JP4239384B2 - 便座・便蓋電動開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、手動操作性に優れた便座・便蓋電動開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来のこの種の便座・便蓋電動開閉装置のブロック図を示したものである。図4において、1は便座及び/又は便蓋、2は便座及び/又は便蓋1を開閉駆動する駆動手段、3は駆動手段2を制御する制御手段である。
【0003】
制御手段3は、便座及び/又は便蓋1を開閉していないときには駆動手段2を開放状態にするように制御する。なお、前述の駆動手段2の開放状態とは、制御手段3からの出力以外の外力によって駆動手段2を外部から動作させたときに、その外力に対して積極的に抵抗する力が駆動手段2に存在しない状態のことである。実際の動作としては、使用者が便座及び/又は便蓋1を手で掴んで開閉操作すると、その時駆動手段2は開放状態であるので、使用者は負荷をあまり感じることなく便座及び/又は便蓋1を開閉することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、使用者が便座及び/又は便蓋1を完全に開閉位置まで手で掴んで開閉し、停止させるまで保持していることは少なく、一般的には完全に開閉する手前で手を離す。手を離した後も便座及び/又は便蓋1はその時の慣性力で動き続ける。
【0005】
前記従来の構成では、その慣性力に対して駆動手段2に積極的に抵抗する力が存在しないため、慣性力が強い場合には便座及び/又は便蓋1の開閉速度が開閉位置に到達するまでに十分に減衰せず、最終的にロータンクや便器などの物体に衝突し、大きな衝撃音を発生したり、さらに激しい場合には便座及び/又は便蓋が破損すると言う課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、手動操作性に優れた便座・便蓋電動開閉装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座・便蓋電動開閉装置は、便座及び/又は便蓋を開閉駆動する駆動手段と、便座及び/又は便蓋の角度を検出する角度検出手段と、検出した角度より角速度を演算する角速度演算手段と、角度および角速度に基づいて駆動手段を制御する制御手段を備え、駆動手段に駆動出力を行っていないときに、角速度が所定の速度以上であった場合には、駆動手段にブレーキ出力を行うものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、便座及び/又は便蓋を開閉駆動する駆動手段と、便座及び/又は便蓋の角度を検出する角度検出手段と、角度検出手段より得られる角度より角速度を演算する角速度演算手段と、角度検出手段より得られる角度と角速度演算手段より得られる角速度に応じて駆動手段を制御する制御手段とを備え、制御手段が駆動手段に駆動出力を行っていないときに、角速度演算手段で検出した角速度が所定の速度以上であった場合には、駆動手段にブレーキ出力を行うことによって、使用者が便座及び/又は便蓋を手動で開閉した時に、開位置又は閉位置近傍で、角速度が低減され、便蓋がスムーズに開位置で停止したり、便蓋が便器に強く当たることなく閉状態となる。その為、便座及び/又は便蓋が便器やロータンクなどへ衝突して発生する衝撃音を低減し、さらにはその衝突による便座及び/又は便蓋の破損を防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、便座及び/又は便蓋を開閉駆動する駆動手段と、便座及び/又は便蓋の角度を検出する角度検出手段と、角度検出手段より得られる角度より角速度を演算する角速度演算手段と、角度検出手段より得られる角度と角速度演算手段より得られる角速度に応じて駆動手段を制御する制御手段とを備え、制御手段が駆動手段に駆動出力を行っていないときに、角速度演算手段で検出した角速度が第一の所定の速度以上であった場合には、駆動手段にブレーキ出力を行い、第一の所定の速度よりも速い第二の所定の速度以上であった場合には駆動手段を開放状態にする。
【0010】
この構成により、使用者が便座及び/又は便蓋を手動で開閉した時に、便座及び/又は便蓋が便器やロータンクなどへ衝突して発生する衝撃音を低減し、さらにはその衝突による便座及び/又は便蓋の破損を防止し、かつ開閉操作時に使用者が感じる負荷を低減することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項2に記載の制御手段がさらに角度検出手段が検出した角度が開角度から所定の範囲内にある場合には駆動手段にブレーキ出力を行うことによって、使用者が便座及び/又は便蓋に特に強い力を加えて便座及び/又は便蓋を手動で開けようとした際にも、便座及び/又は便蓋がロータンクなどへ衝突して発生する衝撃音を低減し、さらにはその衝突による便座及び/又は便蓋の破損を防止し、かつ操作時に使用者が感じる負荷を低減することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、特に、請求項2に記載の制御手段がさらに角度検出手段が検出した角度が閉角度から所定の範囲内にある場合には駆動手段にブレーキ出力を行うことによって、使用者が便座及び/又は便蓋に特に強い力を加えて便座及び/又は便蓋を手動で閉じようとした際にも、便座及び/又は便蓋が便器などへ衝突して発生する衝撃音を低減し、さらにはその衝突による便座及び/又は便蓋の破損を防止し、かつ操作時に使用者が感じる負荷を低減することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例における便座・便蓋電動開閉装置を備えた便器の全体斜視図である。
【0015】
図1において、101は便器本体であり、便器本体101の後部上面には便座ボックス102が固設されている。この便座ボックス102に支持されて開閉可能に便座103と便蓋104が設けられており、便座ボックス102の後方にはロータンク105が立設されている。また、この便器はトイレの壁面等に取付けられたリモコン106により操作できるものであり、便座ボックス102の側部にはリモコン106から送信される信号を受信するリモコン受信部107が設けられている。
【0016】
このような便器の便座・便蓋電動開閉装置部の概略を便蓋を例にとって図2の概略側面図において説明する。便座ボックス102内には制御回路108が配設されており、この制御回路108にはモータ109が接続されており、モータ109にはギア110が連結されており、このギア110はさらに便蓋104の軸111に連結されている。また、ギア110にはポテンショメータ112が接続されており、このポテンショメータ112も制御回路108に接続されている。
【0017】
図3に制御系のブロック図を示す。113は便蓋を開閉駆動する駆動手段であり、本実施例ではモータ109で構成する。114は駆動手段113と便蓋104とその連結部も含めた便蓋の駆動部位115から便蓋の角度を検出する角度検出手段であり、本実施例ではギア110にポテンショメータ112を接続する構成とする。116は角速度演算手段であり、角度検出手段114に接続している。117は角度検出手段114と角速度演算手段116から入力される情報をもとに予め決められた制御内容に基づいて駆動手段113を制御する制御手段であり、本実施例では角速度演算手段116と制御手段117はともにマイクロコンピュータを含む制御回路108で構成する。
【0018】
なお、本実施例では便蓋104の開閉装置を例示しているが、便座103においても同様な構成部材を備えており、便蓋104とは別個に便座103を開閉できるものとなっている。
【0019】
まず、便蓋の電動開閉について、例えば便蓋が閉じている状態から開ける場合について説明する。使用者がリモコン106内の便蓋開スイッチをONすると信号が送信され、その信号をリモコン受信部107が受信し、制御回路108は便蓋104を開方向に回転させるようにモータ109を駆動する。このときポテンショメータ112が検出した便蓋104の角度を制御回路108内のマイクロコンピュータでモニタしておき、便蓋104が完全に開いたことを検出したら、モータ109の両端を開放し、モータ109をフリーの状態にする。便蓋104が開いている状態から閉じる場合についても、モータ109の回転を逆にするようにすれば同様に行うことができる。
【0020】
次に、便蓋の手動開閉について、例えば便蓋を閉じている状態から手動で開くときについて説明する。ポテンショメータ112の検出する角度は制御回路108内のマイクロコンピュータに入力されており、マイクロコンピュータはその角度を一定周期でサンプリングすることによって角速度を演算する。まず、便蓋104が閉じている状態ではポテンショメータ112からマイクロコンピュータに入力される角度は一定であり、角速度は0である。また、この時モータ109の両端は開放されている。使用者が便蓋104を手で掴み、便蓋104を動かすとポテンショメータ112の値が随時変化し、角速度が上がる。角速度がある所定の速度以上になったところでモータ109の両端を短絡する。モータ109の両端を短絡すると閉ループが構成され、モータ109が外力によって回転させられているのと反対方向にモータ109を回転させるように逆起電力が働くので、それが便蓋を開ける操作に対して抵抗力となる。これによって、便蓋104が緩やかに開くようになり、開ききって停止する際にロータンクに衝突する時の衝撃を和らげることができる。
【0021】
逆に、便蓋104が開いている状態からから手動で便蓋104を閉じようとする場合にも、同様にモータ109の両端を短絡して閉ループを構成することにより、便蓋104を緩やかに閉じ、便座103に衝突するときの衝撃を和らげることができる。なお、便座103の手動開閉においても、同様な制御により、便器101および便蓋104へ衝突するときの衝撃を和らげることができる。
【0022】
(実施例2)
図1、図2を用いて、本発明の第2の実施例を説明する。
【0023】
実施例1と異なる点は、便座・便蓋の手動開閉動作に関する制御内容だけであるので、図1、2の構成および便座・便蓋の電動開閉動作については説明は省略する。
【0024】
便蓋の手動開閉について、例えば便蓋を閉じている状態から手動で開くときについて説明する。説明する。ポテンショメータ112の検出する角度は制御回路108内のマイクロコンピュータに入力されており、マイクロコンピュータはその角度を一定周期でサンプリングすることによって角速度を演算する。まず、便蓋104が閉じている状態ではポテンショメータ112からマイクロコンピュータに入力される角度は一定であり、角速度は0である。また、この時モータ109の両端は開放されている。使用者が便蓋104に手で掴み、便蓋104を動かすとポテンショメータ112の値が随時変化し、角速度が上がる。角速度が第1の所定の速度以上、第2の速度未満になったところでモータ109の両端を短絡する。モータ109の両端を短絡すると閉ループが構成され、モータ109が外力によって回転させられているのと反対方向にモータ109を回転させるように逆起電力が働くようになる。
【0025】
また、角速度がさらに上がり、第1の所定の速度よりも速く設定している第2の所定の速度以上になるとモータ109の両端を開放し、閉ループの構成を解除することによって、モータ109が回転させられても逆起電力が発生しないようにする。前述の第1の所定の速度は、便蓋104が動いていることを検出するため比較値であり、通常の力で便座104を手で掴んで開けようとしている時に発生する速度よりも十分に遅い速度とするのが望ましい。
【0026】
また、第2の所定の速度は、便蓋104が手で掴まれて開けられていることを検出するための比較値であり、通常の力で便蓋104を手で掴んで開けようとしているときに発生する速度近辺の値とするのが望ましい。これによって、使用者が便蓋104を手で掴んで開けている時には、第2の所定の速度以上であるのでモータ109の逆起電力は働かず、軽負荷で便蓋104を開けることができる。
【0027】
また、便蓋104が完全に開ききる手前の位置で使用者が便蓋104から手を離すと、便蓋104を開けようとする力がなくなるため便蓋104の角速度が第2の所定の速度以下まで低下する。すると、モータ109は両端を短絡するように制御され、逆起電力が発生するようになって便蓋104の動作にブレーキがかかる。このブレーキによって便蓋104の開く速度は徐々に減衰するので、開ききって停止するときにロータンク105に衝突するときの衝撃を和らげることができる。
【0028】
逆に、便蓋104が開いている状態からから手動で便蓋104を閉じようとする場合にも、同様に便蓋104の角速度に応じてモータ109の両端を短絡/開放して閉ループを構成/解除することにより、便蓋104を緩やかに閉じ、便座103に衝突するときの衝撃を和らげ、かつ使用者が操作時に感じる負荷を低減することができる。なお、便座103の手動開閉においても、同様な制御により、便器101および便蓋104へ衝突するときの衝撃を和らげること、使用者が感じる負荷を低減することができる。
【0029】
(実施例3)
図1、図2を用いて、本発明の第3の実施例を説明する。
【0030】
実施例2と異なる点は、便座・便蓋の手動開閉動作に関する制御内容だけであるので、図1、2の構成および便座・便蓋の電動開閉動作については説明は省略する。
【0031】
便蓋の手動開閉について、例えば便蓋を閉じている状態から手動で開くときについて説明する。実施例2と異なるのは、便蓋104が第2の所定の速度以上で動かされていて、かつ便蓋104の角度が開ききった位置から所定の範囲内にあるときの制御だけである。便蓋104が第2の速度以下で動かされているときと、第2の速度以上であっても便蓋104の角度が開ききった位置から所定の範囲外にある時の制御は実施例2と同じであるので説明は省略する。
【0032】
便蓋104が第2の所定の速度以上で開いてきて、便蓋104の角度が開ききった位置から所定の範囲内に入ると、それまで開放していたモータ109の両端を短絡する。すると実施例2で説明したように、モータ109を含んだ閉ループが構成され逆起電力による抵抗力が発生する。これによって、使用者が便蓋104を手で掴んで特に強い力で開けていき開位置の手前で手を離した後も開いていく速度が十分に減衰せず、角速度が継続して第2の所定の速度以上を維持しているような場合でも、便蓋104が開ききって停止する直前にはそれまでの速度に関わらず必ずモータ109の逆起電力によるブレーキがかかるので、便蓋104が緩やかに開くようになり、開ききって停止する際にロータンクに衝突する時の衝撃を和らげることができる。
【0033】
(実施例4)
逆に、便蓋104が開いている状態から特に強い力で便蓋104を閉めようとする場合にも、同様に便蓋104の角度及び角速度に応じてモータ109の両端を短絡/開放して閉ループを構成/解除することにより、便蓋104を緩やかに閉じ、便座103に衝突するときの衝撃を和らげることができる。なお、便座103の手動開閉においても、同様な制御により、特に強い力で便座103を開閉した場合にも便器101および便蓋104へ衝突するときの衝撃を和らげることができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、使用者が便座及び/又は便蓋を手動で開閉操作した時に、便座及び/又は便蓋が便器・ロータンク等へ衝突することによって発生する衝撃音を低減し、さらにはその衝突による便座及び/又は便蓋の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における便座・便蓋電動開閉装置を備えた便器の全体斜視図
【図2】同便座・便蓋電動開閉装置の概略側面図
【図3】同便座・便蓋電動開閉装置の制御系のブロック図
【図4】従来の便座・便蓋電動開閉装置の制御系のブロック図
【符号の説明】
103 便座
104 便蓋
113 駆動手段
114 角度検出手段
116 角速度演算手段
117 制御手段
Claims (4)
- 便座及び/又は便蓋を開閉駆動する駆動手段と、前記便座及び/又は便蓋の角度を検出する角度検出手段と、前記角度検出手段より得られる角度より角速度を演算する角速度演算手段と、前記角度検出手段より得られる角度と前記角速度演算手段より得られる角速度に応じて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記駆動手段に駆動出力を行っていないときに、前記角速度演算手段で検出した角速度が所定の速度以上であった場合には、前記駆動手段にブレーキ出力を行う便座・便蓋電動開閉装置。
- 便座及び/又は便蓋を開閉駆動する駆動手段と、前記便座及び/又は便蓋の角度を検出する角度検出手段と、前記角度検出手段より得られる角度より角速度を演算する角速度演算手段と、前記角度検出手段より得られる角度と前記角速度演算手段より得られる角速度に応じて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は前記駆動手段に駆動出力を行っていないときに、前記角速度演算手段で検出した角速度が第一の所定の速度以上であった場合には、前記駆動手段にブレーキ出力を行い、前記第一の所定の速度よりも速い第二の所定の速度以上であった場合には前記駆動手段を開放状態にする便座・便蓋電動開閉装置。
- 制御手段はさらに角度検出手段が検出した角度が開角度から所定の範囲内にある場合には駆動手段にブレーキ出力を行う請求項2に記載の便座・便蓋電動開閉装置。
- 制御手段はさらに角度検出手段が検出した角度が閉角度から所定の範囲内にある場合には駆動手段にブレーキ出力を行う請求項2に記載の便座・便蓋開閉装置。
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