JP4235143B2 - 水性樹脂組成物及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、水性樹脂組成物及びその用途に関し、より詳細には、耐ブロッキング性と耐凍害性との双方に優れた塗膜等を形成し得る水性樹脂組成物及びその用途に関する。
従来から、有機溶媒の大気中放出等による環境問題を回避するために、溶剤系塗料に代えて、水溶性樹脂又はエマルション等の水分散型樹脂を用いた水系塗料が適用されている。しかし、水系塗料は、水を媒体とすることに起因して溶媒系塗料に比較して乾燥性、耐水性、耐候性等の塗膜耐久性や仕上がり外観等が劣るとともに、塗膜硬度の向上が困難であるという課題があった。
これに対して、異種のエマルションを組み合わせたり(例えば、特許文献1参照。)、特定の架橋剤を添加する(例えば、特許文献2及び3参照。)等によって、仕上がり外観や耐水性等の塗膜耐久性の向上が図られている。
一般に、塗料を用いて塗膜を形成した際、その貯蔵中又は使用中に圧力を受けることによって、塗膜とこれに接触する層とが粘着する現象、いわゆるブロッキング性により、塗膜の外観や耐久性を損なうことがある。このようなブロッキング性を防止するためには、塗膜をより硬い皮膜に仕上げることが必要となる。一方、低温及び高温でのサイクルでの塗膜の耐久性を向上させるためには、塗膜に可撓性が要求される。したがって、急激な温度変化にかかわらず、長期にわたって塗膜の耐久性を得るためには耐ブロッキング性と、いわゆる耐凍害性とを両立させることが重要となる。
特開2001−200181号公報 特開2001−19721号公報 特開平5−295275号公報
しかし、両者はトレードオフの関係にあり、双方の特性を両立させることは困難であり、実現に至っていないのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、耐ブロッキング性と耐凍害性とを兼ね備え、過酷な温度サイクルが存在する状況下においても、長期にわたって耐久性を確保することができる水性樹脂組成物、及び、その用途を提供することを目的とする。
本発明にかかる水性樹脂組成物は、アクリル系樹脂エマルションと架橋剤とを必須とする水性樹脂組成物であって、
前記アクリル系樹脂エマルションの含有割合が水性樹脂組成物全体に対し10〜97重量%、前記架橋剤の含有割合がアクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂に対し固形分基準で0.5〜40重量%の割合であり、
前記エマルション中のエマルション粒子を構成するアクリル系樹脂、2種以上のアクリル系樹脂からなり、該2種以上のアクリル系樹脂のうち少なくとも2種が30℃以上のガラス転移温度差を有するものであるとともに、該温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂のうちガラス転移温度が高い方のアクリル系樹脂を、アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂全体に対し固形分基準で10〜80重量%の割合で含有するものであり、
前記架橋剤がオキサゾリン基を含有する化合物を必須とする
ことを特徴とする。
発明にかかる水性樹脂組成物は、上記において、
前記ガラス転移温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂うちの少なくとも1種のガラス転移温度が80℃以上であることができ
前記エマルション中のアクリル系樹脂が、炭素数4〜10のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数6〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種又は2種以上のアクリル系の重合性単量体を用いての重合により得られたものであることができ、
前記アクリル系樹脂エマルションが、単量体を多段に分けて乳化重合して得られる多段重合体エマルションを含むものであることができる。
さらに、前記乳化重合は、一段目の単量体成分が80重量%以上重合した後に二段目の重合を行うようにする二段重合であることができ、一段目の重合終了後、中和を行い、その後、二段目の重合を行うようにする二段重合であることができる。
本発明にかかる塗膜は、上記水性樹脂組成物によって成膜され、
前記アクリル系樹脂に由来するアクリルユニットと、前記アクリル系樹脂とオキサゾリン基の架橋反応に由来するアミドエステル結合ユニットとが含有されてなる
本発明にかかる建材は、基材上に、上記本発明にかかる塗膜を有してなる。
本発明によれば、アクリル系樹脂エマルションと架橋剤とを必須とする水性樹脂組成物によって、この水性樹脂組成物を塗料等として用いた場合において、仕上がり外観や耐水性等の塗膜耐久性の向上を図るとともに、特に、トレードオフの関係にある耐ブロッキング性と耐凍害性との双方の物性を両立させることができ、より硬い皮膜に仕上げることが可能となり、さらに低温及び高温でのサイクルでの塗膜の耐久性を向上させることができ、ひいては、急激な温度変化にかかわらず、さらに長期にわたって塗膜の耐久性を得ることが可能となる。
特に、アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂が、2種以上のアクリル系樹脂からなり、この2種以上のアクリル系樹脂のうち少なくとも2種が30℃以上のガラス転移温度差を有する場合や、さらには、上記ガラス転移温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂うちの少なくとも1種のガラス転移温度が80℃以上である場合には、上述の効果をさらに増大させることができる。
また、架橋剤がオキサゾリン基を含有する化合物を必須とする場合には、上述の効果をさらに確実にすることが可能となる。
さらに、本発明の水性樹脂組成物を塗膜や建材に用いる場合には、その適用範囲を増大させることができ、つまり、過酷な条件下でも長期間にわたって利用することができ、より、信頼性が高く、高寿命化を図った塗膜や建材を得ることが可能となる。
以下、本発明にかかる水性樹脂組成物およびその用途について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔水性樹脂組成物〕
本発明にかかる水性樹脂組成物は、前述したように、アクリル系樹脂エマルションと架橋剤とを必須の構成成分とする樹脂組成物である。以下では、まず、これら必須構成成分について詳しく説明し、引き続き、その他の構成成分、水性樹脂組成物について説明する。
(アクリル系樹脂エマルション)
本発明の水性樹脂組成物の必須構成成分であるアクリル系樹脂エマルションは、アクリル系樹脂のエマルション粒子と水性媒体とを含んでなる。
本発明においてアクリル系樹脂とは、メタクリル系樹脂をも包含するものであり、アクリル及びメタクリルを一括して(メタ)アクリルという表現を用いる場合がある。
本発明の水性樹脂組成物におけるアクリル系樹脂エマルションの製造に用い得るアクリル系単量体としては、それを用いての重合により得られるアクリル系樹脂がエマルション粒子を構成することができるものであれば特に限定されるものではなく、公知のアクリル系単量体のいずれを用いることもできる。
上記アクリル系単量体としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数4〜20のシクロアルキル(メタ)アクリレート;
アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の炭素数3〜20のアラルキル(メタ)アクリレート;
4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−アセトキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−アセトキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルシクロヘキシルアルキルエステル;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン付加物であるPlaccelFA−1、PlaccelFA−4、PlaccelFM−1、PlaccelFM−4(以上、ダイセル化学(株)製)、(メタ)アクリロキシポリオキシアルキレン等の水酸基含有アクリル系単量体;
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物;
(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロキシエチルスルホン酸等の酸性基含有(メタ)アクリレート;
不飽和カルボン酸、酸性基含有(メタ)アクリレートの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など);
無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;
イソシアネート基含有化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物等であるウレタン結合を含むウレタン(メタ)アクリレート化合物;
γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリレート基含有オルガノポリシロキサン等の(メタ)アクリル基含有シリコーンマクロマー;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の塩基性不飽和単量体類;
2−スルホン酸エチル(メタ)アクリレートおよびその塩等の不飽和スルホン酸類;
(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物;
t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニルエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレートなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体;
4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のピペリジン系重合などの光安定性基を有する重合性単量体;
2−ヒドロキシ−4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合性単量体;2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系重合性単量体などの紫外線吸収基を有する重合性単量体
等の1種または2種以上が挙げられる。
上記列挙したアクリル系単量体のなかでも、炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数4〜20のシクロアルキル(メタ)アクリレートが、耐水性及び耐候性等の観点から好ましく、炭素数4〜10のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数6〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数4〜6のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数6〜8のシクロアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。また、さらに光安定性基を有する重合性単量体を用いることが好ましい。なお、これらアルキル(メタ)アクリレート及びシクロアルキル(メタ)アクリレートは、上述したアクリル系単量体に組み合わせて用いてもよいが、アルキル(メタ)アクリレート及びシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上、さらに2種以上を用いることが最も好ましい。例えば、アルキル(メタ)アクリレート及び/又はシクロアルキル(メタ)アクリレートは、全重合性単量体の合計使用量に対して5〜60重量%、10〜50重量%、さらに20〜40重量%で用いることが好ましい。また、光安定性基を有する重合性単量体を用いる場合は、全重合性単量体の合計使用量に対して0.1〜10重量%、さらに0.5〜5重量%含有させることが好ましい。
同様に、上記列挙したアクリル系単量体のなかでも、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸無水物;酸性基含有(メタ)アクリレート;これら不飽和カルボン酸や酸性基含有(メタ)アクリレートの塩;不飽和カルボン酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;といった酸基含有単量体が、架橋剤との反応性の高い官能基を有する点で好ましく、より好ましくは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸無水物;酸性基含有(メタ)アクリレート、さらに好ましくは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸無水物である。酸基含有単量体を用いる場合、その使用量は、全重合性単量体の合計使用量に対し0.1〜10重量%とすることが好ましく、より好ましくは0.3〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。
特に、本発明で用いるアクリル系樹脂エマルションに関しては、該エマルション中のアクリル系樹脂が、2種以上のアクリル系樹脂からなり、該2種以上のアクリル系樹脂のうち少なくとも2種が30℃以上のガラス転移温度差を有するものであることが好ましい。ここで、ガラス転移温度(Tg(℃))とは、下記式(1)で示されるFox式により算出したTg(K)から換算した値を意味する。ただし、このFox式が適用できない場合には、含有されるアクリル系樹脂を単独で用いて形成させた塗膜の示差走査熱量測定(DSC)による実測値を、ガラス転移温度(Tg(℃))としてもよい。
Figure 0004235143
(式(1)中、Wは各共重合成分の重量分率(重量%)、Tgは各共重合成分のホモポリマーのTg[K:絶対温度]を表す。)
前記ガラス転移温度差は、前述のように、30℃以上であることが好ましいが、より好ましくは35℃以上であり、さらに好ましくは40℃以上、特に好ましくは65℃以上、最も好ましくは95℃以上である。前記ガラス転移温度差が30℃未満であると、塗膜の伸び率が低下し、耐凍害性が損なわれるおそれがある。
前記ガラス転移温度差については、さらに、該温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂うちの少なくとも1種のガラス転移温度が80℃以上であることが、耐ブロッキング性を容易に発現させたり向上させたりする点で好ましい。より具体的には、上記温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂うちの少なくとも1種のガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは95℃以上、特に好ましくは105℃以上、最も好ましくは115℃以上であり、かつ、上記少なくとも1種以外のアクリル系樹脂の少なくとも1種のガラス転移温度が、好ましくは50℃以下、より好ましくは45℃以下、さらに好ましくは35℃以下、特に好ましくは20℃以下、最も好ましくは15℃以下である。
アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂が、2種以上のアクリル系樹脂からなり、該2種以上のアクリル系樹脂のうち少なくとも2種が上述したガラス転移温度差を有するものである場合は、該温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂うちガラス転移温度が高い方のアクリル系樹脂が、アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂全体に対し固形分基準で10〜80重量%で用いられることが好ましく、10〜50重量%で用いられることがより好ましい。
本発明で用いるアクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))、すなわち該エマルション中のアクリル系樹脂全体での見かけのガラス転移温度は、限定はされないが、10℃以上であることが好ましく、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上である。ここで、該エマルション中のアクリル系樹脂が、前述したように2種以上のアクリル系樹脂からなる場合は、上記ガラス転移温度(Tg(℃))は、各アクリル系樹脂のガラス転移温度(℃)をTg、Tg、・・・、Tgとし、それらのアクリル系樹脂全体中の含有割合(重量分率:重量%(固形分基準))をX、X、・・・、Xとしたときに、下記式(2):
Figure 0004235143
(式(2)中、Xは各アクリル系樹脂の重量分率、Tgは各アクリル系樹脂のTg(℃)を表す。)
により求められる値であるとする。
上記ガラス転移温度(Tg(℃))の値が大きければ、より硬度の高い塗膜を形成し得ること、ひいては耐ブロッキング性に優れた塗膜が得られることを示す。本発明の水性樹脂組成物においては、後述するように、上記ガラス転移温度(Tg(℃))は、得られる塗膜の伸び率(E(%))とともに特定の式に代入することにより求められる値が、特定の範囲を満たすことが重要である。
アクリル系樹脂エマルションは、当該分野で公知の重合方法、例えば水性媒体中での乳化重合によって製造することができる。なお、重合する場合には、当該分野で公知の添加剤、例えば、乳化剤、重合開始剤等を用いてもよい。
水性媒体としては、水や、水と親水性溶媒との混合溶液であれば特に限定されず、該混合溶液としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ターシャリーブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、アセトンおよびメチルエチルケトン等と水との混合溶液等が挙げられる。これら水性媒体は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
乳化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤等を使用することができる。乳化剤は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルフォネート、ナトリウムドデシルスルフォネート等のアルキルスルフォネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルフォネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルフォネート等のアルキルアリールスルフォネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレート等の脂肪酸塩;等が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリアミド;エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物;等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウム塩;等が挙げられる。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤;等が挙げられる。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール; ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレート等のポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;またはこれらの重合体を構成する重合性単量体のうちの1種以上を共重合成分とする共重合体;等が挙げられる。
なかでも、特に耐水性を重視する場合には、重合性基を有する乳化剤を使用するのが好ましい。重合性基を有するアニオン性乳化剤としては、例えば、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫酸エステル塩、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンサルフェート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォオネート塩、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルサルフェート塩、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンの硫酸エステル塩やアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンの硫酸エステル塩等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)等が挙げられる。重合性基を有するノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、特に限定されないが、塗膜の耐水性及び重合安定性の双方を低下させない観点から、例えば、全重合性単量体の合計使用量に対して0.5〜5重量%、さらに1〜3重量%が好ましい。
重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の過酸化物;等が挙げられる。重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、重合速度が遅くなって未反応の重合性単量体が残存すること、形成される塗膜の耐水性が低下しないことを考慮して、全重合性単量体の合計使用量に対して0.05〜1重量%、さらに0.1〜0.5重量%が好ましい。重合開始剤の添加方法は、一括添加、分割添加、連続滴下等適宜選択することができる。
なお、乳化重合の際には、重合開始剤の分解を促進する目的で、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤や硫酸第一鉄等の遷移金属塩を添加してもよい。また、必要に応じて、pH緩衝剤、キレート剤、連鎖移動剤、成膜助剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
重合(例えば、乳化重合)の条件、つまり、重合温度、重合時間、攪拌速度、雰囲気等は、特に限定されるものでなく、反応器の種類、スケール等に応じて適宜設定することができる。具体的には、重合温度については、使用する重合開始剤や重合性単量体の種類を考慮して決定すればよく、40〜95℃の範囲が好ましい。重合時間は短いほど工業的に簡便であるが、重合速度や安全性を考慮すると、2〜8時間の範囲が好ましい。重合時の雰囲気については、重合開始剤の効率を高めるため窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが一般的である。
本発明においては、アクリル系樹脂エマルションは、例えば、固形分(不揮発性分)が10〜90重量%、10〜60重量%、さらに30〜60重量%であることが適当である。
アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂が、2種以上のアクリル系樹脂によって構成される場合には、各アクリル系樹脂の製造温度以下の通常の温度範囲、通常の攪拌装置での混合によって調製することができる。例えば、一方のエマルションの重合を完了した後、その反応器に別に重合した他方のエマルションを添加し、反応器中で攪拌することにより調製することができる。また、単量体を多段に分けて重合する多段重合によって調製してもよい。例えば、一方のアクリル系樹脂の単量体成分を公知の方法で重合し、得られた重合体成分の存在下で他方のアクリル系樹脂の単量体成分を用いて、2段目(又はそれ以降)の重合を行う方法が挙げられる(例えば、特公平6−19059号参照)。なお、1段目に、単量体成分の80重量%以上、好ましくは90重量%以上を重合させた後、2段目(又はそれ以降)の重合を行わせることが適当である。
(架橋剤)
本発明における架橋剤は、水性樹脂組成物の乾燥過程で、架橋剤に含まれる化合物に含有される反応性基が網目構造を生成し、組成物を架橋させる作用を有するものであり、このように作用し得る化合物であれば、特に限定されず、いかなる化合物をも用いることができる。例えば、2以上の反応性基を有する化合物が挙げられ、1分子中に2以上の反応性基を有する化合物であっても、1分子中に1以上の反応性基を有するモノマー由来の繰り返し単位を有する化合物(つまり、重合体又は共重合体)であってもよい。架橋剤が重合体又は共重合体である場合には、架橋剤は、例えば、反応性基を有するビニル樹脂等の、あるいは反応性基を有する化合物とビニル樹脂等との乳化重合又は懸濁重合等の公知の方法によって製造することができる。なお、架橋剤は、水及び/又は有機溶媒中に溶解した状態であっても、粒子状であっても、水性溶媒に分散した状態であってもよい。
架橋剤としては、架橋性を発揮させ得る反応性基を含有する公知の各種化合物が挙げられ、上記反応性基としては、例えば、水酸基;カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの酸性官能基;エポキシ基;加水分解性シリル基;シラノール基;活性カルボニル基;オキサゾリン基;イソシアネート基等の種々のものが挙げられる。なかでも、架橋剤は、オキサゾリン基含有化合物を必須とすることが好ましい。オキサゾリン基含有化合物を架橋剤として用いる場合、前述したアクリル系樹脂エマルションとしては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に代表される(メタ)アクリル酸等の単量体により得られる樹脂のエマルションが、架橋剤との反応を容易に進行させ得る点で好ましい。
架橋剤としては、具体的には、
アクリルポリオール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂(ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル等)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(プラクセルFシリーズ、ダイセル化学工業(株)製)、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を用いて得られる水酸基含有化合物;
無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等に代表される不飽和多塩基酸あるいは無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸等に代表される飽和多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等に代表される多価アルコール成分とを縮合重合して得られるカルボキシル基を有するポリエステル及び多価カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、カルボキシル基末端カプロラクトン変性アクリレート(プラクセルFAシリーズ、ダイセル化学工業(株)製)、カルボキシル基末端カプロラクトン変性メタクリレート(プラクセルFMAシリーズ、ダイセル化学工業(株)製);アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムなどのカルボキシル基含有化合物の金属塩やアミン塩等のカルボキシル基含有化合物;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などを用いて得られるスルホン酸基含有化合物;
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェートなどを用いて得られるリン酸エステル含有の化合物;
2〜10個、特に4〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸ヒドラジド(例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド)、2〜4個の炭素原子を有する脂肪族水溶性ジヒドラジン(例えばエチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン等)等を用いて得られるヒドラジノ基含有化合物;
トリアジンチオール等のチオール基含有化合物;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(CYCLOMER A200、ダイセル化学工業(株)製)、α−メチルグリシジルメタクリレート(M−GMA、ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(CYCLOMER M100、ダイセル化学工業(株)製)等を用いて得られるエポキシ基含有化合物;
アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート類や、チタン、ジルコニウム、銅、コバルト、亜鉛等のアセチルアセトン化合物類や、ポリアミン等のアンモニア配位化合物類等の金属キレート化合物;
2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2'−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−エチレン−ビス−(4,4'−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2'−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2'−m−フェニレン−ビス−(4,4'−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等を用いて得られるオキサゾリン基含有化合物;
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)、メタクリロイルイソシアネート(MAI、日本ペイント(株)製)、m−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI、武田薬品工業(株)製)等を用いて得られるイソシアネート基を含有する化合物;
トリメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、(水添)トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、(水添)キシリレンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族もしくは芳香族ポリイソシアネート化合物;
これらのポリイソシアネート化合物の末端に、カプロラクタムなどのカプロラクトン類、フェノールなどのフェノール類、三級アルコールなどのアルコール類、オキシム等を反応させたブロックイソシアネート化合物;
メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、ヘキサメトキシメラミン樹脂、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルエーテル化シクロヘキシルベンゾグアナミン樹脂およびこれらの水溶化物等のアミノプラスト樹脂;
カルボジライトV−02(日清紡績(株)製)、カルボジライトV−04(日清紡績(株)製)、カルボジライトV−06(日清紡績(株)製)、カルボジライトE−01(日清紡績(株)製)、カルボジライトE−02(日清紡績(株)製)等のカルボジイミド基含有化合物;
ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、ポリオキシプロピレントリアミン等の直鎖脂肪族ポリアミン類や、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の環状アミン類等のポリアミン化合物又はアミノ基含有化合物;
アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ホルミルスチロールや、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等)等を用いて得られる活性カルボニル基含有化合物;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、2―エチルヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ−i−プロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(アミノエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、AFP−1(信越化学工業(株)製)、QP8−5314(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)等のアルコキシシラン;ジフェニルシランジオール、SH−6018(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)等、これらの混合物又は加水分解縮合物等を用いて得られるシラノール化合物
等が挙げられる。
これら架橋剤は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
架橋剤は、アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂に対し固形分基準で0.5〜40重量%で用いられることが好ましく、架橋剤が水性樹脂の場合には、アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂に対し固形分基準で0.5〜30重量%で用いられることが好ましい。
なかでも、架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物を必須に用いる場合は、アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂が有するカルボキシル基に対する、オキサゾリン基含有化合物が有するオキサゾリン基の当量比が、0.1〜5であることが好ましく、より好ましくは0.25〜3、さらに好ましくは0.5〜2である。上記当量比が0.1未満であると、硬化が不十分で塗膜の耐水性や耐久性等が得られないおそれがあり、5を超えると、水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下するおそれがある。
(その他の構成成分)
本発明の水性樹脂組成物は、上述した必須構成成分以外に、その他の構成成分として、当該分野で公知であって、この発明の目的を損なわない添加物を任意に含有していてもよい。添加物としては、例えば、無機または有機の充填剤、顔料・染料、紫外線吸収剤、安定化剤、溶剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、防腐防カビ剤、防錆剤、乳化剤、pH調整剤、成膜助剤等が挙げられる。一例として、本発明の水性樹脂組成物を塗料として使用する際に用いられる充填剤としては、長石、硅砂、硅石、寒水石、ガラスビーズ、合成樹脂ビーズ等の透明骨材;大理石粉、御影石粉、蛇紋粉、螢石、着色硅砂粉、有色陶磁器粉等の着色骨材;炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、マイカ、クレー、珪藻土、パライト、水酸化アルミニウム等の体質顔料;ポルトランドセメント、酸化亜鉛等が挙げられる。顔料・染料としては、カーボンブラック、弁柄、黄華等の無機系着色顔料;キナクドリン系、フタロシアニン系、β−ナフトール系、溶性アゾ、不溶性アゾ顔料等の有機系着色顔料等が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)スクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)セバケート等が挙げられる。なお、その他の添加物は、当該分野で公知のものが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(水性樹脂組成物)
本発明の水性樹脂組成物は、前述したように、アクリル系樹脂エマルションと架橋剤とを必須とする組成物であるが、この水性樹脂組成物を用いて塗膜を形成した際の塗膜の伸び率(E(%))と、前記エマルション中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))とが下記式:
2×Tg+E>200
を満たすものであることが重要であり、好ましくは上記式中の「2×Tg+E」の値が、205以上、より好ましくは210以上、さらに好ましくは220以上である。上記式中の「2×Tg+E」の値が上記範囲を満たすことにより、得られる塗膜をより硬い膜にすることができるとともに、十分な可撓性を有する塗膜にすることができ、塗膜の耐ブロッキング性と耐凍害性という一般的にはトレードオフの関係にある双方の物性の両立を、容易に実現することができる。
ここで、塗膜の伸び率(E(%))は、水性樹脂組成物を乾燥させて得られた塗膜(厚さ100〜150μm)についての、0℃空気雰囲気下での引っ張り試験機による測定値から算出される値であり、具体的には、後述する実施例に記載の試験方法・算出方法により求められる値であるとする。上記伸び率が大きいことは、より可撓性に優れた塗膜が得られること、ひいては耐凍害性に優れた塗膜が得られることを示す。本発明の水性樹脂組成物に関しては、上記伸び率は、限定はされないが、40%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上、さらに好ましくは150%以上である。
アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))は、前述したアクリル系樹脂エマルションの説明において定義したとおりである。
さらに、本発明の水性樹脂組成物は、この水性樹脂組成物を用いて塗膜を形成した際に、塗膜の耐ブロッキング値(α)(以下、α値と称する。)が5.0以上であり、かつ、該水性樹脂組成物の乾燥物の熱軟化温度(TMA(℃))と、前記塗膜の耐凍害性(M(クラックレス限界サイクル数))と、前記α値とを用いた式:
TMA・α・M/1000
により算出される値(β)(以下、β値と称する。)が60以上であることが好ましく、以下順に、62以上、64以上、65以上、68以上、70以上、75以上であることがより好ましい。
上記β値とは、塗膜の耐ブロッキング性と耐凍害性という一般的にはトレードオフの関係にある双方の物性の両立の程度の指標となる値であり、その値が高いほど、塗膜の耐ブロッキング性と耐凍害性との双方の物性に優れていることを示す。
この場合の塗膜は、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、アプリケータ、ロールコーター、バーコーター、カーテンフローコーター、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布・形成することができる。塗膜の膜厚は、用いるアクリル系樹脂及び架橋剤の種類、媒体の種類、量、環境条件等に応じて適宜調整することができ、例えば、乾燥後の膜厚として、1〜200ミクロンが適当であり、さらに10〜100ミクロンが好ましい。
ここで、塗膜のα値は、塗膜の耐ブロッキング性についての指標となる値であり、種々のパラメータ、例えば、塗膜の乾燥温度(T:℃)、塗膜に積載された荷重(L:g/cm2)、塗膜乾燥時間(t:分)及び荷重時の温度(TL:℃)等を考慮して求めることができる。具体的には、本発明の水性樹脂組成物を基体上に塗布して、所定の温度で塗膜を乾燥させ、得られた塗膜上の一部に荷重することができる方法(例えば、ガーゼ、糸、エアーキャップ等を介在させ、錘を載置する方法等)にて、塗膜上に所定の温度で、所定の時間、所定の荷重を負荷し、その後の塗膜表面のダメージの程度を観察し、塗膜表面にダメージがほぼ認められない又は全く認められない場合のパラメータにより求めることができる。さらに具体的には、塗膜を、10〜100ミクロンとなるように塗布し、50〜150℃の温度範囲で、5〜30分間乾燥させ、得られた塗膜上にガーゼ(日本薬局方収載品)、エアーキャップ等及び50〜250gの荷重を、5〜30分間、30〜80℃の雰囲気下で積載した後、荷重及びガーゼ、エアーキャップ等を除去して、塗膜表面のダメージを観察し、ダメージがほぼ認められない、好ましくは全く認められない場合のパラメータにより求める方法が挙げられる。なお、荷重は、塗膜の単位面積あたりの重さで表される。また、ダメージがほぼ認められない又は全く認められないとは、塗膜表面のつやが変化しないこと、あるいは外観が変化しないことを意味し、より詳細には、ガーゼの繊維の交点又はエアーキャップ等の痕が塗膜表面に認められないことを意味する。
一例として、α値は、下記計算式:
L・TL/T・t
(式中、塗膜表面にダメージがほぼ認められない、好ましくは全く認められない場合の、Tは塗膜の乾燥温度(℃)、Lは塗膜に積載された荷重(g/cm)、tは塗膜乾燥時間(分)及びTLは荷重時の温度(℃)を示す)
によって算出される値のうちの最大値として求めることができるが、本発明でいう塗膜のα値は、後述する実施例に記載の試験方法・算出方法により求められる値であるとする。
α値は、その値が大きいほど耐ブロッキング性が向上する。したがって、5.0以上であることが好ましく、以下順に、5.1以上、5.2以上、5.3以上、5.4以上、5.5以上、6.0以上、6.2以上、6.4以上、6.5以上であることがより好ましい。
塗膜の耐凍害性(M)は、塗膜が凍結融解サイクルに付された場合の、塗膜のクラックレス限界サイクル数として表わすことができる。クラックレス限界サイクル数は、塗膜にクラックが入らない最大のサイクル数として表わすことが好ましいが、10、20、30又は50サイクル毎に塗膜の状態を観察した値として表してもよい。凍結融解サイクルに付す方法としては、例えば、ASTM(米国材料試験協会:American Society for Testing and Materials)規格におけるC666−97に準じた方法が挙げられる。具体的には、凍結融解サイクルは、30〜50℃の温度差を有する「空気中−空気中」、「水中−水中」又は「空気中−水中」の雰囲気下にて、1〜10時間/1サイクルで実施することができる。さらに具体的には、−20℃の空気中で2時間、20℃の水中で2時間のサイクル(計4時間)が挙げられる。なお、塗膜の耐凍害性は、塗膜を十分乾燥等させ、基材に固定して安定した状態にした後で試験することが好ましい。
上記耐凍害性は、そのクラックレス限界サイクル数が大きいほど、耐凍害性が向上する。したがって、150以上であればよく、160以上、170以上、180以上、200以上、230以上、250以上がより好ましい。
水性樹脂組成物の乾燥物の熱軟化温度(TMA(℃))とは、当該分野で公知の方法、例えば、水性樹脂組成物を用い乾燥させて乾燥塗膜を形成した後、該塗膜表面に、所定の太さの針を介して所定の荷重を負荷し、雰囲気温度を所定の速度で昇温させた場合の針の該塗膜への挿入温度等を測定する方法が挙げられる。具体的には、針の太さが0.3〜1.0mm(直径)、塗膜の厚さ100〜500ミクロン、荷重が10〜50g、昇温速度1〜10℃/分の条件が挙げられる。なお、該塗膜への針の挿入温度の測定は、種々の方法で行うことができ、例えば、針の移動距離(塗膜表面から針先までの距離)を測定し、移動距離を示す曲線の最大カーブにおけるカーブ開始点とカーブ終了点とから接線をひき、それらの交点を算出する方法等が挙げられる。
〔水性樹脂組成物の用途〕
本発明の水性樹脂組成物は、例えば、建材用塗料又は建材用エマルションとして用いることができる。なかでも、工場内において強制乾燥工程を備えた塗布工程において用いられる工業用塗料等として、特に好適である。
本発明にかかる塗膜は、前述したように、上記本発明の水性樹脂組成物を塗料として用い、成膜されてなる塗膜である。このように、特定の水性樹脂組成物を用いることにより、本発明の塗膜は、前述した種々の特性を有し得る塗膜となるが、なかでも特に、耐ブロッキングの指標となるα値が5.0以上であり、かつ、耐凍害性の指標となるクラックレス限界サイクル数(M)と、塗料として用いた水性樹脂組成物の乾燥物の熱軟化温度(TMA(℃))と、前記α値と、を用いた式:
TMA・α・M/1000
により算出されるβ値が60以上であることが重要である。ここで、上記式における各種パラメータに関しては、前述した説明が同様に適用できる。
本発明の塗膜は、例えば、スレート板、フレキシブルボード、セメントスラグ抄造板、セメントスラグ成形板、硬質木片セメント板、押出成形セメント板、金属板、ブラスチック板、セラミック板、木板、金属部品鋼板等の基材上に本発明の水性樹脂組成物を塗布することにより得られる。
本発明にかかる建材は、前述したように、基材上に上記本発明の塗膜を有する建材としての材料である。すなわち、基材が上記本発明の塗膜により被覆されてなる材料である。
本発明の建材は、例えば、アルカリ無機窯業系建材、金属建材等として用いることができる。本発明の建材においては、本発明の塗膜は、一般に、上塗り層として使用されるものであり、基材上に直接有していてもよいし、シーラー層、中塗り層等、間に1層又は2層以上の塗膜が介在していてもよい。なかでも、基材上にシーラー層、中塗り層を順次有し、その上に本発明の塗膜を有する形態が好ましい。ここで、シーラー、中塗り塗料としては、水系、溶剤系のアクリル、ポリエステル等が用いられ、熱硬化及び熱可塑のいずれのタイプであってもよい。熱硬化タイプの場合には、架橋剤としてメラミン、イソシアナート等が用いられる。
本発明の塗膜及び建材は、塗膜において、アクリルユニットと、オキサゾリン基及び/又はアミドエステル結合ユニットとが含有されていることが好ましい。このことは、塗膜を形成したり建材を作製するために、塗料となる樹脂組成物として、上述した本発明の水性樹脂組成物を用いていることを意味する。
以下に、本発明の水性樹脂組成物及びその用途について、実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下に示す「%」は重量基準である。
〔製造例1−1〕アクリル系樹脂エマルションの製造
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水76.8gを仕込んだ。
また、滴下ロートにおいて、アクアロンHS−10の25%水溶液4.0g、アクアロンRN−20の25%水溶液4.0g、脱イオン水5.8g、メチルメタクリレート(Tg:105℃)22.0g、n−ブチルメタクリレート(Tg:20℃)7.0g、アクリル酸(Tg:95℃)1.0gからなる一段目のプレエマルションを調製し、そのうち、トータルモノマー量の5%にあたる7.3gをフラスコに添加し、緩やかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に75℃まで昇温した。
昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液を6.0g添加し、重合を開始した。このときに反応系内を80℃まで昇温し、10分間維持した。ここまでを初期反応とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、調製した一段目のプレエマルションの残りを50分間にわたって均一に滴下した。滴下後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で30分間維持し、一段目の重合を終了した。
次いで、25%アンモニア水を0.9g添加し、同温度で10分間攪拌した。引き続いて、アクアロンHS−10の25%水溶液2.0g、アクアロンRN−20の25%水溶液2.0g、脱イオン水23.2g、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)26.0g、メチルメタクリレート(Tg:105℃)22.0g、n−ブチルメタクリレート(Tg:20℃)22.0gからなる二段目のプレエマルションを130分間にわたって均一に滴下した。滴下後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で30分間維持し、二段目の重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却し、その後、100メッシュの金網でろ過して、固形分43.8%、粘度600mPa・s、pH9.0、MFT(最低造膜温度)30℃のアクリル系樹脂エマルション(e1)を得た。なお、該エマルション(e1)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、15℃であった。
ここで、アクリル系樹脂エマルションの固形分は、該エマルション約1gを秤量し、熱風乾燥機で105℃にて1時間乾燥し、乾燥後の残部の重量を乾燥前重量に対する比率として重量%で表示したものである。
アクリル系樹脂エマルションの粘度は、BM型粘度計(東京計器(株)製)により30/分、25℃にて測定した。粘度測定時には、粘度に応じてロータを選定した。
アクリル系樹脂エマルションのpHは、pHメータ(F−23:堀場製作所(株)製)により25℃での値を測定した。
アクリル系樹脂エマルションのMFTは、熱勾配試験機(テスター産業社製、製品名:MFTテスター)上に置いたガラス板の上に、0.2mmのアプリケータによって、該エマルションを塗装し、上記試験機により加熱(および必要に応じ冷却)して塗膜を乾燥させ、その塗膜にクラック等が生じず良好に成膜されるかどうかを、目視により確認することで測定した。具体的には、上記試験機による塗膜への加熱等は、10〜60℃または50〜100℃の温度範囲で、4cm間隔毎に5℃ずつ熱勾配(温度勾配)をつけて行い、良好に成膜された部分の温度のうちの最低温度を、MFT(℃)とした。
〔製造例1−2〕アクリル系樹脂エマルションの製造
製造例1−1で一段目の重合の際に用いたメチルメタクリレートをシクロヘキシルメタクリレートに、二段目の重合の際に用いたメチルメタクリレート22.0gを、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:83℃)20.0g、4−メタアクリロイルオキシ−2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(Tg:130℃)1.0g及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Tg:70℃)1.0gにした以外は、製造例1−1と同様の方法にて、固形分43.9%、粘度320mPa・s、pH8.9、MFT40℃のアクリル系樹脂エマルション(e2)を得た。なお、該エマルション(e2)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、11℃であった。
〔製造例1−3〕アクリル系樹脂エマルションの製造
製造例1−1で二段目の重合の際に用いたn−ブチルメタクリレート(Tg:20℃)22.0gを、ダイアセトンアクリルアミド(Tg:65℃)5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg:55℃)6g、n−ブチルメチルメタクリレート(Tg:20℃)11.0gにした以外は、製造例1−1と同様の方法にて、固形分43.7%、粘度720mPa・s、pH9.0、MFT35℃のアクリル系樹脂エマルション(e3)を得た。なお、該エマルション(e3)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、20℃であった。
〔製造例1−4〕アクリル系樹脂エマルションの製造
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水79.8gを仕込んだ。
また、滴下ロートにアクアロンHS−10の25%水溶液6.0g、アクアロンRN−20の25%水溶液6.0g、脱イオン水26.0g、メチルメタクリレート(Tg:105℃)44.0g、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)26.0g、n−ブチルメタクリレート(Tg:20℃)29.0g、アクリル酸(Tg:95℃)1.0gからなるプレエマルションを調製した。そのうちトータルモノマー量の10%にあたる13.8gをフラスコに添加し、緩やかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に75℃まで昇温した。
昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液を6.0g添加し、重合を開始した。このときに反応系内を80℃まで昇温し、10分間維持した。ここまでを初期反応とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、調製したプレエマルションの残りを180分間にわたって均一に滴下した。滴下後、脱イオン水10gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後、同温度で30分間維持し、得られた反応液を室温まで冷却し、0.7gの25%アンモニア水を添加した。続いて、100メッシュの金網でろ過して、固形分44.1%、粘度180mPa・s、pH9.2、MFT30℃のアクリル系樹脂エマルション(e4)を得た。なお、該エマルション(e4)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、16℃であった。
〔製造例1−5〕アクリル系樹脂エマルションの製造
製造例1−1において、一段目の重合の際は、n−ブチルメタクリレートの使用量を7.0gから2.0gにし、シクロヘキシルメタクリレート5.0gを用いるようにするとともに、二段目の重合の際は、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)の使用量を26.0gから10.0gにし、メチルメタクリレート(Tg:105℃)の使用量を22.0gから33.0gにし、シクロヘキシルメタクリレート5.0gを用いるようにした以外は、製造例1−1と同様の方法にて、固形分43.9%、粘度300mPa・s、pH9.1、MFT80℃のアクリル系樹脂エマルション(e5)を得た。なお、該エマルション(e5)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、51℃であった。
〔製造例1−6〕アクリル系樹脂エマルションの製造
製造例1−1において、一段目の重合の際は、メチルメタクリレート(Tg:105℃)22.0gの代わりにメチルメタクリレート29.0gを用い、n−ブチルメタクリレート(Tg:20℃)を用いず、シクロヘキシルメタクリレート2.0gを用いるようにするとともに、二段目の重合の際は、メチルメタクリレート(Tg:105℃)の使用量を22.0gから43.0gにし、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)を用いず、シクロヘキシルメタクリレート3.0gを用いるようにした以外は、製造例1−1と同様の方法にて、固形分43.8%、粘度450mPa・s、pH9.2、MFT95℃のアクリル系樹脂エマルション(e6)を得た。なお、該エマルション(e6)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、80℃であった。
〔製造例2−1〕オキサゾリン基含有ポリマーの製造
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル92.1g、脱イオン水368.5gを仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら、80℃まで昇温した。
そこへ、あらかじめ調製しておいたメタクリル酸メチル126g、メトキシポリエチレングリコールアクリレート84g、2−イソピロペニル−2−オキサゾリン210gからなるモノマー混合物と、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩21g、イソプロピルアルコール189gからなる開始剤溶液とをそれぞれ滴下ロートより120分間にわたって滴下した。反応中は、窒素ガスを流しつづけ、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。滴下終了後、同温度で5時間維持し、得られた反応液を室温まで冷却した。続いて、100メッシュの金網でろ過して、固形分40.4%、粘度570mPa・s、pH8.7のポリマー水溶液(b1)を得た。
〔製造例2−2〕オキサゾリン基含有ポリマーの製造
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水122.3gを仕込んだ。
また、滴下ロートに、ハイテノールN−08の15%水溶液20.2gを仕込み、適量の25%アンモニア水でpHを9.0に調整し、緩やかに窒素ガスを流しながら、70℃まで昇温した後、5%の過硫酸カリウム水溶液を10.0g添加し、続いてあらかじめ調製しておいたアクリル酸ブチル45g、スチレン45g、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン10gのモノマー混合物を添加して、該滴下ロートより180分間にわたって滴下した。滴下終了後、同温度で60分間維持し、得られた反応液を室温まで冷却した。続いて、100メッシュの金網でろ過して、固形分39.6%、粘度300mPa・s、pH9.3のポリマーエマルション(b2)を得た。
〔製造例3−1〕高Tgアクリル系樹脂エマルションの製造
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水96.0gを仕込んだ。
また、滴下ロートにハイテノールN−08の15%水溶液10.0g、ノニポール200の25%水溶液6.0g、脱イオン水29.0g、メチルメタクリレート(Tg:105℃)90.0g、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)3.5g、エチルアクリレート(Tg:−22℃)5.0g、アクリル酸(Tg:95℃)1.5gからなるプレエマルションを調製した。そのうちトータルモノマー量の10%にあたる14.1gをフラスコに添加し、緩やかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に75℃まで昇温した。
昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液を6.0g添加し、重合を開始した。このときに反応系内を80℃まで昇温し、10分間維持した。ここまでを初期反応とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、調製したプレエマルションの残りを180分間にわたって均一に滴下した。滴下後、脱イオン水10gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後、同温度で30分間維持し、得られた反応液を室温まで冷却し、1.1gの25%アンモニア水を添加した。続いて、100メッシュの金網でろ過して、固形分40.1%、粘度100mPa・s、pH9.3のアクリル系樹脂エマルション(c1)を得た。なお、該エマルション(c1)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、85℃であった。
〔製造例3−2〕高Tgアクリル系樹脂エマルションの製造
製造例3−1で用いたメチルメタクリレート(Tg:105℃)90.0g、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)3.5g、エチルアクリレート(Tg:−22℃)5.0gを、メチルメタクリレート70.0g、ジビニルベンゼン28.5gにした以外は、製造例3−1と同様の方法にて、固形分39.9%、粘度320mPa・s、pH8.9のアクリル系樹脂エマルション(c2)を得た。なお、該エマルション(c2)中のアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、115℃であった。ただし、このTgは、該エマルション(c2)中のアクリル系樹脂を単独で用いて形成させた塗膜の示差走査熱量測定(DSC)による値である。
〔実施例1〜8及び比較例1〜2〕
アクリル系樹脂エマルションと、オキサゾリン基含有ポリマー(水溶液またはエマルション)(架橋剤)とを、表1に示す割合でブレンドし、30分間攪拌して、評価用水性樹脂組成物を得た。
得られた評価用水性樹脂組成物を、下記に示す試験方法により評価した。その結果を表1および表2に示す。
<試験方法>
・最低造膜温度(MFT)
水性樹脂組成物のMFTは、熱勾配試験機(テスター産業社製、製品名:MFTテスター)上に置いたガラス板の上に、該組成物を、0.2mmのアプリケータによって塗装し、上記試験機により加熱(および必要に応じ冷却)して塗膜を乾燥させ、その塗膜にクラック等が生じず良好に成膜されるかどうかを、目視により確認することで測定した。具体的には、上記試験機による塗膜への加熱等は、10〜60℃または50〜100℃の温度範囲で、4cm間隔毎に5℃ずつ熱勾配(温度勾配)をつけて行い、良好に成膜された部分の温度のうちの最低温度を、MFT(℃)とした。
・耐ブロッキング性
評価用水性樹脂組成物のMFTが0℃以上の場合は、該組成物に、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12:チッソ社製)及びブチルセルソルブの1/1の混合溶液を、該組成物のMFTが0℃付近になるように添加し、1日以上経過後、試験に供した。
スレート板(ノザワフレキシブルシート(JIS A−5403:石綿スレート):ノザワ社製)上に溶剤シーラー(Vセラン#200:大日本塗料社製)を乾燥重量20g/mになるようにエアスプレーにて塗装した後、ベースコート層形成用塗料を8milのアプリケータにて塗装した。
なお、ベースコート層形成用塗料は、以下の組成で調製した。
アクリセットEX−35((株)日本触媒製)を300g、白色ペースト(注1)を135g、黒色ペースト(「ユニラント88」ユニラント社製)を10g、消泡剤(「ノプコ8034L」サンノプコ社製)を1.5g、ブチルセロソルブを15g及び成膜助剤(「CS−12」チッソ社製)を15g。
(注1)白色ペーストは下記成分にガラスビーズを500重量部加え、ホモディスパーで3000min−1×60分間攪拌して調製した。
分散剤(「デモールEP」花王社製)を60g、分散剤(「ディスコートN−14」第一工業製薬社製)を50g、湿潤剤(「エマルゲン909」花王社製)を10g、脱イオン水を210g、エチレングリコールを60g、酸化チタン(「CR−95」石原産業社製)を1000g及び消泡剤(「ノプコ8034L」サンノプコ社製)を10g。
上記ベースコート層形成用塗料の塗装後、10分間セッティングし、熱風乾燥機(TABAI社製:乾燥温度100℃、風量1m/秒)にて10分間乾燥させた。その後、評価用水性樹脂組成物を4milのアプリケータにて塗装し、セッティングなしでそのまま熱風乾燥機(TABAI社製:乾燥温度100℃、風量1m/秒)にて10分間乾燥させ、試験板を得た。得られた塗膜(評価用水性樹脂組成物のみにより形成された塗膜)の膜厚は40ミクロンであった。
乾燥機から取り出した試験板を、90秒間放冷し、その後、ガーゼ、ガラス板、重り(積載荷重:120g/cm)の順で試験板に積載し、所定温度(40〜80℃)の熱風乾燥機に速やかに移動させ、10分間積載状態を継続した。その後、試験板を30℃以下にまで冷却して、ガーゼを剥離し、その塗膜外観を観察した。
試験条件としては、塗膜の乾燥温度(T:100℃)、前記塗膜上にガーゼを介して積載された荷重(L:120g/cm)及び塗膜乾燥時間(t:10分)は固定した上で、荷重時の温度(TL)のみを40〜80℃の間で5℃ずつ変更した。ガーゼの交点の跡が見られなかった試験条件(下の評価で○になる試験条件)すべてを、それぞれ下記式:
L・TL/T・t
(式中、塗膜表面にダメージがほぼ認められない、好ましくは全く認められない場合の、Tは塗膜の乾燥温度(℃)、Lは塗膜に積載された荷重(g/cm)、tは塗膜乾燥時間(分)及びTLは荷重時の温度(℃)を示す)
に代入し、求められる値のうちの最大値を、α値とした。積載荷重は、「積載した重りの重さ(g)/ガラス板の表面積(cm)」により算出した。
評価:ガーゼ交点の跡が見られない ○
ガーゼ交点の跡がはっきりと残っている △
ガーゼ痕が網目状に残っている ×
・耐凍害性
上述したように、耐ブロッキング性試験用に作成した試験板と同一の条件にてシーラー及びベースコート層を塗装、乾燥した。続いて、評価用水性樹脂組成物を8milのアプリケータにて塗装し、10分間セッティングし、100℃にて10分間乾燥させた。得られたスレート板を1週間室温で放置し、溶剤系の2液硬化型アクリル系樹脂を用いて、側面及び背面をシールし、1日経過させた。その後、ASTM規格におけるC666−97に準じて、凍結融解試験機(マルイ社製、装置名:MIT−1682)にて耐凍害性試験を行った。
具体的には、−20℃にて2時間(空気中)及び20℃にて2時間(水中)のサイクルを繰り返す凍結融解条件により実施し、30倍ルーペを用いてスレート板上の塗膜にクラックが入るまでのサイクル数を50サイクル毎の基準にて評価し、そのサイクル数をクラックレス限界サイクル数(M)として表した。
・熱軟化温度(TMA)
ガラス板に両面テープで離型紙を貼り、該離型紙上に、ガムテープを2枚重ねてなる材料(厚さ:約600ミクロン)で型枠を作成した。この型枠内に評価用水性樹脂組成物1gを流し込み、100℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥させた後、該乾燥物を、直ちに熱機械分析装置(TMA−50:島津製作所社製)を用いて、荷重20g、昇温速度5℃/分で軟化温度を測定した。なお、用いた針の直径は500ミクロンであり、針の移動距離を示す曲線のうち、最大のカーブにおけるカーブ開始点からひいた接線とカーブ終了点からひいた接線との交点の温度を熱軟化温度(℃)とした。
・β値
上述したα値と、耐凍害性を表すクラックレス限界サイクル数と、熱軟化温度とを乗じ、1000で除することにより算出した。
・耐温水白化性
上述したように、耐凍害性、耐ブロッキング性試験用に作成した試験板と同一の条件にてシーラー及びベースコート層を塗装、乾燥した。続いて、評価用水性樹脂組成物を4milのアプリケータにて塗装し、10分間セッティングし、100℃にて10分間乾燥させた。
得られたスレート板を24時間室温で放置した後、溶剤系の2液硬化型アクリル系樹脂を用いて、側面及び背面をシールし、その試験板を1週間室温で放置し、色差計(日本電色工業社製、装置名:分光式色彩計:SE−2000)でL値(L0)を測定した。続いて、60℃の温水にスレート板を浸漬し、24時間経過後に引き上げて軽く水分を拭き取り、直ちに上記色差計でL値(L1)を測定した。
ΔL=(L1)−(L0)としてL値の変化値を算出し、耐温水白化性を評価した。
・伸び率
ガラス板に両面テープで離型紙を貼り、該離型紙上に、評価用水性樹脂組成物を乾燥膜厚が100〜150μmとなるように塗布し、100℃の熱風乾燥機中で10分乾燥させた後、1日以上室温で放置した。その後、離型紙から塗膜(1cm×3cm)を剥がし取り、該塗膜の0℃空気雰囲気下での伸び率を、島津製作所社製のオートグラフAGS−100Dを用い、試験前の標線間距離10mmとして、引っ張り速度5mm/分の条件で塗膜が破断するまで引っ張り試験を行い、該破断直前の塗膜に関する伸び率(E(%))を測定するようにした。詳しくは、伸び率(E(%))は、該破断直前の塗膜における標線間距離をE(mm)としたときに、下記式により求められる値であるとする。
伸び率(E(%))=〔(E−10)/10〕×100
〔実施例9〕
実施例1と同様にして得られた評価用水性樹脂組成物について、前述した試験方法においてスレート板の代わりに押出し成形セメント板(アスロック:ノザワ社製)を用いた以外は、同様にして、評価を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例10〕
アクリル系樹脂エマルション(e1)95部と架橋剤(b1)5部とをブレンドした水性樹脂分散体10.3g、酸化チタン(R−780:石原産業社製)12.7g、炭酸カルシウム12.7g(NS#100:日東粉化社製)、25%モノエタノールアミン0.1g、ノプコ8034L0.1g、5%アデカノールUH−420(旭電化社製)1.9g、ヒドロキシエチルセルロース(SP−600:ダイセル社製)2.4gおよび水58.8gをブレンドし、ホモディスパーにて2,000min−1で30分攪拌し、評価用水性樹脂組成物を得た。得られた評価用水性樹脂組成物について、前述した試験方法においてベースコート形成用塗料での塗装はせずスレート板に直接刷毛にて乾燥重量20g/mとなるように塗装した以外は、同様にして、評価を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例11〕
アクリル系樹脂エマルション(e1)80部と架橋剤(b1)5部とアクリル系樹脂エマルション(c1)15部とをブレンドした水性樹脂分散体46.2g、25%モノエタノールアミン0.3g、ノプコ8034L0.2g、5%アデカノールUH−420(旭電化社製)8.0g、ヒドロキシエチルセルロース(SP−600:ダイセル社製)10.2gおよび水30.8gをブレンドし、ホモディスパーにて2,000min−1で30分攪拌し、評価用水性樹脂組成物を得た。得られた評価用水性樹脂組成物について、前述した試験方法においてベースコート形成用塗料での塗装はせずスレート板に直接刷毛にて乾燥重量20g/mとなるように塗装した以外は、同様にして、評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0004235143
Figure 0004235143
本発明にかかる水性樹脂組成物は、例えば、建材用塗料又は建材用エマルションとして好適に用いることができる。なかでも特に、工場内において強制乾燥工程を備えた塗布工程において用いられる工業用塗料等として好適である。
本発明にかかる塗膜は、例えば、建材等に用いるための基材表面を被覆する塗膜として好適である。
本発明にかかる建材は、例えば、アルカリ無機窯業系建材及び金属建材等として好適である。

Claims (8)

  1. アクリル系樹脂エマルションと架橋剤とを必須とする水性樹脂組成物であって、
    前記アクリル系樹脂エマルションの含有割合が水性樹脂組成物全体に対し10〜97重量%、前記架橋剤の含有割合がアクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂に対し固形分基準で0.5〜40重量%の割合であり、
    前記エマルション中のエマルション粒子を構成するアクリル系樹脂、2種以上のアクリル系樹脂からなり、該2種以上のアクリル系樹脂のうち少なくとも2種が30℃以上のガラス転移温度差を有するものであるとともに、該温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂のうちガラス転移温度が高い方のアクリル系樹脂を、アクリル系樹脂エマルション中のアクリル系樹脂全体に対し固形分基準で10〜80重量%の割合で含有するものであり、
    前記架橋剤がオキサゾリン基を含有する化合物を必須とする、
    ことを特徴とする、水性樹脂組成物。
  2. 前記ガラス転移温度差を有する少なくとも2種のアクリル系樹脂うちの少なくとも1種のガラス転移温度が80℃以上である、請求項に記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記エマルション中のアクリル系樹脂が、炭素数4〜10のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数6〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種又は2種以上アクリル系の重合性単量体を用いての重合により得られたものである、請求項1または2に記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記アクリル系樹脂エマルションが、単量体を多段に分けて乳化重合して得られる多段重合体エマルションを含むものである、請求項1から3までのいずれかに記載の水性樹脂組成物。
  5. 前記乳化重合は、一段目の単量体成分が80重量%以上重合した後に二段目の重合を行うようにする二段重合である、請求項4に記載の水性樹脂組成物。
  6. 前記乳化重合は、一段目の重合終了後、中和を行い、その後、二段目の重合を行うようにする二段重合である、請求項4または5に記載の水性樹脂組成物。
  7. 請求項1から6までのいずれかに記載の水性樹脂組成物によって成膜され、前記アクリル系樹脂に由来するアクリルユニットと、前記アクリル系樹脂とオキサゾリン基の架橋反応に由来するアミドエステル結合ユニットとが含有されてなる、塗膜。
  8. 基材上に、請求項に記載の塗膜を有してなる、建材。
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