JP4238581B2 - トリポードの位相決め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリポードの位相決め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の等速ジョイント等に用いられるトリポードは、円筒状の本体と、本体から半径方向に伸びる3本の突起を有している。3本の突起は本体の周方向に等間隔に配置されている。このトリポードを例えば搬送装置で搬送する場合には、トリポードの位相を揃える(突起の突出方向を揃えることをいう)技術が必要とされる。
ワークの姿勢を揃える装置が知られている(例えば、特許文献1)。この姿勢を揃える装置は、L字状のワークの姿勢を揃えるものであり、トリポードのような形状に対応していない。
【0003】
【特許文献1】
特開昭55−11749号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、トリポードの位相を揃える処理を自動的に行うことができなかった。
本発明は、トリポードの位相決めを自動的に行うことができる装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用と効果】
請求項1に記載のトリポードの位相決め装置は、トリポードが滑落する傾斜路と、トリポードを載置するとともに傾斜路の上側に連なる第1載置面と、第1載置面から傾斜路にトリポードを押出す第1プッシャーと、傾斜路の途中に複数段に設けられて傾斜路を開閉するシャッターとを備えている。第1プッシャーのトリポードとの接触面は、上方から見たときにトリポード押出し方向に対して傾いている。シャッターは、傾斜路を閉じた状態で傾斜路上方向きに開いて配置される略V字状の案内面を備えている。
上記のトリポード位相決め装置のシャッターは、傾斜路を閉じた状態で傾斜路上方向きに開いて配置される略V字状の案内面を持つ。このように構成されていると、傾斜路を滑落してきたトリポードは、その突起が傾斜路を閉じているシャッターの略V字状部に接触して案内される。略V字状部に案内されたトリポードは、1つの突起が略V字状部の底に向かうように回転する。複数段のシャッターを設けておくとともに、上方のシャッターから順々に開放すると、トリポードの位相決め処理を複数回に亘って実施することができ、トリポードの位相決めを確実に行うことができる。
一つの突起が傾斜路の下方を向いた状態(Y字状)に回転すると、トリポードはその位相で安定する。シャッターが開かれると、トリポードはY字状の位相を保ったままさらに滑落し、傾斜路の下端で停止する。上記の事象によって、トリポードの位相決めを自動的に行うことができる。
トリポードの1つの突起が傾斜路の真上を向いた位相(逆Y字状)で傾斜路を滑落すると、略V字状部がトリポードを案内することができない。傾斜路の下方を向いた2つの突起が略V字状部に同時に接触するので、トリポードを回転させるモーメントが発生しないからである。
上記のトリポード位相決め装置の第1プッシャーは、トリポードとの接触面が上方から見たときにトリポード押出し方向に対して傾いている。従って、載置面に載置されたトリポードの1つの突起が第1プッシャー側を向き、かつその軸方向が第1プッシャーの押出方向と一致していても、第1プッシャーの接触面が突起に接触してトリポードを傾斜路に押出すときに、トリポードは回転する。従って、トリポードが逆Y字状の位相で傾斜路を滑落することが防止される。トリポードが逆Y字状の位相で傾斜路を滑落することが防止されると、略V字状部がトリポードを案内してトリポードの位相を決めることができる。
【0007】
請求項1に記載のトリポードの位相決め装置では、略V字状部の底部にトリポードの1つの突起を受入れる穴が設けられていることが好ましい(請求項2)。
受入穴がトリポードの1つの突起を受入れると、トリポードをより確実にY字状に位相決めすることができる。
【0010】
請求項1または2に記載のトリポード位相決め装置において、トリポードを載置するとともに傾斜路の下側に連なる第2載置面と、傾斜路の下端部からトリポードを所定ストロークだけ押出してトリポードを第2載置面におく第2プッシャーをさらに備えていることが好ましい(請求項3)。
上記のトリポード位相決め装置は、第2プッシャーが傾斜路の下端部からトリポードを所定ストロークだけ押出してトリポードを第2載置面上におく。位相決めされたトリポードが所定ストロークだけ押出されて第2載置面に載置されると、トリポード本体の軸位置が第2載置面に対して一義的に定まる。すなわち、トリポード本体の軸は、毎回同じ位置に配置される。
【0011】
【発明の実施の形態】
後述する実施例のトリポード位相決め装置の主要な特徴を列記する。
(形態1) 並行した5列のシュート(傾斜路)が設けられている。それぞれのシュートには、傾斜方向に沿って4段のシャッターが配置されている。トリポードは、シャッターに形成されている略V字状の案内面に案内されることにより、位相決めされる。
(形態2) トリポードは、シュートの上側に連なる水平な搬入面に載置され、そこから第1プッシャーによってシャッターに向けて押出される。第1プッシャーのトリポードとの接触面は、トリポード押出方向(第1プッシャー進退方向)に対して傾いている。
(形態3) 位相決めされてシュートの下端に達したトリポードは、第2プッシャーによってシュートから搬出面に所定ストローク押出される。
【0012】
【実施例】
本発明に係るトリポード位相決め装置の一実施例について、図面を参照しながら説明する。図1、図2に示されているように、トリポード位相決め装置10は、搬入部12、位相決め部14、搬出部16を備えている。なお、図1、図2は、後述するシャッター44が閉じた状態を図示している。
搬入部10は、水平に配置された搬入面21と、5つの第1プッシャー22を有している。図1に良く示されているように、第1プッシャー22は、押出シャフト24と、押出シャフト24の先端に固定された板状の押出板25とから構成されている。押出板25は、駆動装置(図示省略)によって押出シャフト24が駆動されることにより、矢印26方向に進退する。押出板25は、押出シャフト24の進退方向(押出方向)に対して傾いている。
【0013】
位相決め部14は、搬入部10の搬入面21に連なる傾斜面28と、傾斜面28上に装着された側壁29、30、4つの隔壁32、第1段シャッター部34、第2段シャッター部36、第3段シャッター部38、第4段シャッター部40等から構成されている。
図1に良く示されているように、側壁29、30は、傾斜面28の両側部に立設されている。そして側壁29、30の間が4つの隔壁32によって仕切られることにより、後述するトリポード60が滑落する5つのシュート33が形成される。各シュート33の下端部には、4つスリット28aが形成されている。
第1段シャッター部34、第2段シャッター部36、第3段シャッター部38、第4段シャッター部40は、傾斜面28の傾斜方向に並んで配置されている。これらシャッター部34、36、38、40は同様の構成を有している。シャッター部34、36、38、40は、ブラケット42、シャフト43、シャッター44、アクチュエータ46等から構成されている。ブラケット42は、側壁29、30の外側に固定されている。シャフト43は、ブラケット42に両端部を回転可能に支持された状態で、側壁29、30、隔壁32を貫通している。
【0014】
シャフト43の下側には、シュート33毎にシャッター44がボルト45によって固定されている。図3に示されているように、シャッター44は略V字状に形成されており、案内面44a、受入穴44b、ボルト締結用のネジ穴44cを有している。
図2に良く示されているように、傾斜面28に柱状のサポート49が固定されている。サポート49の先端部には、ピン47を介してアクチュエータ46が連結されている。アクチュエータ46は空気圧式であり、コントローラ(図示省略)に制御されて、プランジャ46aを伸縮させる。図1、図2は、プランジャ46aが伸展した状態を示している。プランジャ46aの先端は、ピン48を介してL字状のアーム50の一端に連結されている。アーム50の他端は、シャフト43に固定されている。図1に示されているように、アーム50の位置を検出する非接触式のセンサ52が設けられている。
【0015】
シャッター44の開閉を行う場合には、アクチュエータ46のプランジャ46aを伸縮させる。例えば、第2段シャッター部36のシャッター44を開く場合には、図4に示されているように、第2段シャッター部36用のアクチュエータ46(図4において右側に図示されているアクチュエータ46)のプランジャ46aを収縮させる。プランジャ46aが収縮すると、アーム50を介してプランジャ46aに連結されているシャフト43が回転する。すると、各シュート33に配置されている第2シャッター部36のシャッター44が開く。図5は、第2シャッター部36のシャッター44が開いた状態を図示している。
【0016】
図1、図2に示されているように、搬出部16は、搬出面54と、第2プッシャー56を備えている。搬出面54は、傾斜面28に連なるとともに、水平に配置されている。第2プッシャー56は、4枚の板状部材から構成されており、駆動装置(図示省略)に駆動されて矢印57方向に進退する。前進した第2プッシャー56は、傾斜面28のスリット28aに入り込む。
【0017】
図6、図7は、トリポード位相決め装置10が位相決めするトリポード60を示している。トリポード60は、本体60aと、本体60aから突出した3本の突起60bと、本体60aを貫通する貫通穴60cを有している。このようなトリポード60は、例えば、自動車の駆動系統の等速ジョイントに用いられる。
【0018】
トリポード位相決め装置10が、どのようにしてトリポード60を位相決めするかについて説明する。
トリポード位相決め装置10でトリポード60を位相決めする際には、図8に示されているように、搬入部12の搬入面21上にトリポード60を載置する。そして、第1プッシャー22を前進させることにより、搬入部12から位相決め部14にトリポード60を押し出す。位相決め部14に押出されたトリポード60は、シュート33上を滑落する。
上述したように、第1プッシャー22の押出板25は、押出シャフト24の進退方向(押出方向)に対して傾いている。このため、図9に示されているように、搬出面21に載置されたトリポード60の1つの突起60bが第1プッシャー22の方を向き、かつその突起60bの軸方向が押出方向と一致していても、押出板25がトリポード60を押出す過程で、図10に示されているように、トリポード60は本体60aの軸回りに回転する。よって、トリポード60は、その1つの突起60bをシュート33の上方に向けた以外の位相(逆Y字状以外の位相)で滑落する。
【0019】
図11に示されているように、シュート33を滑落したトリポード60は、閉じている第1段シャッター部34のシャッター44に接触して停止する。この際に、トリポード60の突起60bがシャッター44の案内面44aに案内されることによって、トリポード60の位相が調整される(位相調整の詳細については、後述にて詳細に説明する)。
続いて、図12に示されているように、第1段シャッター部34のシャッター44が開かれ、トリポード60はシュート33を滑落して閉じている第2段シャッター部36のシャッター44に接触して停止する。このように、第1段シャッター部34から第4段シャッター部40の順にシャッター44の開閉が繰返されることにより、トリポード60はシュート33の下端まで滑落し、その位置で停止する。図13は、シュート33の下端で停止した状態のトリポード60を図示している。
なお、以上の説明は、便宜上1つのトリポード60がシュート33を滑落する場合を例示したが、コントローラによってシャッター44の開閉タイミングを適切に制御することにより、1つのシュート33上で複数のトリポード60を同時に滑落させることができる。
【0020】
トリポード60が位相決めされる過程について、図14〜図17を参照しながら複数例示する。図14〜図17は、上から順に第1段シャッター部34、第2段シャッター部36、第3段シャッター部38、第4段シャッター部40のシャッター44を示している(以下、第1段シャッター部34〜第4段シャッター部40のシャッター44を、それぞれ第1段のシャッター44、第2段のシャッター44、第3段のシャッター44、第4段のシャッター44と記載する)。
図14は、第1段のシャッター44でトリポード60の位相決めが完了した場合を示している。トリポード60は、シャッター44の開閉によって、そのままの位相で第2段のシャッター44〜第4段のシャッター44を通過し、シュート33の下端に達する。
図15は、第1段のシャッター44で位相決めが完了しなかった場合を示している。第1段のシャッター44で位相決めが完了しなかったトリポード60は、次の第2段のシャッター44で位相決めが完了している。
図16は、第1段のシャッター44〜第3段のシャッター44で徐々に位相決めが行われ、第3段のシャッター44で位相決めが完了した場合を示している。図17は、第4段のシャッター44で位相決めが完了した場合を示している。このように、第1段〜第4段のシャッター44が設けられていることにより、シュート33を滑落開始する時点でトリポード60の位相が大きくずれていても、トリポード60は確実に位相決めされる。
【0021】
トリポード60がシュート33の下端で停止すると、図14に示されているように、第2プッシャー56が所定ストローク前進し、トリポード60を搬出面54に押出して載置する。このように、位相決めされたトリポード60が所定ストローク押出されて搬出面54に載置されると、搬出面54に対するトリポード60の貫通穴60cの位置(軸位置)は一義的に定まる。すなわち、トリポード60の貫通穴60cは、毎回同じ位置に配置される。そして、上方から棒状治具62が降下し、トリポード60の貫通穴60cに挿入される。棒状治具62が挿入されたトリポード60は、搬出装置(図示省略)によってトリポード位相決め装置10から搬出される。
【0022】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るトリポード位相決め装置の平面図。
【図2】図1のII−II線矢視図。
【図3】実施例に係るシャッターの斜視図。
【図4】図1のII−II線矢視図(第2段シャッタ部のアクチュエータのプランジャが収縮した状態)。
【図5】実施例に係る第2段シャッター部のシャッターが開いた状態を説明する模式図。
【図6】実施例に係るトリポードの平面図。
【図7】図6のVII−VII線断面図。
【図8】実施例に係るトリポードの滑落過程を示す模式図(トリポードが搬入面に載置された状態)。
【図9】実施例に係るトリポードをプッシャーが押出している状態の説明図。
【図10】同上。
【図11】実施例に係るトリポードの滑落過程を示す模式図(トリポードが第1段のシャッターで停止している状態)。
【図12】実施例に係るトリポードの滑落過程を示す模式図(トリポードが第2段のシャッターで停止している状態)。
【図13】実施例に係るトリポードの滑落過程を示す模式図(トリポードがシュート下端で停止している状態)。
【図14】実施例に係るトリポードがシャッターによって案内される過程の説明図。
【図15】同上。
【図16】同上。
【図17】同上。
【図18】実施例に係るトリポードがシャッター下端から搬出面に押出される状態を示す模式図。
【符号の説明】
10:トリポード位相決め装置
12:搬入部
14:位相決め部
16:搬出部
21:搬入面
22:第1プッシャー
24:押出シャフト
25:押出板
26:第1プッシャーの進退方向を示す矢印
28:傾斜面、28a:スリット
29、30:側壁
32:隔壁
34:第1段シャッター部
36:第2段シャッター部
38:第3段シャッター部
40:第4段シャッター部
42:ブラケット
43:シャフト
44:シャッター、44a:案内面、44b:受入穴、44c:ネジ穴
45:ボルト
46:アクチュエータ、46a:プランジャ
47、48:ピン
49:サポート
50:アーム
52:センサ
54:搬出面
56:第2プッシャー
57:第2プッシャーの進退方向を示す矢印
60:トリポード、60a:本体、60b:突起、60c:貫通穴
Claims (3)
- トリポードが滑落する傾斜路と、
トリポードを載置するとともに傾斜路の上側に連なる第1載置面と、
第1載置面から傾斜路にトリポードを押出す第1プッシャーと、
傾斜路の途中に複数段に設けられて傾斜路を開閉するシャッターとを備えており、
第1プッシャーのトリポードとの接触面は、上方から見たときにトリポード押出し方向に対して傾いており、
シャッターは、傾斜路を閉じた状態で傾斜路上方向きに開いて配置される略V字状の案内面を備えており、
複数段に設けられているシャッターを上方から順に開放することによって、トリポードの一つの突起が傾斜路の下方を向く姿勢に位相決めすることを特徴とするトリポード位相決め装置。 - 略V字状部の底部にトリポードの1つの突起を受入れる穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトリポード位相決め装置。
- トリポードを載置するとともに傾斜路の下側に連なる第2載置面と、
傾斜路の下端部からトリポードを所定ストロークだけ押出してトリポードを第2載置面におく第2プッシャーをさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のトリポード位相決め装置。
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