要求線303を介して無線部電源回路203に対して送出する。
【0040】
無線部電源回路203は電源要求信号がオンであることを感知すると、その内部に設けられたスイッチがオン状態となり、電源供給線302を介して無線部1に対して電力を供給する。これによってパワーオンリセット回路105が起動し、ORゲート106を介して無線部CPU101にリセット信号を送出する。
【0041】
無線部CPU101は、無線部電源回路203から電源供給線302を介した電力供給を受けて起動し、パワーオンリセット回路105からORゲート106を介してリセット信号を受けてリセット動作を行う。リセットした無線部CPU101は直ちに電話通信モジュールスイッチ108を制御して、電話通信モジュール102に電力が供給されるようにする。
【0042】
起動後の無線部CPU101の処理の手順をフローチャートで表したものが図2である。この図2に沿って無線部CPU101の作動について説明する。
【0043】
まず、無線部CPU101は起動後リセット動作を行う。その後、直ちに無線部CPU101は無線待ち受け処理を始める。まずステップS501で、電話通信モジュール102を通じて近傍の無線基地局に対して無線信号を送出するという、いわゆる位置登録動作を行う。位置登録の後、ステップS502で着信したか否かの判定を行う。この際、複数回の着信(着呼)があったときに限り着信したと判定するようにしてもよい。例えば1分以内に着信−着信途絶−着信という順序で2度の着信があったことを無線部CPU101が検知したときに限り着信したと判定してもよい。そのようにすることで、テレマティクスのサーバ局からの着信であるか、あるいはそれ以外からの着信であるかの判断が容易にできる。
【0044】
また別の例として、着信の発番号通知や、メール等のショートメッセージにおける規定のメッセージの受信によって、着信したと判定し、またその発番号やメッセージの内容から、テレマティクスのサーバ局からの着信であるか、あるいは基地局からの着信であるかを判別することもできる。またこの例においては、着信があっても、その着信が電話網特有のデータ通信、例えば制御情報の交換等であって、その処理に制御部2が必要でないということが、発番号やショートメッセージの内容から判別できれば、無線部CPU101は制御部CPU201に着信信号を送出しない(図2には図示せず)。従って、このときは無線部CPU101は無線通信処理中であっても制御部CPU201はスリープモードのままである。
【0045】
着信が無いと判定された場合、処理はステップS503に移り、タイムアウトの判定を行う。ここで、タイムアウトとは、ステップS501で位置登録が終ってから所定の時間以上が経過していることを指す。タイムアウト判定のための所定の時間は例えば30秒程度とする。ここでタイムアウトと判定されなければ処理はステップS502に戻り、着信、あるいはタイムアウトと判定されるまでステップS502、ステップS503の処理を繰り返す。また、タイムアウトと判定されれば処理はステップS504に移る。
【0046】
ステップS504では、RTC104のアラームをセットし、次にステップS505でRTC104からの電源要求信号をオフとし、無線待ち受け処理が終了する。これによって、無線部電源回路203からの電力供給が途絶え、無線部CPU101および電話通信モジュール102の作動が停止する。この一連の処理は、RTC104アラームが発生することにより再開し、以後もIGがオフであればこのサイクルを周期的、あるいは間欠的に繰り返す。なお、上記した無線待ち受け処理、着信処理、および制御部CPU201がスリープモードのままの単独での通信処理をしている間、無線部CPU101はシリアル通信線305のCTS(Clear To Send)信号をハイレベルとし、また、シリアル通信線305のデータ線からそれぞれの通信を行っていることを示すデータを出力する。このCTS信号とそれぞれのデータ信号の組が、それぞれ無線待ち受け処理中信号、着信中信号、無線通信処理中信号無線である。
【0047】
ステップS502で着信ありと判定された場合、処理はステップS510に移り、無線部CPU101はシリアル通信線305を通じて制御部CPU201に着信信号を送出する。なお、この着信信号と着信処理中信号は別種の信号である。制御部CPU201は着信信号を感知すると、スリープモードからアクティブモードへと遷移し、自らが無線部電源回路203を制御するべく、無線部CPU101に対して、電源要求信号をオフにする指示を、シリアル通信線305経由で送出する。ステップS511でその指示を受信した制御部CPU201は、RTC104を制御して電源要求信号をオフにする。その後、サービス処理と呼ぶステップS512のサービス処理を実行する。
【0048】
サービス処理とは、先に説明したテレマティクスの様々な応用を実現するために、無線部1と制御部2とが共同で行う処理である。着信によってサービスが開始されるものとしては、例えば車の盗難に対する対応がある。車が盗まれたことに気づいた車の所有者が、サービス提供機関にその旨通報し、それを受けたサービス提供機関はサーバ局からその車に対して信号を送出する。例えばその信号が車の現在位置情報を要求する信号であるとすると、その信号を受け取った車のテレマティクス通信装置の無線部1は、上記したステップS510、ステップS511の手順を経てサービス処理に入る。ここで、無線部CPU101はGPSレシーバスイッチ107をオンとし、GPSレシーバ103を使用して位置情報を取得する。そして取得した位置情報を電話モジュール102を使用してサーバ局に返す。こうして盗まれた車の現在位置が判明することになる。
【0049】
また、広い駐車場等、上の例と比べて狭い領域内において、自分の車を見つけるのが困難なとき、携帯電話等でサーバ局に連絡して所定の手続きを取ると、サーバ局が車に対して、例えばホーンを鳴らす、あるいはヘッドライトを点滅させる命令信号を送出する。信号を受け取った車のテレマティクス通信装置の無線部1は、命令を制御部2に伝え、制御部2は車内LANを介してホーン、あるいはヘッドライトを制御する。こうして周囲の者に対して車の所在が明らかになる。
【0050】
また、ドアキーを車内に忘れてロックしてしまった場合等、通常の方法ではドアのロック/アンロックが不可能になってしまったとき、携帯電話等でサーバ局へ連絡すると、サーバー局は車に対してドアをロック/アンロックさせる命令信号を送出する。信号を受け取った車のテレマティクス通信装置は、車内LANを介してドアのロック/アンロックを制御する。
【0051】
なお、上記のようにサービス処理においてGPSによる位置情報取得が必要となれば、無線部CPU101は適宜GPSレシーバスイッチ107をオンとし、GPSレシーバ103を使用して位置情報を取得する。
【0052】
サービス処理が終了すると、無線部CPU101はステップS513でRTC104のカウンタをリセットする。その後制御部CPU201が電源制御信号をオフにすることで、電話通信モジュール102と共に無線部CPU101が停止する。以上がIGオフ時における無線部CPU101の主な処理である。
【0053】
なお、無線部CPU101が着信を検知しているとき、およびステップS502で着信してからステップS512でサービス処理に入るまでは、無線部CPU101は待ち受け処理ではなく着信処理を行っているとする。また、着信を検知しているとき、無線部CPU201は着信処理中信号をシリアル通信線305を介して制御部CPU201に送出し、同時に図示しない音声信号線を介して制御部CPU201に着信音を出力する。
【0054】
また、IGオン時を含めた制御部CPU201のアクティブモード時においては、無線部CPU101は、サービス処理のために必要な通信を行う場合以外は、無線待ち受け処理を行う。
【0055】
以下、制御部CPU201がアクティブモードになった時の処理について説明する。制御部CPU201がアクティブモードに入る契機は複数存在する。ひとつは上記した様に無線部CPU101より着信信号を受けることである。その他は車のIGオン、あるいは車内LAN、ユーザーインターフェース等、外部からの入力信号を受けることである。車内LANからの入力としては、例えばロックされている車を盗もうとする者によって、車体に無理な力が加わったり、窓ガラスが割れたりした場合に車内LANがそれを自動的に感知し、テレマティクス通信装置に報知するというケースが考えられる。その際、テレマティクス通信装置はその報知に対応して、サーバ局に向けて警報メッセージを送信する。メッセージを受け取ったサーバ局は車の持ち主、あるいは警察に対してその旨を知らせる等の処置を行う。
【0056】
アクティブモードに入った後の制御部CPU201の処理は、着信信号によりアクティブモードに入った場合と、そうでない場合との2種類に分けられる。アクティブモードに入った制御部CPU201の処理の流れをフローチャートにしたものが図3である。
【0057】
制御部CPU201がアクティブモードに遷移すると、無線部CPU101をリセットするタイミングとなる。ここで、図3のステップS520で着信信号による遷移であるか否かを判定する。着信信号による遷移であると判定した場合、処理はステップS530に移り、制御部CPU201からの電源制御信号をオンにし、ORゲート204を介して無線部電源回路203に送出する。ここで、電源制御信号オンとは電圧値がハイレベル、電源制御信号オフとは電圧値がローレベルの信号のことをいう。
【0058】
その後ステップS531で、無線部CPU101に対して、シリアル通信線305経由で、RTC104からの電源要求信号をオフにする指示を送出する。ステップS530とステップS531の処理において、電源要求信号と電源制御信号のオン、オフのタイミングについて示したものが図4である。図4中右方向が時間の流れの向きである。これらの処理によって無線部電源回路203の制御はRTC104から制御部CPU201に移ることになるが、図4からもわかるように、ステップS530からステップS531の間、制御部CPU201あるいはRTC104の少なくともいずれかから電源制御信号または電源要求信号が送出されているので、ORゲート204の作用により、無線部電源回路203はオンのままであり、したがってパワーオンリセット回路105はリセット信号を送出せず、無線部CPU101がリセットされることはない。
【0059】
ステップS520で着信による遷移ではないと判定した場合、すなわち、車のIGオン、あるいは車内LAN、ユーザーインターフェース等の外部からの入力信号による遷移であると判定した場合、処理はステップS521に移り、無線部CPU101が無線待ち受け処理中、着信処理中、および無線通信処理中のうちのいずれかの状態にあるかを、無線部CPU101からのCTS信号により判定する。この判定が肯定ならば、処理はステップS530に移り、上記した通りステップS530とステップS
531とで、無線部CPU101をリセットすることなく、無線部の電源制御をRTC104から制御部CPU101に移す。ここで無線待ち受け処理中であると判定されるケースとしては、例えばIGオンで制御部CPU201がアクティブモードになり、その際に無線部CPU101がステップS501〜ステップS503のうちいずれかの処理を行っている場合がある。
【0060】
また、着信処理中に制御部CPU201がアクティブになると、無線部CPU101から着信があることを示す信号を受信すると、図示しない音声信号線を介して無線部CPU101から着信音を受信し、エコーキャンセラを制御することで、この着信音を外部の音声出力装置に着信音を出力させる。これによって、テレマティクス装置のユーザは着信の報知を受けることができるようになり、外部からの通話を手動受信することができる。
【0061】
ステップS521で判定が否定ならば、処理はステップS522に移り、制御部CPU201は無線部リセット信号をローレベルとし(リセット信号アサート)、リセット制御線304からORゲート106を経由して無線部CPU101に送出する。次に、ステップS523で制御部CPU201からの電源制御信号をオンにし、ORゲート204を介して無線部電源回路203に送出する。これによって無線部電源回路203がオンとなり、無線部CPU101が起動する。無線部CPU101が起動した時点でリセット制御線304経由のリセット信号はローレベルのままなので、これにより無線部CPU101はリセット動作を行い、電話通信モジュールスイッチを制御して、電話通信モジュール102に電力が供給されるようにする。その後、処理はステップS524に移り、所定の時間後に制御部CPU201は無線部リセット制御信号をハイレベルにする(リセット信号ネゲート)。ステップS522からステップS524までの処理において、リセット信号と電源制御信号のタイミングについて示したものが図5である。表示の形式は図4と同じである
ステップS524あるいはステップS531の処理が終了すると、処理はステップS525に移り、サービス処理を行う。
【0062】
サービス処理の概要は上記した通りであるが、IGオン時のサービス処理の例としては、エアバッグ展開自動通報、カーステレオ/ハンズフリーホン連動、e−mailサービス等がある。
【0063】
エアバッグ展開自動通報は、車内でエアバッグが展開すると、その情報がLAN経由でテレマティクス通信装置に報知される。通知を受けたテレマティクス通信装置は、GPSレシーバ103を使って自分の現在位置情報を取得し、エアバッグ展開情報と共に電話モジュール102を使ってサーバ局に送信する。受信したサーバ局は電話により車内の運転者に連絡を取る。もし運転者が応答しない、あるいは運転者が事故等の緊急事態であることを告げると、サーバ局は警察、保険会社への連絡、あるいは救急車の手配などを行う。
【0064】
カーステレオ/ハンズフリーホン連動では、運転者が電話機を手に持たずに電話通信を行う際、受話音をカーステレオのスピーカーから聞くことができる。これは、テレマティクス通信装置の電話モジュール102を使用して通話をする際、制御部2が車内LANを通じてカーステレオを制御し、カーステレオのスピーカーから受話音を出力させることにより可能となる。
【0065】
また、e−mailサービスは、テレマティクス通信装置の操作ボタン、あるいは車内LANに接続されたコンピューターから操作することにより、電話モジュール102を使ってインターネットプロバイダに接続し、e−mailの受信、あるいは送信を行う。この際、テレマティクス通信装置が独自の表示部を持ち、そこに受信メールの内容を表示してもよいし、あるいは、e−mailの文字情報を音声情報に変換し、車内LANでカーステレオのスピーカーに読み上げさせてもよい。また、送信時メッセージは操作ボタンから入力してもよいし、あるいは、コンピュータに保存しておいたものを車内LAN経由で送信してもよい。
【0066】
サービス処理の終了後、処理はステップS526に移り、IGがオンであるかオフであるかの判定を行う。IGがオンである場合、処理はステップS525に戻る。IGがオフになると、処理はステップS527に移り、制御部CPU201はORゲート204を介して無線部電源回路203に送出していた電源制御信号をオフにし、無線部CPU101等への電力供給を遮断する。そして処理はステップS528に移り、自らをスリープモードにして、処理を終了する。
【0067】
上記した作動において、IGオフ時には、特に要求がある場合を除き、無線部CPU101は15分間隔で起動し、制御部CPU201はスリープモードとなるので、消費電力を抑えることが可能となる。
【0068】
また、IGオン時に制御部CPU201からリセット信号が送出されることにより、パワーオンリセット回路105が適正に作動しない場合でも確実に無線部CPU101がリセットされる。
【0069】
ただし、無線部CPU101が無線待ち受け処理中、着信処理中、および無線通信処理中にIGをオンにする場合は、制御部CPU201はリセット信号を送出せず、またステップS530、ステップS531の様に電源制御信号オン→電源要求信号オフの順に処理を行うことによりパワーオンリセット回路105がリセット信号を送出しないようにすることで、無線待ち受け処理中、着信処理中、および無線通信処理中の無線部CPU101のリセットによる処理中断が防止できる。
(他の実施形態)
上記した実施形態において、電話通信モジュールスイッチ108は、無線部CPU101が電話通信モジュールへ102の電力供給を制御するために用いられているが、使用する電話がデジタル式電話である場合、電話通信モジュールスイッチ108のオン、オフをより短時間で切り替えて、これによる電圧変化を直接送信信号として使ってもよい。この場合、常時電話通信モジュールスイッチ108をオンとして、無線部CPU101からの信号線経由で送信信号を送る場合よりも、電力消費を抑えることができる。
【0070】
また図1にあるように、IGのオンオフは車内LANとは別の線で制御部CPU201に報知する必要は必ずしも無く、車内LAN経由でIGのオンオフを報知してもよい。
【0071】
また、RTC104のカウンタのリセットからエクスパイアまで15分となっているが、これは何分であっても構わない。
【0072】
また、上記したテレマティクス通信装置は無線部1と制御部2とに分かれ、ているが、このように通信装置を分割する必要は必ずしもない。
【0073】
また、このテレマティクス通信装置は無線部CPU101と、制御部CPU201とを有しているが、このように必ずしも2つのCPUに通信装置の処理機能を分割する必要はなく、1つのCPUでまとめて処理を行ってもよい。
【0074】
また、制御部CPU201は、スリープモードとアクティブモードの2種類の動作モードで動作するが、必ずしもこの必要はなく、常時アクティブな状態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における、車載通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における、イグニッションスイッチオフ時の無線部CPU101の処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における、アクティブモードにある制御部CPU201の処理を示すフローチャートである。
【図4】図3における、ステップS530とステップS531との処理時の電源要求信号と電源制御信号のオン、オフのタイミングを示した図である。
【図5】図3における、ステップS522からステップS524までの処理時のリセット信号と電源制御信号とのタイミングを示した図である。
【図6】車のイグニッションスイッチをオフからオンに切り替える時の無線部電源電圧の時間的振る舞いを示した図である。
【符号の説明】
1…無線部、2…制御部、3、コネクタ、101…無線部CPU、
102…電話通信モジュール、103…GPSレシーバ、
104…RTC、105…パワーオンリセット回路、
106、204…ORゲート、109、110…アンテナ、
201…制御部CPU、202…電源回路、203…無線部電源回路、
301、302…電源供給線、303…電源要求信号線、
304…リセット制御線、305…シリアル通信線。

Claims (10)

  1. 移動体の主電源オフ時においても間欠的に無線待ち受け状態となる移動体通信装置において、
    無線待ち受け処理を行う第1のCPU(101)と、
    前記移動体の主電源オフの間、前記第1のCPUに対して間欠的に電力を供給する無線部電源回路(203)と、
    前記無線部電源回路による電力供給があると前記第1のCPUをリセットするパワーオンリセット回路(105)と、
    前記移動体の主電源オン時において前記第1のCPUをリセットする第2のCPU(201)とを有し、
    記第2のCPUは、前記移動体の主電源オン時において、前記第1のCPUから前記第1のCPUが前記無線待ち受け処理を行っていることを示す無線待ち受け処理中信号が出力されていることを判定して、前記無線部電源回路による電力供給を継続させることで、前記第1のCPUをリセットしないようにしたことを特徴とする移動体通信装置。
  2. 前記第1のCPUはさらに着信処理を行い、
    前記第2のCPUは、前記リセットを行うタイミングにおいて、さらに前記第1のCPUが着信処理を行っているときには、前記第2のCPUによる前記リセットが行われないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の移動体通信装置。
  3. 前記第2のCPUはさらに、前記第1のCPUからこの第1のCPUが前記着信処理を行っていることを示す着信処理中信号が出力されていることを判定して前記リセットを行わないようになっていることを特徴とする請求項2に記載の移動体通信装置。
  4. 前記第1のCPUはさらに無線通信処理を行い、
    前記第2のCPUは、前記リセットを行うタイミングにおいて、さらに前記第1のCPUが無線通信処理を行っているときには、前記第2のCPUによる前記リセットが行われないようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の移動体通信装置。
  5. 前記第2のCPUはさらに、前記第1のCPUからこの第1のCPUが前記無線通信処理を行っていることを示す無線通信処理中信号が出力されていることを判定して前記リセットを行わないようになっていることを特徴とする請求項4に記載の移動体通信装置。
  6. 前記移動体の主電源オフの間、前記無線部電源回路に対する電源要求信号を間欠的にオンとすることで、前記無線部電源回路から前記第1のCPUへの電力供給を間欠的に行わせるリアルタイムクロック(105)を備え、
    前記第2のCPUは、前記移動体の主電源オン時において、前記第1のCPUから前記第1のCPUが前記無線待ち受け処理を行っていることを示す無線待ち受け処理中信号が出力されていることを判定して、前記リアルタイムクロックからの電源要求信号をオンとしたまま、当該第2のCPUから前記無線部電源回路に対する電源要求信号をオンとし、その後、前記リアルタイムクロックからの電源要求信号をオフとすることで、前記無線部電源回路の電力供給を継続させ、それによって、前記第1のCPUをリセットしないようにしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の移動体通信装置。
  7. 前記第2のCPUは、スリープモードとアクティブモードの2種類の動作モードで動作し、前記主電源がオンしてスリープモードからアクティブモードに遷移したときに、前記無線待ち受け処理中信号が出力されているか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の移動体通信装置。
  8. 前記第2のCPUは、外部インターフェースからの信号によってスリープモードからアクティブモードに遷移したときにも、前記無線待ち受け処理中信号が出力されているか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の移動体通信装置。
  9. 前記第2のCPUは、前記第1のCPUの電力供給を制御し、前記第1のCPUをリセットする場合に、前記第1のCPUに出力するリセット信号をアサートし、続いて第1のCPUに電力供給を開始し、この後前記リセット信号をネゲートすることを特徴とする請求項3ないし8のいずれか1つに記載の移動体通信装置。
  10. 移動体の主電源オフ時においても間欠的に無線待ち受け状態となる移動体通信装置において、
    無線待ち受け処理および着信を行う第1のCPU(101)と、
    前記移動体の主電源オフの間、前記第1のCPUに対して間欠的に電力を供給する無線部電源回路(203)と、
    前記無線部電源回路による電力供給があると前記第1のCPUをリセットするパワーオンリセット回路(105)と、
    前記移動体の主電源オン時において前記第1のCPUをリセットする第2のCPU(201)とを有し、
    記第2のCPUは、前記移動体の主電源オン時において、前記第1のCPUから前記第1のCPUが前記着信処理を行っていることを示す着信処理中信号が出力されていることを判定して、前記無線部電源回路による電力供給を継続させることで、前記第1のCPUをリセットしないようにしたことを特徴とする移動体通信装置。
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