JP4239120B2 - 電磁波シールド用ガスケットの製造方法 - Google Patents

電磁波シールド用ガスケットの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁波シールド用ガスケットの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
コンピュータやワードプロセッサ等のOA機器、その他マイクロコンピュータを制御用素子として内蔵した各種電子機器は、外部から機器内に侵入する電磁波等の外乱を受けて誤作動を生じ易い。この種の電磁波による干渉(EMI)や、より周波数の低い電波による干渉(RFI)から前記OA機器等を防護するために、シールド(遮蔽)が機器筐体に一般に施される。
【0003】
この電磁波シールドは、例えばコンピュータの筐体をなすハウジングの内部に導電性塗料を塗布したり、金属板や金網で中央処理ユニット(CPU)をカバーしたりすることにより行なわれる。ところで一例として、前記コンピュータの筐体は一般的に複数のパーツからなる分割構造となっているために、これらカパーを合体させた際に生じる僅かな隙間や、各種モジュールを接続するコード用のコネクタ端子等の設置個所に必然的に生じる隙間から電磁波が侵入して、同じく機器を誤作動させることが知られている。このため、前記筐体におけるパーティングラインに沿った箇所や、コネクタ端子等の設置部位に軟質の例えばシート状をなす導電性部材を貼着することで、電磁波の筐体内部への侵入を防止する技術が実施されている。この導電性部材は、筐体による複数パターンを合体させた際の分割ラインの隙間等を埋めるものであるので、その機能に着目して一般にガスケットと称される。従って本願でも、この用語を使用する。
【0004】
この種の技術としては、ポリウレタンフォームの如く弾性を有する発泡材料を柱状に形成して芯材となし、この芯材の周囲を導電性繊維の織布で被覆したガスケットや、被導電性の布材に湿式または乾式の金属メッキを施して導電性を付与した導電性布材で前記芯材の周囲を被覆したガスケットが米国特許第4,857,668号公報に開示されている。また導電性繊維や導電性布の使用に代えて、エラストマーコアの周りを導電性のワイヤーメッシュで囲繞するようにした電磁波遮蔽用ガスケットが、特開平2−296396号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した電磁波シールド用ガスケットは、筐体の分割ラインに沿設したり、コネクタ用端子等の取付開口部に設けることで、外部からの電磁波の内部侵入を防止し得る点で極めて有効である。しかし、これらガスケットの一部を構成する導電性繊維、導電性布その他導電性のワイヤーメッシュは材質的に柔軟性に欠け、芯材となっているポリウレタンフォーム等に比べるとかなり剛固なものとなっている。このため筐体(導電性塗料の塗布や導電性粉末の樹脂成形により導電性処理が施されている)における分割ラインがストレートである場合は問題ないが、該分割ラインが場所により小さな凹凸を形成していたり、比較的小さな曲率で湾曲するよう形成されていたりすると、前記ガスケットを配設するに際して導電性繊維やワイヤーメッシュはその剛固性の故に、これら形状変化に対する追従が困難になり、しわを生じて隙間を完全に埋めることが出来ず、これを介して外部からの電磁波の侵入を許容してしまう重大な難点があった。
【0006】
【発明の目的】
この発明は、従来の電磁波シールド用のガスケットが全体として構造的に柔軟性に欠けており、このため配設すべき部位によっては形状追従性の点で劣っていたという課題を好適に解決するべく提案されたものであって、柔軟な芯材を被覆する導電性の被覆材を同じく柔軟なものとしたガスケットを製造する方法とを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係る電磁波シールド用ガスケットの製造方法は、
連続気泡性を有する弾性樹脂体の外表面および内表面に金属メッキ層を形成して導電性多孔質体の被覆材を製造し、
この導電性多孔質体の被覆材における一方の表面に二液性の発泡樹脂原料を注入し、これら樹脂原料を発泡させながら前記被覆材を筒状に巻き込むことで、この発泡反応により生じた弾性を有する多孔質体を芯材とする電磁波シールド用ガスケットを製造するようにしたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る製造方法で得られる電磁波シールド用ガスケットは、図1に示す如く、基本的に弾性を有する多孔質体の芯材10と、この芯材10を外部から被覆する導電性多孔体の被覆材12とからなる。そして被覆材12は、本件出願人が先に特願平10−114300号として特許出願し、現時点で未公開になっている発明「導電性多孔質体」を基礎とするものであって、これは(1)連続気泡性の弾性樹脂体と、(2)該弾性樹脂体の外表面および内表面に形成した金属メッキ層とを備えている。すなわち芯材10としては、例えばウレタンフォームの如き弾性を有する多孔質体が使用され、また該芯材10の被覆材12としては、例えばウレタンフォームの内外表面に銅メッキ層とニッケルメッキ層の多層金属メッキ等を施して導電性を付与したものが使用される。この被覆材12は、芯材10と同じく弾性多孔質体で構成され、しかもこれに施される金属メッキ層は多孔質体の柔軟性を損なうものではないので、前記芯材10にこの被覆材12を被覆して得られる電磁波シールド用ガスケット14も、全体として芯材10と同程度の柔軟性を保有していると云うものである。
【0011】
先ず、前記芯材10を構成する弾性を有する多孔質体は、好適には軟質ウレタンフォームであって、いわゆる発泡ポリウレタンフォームの如く、イソシアネート成分、ポリオール成分および水を混合し、該イソシアネート成分および水の反応により発生する炭酸ガスを利用して発泡体を製造する化学反応により好適に製造される。またその物性としては、例えば以下の範囲にあることが好ましい。
(1)密度 ;20〜100kg/m3
(2)セル数 ;30〜100個/inch
(3)引張り強度 ;1.0〜2.0kg/cm2
(4)伸び ;40〜250%
(5)反発弾性率 ;30〜65%
またウレタンフォーム以外にも、ゴムスポンジやフォームラバー等の弾性を有する多孔質体の材料中から適宜選択しても良い。
【0012】
次に、前記被覆材12となる弾性を有する導電性多孔質体は、連続気泡性の弾性樹脂体と、この樹脂体の外表面および内表面に形成した金属メッキ層とからなるので、これらの詳細について説明する。前記連続気泡性弾性樹脂体を構成する素材としては、連続気泡性で弾性があるものであればよく、エラストマー、それ以外のゴム、弾性を示すそれ以外の樹脂(本発明では、これらの素材全てを「弾性樹脂」の範疇に含める)を適用し得る。このうちで軟質ウレタンフォームまたはシリコーンゴム等が好ましく、他に半硬質ポリウレタンフォーム、ポリウレアフォーム、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂フォームまたは尿素・ホルムアルデヒド樹脂フォーム等も使用し得る。この軟質ウレタンフォームとしては、例えば軟質ウレタンスラブ発泡体をシート形状に成形したものを使用する。前記被覆材12に使用される連続気泡性弾性樹脂体に好適な物性としては、前述した芯材10に用いられる多孔質体とほぼ同様であるが、シート形状への加工、金属メッキ層形成および電磁波シールド性確保等の観点から、より大きな機械的強度と、セル数が多く大きい表面積とを有することが望ましい。この点から、エ一テルポリオール発泡体またはエステルポリオール発泡体、殊に後者の好適である。このウレタン発泡体の物性としては、以下の範囲のものが好ましい。
(1)密度 ;20〜100(好ましくは20〜60)kg/m3
(2)セル数 ;5〜100(好ましくは30〜80)個/inch
(3)引張り強度 ;1.0〜3.0(好ましくは1.5〜2.5)kg/cm2
(4)伸び ;150〜500(好ましくは200〜350)%
(5)反発弾性率 ;30〜65%
【0013】
更に、発泡ポリウレタンを使用する際は、これからセル膜を除去するものが好ましい。このセル膜を除去する方法は、例えば、原料配合を調整して破泡させた発泡体を得る方法や、公知の溶解法または水素爆発法等が用いられる。配合を調整するには、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールを併用し、更に界面活性剤を調整することで発泡体の気泡度を高めた配合処方にて製造する方法を採用する。ここで溶解法とは、アルカリ濃厚溶液中にフォームを浸漬し、エステル結合基を加水分解してセル膜を除去するアルカリ溶解法を云う。また水素爆発法は、天然ガス、水素ガスまたはアセチレン等の可燃物と酸素を爆発限度内で混合点火して爆発させ、その衝撃でセル膜を除去する方法を云う。
【0014】
前記連続気泡性の弾性樹脂体に施される金属メッキ層については、金属の種類は殊に限定されないが、通常、ニッケル、銅等である。また、金属メッキ層の厚さは殊に限定されず、目的や用途によった抵抗値および弾性程度(弾性体または非弾性体を含む)が選択的に使用される。すなわち、低抵抗を目的とすれば比較的厚いメッキ層(例えば、0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上)とし、高抵抗を目的とすれば薄いメッキ層(例えば、0.02μm以下、好ましくは0.01μm以下)とし、更に弾性体を目的とすれば比較的薄いメッキ層(例えば0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下)とし、非弾性体を目的とすれば比較的厚いメッキ層(例えば0.3μm以上、好ましくは0.4μm以上)とする。
【0015】
前記金属メッキ層を形成するには、好ましくはアニオン系界面活性剤が使用され、これはカルボン酸塩である脂肪酸ナトリウムまたは脂肪酸カリウム等の石鹸であって、脂肪酸にはC12〜C18のラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸等が挙げられる。また、スルホン酸塩のなかでもアルキルスルホン酸塩が好ましく、なかでもスルホン化リシノール酸ナトリウムがエステルポリウレタンフォームの発泡安定性を図るうえで殊に好ましい。この整泡剤はエステルフォームの製造に有効であり、より良好なセル構造の発泡体を得るためには、スルホン化リシノール酸ナトリウムとエステルポリオールを組成分とする発泡体がより好ましい。また、エーテルフォームについては、シリコーン系界面活性剤を従来の1/2程度に減らすと共にアニオン系界面活性剤を増量添加して、整泡剤の調整をすることで所定の物性を示すエ一テルフォームが得られる。
【0016】
また前記弾性樹脂体に金属メッキ層を施すには、好適には、メッキ用表面調整剤としてカチオン系表面活性剤を使用する。この表面活性剤には、脂肪族アミン塩または脂肪族第4級アンモニウム塩等が使用可能で、具体的には、下記化学式で表される化合物(第1、第2、第3または第4級アミン塩)がある。
化学式 (R1)(R2)(R3)−N・X (R1,R2,R3は炭素数12〜18のアルキルまたはHで、Xは無機酸または有機酸である。有機酸には酢酸、カルボン酸、乳酸またはクエン酸等がある。無機酸には、塩酸または硫酸等がある。但し、R1,R2,R3およびXの全てがHの場合は除く。)
【0017】
ポリウレタンフォーム等に添加されるアニオン系界面活性剤と、メッキ用表面調整剤との関係について以下に述べる。ポリウレタンフォームの原料は、ポリオール成分とイソシアネート成分が主成分として用いられ、これらに触媒、発泡剤等の助剤が加えられる。この助剤はポリオールに添加するのが通常であって、ここに界面活性剤も添加される。界面活性剤は、助剤および主成分を混合し、均一に分散させる作用によって発泡体の泡を安定させ、均一なセル構造を得る効果がある。発泡後のポリウレタンフォームのセル膜ないしは骨格の少なくともその表面(表面部)には、分散作用に寄与した整泡剤が残留しているのが通常である。本実施例では、ポリウレタンフォームの整泡剤にアニオン系界面活性剤を使用することで、セル膜ないしは骨格の表面はマイナスに帯電される。アニオン系界面活性剤を使用しない場合、発泡ポリウレタンの表面のゼータ電位は主として陽性(または中性)になっているものと考えられる。
【0018】
次に、前記発泡体をメッキするためにプライマー処理を施す。すなわちメッキ用触媒の浸透性やメッキ金属の吸着性を高めるために、表面調整剤に浸漬する処理である。このとき表面調整剤によって、メッキ面であるセル膜ないしは骨格が充分に濡れていなければならない。ここでは表面調整剤にカチオン系界面活性剤を使用することで、セル膜ないしは骨格表面に帯電したマイナスの電荷と該カチオン系界面活性剤が引きつけ合う作用を示し、セル膜ないし骨格表面は充分に濡らされることになる。次いで、メッキ用触媒溶液にポリウレタンフォームを浸漬することで、触媒が付与される。通常、メッキ用触媒はマイナスに帯電しているので、表面調整剤によって調整されたメッキ面と電気的な吸引力によって均一に吸着する。なお、発泡ポリウレタン以外の弾性樹脂においても、表面電位が中性または陽性のものにおいては同様に作用する。このようにして金属メッキ層が外表面および内表面に均一に施されたポリウレタン製等の導電性多孔質体が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る電磁波シールド用ガスケットの製造方法を具体的な実施例を挙げて詳細に説明する。
(1)導電性多孔質体の製造
シリコーン系界面活性剤は用いず、アニオン性界面活性剤(スルホン化リシノール酸ナトリウム)を用いてポリウレタンフォームを製造した。すなわち、以下に示すA液およびB液をイソシアネートインデックスが110となるように調整し、低圧注入機で注入発泡を行なって、スラブを得た。
[A液(ポリオール成分)]:
(1)ポリオール(旭ガラス(株)製 商品名 F21-79T)
(分子量:2200、OHV:60、ポリエステルポリオール)・・・100重量部
(2)発泡剤:水道水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0重量部
(3)整泡剤:スルホン化リシノール酸ナトリウム・・・・・・・・0.5重量部
(4)アミン触媒:(日本乳化剤(株)製 商品名 LV33)・・・・・0.3重量部
(5)樹脂化触媒:(中京油脂社製 商品名 スタナズオクトエート)・0.3重量部
上記成分を混合しポリオール成分を調整した。
[B液(イソシアネート成分)]:
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製 商品名 ミリオネートMTL)
【0020】
更に、以下の方法にてセル膜を除去した。すなわち、容器の蓋に火花間隙端子とガス注入孔を設けた箱状の密閉容器に、直方体に切り出した上記発泡体スラブを静置する。ガス注入孔から水素:酸素をモル比2:1の割合で規軍の濃度となるまで充填する。注入孔を閉じた後、端子間に火花放電を発生させて爆発させることによりセル膜を除去した。得られた発泡体は、湿気を含んでいるため常温乾燥を行う。次いで、シート形状(平板形状、100×100×10mm)に加工した。
【0021】
このポリウレタンフォームの物性は、おおよそ以下の通りである。
(1)密度 ;30〜32kg/m3
(2)セル数 ;65個/inch
(3)引張り強度 ;2.2〜2.3kg/cm2
(4)伸び ;約400%
【0022】
その後、これを、プラスチックメッキ表面調整剤(奥野製薬製 商品名 コンディショナーK)50ml/lに室温で5分間浸漬する。その後、これをローラ等で余分の薬液を充分絞り、その後、水で2回すすぐ。更に、パラジウム・スズ触媒(奥野製薬製 商品名 キャタリストC)30ml/lを含む35%塩酸溶液200ml/l中に、室温で5分間浸漬する。次いでこれらを水洗し、その後、96%硫酸100ml/lに室温で5分間浸漬した後、水洗する。これを無電解ニッケル液(奥野製薬製 商品名 TMP化学ニッケルHR-T;A液およびB波とも各150ml/l)に、40℃1分間浸漬した後、更に、水洗、乾燥を行なった。
【0023】
以上により、発泡ポリウレタン体の内表面および外周表面上に金属メッキ層が形成されている。このメッキ層の厚さは0.06μmであり、この抵抗値は、40Ωであった。更に、30℃と15℃の何れの場合においても柔軟性は変わらず、15℃においても柔軟性が損なわれないことが判った。この結果を表1に記す。
【0024】
前記メッキ膜厚は、SEMによるウレタン骨格の断面観察により測定した。この抵抗値は、油化電子製ロレスターFP,4端子法セパレイトプローブによる抵抗測定器を用いた。この抵抗値は1cm3の試料の対向する面間のものである。この柔軟性は、弾性体発泡層をシャフトに装着した状態で、発泡層を50%の厚みで圧縮し、発泡層が元の厚みまで回復し座屈しないことを確認して柔軟性ありと判定した。
【0025】
(2)メッキ膜厚の検討
ポリウレタン発泡体(セル数65のエステル系ウレタン、セル膜除去したもの)に種々のメッキ膜厚を形成させて、このメッキ膜厚と抵抗値若しくは柔軟性との関係を検討した。表面調整剤として「コンティショナK」を50ml/lと、「コンティライザFR」100ml/l(いずれも奥野製薬製)からなる溶液に、25℃、5分間浸漬した。その後、水洗を十分に行ない、パラジウム・スズ触媒(奥野製薬製商品名 キャタリストC)30ml/lと濃塩酸200ml/lからなる溶液に、25℃、5分間浸漬した。更に、水洗を充分にして、96%硫酸100ml/lに25℃、5分間浸漬した。
【0026】
次いで、充分水洗して、無電解銅メッキ(シプレイ・ファーイースト製 商品名 オムニシールド1598)の標準組成の浴(銅イオン濃度;2g/l、45℃)に、以下の表1に示す時間浸漬した。更に、水洗し、無電解ニッケルメッキ(シプレイ・ファーイースト製 商品名 オムニシールド1580)の標準組成の浴(ニッケルイオン濃度3.6g/l、35℃)に1分間浸漬し、洗浄・乾燥した。以上より、種々のメッキ膜厚が形成された(表1参照)。この導電化したシート形状物のメッキ膜厚、抵抗値および柔軟性を、前記の方法にて測定し、その結果を表1に示した。
【0027】
Figure 0004239120
【0028】
以上より、浸漬時間の調整によりメッキ膜厚または抵抗値を適宜変えることができる。すなわち、浸漬時間は7分以下では膜厚を0.21μm以下とすることができ、この場合は膜厚が薄いので柔軟性にも優れる。また、膜厚を0.21〜0.01μm以下の範囲で変えることにより、抵抗値を0.03〜2×106Ωの範囲において自由に変えることができる。従って、柔軟性を維持しつつ、目的とする抵抗値、即ち低抵抗(0.01Ω程度)から103〜106Ω程度の中間抵抗値までの所定の低抗値(または更にはそれ以上の抵抗値)をもつ導電性多孔質体を製造できる。殊に、電磁波シールド材に適した低抵抗(50Ω以下または10Ω以下)および弾性に優れたものを容易に製造できた。
【0029】
前記芯材10は、例えばウレタンフォーム、ゴムスポンジ、フォームラバー等から適宜得られるものであり、本実施例では発泡ポリウレタンを材質として柱状に成形したものを使用した。この芯材10を、前述の工程で得られた導電性多孔質体の被覆材12で被覆することにより、製品としての電磁波シールド用ガスケット14を得た。このガスケット14を製造する方法としては、図2に示す如く、予め前記芯材10および被覆材12を準備しておき、芯材10を被覆材12で包み込んで接着剤を介して両材料を接合する手段と、図3に示す如く、前記被覆材12に二液性の発泡樹脂原料を注入して筒状に巻き込むことで、内部に発泡した芯材10を形成する手段とがある。
【0030】
【製作手段1】
予め前記芯材10および被覆材12を準備しておき、芯材10を被覆材12で包み込んで接着剤を介して両材料を接合して電磁波シールド用ガスケットを製作する手段を、図2を参照して以下に説明する。前記被膜材12を構成する連続気泡性弾性樹脂体としては、セル膜除去処理を行なったポリウレタンフォーム(株式会社イノアックコーポレーション製 商品名 MF−65)を使用した。この商品「MF−65」の物性は以下の通りである。
(1)密度 ;57kg/m3
(2)セル数 ;65個/inch
(3)引張り強度 ;1.5kg/cm2
(4)伸び ;200%
この商品「MF−65」 を厚さ1mm、幅40mm、長さ300mmの寸法のシート形状に加工して使用した。そして前記連続気泡性弾性樹脂体に対し、前述したコンディショナ、触媒およびアクセラレータ処理を施し、前記フォーム骨格に対して無電解銅メッキおよび無電解ニッケルメッキを、夫々0.5μmおよび0.1μm析出させた後、洗浄・乾燥して被覆材12とした。
【0031】
前記芯材10としては、ポリウレタンフォーム(株式会社イノアックコーポレーション製 商品名 CF−50)を8mm角、長さ300mmの寸法に加工したものを用いた。この商品「CF−50」の物性は以下の通りである。
(1)密度 ;30kg/m3
(2)セル数 ;45個/inch
(3)引張り強度 ;1.8kg/cm2
(4)伸び ;100%
【0032】
そして図2(a)に示す如く、前記被覆材12に対して、接着剤20としてアクリルエマルジョン感圧接着剤(日本カーバイト工業製 商品名 TS−1537)をドライ厚さ20g/m2の条件で塗布し接着層を形成し、図2(b)に示す如く、該接着層側に前記芯材10を載置して、該芯材10の周りを覆うように被覆材12を接着・一体化して電磁波シールド用ガスケット14を作製した。このとき前記電磁波シールド用ガスケット14が真直になるよう、所定の治具を使用し前記芯材10を固定しながら接着加工を行った。前記芯材10と、被覆材12とを接着・一体化する接着剤としては、硬化後に低硬度エラストマーとなるような柔軟性を維持し得る、例えば合成ゴム系の一液性溶剤揮発型のものが好適に使用され、前述した商品「TS−1537」の他に、例えば「セメダイン社製 商品名 ボンドG」等が挙げられる。
【0033】
【製作手段2】
図3に係る前記被覆材12に二液性の発泡樹脂原料を注入して筒状に巻き込み電磁波シールド用ガスケットを製作する手段を以下に示す。前述の製作方法1と同様の方法で金属メッキを施した被覆材12を、電磁波シールド用ガスケット14として必要とされる外形状に成形した。また図3(a)に示す如く、その内側に前記芯材10となるべき以下に示す2つの原料、すなわちA成分;ポリオール成分およびB成分;イソシアネート成分をイソシアネートインデックスが105となるように調整し、混合・注入して発泡させ、順次芯材10を形成した。ここで使用される原料は、少量吐出で発泡硬化可能な配合が好適である。
[A液(ポリオール成分)]:
(1)ポリエーテルポリオール
(分子量:3000、官能基数:3、第1級水酸基含有率40%)・・100重量部
(2)発泡剤:水道水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0重量部
(3)整泡剤:
シリコーン整泡剤(東レ・ダウ社製 商品名 SF2964)・・・・・・・・0.5重量部
(4)アミン触媒:トリエチレンジアミン(東洋曹達工業(株)製)・・・・・・・1重量部
(5)架橋剤:ジエチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15重量部
上記成分を混合しポリオール成分を調整した。
[B液(イソシアネート成分)]:
クルードMDI(日本ポリウレタン社製 商品名 シリオネート MR200)
【0034】
そして図3(b)に示す如く、前記芯材10となる2成分原料が注入済みの所から、被覆材12を囲繞して電磁波シールド用ガスケットの形状に順次仕上げる手順を行なった。前記芯材10は閉じられた被覆材12内部で順次発泡し、これにより該被覆材12に沿って次第に成長した。このとき、発泡中の前記芯材10は高い粘度を有しているので、前記被覆材12に対して接着剤としての機能も果たす。
【0035】
これらの製作手段で作られた電磁波シールド用ガスケットの電磁波シールド効果を、KEC法によって測定した結果、両者とも500MHzにおいて70dB以上と高い数値が得られた。また本発明に係る電磁波シールド用ガスケットは、OA機器の他に電波暗室、医療機器を設置する部屋等、多様な電磁波の侵入、漏洩を防止する必要のある場所の建材にも利用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る製造方法で得られる電磁波シールド用ガスケットによれば、芯材が充分な柔軟性を有していることは勿論、導電性機能を備える被覆材も同程度の柔軟性を有しているので、高い形状追従性を発揮することができ、例えばOA機器といった小さなものから建材のような大きなものまでそこに生じ得る凸凹状態や、小さい曲率で湾曲する様々な形状等にも密着的に配設させることが容易であり、従って電磁波の侵入を確実に防止し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る好適な製造方法で得られる電磁波シールド用ガスケットを示す斜視図である。
【図2】 1の製造手段を示す製造工程図である。
【図3】 本発明に係る第2の製造手段を示す製造工程図である。

Claims (2)

  1. 連続気泡性を有する弾性樹脂体の外表面および内表面に金属メッキ層を形成して導電性多孔質体の被覆材(12)を製造し、
    この導電性多孔質体の被覆材(12)における一方の表面に二液性の発泡樹脂原料を注入し、これら樹脂原料を発泡させながら前記被覆材(12)を筒状に巻き込むことで、この発泡反応により生じた弾性を有する多孔質体を芯材(10)とする電磁波シールド用ガスケット(14)を製造するようにした
    ことを特徴とする電磁波シールド用ガスケットの製造方法。
  2. 前記二液性の発泡樹脂原料として、ポリオール成分およびイソシアネート成分が使用される請求項記載の電磁波シールド用ガスケットの製造方法。
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