JP2010180727A - デリバリパイプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ダンパー部材の脈動吸収性能を確保しつつ、脈動吸収部分の固有振動数を実際に発生する脈動の振動数に近づけることが可能なデリバリパイプを提供する。
【解決手段】デリバリパイプ100は、複数の燃料噴射弁が取り付けられるデリバリパイプ本体110と、デリバリパイプ本体110の内側に設けられ且つ密閉空間A1を有する中空のダンパー部材120とを備え、デリバリパイプ本体110内に供給された燃料を各燃料噴射弁に分配供給し、ダンパー部材120が変形することにより燃圧脈動を吸収するように構成されている。そして、脈動吸収部分となるダンパー部材120の壁部121aには、質量体123が取り付けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の燃料供給装置に用いられるデリバリパイプに関する。
自動車等の車両に搭載される多気筒内燃機関の燃料噴射装置として、複数の燃料噴射弁(インジェクタ)を設け、各インジェクタから対応する吸気通路あるいは気筒へ燃料を噴射するようにしたものがある。このような燃料噴射装置では、燃料ポンプから圧送される燃料を各インジェクタに分配して供給するために、デリバリパイプが用いられる。デリバリパイプ内の燃料は、コントロールユニットにより各インジェクタ内部の電磁弁を開閉制御することによって、所定の圧力で各吸気通路あるいは各気筒に噴射供給されるようになっている。
上述のような燃料噴射装置においては、インジェクタ内部の電磁弁の開閉による燃料噴射が断続的に行われるため、デリバリパイプ内の燃料圧力に脈動(燃圧脈動)が発生することが懸念される。そして、このような脈動がデリバリパイプに燃料を供給する燃料供給管などを介してデリバリパイプの外部へ伝えられると、車両の振動や騒音などが発生する可能性がある。従来では、例えば、特許文献1に示されるように、デリバリパイプ本体の内部に、密閉された内部空間を有する中空のダンパー部材を設け、このダンパー部材の弾性変形によって脈動を吸収するようにしていた。
特開2003−83199号公報
ところで、インジェクタ内部の電磁弁の開閉によって発生する脈動をダンパー部材によって効果的に吸収するには、ダンパー部材の脈動吸収部分の固有振動数が、実際に発生する脈動の振動数と一致していることが好ましい。脈動吸収部分の固有振動数は、脈動吸収部分の質量、ヤング率等によって求められる。
しかし、現状では、ダンパー部材の脈動吸収部分の固有振動数は、デリバリパイプにおいて実際に発生する脈動の振動数と大きくかけ離れているといった問題がある。例えば、デリバリパイプにおいて実際に発生する脈動の振動数は、数10Hz〜数100Hzであるのに対し、脈動吸収部分の固有振動数は、数kHz〜数10kHzであり、ダンパー部材の脈動吸収部分の応答性が速すぎるといった問題がある。
ここで、ダンパー部材の脈動吸収部分の応答性を遅くする、つまり、脈動吸収部分の固有振動数を低くするには、脈動吸収部分の肉厚を大きくするといった対策が考えられる。しかし、この対策では、ダンパー部材の脈動吸収部分の剛性が高くなるため、脈動吸収部分が変形しにくくなり、ダンパー部材の脈動吸収性能が低下することが懸念される。
本発明は、そのような現状を鑑みてなされたものであり、ダンパー部材の脈動吸収性能を確保しつつ、脈動吸収部分の固有振動数を実際に発生する脈動の振動数に近づけることが可能なデリバリパイプを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、デリバリパイプであって、複数の燃料噴射弁が取り付けられるデリバリパイプ本体と、上記デリバリパイプ本体の内側に設けられ且つ密閉された内部空間を有する中空部材とを備え、上記デリバリパイプ本体内に供給された燃料を各燃料噴射弁に分配供給し、上記中空部材が変形することにより燃圧脈動を吸収するように構成されている。そして、上記中空部材の脈動吸収部分には、質量体が取り付けられていることを特徴としている。
上記構成によれば、中空部材の脈動吸収部分がデリバリパイプ本体内の燃料貯溜空間の燃圧の変動に応じて弾性変形することによって、デリバリパイプ本体内の燃料貯溜空間の内容積が変化する。これにより、デリバリパイプにおいて所定の燃料圧力付近で発生する脈動を吸収することができる。そして、脈動による燃料噴射量の誤差を減少でき、燃料消費率を向上でき、また、振動や異音を抑制できる。
しかも、中空部材の脈動吸収部分に質量体を取り付けることによって、中空部材の脈動吸収部分の固有振動数を低下させ、中空部材の脈動吸収部分の応答性を低下させるようにしている。そして、中空部材の脈動吸収部分の固有振動数をデリバリパイプにおいて実際に発生する脈動の振動数に近づけるようにしている。これにより、中空部材による効果的な脈動の吸収を可能としている。この場合、中空部材の脈動吸収部分の肉厚を大きくしなくても、中空部材の脈動吸収部分の固有振動数を低下させることができるので、中空部材の脈動吸収部分の脈動吸収性能を確保しつつ、中空部材の脈動吸収部分の固有振動数をデリバリパイプにおいて実際に発生する脈動の振動数に近づけることができる。
本発明において、上記質量体は、上記中空部材の脈動吸収部分の最大振幅の部位に設けられていることが好ましい。ここでは、質量体を設ける場所を特定している。すなわち、中空部材の脈動吸収部分の変形に無関係な場所に質量体を設けたのでは、質量体による中空部材の脈動吸収部分の固有振動数の低下作用が得られない可能性がある。したがって、中空部材の脈動吸収部分の最大振幅の部位、つまり、中空部材の脈動吸収部分の最大変形部位に質量体を設けるようにしている。
本発明によれば、中空部材の脈動吸収部分の脈動吸収性能を確保しつつ、中空部材の脈動吸収部分の固有振動数を実際に発生する脈動の振動数に近づけることができる。
実施形態に係るデリバリパイプの概略構成を示す断面図である。 図1のX1−X1線断面図である。 図1のデリバリパイプのダンパー部材を示す断面図である。 デリバリパイプのダンパー部材の変形例1を示す断面図である。 デリバリパイプのダンパー部材の変形例2を示す断面図である。
本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明を適用するデリバリパイプは、多気筒エンジンにおける燃料噴射装置の一部を構成するものであって、燃料ポンプから圧送される燃料を複数の燃料噴射弁(インジェクタ)に分配供給するものである。以下では、本発明を、自動車に搭載される直列4気筒ガソリンエンジンの燃料噴射装置に備えられるデリバリパイプに適用した実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るデリバリパイプの概略構成について、図1、図2を参照して説明する。図1は、実施形態に係るデリバリパイプの概略構成を示す断面図、図2は、図1のX1−X1線断面図である。
図1、図2に示すように、デリバリパイプ100は、複数のインジェクタが取り付けられるデリバリパイプ本体110と、このデリバリパイプ本体110の内側に設けられ且つ密閉された内部空間を有する中空のダンパー部材120とを備えている。
デリバリパイプ本体110は、例えば樹脂からなる成形品で、軸線方向(長手方向)の一方の端部(図1では左端部)が開放され、他方の端部(図1では右端部)が閉塞されたほぼ円筒状に形成されている。このデリバリパイプ本体110の軸線方向に沿って延びる内部の空間が燃料の貯溜空間(燃料貯溜空間)C1となっている。樹脂としては、例えば、PA66(ナイロン66)等のナイロン樹脂、PPA(ポリフタルアミド)等の芳香族ナイロン樹脂や、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐燃料透過性を有する樹脂を用いることが可能である。
デリバリパイプ本体110の左端部には、キャップ130が溶着によりシール性を確保した状態で一体的に接合されている。キャップ130には、燃料供給管131が一体的に取り付けられており、この燃料供給管131が燃料タンク(燃料ポンプ)側から延びる燃料供給管と接続されている。なお、コネクタ等を介して燃料供給管131とキャップ130とを接続するようにしてもよい。また、デリバリパイプ本体110をその両端が開放された構成とし、両端にそれぞれキャップ130を取り付ける構成としてもよい。
デリバリパイプ本体110の底部(下部)には、インジェクタを取り付けるためのインジェクタ取付部111が形成されている。インジェクタ取付部111は、ほぼ円筒形に形成されており、デリバリパイプ本体110の底部から外部へ突出されている。インジェクタ取付部111は、気筒数と同じ数(この実施形態では4つ)だけ設けられており、軸線方向に所定の間隔で配列して設けられている。インジェクタ取付部111には、Oリングなどのシール部材を介してインジェクタが挿入される。なお、ソケットなどを用いてインジェクタをデリバリパイプ本体110に取り付ける構成としてもよい。
デリバリパイプ本体110内の右端部には、内部に密閉空間A1を有するダンパー部材120が設けられている。このダンパー部材120は、デリバリパイプ100の脈動を吸収・緩和するために設けられている。ダンパー部材120の密閉空間A1は、デリバリパイプ本体110内の燃料貯溜空間C1とは遮断されており、この密閉空間A1内には燃料が入り込まないようになっている。このダンパー部材120の具体的な構成および動作については後述する。
上記構成のデリバリパイプ100が備えられた燃料噴射装置においては、燃料ポンプにより圧送される燃料が、燃料供給管131を介して、デリバリパイプ本体110内の燃料貯溜空間C1に供給され、各インジェクタに分配供給されるようになっている。そして、各インジェクタ内部の電磁弁の開閉にともなって対応する吸気通路あるいは気筒へ燃料が噴射されるようになっている。
この実施形態では、脈動吸収部分となるダンパー部材120の壁部121aに質量体123が取り付けられていることを特徴としている。以下、この特徴部分について、図1〜図3を参照して詳しく説明する。図3は、図1のデリバリパイプ100のダンパー部材120を示す断面図である。
図3に示すように、ダンパー部材120は、2つのケース部材121,122と、質量体123とを備えている。
ダンパー部材120の2つのケース部材121,122は、ともに、断面形状が皿形状に形成されている。具体的には、ケース部材121,122は、ともに、薄肉の円盤状の壁部(底壁部)121a,122aと、壁部121a,122aの外周端から軸方向に延びる円筒状の壁部(周壁部)121b,122bと、壁部121b,122bの開放端の外周に外向きに延びるフランジ部121c,122cとを備えた構成となっている。そして、ケース部材121,122の互いの開放端同士を向かい合わせた状態でフランジ部121c,122c同士を接合することによって、密閉空間A1が形成される。ケース部材121,122は、例えば、ステンレス等の金属をプレス加工することによって形成されている。ケース部材121,122のフランジ部121c,122c同士の接合は、例えば、溶接(レーザ溶接など)等の手段によって行うことが可能である。
ダンパー部材120の2つのケース部材121,122によって形成される密閉空間A1は、所定の圧力に加圧されたガスが封入されている。ガスとしては、例えば、空気、二酸化炭素、アルゴンなどが用いられる。
ダンパー部材120の一方側(図1、図3では左側)のケース部材121の壁部121aには、所定の質量を有する円柱状の質量体123が固定されている。この実施形態では、質量体123は、壁部121aの内壁面のほぼ中央に、例えば、接着等の手段によって接合されている。質量体123は、例えば、鉛等の比重が比較的大きい金属、あるいは、ケース部材121と同じ材質の金属等によって形成されている。質量体123は、壁部121aの変形の際、この壁部121aとともに一体に移動するように取り付けられている。
上記構成のダンパー部材120は、図1、図2に示すように、2つの樹脂製の支持部材140,140を介してデリバリパイプ本体110内の所定の位置に支持されている。具体的には、ダンパー部材120は、周方向で対向する2箇所に配置された支持部材140,140によって挟まれた状態で、デリバリパイプ本体110内に挿入されている。この場合、ダンパー部材120のケース部材121,122のフランジ部121c,122cが各支持部材140の凹部141に嵌め込まれている。そして、支持部材140,140に挟まれた状態のダンパー部材120をデリバリパイプ本体110内に圧入することで、デリバリパイプ本体110内におけるダンパー部材120の位置決めを行うようにしている。この実施形態では、ダンパー部材120の他方側(図1、図3では右側)のケース部材122の壁部122aがデリバリパイプ本体110の壁部112と接する位置までダンパー部材120がデリバリパイプ本体110内に挿入されており、その位置でダンパー部材120が位置決めされている。なお、支持部材140を用いずに、ダンパー部材120をデリバリパイプ本体110内に支持する構成としてもよい。
また、ダンパー部材120の左側のケース部材121の壁部121aは、デリバリパイプ本体110内の燃料貯溜空間C1に面している。この壁部121aの肉厚は、デリバリパイプ本体110の肉厚よりも小さく設定されている。このため、壁部121aは、この壁部121aに作用する燃料貯溜空間C1の燃圧に応じて容易に変形することが可能となっている。そして、この実施形態では、燃料貯溜空間C1に面するダンパー部材120の壁部121aが脈動吸収部分となっている。
詳細には、ダンパー部材120の壁部121aは、この壁部121aの復元力(弾性力)および密閉空間A1の内圧の合成力と、燃料貯溜空間C1の燃圧とが釣り合うように変形する。この釣り合いの状態からインジェクタ内部の電磁弁の開閉等によって燃料貯溜空間C1の燃圧が変動すると、その燃圧の変動を抑制する方向に壁部121aが変形する。具体的には、燃料貯溜空間C1の燃圧が上昇した場合、壁部121aが、上記釣り合いの状態から内方に凹む。これにより、燃料貯溜空間C1の内容積が増大して、燃圧の上昇が抑えられる。逆に、燃料貯溜空間C1の燃圧が下降した場合、壁部121aが、上記釣り合いの状態から外方に膨らむ。これにより、燃料貯溜空間C1の内容積が減少して、燃圧の下降が抑えられる。
このように、ダンパー部材120の壁部121aが燃料貯溜空間C1の燃圧の変動に応じて弾性変形することによって、デリバリパイプ本体110内の燃料貯溜空間C1の内容積が変化する。これにより、デリバリパイプ100において所定の燃料圧力付近で発生する脈動を吸収することができる。そして、脈動による燃料噴射量の誤差を減少でき、燃料消費率を向上でき、また、デリバリパイプ本体110、燃料供給管131等の振動や異音を抑制できる。この場合、ダンパー部材120の壁部121aの肉厚をできるだけ小さくしたり、壁部121aの面積を大きくすることによって、壁部121aが変形しやすくなり、壁部121aの脈動吸収性能を向上させることができる。
ここで、ダンパー部材120の密閉空間A1の内圧を次のような圧力に設定することが好ましい。燃料噴射装置における制御燃圧(システム燃圧)が脈動吸収部分となる壁部121aに作用したとき、その壁部121aが平らな状態となるような圧力に密閉空間A1の内圧を設定することが好ましい。つまり、壁部121aが平らな状態のとき、上記釣り合いの状態が得られるように、密閉空間A1の内圧を設定することが好ましい。こうすれば、燃料貯溜空間C1の燃圧が上昇した場合、壁部121aが平らな状態から内方に凹み、燃料貯溜空間C1の燃圧が下降した場合、壁部121aが平らな状態から外方に膨らむ。これにより、上記制御燃圧付近の圧力を中心として変動する脈動を効果的に吸収できる。
また、インジェクタ内部の電磁弁の開閉によって発生する脈動をダンパー部材120によって効果的に吸収するには、脈動吸収部分となるダンパー部材120の壁部121aの固有振動数を、実際に発生する脈動の振動数に近づけることが好ましい。すなわち、実際には、デリバリパイプ100において発生する脈動の振動数は、例えば、数10Hz〜数100Hzであるのに対し、薄肉の壁部121aの固有振動数は、数kHz〜数10kHzであり、両者はかけ離れたものとなっている。
そこで、この実施形態では、ダンパー部材120の壁部121aに質量体123を取り付けることによって、壁部121aの固有振動数を低下させ、壁部121aの応答性を低下させるようにしている。そして、壁部121aの固有振動数をデリバリパイプ100において実際に発生する脈動の振動数に近づけるようにしている。これにより、ダンパー部材120による効果的な脈動の吸収を可能としている。
ところで、ダンパー部材120の壁部121aの固有振動数を低下させるには、壁部121aの肉厚を大きくすることが考えられる。しかし、この場合、壁部121aの剛性が高くなるため、壁部121aが変形しにくくなり、ダンパー部材120の脈動吸収性能が低下することが懸念される。この実施形態では、壁部121aの肉厚を大きくしなくても、壁部121aの固有振動数を低下させることができるので、壁部121aの脈動吸収性能を確保しつつ、壁部121aの固有振動数をデリバリパイプ100において実際に発生する脈動の振動数に近づけることができる。
ここで、ダンパー部材120の壁部121aの固有振動数は、質量体123の質量に応じて低下する。したがって、ダンパー部材120の壁部121aの固有振動数を、デリバリパイプ100において実際に発生する脈動の振動数に近づけるには、質量体123の質量をできるだけ大きくすることが好ましい。このため、質量体123は、例えば、鉛等のような比重が比較的大きい金属によって形成することが好ましい。ただし、質量体123は、弾性変形する壁部121aに一体に支持しておく必要があるため、質量体123の質量は、壁部121aへの支持が可能な範囲内で最適な質量に設定する。
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここに示した実施形態は一例であり、さまざまに変形することが可能である。
デリバリパイプ本体110の形状や材質は、特に限定されない。例えば、デリバリパイプ本体110を、例えばアルミニウムや鉄などの金属によって形成してもよい。
ダンパー部材120の形状や、デリバリパイプ本体110内における設置場所は、特に限定されない。例えば、ダンパー部材120をデリバリパイプ本体110内の端部以外の場所に設けてもよい。
また、ダンパー部材120の構成は、内部に密閉空間A1を有し、燃料貯溜空間C1の燃圧に応じて変形可能な脈動吸収部分を備えている構成であれば、いかなる構成であってもよい。例えば、図4に示すように、ダンパー部材120を、ケース部材121と、カバー部材124と、質量体123とを備えた構成としてもよい。具体的に、ケース部材121は、図3に示す上記実施形態のケース部材121と同様の構成であって、薄肉の円盤状の壁部(底壁部)121aと、壁部121aの外周端から軸方向に延びる円筒状の壁部(周壁部)121bと、壁部121bの開放端の外周に外向きに延びるフランジ部121cとを備えている。そして、ケース部材121のフランジ部121cに薄肉の円盤状のカバー部材124を接合することによって、密閉空間A1が形成される。そして、ケース部材121の壁部121aが燃料貯溜空間C1の燃圧に応じて変形可能な脈動吸収部分となっている。この壁部121aの内壁面のほぼ中央に質量体123が取り付けられている。
質量体123の形状は、特に限定されないが、ダンパー部材120の壁部121aの弾性変形に影響を与えないような形状であることが必要である。具体的には、壁部121aに接する質量体123の面積ができるだけ小さくなるような形状であることが好ましい。また、壁部121aの変形の際、質量体123が他方の壁部122aに接しないような形状であることが好ましい。
ダンパー部材120の壁部121aにおける質量体123の設置場所は、特に限定されないが、質量体123は、壁部121aの変形の際、この壁部121aとともに一体に移動する必要がある。つまり、壁部121aの変形に無関係な場所に質量体123を設けたのでは、質量体123による壁部121aの固有振動数の低下作用が得られない可能性がある。したがって、壁部121aの最大変形部位、つまり、壁部121aの最大振幅の部位にできるだけ近い場所に質量体123を設けることが好ましい。
質量体123の数は、2つ以上であってもよい。例えば、図5に示すように、ダンパー部材120を構成するケース部材121,122の壁部121a,122aにそれぞれ質量体123が取り付けられている。この図5に示す構成は、ケース部材121,122の壁部121a,122aが燃料貯溜空間C1の燃圧に応じて変形可能な脈動吸収部分となる場合に適している。すなわち、燃料貯溜空間C1の燃圧がダンパー部材120の両方の壁部121a,122aに作用するような場所に、ダンパー部材120を設置した場合、ダンパー部材120の両方の壁部121a,122aによって脈動を吸収することが可能となる。そして、両方の壁部121a,122aに質量体123を設けることで、ダンパー部材120の両方の壁部121a,122aの固有振動数を低下させ、デリバリパイプ100において実際に発生する脈動の振動数に近づけるようにしている。
上記実施形態では、本発明を自動車に搭載された4気筒ガソリンエンジンに適用した場合について説明したが、本発明は、これに限らず、例えば、6気筒ガソリンエンジン等のような他の任意の気筒数のガソリンエンジンに適用可能である。なお、本発明のデリバリパイプを備える燃料噴射装置は、ポート噴射のタイプであってもよいし、筒内直噴のタイプであってもよい。
また、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジン等の他の内燃機関にも本発明を適用可能である。さらに、本発明を適用可能なエンジンは、自動車用のエンジンに限るものでもない。
本発明は、内燃機関の燃料供給装置に用いられるデリバリパイプに利用できる。詳細には、本発明は、ダンパー部材の脈動吸収性能を確保しつつ、脈動吸収部分の固有振動数を実際に発生する脈動の振動数に近づけることが可能なデリバリパイプとして有用である。
100 デリバリパイプ
110 デリバリパイプ本体
120 ダンパー部材(中空部材)
121a 壁部
123 質量体
A1 密閉空間
C1 燃料貯溜空間

Claims (2)

  1. 複数の燃料噴射弁が取り付けられるデリバリパイプ本体と、上記デリバリパイプ本体の内側に設けられ且つ密閉された内部空間を有する中空部材とを備え、上記デリバリパイプ本体内に供給された燃料を各燃料噴射弁に分配供給し、上記中空部材が変形することにより燃圧脈動を吸収するように構成されたデリバリパイプにおいて、
    上記中空部材の脈動吸収部分には、質量体が取り付けられていることを特徴とするデリバリパイプ。
  2. 請求項1に記載のデリバリパイプにおいて、
    上記質量体は、上記中空部材の脈動吸収部分の最大振幅の部位に設けられていることを特徴とするデリバリパイプ。
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