JP4240722B2 - 電池の満充電表示方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池が満充電されたことを表示する方法に関し、とくに、満充電されたときに直ちに満充電を表示せず、所定の遅延時間遅らせて満充電を表示する方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
電池は充電されると温度が上昇する性質がある。とくに、満充電に近くなり、さらに、満充電された後は電池温度が急激に高くなる。充電電流が電池の充電に全て使用されず、熱損失となって電池を加熱するからである。図１は、電池の充電が進行するにしたがって、電池の表面温度が上昇する状態を示すグラフである。この図に示すように、電池の表面温度は、満充電されたときに充電電流を遮断する等の充電制御を行ってもさらに上昇する。電池の内部発熱が表面に伝達されるのに時間遅れができるからである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
図１に示すように、電池の表面温度は、満充電の後、さらに上昇するので、満充電されて充電電流を遮断したときに満充電の表示をすると、使用者が満充電された電池を充電器から外すときに、高温に加熱された電池に触って熱く感じる弊害がある。とくに、充電電流を大きくして急速充電すると表面温度が高くなる。さらに、表面に金属が露出した単１〜４等の規格電池や、表面を薄い被覆でカバーしている電池は、表面温度が高く感じられる。電池に触って熱く感じる弊害は、満充電の表示を遅らせて表示する方法、すなわち、電池の満充電とその表示との間に遅延時間を設けて解消できる。
【０００４】
満充電を表示する遅延時間を長くすると、電池の表面温度を低くして満充電の表示ができる。しかしながら、この方法は電池の満充電表示が遅れるので、使用者に速やかに満充電の表示ができなくなる。この欠点は、遅延時間を短くして解消できる。ただ、遅延時間を短くするほど、満充電された電池の表面温度が高く、使用者が安心して満充電の電池に手で触ることができない。
【０００５】
したがって、使用者が熱い電池に触るのを防止することと、満充電の表示を速やかにすることは互いに相反することであって、両方を同時に満足できない。
【０００６】
本発明者は、満充電された電池の温度が上昇する状態を詳細に研究した結果、電池の温度上昇が、満充電される状態によって変化することを見いだし本発明を完成した。したがって、本発明の大切な目的は、電池温度が低下した状態で速やかに満充電の表示ができる電池の満充電表示方法を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の電池の満充電表示方法は、電池の満充電を検出した後、所定の遅延時間を設けて満充電を表示する。本発明の満充電表示方法は、同じ充電電流値によってＣＣ制御にて電池の充電を開始してから満充電されるまでの充電時間が短い電池の遅延時間を、充電時間の長い電池よりも長くしている。
【０００８】
本発明の電池の満充電表示方法は、好ましくは、満充電を表示するまでの遅延時間を充電時間の関数として変化させる。
【０００９】
本発明の電池の満充電表示方法は、好ましくは、充電される電池を、ニッケル−カドミウム電池またはニッケル−水素電池とする。
【００１０】
さらに、本発明の電池の満充電表示方法は、好ましくは、充電電流を０．５〜４Ｃとする。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池の満充電表示方法を例示するものであって、本発明は満充電表示方法を以下のものに特定しない。
【００１２】
図２は、本発明の満充電表示方法を採用する充電器のブロック図を示す。この充電器は、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池等の二次電池、あるいはリチウムイオン二次電池等の二次電池を充電する。充電器は、電源回路２と、電源回路２を電池１に接続するスイッチング素子３と、スイッチング素子３を制御する充電制御回路４と、電池温度を検出して充電制御回路４に温度信号を入力する温度検出回路５と、電池電圧を検出して充電制御回路４に入力する電圧検出回路６と、電池１の満充電を表示する満充電表示器７とを備えている。
【００１３】
電源回路２は、電池１を充電できる電圧と電流を出力する。充電する電池１が、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池の場合、電源回路２は、たとえば０．５〜４Ｃ、好ましくは１〜３Ｃ、さらに好ましくは１〜２Ｃの充電電流で電池１を急速充電する。
【００１４】
電源回路２はスイッチング電源である。スイッチング電源は、１００ボルトの交流を整流する整流回路と、整流回路から出力される直流をスイッチングするスイッチング回路と、このスイッチング回路でスイッチングされる交流を一次側に入力して、入力される電圧を二次電池の充電電圧に降下させるトランスと、トランスから出力される交流を整流して直流とするダイオードからなる整流回路と、整流回路の出力電圧と制御回路からの信号で、スイッチング回路がスイッチングするデューティーを制御するＣＶ／ＣＣ制御回路および絶縁用ＰＣ回路とを備えている。電源回路は、必ずしもスイッチング電源とする必要はない。電源回路は、入力される交流の１００Ｖをトランスで降圧して整流し、整流した直流を、安定化させる回路とすることもできる。
【００１５】
スイッチング素子３は、ＦＥＴやトランジスター等の半導体スイッチング素子である。スイッチング素子３は、電池１が満充電されるまではオンとなって、電池１に充電電流を供給し、電池１が満充電されるとオフに切り換えられて電流を遮断する。
【００１６】
充電制御回路４は、電池１が装着されると、スイッチング素子３をオンにして充電を開始する。電池１が満充電されると、スイッチング素子３をオフにして充電を終了する。さらに、充電制御回路４は、電池１が満充電になってスイッチング素子３をオフにした後、所定の遅延時間が経過した後に満充電表示器７に満充電であることを表示する信号を出力する。
【００１７】
充電制御回路４は、電圧検出回路６から入力される電圧信号で電池１の満充電を検出する。充電制御回路４は、電池１のタイプによって異なる方法で電池１の満充電を検出する。充電する電池が、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池の場合、電池電圧がピーク電圧になったことを検出し、あるいはピーク電圧からΔＶ低下したことを検出して満充電を検出する。電池がリチウムイオン二次電池の場合、電池電圧が設定電圧になったことを検出して満充電を検出する。
【００１８】
充電制御回路４は、電池１が満充電された後、満充電表示器７に満充電を表示させる遅延時間を記憶している。遅延時間は一定ではなく、電池１が満充電されるまでの時間によって遅延時間を変化させる。電池１の充電を開始してから満充電されるまでの充電時間が短い電池の遅延時間は、充電時間の長い電池よりも長くする。
【００１９】
図３は、残存容量が異なる電池を充電するときの、電池電圧と温度の変化を示すグラフである。この図は、ニッケル−カドミウム電池、またはニッケル−水素電池の電圧、温度特性を示している。この図に示すように、満充電になると、電池電圧は、ピーク電圧まで上昇し、さらに、充電するとピーク電圧からΔＶ低下する。電池電圧がピーク電圧、あるいはΔＶ低下する電圧になると、充電制御回路４は電池１が満充電されたと判定して、スイッチング素子３をオフにして充電を停止する。
【００２０】
充電電流が遮断された後において、電池の温度は、さらに余韻（オーバーシュート）により上昇する。充電時間が短い電池、いいかえると残存容量が大きくて満充電に近い電池の温度は、残存容量が少なくて充電時間が長い電池に比較して大きくなる。実際の使用状態において、満充電された電池が充電器にセットされて再充電されることがある。この電池は、残存容量が極めて大きく、満充電後の温度上昇が特に大きくなる。
【００２１】
充電制御回路４は、図４のグラフに示すように、充電時間の長短で、遅延時間を変更する。充電時間が短い電池は、満充電後の温度上昇が大きいので、遅延時間を長くし、充電時間の長い電池は、満充電後の温度上昇が小さいので、遅延時間を短くする。
【００２２】
充電制御回路４が、充電時間によって遅延時間を変更する状態を、図５〜図７のグラフに示す。図５は、充電時間の関数として遅延時間を変化させる。この図は、充電時間に対して遅延時間を直線的に変化させている。ただ、充電時間に対する遅延時間はかならずしも直線関数とする必要はなく、種々の関数とすることができる。図６は、充電時間が特定の時間よりも長いか短いかで、遅延時間を長短に切り換える。図７は充電時間によって遅延時間を段階的に変更する。図５と図７に示す状態で遅延時間を変更する方法は、残存容量が異なる電池の満充電を、理想的な状態で表示できる。図６に示すように、充電時間の長短で２段階に遅延時間を切り換える方法は、簡単な回路で満充電を表示できる。図５〜図７に示すように、充電時間によって遅延時間を変化させる関数は、充電制御回路４の記憶回路（図示せず）に記憶される。
【００２３】
充電制御回路４は、電池１の満充電を検出してスイッチング素子３をオフに切り換え、その後、記憶している遅延時間が経過すると、満充電表示器７に満充電を表示する信号を出力する。満充電表示器７は、充電制御回路４から満充電の信号が入力されると、たとえばＬＥＤを点灯し、あるいは点灯するＬＥＤの発光色を変更し、あるいはまた、ＬＥＤの点滅を変更し、また、表示パネルに満充電と表示して電池が満充電されたことを表示する。
【００２４】
【発明の効果】
本発明の電池の満充電表示方法は、電池温度を低下させた状態で満充電と表示しながら、満充電を表示する遅延時間を電池に最適な時間として速やかに満充電を表示できる特長がある。それは、本発明の満充電表示方法が、満充電となって充電を終了した後、電池温度がさらに高く上昇する充電時間の短い電池は、遅延時間を長くして満充電の表示を遅らせるが、充電時間が長くて満充電後の温度上昇の少ない電池は、遅延時間を短くして速やかに満充電を表示するからである。
【００２５】
とくに、この方法で満充電を表示する方法は、充電時間の短い電池のみの遅延時間を長くするが、この種の電池は充電時間が短いので遅延時間を長くしても、充電を開始してから満充電と表示されるまでの時間が短く、使用者はそれほど不便に感じることがない。また、充電時間の長い電池は、遅延時間を短くして満充電を表示するので、充電を終了した後、速やかに満充電を表示できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】電池の充電状態と電池の表面温度との関係を示すグラフ
【図２】本発明の実施例の電池の満充電表示方法に使用する充電器のブロック図
【図３】残存容量が異なる電池を充電するときの電池電圧と電池温度の変化を示すグラフ
【図４】本発明の実施例の満充電表示方法の充電時間の長短と遅延時間の関係を示すグラフ
【図５】充電時間によって遅延時間を変更する状態の一例を示すグラフ
【図６】充電時間によって遅延時間を変更する状態の他の一例を示すグラフ
【図７】充電時間によって遅延時間を変更する状態の他の一例を示すグラフ
【符号の説明】
１…電池
２…電源回路
３…スイッチング素子
４…充電制御回路
５…温度検出回路
６…電圧検出回路
７…満充電表示器

Claims (4)

1. 電池の満充電を検出した後、所定の遅延時間を設けて満充電を表示する方法において、
   同じ充電電流値によってＣＣ制御にて電池の充電を開始してから満充電されるまでの充電時間が短い電池の遅延時間を、充電時間の長い電池よりも長くすることを特徴とする電池の満充電表示方法。
2. 充電時間の関数として遅延時間を変化させる請求項１に記載される電池の満充電表示方法。
3. 充電される電池がニッケル−カドミウム電池またはニッケル−水素電池である請求項１に記載される電池の満充電表示方法。
4. 充電電流が０．５〜４Ｃである請求項１に記載される電池の満充電表示方法。

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