JP4239702B2 - 駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の左右車輪を夫々独立して制御する電動式駆動装置を備える車両の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動式モータなどを使用し、車両の車輪を駆動する電動式駆動装置が知られている。そのような電動式駆動装置に関する従来技術としては、電動モータの出力軸を中空に形成して、その出力軸に車軸を貫通させると共に、その電動モータを車軸と同一直線上に配置した車両の左右輪間の連結装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、左右の後輪の伝達軸と略平行に電動モータを配置し、その電動モータとギアケースとをエンドピースを介してボルト締めする車両用電動式駆動装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、駆動モータ等を左右の後輪のドライブシャフトと同一直線上に配置して、走行アシストを行う車両の走行アシスト装置や(例えば、特許文献3参照)、車体に油圧モータを取り付け、ユニバーサルジョイントを介して車輪を駆動する車両の動力伝達機構や(例えば、特許文献4参照)、プロペラシャフトと同一軸上若しくは略平行に電動モータを配置する電気自動車の駆動装置が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−240347号公報
【特許文献2】
特開平11−243664号公報
【特許文献3】
特開平11−170881号公報
【特許文献4】
特公平7−71898号公報
【特許文献5】
特開平9−240296号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような駆動装置では、駆動ユニットの出力軸は車軸と略平行に配置されている。従って、車両の旋回時などにジョイントの作動角度が大きくなるため、そのジョイントの許容範囲を大きくとっておく必要がある。また、車両の旋回時にジョイントの作動角度が大きくなると、そのジョイント部分の内部摩擦が大きくなり、車両に振動やトルク変動が生じるおそれがある。
【0007】
また、左右の電動式駆動装置が車軸上で一体化されていると、車両や原動機等の種類によっては、エアコン等の補機類、及び排気管等の原動機周辺部品等を設置するためのスペースを確保することが困難になる。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、原動機の両側に電動式駆動ユニットを設けた駆動装置において、車軸上に設けられるジョイントの作動角を小さくし、電動式駆動装置と原動機周辺部品との間に適切なスペースを確保することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、駆動装置は、左右車輪と、前記車輪に連結された出力軸を有する左右の駆動ユニットと、を備え、前記駆動ユニットの前記出力軸は、車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して前後方向又は水平面に対して上下方向の少なくとも一方に所定の傾斜角だけ傾斜しており、前記左右の駆動ユニットは、原動機を挟むようにして、前記原動機の車幅方向の左右側面に配置される。
上記の駆動装置によれば、車輪に連結された駆動ユニットの出力軸が、少なくとも車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して、又は、水平面に対して所定の傾斜角だけ傾斜しているので、その出力軸と車輪とを連結する、例えばジョイントの作動角を小さくすることができる。このため、可動範囲が小さいジョイントを使用することが可能となり、ジョイントを低コストとすることができる。また、ジョイントの作動角が小さくなるため、車両旋回時などにおいて、それらの可動部分の摩擦や振動を減少させることができる。また、補機類、排気管、及び原動機マウントなどの原動機周辺部品との間に一定のスペースを容易に確保できる。
また、左右の駆動ユニットは、原動機を挟むようにして、前記原動機の車幅方向の左右側面に配置されるので、駆動ユニットは原動機の幅分だけ車両の車幅方向の外側に押し出されるように配置されることになる。この場合、前記駆動ユニットと前記車輪の距離が近づき一般的にはジョイントの作動角が大きくなるため、前記駆動ユニットの出力軸を傾斜させる事がより効果的となる。
本発明の他の観点では、駆動装置は、左右車輪と、前記車輪に連結された出力軸を有する左右の駆動ユニットと、を備え、前記駆動ユニットの前記出力軸は、車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して前後方向又は水平面に対して上下方向の少なくとも一方に所定の傾斜角だけ傾斜しており、前記駆動ユニットは、前記原動機の側面に取付部材を介して取り付けられ、前記駆動ユニットと前記取付部材との合わせ面が前記出力軸の中心線に対して鉛直面内にある。
上記の駆動装置によれば、車輪に連結された駆動ユニットの出力軸が、少なくとも車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して、又は、水平面に対して所定の傾斜角だけ傾斜しているので、その出力軸と車輪とを連結する、例えばジョイントの作動角を小さくすることができる。このため、可動範囲が小さいジョイントを使用することが可能となり、ジョイントを低コストとすることができる。また、ジョイントの作動角が小さくなるため、車両旋回時などにおいて、それらの可動部分の摩擦や振動を減少させることができる。また、補機類、排気管、及び原動機マウントなどの原動機周辺部品との間に一定のスペースを容易に確保できる。
また、前記駆動ユニットは、前記原動機の側面に取付部材を介して取り付けられ、前記駆動ユニットと前記取付部材との合わせ面が前記出力軸の中心線に対して鉛直面内にあるので、駆動ユニットは、マウントボスなどの取付部材により、原動機の側面に取付られ、その取付部材のあわせ面を調整することにより、傾斜角を決定することができる。よって、車種毎に原動機周辺の設計などが異なり、駆動ユニットの傾斜角が異なる場合でも、取付部材の大きさや形状を変えることにより、共通の駆動ユニットを使用することが可能となる。これにより、車種毎に異なる駆動ユニットを用意する必要が無くなり、コストの低減を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
[車両の基本構成]
まず、本実施形態に係る車両100の基本構成について説明する。なお、本実施形態に係る車両100は、4WD(四輪駆動)仕様のFR車両(原動機前置き後輪駆動方式)に本発明を適用したものである。但し、本発明の適用はこれに限られるものではなく、FF車両(原動機前置き前輪駆動方式)の後輪にも適用可能であり、原動機としてモータを使う電気自動車やハイブリット車にも適用できる。なお、以下に例示する車両100は原動機としてエンジンを使用するものである。
【0022】
図1は、本発明に係る駆動装置200を備える車両100の構成を示す平面図である。図1に示すように、車両100は、主として、エンジン11及び左右一対の駆動ユニット2を含む駆動装置200と、トルクコンバータ112と、トランスミッション113と、プロペラシャフト114と、ディファレンシャルギヤ115と、ドライブシャフト116と、後輪117と、前輪7とを備える。
【0023】
エンジン11は、燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。燃焼室内での混合気の燃焼によるピストンの往復運動は、コンロッド(図示略)を介してクランクシャフト(図示略)の回転運動に変換される。クランクシャフトの回転は、トルクコンバータ112、トランスミッション113、プロペラシャフト114、ディファレンシャルギヤ115、及びドライブシャフト116を介して後輪117に伝達される。
【0024】
トルクコンバータ112は、エンジン11とトランスミッション113との間に設けられる。トルクコンバータ112は、油などの作動流体を利用することにより、エンジン11から出力される回転トルクを断続的にトランスミッション113へ伝達するクラッチとしての機能と、その回転トルクを増大させてトランスミッション113へ伝達する機能とを有する。
【0025】
トランスミッション113は、トルクコンバータ112とプロペラシャフト114との間に設けられ、前進4段(第1速〜第4速)、後進1段の各変速段に対応する複数のギヤ(プラネタリギヤ)などを有する。トランスミッション113は、ECU(Engine Control Unit)からの指令信号に基づき、図示しない油圧制御装置を作動させることにより、低速段から高速段への変速操作(シフトアップ)、或いは高速段から低速段への変速操作(シフトダウン)を行う。
【0026】
プロペラシャフト114は、トランスミッション113とディファレンシャルギヤ115との間に設けられ、エンジン11から得られる駆動力を後輪117へ伝達する推進軸である。
【0027】
ディファレンシャルギヤ115は、複数の傘歯歯車を組み合わせたものから構成され、車両旋回時に内側の車輪と外側の車輪との回転速度を調整するギヤである。具体的には、車両100が直線道路を走行するときは、ディファレンシャルギヤ115は、左右の前輪を同一の速度で回転させる。一方、車両100が旋回運動をするときは左右の前輪の回転速度差が生じるため、ディファレンシャルギヤ115はそれらの回転速度を調整して、スムーズな旋回運動を可能とする。
【0028】
ドライブシャフト116は、左右の後輪117と回転自在に連結される車軸である。ドライブシャフト116は、エンジン11側からの駆動力によって回転し、後輪117へ動力を伝達する。
【0029】
次に、本発明の実施形態に係る駆動装置200の構成を説明する。図2は駆動装置200の平面図であり、図3は図2の矢印A方向から見た駆動装置200の正面図である。なお、図3において符号Z1は路面を示す。
【0030】
図示のように、駆動装置200は、車両の進行方向に向かって右側の右前輪系FR1と左側の左前輪系FL1とに大別される。右前輪系FR1は、電動式モータ及び変速機を備える右側の駆動ユニット2Rを備える。なお、図2及び図3から理解されるように、右前輪系FR1と左前輪系FL1の基本的構成要素は同一であるので、以下の説明では、左右を区別する必要がある場合は各構成要素の符号にR又はLの文字を付すこととし、左右を区別する必要が無い場合はR又はLの文字を省略する。例えば、「駆動ユニット2」は左右の駆動ユニット2R及び2Lを指し、「駆動ユニット2R」は右側の駆動ユニット2Rのみを指すこととする。
【0031】
駆動ユニット2Rは、マウントボス1RF及び1RRによりエンジン11の右側面に取り付けられている。駆動ユニット2Rの出力軸23Rはインボードジョイント3Rを介して中間シャフト4Rに連結され、中間シャフト4Rはさらにアウトボードジョイント5Rを介して右前輪7Rに固定されている。インボードジョイント3Rは駆動ユニット2Rの出力軸23Rの回転駆動力を中間シャフト4Rに伝達し、アウトボードジョイント5Rは中間シャフト4Rの回転駆動力を右前輪7Rに伝達する。こうして、駆動ユニット2Rが発生する回転駆動力が右前輪7Rを回転駆動する。
【0032】
右前輪系FR1では、駆動ユニット2Rの後方に排気管9Rやエンジンマウント10Rなどのエンジン周辺部品が配置されており、かつ駆動ユニット2Rの前方には補機類8が配置されている。
【0033】
左前輪系FL1は基本的に右前輪系FR1と同一の構成を有し、各構成要素が車両の幅方向における中心線L1に対して略左右対称に配置されている。即ち、エンジン11の左側面にはマウントボス1LF及び1LRを介して左側の駆動ユニット2Lが取り付けられ、駆動ユニット2Lの出力軸23Lはインボードジョイント3Lを介して中間シャフト4Lに連結されている。中間シャフト4Lはアウトボードジョイント5Lを介して左前輪7Lに連結されている。また、駆動ユニット2Lの後方には排気管9Lやエンジンマウント10Lなどのエンジン周辺部品が配置されている。但し、左前輪系FL1においては、駆動ユニット2Lの前方に補機類は配置されていない。
【0034】
次に、エンジン11に対する駆動ユニット2の取り付け方法について説明する。一般的に、車両旋回時などにおいては、車輪とシャフトとを連結するジョイントの作動角が大きくなると、ジョイントの可動部分の摩擦が大きくなりジョイントに発生する振動も大きくなる。また、ジョイントの作動角が大きくなると、作動範囲の大きなジョイントを搭載する必要が生じる。このため、車両旋回時などにジョイントの作動角をできる限り小さくする必要がある。そこで、本実施形態では、駆動ユニット2の出力軸23を、車両100の車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して、又は水平面に対して、所定の傾斜角となるように傾斜させている。これによりインボードジョイント3及びアウトボードジョイント5の作動角を小さくすることができる。
【0035】
ここで、図4及び図5を参照して、駆動ユニットの出力軸を傾斜させない場合と傾斜させた場合とにおけるジョイントの作動角の違いについて説明する。
【0036】
図4は、駆動ユニットの出力軸を車両の車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して傾斜させない場合の駆動装置300の右前輪系の平面図を示し、図5は、駆動ユニットの出力軸を車両の車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して前方に傾斜させた場合の駆動装置400の右前輪系の平面図を示す。図4及び図5において、車両の車幅方向の中心線に直角な鉛直面は、符号S1により示されている。また、矢印Bで示される方向は車両の進行方向である。
【0037】
まず、駆動ユニットの出力軸を傾斜させない場合について説明する。図4に示す駆動装置300において、駆動ユニット50は原動機56の側面に対して傾斜させずに取り付けられている。よって、駆動ユニット50の出力軸51は、鉛直面S1内にある。駆動ユニット50の出力軸51はインボードジョイント52に連結され、インボードジョイント52はシャフト53を介してアウトボードジョイント54に連結され、アウトボードジョイント54は右前輪55と連結されている。シャフト53の中心軸は、駆動ユニット50の出力軸51の中心軸L35を反時計回りに角度θi1だけ回転させたラインL31上にある。よって、インボードジョイント52の作動角は、駆動ユニット50の出力軸51の中心軸L35を基準にして角度θi1となっている。
【0038】
車両が直進するときには右前輪55は実線の位置にあり、右旋回するときには破線の位置になる。よって、ラインL31を基準とすると、車両が直進するときのアウトボードジョイント54の作動角はθo1であり、車両の右操舵時のアウトボードジョイント54の作動角はθos1である。
【0039】
次に、駆動ユニット50の出力軸を、車両の車幅方向における中心線に直角な鉛直面に対して傾斜させた場合について説明する。図5に示す駆動装置400においては、原動機56の側面は、車両の車幅方向における中心線と略平行であり、駆動ユニット50はマウントボス56、57を介して原動機56の側面に対して傾斜して取り付けられている。駆動ユニット50の出力軸51は鉛直面S1に対して所定の傾斜角αだけ前方へ傾斜している。
【0040】
このように駆動ユニット50の出力軸51が鉛直面S1に対して所定の傾斜角αだけ傾斜した場合、インボードジョイント52の作動角はθi2(<θi1)となる。また、シャフト53の中心軸に対応するラインL31aを基準とすると、車両が直進するときのアウトボードジョイント54の作動角はθo2(<θo1)であり、右操舵時のアウトボードジョイント54の作動角はθos2(<θos1)である。
【0041】
このように、駆動ユニット50の出力軸51を、車両の幅方向の中心線に直角な鉛直面S1に対して傾斜させた場合は、傾斜させない場合よりも、インボードジョイント52及びアウトボードジョイント54のいずれの作動角も小さくなる。なお、上記の説明では、鉛直面S1に対して駆動ユニット50の出力軸を傾斜させた場合について説明したが、水平面に対して駆動ユニット50の出力軸を傾斜させた場合についても、同様のことが言える。
【0042】
以上の考察に基づいて、本実施形態では、図2及び図3に示すように、駆動ユニット2Rの出力軸23Rは、車両の車幅方向における中心線L1に直角な鉛直面S1に対して、傾斜角θ4だけ前方へ傾斜して取り付けられている。これは、左前輪径FL1の駆動ユニット2Lについても同様である。即ち、駆動ユニット2Lの出力軸23Lは鉛直面S1に対して傾斜角θ3だけ前方へ傾斜して取り付けられている。このように、鉛直面S1に対して駆動ユニット2の出力軸23を前方へ傾斜させて取り付けることにより、インボードジョイント3及びアウトボードジョイント5の作動角を小さくすることができる。
【0043】
本実施形態では、マウントボス1RF及び1RRの長さ及び形状を調整することにより、駆動ユニット2Rの傾斜角θ4を実現している。駆動ユニット2Rの出力軸23Rを、車両の中心線L1に直角な鉛直面S1に対して傾斜させて取り付ける方法としては2つの方法が考えられる。第1の方法は、駆動ユニット自体はエンジン側面に対して傾斜させずにエンジン側面に取り付け、駆動ユニットの出力軸の方向を駆動ユニット本体に対して傾斜させる方法である。第2の方法は、駆動ユニットの出力軸を駆動ユニット本体に対して所定角度、好ましくは垂直に形成し、駆動ユニット自体を原動機側面に対して傾斜させて取り付ける方法である。本実施形態では、第2の方法を採用している。第1の方法では、駆動ユニットの出力軸の傾斜角を所望の角度とするためには、駆動ユニット本体に対する出力軸の方向を駆動ユニット毎に変える必要が生じる。よって、例えば車種毎に好ましい駆動ユニットの出力軸の傾斜角が異なるような場合には、車種毎に対応する駆動ユニットを製作する必要が生じる。これに対し、第2の方法では、車種が異なる場合でも駆動ユニット自体は同一のものでよく、適切な長さや形状(座面の角度など)のマウントボスを用いることにより、駆動ユニットの出力軸の傾斜を調整してエンジンに取り付けることができる。従って、マウントボスを変えるだけで、同一の駆動ユニットを異なる車種に共通に使用することができる。
【0044】
具体的には、車両の車幅方向の中心線L1に直角な鉛直面S1に対する駆動ユニットの出力軸の傾斜は、マウントボスの座面と駆動ユニットの取り付け面との合わせ面の角度(以下、「あわせ面角」とも呼ぶ。)により規定される。図2において、マウントボス1RF及び1RRの座面15RF及び15RRと、駆動ユニット2Rの取り付け面21Rとの合わせ面を含む鉛直面をS3とする。駆動ユニット2Rの出力軸23Rは駆動ユニット2Rの取り付け面21Rに対して垂直であるので、車両中心軸L1を含む鉛直面と鉛直面S3とがなすあわせ面角θ2と、傾斜角θ4とは等しい。よって、駆動ユニット2Rの実装時には、適切な形状のマウントボス1RF及び1RRを使用し、マウントボス座面と駆動ユニットの取り付け面の合わせ面がなすあわせ面角θ2を、所望の傾斜角θ4と等しくすればよい。
【0045】
以上は、左前輪系FL1に関しても同様である。即ち、適切な形状のマウントボス1LF及び1LRを使用し、マウントボス1LF及び1LRの座面15LF及び15LRと、駆動ユニット2Lの取り付け面21Lとの合わせ面を含む鉛直面S2が、車両中心軸L1を含む鉛直面となすあわせ面角θ1を、所望の傾斜角θ3と等しくなるように駆動ユニット2Lを取り付ければよい。
【0046】
また、本実施形態では、図3に示されるように、駆動ユニット2R及び2Lは水平面S10に対して車両の上下方向にそれぞれ傾斜角θ8及びθ7だけ傾斜して取り付けられる。これにより、上下方向におけるインボードジョイント3及びアウトボードジョイント5の作動角を小さくすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、右前輪系FR1における駆動ユニット2Rの出力軸23Rの傾斜角θ4及びθ8を、左前輪系FL1における駆動ユニット2Lの出力軸23Lの傾斜角θ3及びθ7とそれぞれ異ならせている。これにより、駆動ユニット2、ジョイント3及び5、中間シャフト4などを含む駆動装置を、右前輪系FR1と左前輪系FL1とで独立に設計することが可能となる。
【0048】
例えば、図2及び図3に示すように、右前輪系FR1では、駆動ユニット2Rの前方に補機類8を配置する必要があり、駆動ユニット2Rの後方には排気管9Rや原動機マウント10Rが存在する。よって、右側の駆動ユニット2Rは、補機類8と排気管9Rや原動機マウント10Rとの間に設ける必要があり、かつ、インボードジョイント3Rやアウトボードジョイント5Rの作動時に中間シャフト4Rが付近の原動機周辺部品と干渉しないように駆動ユニット2Rの傾斜角θ4及びθ8を決める必要がある。
【0049】
一方、左前輪系FL1では、駆動ユニット2Lの前方には補機類などの障害物がないので、駆動ユニット2Lのエンジン11への取り付け位置自体を右前輪系FR1と比較して前方へシフトすることができる。また、駆動ユニット2Lの前方に障害物が無いので、傾斜角θ3を大きくし、出力軸2Lをより前方へ傾けることができる。
【0050】
[駆動ユニット]
次に、駆動ユニット2の構造について、図6を参照して説明する。図6は、駆動ユニット2の内部構造を模式的に示す。駆動ユニット2は、モータ部20と、変速部26とを備え、出力軸23に連結されている。尚、本例に係る駆動ユニット2では、図6に示すように、モータ部20のロータシャフト25と、出力軸23とは同一軸L50上に設けられる。
【0051】
モータ部20は、ステータ21と、ロータ22と、ロータシャフト25とを備える。ステータ21は、コイル線を軟鋼等に巻回したものであり、外部からの電力供給を受けて磁界を刻々と変化させる。ロータ22は、ステータ21の磁界の変化に伴って回転する。ロータ22の回転はロータシャフト25により取り出され、変速部26へと伝達される。変速部26は、複数のプラネタリギヤが組み合わされたギヤトレーン27により構成される。変速部26は、ロータシャフト25からの回転を変速し、変速後の回転駆動力を出力軸23に出力する。
【0052】
本実施形態に係る駆動ユニット2は、モータ部20と変速部26などによって構成されるため、車両の走行状態に応じて回転駆動力/回転トルクを変化させることができ、それらを出力軸23に出力することができる。これにより、駆動ユニット2は、車両の走行状態に応じて左右の前輪の回転速度や回転トルクを適切に調整することができる。駆動ユニット2は左右に個別に設けられているので、左右の駆動ユニット2の回転駆動力を独立に制御することができる。
【0053】
ここで、前述のように、左前輪系FL1の駆動ユニット2Lの出力軸23Lと、右前輪系FR1の駆動ユニット2Rの出力軸23Rとを、それぞれ車両の車幅方向の中心線L1に直角な鉛直面S1に対して異なる傾斜角とした場合には、車両旋回時における左前輪系FL1の前輪と右前輪系FR1の前輪の伝達ラインは夫々異なってくる。
【0054】
図7を参照して、駆動ユニットの出力軸からの回転駆動力がジョイントを介してシャフトへ伝達されるときに左右の車輪の回りに発生するモーメントMについて説明する。図7(a)は、ジョイント71に屈曲角がついた状態で入力軸70に回転トルクTが付与されたとき、ジョイントの回りに発生するモーメントMの大きさを説明するための図である。
【0055】
図7(a)に示すように、入力軸70が矢印の方向に回転トルクTで回転すると、その回転トルクTがジョイント71を介してシャフト72へと伝達される。上述のようにジョイント71に屈曲角θがついた状態で入力軸70に回転トルクTが付与されると、Y軸回りには2次偶力によるモーメントが発生する。このモーメントの大きさMは、
M=Ttanθ/2(N・m) (式1)
で表される。
【0056】
図7(b)は、左右不等長のシャフトSY1、SY2を有する車両500の左右の車輪回りに発生するモーメントの大きさを説明するための図である。なお、図7(b)に示される符号Z2の部分は路面である。図7(b)に示すように、原動機501の左右側面に、ジョイントJ1、J2を介して、シャフトSY1、SY2が取り付けられる。同図に示すように、車両500のシャフトSY1、SY2の長さが左右の車輪で夫々異なる場合には、ジョイントJ1、J2の屈曲角も夫々異なってくる。即ち、紙面に向かって、左のシャフトSY1に回転自在に連結されるジョイントJ1は、路面と平行な水平面L70から反時計回りに角度θLだけ屈曲している。一方、紙面に向かって、右のシャフトSY2に回転自在に連結されるジョイントJ2は、路面と平行な水平面L70から時計回りに角度θRだけ屈曲している。ここで、角度θL>角度θRである。
【0057】
かかる車両500では、図7(a)に示すように、左右の車輪回りに所定の大きさのモーメントMが発生する。即ち、車両500では、図7(b)に示すように、左右のジョイントJ1、J2の屈曲角が夫々異なるため、左右の車輪の回りに発生するモーメントM(式1を参照)の大きさも異なってくる。このように、大きさの異なるモーメントMが左右の車輪に発生すると、いわゆるトルクステアが発生する。
【0058】
しかし、本実施形態では、必要に応じて左右の前輪7の大きさの異なるモーメントMによるトルクステアを修正するように左右の駆動ユニット2の一方又は両方を適切なトルクで駆動することにより、左右の前輪7の回転速度/回転トルクを調整し、車両の拳動を安定させることができる。
【0059】
また、本実施形態に係る駆動ユニット2は、図6に示すように、モータ部20のロータシャフト25と出力軸23とをギヤトレーン27を介して同一軸L50上に設けている。このため、左前輪系FL1及び右前輪系FR1の駆動ユニット2は、ロータシャフト25及び出力軸23の長さ分だけ車両100の車幅方向の外側に配置される。一般的に、駆動ユニットと車輪との距離が近づくとジョイント作動角が大きくなるので、本発明のように駆動ユニットの出力軸を傾斜させてジョイントの作動角を小さくすることがより効果的となる。
【0060】
[変形例]
上記の実施形態においては、左右前輪を対象に、駆動ユニットの出力軸を車両の車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して傾斜させ、インボードジョイント及びアウトボードジョイントの作動角を小さくするようにしたが、これに限らず、左右の後輪に対してのみ、又は左右前後輪の全てに対して、本発明を適用するようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る駆動装置によれば、駆動ユニットの出力軸を車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して所定の傾斜角だけ傾斜させて配置しているので、その出力軸と車輪とを連結するジョイントの作動角を小さくすることができる。このため、作動角の範囲が小さいジョイントを使用することが可能となり、低コスト化が可能となる。また、ジョイントの作動角が小さくなるため、車両旋回時などにおいて、それらの可動部分の摩擦や振動を減少させることができる。さらに、ジョイントの作動角を小さくすることにより、中間シャフトなどの作動範囲が小さくなるので、補機類、排気管及び原動機マウントなどの原動機周辺部品との間に一定のスペースを容易に保つことができる。よって、原動機及び駆動ユニットを含む駆動装置の設計自由度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る駆動装置を備える車両の平面図を示す。
【図2】本発明に係る駆動装置の平面図を示す。
【図3】本発明に係る駆動装置の正面図を示す。
【図4】駆動ユニットの出力軸を傾斜させない場合のジョイントの作動角の大きさを説明する図である。
【図5】駆動ユニットの出力軸を傾斜させた場合のジョイントの作動角の大きさを説明する図である。
【図6】本発明に係る駆動ユニットの基本構造を示す。
【図7】ジョイントの作動角の大きさに応じて発生するモーメントの大きさを説明する図である。
【符号の説明】
2 駆動ユニット
3 インボードジョイント
4 中間シャフト
5 アウトボードジョイント
6 アウトシャフト
7 前輪
8 補機類
9 排気管
10 原動機マウント
11 原動機
112 トルクコンバータ
113 トランスミッション
114 プロペラシャフト
115 ディファレンシャルギヤ
116 ドライブシャフト
117 後輪
20 モータ部
23 出力軸
26 変速部
100、500 車両
200、300、400 駆動装置
Claims (2)
- 左右車輪と、
前記車輪に連結された出力軸を有する左右の駆動ユニットと、を備え、
前記駆動ユニットの前記出力軸は、車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して前後方向又は水平面に対して上下方向の少なくとも一方に所定の傾斜角だけ傾斜しており、
前記左右の駆動ユニットは、原動機を挟むようにして、前記原動機の車幅方向の左右側面に配置されることを特徴とする駆動装置。 - 左右車輪と、
前記車輪に連結された出力軸を有する左右の駆動ユニットと、を備え、
前記駆動ユニットの前記出力軸は、車幅方向の中心線に直角な鉛直面に対して前後方向又は水平面に対して上下方向の少なくとも一方に所定の傾斜角だけ傾斜しており、
前記駆動ユニットは、前記原動機の側面に取付部材を介して取り付けられ、前記駆動ユニットと前記取付部材との合わせ面が前記出力軸の中心線に対して鉛直面内にあることを特徴とする駆動装置。
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