以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる電子機器たるカーオーディオ装置10の正面図である。このカーオーディオ装置10は、装置本体(機器本体)1と、操作入力部(操作入力手段)として機能する着脱可能なコントロールパネル(以下DCP(Detachable Control Panel)という)15とから概略構成される。図2は、装置本体1の正面図である。この装置本体1の正面には、CD(Compact Disc)の挿入口2aやメモリカード(フラッシュメモリカードやコンパクトメモリカード:以下、単に「メモリ」という)の挿入口2bが形成される。なお、図1は、この装置本体1の正面にDCP15が装着された状態を示している。
図3は、このDCP15の背面図である。DCP15の取り付け構造について詳述には、図3に示すように、このDCP15の背面には、2つの係合突起3a、3bと1つの係合受け4とが形成されると共にコネクタ接点5が設けられ、また、図1に示すように、装置本体1の正面には、上記DCP15を取り付けるための支持プレート9が設けられると共に、この支持プレート9上には2つの係合受け6a、6bと1つの係合突起7とが形成されると共にコネクタ接点8が設けられている。この構成の下、DCP15の背面の係合受け4を装置本体1の支持プレート9上の係合突起7に押し込んで、DCP15の一端側を装置本体1に係合させた後、DCP15の背面の係合突起3a、3b及びコネクタ接点5を、装置本体1の支持プレート9上の係合受け6a、6b及びコネクタ接点8に押し込んで係合させることで、DCP15を装置本体1の正面に取り付ける構造となっている。
DCP15が装置本体1に取り付けられた場合、上記コネクタ接点5、8を介してDCP15側と装置本体1との間でコマンド信号や、DCP15が有する表示部へ各種情報を表示するための信号等が送受される。
また、DCP15が装置本体1の正面に取り付けられた場合、このDCP15により、CD等の挿入口2が覆われた状態となる。この状態において、DCP15の左上端に配置されているオープンキー21aを深く押し込むと、これと連動して、図4に示すように、支持プレート9とDCP15とが、図示せぬアーム等の傾動機構により傾動し、挿入口2a、2bが露出した状態となる。このようにDCP15及び支持プレート9とを前方に傾動させた状態において、挿入口2a、2bにCDあるいはメモリカードを挿入する構成となっている。
次いで、DCP15の構成について詳述すると、図1に示すように、DCP15は、DCPケース16と、当該DCPケース16の正面に設けられたガイドフレーム17と、当該ガイドフレーム17に嵌め込まれ、表示部として機能する液晶パネル19と、当該液晶パネル19上に設けられた透明なタッチパネル20とを有する。また、DCPケース16には、複数の操作キーも設されている。これらの操作キーとしては、上記オープンキー21aの他に、装置本体1のメイン電源投入及びボリューム調整のための操作キー21bなどがある。この操作キー21bは、ボタン式の回転操作子として構成され、この操作キー21bの押下により電源投入、切断操作がなされると共に、回転操作により再生音の音量(ボリューム)調整がなされる。このDCP15においては、液晶パネル19の前面側にタッチパネル20が配置され、液晶パネル19によりタッチパネル20の領域に各種情報を表示する。
上記タッチパネル20は、一枚の透明なタッチパネルが適用される。図1に示すように、このタッチパネル20は、5つの隣接した領域に分割してなる第1〜第5領域R1〜R5を有し、これら第1〜第5領域R1〜R5の各々が1つの独立した操作部として機能する。また、このタッチパネル20は、これら第1〜第5領域R1〜R5が操作部であることを明示したり、各操作領域の境界を明示するような情報が印刷等されておらず、外観からは第1〜第5領域R1〜R5が判別不能で、かつ、一般的な画面の保護カバーと同様のシンプルな外観に形成されている。
上記ガイドフレーム17は、このフレームに囲まれるパネル20がタッチパネルであることを知る正当な使用者にとっては、上記第1〜第5領域R1〜R5の各々を識別容易とするためのガイドとして機能する。言い換えれば、このガイドフレーム17は、パネル20がタッチパネルであることを知らない者にとっては単なる意匠部品として認識される。具体的には、このガイドフレーム17は、第1〜第5領域R1〜R5の境界付近で内側に突出して括れた形状をなし、正当な使用者がこの括れ部分にて各領域が分割されていることが視認可能で、また手探りでも確認可能としている。また、車両の運転中においては、ドライバー(使用者)はカーオーディオ装置10を操作する場合には、タッチパネル20に注視する訳にはいかず、手探りで凡その位置を把握し、タッチパネル20を操作せねばならない。このような場合であっても、本実施の形態にあっては、ガイドフレーム17の括れ箇所を手探りで見つけることで、ドライバーは第1〜第5領域R1〜R5の各々の凡その位置を容易に把握することが可能となり、タッチパネル20を見ずに適切な操作が可能となる。
図5は、カーオーディオ装置10の機能的構成を示すブロック図である。同図に示すように、装置本体1は、大別すると、マスターマイコン100と、ラジオ受信部110と、再生部120と、記録媒体読取部130とを備えている。なお、図示を省略しているが、この記録本体1は、車両のバッテリーに直結されたバックアップ電源と、車のキースイッチを介してバッテリーに接続されたACC電源とが接続される。
マスターマイコン100は、装置本体1の各部と、DCP15との制御を実行するものであり、ROMやRAM等の記憶媒体を内蔵しており、当該ROMには、CD再生処理やラジオ受信処理、後述する認証処理等を行うための制御用プログラム等が格納されている。また、マスターマイコン100は、装置本体1にDCP15が装着されたか否かを検出する装着検出手段としても機能する。詳述すると、マスターマイコン100は、コネクタ接点8の電圧を監視し、このコネクタ接点8とDCP15のコネクタ接点5とが係合した際の電圧変化を検出することによって、DCP15が装着されたことを検出する。なお、マスターマイコン100が装置本体1内の後述する表示マイコン152と通信を行うことによって、DCP15が装着されたことを検出してもよく、上記以外の従来方法で装着及び脱着を検出するようにしてもよい。
ラジオ受信部110は、AM/FM波のラジオ電波を受信するものであり、アンテナ111と、チューナ回路112とを備え、チューナ回路112は、マスターマイコン100の指令に基づいてラジオ電波を受信し、再生部120に出力する。
再生部120は、マスターマイコン100、ラジオ受信部110及び記録媒体読取部120の各々からの出力信号に基づいて音の再生を行うものであり、電子ボリューム回路121と、ミュート回路122と、アンプ123とを備えている。電子ボリューム回路121は、マスターマイコン100の指令に基づいて再生音量を調整すべく、入力信号をD/A変換した後に信号レベルを調整してミュート回路122に出力する。ミュート回路122は、外部サウンド装置160が装置本体1に接続された場合などにマスターマイコン100の指令に基づいてアンプ123からの再生音の信号出力を遮断するものである。アンプ123は、電子ボリューム回路121からの出力信号を所定の増幅比で増幅して外部スピーカSPに出力し音を再生させるものである。
上記電子ボリューム121には、例えば2線の同軸ケーブルからなるRCAコネクタを介して外部サウンド装置160の外部サウンドデコーダ161が接続され、この電子ボリューム121は当該外部サラウンドデコーダ161が接続されている場合に、ミュート回路122への信号出力と共に、外部サラウンドでコーダ160へも信号を出力する。
外部サラウンドデコーダ161は、電子ボリューム回路121から出力されるアナログ信号を受け取り、サラウンド効果を高めるために音響効果(例えば残響音)等を付与して外部アンプユニット162に出力するものである。外部アンプユニット162は、接続される外部スピーカSP’の数だけのアンプ回路(図示せず)を備え、外部サラウンドデコーダ161からの出力信号を増幅して外部スピーカSP’に出力する。また、外部サラウンドデコーダ161は、電子ボリューム121とデジタル光ケーブルなどで接続され、当該電子ボリューム121からデジタル信号を受け取ることも可能となっており、当該デジタル信号にドルビーデジタル信号などのサラウンド信号が含まれている場合には、その信号をデコードした後に外部アンプユニット162にアナログ信号を出力することになる。
また、外部サウンド装置160を装置本体1に接続する際には、電子ボリューム121と外部サウンドデコーダ161との接続の他に、外部サラウンドデコーダ161とマスターマイコン100とのバス接続もなされる。このバス接続は、表示マイコン152とマスターマイコン100との接続と同様に、図示せぬコネクタ接点同士の結合により行われ、このバス接続を介してマスターマイコン100と外部サラウンドデコーダ161との間で各種信号の授受が行われる。
例えば、外部サウンド装置160が装置本体1と接続されると、バス接続を介して、外部サラウンドデコーダ161からマスターマイコン100に対して、自装置の識別IDや装置の種類、外部アンプユニットの有無などの情報が出力される。マスターマイコン100は、かかる情報に基づいて、外部装置として、外部アンプユニット162を備える装置(あるいは、外部アンプユニット162の接続が必須の装置)が接続されたと判断した場合には、ミュート回路122を制御して、装置本体1内部のアンプ123からの信号出力を遮断する。
ここで、ミュート回路122がアンプ123からの信号出力を遮断する場合には、アンプ123への電源供給を遮断しアンプ123の動作を停止させるか、あるいは、アンプ123を動作させつつもアンプ123からの信号出力を遮断するかのいずれかが行われ、どちらを実行するかはマスターマイコン100により指示される。
記録媒体読取部130は、CDの読み取り、及び、メモリ(メモリカード等)の読み書きを行うものであり、DSP(Digital Signal Processor)131とメカマイコン132とを備えている。DSP131は、CD及びメモリから読み出した音楽データ等をデコードして再生部120に出力すると共に、メモリへの書込み時には、エンコードしたデータをメモリに書き込むものである。メカマイコン132は、CDのディスク回転数制御やトラッキング制御などを、図示せぬディスク回転モータの回転に同期したパルス信号及び図示せぬ光ピックアップからの信号に基づいたフィードバック制御により実行するものである。
DCP15は、上記のように、液晶パネル19とタッチパネル20と操作キー(21a、21b等)とを備える他、更に、DCP15の各部を制御する表示マイコン152と、当該表示マイコン152の指示に基づいて液晶パネル19に各種情報表示を行うLCDドライバ151とを有している。DCP15が装置本体1に装着された場合には、DCP15の表示マイコン152と装置本体1のマスターマイコン100とが上記コネクタ接点5、8により電気的に接続され、各種信号の授受を行う。例えば操作キー21の一つである操作キー21b(図2参照)が回転操作され、使用者によりボリューム調整が行われた場合には、かかる回転操作量が図示せぬロータリーエンコーダにより検出され、表示マイコン152からマスターマイコン100に送信される。この結果、マスターマイコン100は、再生音量が操作キー21bの回転操作量に応じたボリュームとなるように電子ボリューム回路121を制御することとなる。
また、表示マイコン152は、タッチパネル20の操作位置を検出する操作位置検出手段としても機能する。実施の形態では、このタッチパネル20には抵抗膜方式のタッチパネルが用いられ、その表面を手等が触れると、その接触点の位置座標に応じた電圧の信号が出力され、表示マイコン152は、その信号に基づいて接触点座標を特定する。このタッチパネル20における上記第1〜第5領域R1〜R5の各々は1枚のタッチパネル20を次のように仮想的に分割することで設定される。すなわち、タッチパネル20の図中左上端をXY原点(0、0)とし、右下端のXY座標を(255、255)とした場合に、
第1領域R1:0≦X<80、かつ、0≦Y≦255
第2領域R2:80≦X<150、かつ、0≦Y≦255
第3領域R3:150≦X<220、かつ、0≦Y≦255
第4領域R4:220≦X<255、かつ、0≦Y<128
第5領域R5:220≦X<255、かつ、128≦Y≦256
である。
かかる構成の下、使用者(運転手等)が手などでタッチパネル20をタッチした場合には、DCP15の表示マイコン152が押下点をXY座標として検出し、かかる押下点座標を装置本体1のマスターマイコン100に出力する。そして、マスターマイコン100は、表示マイコン152からの出力に基づいて、使用者により操作された箇所が上記第1〜第5領域のいずれの場所かを特定する。すなわち、マスターマイコン100は、タッチパネル20の第1〜第5領域R1〜R5のいずれが操作されたかを特定する操作特定手段としても機能する。この結果、マスターマイコン100によって、押下点座標を含む領域が操作されたとみなされ、この領域の操作に予め対応付けられた機能が実行されることとなる。
上記のように、タッチパネル20を第1〜第5領域R1〜R5といったように複数の領域に分割する際に、各々の領域が少なくとも他のいずれかの1の領域と接するように分割することで、限られたタッチパネル20の全領域において、各領域の面積を最大とすることが可能となる。これら第1〜第5領域R1〜R5の各々は、独立した1つの操作子として機能するものであり、このように各操作子を大型化することで、操作性を向上させることが可能となる。特に、カーオーディオ装置等の車載用電子機器にあっては、運転中のドライバーによって操作されることが多く、このように1つ1つの操作子を大型化することで、運転中であっても各操作子の配置箇所の識別を容易とし、車載用電子機器の操作の際に運転に支障をきたしてしまうのを防止することが可能となる。
次いでタッチパネル20の操作の実例について説明する。図7は、液晶パネル19にCD再生にかかる情報が表示されている場合の表示例を示す図である。この図に示すように、液晶パネル19において、第1領域R1に属する箇所には、CDを模式的に示した図と共に、現在再生中である場合には、再生中のCDトラック及びそのトラックの再生時間が表示される。第2領域R2に属する箇所には、再生中である場合に、再生中の楽曲のタイトルが表示される。第3領域R3には、再生中の楽曲のアーティスト名が表示されると共に、外部接続されたCDチェンジャー(不図示)に格納された複数枚のCDのいずれかを再生する場合に現在選択あるいは再生中のCDが何枚目のCDであるかが識別可能な表示がなされる。第4領域R4には、当該第4領域R4が、音量調整画面やスピーカSPの設定画面などの各種設定モードを呼び出し操作領域であることを示す「MODE」という表示がなされる。また、第5領域R5には、当該第5領域R5が、CDの切り換え操作領域であることを示す「DISC UP」という表示がなされる。
液晶パネル19にかかる表示がなされている場合に、使用者が「DISC UP」と表示されている箇所を押下すると、このときの押下点座標が表示マイコン152からマスターマイコン100に出力される。そして、マスターマイコン100は、上記第1〜第5領域R1〜R5の座標設定に基づいて押下点座標が第5領域R5に属することを特定し、CDチェンジャーに対して指示を与えるなどしてCDの切り替え制御を実行することとなる。
さて、上記のように、本実施の形態にかかるDCP15にあっては、タッチパネル20の全領域が第1〜第5領域R1〜R5といったように複数の領域に分割されているものの、液晶パネル19には、第1〜第5領域R1〜R5の各々の境界を明示する境界線などを表示せずに、各々の凡その位置を示すだけの表示を行っている。さらに、第1〜第5領域R1〜R5の各々は、領域面積を最大とすべく他の領域と必ず接するようになっている。従って、例えば、ドライバー(運転手)が運転中に手探りでタッチパネル20を操作する場合に領域間の境界付近を押下し、この押下位置によっては隣の領域に属したときに、ドライバーが意図せぬ動作が実行されてしまう。
そこで、本実施の形態にあっては、第1〜第5領域R1〜R5の各々の境界付近にデットゾーンZを設定し、押下された箇所がデッドゾーンZである場合には、その操作自体を無効なものと見なす構成となっている。
この構成について詳述には、図6に示すように、デッドゾーンZとしては、第1領域R1と第2領域R2との境界Aを含むデッドゾーンZaと、第2領域R2と第3領域R3との境界を含むデッドゾーンZbと、第3領域R3と第4及び第5領域R4、R5との境界Cを含むデッドゾーンZcと、第4領域R4と第5領域R5との境界Dを含むデッドゾーンZdが設定されている。これらのデッドゾーンZの領域幅は、第1〜第5領域R1〜R5の領域をいたずらに狭めることのないように設定されている。
この構成の下、例えば、使用者によりタッチパネル20が押下(タッチ操作)されると、表示マイコン152からマスターマイコン100に対して押下点座標(押下点座標が複数の場合はその重心座標)が出力される。そして、マスターマイコン100は、押下点座標が上記第1〜第5領域R1〜R5のいずれかの領域、あるいは、上記デッドゾーンZa〜Zdのいずれかに属するかを判断し、押下点座標がデッドゾーンZa〜Zdに属する場合には、今回の押下操作を無効とする。一方、押下点座標が第1〜第5領域R1〜R5のいずれかに属する場合には、その属する領域が操作されたと考えられるため、その領域に予め対応付けられた動作を実行することとなる。
このように、第1〜第5領域R1〜R5の各々の境界付近にデットゾーンZ(Za、Zb、Zc)が設定された構成により、使用者が境界付近を押下したために意図に反した動作が実行されてしまうのが防止される。
また、本実施の形態にあっては、上記第1〜第5領域R1〜R5のいずれかの領域が操作された場合において、さらに、その場合の操作態様の違いによって、装置本体1が実行する処理が異なるように構成されている。タッチパネル20を操作する際の操作態様としては、上記押下操作を含め、図8に示すように、次の6つの操作態様が規定されている。すなわち、短時間押下操作と、長時間押下操作と、右スライド操作、左スライド操作、右スライド操作+長時間押下操作と、左スライド操作+長時間押下操作の6つである。
具体的には、短時間押下操作は、タッチパネル20の1回の押下を素早く行う操作である。長時間押下操作は、タッチパネル20を押下した際に、しばらく押した状態を維持した後、手を離すという操作である。すなわち、短時間押下操作と長時間押下操作とは、1点を押されている時間の長さによって区別される。右スライド操作とは、タッチパネル20の表面を右方向になぞる操作であり、左スライド操作とは、左方向になぞる操作である。また、右スライド操作+長時間押下操作とは、タッチパネル20の表面を右方向になぞった後、そのまま手を放さずに、なぞった終点を長時間押下し続ける操作、または、タッチパネル20の表面を所定時間以上なぞり続ける操作である。左スライド操作+長時間押下操作は、右スライド操作+長時間押下操作におけるスライド操作方向が逆(左方向)になったものである。
前掲図8には、上記操作態様と併せ、CD再生時における操作として第1領域R1を操作した際に実行される処理を例示する。この図8に示すように、当該第1領域R1に対して短時間押下操作がなされた場合には、音源ソースの切り換え動作が行われ、例えば、短時間押下操作がなされる度に、CD→メモリ→ラジオと循環的な切り換えが行われる。また、長時間押下操作がなされた場合には、操作モードの切り替え動作が行われる。この操作モードの切り替えが行われると、タッチパネル操作の他に、タッチパネル20に併設されている各操作キーによる従来と同様な操作が可能となる。右スライド操作がなされた場合には、再生しているCDトラックを1つだけトラックアップする動作が行われ、これとは逆に、左スライド操作がなされると、再生しているCDトラックを1つだけトラックダウンする動作が行われる。また、右スライド操作+長時間押下操作がなされた場合には、押下されている間、再生しているCDトラックが順次トラックアップする動作が行われ、また、左スライド操作+長時間押下操作がなされた場合には、押下されている間、再生しているCDトラックが順次トラックダウンする動作が行われる。
ところで、このカーオーディオ装置10においては、DCP15が着脱可能であるため、使用者が車を降りる際にDCP15を取り外して持ち出せば操作不能となり、盗まれにくくなる。さらに、このカーオーディオ装置10にあっては、装置本体1だけが盗まれ、盗人が他でDCP15を取得したとしても、このカーオーディオ装置10を使用不能にすべく、DCP15の装着時に使用者の認証を行うようになされている。図9は、この認証開始処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、DCP15の装着後、初めて電源が投入された際に実行される。また、図10及び図11は、この認証開始処理時の表示画面の一例を示す図である。
まず、マスターマイコン100は、装置本体1にDCP15が装着されたか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、装置本体1にDCP15が装着された場合は、DCP15が未装着の場合に比して、装置本体1のコネクタ接点8の電圧が低くなるため、マスターマイコン100は、装置本体1のコネクタ接点8の電圧が予め定めた閾値以下か否かを判断することにより、装置本体1にDCP15が装着されたか否かを判断する。装置本体1にDCP15が未装着と判断した場合、マスターマイコン100は、ステップS1の処理に移行する一方、装置本体1にDCP15が装着されたと判断した場合、使用者に対して暗証コードの入力を促すべく、暗証コード(認証情報)の入力画面を液晶パネル19に表示させる(ステップS2)。但し、この暗証コードの入力画面では、第1〜第5領域R1〜R5を判別可能な情報以外の情報を表示し、より好ましくは、タッチパネル20の操作を要求していることさえ判別不能な情報を表示する。具体的には、図10に示すように、「SECURITY CODE?」といったメッセージだけを表示させ、この表示情報だけでは、タッチパネル20の第1〜第5領域R1〜R5の操作を要求していることを判別不能とする。
次いで、マスターマイコン100は、タッチパネル20の操作の入力待ち状態となり(ステップS3)、タッチパネル20が押下操作されると(ステップS3:YES)、その操作位置の座標を表示マイコン152から入力し、その操作領域が上記第1〜第5領域のいずれの場所かを特定し、その特定した操作領域を示す識別子をRAMの所定領域に格納する(ステップS4)。このとき、マスターマイコン100は、入力した操作の数だけ、液晶パネル19の所定領域19a、19b、19c、19d(図10参照)を順次点灯表示させる。続いて、マスターマイコン100は、入力が完了したか否か、つまり、タッチパネル20の操作回数が予め設定された暗証コードの個数(本実施形態では4個)と一致したか否かを判断し(ステップS5)、入力が完了していない場合は、ステップS3の処理に移行する。そして、入力が完了している場合は、マスターマイコン100は、RAMに格納した識別子に基づいて認証処理を実行する(ステップS6)。本実施形態では、マスターマイコン100のROMに、認証基準となる情報として、上記第1〜第5領域の操作順を示す4つの識別子が予め記憶されており、マスターマイコン100は、RAMに格納した4つの識別子の組と上記ROMに格納した識別子の組とが完全に一致するか否かを判断する認証処理を行い(ステップS7)、一致すれば認証されたと判断する。すなわち、タッチパネル20の第1〜第5領域のいずれかの操作順が予め設定された操作順と一致するか否かにより、使用者の認証を行う。
次いで、マスターマイコン100は、認証された場合、図11(A)に示すように、認証が成功したことを通知する画面を表示した後、メイン画面(例えば、図7に示すCD再生用の画面)を液晶パネル19に表示させる(ステップS8)。これに対し、認証されなかった場合は、図11(B)に示すように、認証が失敗したことを通知する画面を液晶パネル19に表示させた後、ステップS2に移行し、再び暗証コードの入力を促す。
これにより、このカーオーディオ装置10は、DCP15が装置本体1に装着された場合、使用者が認証された場合にのみメイン画面を表示し、使用者の操作に応じてCD再生やラジオ受信の処理を行う一方、認証されなかった場合は、認証コードの入力操作以外は使用者の操作を受け付けず、CD再生やラジオ受信の操作が不能となる。なお、認証処理が完了するまで、操作は受け付けるが、出力音声に対して断続的にミュートをかけたりノイズを出力させたりすることにより、機器の正常な動作を妨げるようにしてもよい。
以上説明したように、このカーオーディオ装置10においては、操作入力部であるDCP15が装置本体1に装着されると、使用者の認証を要求することにより、認証情報である暗証コードを知る正当な使用者だけが正常な状態で使用することが可能となる。これにより、正当な使用者は、DCP15を外しておけば、第三者による使用を回避することができ、例え、盗人がこの装置本体1とDCP15の両方を手に入れたとしても、暗証コードを知らない限り操作することができず、盗人による不正使用を回避することができる。従って、正当な使用者は、車外に出る時にDCP15を必ず携帯する必要はなく、例えば、DCP15をダッシュボードやトランクの中に置いてもおけばよい。
また、このカーオーディオ装置10は、使用者の認証を、一般に知られる複数桁の番号で行うのではなく、タッチパネル20の第1〜第5領域R1〜R5の操作が予め設定された操作順序と一致するか否かにより行うので、盗人等は、どのようにして認証情報(暗証コード)を入力するのか戸惑い、認証情報の入力をあきらめることとなる。特に、本実施形態では、タッチパネル20であることや操作部である第1〜第5領域R1〜R5の境界といった情報を非明示とし、かつ、液晶パネル19にもその種の情報は表示させないことによって第1〜第5領域R1〜R5の配置を非明示状態とし、これにより、正当な使用者以外が認証情報を入力することがより困難となっている。この結果、盗人はこのカーオーディオ装置10の操作をあきらめ、以後は盗難を避けるといった盗難抑止効果を奏することとなる。
なお、上述した実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。例えば、上述した実施形態では、タッチパネル20に抵抗膜方式のタッチパネルを使用する場合について説明したが、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式等の他の方式のタッチパネルを使用してもよい。また、上述した実施形態では、パネル20を一枚のタッチパネルで構成する場合について述べたが、必ずしも一枚のタッチパネルで構成する必要はない。例えば、第1〜第5領域R1〜R5の境界を明示しない範囲で、第1〜第5領域R1〜R5をそれぞれ別々のタッチパネルで構成してもよい。この場合、各タッチパネルを間隔を空けて配置することができ、操作部の位置を自由に設定することもできる。
また、上述した実施形態では、さらに、このカーオーディオ装置10が車両から取り外された場合のように、バッテリーからの電力が供給されなくなった場合にも使用者の認証を行うようにしてもよい。この場合、車両のバッテリーに直結されたバックアップ電源等の外部電源との接続を検出する電源検出回路(電源検出手段)を設け、上記認証開始処理のステップS1に代えて、マスターマイコン100が、この電源検出回路によって外部電源から電力が供給されなくなった後に電力が供給されたか否かを判定し、電力が供給された後の最初の電源投入時にステップS2移行の処理を実行すればよい。これにより、このカーオーディオ装置10が盗まれて別の車に取り付けられた場合に、盗人による使用をより確実に防止することができる。
さらに、上述の実施形態では、タッチパネルの操作順を認証情報として認証を行う場合について述べたが、指紋や虹彩等の生体情報を認証情報として認証を行うようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、本発明をカーオーディ装置に適用する場合について説明したが、それ以外のカーナビゲーション等の車載用電子機器や、車載以外の電子機器に適用してもよい。