JP4240620B2 - 金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムに関し、さらに詳しくは、ガスバリア性能に優れ、耐熱性と剛性に優れることから加工後のガスバリア性能に優れ、さらには金属薄膜と基材との接着性に優れているために、金属化された反対の面のヒートシール性に優れているものの、金属薄膜がヒートシール性に優れた反対の面に転写するいわゆるピックオフと呼ばれる欠点のない金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向ポリプロピレンフィルムは、優れた防湿性、強度、透明性、表面光沢により包装用フィルムとして広範に用いられており、ディスプレー時に金属光沢による見栄えを良くし、ガスバリア性能を向上させ、紫外線などの外部光線による内容物の変質を抑える目的で、アルミニウムなどの金属を蒸着する(金属化)ことも広く行われている。
【0003】
しかし二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面は不活性であり、金属化の際の金属膜と基材フィルムとの接着性を向上させるために、コロナ放電処理や火炎処理などの処理により表面を活性化することが一般に行われている。
【0004】
コロナ放電処理の効果を向上させる目的で、米国特許4、297、187号公報には窒素と二酸化炭素の混合ガス中でコロナ放電処理を行うことが開示されている。これらのコロナ放電処理の手法によれば、処理強度を上げることで表面はより活性化され金属膜と基材フィルム表層との接着強度は向上するが、同時に基材の劣化が生じ、基材フィルム表層部と基材フィルム内部との剥離が生じやすく、接着強度の向上効果には限界があることが知られている。また、処理強度を上げすぎるとブロッキングが生じやすくなることが知られている。
【0005】
また米国特許4、345、005号公報には、アイソタクチックポリプロピレン樹脂の基層の少なくとも片面に共押出で形成された、約2%から約4%のエチレンを含むエチレン・プロピレン共重合樹脂層にコロナ放電処理し金属蒸着された金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの開示がある。さらに米国特許4、357、383号公報には、基層上にエチレンと炭素量3〜6のα−オレフィン0.25〜15重量%のランダム共重合体層を形成した上に金属層を形成した複層金属化包装用フィルムの開示がある。
【0006】
また同様に、金属酸化物蒸着用二軸配向ポリプロピレン複合フィルムとして、特開平9−94929号公報には、蒸着を行うべき表層のポリオレフィン樹脂の結晶融解熱量が30〜85J/gのものの開示があり、このための樹脂として、ポリプロピレン系共重合体、シンジオタクチックポリプロピレン樹脂、エチレンとα−オレフィンの共重合体、およびそれらの樹脂とアイソタクチックホモポリプロピレンあるいはポリプロピレン共重合体のブレンド樹脂が挙げられている。さらには特開平6−67285号公報と、特開平6−126281号公報には、金属化を行うべき表層を、シンジオタクチックポリプロピレンか、シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレンの混合樹脂層とすることが開示されている。
【0007】
これら表層樹脂のうち共重合樹脂を表層に積層することにより金属膜と表層樹脂との接着性が向上するが、共重合樹脂は一般に融点が低いことから、製膜時に縦延伸ロールに粘着するなどの製膜上の制約が大きく、粘着痕による光沢の低下が問題となる。また融点が低いことにより金属化を行った際に、金属の凝集熱や蒸発源からの輻射熱により金属膜が白化しやすく、金属光沢が得られにくいという問題もあった。同様に表層がシンジオタクチックポリプロピレンからなる場合、特開平7−89022号公報に示されるように融解温度が低くなり、共重合樹脂と同様に耐熱性に係わる問題を生じることが知られている。
【0008】
さらに、米国特許4、419、410号公報には、配向ポリプロピレンフィルムにおいて、高立体規則性ポリプロピレンに比較的低立体規則性のポリプロピレンが積層され、有機滑剤や静電防止剤の発現性を促進する技術の開示があるが、上記米国特許4、345、005号公報や特公平8−18404号公報に示されるように、これら添加剤のうち特に有機滑剤の添加は蒸着膜との接着性を悪化させることが公知であり、該技術を金属化二軸配向ポリプロピレンに適用することはできなかった。
【0009】
また、米国特許4、888、237号公報には、キシレン溶解分が10重量%を越えないアイソタクチックホモポリマーを少なくとも50重量%含む表層に火炎処理が施され、その上に金属化されたフィルムの開示がある。該アイソタクチックホモポリマーは実質的に6%を越えないアタクチシティを有する通常のポリプロピレンホモポリマーであり、6%〜15%のアタクチシティを有するホモポリマーを含有する場合は50%までが好ましい旨の記載があり、この様なポリマーを用いることで火炎処理との組み合わせで接着性が大きく改善されることが開示されている。しかし、コロナ放電処理では接着性の改善効果が認められないとあり、簡便なコロナ放電処理によっても接着性の改善できる表層樹脂はなかった。
【0010】
つぎに、上述の基材を用いた金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの重要な特性の一つに、金属化により酸素や水蒸気の透過性を下げ、包装材料の一部に用いた際の酸素や水蒸気による内容物の変質を抑えるという、いわゆるガスバリア性能がある。ガスバリア性能は内容物である主として食品の保存性に大きく関与するため、ますます高いガスバリア性能を有する金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムが求められつつある。
【0011】
従来技術による低融点樹脂積層ポリプロピレンフィルムによる金属化ポリプロピレンフィルムでは、ポリエチレンなどを用いて金属化面と他の素材とを押出ラミネートする際、低融点樹脂が災いして、金属フィルムが金属光沢を失ったり、ガスバリア性能が大幅に低下するという問題があった。
【0012】
さらには、この金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの用途に、金属化された反対の面にポリオレフィン系樹脂を積層することでヒートシール性を付与することが行われるが、従来技術による低融点樹脂積層二軸配向ポリプロピレンフィルムによる金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムでは、裏面のヒートシール層に金属薄膜が転写するピックオフの現象が生じていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術では達成できなかった、優れたガスバリア性能を有し、剛性と耐熱性に優れることにより加工後のガスバリア性能にも優れ、さらには金属薄膜と基材との接着性に優れているために、金属化された反対の面のヒートシール性に優れているものの、金属薄膜がヒートシール性に優れた反対の面に転写するいわゆるピックオフと呼ばれる欠点のない金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明者らは、従来技術による表層樹脂の結晶融解熱量の低さが接着性に寄与するものの、耐熱性に劣ることが各種欠点を導出すること、ピックオフの現象が、金属薄膜と基材との接着性と裏面の接着性すなわちヒートシール性樹脂の性状との関係で発生すること、すなわち金属薄膜と基材との接着性が悪いと裏面の特性により容易にピックオフが発生することを見出し、本発明を成し遂げたものである。
【0015】
本発明は、かかる課題を解決するために、アイソタクチックポリプロピレンからなる基層の少なくとも片面に、結晶融解に伴う吸熱の主ピークが155〜163℃にあり、結晶融解熱量が20〜90J/gであるポリプロピレン系樹脂からなる表層が積層された積層二軸配向フィルムの、該表層上に光学濃度1.6以上の金属薄膜が積層され、該表層と該金属薄膜との接着強度が40g/cm以上であることを特徴とする金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供する。
【0016】
また、本発明は、アイソタクチックポリプロピレンからなる基層の少なくとも片面に、結晶融解に伴う吸熱の主ピークが155〜163℃にあり、結晶融解熱量が20〜90J/gであるポリプロピレン系樹脂からなる表層が積層された積層二軸配向フィルムの、該表層上に光学濃度1.6以上の金属薄膜が積層され、かつ、該金属薄膜が積層された反対の面に結晶融解温度が140℃以下のポリオレフィン系樹脂からなるヒートシール層が積層されてなる金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供する。
【0017】
さらには、本発明は、これら金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムを用いた各種積層体を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の基層を形成する樹脂は、結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂である。該アイソタクチックポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率は88%以上が好ましい。メソペンタッド分率とは、アイソタクチック立体構造の全体に占める割合であり、13C−NMRで測定される。メソペンタッド分率が88%未満であると、二軸配向ポリプロピレンフィルムの剛性が低くなり、加工性に劣る場合がある。より好ましくはメソペンタッド分率は90%以上である。
【0019】
また基層のアイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチック度は85%以上であることが好ましい。アイソタクチック度とは沸騰n−ヘプタンで抽出した際の非溶解分の重量割合である。アイソタクチック度が85%未満であると、キシレンやn−ヘキサンなどの溶媒による溶出分が多くなりすぎ、包装用フィルムとして不適となる場合がある。基層のアイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチック度は88%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。また、該ポリプロピレン樹脂のメルトフローインデックス(MFI)は、1〜10g/10分であることが、製膜性の観点から好ましく、2.5〜6g/10分がより好ましい。
【0020】
該基層の樹脂としてはアイソタクチックポリプロピレン樹脂単独が好ましいが、該基層に目的に応じポリプロピレン系共重合樹脂などが積層される場合があり、これら共重合樹脂が該基層に回収される場合、特性上許される範囲で他の共重合樹脂が含有されても良い。
【0021】
該基層の少なくとも片面に積層される表層樹脂は、結晶融解に伴う吸熱の主ピークが155〜163℃にあり、結晶融解熱量が20〜90J/gであるポリプロピレン系樹脂である。
【0022】
本発明の重要なポイントとして、表層のポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱のピーク温度が比較的高いことが挙げられ、本発明の表層のポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱の主ピークが155〜163℃にあることが重要である。この場合の主ピークとは単一の吸熱ピークのみ観察される場合はその単一ピークそのものを、複数の吸熱ピークが観測される場合はピーク面積全体の2/3以上を占めるものを指す。結晶融解に伴う吸熱のピーク温度の上限はポリプロピレン固有の特性値として規定されるが、結晶融解に伴うピーク温度の下限は、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの耐熱性に大きく影響し、結晶融解に伴うピーク温度が低すぎると従来技術のごとき加工時の耐熱性に問題が生じる場合がある。本発明の表層のポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱の主ピークは、157〜162℃にあることがより好ましく、158〜162℃にあることがさらに好ましい。副ピークが155℃未満に観察される場合は、そのピークが140℃以上にあることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明の表層のポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱のすべてのピークが155〜163℃にあることが、製膜性と、金属化時の耐熱性のために好ましい。
【0024】
本発明の表層のポリプロピレン系樹脂の結晶融解熱量は20〜90J/gであることが必要である。通常のアイソタクチックポリプロピレン樹脂の結晶融解熱量が100J/g以上であるのに対し、本願発明の表層樹脂として使用するポリプロピレン系樹脂の結晶融解熱量は小さいことがポイントである。結晶融解熱量が大きすぎると、金属膜との接着性に劣り、ガスバリア性能も劣る。結晶融解熱量が小さすぎると加工時の耐熱性に劣る。本発明の表層のポリプロピレン系樹脂の結晶融解熱量は30〜85J/gが好ましく、40〜85J/gがより好ましい。
【0025】
表層のポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱の主ピークと結晶融解熱量を本発明の範囲とするには、樹脂の選定が重要である。従来技術のごときポリプロピレン系共重合樹脂単独では、例えばエチレン・プロピレン・ランダム共重合体においては、エチレン共重合量と共に結晶融解熱量が低下する。しかし同時に融解温度も急激に低下するため、本発明の範囲とすることは困難である。しかし重合の条件によっては達成可能であり、ポリプロピレン系共重合樹脂単独を本発明の範囲から排除するものではない。
【0026】
本発明において、表層樹脂として好適なものは、メソペンタッド分率が60〜88%であるアイソタクチックポリプロピレン樹脂を主体としたものである。メソペンタッド分率60〜88%であるアイソタクチックポリプロピレン樹脂に、結晶融解に伴う吸熱のピークが140〜163℃にあるポリプロピレン系共重合樹脂が重量割合で1/3を上限に混合されたものも好ましく使用できる。さらに本発明において好ましい表層樹脂としては、メソペンタッド分率が60〜88%であるアイソタクチックポリプロピレン樹脂と結晶融解に伴う吸熱のピークが155〜163℃にあるポリプロピレン系共重合樹脂の混合物である。最も好ましいのは、メソペンタッド分率が60〜88%であるアイソタクチックポリプロピレン単独である。
【0027】
本発明における表層樹脂を製造するための方法としては,通常のチーグラーナッタ系触媒で外部ドナーの選定と外部ドナーの減量,特定のメソペンタッド分率を制御するための生産管理技術もポイントとなる。
【0028】
メソペンタッド分率が60%未満では、樹脂のゴム成分が増大するためか、表層の光沢が得られず、また加工時の耐熱性に劣ることでガスバリア性能が悪化する場合がある。一方、金属膜との接着性の観点からメソペンタッド分率は88%以下が好ましい。本発明の表層樹脂のアイソタクチックポリプロピレンのメソペンタッド分率は65〜85%がより好ましく、68〜83%が最も好ましい。メソペンタッド分率をかかる値とするには、本発明のメソペンタッド分率を有するアイソタクチックポリプロピレンを選定するか、異なったメソペンタッド分率の2種以上のアイソタクチックポリプロピレン樹脂を混合することで達成できる。
【0029】
また、アイソタクチックポリプロピレンの分子量分布Mw/Mnは2〜6の範囲が製膜性と耐溶剤性のために好ましく、2.3〜5がより好ましく、2.4〜4が最も好ましい。
【0030】
本発明の表層樹脂として用いるポリプロピレン系樹脂のMFIは1〜20g/10分であることが、基層との積層性のため好ましい。
【0031】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上記表層上に光学濃度1.6以上の金属薄膜が積層される。光学濃度とは金属化フィルムの光線透過率により−log(光線透過率)で計算される値であり、光学濃度が高いほど金属膜厚が大きくなる。本発明においては、1.6以上の光学濃度であることが、高度なガスバリア性能を発現するために必要である。さらに好ましくは1.8以上である。光学濃度の上限は特に設けないが、経済性、生産性の点から2.8未満がより好ましい。
【0032】
表層と金属薄膜の接着力は、40g/cm以上が必要である。40g/cm未満であると、加工の工程で金属薄膜が剥がれやすく、また包装材料として用いた際、金属薄膜が基材と剥離しやすく、使用上の制限が大きくなる。好ましくは表層と金属薄膜の接着力は60g/cm以上であり、より好ましくは80g/cm以上である。
【0033】
本発明の表層の厚みは0.25μm以上であり、かつ基層の厚みの半分以下であることが好ましい。表層の厚みが0.25μm未満であると膜切れなどにより均一な積層が困難となり、金属薄膜と基材との接着性に劣る場合があり、ガスバリア性能も劣る場合がある。一方、厚みが大きすぎると、機械特性に及ぼす表層の寄与が大きくなり、ヤング率の低下を引き起こし、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムが張力に対して伸びやすくなり加工性に劣る場合がある。本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの縦方向のヤング率は1.3GPa以上が好ましく1.5GPa以上がより好ましい。
【0034】
本発明の表層樹脂には脂肪酸アミドなどの有機滑剤は添加しない方が金属膜の接着性のために好適であるが、滑り性を付与し作業性や巻き取り性を向上させるために、有機架橋性粒子や無機粒子を少量添加することは許容される。このための有機架橋性粒子には、架橋シリコーンや架橋ポリメチルメタクリレート粒子などが挙げられ、無機粒子にはゼオライトや炭酸カルシウム、酸化ケイ素、リン酸カルシウムなどを例示することができる。
【0035】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの表層の表面粗さは特に限定されないが、中心線表面粗さ(Ra)として、0.03〜0.3μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2μmである。滑り性、巻き取り性の観点から、Raが小さすぎないことが好ましく、光沢性の観点からRaが大きすぎないことが好ましい。
【0036】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面光沢は135%以上が金属光沢の麗美性のために好ましく、より好ましくは138%以上である。
【0037】
また本発明の表層樹脂には、極性基を実質的に含まない石油樹脂および極性基を実質的に含まないテルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を表層樹脂100重量部に対し20重量部を上限に添加することは、金属膜との接着性をさらに強固にすることができ、より好ましい。20重量部を越えて添加した場合は、滑り性が悪くなり、ブロッキングなどの問題を生じる場合がある。
【0038】
極性基を実質的に含まない石油樹脂とは、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3Y、YはH、Naなど)などおよびそれらの変成体などからなる極性基を有さない石油樹脂、すなわち石油系不飽和炭化水素を直接原料とするシクロペンタジエン系、あるいは高級オレフィン系炭化水素を主原料とする樹脂である。本発明において表層樹脂にこれら樹脂を添加する場合は、表層樹脂の耐熱性を低下させないために、添加する樹脂の示差走査熱量計にて測定したガラス転移温度は50℃以上が好ましく、より好ましくは76℃以上である。また、該石油樹脂に水素を付加させ、その水添率を80%以上、好ましくは95%以上とした水添石油樹脂が特に好ましい。さらに、表層のポリプロピレン系樹脂との相溶性の観点から該石油樹脂は非晶性耐熱性を低下させないために示差走査熱量計にて測定したガラス転移温度は50℃以上、さらには76℃以上のものが好ましい。
【0039】
また、該石油樹脂に水素を付加させ、その水添率を80%以上、さらには95%以上とした水添石油樹脂が特に好ましい。さらに、表層のポリプロピレン系樹脂との相溶性の観点から該石油樹脂は非晶性(すなわち示差走査熱量計にて該石油樹脂を測定したときに実質的に結晶融解が観測されない)が好ましく、また数平均分子量は1000以下が好ましい。
【0040】
極性基を実質的に含まないテルペン樹脂とは、水酸基(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ケトン基(−CO−)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン基、スルホン酸基(−SO3Y、YはH、Naなど)などおよびそれらの変成体などからなる極性基を有さないテルペン樹脂、すなわち(C5H8)nの組成の炭化水素およびそれから導かれる変成化合物である。なお、nは2〜20程度の自然数である。テルペン樹脂のことを別称してテルペノイドと呼ぶこともある。代表的な化合物名としては、ピネン、ジペンテン、カレン、ミルセン、オシメン、リモネン、テルピノレン、テルピネン、サビネン、トリシクレン、ビサボレン、ジンギペレン、サンタレン、カンホレン、ミレン、トタレン、などがあり、その水添率を80%以上、さらには90%以上とするのが好ましく、特に水添βピネン、水添ジペンテンなどが好ましい。
【0041】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは、基層の少なくとも片面に上述の表層樹脂が積層されるが、基層樹脂の片面に該表層が積層され、反対の面には必要に応じ、第3の層が積層される。第3の層の樹脂としては、ヒートシール性を付与するには、ポリオレフィン系樹脂が積層される。このポリオレフィン系樹脂の結晶融解温度は140℃以下である。結晶融解温度が140℃を越えるとヒートシール性が不十分となる。本発明の特徴は、かかる低い結晶融解温度の樹脂を裏面に積層してもピックオフが生じないことである。
【0042】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは、アルミニウム、銀、クロム、亜鉛などの金属薄膜が積層されることで形成される。積層の方法としては通常の蒸着やスパッタリング、イオンプレーティングなどが適用されるが、経済性と生産性の点で蒸着による積層がより好ましい。中でもアルミニウムを蒸着することが、経済性と衛生性、ガスバリア性能のために好ましい。
【0043】
金属化後の表面光沢は、60°光沢値で、780%以上が好ましく、800%以上がさらに好ましい。
【0044】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムのガスバリア性能は酸素透過率として31cc/m2 24時間(2cc/100in2 24時間)以下が好ましく、15.5cc/m2 24時間以下がより好ましい。水蒸気透過率は0.2g/m2 24時間以下が好ましく、0.1g/m2 24時間以下がより好ましい。
【0045】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは上記の構成をとることにより、各種包装用積層体の一部の構成として好ましく用いることができる。以下に本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムを用いた積層体の構成を示す。
【0046】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは、印刷が施された二軸配向ポリプロピレンフィルムと金属化面がポリエチレン系樹脂で接合され、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムのヒートシール層でヒートシールが行われる。またこの場合、印刷が施された二軸配向ポリプロピレンフィルムの接合される反対の側にヒートシール層を設けておくことにより、両面でヒートシールできる積層体とすることができる。
【0047】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは、金属化面に直接印刷が施され、その上に必要に応じ印刷の保護のための透明な印刷が施され、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムのシートシール層でヒートシールが行われる。
【0048】
以下に、本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの製造方法の一例について説明するが、本発明は下記製造方法により制約を受けるものではない。
【0049】
本発明の基層のアイソタクチックポリプロピレン樹脂および表層のポリプロピレン系樹脂を準備し、これらを別々の押出機に供給して230〜290℃の温度で融解させ、濾過フィルターを経た後、短管あるいは口金内で合流せしめ、目的とするそれぞれの積層厚みでスリット状口金から押し出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめ未延伸積層フィルムとする。この場合冷却用ドラムの温度は30〜60℃としフィルムを結晶化させることが好ましい。
【0050】
この未延伸積層フィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸方法は、逐次二軸延伸法、または同時二軸延伸法を用いることができる。逐次二軸延伸法の場合、次に未延伸フィルムを115〜145℃の温度に加熱し、長手方向に4〜7倍に延伸した後、冷却し、次いでテンター式延伸機に導入し140〜170℃で幅方向に7〜11倍に延伸した後、155〜170℃で弛緩熱処理し冷却する。さらに、空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、コロナ放電処理した後、巻き取る。このフィルムを連続式蒸着機に装填し、アルミニウムなどを蒸着して本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムとする。
【0051】
【特性値の測定法】
本発明の特性値は以下の方法で測定した。
【0052】
(1)アイソタクチック度(%)
樹脂を60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレンへの添加物を除去する。その後130℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の試料を取り、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出しアセトンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥しその後常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定し、次式
アイソタクチック度=(W’/W)×100(%)
で求めた。
【0053】
(2)メルトフローインデックス(MFI:g/10分)
ASTM−D−1238に準じて230℃、2.16kgの条件で測定した。
【0054】
(3)結晶融解吸熱のピーク温度(℃)と結晶融解熱量(J/g)
Seiko Instruments社製熱分析装置RDC220型に、5mgの表層樹脂をアルミニウムパンに封入して装填し、20℃/分の速度で昇温し、結晶融解吸熱のピーク温度を求めた。また、吸熱ピークの面積により、同社製熱分析システムSSC5200の内蔵プログラムを用い結晶融解熱量を算出した。2種以上の樹脂の混合物で吸熱ピークが複数の場合は、それぞれの結晶融解熱量の和を結晶融解熱量とした。
【0055】
(4)メソペンタッド分率(%)
基材樹脂あるいは表層樹脂をo−ジクロロベンゼン−D6に溶解させ、JEOL製JNM−GX270装置を用い、共鳴周波数67.93MHzで13C−NMRを測定した。得られたスペクトルの帰属およびメソペンタッド分率の計算については、T.Hayashiらが行った方法(Polymer、29、138〜143(1988))に基づき、メチル基由来のスペクトルについて、mmmmmmピークを21.855ppmとして各ピークの帰属を行い、ピーク面積を求めてメチル基由来全ピーク面積に対する比率を百分率で表示した。詳細な測定条件は以下のとおりである。
測定濃度:15〜20wt%
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン(90wt%)/ベンゼン−D6(10wt%)測定温度:120〜130℃
共鳴周波数:67.93MHz
パルス幅:10μ秒(45°パルス)
パルス繰り返し時間:7.091秒
データ点:32K
積算回数:8168
測定モード:ノイズデカップリング。
【0056】
(5)光学濃度
Macbeth社製光学濃度計(TR927)を用いて測定した。
【0057】
(6)ヤング率(GPa)
ASTM D882−64Tに基づき求めた。
【0058】
(7)接着強度(g/cm)
金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの金属化面に、20μm厚の二軸配向ポリプロピレンフィルム(東レ製S645)をポリウレタン系接着剤を用いて貼り合わせ、40℃で48時間放置後、15mm幅で東洋ボールドウィン製テンシロンを用い、剥離速度10cm/分で90°剥離により測定した。
【0059】
(8)酸素透過率(cc/m224時間)
金属化を行った面に、ポリプロピレン製の粘着フィルム(3M社製、Scotchmark、40μm厚み)を貼り付け、Modern Controls社製、酸素透過率測定装置Oxtran2/20を用い、73°F(22.8℃)、0%RHの条件で測定した。
【0060】
(9)水蒸気透過率(g/m224時間)
金属化を行った面に、ポリプロピレン製の粘着フィルム(3M社製、Scotchmark、40μm厚み)を貼り付け、Modern Controls社製、水蒸気透過率測定装置PermatranW3/30を用い、100°F(37.8℃)、100%RHの条件で測定した。
【0061】
(10)押出ラミネート後の酸素透過率(cc/m224時間)、水蒸気透過率(g/m224時間)
20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)製“トレファン”2535)と金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの金属化面を低密度ポリエチレンを用いて押し出しラミネートした。ポリエチレン樹脂の口金温度は320℃、ポリエチレン樹脂の厚みは20μmとした。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルム/ポリエチレン/金属化フィルムの酸素透過率、水蒸気透過率を上記の方法で測定した。
【0062】
(11)ピックオフ
金属化BOPPを目視で観察し、1インチ×1インチの面積中の金属薄膜の微細な抜けの個数で以下のとおり判定した。
本発明では、 ○および△を合格とした。
【0063】
○:0〜1個
△:1〜5個
×:5個以上
【0064】
【実施例】
本発明を実施例により説明する。
【0065】
実施例1
本発明の基層の樹脂として、アイソタクチックポリプロピレン(アイソタクチック度:96%、MFI:2.5g/10分、メソペンタッド分率:92%)のものを準備し、表層樹脂として、アイソタクチックポリプロピレン(アイソタクチック度:86%、MFI:2.8g/10分、メソペンタッド分率:74%、結晶融解に伴う吸熱のピーク温度:161℃、結晶融解熱量:77J/g)80重量%とエチレン共重合量4.8重量%のエチレン・プロピレン・ランダム共重合体(結晶融解に伴う吸熱のピーク温度:146℃、結晶融解熱量:73J/g)20重量%の混合物、表層の反対面のヒートシール樹脂としてエチレン・プロピレン・ブテン共重合体(エチレン共重合量:1.5重量%、ブテン共重合量:15重量%)に有機架橋粒子滑剤として平均粒径3μmの架橋シリコーン粒子(平均粒径は電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて観察した粒子100個の長径を測定し、その平均値とした)0.15重量%を添加したものとを、それぞれ別々の押出機に供給し、270℃で溶融押出し、濾過フィルターを経た後、短管内で表層/基層/ヒートシール層となるように合流せしめ、スリット状口金から押し出し、40℃に加熱した金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0066】
このシートを135℃の温度に加熱し、長手方向に5倍に延伸して冷却後、引き続きテンター式延伸機に導き、165℃で加熱し、幅方向に9倍延伸後、165℃の温度で幅方向に10%の弛緩を与えつつ熱処理して冷却した。さらに大気中でコロナ放電処理を15W分/m2の処理強度で実施し巻き取った。フィルムの厚みは、表層/基層/ヒートシール層:1μm/19μm/2μmとした。
【0067】
得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムに連続蒸着機でアルミニウムを光学濃度2.1で蒸着し金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムとした。なお表層樹脂の結晶融解に伴う吸熱の主ピーク温度は161℃であり、結晶融解熱量は76J/gであった。
【0068】
実施例2、3、4
表層樹脂を、表1に示すようなメソペンタッド分率、結晶融解に伴う吸熱のピーク温度、結晶融解熱量を有するアイソタクチックポリプロピレンとした以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、蒸着後評価した。
【0069】
実施例5、6
基層樹脂のアイソタクチックポリプロピレンのメソペンタッド分率を、表1のように変えた以外は実施例2と同じ条件で製膜し、蒸着後評価した。
【0070】
実施例7、8
実施例2と同じ製膜条件で製膜し、最後のコロナ放電処理を、5W分/m2としたものに蒸着したものを実施例7、炭酸ガス(20体積%)+窒素ガス(80体積%)の雰囲気で50W分/m2で処理したものに蒸着したものを実施例8とした。
【0071】
実施例9、10
積層構成を、表層/基層/ヒートシール層:0.5μm/19.5μm/2μmとした以外は実施例2と同じ条件で製膜したものに蒸着したものを実施例9、表層/基層/ヒートシール層:2μm/18μm/2μmとした以外は同じ条件で製膜したものに蒸着したものを実施例10とした。
【0072】
実施例11
実施例2に用いたアイソタクチックポリプロピレン樹脂100重量部に対し、石油樹脂(トーネックス社製エスコレッツ5320HC)を10重量部添加したものを表層樹脂とした以外は、実施例1と同様に製膜したものに蒸着したものを実施例11とした。
【0073】
実施例12、13
積層構成を、表層/基層/ヒートシール層:0.2μm/19.8μm/2μmとした以外は実施例2と同じ条件で製膜したものに蒸着したものを実施例12、表層/基層/ヒートシール層:7μm/13μm/2μmとした以外は実施例2と同じ条件で製膜したものに蒸着したものを実施例13とした。
【0074】
実施例14
表層の樹脂を、実施例2で用いたアイソタクチックポリプロピレン80重量%と、エチレン共重合量1.3重量%のエチレン・プロピレン・ランダム共重合体(結晶融解に伴う吸熱のピーク温度:159℃、結晶融解熱量101J/g)20重量%の混合樹脂とした以外は、実施例1と同じ条件で製膜したものを実施例14とした。混合樹脂の結晶融解に伴う吸熱のピーク温度は160℃、結晶融解熱量は82J/gであった。
【0075】
実施例15
表層の樹脂を、実施例2で用いたアイソタクチックポリプロピレン80重量%と、シンジオタクチックポリプロピレン(結晶融解に伴う吸熱のピーク温度:132℃、結晶融解熱量:42J/g)20重量%の混合樹脂とした以外は実施例1と同じ条件で製膜したものを実施例15とした。混合樹脂の結晶融解に伴う吸熱の主ピーク温度は161℃、結晶融解熱量は70J/gであった。
【0076】
実施例16、17
実施例2で製膜した二軸配向ポリプロピレンフィルムを用い、アルミニウム蒸着膜の膜厚を変え、光学濃度を1.8と2.5としたものをそれぞれ実施例16、実施例17とした。
【0077】
上記実施例の金属化フィルムの構成を表1に、金属化フィルムと押出ラミネートフィルムの特性を表2に示した。
【0078】
表1および2に示すように、本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは、接着強度に優れ、酸素や水蒸気などのガスバリア性能に優れ、ヤング率が高いことと表層樹脂の耐熱性に優れることから、押出ラミネート加工後のガスバリア性能に優れるという特長を有する。
【0079】
実施例6で明らかなように、基層のアイソタクチックポリプロピレンのメソペンタッド分率が低いと、ヤング率が低くなる傾向があり、加工後のガスバリア性能が若干低下する場合がある。実施例11で明らかなように表層樹脂に石油樹脂を添加した場合、接着性がさらに向上し、より好ましい。実施例12で明らかなように、表層の積層厚みが小さい場合、膜切れが原因と見られる接着強度の低下やガスバリア性能の低下が認められる場合がある。また、実施例13で明らかなように、表層の積層厚みを大きくしすぎると、ヤング率が低くなる傾向があり、加工後のガスバリア性能が低下する場合がある。実施例16で明らかなように、光学濃度を小さくするとガスバリア性能は若干低下するが、本発明の範囲内にあれば実用上十分な性能を発揮する。これに対し、光学濃度を大きくした実施例17ではさらに高度なガスバリア性能を発現させることができる。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
なお、これら実施例のピックオフを測定したところ、実施例7と12が△で合った以外は全て○であった。
【0082】
比較例1
表層の樹脂を実施例1のアイソタクチックポリプロピレン30重量%とエチレン共重合量4.8重量%のエチレン・プロピレン・ランダム共重合体70重量%の混合物とした以外は実施例1と同じ条件で製膜したものに蒸着したものを比較例1とした。結晶融解に伴う吸熱の主ピークは146℃、結晶融解熱量は74J/gであった。
【0083】
比較例2、3
表層のアイソタクチックポリプロピレンとして、メソペンタッド分率、融解温度、結晶融解熱量をそれぞれ92%、162℃、118J/gのものを用いた以外は、実施例1と同様の条件で製膜したものに蒸着したものを比較例2、58%、154℃、18J/gとしたものに蒸着したものを比較例3とした。
【0084】
比較例4、5、6
表3に示す、エチレン・プロピレン・ランダム共重合体を表層に用いた以外は実施例1と同じ条件で製膜したものに蒸着したものを比較例4、5、6とした。
比較例7
表層樹脂として、実施例15で用いたアイソタクチックポリプロピレン20重量%と、シンジオタクチックポリプロピレン80重量%を混合したものを用いたものに蒸着したものを比較例7とした。表層樹脂の結晶融解に伴う主ピーク温度は132℃であり、結晶融解熱量は49J/gとなった。
【0085】
比較例8、9
実施例2と同様の製膜を行い、最後のコロナ放電処理を行わなかったものに蒸着したものを比較例8、炭酸ガス(20体積%)+窒素ガス(80体積%)の雰囲気で100W分/m2で処理したものに蒸着したものを比較例9とした。
【0086】
比較例10
実施例2と同じ二軸配向ポリプロピレンフィルムを用い、光学濃度を1.4としたものを比較例10とした。
【0087】
これら比較例の金属化フィルムの構成を表3に、金属化フィルムと押出ラミネートフィルムの特性を表4にまとめた。
【0088】
表3および4に示すように、これら比較例では、接着性が不十分であるか、ガスバリア性能が不十分であるか、金属化後のガスバリア性能は十分であっても押出ラミネート後にガスバリア性能が大幅に低下するかの問題が生じる。
【0089】
すなわち、比較例1、7では、結晶融解に伴う吸熱の主ピーク温度が低すぎるため、加工後のガスバリア性能が悪化する。比較例2では、結晶融解熱量が高すぎるため接着強度が低く、ガスバリア性能も不十分である。比較例3では結晶融解熱量が低すぎるため、押出ラミネート後のガスバリア性能が大幅に悪化した。またエチレン・プロピレン共重合体では、本発明の融解融解に伴う吸熱のピーク温度、結晶融解熱量の関係が得られにくく、結晶融解熱量の低下に対して結晶融解吸熱ピーク温度の低下が顕著で、比較例の選定範囲ではガスバリア性能は不十分であった。比較例8により、接着強度の低いものはガスバリア性能が悪いことがわかる。比較例9により,コロナ放電処理強度が強いものは表層内部での剥離が生じるためか接着強度が低く、金属化後のガスバリア性能は優れているが、加工後のガスバリア性能は大きく悪化することがわかる。
【0090】
なお、これら比較例のピックオフを判定したところ、比較例2、4、8、9にピックオフが発生し×の判定となり、比較例7が△、あとは○であった。
【0091】
実施例18
実施例2の金属化BOPPの金属化面と15μm厚みの二軸配向ポリプロピレンフィルムを320℃で溶融押出したポリエチレンを用いて接合し積層体とした。金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムのヒートシール層でヒートシールできる優れた包装袋とすることができた。
【0092】
実施例19
実施例17の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの金属化面と15μm厚みのヒートシール層を設けた二軸配向ポリプロピレンフィルムのヒートシール層を設けない面とを320℃で溶融押出したポリエチレンを用いて接合し積層体とした。両面ヒートシール可能な優れた包装袋とすることができた。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
【発明の効果】
本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表層の結晶融解に伴う吸熱のピーク温度と結晶融解熱量、金属薄膜の光学濃度、および接着強度を特定の値とすることで、従来技術では達成できなかった、ガスバリア性能を発現し、加工後のガスバリア性能も優れたものとすることができる。また、金属化した反対の面にヒートシール性に優れたヒートシール層を積層してもピックオフのない外観に優れた金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムとすることができる。
Claims (11)
- アイソタクチックポリプロピレンからなる基層の少なくとも片面に、結晶融解に伴う吸熱の主ピークが155〜163℃にあり、結晶融解熱量が20〜90J/gであるポリプロピレン系樹脂からなる表層が積層された積層二軸配向フィルムの、該表層上に光学濃度1.6以上の金属薄膜が積層され、該表層と該金属薄膜との接着強度が40g/cm以上である金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- アイソタクチックポリプロピレンからなる基層の少なくとも片面に、結晶融解に伴う吸熱の主ピークが155〜163℃にあり、結晶融解熱量が20〜90J/gであるポリプロピレン系樹脂からなる表層が積層された積層二軸配向フィルムの、該表層上に光学濃度1.6以上の金属薄膜が積層され、かつ、該金属薄膜が積層された反対側に結晶融解温度が140℃以下のポリオレフィン系樹脂からなるヒートシール層が積層されてなる金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- アイソタクチックポリプロピレンからなる基層に積層されるポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱のすべてのピークが155〜163℃にる請求項1あるいは2に記載の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- 表層のポリプロピレン系樹脂が、メソペンタッド分率が60〜88%のアイソタクチックポリプロピレンを主体とした樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- 表層のポリプロピレン系樹脂が、メソペンタッド分率が60〜88%のアイソタクチックポリプロピレンであることを特徴とする請求項4に記載の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- 基層のアイソタクチックポリプロピレンのメソペンタッド分率が88%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- 表層の樹脂が、極性基を実質的に含まない石油樹脂および極性基を実質的に含まないテルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種をポリプロピレン系樹脂100重量部に対し20重量部を上限に添加したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- 表層の厚みが0.25μm以上であり、かつ基層の厚みの半分以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- 金属薄膜がアルミニウム薄膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム。
- 請求項2の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの金属化された面に溶融押出されたポリエチレン系樹脂を介して二軸配向ポリプロピレンフィルムが積層された積層体。
- 請求項10において、ポリエチレン系樹脂を介して積層された二軸配向ポリプロピレンフィルムの上にヒートシール層が積層された、両面にヒートシール層を有する積層体。
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