JP4240608B2 - 食品包装材及びこれを用いた食品包装容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱殺菌加工食品、冷凍食品、チルド食品、調味料、食品素材等を密封包装するのに使用する包装材とこの包装材を用いた容器に関するもので、詳細には加熱後転倒しても内容物が漏れることのない包装材と容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来行われている包装された食品の加熱処理には大別して次の3種の方法が用いられている。
▲1▼ 開封後別の容器に移して加熱する。
▲2▼ 加熱前に開封し、そのまま加熱する。
▲3▼ 密封状態のまま加熱し、加熱中に容器の一部が開封する。
ところで▲1▼の開封後別容器に移して加熱する方法は別容器が必要である。
また▲2▼の開封して加熱する容器は容器に開封する手段を設置する必要がある。
▲3▼の密封した状態のまま加熱し、加熱中に破裂を防ぐため容器の一部が開封する容器を用いる場合は、加熱後は開封状態であるので加熱装置から容器を取り出す際、加熱された内容物が漏洩し加熱装置を汚したり、またこの漏洩により取り出す者等に火傷を負わせる危険が大きい。
最近、スーパー、デパートそしてコンビニエンスストアーの食品販売コーナーに電子レンジが設置され、消費者が購入した食品を加熱して、持ち帰ることが行われているが、従来容器では、加熱により開封されるため、持ち帰る際に容器の転倒等により内容物の漏洩及びそれによる火傷の危険性が大きい。
また、容器内に配置されている添付用調味料容器は衛生上の観点からそのまま加熱するが、調味料がマイクロ波で加熱され、調味料容器の内圧が上昇し、破裂する問題がある。また加熱させないように金属箔積層体で形成した調味料容器を用いると、金属箔が放電する問題がある。
【0003】
次に従来技術について具体的に例を挙げて説明する。特開平3−1767号公報にはベースフイルムと不織布とを剥離可能に積層した積層フイルムを用いた容器が記載されている。そして加熱前にベースフイルムと不織布を剥離することにより通気性と通水性が得られると説明されているが、この容器はベースフイルムと不織布の間に非接着層がないので加熱時に蒸気がベースフイルムを押し上げるので予め接着部を剥離し開封して加熱しなければならず、開封の手間がかかり、また開封処置を忘れた場合容器が破裂する問題があり、さらに通常の食品売場で電子レンジで加熱するため容器を開封することは衛生上の問題がある。
また特開平9−40032号公報には、「プラスチックラミネートフイルムを折曲げ成形し、接合端部および両端部をヒートシール加工してヒートシール部を形成した電子レンジ用包装袋において、上記ヒートシール部のうちの少なくとも1つのヒートシール部に、所定の蒸気圧に達した時に剥離して蒸気逃げ孔を形成する易剥離区域を設けたことを特徴とする電子レンジ用包装袋。」が記載されており、特開平9−267870号公報には「耐熱性樹脂フイルムからなる密閉容器の内圧調整用折り込み部として、内面側にパートコート材をコーティングし、該パートコート材をシールした時にパートコート材で閉鎖される位置に貫通孔または切り目を入れた耐熱性樹脂フイルムからなる袋」が記載されている。これ等の袋は完全な貫通孔が設けられているので消費者が店頭で電子レンジで加熱し、持ち帰る際容器が転倒すると加熱された内容物が漏洩する問題がある。
特開平9−40033号公報には「不通気性のシート層を外層、吸水性を有するパルプ繊維シート層を中間層、透湿通気かつ防水機能を有するメルトプローン不織布層を内層として配した食品包装材であって、前記メルトプローン不織布層が、全樹脂中でのエチレン含有量が2〜10%の、エチレン−ポリプロピレンランダム共重合体樹脂か、またはポリプロピレン系樹脂とエチレン系樹脂との合成樹脂からなるものであることを特徴とする電子レンジ加熱用食品包装材。」が記載されている。
しかしながら、吸水層を設けると電子レンジで加熱したとき吸水した水が加熱されのでこの吸水層が加熱され袋が破壊する危険がある。また、実開平5−19171号公報には「不通気性シートを外層、吸水性繊維シートを中間層、疎水性シートとを食品に接する内層として食品を包装し、密封シールした食品包装体であり、該疎水性シートは10cc/cm2/sec.以上の通気度を有し、シール部分において該不通気性シートと該吸水性繊維シート間および/または該吸水性繊維シートと該疎水性シート間は実質的に表面層のみで接合した部分を形成したことを特徴とする食品包装体。」が記載されている。
このようにシール部で各層の表面のみを接着し吸水層を外部と連通する構造とすると該吸収層は表面以外は通気性となり流通工程で外部と連通し外部の菌や異臭ガス等の異物が侵入し内容物が汚染される危険がある。
本発明者は先に特願平10−46125号として、容器の一部に、耐水圧が1cmH2O以上である微小透孔を有する気体を透過し液体を透過しない内面層と、気体と液体の両者を透過しない外面層の間に両層と接着しない非接着部を形成し、周縁の少なくとも一部を易剥離性でかつ外部と連通しない接着部により接着して、該非接着部の易開通構造部を配設してなる、漏れを防止した食品包装容器を出願した。この食品容器は加熱による破裂もなく、漏れも防止された優れた効果を奏する。
本出願の発明はこの発明をさらに発展させ、特殊な内側フイルムを用いることにより容器の落下強度など機械的強度の向上及び易開封性を向上した、ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
包装容器の落下強度が強く、また破裂することなく、そのまま加熱が可能で、加熱後の輸送時及び容器が転倒した場合も、内容物が漏洩せず流通工程で内容物の汚染が発生せず更に容易に開封可能な容器を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1.内側フイルムと外側フイルムが積層されてなる蓋材がフランジ部に溶着された食品包装容器であって、前記内側フイルムには部分的に多数の貫通小孔または部分的に切開部が形成され、該内側フイルムの外面または内面に、気体は透過するが液体は透過しない気体透過−液体不透過層を、該多孔部または切開部を覆い且つ多孔部または切開部の周辺で溶着して配設し、前記外側フィルムは、少なくとも気体も液体も透過しない気体−液体不透過フイルムから成り、前記気体透過−液体不透過層が耐水圧が1cmH 2 O以上である微小透孔を有する不織布、多孔質膜、孔開け加工または切開加工した膜から選んだ膜で形成された層であり、内側フイルムと外側フイルムの間には多孔部または切開部に連通し、内容物を収納することのない非接着部を設け、該内側フイルムと、該外側フイルムとは少なくとも非接着部の周辺で溶着し一体に結合しており、溶着部の少なくとも一部に非接着部と連通する弱接着部を設置した易開通構造部を配設して形成してなる、漏れを防止した食品包装容器。
2.易開通構造部が内側フイルムと外側フイルムの非接着部の周縁の少なくとも一部を弱接着性でかつ剥離するまでは外部と連通性のない弱接着部により接着し、他の周縁は強固な接着部で接着した構造部である、請求項1に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
3.前記弱接着部が、弱接着剤、粘着剤又は感熱接着剤による接着力の弱い接着部である請求項1または2に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
4.内側フイルムと外側フイルムが積層されてなる蓋材がフランジ部に溶着された食品包装容器であって、前記内側フイルムには部分的に多数の貫通小孔または部分的に切開部が形成され、該内側フイルムの外面または内面に、気体は透過するが液体は透過しない気体透過−液体不透過層を、該多孔部または切開部を覆い且つ多孔部または切開部の周辺で溶着して配設し、前記外側フィルムは、少なくとも気体も液体も透過しない気体−液体不透過フイルムから成り、前記気体透過−液体不透過層が耐水圧が1cmH 2 O以上である微小透孔を有する不織布、多孔質膜、孔開け加工または切開加工した膜から選んだ膜で形成された層であり、内側フイルムと外側フイルムの間には多孔部または切開部に連通し、内容物を収納することのない非接着部を設け、該内側フイルムと、該外側フイルムとは少なくとも非接着部の周辺で溶着し一体に結合しており、溶着部の少なくとも一部が非接着部に突出し、非接着部の中心と非突起状の溶着部との最も短い距離L1と、該非接着部の中心と突起状の溶着部の非接着部と反対側の突起の先端の距離L2の間にL1>L2の関係を満たす突起を設けて形成した易開通構造部を配設してなる、漏れを防止した食品包装材。
5.非接着部が水平面の断面が円形、楕円形または多角形である、請求項4に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
6.非接着部が水平面の断面が円形、楕円形または多角形以外の異形であって、非接着部の中心を異形の非接着部に外接する仮想の円、楕円または多角形の中心とした、請求項4に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
7.内側フイルムと外側フイルムが積層されてなる積層体からなる食品包装容器であって、前記内側フイルムには部分的に多数の貫通小孔または部分的に切開部が形成され、該内側フイルムの外面または内面に、気体は透過するが液体は透過しない気体透過−液体不透過層を、該多孔部または切開部を覆い且つ多孔部または切開部の周辺で溶着して配設し、前記外側フィルムは、少なくとも気体も液体も透過しない気体−液体不透過フイルムから成り、前記気体透過−液体不透過層が耐水圧が1cmH 2 O以上である微小透孔を有する不織布、多孔質膜、孔開け加工または切開加工した膜から選んだ膜で形成された層であり、内側フイルムと外側フイルムの間には多孔部または切開部に連通し、内容物を収納することのない非接着部を設け、該内側フイルムと、該外側フイルムとは少なくとも非接着部の周辺で溶着し一体に結合しており、溶着部の少なくとも一部の膜厚を薄くした薄膜部を非接着部に連通する位置に配置して形成した易穿孔性の易開通構造部を配設してなる、漏れを防止した食品包装容器。
8.易穿孔性の易開通構造部が外側フイルムの少なくとも一部をホットメルト型の合成樹脂で形成した低温溶融部である、請求項7に記載された漏れを防止した食品包装容器。
9.易穿孔性の易開通構造部が外側フイルムの少なくとも一部を切開し、易剥離性接着剤により他のフイルムを貼着して封止した易剥離性封止部である、請求項7に記載された漏れを防止した食品包装容器。
10.易穿孔性の易開通構造部が外側フイルムの少なくとも一部を1軸延伸したフイルムで形成した易引裂部である、請求項7に記載された漏れを防止した食品包装容器。」に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の包装材としては内面層を部分的に多数の貫通小孔又は切開部を設けたフイルムの該部分の片面に気体を透過するが液体を透過しない層を配設し、この内面層と気体と液体の両者を透過しない外面層との周縁熱溶融して溶着し両層を一体化し、内層と外層の間に両層と接着しない非接着部を形成しこの溶着部の一部に非接着部と連通する弱接着部を配置して形成した易開通構造部が好適である。このように包装材と容器の一部に易開通構造部を配設したのは、この包装材を用いた容器を加熱すると内容物から発生した蒸気はガスであるので内面層の気体透過−液体不透過膜及び貫通孔や切開部を通って内面層と外面層の間に形成された非接着部に侵入し、内面層と外面層を押圧する。内面層と外面層の溶着部に形成された弱い接着力により接着されている易開通構造部は蒸気の熱の圧により剥離し蒸気は剥離部を通って外部に放出されるので容器の破裂は発生しない。
この様な構造の易開通構造部は弱接着部が剥離したとき非接着部が外部と連通するため、弱接着部の少なくとも一部が外部に露出していることが好ましく、容器の端部に配設することにより簡単に露出させることがができ、蓋と容器本体の密着部や袋のシール部に設置することが実用的である。
【0007】
本発明で言う弱接着とは50℃以上の接着力が内面層と容器との接着力より小さければよく、1000g以下/cmの接着力を意味する。
易開通構造部が連通する非接着部の内面を気体を透過するが液体を透過しない層としたので、店頭で加熱した容器を持ち帰る際や、加熱して加熱装置から取り出すときに容器が転倒しても、非接着部には液体が侵入しないので内容物が漏洩することはなく、安全かつ衛生的である。
【0008】
本発明でいう気体が透過しない層とは透気度が0.01cc/cm2/sec以下の層であり、また液体を透過しない層とは耐水圧が1cmH2O以上の層をいう。
本発明の容器の気体透過−液体不透過膜は、不織布、多孔質膜、孔開け加工した膜等であるが、気体は透過し、液体は不透過の性能を得るため、それらの層の材質や厚みそして孔径を調整し、耐水圧が1cmH2O以上である必要があり、特に、3cmH2O以上の層が効果が大きいが、耐水圧があまり大きいと材料が高価格となる問題があるので1cmH2O〜80cmH2Oが好ましい。なお、ここでいう耐水圧とはJIS L 1092の耐水度試験法のA法に準じる試験法である。
【0009】
本発明の容器の内側層に適したプラスチック材料としては、気体透過−液体不透過膜と溶着し、且つ、容器本体とは加熱後容器開封時に容易に開封することが必要であり、例えば、結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、環状オレフィン等のポリオレフィン類:ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体:ポリアクリル系樹脂:ニトリル共重合体:ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂フイルムやこれらのブレンド物フイルムそして積層フイルム等が使用される。
また、本発明の容器の易開通構造部の外面層に適したプラスチック材料としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、環状オレフィン等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル共重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体のようなニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラ又はメタキシリレンアジパミドのようなポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂フイルムや、これ等のフイルムを積層したフイルムや、これ等に金属を蒸着したフイルムや、金属箔、紙等との積層体が使用されるが、電子レンジ加熱用には金属を用いることは好ましくない。
【0010】
本発明の食品包装材の易開通構造部が連通する内面層と外面層の間に配置された両層と接着しない非接着部は両層間に空隙を形成してもよく、単に接着しないで両層が重なっている形状でもよい。
内面層と外面層は互いに強く接着されていてもよいが、非接着部に接続する弱い接着力で接着した弱接着部が配置されていれば、容器を加熱したときの蒸気熱圧が非接着部に侵入し、そこに接続している弱接着部を剥離し、外部と連通する。弱接着部は例えば接着力の弱い接着剤や粘着剤による接着が用いられる。この他蒸気の熱により接着力が低下する感熱性接着剤も使用される。
このほか、易穿孔性の易開通構造部や、非接着部の周辺の溶着部の一部を非接着部側に突出させ、非接着部中心から突起状溶着部以外の溶着部との最も短い距離L1と突起状溶着部の非接着部と反対側の溶着部の突起先端との距離L2の間にL1>L2の関係を満たす突起を形成することにより易開通性とすることもできる。
【0011】
本発明の他の発明である容器はカップ、トレー、ボトル等の成形品または袋である。
本発明は本発明の包装材を容器の少なくとも一部に使用することにより容器に易開通性を与えることができるものであり、容器本体は通常の合成樹脂フイルム、紙、積層体等で形成することができる。この他容器自体を本発明の気体は透過するが液体を透過しない内面層と、気体と液体を透過しない外面層とを積層した包装材で形成し、器壁や蓋の一部に両層が接着しない非接着部を設け、該非接着部の周縁の接着部の一部を弱接着として、容器の一部に易開通構造部を配設することもできる。
このように内面層と外面層の周縁に弱接着部を設けた易開通構造部はカップ、トレー、ボトル等の成形品の場合は容器本体と蓋体との被蓋部に易開通構造部を設置することが好ましい。
袋の場合は袋を密封するシール部に易開通構造部を配置することが好ましい。
容器本体は金属、ガラス、プラスチック、紙、これ等の積層体または複合体で形成される。蓋体も同様であるが、電子レンジ加熱用容器の場合は金属を用いることは好ましくない。
【0012】
また本発明において、容器の一部に配設する易開通構造部としては、前述の内面層と外面層の両層の間に非接着部を設けその周縁の少なくとも一部に弱接着部を設けたものの他、非接着部の外面層の非接着部と連通する位置に設けた易穿孔性の易開通構造部、或いは溶着部の一部に特別形状の突起を形成した易開通構造部もある。
このような易穿孔性の易開通構造部も内容物が加熱されると発生した蒸気が非接着部に侵入し、内面側フイルム層と外面側フイルム層を熱圧するので易穿孔性易開通構造部が破れ穿孔して外部も開通し容器の破裂は防止される。
易穿孔性の易開通構造部としては、非接着部の外面層の少なくとも一部の膜厚を薄くした薄膜部や、非接着部の外面層の少なくとも一部をホットメルト型の合成樹脂で形成した低温溶融部や、接着部の外面層の一部を切開し、この切開部に易剥離性接着剤により他のフイルムを貼着して封止した易剥離封止部や、非接着部の外面層の少なくとも一部を1軸延伸フイルムで形成した易引裂部等がある。
易穿孔性の易開通構造部としてホットメルト型合成樹脂で形成した低温溶融部を配設する場合は外面層フイルムに孔を配設し、この孔をホットメルト型合成樹脂で埋めるのが実際的である。
容器が袋の場合は易穿孔性の構造部を設けた易開通構造部は胴部に設けることが好ましく、容器がカップ、トレー、ボトル等の成形容器の場合は蓋の天板や容器の胴部の上部に配設することが好ましい。
【0013】
また、易開通構造部が非接着部の周縁の外側フイルムと内側フイルムの溶着部の少なくとも一部に非接着部側に突出した突起状の溶着部を形成し、該突起状溶着部の形状が非接着部の中心から突起状でない溶着部の最短距離L1と、突起状溶着部の非接着部の反対側の突起の先端との距離L2の間にL1>L2の関係を満たす構造部でもよい。
この形状の溶着部は内容物が加熱されて発生した蒸気が非接着部に侵入し、内側フイルムと外側フイルムを熱圧すると両フイルムは突起状溶着部の先端部から剥離が始まり、進行する。そして非突起状溶着部の位置まで剥離すると剥離させる力は非突起状の溶着部と同一となり、剥離が停止する。
ところが、突起状溶着部の非接着部と反対側の突起の先端が、非突起状の溶着部より非接着部側にあると、この先端部も剥離するので外部に開通する。
このように溶着部の構造を一部に突起形状を設け非接着部と反対側の突起の先端が、非突起状の溶着部より非接着部側にあると内圧を受けて剥離がこの先端部から発生するが単に溶着部に突起状部を設けただけでは外部と開通しない。
剥離は非突起状の溶着部の位置で停止するから、剥離が非突起状の溶着部の位置に達する前に開通しなければならない。
そのためには突起状溶着部の形状が、非接着部の中心から突起状でない溶着部との最も短い距離L1と、突起状溶着部の非接着部の反対側の突起の先端との距離L2の間にL1>L2の関係を満たさなければならない。この関係を満たす突起状の溶着部は必ず非接着部と反対側の突起の先端が、非突起状の溶着部より非接着部側にあるので易開通部となるのである。
【0014】
非接着部中心を通る水平面の断面が円形の場合L1は円の半径となり、多角形の場合は中心と辺の最短距離となり、楕円の場合は短径の半径となる。
非接着部が水平面の断面が円、楕円、多角形以外の異形の場合は非接着部の中心は、これ等の異形の接着部に外接する仮想の円、楕円、または多角形の中心として突起状溶着部の構造をL1>L2とすれば易開通構造部となる。
容器本体、蓋、袋等は金属、ガラス、プラスチック、紙及びこれ等の積層体または複合体で形成することができる。
容器の加熱は電子レンジ加熱の他湯煎加熱、直火加熱、電磁加熱が用いられる。
【0015】
【実施例】
本発明を実施例について具体的に説明する。
【0016】
図1は容器として成形体を用い内面層と外面層の周縁の少なくとも一部を弱接着した易開通構造部9を配設した実施例である。1は容器本体である。2は開口部を密封する蓋体であって、本発明の包装材で形成されており、気体と液体を透過しない外面層3と液体を透過しないが気体を透過する気体透過−液体不透過層を配設した内面層4とを積層してなり両層間に非接着部5が配設されている。易開通構造部9の弱接着部は通気性を遮断した接着でなければならない。そうでないとこの易開通構造部の内面層はガス透過性を有するため外気が侵入し、菌、異臭等により汚染され、また内気や内容物の水分が放出されるため内容物の品質変化が発生するからである。蓋体の周縁部は容器本体外周縁に設置されたフランジ11に接着されている。この例では易開通構造部9の端部は外部に露出している。
本発明の包装材で形成された蓋2の内側フイルムに配設された、気体透過−液体不透過層は、内側フイルムに部分的に設けた多数の貫通小孔6の片面に気体は透過するが液体を透過しない層7を周縁部を内側フイルムに熱溶着して配置し形成される。8は熱溶着部である。この気体透過−液体不透過層は非接着部5に連通する位置に配置されている。気体透過−液体不透過層は外側フイルムとは接着していない。外側フイルムと内側フイルムは非接着部5の周縁で熱溶着され、積層体となるが、外側フイルムと内側フイルムの熱溶着部の少なくとも一部を弱接着させることにより易開通構造部9を形成する。勿論熱溶着部の全体を弱接着部としてもよい。この様な弱接着部は例えば外側フイルムをポリエチレンフイルムとし、内側フイルムをポリプロピレンまたはポリプロピレンとポリエチレンのブレンド物フイルムとすることにより弱接着部とすることができる。
10は容器の開口部のフランジ11と蓋2の内側フイルムが熱溶着された易開封部であって、蓋を開ける時易開封性であれば容易に開口できる利点がある。このような易開封部はフランジと内側フイルムを易開封性となるように組み合わせればよく、例えば容器をポリエチレンで作り、内側フイルムとしてポリプロピレンとポリエチレンのブレンドを用いる。
【0017】
図2は容器本体のフランジと蓋体の一部に形成された易開通構造部9を拡大して説明する。フランジ11には蓋体の易開通構造部の内面層である膜4が易剥離接着10している。この易剥離接着は加熱時に内容物からの蒸気圧で開封しない接着強度があればよく、該接着強度を有するものであれば加熱後開封するのに便利な易剥離性シールが好ましい。蓋体の外面層である3は弱い接着力の易剥離性接着部で内面層4に接着している。内面層と外面層の間には非接着部5が形成されており、該非接着部5に接触して易開通構造部9が配設されている。
【0018】
図3は容器が加熱されたところを示す。蒸気は矢印の方向に運動して気体を透過する内面層の多孔部6と気体を透過するが液体を透過しない層7を透過して非接着部5に侵入し、気体を透過しない外面層3を押し上げる。このため蓋体と容器本体の弱接着部で形成される易開通構造部9に圧力が加えられる。
図4は蓋体の外面層3と内面層4を接着している弱い接着力の易剥離性接着部が剥離し、非接着部5が外方と開通して蒸気が放出されるところを示す。
内面層4は容器本体のフランジ7とより強い接着力で接着しているので蒸気圧では剥離しない。蒸気圧による剥離はもっぱら外面層と内面層を弱い接着力で接着して形成されている易開通構造部に発生する。
【0019】
図5は加熱し弱い易剥離性接着部は剥離し非接着部が外部と開通した容器を転倒したところを示す。液体は内面層に向って移動するが内面層は液体を透過しないので非接着部に流入せず、剥離した開通部から外方に流出することはない。つまり転倒しても漏洩しないのである。
図6は容器を蓋の上方から俯瞰した図であり、11はフランジとの接着部、9は易開通構造部であり、この例のように両端に配設されてもよく一端のみでもよい。5は内面層と外面層の間に形成された非接着部5である。8は溶着部、7は気体は透過するが液体は透過しない層である。
このように易開通構造部は容器の一部に形成されていればよく、この例で蓋とフランジの接着部全面を易開通構造部としてもよい。このように全面を該積層構造としても加熱したとき易開通構造部の何処かが剥離するだけであり、内面層が残るので漏洩は生じない。
【0020】
図7は容器が袋の場合である。9は易開通構造部であり、5の部分には内面層と外面層の間に非接着部が形成されている。7は気体は透過するが液体は透過しない層であり、8は該層と内側フイルムの溶着部である。この例は四方シールの袋であるが図8の如く三方シールの袋としても同様である。
袋の場合も袋の一部にこのような易開通構造部を設ければよい。
図9は容器が袋の場合の易開通構造部の説明図である。3は液体も気体も透過しない外面層である。4は内面層であって、内側フイルムに設けられた多孔部6の内側に気体は透過するが液体は透過しない層7が配置されている。5は両層間に設けられた非接着部であり、9は内面層と外面層の間に設けられた弱い接着力で接着した接着部で形成された易開通構造部である。
【0021】
図10は容器が成形体であり、容器の少なくとも一部に設けた易開通構造部が内面層と外面層の間に設けられた非接着部の外面層に易穿孔部を配設した構造部からなる例である。
1は容器本体であり、蓋2が容器本体のフランジ11に接着している。蓋はガスも液体も透過しない外面層3とガスは透過するが液体は透過しない層を配置した内面層4からなり、両層の間には非接着部5が設けられている。非接着部の周縁は強接着である。非接着部の外面層には易穿孔性易開通構造部12が設置されている。
【0022】
図11は易穿孔部の例を示し、非接着部5の上方の外面層3の一部の膜厚を薄くして易穿孔性易開通構造部12とした例である。容器を加熱すると蒸気はガスを透過する内面層4を通って矢印の方向に移動して非接着部5に侵入し外面層を押し上げる。こうして内圧が大きくなると外面層の薄肉部13は破れて穿孔し蒸気は外方に脱出する。
容器が倒れても内面層は液体を通さないので洩れることはない。
図12は、ホットメルト型樹脂で易穿孔部を形成した例である。12は易穿孔性易開通構造部であって、非接着部5の上方の外面層に予め孔14を設けこの孔をホットメルト型樹脂15で充填して易穿孔部とする。
容器を加熱すると蒸気はガスを透過する内面層4を通って矢印の方向に移動して非接着部5に侵入し外面層を押し上げる。こうして内圧が大きくなり、易穿孔性易開通構造部12は加熱加圧されるのでホットメルト型樹脂が溶融し穿孔される。
図13は易剥離性樹脂を用いて穿孔性易開通構造部を形成した例である。12は易穿孔性易開通構造部であって、非接着部5の上方の外面層に予め孔を設けこの孔に易剥離性接着剤16を用いて他のフイルム17を貼着して孔を封止し易穿孔性易開通構造部とする。容器を加熱すると蒸気はガスを透過する内面層4を通って矢印の方向に移動して非接着部5に侵入し外面層を押し上げる。こうして内圧が大きくなると易剥離性接着剤は剥離し孔があいて蒸気は外方に脱出する。
この該非接着部の外面層の少なくとも一部を一軸延伸フイルムで形成し、蒸気圧で開裂させる穿孔部からなる易開通構造部も用いられる。以上の例では易開通構造部蓋に配設したが胴部、特に胴部上方に設けることも好ましい。
また袋の場合はこのような易穿孔部からなる易開通構造部は袋の胴部に配設することが実用上有利である。
【0023】
図14は外側フイルムと内側フイルムの非接着部と連通する位置の該接着部の周縁の溶着部の少なくとも一部に非接着部に突出し、非接着部の中心と非突起状の溶着部との最も短い距離L1と突起状の溶着部の非接着部と反対側の突起の先端の距離L2の間にL1>L2の関係を満たす突起を設けて形成した易開通構造部を配設した例である。内側フイルムと外側フイルムを溶着部18によって溶着し、非接着部5が形成されている。溶着部18の一部に非接着部5内に向って突出する突起状溶着部19が配設されており、この溶着部19の非接着部と反対側には突起20が形成されている。非接着部の中心21と非突起状溶着部との最短距離L1と溶着部19の非接着部と反対側の突起20の先端との距離L2の間にはL1>L2の関係が満たされなければならない。
内圧が大きくなると、内側フイルムと外側フイルムは突起状溶着部の先端から剥離する。この例では溶着部19の非接着部と反対側の突起状溶着部の先端まで剥離して開通するが、例えば図15に示すように溶着部19の非接着部と反対側の突起20の先端が非突起状溶着部の中心部よりの最短距離より長い距離の位置、つまり非突起状溶着部18の内側表面より外側にある場合は突起状溶着部先端で生じた距離は非突起状溶着部の内側表面で停止する。つまりこの点まで剥離すると剥離力は非突起状溶着部と同一になるため小さい内圧では剥離せず、もし剥離が生ずる場合も突起状溶着部の位置には限らない。したがって易開通構造部とはならない。
このように非突起状溶着部のどこかに、中心との距離が溶着部19の非接着部と反対側の突起20の先端より短い箇所があっては易開通構造部とならないので、非溶着部中心と溶着部19の非接着部と反対側の突起20の距離L2と非接着部中心と非突起状溶着部との最短距離L1の間にはL1>L2の関係を満たすことが必要である。この関係を満たせば突起の形状は、V字型、U字型、W字型等どのような形でもよい。
【0024】
次に非接着部の中心について説明する。
非接着部は種々の形状とすることができる。内容物が加熱されて発生した水蒸気が侵入すると膨らんで球状等となるが加熱前は平面状となっているので平面状で説明する。
非接着部が円形、楕円形、多角形状である場合は、非接着部の中心はこれ等の形状の中心となり、またL1は円形の場合は半径、楕円の場合は短径の半径となる。多角形の場合は中心と辺の最短距離となる。
非接着部が円、楕円、多角形以外の形状、いわゆる異形の場合はこの形状に外接する仮想の円、楕円、多角形の中心が非接着部の中心となる。このような場合もL1>L2が満足される突起状溶着部であれば易開通構造部となる。この例では融着部の一部にV字形状の融着部を設けて、V字の先端に内圧がかかり、弱い内圧でも剥離する形状とする易開通構造部とした。このような構造では、内圧がV字の先端に集中し、溶着部の接着強度が強くても、弱い内圧で、剥離は開始し、V字以外の溶着部に内圧がかかる前にV字部が剥離し、非接着部と外部が開通することによって、溶着部が強接着でも容易に開通する。
【0025】
実施例1
外側フイルムとして12μmのBOPETフイルムと30μmLLDPE(線状低密度ポリエチレン)フイルムを接着材を用いてラミネートした積層フイルムをBOPETを外側にして使用した。
内側フイルムはポリプロピレンとポリプロピレン+ポリエチレンのブレンド物の積層体(厚み30μm)のフイルムに長さ10mmの貫通線状切り込みを2個いれ、ポリプロピレン+ポリエチレンのブレンド層を内側として用いた。この切り込み部の外側面にPP製不織布(三井石油化学製 シンテックスMBV3050N1E、通気度:25cc/cm2/sec)を切り込みを覆うように配置し、周縁部を熱接着し、気体透過−液体不透過膜層を形成した。
外側フイルムと内側フイルムを積層し、周縁部を融着し、外側フイルムと内側フイルムの間に両フイルムに接着しない非接着部を形成した。非接着部と連通する位置に内側フイルムの気体透過−液体不透過膜層が配置されている。
この食品包装材を蓋体とし、フランジを有するPP製カップ(フランジ径:75mm、口径:60mm、底径:50mm、高さ:35mm、内容積:90cc)に内容物として、水を70cc充填し、蓋体をフランジにヒートシールして得た図1のカップを用いた。
PP製カップと内側フイルムの接着強度は1800g/15mmの易剥離性であり、内側フイルムと外側フイルムの接着強度は250g/15mmの弱接着であった。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行ったが、内側フイルム及び外側フイルムのシール部の破損または気体透過−液体不透過膜の破損等もなかった。またこの容器を電子レンジ(500W)で3分間加熱した結果、容器の破裂もなく、内容物は沸騰した。さらに加熱後容器を転倒させても、内容物が漏洩することもなかった。
【0026】
比較例1
内側フイルムと外側フイルムとの層間において、気体透過−液体不透過膜層と連通する位置に非接着部がないように全面接着した以外は実施例1と同じ容器を形成し、電子レンジ加熱を行った結果、加熱1分後に内容物の内圧上昇にともない容器が破裂した。
【0027】
比較例2
通気量が280cc/cm2/secである多孔質膜PP膜を気体透過−液体不透過膜層として使用した以外は実施例1と同じ容器を形成し、電子レンジ加熱を行った結果、加熱3分でも容器の破裂は生じなかったが、加熱後容器を転倒した場合、内容物が漏洩した。
【0028】
比較例3
内側フイルムにPP製不織布(三井石油化学製 シンテックスMBV3050N1E、通気度:25cc/cm2/sec)を用いた以外は実施例1と同じ容器を形成した。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行った結果、内側フイルムのシール部が破損し、内側フイルムと外側フイルム間の非接着部に内容物が侵入した。この容器を電子レンジ加熱を行った結果、加熱3分でも容器の破裂は生じなかったが、加熱後容器を転倒した場合、内容物が漏洩した。
【0029】
比較例4
内側フイルムと外側フイルムとの接着を熱シールではなく、強接着(1500g/15mm)であるウレタン系接着剤で接着したこと以外は実施例1と同じ容器を形成し、電子レンジ加熱を行った結果、加熱1分後に内容物の内圧上昇に伴い容器が破裂した。
【0030】
実施例2
内側フイルムと外側フイルムとの接着を熱シールではなく、粘着剤(リンテック株式会社製、スーパーテック PET−20)を用い、接着したこと以外は実施例1と同じ容器を形成した。
PP製カップと内側フイルムの接着強度は1800g/15mmの易剥離性であり、内側フイルムと外側フイルムの接着強度は100g/15mmの弱接着であった。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行ったが、内側フイルム及び外側フイルムのシール部の破損または気体透過−液体不透過膜の破損等もなかった。またこの容器を電子レンジ(500W)で3分間加熱した結果、容器の破損もなく、内容物は沸騰した。更に加熱後容器を転倒させても、内容物が漏洩することもなかった。
【0031】
実施例3
内側フイルムの切り込みの代わりに直径2mmの貫通小孔を5個開け、気体透過−液体不透過膜層にPP製不織布(三井石油化学製シンテックスMB、V3040N1E、通気度:35cc/cm2/sec)を用い、外側フイルムとして50μPP/接着剤/12μポリエステル積層体を用い、PP層を内面として熱接着を行った。また外側フイルムの非接着部に連通する位置に直径2mmの貫通孔(孔の数3個)を開け、EVA系のホットメルト用コーティング剤で封孔処理をしたこと以外は実施例1と同じ容器を形成した。この容器の内側フイルムと外側フイルムとの接着強度は2400g/15mmであった。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行ったが、内側フイルム及び外側フイルムのシール部の破損または気体透過−液体不透過膜の破損等もなかった。またこの容器を電子レンジ(500W)で3分間加熱した結果、容器の破裂もなく、内容物は沸騰した。さらに加熱後容器を転倒させても、内容物が漏洩することもなかった。
【0032】
実施例4
外側フイルムの孔開け加工の代わりに、非接着部に位置するPP/接着剤/ポリエステル積層体にPP層から刃物を押しあてることにより十文字の傷を付けたこと以外は実施例3と同じ容器を形成した。十文字の傷は非接着部のほぼ中央の位置で、長さ約20mmであった。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行ったが、内側フイルム及び外側フイルムのシール部の破損または気体透過−液体不透過膜の破損等もなかった。またこの容器を電子レンジ(500W)で3分間加熱した結果、容器の破裂もなく、内容物は沸騰した。さらに加熱後容器を転倒させても、不織布が内容物が漏洩することもなかった。
【0033】
実施例5
外側フイルムの孔開け加工の代わりに、非接着部に位置するPP/接着剤/ポリエステル積層体に15mmの貫通切り込みをいれ、その外面にEVA系弱接着剤で12μのポリエステルフイルムを部分的に貼着し、封止したこと以外は実施例3と同じ容器を形成した。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行ったが、内側フイルム及び外側フイルムのシール部の破損または気体透過−液体不透過膜の破損等もなかった。またこの容器を湯煎で加熱した結果、蓋材(PP/接着剤/ポリエステル積層体)外面層の非接着部は膨張し、外面のEVA系接着剤を介した12μのポリエステルフイルムの一部分が剥離し、容器の破裂もなく、内容物は沸騰した。さらに加熱後容器を転倒させても、内容物が漏洩することもなかった。
【0034】
実施例6
外側フイルムとして12μmのBOPETフイルムと30μmLLDPE(線状低密度ポリエチレン)フイルムを接着材を用いてラミネートした積層フイルムをBOPETを外側にして使用した。
内側フイルムはポリプロピレン(厚み30μm)のフイルムに長さ10mmの貫通線状切り込みを2個いれ、この切り込み部の外側面にPP製不織布(三井石油化学製 シンテックスMBV3050N1E、通気度:25cc/cm2/sec)を切り込みを覆うように配置し、周縁部を熱接着し、気体透過−液体不透過層を形成した。
外側フイルムと内側フイルムを積層し、周縁部を融着し、外側フイルムと内側フイルムの間に両フイルムに接着しない非接着部を形成した。非接着部と連通する位置に内側フイルムの気体透過−液体不透過膜層が配置されている。
この積層体を用いて、外寸40×80mmの三方シール袋を成形し、内容物として、醤油を10cc充填した。内側フイルムの切り込み部が上面にくるように配置し、電子レンジ(500W)で1分間加熱した結果、袋は容器の破裂せず、また内容物も漏洩することもなかった。
【0035】
実施例7
フランジを有する金属/PP積層製カップ以外は実施例1と同じ構成の容器を形成した。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行ったが、内側フイルム及び外側フイルムのシール部の破損または気体透過−液体不透過膜の破損等もなかった。またこの容器を湯煎で加熱した結果、容器の破裂もなく、内容物は沸騰した。さらに加熱後容器を転倒させても、内容物が漏洩することもなかった。
【0036】
実施例8
フランジを有するPP製カップ(フランジ径:85mm、口径:60mm、底径:50mm、高さ:35mm、内容積:90cc)の寸法、シール形状が図14であること以外は実施例1と同じ容器を形成した。シール部の形状は図14に示した通り、V字が対角に配置され、シール巾は2mm、V字の大きさは6.4mmでV字以外のシール部の内側端部(内径:76mm)よりV字の先端の外側の方が容器の中心に近い(V字先端の外側間の距離:74mm)、形状をしている。
この容器をJIS−Z0200の自由落下試験レベル1(落下高さ80cm)に準じて落下試験を行ったが、内側フイルム及び外側フイルムのシール部の破損または気体透過−液体不透過膜の破損等もなかった。またこの容器を電子レンジ(500W)で3分間加熱した結果、容器の破裂もなく、内容物は沸騰した。さらに加熱後容器を転倒させても、不織布が内容物が漏洩することもなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明は食品包装容器の落下強度が強く、破裂することなく、そのまま加熱が可能で、加熱後の輸送時および容器が転倒した場合も、内容物が漏洩せず流通工程で内容物の汚染が発生しない効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形体容器を用いた実施例の説明図である。
【図2】易開通構造部の拡大図である。
【図3】容器が加熱された場合の説明図である。
【図4】開通したところを示す説明図である。
【図5】開通転倒し易の洩れないことを示す説明図である。
【図6】蓋と易開通構造部の説明図である。
【図7】四方シール袋を用いた実施例の説明図である。
【図8】三方シール袋を用いた実施例の説明図である。
【図9】袋の易開通構造部の拡大図である。
【図10】易開通構造部として易穿孔性易開通構造部を用い容器の蓋に配設した実施例の説明図である。
【図11】薄膜の易穿孔性易開通構造部の拡大図である。
【図12】ホットメルト樹脂を用いた易穿孔性易開通構造部の拡大図である。
【図13】易剥離性樹脂を用いた易穿孔性易開通構造部の拡大図である。
【図14】突起状の溶着部を設けた形状の易開通構造部の説明図である。
【図15】易開通構造部とならない突起状溶着部の説明図である。
【符号の説明】
1 容器本体
2 蓋
3 外面層
4 内面層
5 非接着部
6 多孔部
7 気体透過−液体不透過膜
8 気体透過−液体不透過膜と多孔部の溶着部
9 易開通構造部
10 易剥離性接着部
11 フランジ
12 易穿孔性の易開通構造部
13 肉薄部
14 孔
15 ホットメルト型樹脂充填部
16 易剥離性接着層
17 封止フイルム
18 内側フイルム外側フイルムの溶着部
19 突起状溶着部
20 突起状溶着部の非接着反対側突起
21 非接着部の中心
L1 非接着部の中心と非接着部反対側突起の距離
L2 非接着部中心と非突起状溶着部の最短距離
Claims (10)
- 内側フイルムと外側フイルムが積層されてなる蓋材がフランジ部に溶着された食品包装容器であって、
前記内側フイルムには部分的に多数の貫通小孔または部分的に切開部が形成され、該内側フイルムの外面または内面に、気体は透過するが液体は透過しない気体透過−液体不透過層を、該多孔部または切開部を覆い且つ多孔部または切開部の周辺で溶着して配設し、前記外側フィルムは、少なくとも気体も液体も透過しない気体−液体不透過フイルムから成り、
前記気体透過−液体不透過層が耐水圧が1cmH 2 O以上である微小透孔を有する不織布、多孔質膜、孔開け加工または切開加工した膜から選んだ膜で形成された層であり、内側フイルムと外側フイルムの間には多孔部または切開部に連通し、内容物を収納することのない非接着部を設け、該内側フイルムと、該外側フイルムとは少なくとも非接着部の周辺で溶着し一体に結合しており、溶着部の少なくとも一部に非接着部と連通する弱接着部を設置した易開通構造部を配設して形成してなる、漏れを防止した食品包装容器。 - 易開通構造部が内側フイルムと外側フイルムの非接着部の周縁の少なくとも一部を弱接着性でかつ剥離するまでは外部と連通性のない弱接着部により接着し、他の周縁は強固な接着部で接着した構造部である、請求項1に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
- 前記弱接着部が、弱接着剤、粘着剤又は感熱接着剤による接着力の弱い接着部である請求項1または2に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
- 内側フイルムと外側フイルムが積層されてなる蓋材がフランジ部に溶着された食品包装容器であって、
前記内側フイルムには部分的に多数の貫通小孔または部分的に切開部が形成され、該内側フイルムの外面または内面に、気体は透過するが液体は透過しない気体透過−液体不透過層を、該多孔部または切開部を覆い且つ多孔部または切開部の周辺で溶着して配設し、前記外側フィルムは、少なくとも気体も液体も透過しない気体−液体不透過フイルムから成り、
前記気体透過−液体不透過層が耐水圧が1cmH 2 O以上である微小透孔を有する不織布、多孔質膜、孔開け加工または切開加工した膜から選んだ膜で形成された層であり、内側フイルムと外側フイルムの間には多孔部または切開部に連通し、内容物を収納することのない非接着部を設け、該内側フイルムと、該外側フイルムとは少なくとも非接着部の周辺で溶着し一体に結合しており、溶着部の少なくとも一部が非接着部に突出し、非接着部の中心と非突起状の溶着部との最も短い距離L1と、該非接着部の中心と突起状の溶着部の非接着部と反対側の突起の先端の距離L2の間にL1>L2の関係を満たす突起を設けて形成した易開通構造部を配設してなる、漏れを防止した食品包装材。 - 非接着部が水平面の断面が円形、楕円形または多角形である、請求項4に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
- 非接着部が水平面の断面が円形、楕円形または多角形以外の異形であって、非接着部の中心を異形の非接着部に外接する仮想の円、楕円または多角形の中心とした、請求項4に記載された、漏れを防止した食品包装容器。
- 内側フイルムと外側フイルムが積層されてなる積層体からなる食品包装容器であって、
前記内側フイルムには部分的に多数の貫通小孔または部分的に切開部が形成され、該内側フイルムの外面または内面に、気体は透過するが液体は透過しない気体透過−液体不透過層を、該多孔部または切開部を覆い且つ多孔部または切開部の周辺で溶着して配設し、前記外側フィルムは、少なくとも気体も液体も透過しない気体−液体不透過フイルムから成り、
前記気体透過−液体不透過層が耐水圧が1cmH 2 O以上である微小透孔を有する不織布、多孔質膜、孔開け加工または切開加工した膜から選んだ膜で形成された層であり、内側フイルムと外側フイルムの間には多孔部または切開部に連通し、内容物を収納することのない非接着部を設け、該内側フイルムと、該外側フイルムとは少なくとも非接着部の周辺で溶着し一体に結合しており、溶着部の少なくとも一部の膜厚を薄くした薄膜部を非接着部に連通する位置に配置して形成した易穿孔性の易開通構造部を配設してなる、漏れを防止した食品包装容器。 - 易穿孔性の易開通構造部が外側フイルムの少なくとも一部をホットメルト型の合成樹脂で形成した低温溶融部である、請求項7に記載された漏れを防止した食品包装容器。
- 易穿孔性の易開通構造部が外側フイルムの少なくとも一部を切開し、易剥離性接着剤により他のフイルムを貼着して封止した易剥離性封止部である、請求項7に記載された漏れを防止した食品包装容器。
- 易穿孔性の易開通構造部が外側フイルムの少なくとも一部を1軸延伸したフイルムで形成した易引裂部である、請求項7に記載された漏れを防止した食品包装容器。
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