JP4076622B2 - 導電性多孔質体及びその製造方法並びに電磁波シールド材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性多孔質体及びその製造方法並びに電磁波シールド材に関する。更に詳しくは、本発明は、(1)種々の抵抗値を備える導電性多孔質体、(2)特に電磁波シールド材に好適な導電性多孔質体、(3)それらの導電性多孔質体の製造方法、更には(4)低抵抗で且つ弾力性がある電磁波シールド材に関する。本発明の導電性多孔質体は、ガスケット材、パッキン材及びシール材等に利用される。
【0002】
【従来の技術】
ウレタン発泡体等の連続気泡構造をもつ導電性多孔質体の導電化方法としては、以下(1)〜(3)の方法が知られている。
(1)カーボンブラックや金属粉等の導電性フィラーとバインダー樹脂を適当な溶媒に分散させてなるスラリーを含浸させて、乾燥させる。
(2)導電性多孔質体の原料に導電性フィラーを配合し、それをもとに導電性多孔質体を製造する。
(3)導電性多孔質体の原料にイオン導電性を付与する過塩素酸リチウムや4級アンモニプム塩を添加し、それをもとに導電性多孔質体を製造する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)の方法では低抵抗の導電性多孔質体が得られるが、10Ω程度までの抵抗しかえられず、更に、弾性体自身が硬くなり、しかも導電フィラーの脱落の間題がある。上記(2)の方法では、液状原料の粘度が上昇しやすく、成形が困難となり、そのため、低抵抗のものが得られにくい。上記(3)の方法では、成形が比較的容易であるが、低抵抗のものが得られにくい。上記(4)の方法では、低抵抗のものが得られやすいが、通常のウレタンフオームを用いると析出した金属層が客易に剥離して脱落の間題がある。以上より、電磁波シールド材料として使用できるような高いレベルの導電性と通常のウレタンフォーム材のような圧縮変形と曲げ変形への追随性を金属の脱落なくて両立したものは知られていない。
また、シール材として要求される抵抗値は10Ω・m程度以下である。しかし、上記に示す導電性多孔質体をシール材に適用しようとしても、抵抗値が大きいため使用できない問題があった。
しかし、いずれの方法であっても、導電性物質を添加することにかわりはなく、成形性を考慮するとその添加量も制限せざるえず、体積抵抗値として50Ω以下に下げることができなかった。
【0004】
ところが、シール材として要求される抵抗値は10Ω・m程度以下であって、好ましくは0.1Ω・m以下とされている。したがって、ウレタン発泡体等の弾性樹脂を基材とする電磁干渉シールド用シール材は、基材に導電材料を積層して抵抗値を下げたものが一般的に用いられている。かかる複合素材は形状が限定され、小型化する情報機器にあっては設計を制約したり、ガスケットとして要求される可撓性が損なわれたりしていた。
本発明は、(1)種々の抵抗値を備える導電性多孔質体、(2)特に電磁波シールド材に好適な導電性多孔質体、(3)それらの導電性多孔質体の製造方法、更には(4)低抵抗で且つ弾力性がある電磁波シールド材を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、(1)ウレタン発泡体等の連続気泡性弾性樹脂にメッキを施して所定厚さの金属メッキ層を形成させることにより、低抵抗な多孔質体が得られこと、(2)比較的薄い金属メッキ層を設けることにより、この柔軟なウレタン発泡体等の特性を損なうことなく、低抵抗な多孔質体が得られること、(3)アニオン系界面活性剤を用いて発泡させて得たウレタン発泡体を用いて金属メッキを行うと剥離しにくい強固な金属メッキ層が形成されること、及び(4)この多孔質体が電磁波シールド材に好適であることを見出して、本発明を完成したものである。
【0006】
本発明における連続気泡性弾性樹脂体は、有機系アニオン界面活性剤を整泡剤として用いて発泡されて得られたものである。従って、発泡後のポリウレタンフォームのセル膜ないしは骨格の少なくともその表面部には、分散作用に寄与したこの整泡剤が、取り込まれるように[埋め込まれるように、又は表面(表面部)に付着・担持されるように]して残留しているはずである。即ち、この整泡剤が樹脂構成部内部及び/又は表面部に取り込まれている。そのため、この連続気泡性弾性樹脂体の表面は、主として陰性(場合によっては中性)のゼータ電位を有している。従って、メッキの表面調整剤としてのカチオン系表面活性剤を用いてこの弾性樹脂体の外表面及び内表面に金属メッキ層(特に無電解メッキ層)を形成させるために用いられるものとして有用である。
【0007】
本第1発明の導電性を有する導電性多孔質体は、有機系アニオン界面活性剤を整泡剤として用いて発泡された連続気泡性弾性樹脂体と、メッキの表面調整剤としてのカチオン系表面活性剤を用いて該弾性樹脂体の外表面及び内表面に形成された金属メッキ層と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本第4発明の導電性多孔質体の製造方法は、有機系アニオン界面活性剤を整泡剤として用いて発泡された連続気泡性弾性樹脂体の表面を、メッキの表面調整剤としてのカチオン系表面活性剤を用いて処理し、その後、無電解メッキを行って該弾性樹脂体の外表面及び内表面に金属メッキ層形成することを特徴とする。
【0009】
本第7発明の電磁波シールド材は、有機系アニオン界面活性剤を整泡剤として用いて発泡された連続気泡性弾性樹脂体と、メッキの表面調整剤としてのカチオン系表面活性剤を用いて該弾性樹脂体の外表面及び内表面に形成された金属メッキ層と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記各発明において、上記金属メッキ層の厚さは、0.05〜0.3μm(特に好ましくは0.1〜0,2μm)とすることが好ましい。これにより50Ω以下程度の抵抗値(特に、10μm以下程度の抵抗値)が得られる。上記弾性樹脂体は、セル膜を除去した発泡ポリウレタンからなるものとするのが好ましい。
また、上記メッキ時間は、第6発明に示すように、2〜7分程度が好ましい。これにより、弾性が損なわれずに且つ50Ω以下程度の抵抗値が得られる。特に3〜7分程度のメッキ時間では、10Ω以下程度の更なる低抵抗が得られるとともに弾性も損なわれない。これらの抵抗値は、本電磁波シールド材において好ましく、且つ一般的に必要とされるものである。
【0011】
上記「連続気泡性弾性樹脂体」を構成する素材としては、連続気泡性で弾性があるものであればよく、エラストマー、それ以外のゴム、弾性を示すそれ以外の樹脂(本発明においてはこれらの素材全てを「弾性樹脂」の範疇に含める。)を適用できる。このうち、軟質ウレタンフオ一ム、シリコンゴム等が好ましく、このうち軟質ウレタンフォームが更に好ましい。この軟質ウレタンフォームの場合、通常、軟質ウレタンスラブ発泡体をロール形状に切り出したものを便用する。また、エーテルポリオール発泡体でもエステルポリオール発泡体でもよいが、後者が好ましい。このウレタン発泡体の物性としては、以下の範囲のものが好ましい。
(1)密度;15〜60(好ましくは20〜40)kg/m3、
(2)圧縮強さ;10〜20(好ましくは12〜18)kg/314cm2
(3)セル数;5〜100(好ましくは30〜80)個/inch、
(4)引張り強度;1.5〜3.0(好ましくは2.0〜2.5)kg/cm2
(5) 伸び ;250 〜 500( 好ましくは 270 〜 350)%
【0012】
更に、発泡ポリウレタンにおいてはセル膜を除去したものが好ましい。このセル膜を除去する方法は、例えば、原料配合を調整して破泡した発泡体を得る方法、公知の溶解法又は水素爆発法等が用いられる。配合を調整する方法では、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールを併用し、さらに界面活性剤を調整することで発泡体の通気度を高めた配合処方にて製造する方法である。更に、溶解法とは、アルカリ濃厚溶液中にフォームを浸漬し、エステル結合基を加水分解してセル膜を除去するアルカリ溶解法である。この水素爆発法とは、天然ガス、水素ガス、アセチレン等の可燃物と酸素を爆発限度内で混合点火して爆発させて、その衝撃でセル膜を除去する方法である。
【0013】
上記「金属メッキ層」を構成する金属の種類は特に限定されないが、通常、ニッケル、銅等である。また、この金属メッキ層の厚さは、特に限定されず、目的、用途によった抵抗値及び弾性程度(弾性体又は非弾性体を含む。)により、種々選択使用される。即ち、低抵抗を目的とすれば比較的厚いメッキ層(例えば、0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上)とするし、高抵抗を目的とすれば薄いメッキ層(例えば、0.02μm以下、好ましくは0.01μm以下)とするし、弾性体を目的とすれば比較的薄いメッキ層(例えば第2発明又は第8発明に示すように、0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下)とするし、非弾性体を目的とすれば比較的厚いメッキ層(例えば0.3μm以上、好ましくは0.4μm以上)とする。
【0014】
上記「金属メッキ層」を形成するのに用いる上記「有機系アニオン系界面活性剤」は、カルボン酸塩である脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム等の石鹸であって、脂肪酸には、Cl2〜C18のラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が拳げられる。また、スルホン酸塩のなかでもアルキルスルホン酸塩が好ましい。なかでも、スルホン化リシノール酸ナトリウムがエステルポリウレタンフォームの発泡安定性を図るうえで好ましい。この整泡剤はエステルフォームの製造に有効であり、整泡剤を特定する本発明において、より良好なセル構造の発泡体を得るためには、スルホン化リシノール酸ナトリウムとエステルポリオールを組成分とする発泡体がより好ましい。
また、エーテルフォームについては、シリコーン系界面活性剤を従来の1/2程度に減らして有機系アニオン系界面活性剤を増量添加して、整泡剤の調整をすることで所定の物性を示すエーテルフォームが得られる。
【0015】
上記「メッキ用表面調整剤」には、「カチオン系表面活性剤」を使用する。これには、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩がある。具体的には、下記化学式で表される化合物(第1、第2、第3又は第4級アミン塩)がある。
(R1)(R2)(R3)一N・X(R1、R2、R3は炭素数12〜18のアルキル又はH、Xは無機酸、有機酸である。有機酸には酢酸、カルボン酸、乳酸、クエン酸等があろ。無機酸には、塩酸、硫酸がある。但し、R1、R2、R3及びXの全てがHの場合は除く。)
【0016】
ポリウレタンフォーム等に添加される有機系アニオン系界面活性剤とメッキ用表面調整剤の関係について、以下に述べる。
この「ポリウレタンフオーム」の原料は、ポリオール成分とイソシアネート成分が主成分として用いられ、これらに触媒、発泡剤等の助剤が加えられる。助剤は、ポリオールに添加するのが通常であって、ここに界面活性剤も添加される。界面活性剤は、助剤及び主成分を混合し、均一に分散させる作用によって発泡体の泡を安定させ、均一なセル構造を得る効果がある。
発泡後のポリウレタンフォームのセル膜ないしは骨格の少なくともその表面(表面部)には、分散作用に寄与した整泡剤が残留しているはずである。本発明によれば、ポリウレタンフォームの整泡剤に有機系アニオン系界面活性剤を使用することでセル膜ないしは骨格の表面はマイナスに帯電される。アニオン系界面活性剤を使用しない場合、発泡ポリウレタンの表面のゼータ電位は主として陽性(又は中性)になっているものと考えられる。
【0017】
次に、上記発泡体をメッキするためにプライマー処理を施す。このとき、メッキ用触媒の浸透性やメッキ金属の吸着性を高めるために、表面調整剤に浸漬するプライマー処理が施される。このとき、表面調整剤によって、メッキ面であるセル膜ないしは骨格が十分に濡れていなければならない。ここで本発明によると、表面調整剤にカチオン系界面活性剤を使用することで、セル膜ないしは骨格表面に帯電したマイナスの電荷と引きつけ合う作用を示し、セル膜ないし骨格表面は充分に濡らされることになる。次いで、メッキ用触媒溶液にポリウレタンフォームを浸漬、触媒が付与される。通常、メッキ用触媒はマイナスに帯電しており、表面調整剤によって調整されたメッキ面と電気的な吸引力によって均一に吸着する。尚、発泡ポリウレタン以外の弾性樹脂においても、表面電位が中性又は陽性のものにおいては同様に作用する。また、表面電位が陰性のものにおいても、本発明においてはアニオン性界面活性剤が樹脂構成部内部及び表面部に取り込まれるので、強固な被膜を形成できる。
従って、本発明においては、脱落のない金属めっき層を有するポリウレタン製等の導電性多孔質体が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を具体的な実施例により詳細に説明する。
(1)電磁波シールド材用導電性多孔質体の製造
まず、シリコーン系界面活性剤を用いずに、有機系アニオン性界面活性剤(「スルホン化リシノール酸ナトリウム」)を用いてポリウレタンフォームを製造した。この製造は、以下に示すA液及びB液をイソシアネートインデックスが110となるように調整し、低圧注入機で注入発泡を行い、スラヴを得た。
[A液(ポリオール成分)]:
(1)ポリオール「F21−79T」(分子量:2200、OHV:60、ポリエステルポリオール、旭ガラス(株)製、・・・・・100重量部
(2)発泡剤、水道水・・・・・・・・・・・・・・4.0重量部
(3)整泡剤:スルホン化リシノール酸ナトリウム・・・・・0.5重量部
(4)アミン触媒:「LV33」(日本乳化剤(株)製)・・0.3重量部
(5)樹脂化触媒:スタナスオクトエート(中京油脂社製)・0.3重量部
上記成分を混合しポリオール成分を調整した。
[B液(イソシアネート成分)]:
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、「ミリオネートMTL」
【0019】
更に、以下の方法にてセル膜を除去した。即ち、容器の蓋に火花間隙端子とガス注入孔を設けた箱状の密閉容器に、直方体に切り出した上記発泡体スラブを静置する。ガス注入孔から水素:酸素をモル比2:1の割合で規定の濃度となるまで充填する。注入孔を閉じた後、端子間に火花放電を起こさせ爆発させた。以上によりセル膜を除去した。得られた発泡体は湿気を含んでいるため常温乾燥を行う。次いで、所定形状(平板形状、100×100×10mm)に加工して、電磁波シールド材用とした。
【0020】
このポリウレタンフォームの物性は、おおよそ以下の通りである。
(1)密度;30〜32kg/m3
(2)圧縮強さ;14〜15kg/314cm2
(3)セル数;65個/inch
(4)引張り強度;2.2〜2.3kg/cm2
(5) 伸び ; 約 400%
(6) 引き裂き強度 1.0 〜 1.2kg/cm
【0021】
その後、これを、プラスチックめっき表面調整剤「コンディショナーK」(奥野製薬製)50ml/lに室温で5分間浸漬する。その後、これをローラ等で余分の薬液を十分絞り、その後、水で2回すすぐ。更に、「キャタリストC」(奥野製薬製パラジウム・スズ触媒)30ml/lを含む35%塩酸溶液200ml/l中に、室温で5分間浸漬する。
次いで、これらを水洗し、その後、96%硫酸100ml/lに室温で5分間浸漬し、水洗する。次いで、無電解ニッケル液(奥野製薬製、「TMP化学ニッケルHR−T」;A液及びB液とも各150ml/l)に、40℃l分間浸漬する。更に、水洗、乾燥を行う。
【0022】
以上の構成により、発泡ポリウレタン体の内表面及び外周表面上に金属メッキ層が形成されている。このメッキ層の厚さは0.06μmであり、この抵抗値は、40Ωであった。更に、30℃と15℃のいずれの場合においても柔軟性は変わらず、15℃においても柔軟性が損なわれないことが判った。この結果を表1に記した。
【0023】
尚、上記メッキ膜厚は、SEMによるウレタン骨格の断面観察により測定した。この抵抗値は、油化電子製ロレスターFP、4端子法セパレイトブロープによる抵抗測定器を用いた。この抵抗値はlcm3の試料の対向する面間のものである。この柔軟性は、弾性体発泡層をシャフトに装着した状態で、発泡層を50%の厚みで圧縮し、発泡層が元の厚みまで回復し座屈しないことを確認して柔軟性ありと判定した。
【0024】
(2)メッキ膜厚の検討
ポリウレタン発泡体(セル数65のエステル系ウレタン、セル膜除去したもの)に種々のメッキ膜厚を形成させて、このメッキ膜厚と抵抗値若しくは柔軟性との関係を検討した。
表面調整剤として「コンディショナK」を50ml/lと、「コンディライザFR」100ml/l(いずれも奥野製薬製)からなる溶液に、25℃、5分間浸漬した。その後、水洗を十分に行い、パラジウム・スズ触媒「キャタリストC」30ml/l(奥野製薬製)と濃塩酸200ml/lからなる溶液に、25℃、5分間浸漬した。更に、水洗を十分にして、96%硫酸100ml/lに25℃、5分間浸漬した。
【0025】
次いで、十分水洗して、無電解銅メッキ「オムニシールド1598」(シプレイ・ファーイースト製)の標準組成の浴(銅イオン濃度;2g/l、45℃)に、以下の表1に示す時間浸漬した。更に、水洗し、無電解ニッケルメッキ「オムニシールド1580」(シブレイ・フアーイースト製)の標準組成の浴(ニッケルイオン濃度3.6g/l、35℃)に1分間浸漬し、洗浄・乾燥した。
以上より、種々のメッキ膜厚が形成された(表1参照)。この導電ローラのメッキ膜厚、抵抗値及び柔軟性を、前記の方法にて測定し、その結果を表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
以上より、浸漬時間の調整によりメッキ膜厚又は抵抗値を適宜変えることができる。即ち、浸漬時間は7分以下では膜厚を0.21μm以下とすることができ、この場合は膜厚が薄いので柔軟性にも優れる。また、膜厚を0,21〜0.01μm以下の範囲で変えることにより、抵抗値を0.03〜2×106Ωの範囲において自由に変えることができる。従って、柔軟性を維持しつつ、目的とする抵抗値、即ち低抵抗(0.01Ω程度)から103〜106Ω程度の中間抵抗値までの所定の抵抗値(又は更にはそれ以上の抵抗値)をもつ導電性多孔質体を製造できる。特に、電磁波シールド材に適した低抵抗(50Ω以下又は10Ω以下)及び弾性に優れたものを容易に製造できた。
【0028】
(3)金属メッキ層の密着性の検討
金属メッキ層の密着性の検討を以下のようにして行った。
メッキしたポリウレタン発泡体(厚さ10mm、幅10mm、長さ100mm)にカッターナイフの刃を垂直に当て、その部分の厚さの変形が30%程度の3mm程度の変形になるようにして10往復する。刃先や発泡体ら脱落した全属粉を肉眼で観察した。
従来の製法により製造したもの[シリコーン系界面活性剤「SH114」(日本ユニカ社製)の使用]では金属メッキ層な脱落があった。一方、上記により製造された実施例品はその脱落はなかった。尚、メッキ発泡層を触診し、指に金属粉が付着する、ないしは金属粉の剥離、脱落が認められるかどうかについて評価、判定した。肉眼、目視で識別できる金属粉の大きさは、約10μm以上である。
【0029】
(4)セル膜除去の有無について
更に、セル膜除去の効果について、比較してみると、実施例品(セル膜除去処埋したもの)では、脱落が見られなかった。一方、比較例品(セル膜除去処理してないもの)では、セル膜に付着析出した全属が一部脱落した。この比較例品は、この実施例品においてセル膜除去をする前のポリウレタン発泡体を同様に切り出して、同形状の発泡体を製造したものである。この脱落の原因は、ウレタン発泡体の圧縮変形でセル膜が大きく変形したためと思われる。
更に、ウレタンフオーム製造時用いる界面活性剤を特定のものにすることにより製造したので、析出した金属メッキ層はウレタン発泡体表面から脱落しなかった。また、めっき層を0.06〜0.21μm程度と比較的薄くしたものでは、極めて柔軟性・弾力性にも優れており、且つ低抵抗であるので、特に電磁波シールド材としては好適のものであった。
【0030】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。更に、上記導電性多孔質体及び電磁波シールド材に使用されている弾性樹脂体としては、弾性機能のある素材を適用しているが、これに限らず、非弾性素材を用いることもできる。例えば、樹脂及びセラッミク等を適用することもできる。また、アニオン系界面活性剤を整泡剤としてではなく、表面部のゼータ電位を陰性にするために添加し、前記に示すように、その表面に金属メッキ層を形成させるようにすることもできる。これらの場合においても、適用する素材の表面電位が陽性となっているものに特に有用であることは、前記に示す場合と同じである。
【0031】
【発明の効果】
本発明の導電性多孔質体は、低抵抗から高抵抗の範囲のうちの所定の抵抗を適宜選択し所定の抵抗値をもつとともに、金属層の剥離脱落のないものである。そして、金属メッキ層の厚さを選択することにより、柔軟性の優れた弾性体、あまり柔軟性に優れない弾性体、更には非弾性体までのものを適宜選択できる。特に、低抵抗で且つ弾性体のものは電磁波シールド材に好適である。
また、本発明の製造方法によれば、低抵抗値から高抵抗値までの広い抵抗制御範囲のうちの所定の抵抗値をもつものを容易に得ることができる。特に、10-2Ωから106Ω程度までの抵抗値、特に50Ω以下程度の低抵抗のもので且つ弾性に優れるものを自在に得ることができる。
【0032】
また、本発明の電磁波シールド材は、低抵抗が可能で、しかも金属層の剥離脱落のない又は少なく、且つ柔軟性に優れるので、電磁波シールド用に大変有用である。
Claims (9)
- 有機系アニオン界面活性剤を整泡剤として用いて発泡された連続気泡性弾性樹脂体と、メッキの表面調整剤としてのカチオン系表面活性剤を用いて該弾性樹脂体の外表面及び内表面に形成された金属メッキ層と、を備えることを特徴とする導電性多孔質体。
- 上記金属メッキ層の厚さは0.3μm以下である請求項1記載の導電性多孔質体。
- 上記弾性樹脂体はセル膜を除去した発泡ポリウレタンからなる請求項1又は2に記載の導電性多孔質体。
- 有機系アニオン界面活性剤を整泡剤として用いて発泡された連続気泡性弾性樹脂体の表面を、メッキの表面調整剤としてのカチオン系表面活性剤を用いて処理し、その後、無電解メッキを行って該弾性樹脂体の外表面及び内表面に金属メッキ層形成することを特徴とする導電性多孔質体の製造方法。
- 上記弾性樹脂体はセル膜を除去した発泡ポリウレタンからなる請求項4記載の導電性多孔質体の製造方法。
- メッキ時間は7分以下である請求項4又は5に記載の導電性多孔質体の製造方法。
- 有機系アニオン界面活性剤を整泡剤として用いて発泡された連続気泡性弾性樹脂体と、メッキの表面調整剤としてのカチオン系表面活性剤を用いて該弾性樹脂体の外表面及び内表面に形成された金属メッキ層と、を備えることを特徴とする電磁波シールド材。
- 上記金属メッキ層の厚さは0.3μmである請求項7記載の電磁波シールド材。
- 上記弾性樹脂体はセル膜を除去した発泡ポリウレタンである請求項7又は8に記載の電磁波シールド材。
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