JP4318008B2 - 電磁波シールド用ガスケットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高い密閉性と導電度とを両立させた電磁波シールド用ガスケットおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
コンピュータやワードプロセッサ等の電子機器、その他マイクロコンピュータを制御用素子として内蔵した各種電子機器は、外部から機器内に侵入する電磁波等の外乱を受けて誤作動する可能性のあることが知られている。また、これらの電子機器は稼働時に機器筐体外部へ電磁波を発生して有害なノイズ源となることも多い。この種の電磁波による干渉(EMI)や、より周波数の低い電波による干渉(RFI)から前記電子機器等を保護したり、外部へ電磁波が漏出するのを防止したりする目的で、シールド(遮蔽)が機器筐体に一般に施される。
【0003】
このEMIに対して、プリント基板の設計時に、コンデンサやコイル等に予めシールドの施された部品を使用したり、電子機器の筐体にシールドを施したりすることで、様々なレベルの対策がなされている。筐体レベルの対策では、形状の自由度が高く、軽量性や生産性等の点で有利なプラスチック製筐体を用いた場合、該筐体を金属メッキを複合的に付与して電磁波を反射させる方法が挙げられる。電子機器の筐体は、一般に電子機器部を収納する本体と、その内部を密閉する蓋部との2部品以上から少なくともなるが、これら多数の部品のパーティングライン(つなぎ目)やコネクタ端子等の設置部位等から電磁波が出入りする可能性があるので、これを効果的に防止する必要がある。そこで、前記筐体の対象箇所に対して、例えば軟質のシート状導電性部材を貼着することで、電磁波の筐体内部への侵入および漏出を防止する技術が実施されている。この導電性部材は、複数の筐体を合体させた際の分割ラインの隙間等を確実に埋めると共に、電磁波をシールドするものであるので、その機能に着目して一般に電磁波シールド用ガスケットと称される。従って本願でも、この用語を使用する。このようなEMIに対してシールド特性を有するガスケットとしては、▲1▼弾性体(発泡体、エラストマー等)に金属繊維布や金属箔を巻き付けてガスケットとしたもの、▲2▼弾性体にカーボンを添加して導電性をもたせたもの、▲3▼弾性体に金属粉を添加して導電性をもたせたもの、が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで前記電磁波に対してシールドを必要とする電子機器であって、屋外に露出状態で設置されているものは、自動車からの排気ガスや浮遊性粉塵その他酸性雨にもろに晒され、前述の各ガスケットを使用すると、弾性体に繊維布を巻きつけているものは、雨水、排気ガスや粉塵に対するシール性が不完全であって実用に供し得ない。また箔を使用したものは、蓋の開閉等を反復すると金属の塑性変形により隙間を生ずることがある。この場合は接触抵抗が不安定となり、EMIシールドの効果が得られない場合があるだけでなく、シール性も発現されない恐れがある。また抵抗値のレベルを、1Ωcm以下とすることが困難なため、高出力の電磁波に対してはEMIのシールド性が不完全となる難点が指摘される。更に軍事等の特殊用途では、銀粒子を導電材として充填する実績があるが、該銀粒子は高価であるばかりでなく、1Ωcm以下の抵抗値を有する配合で弾性硬度が高くなって変形自由度が損なわれ、ガスケットとして不適となる欠点がある。
【0005】
【発明の目的】
この発明は、従来技術に係る問題点に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、高い密閉性および柔軟性を併有する電磁波シールド用ガスケットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明の電磁波シールド用ガスケットは、シリコーンゴムからなるガスケット用芯材と、
湿気硬化性樹脂からなり、前記芯材の外表面に被覆される樹脂層と、
前記樹脂層上に形成され、導電性を付与する所定のメッキ用金属に対して触媒活性を有する触媒金属層と、
前記触媒金属層の表面に析出させた金属メッキ層とからなることを特徴とする。
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願に係る別発明の電磁波シールド用ガスケットの製造方法は、シリコーンゴムからガスケット用芯材を作製し、
前記芯材の外表面に湿気硬化性樹脂からなる樹脂層を形成し、
この樹脂層に所要のメッキ用金属に対して触媒活性を有する触媒金属層を付与し、
次いで前記触媒金属層に前記メッキ用金属を析出させることで金属メッキ層を形成するようにしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る電磁波シールド用ガスケットおよびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【0009】
本発明の好適な実施例に係る電磁波シールド用ガスケットは、図1に示す如く、中実構造または独立気泡構造を有する発泡体であるシリコーンゴムからなる芯材10と、該芯材10の全体または所要部位を被覆する▲1▼湿気硬化性樹脂20からなり、触媒金属22の吸着特性を有する樹脂層14と、▲2▼該樹脂層14上に吸着される触媒金属層16と、▲3▼該触媒金属層16を形成する触媒金属22の微粒子を核として形成される金属メッキ層18とから構成される。
【0010】
前記芯材10としては、少なくとも50%以上の圧縮弾性変形の可能なシリコーンゴムを原料とし、内部構造が中実構造または独立気泡を有する発泡体であって、気体や液体の透過を阻止する弾性体(以下「シリコーン弾性体」という)が使用される。前記シリコーン弾性体としては、高い水密性および気密性を確保するために、圧縮永久歪みが使用される環境下において50%以下で、かつ硬度がJIS A 30度以下の圧縮変形を容易に許容するものが使用される。これはガスケットの使用部位である収納溝が平面でなく凹凸があるような場合でも、容易に形状に追従し得るためである。また前記シリコーン弾性体は、その装着性および作業性を考慮して、伸び率350%以上、引張り強度5MPa以上の物性を併有するものが好適である。前記芯材10は、配置される電子機器筐体の内部構造に応じて、シート状やひも状等所要の形状等に成形される。シート状とする場合は厚さ20〜1mm程度が、またひも状とする場合は幅20〜2mm程度が好適である。
【0011】
前記樹脂層14を形成する湿気硬化性樹脂20は、主に接着剤の分野で知られるものであって、空気中の水分を吸収することによって構造内に架橋を生じ、この架橋によって固化する性質を有する樹脂を配合した樹脂配合物を一般に指称する。この湿気硬化性樹脂20は、構造内の加水分解性官能基と、水分により生成されたシラノール基とが縮合反応を起こして、架橋を生じていくものであり、該縮合反応によりオリゴマからはずれていく様々な縮合反応副生成物によって、酢酸型、アルコール型、オキシム型、アミン型、アミド型、アミノキシ型およびアセトン型等に分類される(参照 シリコーンハンドブック、日刊工業新聞社刊)。厚さは0.05〜0.5mm程度で利用されている。なお本実施例では、前記湿気硬化性樹脂20として湿気硬化性変性シリコーン樹脂を好適に使用している。
【0012】
前記湿気硬化性樹脂20は、一般に粘度が高いためロールコータ等によっても付与が可能であり、またキシレン等の溶媒による濃度調整も可能であるため、均一で薄い樹脂層14を容易に形成し得る。また雰囲気湿度により硬化するので、前記芯材10への付与時の湿気を制御することで、その硬化速度も容易に制御し得るものである。前記湿気硬化性樹脂20は、様々な物質に対して高い物理的な接着能力を有すると共に、硬化後に未反応状態で構造内に残留する官能基または水分との反応により新たに生成される多数の官能基が、前記触媒金属22を多数捕捉・吸着することで、間接的に金属メッキ層18に対する強力な密着性を発現させるものと推察される。すなわち前記触媒金属22がメッキ成長のための芽として作用し、かつ析出したメッキに対しても該官能基が親和性を発揮することで高い密着性を発揮されるためと推定される。
【0013】
次に前記触媒金属22としては、パラジウム等の無電解メッキ反応に触媒活性を有する貴金属が好適に使用され、他に、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウムまたは白金が挙げられる。この触媒金属22を前記樹脂層14に付与して、触媒金属層16を形成する具体的な方法は後述する。なお前記触媒金属層16は、連続層として形成される必要はなく、前記樹脂層14上に吸着していればよい。またある程度高濃度に吸着していればよいが、濃度が低すぎる場合には、後述の金属メッキ層18が形成されず、また極度に過剰の場合には、下地となる樹脂層14と析出したメッキ用金属24との密着が弱くなるので留意が必要である。
【0014】
前記メッキ用金属24には、第1金属メッキ層18aを形成する第1メッキ用金属24aおよび第2金属メッキ層18bを形成する第2メッキ用金属24bがあり、夫々入射する電磁波に対して高い反射特性(すなわち高い導電性)と、高い耐食性とを有する金属が採用される。一般的には銅、ニッケル(ニッケル・リン、ニッケル・ホウ素等)、コバルト、パラジウム、銀、金、ロジウム、スズまたは半田等が利用可能である。EMIシールドの用途においては、前記第1メッキ用金属24aとして、銀に次ぐ高い導電性とコストが比較的安い無電解銅メッキを採用して主に電磁波をシールドする機能を発揮させ、また前記第2メッキ用金属24bとして、ニッケル・リン合金を採用して耐食性を発揮させる積層構造が多用される。
【0015】
【製造方法】
本発明に係る電磁波シールド用ガスケットの製造方法は、図2に示す如く、前処理工程S1、導電化工程S2および仕上工程S3の各工程に大きく分かれる。前処理工程S1は、芯材10となるシリコーン弾性体の製造および所定形状への加工を行なう芯材製造段階S11と、電気的不導体である芯材10に金属メッキを施すのに不可欠な樹脂層14を形成する樹脂層付与段階S12とからなる。
【0016】
この前処理工程S1に引き続いて行なわれる導電化工程S2は、▲1▼前記芯材10上に形成された樹脂層14に、無電解メッキに対する触媒活性を発現する触媒金属22を吸着させて触媒金属層16を形成する触媒吸着段階S21と、▲2▼適宜選択された第1メッキ浴に浸漬させることで、該触媒金属層16上に所定厚さの第1金属メッキ層18aを付与する第1メッキ段階S22と、▲3▼第2メッキ浴に浸漬させることで該第1金属メッキ層18a上に第2金属メッキ層18bを付与する第2メッキ段階S23とからなる。以上の各段階を経た後に、検査工程S3の加工および検査を行なって金属メッキは完了する。なお場合によっては、第1メッキ段階S22および第2メッキ段階S23に引き続き、無電解または電解メッキによる追加メッキ段階S24を行なって前記金属メッキ層18を更に厚くする場合もある。この追加メッキ段階S24は、ガスケット30に求められる各種物性(例えば導電度)に応じて選択的に実施される。
【0017】
前記芯材製造段階S11では、前述した通り、シリコーンゴム原料からシリコーン弾性体を製造するが、従来知られている、例えばプレス、押出または注型等の何れの方法でも採用可能である。また原料のシリコーンゴム原料としては、ミラブルまたは液状の何れでも適用可能であり、必要に応じて硬化触媒および顔料等を混合、分散させる。
【0018】
樹脂付与段階S12:前記湿気硬化性樹脂20を、無溶剤またはキシレン等の溶剤に溶解して、ディッピング、スプレー塗布、刷毛塗りまたはナイフコート等を用いて芯材10の表面に塗布する。この際、電磁波遮蔽効果を妨げないようなパターンで金属未析出部分が形成されるよう未塗布部を残せば、ガスケットとして圧縮変形を受けたときに金属メッキ層18に掛かる引張り応力を低減することができる。一般に前記湿気硬化性樹脂20は高粘度であるため、前記芯材10への付与はロールコータ等を使用するのが好ましく、室温または加熱下で空気中の水分により順次縮合反応・架橋反応を起こして速やかに硬化される。この硬化は、通常は常温下に放置する等した乾燥状態で促進して行なわれるが、前記樹脂層14を溶剤等に希釈してコーティングした場合には、該希釈溶剤を除去するために熱風循環オーブン等を用いて処理してもよい。
【0019】
触媒吸着段階S21:無電解反応に触媒性を持つ触媒金属22のコロイドを、浸漬、ディッピング、スプレー塗布または刷毛塗り等の方法により、前記樹脂層14表面に付与・吸着させる。前記触媒金属22のコロイドは、触媒金属化合物の水溶性の塩を溶解し、界面活性剤を加えて激しく撹拌しながら、還元剤を添加することで得られる。界面活性剤には様々なものがあるが、陰イオン性または陽イオン性界面活性剤が好適であり、例えば石けん、高級アルコール硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドまたはアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が使用される。また触媒金属層16を形成するためには、前述した触媒金属22のコロイド溶液と接触させる方法の他に、従来無電解メッキ工程で行なわれているスズ・パラジウム・塩素からなる錯塩のコロイド溶液に接触させた後、硫酸等でパラジウム金属のみを表面に残す方法も採用し得る。
【0020】
導電化工程S2におけるメッキ段階S22およびS23は、夫々導電性に優れる第1メッキ用金属24aおよび耐食性に優れる第2メッキ用金属24bを無電解メッキにて、前記触媒金属層16上に付与するものである。これら第1メッキ段階S22および第2メッキ段階S23で採用されるメッキには、メッキ浴の管理が比較的容易で、工業的に広く利用されている点から、第1金属メッキ層18aには無電解銅が、第2金属メッキ層18bには無電解ニッケル−リン合金が夫々好適に採用される。また、このときの第1メッキ層18aおよび第2金属メッキ層18bの厚さは、夫々0.2〜5μmおよび0.05〜1μm程度が好適である。厚すぎると製造時間および製造コストが上昇すると共に、ガスケットの柔軟性を阻害し、また薄すぎると所望の機能を果たし得なくなるためである。
【0021】
前記第1メッキ段階S22は、キレート剤等により安定化させた第1メッキ用金属24aのイオンと、該イオンを還元し得る還元剤とを適切なpHおよび温度の条件下で共存させた第1メッキ浴中に、前記触媒金属層16を吸着させた芯材10を浸漬することで行なわれる。前記第1金属メッキ層18aは、前段階S21で吸着させた触媒金属22を核として析出反応により形成されるものである。続いて行なわれる前記第2メッキ段階S23は、キレート剤等により第2メッキ用金属24bのイオンを安定化させ、適切なpHおよび温度の条件とした第2メッキ浴を用いて付与される。このように前記第1メッキ用金属24aから形成される第1メッキ層18aは、主として高い導電率を持って入射する電磁波を反射するシールド性を発現し、また前記第2メッキ用金属24bから該第1メッキ層18a上に積層的に形成される第2メッキ層18bは、高い耐食性を発現して該第1メッキ層18aを保護する。
【0022】
前記第1金属メッキ層18aおよび第2金属メッキ層18bからなる金属メッキ層18は、その厚さに比例して電磁波シールド能力を向上し得る。しかしガスケットとしては低応力で大きな圧縮変形が起こす物性が必須であるので、第1金属メッキ層18aおよび第2金属メッキ層18bが夫々、所定のシールド(導電)性および耐食性を確保できる最低限の厚みとすることが好ましい。更に、これら第1メッキ段階S22および第2メッキ段階S23に引き続いて、無電解または電解メッキを追加的に施す追加メッキ段階S24を施してもよい。この場合、得られるガスケット30の形状追従性を悪化させないように、例えば前記樹脂層14の厚さを0.1μm程度に設定する等して、各層14、16および18の総厚さを制限する必要がある。
【0023】
ここまでに施された前処理工程S1および導電化工程S2により、前記芯材10から、所望の電磁波シールド性を有する金属メッキ層18を形成されたガスケット30を得ることが出来る。最終的に施される仕上工程S3では、前記ガスケット30は、水洗および乾燥、所定形状へのカットまたは打ち抜き等の成形並びに検査が行なわれる。
【0024】
以下に本発明の好適な実験例を示すが、この実験例に限定されるものではない。
【0025】
【実験例】
▲1▼芯材製造段階
下記処方の素原料をオープンロールを用いて混練・攪拌した。攪拌・分散させた後に、準備した内寸法5×300×300mmの金型にて、圧力9.8×106Paの条件下で、温度170℃を10分間維持させ、更に温度200℃を2時間維持して硬化させてシート状の芯材を得た。
(配合処方)
東芝シリコーン製 TSE−221−3U 100phr
東芝シリコーン製 TC−8 0.5phr
【0026】
更にこのシート状芯材から、外枠280角mm内枠270角mmのガスケットを抜き加工で製作した。この芯材の機械物性は以下の通りであった。
硬度 JIS−A 30度
引張り強さ 5.9MPa
伸び 470%
圧縮永久歪み率 19%(180℃×22HR×25%)
(試験方法はJIS K 6301に準ずる)
【0027】
▲2▼樹脂付与段階
湿気硬化性変性シリコーン樹脂(製品名スーパーX:セメダイン製)の50% n-ヘキサン溶液を作製した。この溶液に対して前記芯材を浸漬して、該芯材の周囲全てを20μmの変性シリコーン樹脂からなる樹脂層で被覆し、その後に温度設定可能な高温オーブンで温度100℃で30分間の条件で有機溶媒であるn−ヘキサンを乾燥させると共に、オーブン中に放出される水分により該樹脂層の硬化も完了させた。
【0028】
▲3▼触媒吸着段階
塩化パラジウム(PdCl2)0.089g/Lと塩化ナトリウム(NaCl)0.146g/Lとからなる純水溶液に、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(製品名コータミン86Pコンク)を0.1g/L添加した主溶液に対して、予め少量の純水に0.076gの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を溶解した溶液を添加しながら激しく撹拌することで、黒褐色透明なパラジウムコロイド触媒溶液を作製した。このパラジウムコロイド触媒溶液を、前処理工程で作製した芯材にスプレー塗布で充分に付与し、その後に温度設定可能な高温オーブンで温度100℃で30分間乾燥させた。
【0029】
▲4▼第1メッキ段階
水洗後、無電解銅メッキ浴(製品名オムニシールド1598:シプレイ・ファーイースト製:標準配合)を、温度30℃の条件下で30分間メッキを実施して約1μmの第1金属メッキ層を形成した。その後、使用されたメッキ液を充分に水洗して除去した。
▲5▼第2メッキ段階
次いで、塩化パラジウムを含む活性化浴(オムニシールド1501:シプレイ・ファーイースト社製:標準配合)を、温度25℃の条件下で1分間処理して表面活性を獲得した。水洗して活性化浴溶液を充分に除去した後、第2メッキ段階として無電解ニッケルメッキ浴(製品名オムニシールド1580:シプレイ・ファーイースト製:標準配合)を、温度30℃の条件下で5分間メッキを実施して約0.25μmの第2金属メッキ層を形成した。
▲6▼仕上工程
洗浄および乾燥を充分に実施して、最終製品としてのガスケットを得た。
【0030】
(評価および結果):
このようにして得られたガスケットの表面抵抗値、繰り返し圧縮後の表面抵抗値および対向する面間の抵抗値を、油化電子製表面抵抗計ロレスタFPおよび4端子セパレートプローブを使用して測定した。なお表面抵抗に関しては、ガスケットの各所を電極間20mmで10点を測定し平均を取った。繰り返し圧縮後の表面抵抗値では、断面方向にて(5mm厚方向)0%から25%の圧縮を100回繰り返しした後に同様の測定を行なった。対向する面間の抵抗値は、ガスケットより50mmの試験片を切り取り、2枚の金属板で上下を挟み、これらの金属板が直接接触しないように該試験片を圧縮しながら金属板の間の抵抗を測定し、サンプル数を3としてその平均を取った。またガスケットの両面にガラス板を挟み断面方向にて(5mm厚方向)20%の圧縮を与えた状態で1時間水没させ、これによりガスケットの水密性を確認した。
【0031】
上記の方法で測定した表面抵抗値は 0.05Ω、繰り返し圧縮後の表面抵抗値は0.06Ωであった。対向する面間の抵抗は0.03Ω(圧縮率が5%と低いときには接触が悪いため高抵抗となったが、10%以上では25%まで0.05Ω以下)であり、また水密試験実施後に水の浸透は確認されなかった。これらの結果から、本実験例で得られたガスケットは、充分な水密性およびEMIシールド性を両立させていると判断した。
【0032】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明によれば中実構造または独立気泡構造を有して気密性を有するシリコーン弾性体を芯材に用い、その表面に導電性を付与する金属メッキ層を形成させると共に、該芯材およびメッキ層を樹脂層の介在によって強固な接着状態としたので、従来に比べ遙かに高い気密性と、電子機器筐体内に用いるに充分な弾性および電磁波遮蔽性を有するガスケットが得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る電磁波シールド用ガスケットの積層状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る電磁波シールド用ガスケットの製造工程を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
10 芯材
14 樹脂層
16 触媒金属層
18 金属メッキ層
18a 第1金属メッキ層
18b 第2金属メッキ層
20 湿気硬化性樹脂
24 メッキ用金属
24a 第1メッキ用金属
24b 第2メッキ用金属
Claims (8)
- シリコーンゴムからなるガスケット用芯材(10)と、
湿気硬化性樹脂(20)からなり、前記芯材(10)の外表面に被覆される樹脂層(14)と、
前記樹脂層(14)上に形成され、導電性を付与する所定のメッキ用金属(24)に対して触媒活性を有する触媒金属層(16)と、
前記触媒金属層(16)の表面に析出させた金属メッキ層(18)とからなる
ことを特徴とする電磁波シールド用ガスケット。 - 前記湿気硬化性樹脂(20)は、湿気硬化性変性シリコーン樹脂である請求項1記載の電磁波シールド用ガスケット。
- 前記金属メッキ層(18)は、第1金属メッキ層(18a)と、表面側に露出する第2金属メッキ層(18b)との積層体である請求項1または2記載の電磁波シールド用ガスケット。
- 前記芯材(10)は、中実構造である請求項1〜3の何れかに記載の電磁波シールド用ガスケット。
- 前記芯材(10)は、独立気泡構造を有する発泡体である請求項1〜3の何れかに記載の電磁波シールド用ガスケット。
- シリコーンゴムからガスケット用芯材(10)を作製し、
前記芯材(10)の外表面に湿気硬化性樹脂(20)からなる樹脂層(14)を形成し、
この樹脂層(14)に所要のメッキ用金属(24)に対して触媒活性を有する触媒金属層(16)を付与し、
次いで前記触媒金属層(16)に前記メッキ用金属(24)を析出させることで金属メッキ層(18)を形成するようにした
ことを特徴とする電磁波シールド用ガスケットの製造方法。 - 前記湿気硬化性樹脂(20)は、湿気硬化性変性シリコーン樹脂である請求項6記載の電磁波シールド用ガスケットの製造方法。
- 前記メッキ用金属(24)は、無電解メッキによって金属メッキ層(18)を形成する請求項6または7記載の電磁波シールド用ガスケットの製造方法。
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