JP4238510B2 - エンジンの遮音構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの遮音構造、特に、各気筒の燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給するよう配設された高圧管から発生する騒音を低減するための遮音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの騒音を低減する技術として、例えば特開平2001−98954号公報には、高圧燃料噴射ポンプ或いはコモンレールの上方を遮音カバーで覆うものが開示されている。また、実公昭57−7779号公報には、エンジン本体とそれに近接する付属装置、部品との間に間隙にある場合に、エンジン作動時において定在波が生起することによってエンジン騒音が増長されるのを防ぐために、それら間隙に吸音材を充填するものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エンジン、特にディーゼルエンジンの低騒音化のニーズは近年非常に高まっている。一方、ディーゼルエンジンのエミッションクリーン化は環境面で大きな問題となっている。また、それとは別に、ディーゼルエンジンの燃料噴射システムとして、コモンレール式の燃料噴射システムの採用が近年増えつつある。コモンレール式の燃料噴射システムは、高圧燃料噴射ポンプにて加圧し高圧にした燃料をコモンレールに蓄え、複数の高圧管を介して各気筒の燃料噴射弁に高圧燃料を分配供給し、それら各気筒の燃料噴射弁を電子制御により開閉させるよう構成したものであって、噴射量、噴射時期、噴射圧力を電気的に制御することが可能で、制御性に優れている。
【0004】
ところで、ディーゼルエンジンのエミッションクリーン化に結び付く技術の一つに、燃料噴射圧力の高圧化があり、コモンレール式の燃料噴射システムを採用する場合も、燃料噴射圧力をより高圧にしたいという要求がある。しかし、燃料噴射圧力を高圧化すると、エミッションクリーン化の面では利点が有るが、反面、コモンレール式の燃料噴射システムでは、高圧燃料噴射ポンプにより加圧されコモンレールにて蓄圧された高圧燃料が脈動しながら高圧管を経由して各気筒の燃料噴射弁に分配供給されるため、その各気筒の燃料噴射弁に高圧燃料を分配供給する肉厚の薄い複数の高圧管の全周から、高圧燃料の脈動に伴って騒音が発生し、その脈動に伴う騒音が、燃料圧力の高圧化により一層大きくなるという問題が発生する。そのため、コモンレール式の燃料噴射システムを採用したエンジンにおいて燃料噴射圧力の一層の高圧化を図るためには、高圧燃料の脈動に伴って高圧管の全周から発生する騒音を確実に低減できる技術が必要となる。
【0005】
騒音を低減する方法としては、上記特開平2001−98954号公報にあるように、遮音部材等で覆ってしまうのが一般的である。そして、コモンレール式燃料噴射システムの場合に、騒音源である複数の高圧管は、レイアウト上の制約があり、また、各気筒への長さを等しくする必要があって、3次元的に屈曲し、かつ、各々の高圧管がそれぞれ異なる形状になっているため、上記特開平2001−98954号公報に開示されているような遮音部材を使用して複数の高圧管を上方からすべて覆ってしまうのが手っ取り早い。しかし、そのように単に上方から騒音源を覆うように遮音部材を設ける場合、充分な遮音効果を得ようとすると、遮音部材は相当な厚みが必要で大型化が避けられないという問題が生じる。
【0006】
また、上記実公昭57−7779公報に開示されているような、エンジン本体とそれに近接する付属装置や部品との間隙に吸音材を充填する方法は、定在波の抑止による騒音低減には有効ではあっても、コモンレール式燃料噴射システムの複数の高圧管の全周から発生する騒音を遮音する手段とはならない。コモンレール式燃料噴射システムの高圧管から発生する騒音は、定在波とは異なり、エンジン本体と高圧管との間隙に吸音材を充填しても低減できない。また、複数の高圧管の間の間隙に吸音材を充填するにしても、コモンレール式燃料噴射システムの3次元的に屈曲し各々異なる複雑な形状になっている複数の高圧管に対して、それら高圧管の間隙にことごとく吸音材を充填することは容易でなく、また、充填できたとしても、騒音は高圧管の全周から発生するので、充分な騒音低減効果を得ることはできない。
【0007】
したがって、燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給する複数の高圧管の全周から発生する騒音を確実に低減できるとともに、遮音部材を容易に装着でき且つコンパクトに形成できるようにすることが課題である。そして、その課題を解決することが本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、気筒毎の各燃料噴射ノズルがエンジン本体の上部に設けられ、高圧燃料噴射ポンプにて加圧し高圧にした燃料を蓄えるコモンレールがエンジン本体の一側に気筒列方向に長い配置で設けられ、上記コモンレールから上記各気筒の燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給するように、上記コモンレールから曲折して各気筒の燃料噴射ノズルに連結される複数の高圧管が設けられたエンジンにおいて、上記複数の高圧管をエンジン外方から覆うとともにそれら複数の高圧管の間に介在して、隣接する高圧管の間の空間を埋める遮音部材を設けたことを特徴とするエンジンの遮音構造を提供する。
【0009】
この遮音構造は、複数の高圧管をエンジン外方から覆うとともにそれら複数の高圧管の間に介在するよう遮音部材を設けたことにより、燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給する複数の高圧管の全周から発生する騒音を確実に遮音するようにできる。そして、単に複数の高圧管をエンジン外方から覆うだけでなく、高圧管の間隙に遮音部材を介在させるので、コンパクトに形成でき、且つ、充分な遮音効果を得るようにできる。
【0010】
また、本発明は、気筒毎の各燃料噴射ノズルがエンジン本体の上部に設けられ、高圧燃料噴射ポンプにて加圧し高圧にした燃料を蓄えるコモンレールがエンジン本体の一側に気筒列方向に長い配置で設けられ、上記コモンレールから上記各気筒の燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給するように、上記コモンレールから曲折して各気筒の燃料噴射ノズルに連結される複数の高圧管が設けられたエンジンにおいて、上記複数の高圧管の形状に合わせて形成された凹部を有し上記複数の高圧管をエンジン外方から覆うとともにそれら複数の高圧管を上記凹部に嵌まり込ませて、隣接する高圧管の間の空間を埋める遮音部材を設けたことを特徴とするエンジンの遮音構造を提供する。
【0011】
この遮音構造は、複数の高圧管の形状に合わせて形成された凹部を有し上記複数の高圧管をエンジン外方から覆うとともにそれら複数の高圧管を上記凹部に嵌まり込ませる遮音部材を設けたことにより、複数の高圧管が遮音部材によりエンジン外方から覆われるとともに、複数の高圧管が遮音部材の凹部に嵌まり込むため、遮音効果が高く、燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給する複数の高圧管の全周から発生する騒音を確実に遮音するようにでき、かつ、コンパクトに形成できる。また、遮音部材は凹部に複数の高圧管を嵌まり込ませるよう装着するので、装着が容易である。
【0012】
また、上記遮音構造において、遮音部材は、複数の高圧管の間の空間を埋めるように形成するものであり、それにより、遮音部材による高圧管の制振作用を高めることができ、また、水の飛散に対する対食性を向上させることができる。
【0013】
また、上記遮音部材は一体物で形成するのがよく、それにより、遮音部材の装着が一層容易となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図3は本発明の実施の形態の一例を示す。図1は遮音構造を示すエンジン全体の斜視図、図2は遮音部材の構造および配置を示す断面図、図3は遮音部材の凹部構造を示すを斜視図である。
【0016】
この実施の形態のエンジンは、4気筒の直噴式ディーゼルエンジンで、図1に示すように、エンジン本体1の上部には、気筒毎にピストン上部の燃焼室凹部に直接燃料を噴射する燃料噴射ノズル(図示せず)を備えた4本の燃料噴射弁2が配設されている(図1にはエンジン本体1のシリンダヘッドカバーの部分に燃料噴射弁2の上端が現れている)。これら燃料噴射弁2は、電子制御により電磁式の針弁を駆動し燃料噴射ノズルを開閉させるもので、噴射量、噴射時期、噴射圧力を電気的に制御可能である。そして、高圧燃料噴射ポンプ(図示せず)にて加圧し高圧にした燃料を蓄えるコモンレール3が、エンジン本体1の一側に気筒列方向に長い配置で設けられ、このコモンレール3から各気筒の燃料噴射弁2に高圧燃料を分配供給するよう、コモンレール3と各気筒の燃料噴射弁2の間に長さが略等しい4本の高圧管4が曲折して配設されている。
【0017】
そして、それら4本の高圧管4をエンジン外方から覆うとともに各高圧管4の間に介在して、隣接する高圧管4の間の空間を埋めるよう、エンジン本体1の上方から遮音部材5が装着されている。
【0018】
上記遮音部材5は、ウレタン成形あるいはゴム成形等による一体物で、図2および図3に示すように、高圧管4の形状に合わせて形成された凹部6を有し、4本の高圧管4が凹部6に嵌まり込んで、それら高圧管4の間の空間を遮音部材5が埋めるように形成したものである。この遮音部材5は、別途固定手段を設けてもよいが、通常は見栄えカバー(図示せず)がエンジン上方を覆うように配置されることにより固定される。
【0019】
こうしてエンジン本体1と遮音部材5とで4本の高圧管4の全周を覆う遮音構造をコンパクトに形成でき、高圧管4の全周から発生する騒音を確実に低減できる。また、遮音部材5は凹部6に高圧管4を嵌まり込ませるよう装着するので、装着が容易である。そして、遮音部材5が4本の高圧管4の間の空間を埋めることにより、高圧管4の振動を抑制することができ、また、水の飛散による腐食を防止することができる。
【0020】
なお、この例では、遮音部材5の凹部6は、図2に示す構造では高圧管4が嵌まり込むことにより高圧管4側方の空間を埋めるよう形成され、遮音部材5の内面に対し略直角に開口させているが、これを、図4に示すように、高圧管4下部の空間も埋めるよう、遮音部材5の内面に対し鋭角に開口させてることも可能である。
【0021】
また、上記実施の形態では4気筒の直噴式ディーゼルエンジンの場合を説明したが、本発明は4気筒以外の他の多気筒エンジンにも適用でき、直噴以外のディーゼルエンジンおよびガソリンエンジン等、様々に適用可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の遮音構造は、燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給するよう配設された複数の高圧管の全周を、エンジン本体と遮音部材とで覆うことにより、それら高圧管から発生する騒音を確実に低減することができるとともに、遮音部材を容易に装着でき、且つ、コンパクトに形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の遮音構造を示すエンジン全体の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態のエンジンの遮音部材の構造および配置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態のエンジンの遮音部材の凹部構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態のエンジンの遮音部材の他の例の構造および配置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 燃料噴射弁
3 コモンレール
4 高圧管
5 遮音部材
6 凹部
Claims (3)
- 気筒毎の各燃料噴射ノズルがエンジン本体の上部に設けられ、高圧燃料噴射ポンプにて加圧し高圧にした燃料を蓄えるコモンレールがエンジン本体の一側に気筒列方向に長い配置で設けられ、上記コモンレールから上記各気筒の燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給するように、上記コモンレールから曲折して各気筒の燃料噴射ノズルに連結される複数の高圧管が設けられたエンジンにおいて、
上記複数の高圧管をエンジン外方から覆うとともにそれら複数の高圧管の間に介在して、隣接する高圧管の間の空間を埋める遮音部材を設けたことを特徴とするエンジンの遮音構造。 - 気筒毎の各燃料噴射ノズルがエンジン本体の上部に設けられ、高圧燃料噴射ポンプにて加圧し高圧にした燃料を蓄えるコモンレールがエンジン本体の一側に気筒列方向に長い配置で設けられ、上記コモンレールから上記各気筒の燃料噴射ノズルに高圧の燃料を分配供給するように、上記コモンレールから曲折して各気筒の燃料噴射ノズルに連結される複数の高圧管が設けられたエンジンにおいて、
上記複数の高圧管の形状に合わせて形成された凹部を有し上記複数の高圧管をエンジン外方から覆うとともにそれら複数の高圧管を上記凹部に嵌まり込ませて、隣接する高圧管の間の空間を埋める遮音部材を設けたことを特徴とするエンジンの遮音構造。 - 上記遮音部材は一体物で形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンジンの遮音構造。
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