JP4238966B2 - ワニスの調製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気絶縁膜の製造に用いるワニスの調製方法に関し、更に詳しくは、良好な難燃性を示し、電気特性が低下しない電気絶縁層を形成できるワニスの調製方法、これを用いる電気絶縁膜の製造方法、これを用いる積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、多機能化に伴って、電子機器に用いられている回路基板にも、より高密度化が要求されるようになってきている。
回路基板を高密度化するためには、回路基板を多層化するのが一般的である。多層回路基板は、通常、電気絶縁層(1)と、その表面に形成された導電体回路(1)とからなる内層基板上に、電気絶縁層(2)を積層し、当該電気絶縁層(2)の上に導電体回路(2)を形成することによって、更に必要に応じて電気絶縁層と導電体回路とを数段積層することによって得られる。
【0003】
多層高密度に配線を形成すると、基板自体や電子素子自体が発熱するようになる。この発熱による着火を防止するため、電気絶縁層には、通常、難燃剤が配合されている。この難燃剤としては、粒子形状の、有機溶剤に溶解しない難燃性付与剤が広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らが検討した結果、粒子形状の難燃性付与剤は、絶縁性重合体、硬化剤及び有機溶剤を含有するワニス中で凝集し、凝集した難燃性付与剤を含有するワニスを用いて製造される電気絶縁膜は、層間絶縁抵抗などの電気特性に劣ることが判明した。そこで、本発明者らは、良好な難燃性を示し、かつ、安定した電気特性を有する電気絶縁膜を得るべく鋭意研究をした結果、粒子形状の難燃性付与剤と有機溶剤に溶解可能なリン化合物とを接触させて得られた難燃剤が、有機溶剤中で長時間安定に分散する難燃剤スラリーとなることを見いだし、このスラリーを絶縁性重合体、硬化剤及び有機溶剤を含有する硬化性組成物に添加して得られたワニスは、長時間の保存でも難燃性付与剤の凝集を起こさないことを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、第一の発明として、有機溶剤中で、含リン化合物からなる難燃性付与剤100重量部と当該有機溶剤に溶解可能なホスフェート類0.1〜60重量部とを接触させて、難燃性付与剤の表面にホスフェート類を結合してなる二次粒子径が30μm以下である難燃剤粒子と、有機溶剤とからなる難燃剤スラリーを得て、当該難燃剤スラリーと、絶縁性重合体と、硬化剤とを混合することを特徴とするワニスの調製方法が提供され、第二の発明として、当該ワニスを乾燥する成形物の製造方法が提供され、第三の発明として、当該成形物を硬化る電気絶縁膜の製造方法が提供され、第四の発明として、導電体回路層を有する基板上に、第三の発明により得られる電気絶縁膜からなる電気絶縁層形成する積層体の製造方法が提供される
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明により得られるワニスは、絶縁性重合体、硬化剤、難燃剤及び有機溶剤を含有するものである。
本発明により得られるワニスは、難燃剤粒子の二次凝集粒子が小さいという特徴を有している。即ち、当該ワニス中に存在する難燃剤粒子の二次粒子径は30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下である。二次粒子径は、JIS K 5400にて定めるつぶの試験A法により測定された値である。本発明において二次粒子径は、特に断りのない限り、この方法により測定された値である。
このようなワニスを得るためには、有機溶剤中で、難燃性付与剤を、当該有機溶剤に溶解可能なリン化合物と接触させることにより得られる難燃剤粒子を用いる。ワニス中の難燃剤の量(固形分量)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、絶縁性重合体100重量部に対して、通常0.1〜60重量部、好ましくは1〜40重量部である。
【0007】
本発明に用いる難燃剤粒子は、有機溶剤中で、難燃性付与剤を、当該有機溶剤に溶解可能なリン化合物と接触させて得られた粒子である。
有機溶剤に溶解可能なリン化合物と難燃性付与剤とを接触させることにより、難燃性付与剤の表面にリン化合物を物理的又は化学的に結合(吸着を含む)して、難燃性付与剤粒子の凝集を低下させ、長時間の分散安定性を確保することができる。
難燃性付与剤とリン化合物とを接触させて得られる難燃剤粒子の一次粒子の平均長径は、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μmであり、平均アスペクト比(=平均長径/平均短径)は好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。更に、長径10μmを超える粒子数が10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下であるものを用いると、難燃性が高く、電気絶縁性にも優れた多層回路基板を得ることができる。また、粒子の表面は平滑であっても凹凸があってもよい。
【0008】
難燃性付与剤を有機溶剤に溶解可能なリン化合物と接触させる(表面処理する)方法は特に限定されない。例えば、難燃性付与剤を、有機溶剤中で分散させながら、当該有機溶剤に溶解可能なリン化合物を添加し、これらを接触させる方法、難燃性付与剤を有機溶剤に分散した後に、当該有機溶剤に溶解可能なリン化合物を添加し、これらを接触させる方法、又はあらかじめ有機溶剤に溶解可能なリン化合物を含有する有機溶剤中に難燃性付与剤を分散させ、これらを接触させる方法などが挙げられる。この接触は攪拌条件で行うのが好ましい。攪拌は、二次粒子径が通常30μm以下、好ましくは20μm以下となるまで続ける。これらの表面処理は、極性有機溶剤及び非極性有機溶剤からなる混合有機溶剤で行うのが好ましい。
【0009】
難燃性付与剤は、一般に難燃性を付与することが知られている公知の化合物であって難燃剤調製に用いる任意の有機溶剤に溶解せず、当該有機溶剤中で固体として存在するものであればよい。
難燃性付与剤は、環境保護の観点から、焼却時にハロゲン含有有害物質を発生しない、ハロゲンを含有しない非ハロゲン系難燃性付与剤が好ましい。
【0010】
非ハロゲン系難燃性付与剤の具体例としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダのごときアンチモン化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、スルファミン酸グアニジン、ジルコニウム化合物、モリブデン化合物、すず化合物のごときその他の無機難燃剤;ポリリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラム塩、ポリリン酸メレム塩、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、赤燐、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸硫酸塩、ポリリン酸アンモニウム、ニトリロトリスメチレンホスホン酸カルシウム付加物、ニトリロトリスメチレンホスホン酸マグネシウム付加物、ジフェニルリン酸エステル−2−プロペニルアミド、ジフェニルリン酸エステル−2−ヒドロキシエチルアミド、ジフェニルリン酸エステル−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミド、ジフェニルリン酸エステル−ジ−2−シアノエチルアミド、ジフェニルリン酸エステル−p−ヒドロキシフェニルアミド、ジフェニルリン酸エステル−m−ヒドロキシフェニルアミド、ジフェニルリン酸エステル−シクロヘキシルアミド;フェニルリン酸エステル−ジ−N,N−フェニルメチルアミド、フェニルリン酸エステル−ジ−N−シクロヘキシルアミド、ジ(ブトキシ)ホスフィニル・プロピルアミド、リン・イオウ・酸素を含むポリ酸の1,3,5−トリアジン誘導体塩(特開平10−306082号公報等参照)のごとき含リン化合物;などが挙げられる。本発明では、これらのうち、含リン化合物を用いる。特に、塩基性含窒素化合物とリン酸との塩からなるリン系難燃性付与剤が好ましい。
【0011】
塩基性含窒素化合物とリン酸との塩は、通常、リン酸源となるオルトリン酸アンモニウム、オルトリン酸、縮合リン酸、無水リン酸、リン酸尿素及びこれらの混合物と、窒素源となるメラミン、ジシアンシアナミド、グアニジン、グアニル尿素及びこれらの混合物とを、縮合剤としての尿素、リン酸尿素(これはリン酸源にもなる)及びこれらの混合物の存在下に、加熱縮合反応させ、次いで焼成することによって得られる。
【0012】
リン化合物と接触させる前の難燃性付与剤のメディアン径は10μm以下ではあるが、その形状は針状あるいはひげ状であるものが多い。また、これらの難燃性付与剤は、長径10μmを超えるものが20%以上存在する場合が多く、平均長径が10〜20μm程度となる。このような場合は、針状あるいはひげ状の塩基性含窒素化合物とリン酸との塩を、後述と同様の極性有機溶剤及び非極性有機溶剤からなる混合有機溶剤中で湿式粉砕することにより、前述したアスペクト比に調製することができる。非極性有機溶剤の重量比が多すぎると粉砕時に含窒素化合物とリン酸との塩が、ワニス中で凝集して所望の粒子形状にすることが困難になることがある。逆に非極性有機溶剤の重量比が少なすぎると二次凝集を起こしやすくなり絶縁性重合体への分散が悪くなることがある。
【0013】
難燃性付与剤と接触させるのに用いるリン化合物は、有機溶剤に溶解するリン含有化合物であれば無機化合物であっても有機化合物であっても良いが、良好な分散性を確保する観点から、遷移金属を含有しない有機化合物であるのが望ましい。ここで、「有機溶剤に溶解する」とは、任意の有機溶剤に25℃で0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上溶解することである。このリン化合物の溶解量は、過飽和溶液を調製した後、濾過して得られる飽和溶液をガスクロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーにより定量分析することにより確認できる。
【0014】
このようなリン化合物としては、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィンなどの3価のリン化合物及びホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシドなどの5価のリン化合物が挙げられ、有機溶剤への可溶性、有機溶剤中での安定性の観点から5価のリン化合物が好ましく、本発明ではホスフェートを用いる
ホスフェートとしては、正リン酸エステル、酸性リン酸エステル、チオホスフェートがある。正リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。酸性リン酸エステルとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェートなどが挙げられる。これらの酸性リン酸エステルは、2−エチルヘキシルアシッドホスフェートのオレイルアミン塩、2−エチルヘキシルアシッドホスフェートのココナッツアミン塩、2−エチルヘキシルアシッドホスフェートの牛脂アミン塩などのアミン塩であってもよい。チオホスフェートとしては、例えば、トリアルキルチオホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸などが挙げられる。
【0015】
上記難燃性付与剤としてポリリン酸メラミン塩を選択した場合、難燃剤スラリーの分散安定性の観点から、有機溶剤に可溶なリン化合物として酸性リン酸エステルを選択するのが好ましく、酸性リン酸エステルの中でも、イソデシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェートなどの炭素数が8以上のアルキルアシッドホスフェートを選択するのが好ましく、特にオレイルアシッドホスフェートを選択するのが好ましい。
【0016】
有機溶剤に溶解可能なリン化合物の使用割合は、難燃性付与剤100重量部に対して、0.1〜60重量部、好ましくは0.5〜50重量部である。有機溶剤に溶解可能なリン化合物の使用割合が少なすぎると、難燃剤スラリー中で十分な分散安定性が確保できず、逆に割合が多すぎると、吸水性が高くなり電気絶縁特性の低下を生じたり、膜の機械物性が低下して絶縁膜の破断が生じる傾向にある。
【0017】
極性有機溶剤は、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、アミノ基、アミド基などの極性基を有する有機溶剤であり、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤などが挙げられる。これらのうちケトン系有機溶剤が好ましい。
【0018】
非極性有機溶剤は、極性基を有しない炭化水素化合物である。例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素などが挙げられる。これらのうち芳香族炭化水素が好ましい。
これらの非極性有機溶剤と極性有機溶剤の混合比は適宜選択できるが、重量比で、通常5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10の範囲である。
【0019】
本発明で用いる難燃剤スラリーは、難燃性付与剤とリン有機溶剤に溶解可能なリン化合物とを接触させて得られる難燃剤粒子と有機溶剤とからなるものである。難燃剤スラリーは、a)上述の方法により得られた表面処理後、有機溶剤除去前のスラリーであっても、b)a)の難燃剤スラリーに、更に有機溶剤を添加したスラリーであっても、c)a)の難燃剤スラリーから有機溶剤を一部除去したスラリーであっても、d)表面処理後、有機溶剤を除去、乾燥した難燃剤と有機溶剤とを混合し、新たに調製された難燃剤スラリーであってもよい。
スラリーを構成する有機溶剤は、後述と同様の極性有機溶剤や非極性有機溶剤が挙げられる。スラリーを混合する方法に格別な制限はなく、例えば、攪拌翼を有する攪拌機や、湿式分散機などを用いる方法が挙げられる。
難燃剤スラリーの固形分濃度は、所望の組成を配合可能な範囲で、5重量%以上、90重量%以下であり、粘度は作業性の点から100Pa・s以下である。この難燃剤スラリーは、二次凝集粒子が少ないという特徴を有している。更に、この難燃剤スラリーと保存安定性を高める目的で、シリカゲル、けい藻土、活性アルミナ、マグネシア、チタニア、シリカ−アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、多孔質シリコン、多孔質ガラスビーズ、活性白土、雲母、カオリン、マグネタイト、フェライト、酸化ニッケル等の無機多孔質物質、活性炭、モレキュラーシービングカーボン、イオン交換樹脂等の有機系多孔質物質とを接触させることができる。
【0020】
本発明に用いる難燃剤スラリーは、スラリー中に存在する粒子の二次粒子径が30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下のものである。このようなスラリーを用いることにより、二次凝集粒子の少ないワニスを、容易に得ることができる。
【0021】
必要に応じて難燃剤スラリーから有機溶剤を除去、乾燥することができる。その方法は特に限定されず、スラリーをあらかじめ濾布などにより難燃性付与剤と有機溶剤とに分離した後、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥の温度は、難燃性付与剤が分解しない温度で、有機溶剤が揮発する温度であれば特に限定されない。また、乾燥装置は、有機溶剤に引火したり、難燃性付与剤が粉塵爆発を起こす恐れを防止してある装置であれば特に限定されず、ワンパスオーブンやイナートオーブンなどが用いられる。
【0022】
本発明により得られるワニスは、上述した難燃剤粒子の他、絶縁性重合体、硬化剤及び有機溶剤を含有する。
絶縁性重合体は、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、液晶ポリマー、ポリイミドなどの電気絶縁性を有する重合体である。これらの中でも、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体又はポリイミドが好ましく、脂環式オレフィン重合体又は芳香族ポリエーテル重合体が特に好ましく、脂環式オレフィン重合体がとりわけ好ましい。また脂環式オレフィン重合体は、極性基を有するものが好ましい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好適である。脂環式オレフィン重合体としては、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンなどのノルボルネン環を有する単量体(ノルボルネン系単量体)の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、単環シクロアルケン重合体、脂環式共役ジエン重合体、ビニル系脂環式炭化水素重合体及びその水素添加物、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素添加物が好ましく、特にノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物が好ましい。脂環式オレフィンや芳香族オレフィンの重合方法、及び必要に応じて行われる水素添加の方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0023】
硬化剤としては、イオン性硬化剤、ラジカル性硬化剤又はイオン性とラジカル性とを兼ね備えた硬化剤等、一般的なものを用いることができ、特にビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテルのようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物が好ましい。硬化反応を促進させるために、例えば硬化剤として多価エポキシ化合物を用いた場合には、第3級アミン化合物や三弗化ホウ素錯化合物などの硬化促進剤や硬化助剤を使用することもできるが好適である。硬化剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合割合は、絶縁性重合体100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは10〜50重量部の範囲である。硬化促進剤や硬化助剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
硬化促進剤や硬化助剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、絶縁性重合体100重量部に対して、通常0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.03〜5重量部である。
【0024】
本発明により得られるワニスには、上述した各成分の他、所望に応じて、軟質重合体、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、充填剤、紫外線吸収剤などをその他の成分として用いることができる。
【0025】
上述してきた絶縁性重合体、硬化剤、難燃剤(難燃剤スラリーを含む)、必要に応じて配合されるその他の成分、及び有機溶剤を混合して、ワニスを得る。有機溶剤の使用量は、形成する電気絶縁膜の厚みの制御や平坦性を考慮して適宜選択されるが、ワニスの固形分濃度が、通常5〜70重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは20〜60重量%になる範囲である。ここで難燃剤スラリーを用いてワニスを調製する場合、難燃剤スラリーに含まれている有機溶剤では不足する場合、更にワニス調製時に有機溶剤を追加することができる。
ワニスを得る方法に格別な制限はない。各成分を混合する際の温度は、硬化剤による反応が作業性に影響を及ぼさない温度で行うのが好ましく、安全性の点から混合時に使用する有機溶剤の沸点以下で行うのがより好ましい。
【0026】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系有機溶剤;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系有機溶剤;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤などを挙げることができる。これらの有機溶剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
これら有機溶剤のなかでも、電気絶縁層形成時に微細配線への埋め込み性に優れ、気泡等を生じさせないシート状又はフィルム状成形物を与えることができるため、芳香族炭化水素系有機溶剤や脂環式炭化水素系有機溶剤のような非極性有機溶剤と、ケトン系有機溶剤のような極性有機溶剤とを混合した混合有機溶剤が好ましい。これらの非極性有機溶剤と極性有機溶剤の混合比は適宜選択できるが、重量比で、通常5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20の範囲である。
【0028】
各成分の混合方法は、常法に従えばよく、例えば、攪拌子とマグネチックスターラーを使用した攪拌、高速ホモジナイザー、ディスパージョン、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、三本ロールなどを使用した方法などで行うことができる。
【0029】
本発明により得られるワニスを、樹脂フィルム(キャリアフィルム)、金属箔などの支持体上に塗布、乾燥して、シート状又はフィルム状成形物を得る。
シート状又はフィルム状成形物を得る方法に格別の制限はないが、操作性の観点から溶液キャスト法や溶融キャスト法で成形するのが好ましい。溶液キャスト法では、ワニスを支持体に塗布した後に、有機溶剤を乾燥除去する。
溶液キャスト法に使用する支持体として、樹脂フィルム(キャリアフィルム)や金属箔などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂フィルムが用いられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネイトフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる。これら樹脂フィルムの中、耐熱性や耐薬品性、積層後の剥離性などの観点からポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、例えば、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などが挙げられる。導電性が良好で安価である点から、銅箔、特に電解銅箔や圧延銅箔が好適である。支持体の厚さは特に制限されないが、作業性等の観点から、通常1μm〜150μm、好ましくは2μm〜100μm、より好ましくは3〜50μmである。
【0030】
塗布方法として、デイップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコートなどの方法が挙げられる。また有機溶剤の除去乾燥の条件は、有機溶剤の種類により適宜選択され、乾燥温度は、通常20〜300℃、好ましくは30〜200℃であり、乾燥時間は、通常30秒〜1時間、好ましくは1分〜30分である。
【0031】
フィルム又はシートの厚みは、通常0.1〜150μm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1.0〜80μmである。なお、フィルム又はシートを単独で得たい場合には、支持体上にフィルム又はシートを形成した後、支持体から剥離する。
このほか、本発明により得られるワニスを有機合成繊維やガラス繊維などの繊維基材に含浸させてプリプレグを形成することもできる。
【0032】
本発明により得られる電気絶縁膜は、任意の基板上に、本発明により得られるワニスを、塗布、乾燥し、次いで硬化して得られる硬化物である。基板が導電体回路層を有する基板であるものは、本発明により得られる積層体である。
導電体回路層を有する基板の具体例として、プリント配線基板、シリコンウェハー基板などの、電気絶縁層(1)と、その表面に形成された導電体回路層(a)とからなる内層基板が挙げられる。内層基板の厚みは、通常50μm〜2mm、好ましくは60μm〜1.6mm、より好ましくは100μm〜1mmである。
【0033】
内層基板を構成する電気絶縁層(1)の材料は電気絶縁性のものであれば特に限定されず、例えば前述したワニスを硬化してなるものが挙げられる。また、内層基板は、ガラス繊維、樹脂繊維などを強度向上のために含有させたものであってもよい。内層基板を構成する導電体回路層(a)の材料は、通常、導電性金属である。
【0034】
本発明により得られる電気絶縁膜を有する積層体を得る方法としては、(A)本発明により得られるワニスを、導電体回路層を有する基板に塗布した後、有機溶剤を除去乾燥して得られる成形物を加熱や光照射によって硬化させる方法、又は(B)フィルム状又はシート状成形物を、導電体回路層を有する基板上に重ね合わせた後に、加熱圧着等により硬化させる方法が挙げられる。電気絶縁層の平滑性が確保でき、多層形成が容易な点から、(B)の方法により積層体を得るのが好ましい。
また、本発明により得られる電気絶縁膜中、走査型電子顕微鏡により確認される500μm四方の範囲に、通常30μm超過、好ましくは25μm超過、より好ましくは20μm超過の大きい粒子が存在しない。
本発明により得られる電気絶縁膜の厚みは、通常0.1〜200μm、好ましくは1〜150μm、より好ましくは10〜100μmである。
【0035】
(A)の方法において、本発明により得られるワニスを内層基板に塗布する方法は、特に制限されず、例えば、本発明により得られるワニスをダイコーター、ロールコーター又はカーテンコーターにより基板に塗布する方法が挙げられる。基板にワニスを塗布した後、70〜140℃、1〜30分乾燥し、更に通常30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃、通常0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、硬化させて、本発明により得られる電気絶縁膜(電気絶縁層(2))が形成された積層体を得る。
【0036】
(B)の方法において、本発明により得られるフィルム状又はシート状成形物を基板上に積層するには、通常、支持体付きのフィルム状又はシート状成形物を、当該フィルム状又はシート状成形物が内層基板面に接するように重ね合わせ、加圧ラミネータ、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータなどの加圧機を使用して加熱圧着する。加熱圧着は、配線への埋め込み性を向上させ、気泡等の発生を抑えるために真空下で行うのが好ましい。加熱圧着時の温度は、通常30〜250℃、好ましくは70〜200℃、圧着力は、通常10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPa、圧着時間は、通常30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間であり、通常100kPa〜1Pa、好ましくは40kPa〜10Paに雰囲気を減圧する。
圧着後、上述と同様にして本発明により得られる電気絶縁膜(電気絶縁層(2))が形成された積層体を得る。
前記支持体付きフィルム状又はシート状成形物を基板上に積層させた場合には、前記支持体が付いたまま硬化させてもよいが、通常は、前記支持体を剥がした後に硬化させる。
【0037】
内層基板と電気絶縁層(2)との密着力を向上させるために内層基板を前処理することが好ましい。前処理としては、アルカリ性亜塩素酸ナトリウム水溶液や過マンガン酸等を内層基板表面に接触させて表面を粗化する方法、アルカリ性過硫酸カリウム水溶液、硫化カリウム−塩化アンモニウム水溶液等により表面を酸化した後に還元する方法、及び内層基板の導電体回路部分にメッキを析出させ、粗化する方法、トリアジンチオール化合物やシラン化合物などによりプライマー層を形成する方法等が挙げられる。なかでも2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどのトリアジンチオール化合物を用いたプライマー層を形成する方法は、導電体回路が銅である場合に、銅の腐食がなく、高い密着性が得られる点で好適である。
【0038】
このようにして内層基板に、本発明により得られる電気絶縁膜(電気絶縁層(2))を形成させ、電気絶縁層(2)が最表面となった積層体が得られる。
この積層体を最終的な回路基板として得た場合、当該基板において、本発明により得られる電気絶縁膜(電気絶縁層(2))はソルダーレジスト層として機能する。
【0039】
本発明により得られる積層体を更に内層基板として、電気絶縁層(2)上に新たな導電体回路を形成し、多層回路基板を得ることができる。この多層回路基板は導電体回路層と電気絶縁膜とが交互に積層された構造を有する。従って、この多層回路基板も、本発明により得られる積層体である。多層回路基板を製造する方法に格別な制限はないが、例えば、次の方法が挙げられる。
電気絶縁層(2)にビアホール形成用の開口を形成し、次いで、この電気絶縁層(2)表面とビアホール形成用開口の内壁面にスパッタリング等のドライプロセス(乾式めっき法)により金属薄膜を形成した後、金属薄膜上にめっきレジストを形成させ、更にその上に電解めっき等の湿式めっきによりめっき膜を形成する。このめっきレジストを除去した後、エッチングにより金属薄膜と電解めっき膜からなる導電体回路(b)を形成する。電気絶縁層(2)と導電体回路(b)との密着力を高めるために、電気絶縁層(2)の表面を過マンガン酸やクロム酸等の液と接触させ、あるいはプラズマ処理等を施すことができる。
導電体回路(a)と導電体回路(b)との間を接続するビアホール形成用の開口を電気絶縁層(2)に形成させる方法に格別な制限はなく、例えば、ドリル、レーザ、プラズマエッチング等の物理的処理等によって行う。絶縁層の特性を低下させず、より微細なビアホールを形成することができるという観点から、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UV−YAGレーザ等のレーザによる方法が好ましい。
また、上記回路基板において、導電体回路の一部は、金属電源層や金属グラウンド層、金属シールド層になっていてもよい。
【0040】
多層回路基板は、コンピューターや携帯電話等の電子機器において、CPUやメモリなどの半導体素子、その他の実装部品を実装するためのプリント配線板として使用できる。特に、微細配線を有するものは高密度プリント配線基板として、高速コンピューターや、高周波領域で使用する携帯端末の配線基板として好適である。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(1)一次粒子径の平均値
走査型電子顕微鏡にて、粒子1000個の長径を計測して、得られた値の平均を一次粒子径の平均値とした。
(2)アスペクト比
走査型電子顕微鏡にて、粒子1000個の長径と短径をそれぞれ計測して、得られた値の平均を、次式に当てはめてアスペクト比を求めた。
アスペクト比=(長径の平均)/(短径の平均)
【0042】
(3)二次粒子径の評価
ワニス中に存在する難燃剤粒子の二次粒子径の評価はJIS K 5400にて定めるつぶの試験A法にて評価した。ワニスを配合してから4時間後と48時間後の二次粒子径の評価を行い、それぞれ粒の大きさが20μmを超えるものが無い場合を○、20μmを超えるが30μm以下の場合を△、30μmを超えるものが存在する場合を×とした。
【0043】
(4)層間絶縁抵抗評価
二次粒子径評価で得たワニスを配合してから4時間後のワニスを用いて得た成形物を硬化して、内層基板の両面に3層づつ電気絶縁層を形成し、両面合計6層の多層回路基板を得た。同様にワニスを配合してから48時間後のワニスを用いて両面合計6層の多層回路基板を得た。得られた多層基板について、それぞれ2層目と3層目の電気絶縁層間で、JPCA−BU01に定めるベタ導体−ライン間評価用パターンを形成した後、131℃、85%RHを維持する恒温恒湿槽に放置した。100時間後、評価用多層回路基板を取り出して常態(25℃、50%RH;以下同じ)に放置し、更に1時間後に、常態で直流電圧5.5Vを印加しながら、ベタ導体とラインとの間の電気絶縁抵抗値を測定した。電気抵抗が10オーム以上のものは◎、10オーム以上で10オーム未満のものは○、10オーム未満で短絡してないものは△、短絡しているものは×と評価した。
【0044】
(5)難燃性の評価
内層基板の両面に電気絶縁層(ワニスを配合してから48時間後のワニスを用いて製造されたもの)がそれぞれ3層積層された両面合計6層の多層回路基板の導体が無い部分を、幅13mm、長さ100mmの短冊状に切断して試験片を作製した。メタンガスを管の口径9.5mm、管の長さ100mmのブンゼンバーナーにて燃焼させて高さ19mmの炎に調製して、得られた試験片に10秒接炎した。10秒接炎後直ちに炎を外し、試験片が燃焼している時間を計測した。試験片が消炎後、直ちに再度試験片に10秒接炎した。二度目の10秒接炎後も直ちに炎を外し、試験片が燃焼している時間を計測した。一度目の試験片の燃焼時間と二度目の試験片の燃焼時間との合計が5秒以内のものを○、5秒を超え10秒以内のものを△、10秒を超えるものを×として評価した。
【0045】
表面処理微粉化ポリリン酸メラミン塩スラリーA ( 以下、スラリーA ) 製造方法
一次粒子の長径が10μmを超えるものが55%、長径平均17μm、アスペクト比13のポリリン酸メラミン塩300部、キシレン379部、シクロペンタノン253部、オレイルアシッドホスフェイト75部を、0.4mmのジルコニアビーズを83容量%充填させた横型攪拌槽式粉砕機(装置名:ダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製))で、滞留時間18分間の条件で循環させながら120分間粉砕処理を行った。粉砕処理の後、スラリーにオレイルアシッドホスフェイト30部、キシレン160部、シクロペンタノン107部を添加し、固形分濃度が23重量%のスラリーAを得た。得られたスラリーAを乾燥させ走査型顕微鏡にて観察したところ一次粒子の長径が10μmを超えるものが0.1%、長径平均1.1μm、アスペクト比1.4であった。
【0046】
表面処理微粉化ポリリン酸メラム塩スラリーB ( 以下、スラリーB ) 製造方法
一次粒子の長径が10μmを超えるものが55%、長径平均17μm、アスペクト比13のポリリン酸メラム塩300部、キシレン64部、シクロペンタノン568部、オレイルアシッドホスフェイト75部を、0.4mmのジルコニアビーズを83容量%充填させた横型攪拌槽式粉砕機で、滞留時間18分間の条件で循環させながら120分間粉砕処理を行った。粉砕処理の後、スラリーにオレイルアシッドホスフェイト30部、キシレン27部、シクロペンタノン240部を添加し、固形分濃度が23重量%のスラリーBを得た。得られたスラリーBを乾燥させ走査型顕微鏡にて観察したところ一次粒子の長径が10μmを超えるものが0.1%、長径平均1.1μm、アスペクト比1.4であった。
【0047】
表面処理微粉化ポリリン酸メラミン塩スラリーC ( 以下、スラリーC ) 製造方法
一次粒子の長径が10μmを超えるものが55%、長径平均17μm、アスペクト比13のポリリン酸メラミン塩300部をキシレン1020部、シクロペンタノン680部をセパラブルフラスコ中で3枚羽根攪拌翼にて攪拌して、15重量%のポリリン酸メラミン塩のスラリーを得た。得られたスラリー2000部を、0.4mmのジルコニアビーズを83容量%充填させた横型攪拌槽式粉砕機で、滞留時間18分間の条件で循環させながら120分間粉砕処理を行い、スラリーCを得た。得られたスラリーCを乾燥させ走査型顕微鏡にて観察したところ一次粒子の長径が10μmを超えるものが0.5%、長径平均1.3μm、アスペクト比1.6であった。
【0048】
実施例1
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンの開環重合体を水素添加した後、無水マレイン酸をグラフト反応させて得た、Mn=33,200、Mw=68,300、Tg=170℃、マレイン酸残基含有率=25モル%の脂環式オレフィン重合体100部、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテル37.5部、1,3−ジアリル−5−[2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル]イソシアヌレート12.5部、ジクミルペルオキシド6部、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.1部、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール5部及び前記記載のスラリーA 130部をキシレン170部及びシクロペンタノン42部からなる混合有機溶剤に溶解させてワニスを得た。これを用いて、ワニスを配合してから常態に4時間放置したものと48時間放置したものについて二次粒子径の評価を行った。結果を表1に示す。
二次粒径評価に用いたワニスを配合してから常態に4時間放置したものと48時間放置したワニスを、それぞれダイコーターを用いて、300mm角の厚さ50μmのポリエチレンナフタレートフィルムに塗工し、その後、窒素オーブン中、120℃で10分間乾燥し、樹脂成形物の厚みが40μmである支持体付きドライフィルムを得た。
【0049】
これとは別に、2−ジブチルアミノ−4,6−s−トリアジンの0.1重量%イソプロピルアルコール溶液を調製し、この溶液に配線幅及び配線間距離が50μm、導体厚みが18μmで表面がマイクロエッチング処理された内層回路を形成された厚さ0.8mmの両面銅張り基板(ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ樹脂を含有するワニスをガラスクロスに含浸させて得られたコア材の両面に銅が貼られたもの)を25℃で1分間浸漬した後、90℃で15分間、窒素置換されたオーブン中で乾燥させてプライマー層を形成させて、内層基板を得た。
【0050】
前述の内層基板上に、先に得たキャリアフィルム付きドライフィルムを、樹脂面が内側となるようにして両面銅張り基板両面に重ね合わせた。これを、一次プレスとして耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空積層装置を用いて、200Paに減圧して、温度110℃、圧力1.0MPaで60秒間加熱圧着した。次いで、二次プレスとして耐熱ゴム製プレス板による工程のプレス時間と、金属製プレス板で覆われた耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空積層装置を用いて、200Paに減圧して、温度140℃、圧力1.0MPaで60秒間加熱圧着した。そして、ポリエチレンナフタレートフィルムのみを剥がし、窒素オーブン中に140℃で30分間、170℃で60分間放置し、内層基板上に電気絶縁層を形成した。
【0051】
得られた積層板の、絶縁層部分に、UV−YAGレーザ第3高調波を用いて直径30μmの層間接続のビアホールを形成した。
ビアホールを形成した基板を、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paのアルゴンプラズマに、基板表面温度を約130℃に保持して、10分間さらした。
次にプラズマ処理された回路基板を出力500W、ガス圧0.8Paでニッケルスパッタ処理し、厚さ0.1μmのニッケル膜を形成させ、次いで出力500W、ガス圧0.8Paで銅スパッタ処理し、厚さ0.3μmの銅薄膜を形成させて、金属薄膜を有する積層板を得た。
この積層板表面に市販の感光性ドライフィルムを熱圧着して貼り付け、更に、このドライフィルム上に所定のパターンのマスクを密着させ露光した後、現像してレジストパターンを得た。次にレジストパターンのない部分に電解銅メッキを施し厚さ18μmの電解銅メッキ膜を形成させた。次いで、レジストパターンを剥離液で除去し、塩化第二銅と塩酸混合溶液によりエッチング処理を行うことにより、前記金属薄膜及び電解銅メッキ膜からなる配線パターンを形成した。そして最後に、170℃で30分間アニール処理をして、両面2層の配線パターン付き回路基板を得た。
【0052】
前述で得られた両面2層の配線パターン付き多層回路基板の外層を1層目とし、前述の内層回路基板として使用し、前述同様にして絶縁層、導電体層を繰り返し形成し両面合計6層の多層回路基板を得た。評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例2
実施例1のスラリーAにかえて、スラリーB 130部を用いる以外は実施例1と同様にして両面合計6層の多層回路基板を得た。評価結果を表1に示す。
【0054】
比較例1
実施例1のスラリーAにかえて、スラリーC 200部を用いる以外は実施例1と同様にして両面合計6層の多層回路基板を得た。評価結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004238966
【0056】
これらのことから、難燃性付与剤と溶剤に溶解可能なリン化合物とを接触させて得られた難燃剤粒子を添加した本発明により得られるワニスは、長期保存後でも二次粒子の形成を抑制する効果に優れている。このため、本発明により得られるワニスを用いると層間絶縁抵抗と難燃性に優れた電気絶縁膜を得ることができることが判る。
【0057】
【発明の効果】
本発明で用いる難燃剤スラリーは、長期間の分散安定性に優れるため、層間絶縁性を損なわないワニスを与えることができる。このワニスを用いれば、難燃性と電気特性に優れた電気絶縁層を容易に得られる。このワニスを用いて得られる電気絶縁層を有する多層回路基板は、コンピューターや携帯電話等の電子機器において、CPUやメモリなどの半導体素子、その他の実装部品を実装するためのプリント配線板として使用できる。

Claims (6)

  1. 有機溶剤中で、含リン化合物からなる難燃性付与剤100重量部と当該有機溶剤に溶解可能なホスフェート類0.1〜60重量部とを接触させて、難燃性付与剤の表面にホスフェート類を結合してなる二次粒子径が30μm以下である難燃剤粒子と、有機溶剤とからなる難燃剤スラリーを得て、当該難燃剤スラリーと、絶縁性重合体と、硬化剤とを混合することを特徴とするワニスの調製方法
  2. 絶縁性重合体が脂環式オレフィン重合体である請求項1に記載のワニスの調製方法。
  3. 請求項1又は2に記載のワニスの調製方法により得られるワニスを乾燥して成形物を得る、成形物の製造方法。
  4. フィルム又はシートである成形物を得る、請求項3に記載の成形物の製造方法。
  5. 請求項4に記載の成形物の製造方法により得られる成形物を硬化して電気絶縁膜を得ることを特徴とする電気絶縁膜の製造方法。
  6. 導電体回路層を有する基板上に、請求項5に記載の電気絶縁膜の製造方法により得られる電気絶縁膜を形成して積層体を得る、積層体の製造方法。
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