JP4234849B2 - 遊離砥粒スラリー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬度の異なる複数の異硬度材料から構成される複合材料間における研磨量の差、即ち選択研磨を生じることなく均一に削る加工工程で使用するのに適した遊離砥粒研磨スラリー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学部品、電子部品や精密機器部品などに対して、ますます高機能化、高性能化が要求されてきており、使われている材料も、金属結晶材料、セラミックス、ガラス、プラスチックと非常に多岐にわたっている。そのため硬度の異なる複数の材料から構成される部品の研磨用途が多くなってきている。このような複合材料の研磨加工の一例として、電子部品に関してはLSIの多層配線工程における配線金属と層間絶縁膜との均一加工や光学部品では光ファイバーコネクタの端面研磨などが挙げられる。
【0003】
またコンピューターの記録媒体であるハードディスクドライブは年々その記録密度の向上が計られており、高記録密度を達成する一つの手段として、ハードディスクと磁気ヘッドの浮上隙間を狭め、ディスク/ヘッド間のスペーシングを低減させる、所謂ヘッドの低浮上化が試みられている。
ハードディスクドライブに搭載されている磁気ヘッドは薄膜型磁気ヘッドが主流であり、アルティック(Al23−TiC)などの基材となるセラミックスとパーマロイ(Fe−Ni)、センダスト(Fe−Al−Si)などの磁性材料である金属膜等による複合材料で構成されている(図1)。
【0004】
また現在浮上型磁気へッドは一般的に以下のような工程で製造されている:
1.バーの切り出し工程(このバーは図2に示すように多数の磁気交換素子がマトリックス状に形成されたウエハを切断したものであり、複数のスライダーが列状に配列されている。)、2.バーを加工治具に接着する工程(図3参照)、3.バーのラッピング処理(図4参照、ラッピング処理とは、図4に示すように錫等を主材料とした定盤を回転させこの上に被研磨物をおいて、遊離砥粒研磨スラリー組成物等を供給しながら行う、スライダーのABSの研磨加工をいう。)、4.加工治具からバーを剥離する工程、5.レールエッチング工程、及び6.バーをスライダーに切断分離する工程。
これらの工程の中で、この発明は3.バーのラッピング処理における研磨に関する。
【0005】
従来の遊離砥粒研磨スラリー組成物を用いて、セラミックスと金属膜との複合材料である薄膜磁気ヘッドのABSの研磨加工を行う場合、材料間の硬度の違いにより、磁極部に使用されている軟質材料であるパーマロイやセンダストなどの金属膜が選択的に加工され、段差が発生するものがほとんどであった。このパーマロイやセンダストなどの金属膜によって構成されている磁極部材料の選択研磨は、セラミックスからなるABSより磁極部などの金属膜を後退させることになり、記録媒体との磁気間隔を増大させる所謂ポールチップリセッション(Pole Tip Recession:PTR)が発生し、実質的なへッドの浮上量を増大させてしまうものである。
【0006】
そこで、この様な選択研磨やダメージを回避するために、スラリーに選択研磨防止剤を入れて高精度の研磨面を達成することが、例えば、特開平10−113327や特開平10−255022によって提案されている。
特開平10−113327では、遊離砥粒スラリーによる薄膜型磁気ヘッドのABS面のラッピング加工で生じる選択研磨を分子量が300〜20000のプロピレンオキシドおよび任意にエチレンオキシドの付加反応によって得られた水酸基の官能基数が1〜6であるポリエーテルを用いて選択研磨の回避と研磨面状態の向上を図っている
【0007】
また、特開平10−255022では選択研磨防止剤として、含硫黄有機モリブデン化合物を用いている。これは、研磨加工時に発生する摩擦熱によって分解し、金属表面と反応することなく皮膜を形成し、その層間が分子間力の弱いファンデアワールス力で結合している二硫化モリブデン(MoS2)を主体とする層状構造をなし、接触面での摩擦は二硫化モリブデン内部の層間の摩擦に置き換えられ低摩擦となるために、異硬度材料間の弾性変形量をなくし、軟質材料の選択研磨を有効に防止させている。
【0008】
しかし、従来の遊離砥粒スラリー組成物では、その選択研磨防止が主に金属膜に作用し、選択研磨を防止するに留まっていたが益々ヘッドの低浮上化が要求されつつあるMR型薄膜ヘッドやGMR型薄膜ヘッドでは、PTR値をさらに低下させなければならず、金属膜の選択研磨を防止すると同時に、基材であるアルチックと絶縁膜であるアルミナとの境界部分である、肩の段差を小さくしなければならないといった問題点があった。
更に、遊離砥粒スラリーの加工能力を考慮すると余りに潤滑特性を上げると摩擦特性も低下するために遊離砥粒スラリーの研磨レートが低下するといった問題もあった。
【0009】
このような用途に用いられてきた潤滑剤は被研磨物に対する潤滑効果の作用機構から一般的に1)ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミン及び油脂類である油性剤、2)リン酸エステル、Zn-DTPなどの耐摩耗剤、3)有機Mo化合物などの極圧添加剤の3つに大別されている。
油性剤は、分子中に親油性の長い炭化水素鎖と末端に強い極性基を持つ両親媒性物質であり、摩擦表面に物理吸着若しくは化学吸着して潤滑膜を形成し、摩擦および磨耗を防止すると言われている。また、これらの油性剤はその潤滑条件によって耐磨耗剤として作用する(広中清一郎;日本塑性加工学会誌、579−585、Vol.36、No.413,1995−6)。
【0010】
耐摩耗剤は、過酷な研磨条件においても、その効果が維持するために摩擦を低減する。低〜高荷重、高温条件では摩擦表面とのトライボケミカル反応による潤滑膜を形成して摩擦を低減する(広中清一郎;潤滑油添加剤の作用機構、塑性加工シンポジウム、33−43、1994、R.J.ハートレイら;耐摩耗剤・極圧剤、トライボロジスト、326−331、1995)。
この様な油性剤もしくは耐摩耗剤のうち、脂肪酸エステルは分子鎖に脂肪酸とアルコールを含む化合物であるために、脂肪酸エステルが油性作用を示し潤滑性や耐磨耗性を示すとされている(清水啓通;脂肪酸エステル型作動油、トライボロジスト、528−533、Vol.42−No.7 1997)。
【0011】
脂肪酸の作用は、その末端の水酸基が金属膜表面に吸着しラッピング加工時に潤滑皮膜を形成するために金属膜の選択研磨に対して高い効果を発揮する。
これに対して、脂肪酸エステルは末端水酸基がアルコールによるエステル交換によってエステル化されているため、脂肪酸の末端水酸基ほど選択的に金属膜に吸着せず、基材のアルチック並びに絶縁膜及び保護膜であるアルミナ対する脂肪酸エステルの吸着は、金属膜に対する脂肪酸エステルの吸着より小さく、更にアルチック及びアルミナ対する脂肪酸エステルの吸着は同等である。従って、脂肪酸エステルを用いた場合、高い研磨レートを維持したままアルチック/アルミナ間の段差発生および金属膜の選択研磨を防止する能力に優れていると考えられる。
【0012】
従来脂肪酸エステルを用いて遊離砥粒スラリー研磨液についていくつか開発が行われてきた。特開平9−272858は、シリコン、セラミックス、水晶などの脆性材料を切断または研磨する水性ラップ液組成物に脂肪酸エステルを用いて、砥粒の配合安定性等を改善している。また特開平5−258294は、磁気ディスク用アルミニウム合金基盤の研磨液に脂肪酸エステルを用いて、砥石の目づまりやアルミニウム合金基盤の表面欠陥を改善している。
【0013】
この様に油性剤や耐磨耗剤としての脂肪酸エステルが潤滑特性の向上や粒子の分散性および分散安定性向上などに対して効果があることが知られているが、異硬度材料から構成される複合材料用の遊離砥粒スラリー組成物に応用して、異硬度材料の研磨加工時に発生する軟質材料の選択研磨防止と研磨レートの向上を達成した例はない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、異硬度材料における研磨量の差、即ち選択研磨を生じる事なく均一に加工するのに適した遊離砥粒スラリー組成物であって、なおかつ高い研磨レートを維持しつつ、高研磨面品位を得ることを目的とした遊離砥粒スラリー組成物を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、異硬度材料が混在する複合材料を研磨するための遊離砥粒研磨スラリー組成物であって、研磨剤粒子、分散媒、表面改質剤及び少なくとも1種の脂肪酸エステルを含む遊離砥粒研磨スラリー組成物であり、更に前記脂肪酸エステルが一般式RCOOR’(式中、Rの炭素数は12〜22であり、R’はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル基である。)で表される遊離砥粒研磨スラリー組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いることのできる脂肪酸エステルは、一般式RCOOR’で表される脂肪酸エステルであり、式中Rの炭素数は12〜22であり、R’はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル基である。この中でラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキドン酸、ステアロール酸のエステルが好ましい。更にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸のメチル又はエチルエステルがより好ましく、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸のメチル又はエチルエステルが更に好ましい。またこれらのエステルを単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
これらの脂肪酸エステルの添加濃度は、遊離砥粒スラリー組成物に対して0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは1.0〜50重量%、更に好ましくは1.0〜30重量%である。
【0017】
本発明で用いる分散媒は、耐摩耗剤を溶解する溶媒であれば限定されないが、薄膜型磁気ヘッドに用いる場合には構成材料であるパーマロイ及びセンダストなどの金属膜が一般的に水に対して弱く腐食や錆を発生するので分散媒として非水系溶媒を用いることが望ましく、更に極性の弱い非極性溶媒を用いることが望ましい。
ここで、分散媒の極性とは普通に使用される意味で溶媒分子内の原子とその結合の種類、原子配列とその位置などによって分子内に生じる双極子に基づく性質である。この極性の大きさは相互作用する分子の極性によって相対的に決まるものである。
溶媒の極性は、定性的に、Hildebrandの溶解性パラメーター(sp値)δ値で表される。この値δが大きい程極性が大きく、小さいものほど極性は小さい。このδ値は、更に分散、極性による配向及び水素結合などの分子間相互作用によっていくつかに分けられるが、これらの値は、その溶媒がどのような化合物を良く溶かすかという、化合物に対する溶解の選択性を決定するものである。
【0018】
本発明の遊離砥粒研磨スラリー研磨液の分散媒に適した有機溶媒は、このδ値が低いものが望ましい。これは、極性成分が増加することにより分散媒の臭気が問題になったり、分散媒自体が人体や被研磨物に対して悪影響を与えるからである。さらに本発明では、研磨加工中の研磨スラリーの蒸発を無くし、安定な研磨加工を行うために分散媒の蒸発速度が遅い溶媒が適している。これは、蒸発速度の速い分散媒は研磨作業中に分散媒が蒸発してしまい、安定な研磨加工が困難になるからである。
これらのことから、本発明に用いる分散媒は溶解性パラメーターsp値が10.0以下、好ましくは8.0以下、相対速度が5.0以下、より好ましくは2.0以下のものが適している。これらの分散媒としては例えば、エクソン化学(株)製、無臭イソパラフィン系溶媒:アイソパーシリーズや低臭ナフテン系溶媒:EXXSOLシリーズ、モービル化学製n−パラフィン系溶媒:ホワイトレックスシリーズおよび工業用脂肪族系溶媒であるペガソール、ペガホオワイト、サートレックスなどがある。
【0019】
本発明に用いられる研磨材粒子は、研磨加工一般に用いられるものであれば特に限定されることなく使用することが出来る。具体的には、ダイヤモンド、アルミナ、シリコーンカーバイド、酸化セリウム、酸化ケイ素、酸化鉄などが挙げられる。研磨材粒子は、被研磨物の硬度や複合材料種、研磨除去量および研磨仕上げ面精度などによって任意に設定することが可能であるが、薄膜磁気ヘッドのラッピング加工の場合、呼称粒度が0〜1/10μm、0〜1/8μmおよび0〜1/4μmなど1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のダイヤモンド微粒子研磨材が一般的に使用されている。また、研磨材粒子のスラリー組成物中における濃度は0.01〜1.0重量%程度、好ましくは0.05〜0.4重量%程度が一般的であり、研磨能率や研磨精度を考慮し調製させる必要がある。
【0020】
粉体の状態から安定な分散系を作るには、固/液界面でのぬれ性が良くなければならない。ここでぬれ性とは、液体が固体表面から気体を押しのける現象を言うが、乾燥した粉体の表面には空気が強く吸着しているため、これを液体で置換する必要がある。また、ぬれ性を良くするには、固/液の化学的親和性を強めればよく、親和性は両者の極性や化学構造が近いものほど大きくなる。
研磨材粒子に用いられる粒子表面には、表面水酸基などの極性官能基が存在するため親水性を示し水のようなδ値の高い極性溶媒中ではぬれ性が良いため容易に分散させることが可能である。しかし、本発明で用いる分散媒は、非極性溶媒であるため、親水性粒子である研磨材を非極性溶媒中に均一に分散させるには、粒子表面と分散媒との親和性を高めなければならず、疎水化処理を施す必要がある。
【0021】
粒子表面を疎水化処理するために、本発明の遊離砥粒研磨スラリー組成物に界面活性剤、高分子系表面改質剤、カップリング剤などの表面改質剤を添加する。
界面活性剤を用いる方法は、界面活性剤が分子中に疎水性の長い炭化水素鎖と末端に強い極性基(=親水基)を持つ両親媒性物質であることを利用している。親水性である粒子表面と界面活性剤の極性基との相互作用により疎水性である炭化水素鎖を外側に向けて吸着するため、全体的に見ると粒子の表面性は親水性から疎水性に変化し、非極性溶媒中で沈降することなく安定に存在することが可能となる。
【0022】
本発明に界面活性剤を使用する場合は、その界面活性剤は非極性溶媒に溶解するものでなければならず、そのような界面活性剤は、その分子骨格中に二重結合や三重結合を有するか、又は分岐が存在するものが一般的である。磁気ヘッドの磁性部に対して腐食などを引き起こしうるイオン性界面活性剤を用いるより、好ましくは非イオン性界面活性剤を用いることが望ましい。そのような界面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル系であるモノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、グリセリンエステル系としてはペンタオレイン酸デカグリセリル、ペンタインステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリルなど、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル系であるテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系であるモノオレイン酸ポリエチレングリコール2EO、6EO、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系であるPOE(2)オレイルエーテル、POE(3)2級アルキルエーテルなどがある。
【0023】
本発明に使用される界面活性剤濃度は、粒子に飽和吸着を起こす濃度以上であれば良く、使用する研磨材粒子の表面性および界面活性剤により変化するが、0.01重量%以上が好ましい。また一般的に50重量%以下で用いられる。これは、非極性溶媒中では水系に比べ、一層目での界面活性剤の吸着量は小さいため、界面活性剤同士が疎水−疎水相互作用を利用し二層吸着することは困難となり、水系のように界面活性剤の添加濃度とともに表面性が変化することがないためである。
【0024】
高分子系表面改質剤には、ポリマーの一端が界面に強く吸着し、その他の部分が溶媒中に伸長する、ポリ(2−ビニルピリジン)-ポリスチレン(PVPy-PS)やポリ(2−ビニルピリジン)-ポリイソプレン(PVPy-PIS)等のポリマーブラシが挙げられる。これらは粒子表面に吸着し厚い吸着層を形成する。この厚い吸着層によって、粒子同士の接近を立体障害的に防止することを利用している。
【0025】
またカップリング剤には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル9トリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート(味の素株式会社製プレンアクトKR138S)、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オエチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチルアミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(味の素株式会社製プレンアクトAl-M)や、アセトアルコキシジイソプロピレート、イソブチロキシド、2-オクタデシロキシド、2−エチルヘキシルイソプロポキシド等の有機アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。
本発明に使用される高分子系表面改質剤やカップリング剤の濃度は、使用する研磨材粒子の表面性等により変化するが、0.01重量%以上が好ましい。また一般的に50重量%以下で用いられる。
これらを用いる方法では、粒子表面にある表面官能基と表面改質剤を化学反応により結合させ粒子の表面性を親水性から疎水性へと変化させることを利用している。疎水化処理は上記の方法に限定されることはなく、親水性である研磨剤粒子を非極性溶媒中に均一に分散させる疎水化処理であるならいかなる処理でも用いてもよい。
【0026】
本発明の遊離砥粒研磨スラリー組成物の製造方法は、一般的な遊離砥粒研磨スラリー組成物の製造方法が適用出来る。即ち、分散媒に界面活性剤を適量溶解し研磨材粒子を適量混合する。この状態では研磨材粒子は親水性であるために非極性溶媒中では凝集状態で存在している。そこで、凝集した研磨材粒子を一次粒子に解砕するために粒子の分散を実施する。分散工程では一般的な分散方法および分散装置を用いることが出来る。具体的には、例えば超音波分散機、各種ビーズミル分散機、ニーダー、ボールミルなどが適用できる。
分散装置の使用によって、粒子が一次粒子まで解砕され現れた表面に界面活性剤が吸着しぬれ性を改善することにより凝集することなく分散安定性が良好なスラリーを調製することが可能となる。
【0027】
この発明の被研磨物は、主にHv硬度が26〜360の軟材料とHv硬度が700〜4000の異硬度材料が混在する複合材料である。ここに含まれる軟材料と硬材料はそれぞれ一種類又は複数であってもよい。この軟材料は特に金属であり、例えばTi(Hv硬度:60),Pb(Hv硬度:37),Ag(Hv硬度:26),W(Hv硬度:360),V(Hv硬度:55),Nb(Hv硬度:80),Ta(Hv硬度:355),Pd(Hv硬度:38),Cr(Hv硬度:130),Ru(Hv硬度:350),Cu(Hv硬度:117),Pt(Hv硬度:39),Mo(Hv硬度:160),Th(Hv硬度:38),Ni(Hv硬度:60),センダスト(Fe−Al−Si、Hv硬度:600)、パーマロイ(Fe−Ni、Hv硬度:200)、アルミニウム(Hv硬度:200)が挙げられる。硬材料はセラミックス、ガラス等であり、例えば、石英ガラス(Hv硬度:620)、アルティック(Al23−TiC、Hv硬度: 2500)、TiC(Hv硬度:3200),AlN(Hv硬度:1370),Si34(Hv硬度:2160),ZrO2(Hv硬度:700),cBN(Hv硬度:4000),SiO2(Hv硬度:620),SiC(Hv硬度:2400),hBN(Hv硬度:4700),AlTiC(Hv硬度:2500),Al23(Hv硬度:2000),Si34(Hv硬度:2160),AlN(Hv硬度:1370),MgO(Hv硬度:920),B4C(Hv硬度:3200),TaN(Hv硬度:1080)が挙げられる。
また特に、被研磨物が薄膜磁気ヘッドの場合には、この被研磨物は例えば図1に示すようなアルティック、センダスト、パーマロイ、アルミナ等の異硬度材料が混在する構造になる。
【0028】
ハードビッカース硬度(Hv硬度)の測定法はJIS Z2251に規定されている。具体的には、対面角が136°のダイヤモンド正四角錐圧子を用い、試験片にくぼみを付けた時の試験荷重とくぼみの対角線長さから求めた表面積とから、次式を用いて算出する。
【数1】
HV=0.102(F/S)=0.102・(2Fsinθ/2)/d2=0.18909F/d2
ここで、HVはHv硬度、Fは試験荷重(N)、Sはくぼみの表面積、Dはくぼみの対角線の長さの平均(mm)、θはダイヤモンド圧子の対面角を表わす。なお、Hv硬度の試験機はJIS B7725に、硬度の基準となる基準片は鋼製(JIS G4401, JIS G4805)、黄銅製(JIS H3100)、銅製(JIS H3100)とそれぞれ定められている。また、基準片の使用範囲の表面粗さはJIS B0601(表面粗さ)により0.1sの鏡面、基準片の表面および裏面の平行度はJIS B0621(形状および位置の精度の定義および表示)により、50mm当たり0.02mm以下と定められている。
【0029】
【実施例】
実施例1
本実施例では、アルミナチタンカーバイド(AlTiC)、センダスト 及びパーマロイによって構成される薄膜型磁気ヘッドを研磨加工する際の選択研磨防止効果について検討した。
研磨実験には、日本エンギス(株)製自動精密ラッピングマシンHYPREZ EJ−3801N型を用いた。研磨条件はラップ盤に錫/鉛定盤、定盤回転速度60rpm、スラリー研磨液供給量を30秒間隔に3秒間噴霧、加工荷重1300g/cm2、加工時間30分間とした。
【0030】
研磨特性の評価は研磨加工後の薄膜磁気型ヘッドのアルミナチタンカーバイド/金属膜間に発生する段差、つまりポールチップリセッション値(PTR値)を走査型プローブ顕微鏡(AFM)により求めた。ここで、薄膜型磁気ヘッドのPTR値は3nm以下で良好とした。スクラッチの評価はAFMおよび微分干渉光学顕微鏡を用いた。
研磨レートの測定は研磨前と30分間上述した研磨条件で研磨加工を行った後の被研磨物の重量変化から測定した。ここで、各実施例ごとに添加剤を含まない遊離砥粒スラリー組成物による薄膜型磁気ヘッドの研磨量を100とし、それぞれの研磨レートはその相対値とした。
【0031】
本実施例及び比較例に用いた遊離砥粒スラリーの組成を表1に示す。この組成において表2に示す脂肪酸エステルを用いた。分散媒として非極性溶媒であるアイソパーMを用い、界面活性剤として非イオン性界面活性剤であるモノオレイン酸ソルビタン(日光ケミカルズ(株)製.商品名:SP−O10 )を用いた。また、比較例として脂肪酸エステルの代わりにオレイン酸又はステアリン酸を用いた遊離砥粒スラリーと脂肪酸エステル等を全く用いない遊離砥粒スラリーについて同様の試験を行った。
【0032】
【表1】
Figure 0004234849
【0033】
本実施例及び比較例の結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0004234849
【0034】
本実施例の実験結果から、脂肪酸エステル含む遊離砥粒スラリーを用いて研磨した薄膜型磁気ヘッドのPTR値はいずれも比較例であるオレイン酸又はステアリン酸を用いた場合及び無添加の場合よりも低くなり、硬度の異なる複合材料から構成される薄膜型磁気ヘッドをより均一に研磨できた。一方、脂肪酸を添加したスラリーでは研磨レートの著しい低下が観察されるが、脂肪酸エステルを添加した遊離砥粒スラリーでは、無添加に比較しても研磨レートが向上していることが確認された。研磨面に関しては脂肪酸エステルを添加した遊離砥粒スラリーでは、オレイン酸、ステアリン酸及び無添加よりも同等または良好であった。この研摩面はラウリン酸メチル及びエチル、パルミチン酸メチル及びエチル並びにオレイン酸メチル及びエチルの場合には更にスクラッチや面荒れが少なかった。
本実施例の実験結果から、脂肪酸エステルを少なくとも1種類含む遊離砥粒スリーを用いると、硬度の異なる複合材料から構成される薄膜型磁気ヘッドをより均一に研磨できることがわかる。
【0035】
実施例2
本実施例では、上記薄膜型磁気ヘッドを研磨加工する際に、脂肪酸エステルの添加量を70重量%まで変化させた時のPTR値、研磨面および相対研磨速度について評価した。本実施例においてパルミチン酸メチルを脂肪酸エステルとして表1の遊離砥粒スラリー組成を用い、研磨条件及び研磨特性の評価は上記実施例と同様にした。その結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
Figure 0004234849
【0037】
本実施例の実験結果から、0.05重量%以上で効果が発現し、更に1.0重量%以上、より良くは1.0〜50重量%の添加量において無添加を用いたときよりもPTR値が低くなり、硬度の異なる複合材料から構成される薄膜型磁気ヘッドをより均一に研磨できた。特に1.0〜30重量%の添加量においてスクラッチや面荒れが少なかった
【0038】
これらの実施例の結果から、脂肪酸エステルを少なくとも1種類含む遊離砥粒スラリーを用いて研磨することにより、硬度の異なる複合材料を材料間の硬度差によって発生する軟質材料の選択研磨を防止した均一な研磨加工が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】研摩される薄膜磁気ヘッドの断面構造である。
【図2】薄膜磁気ヘッドの構造である。
【図3】切り出したバーの加工治具への貼り付けを示す斜視図である。
【図4】バーのラッピング処理の一例を示す斜視図である。

Claims (1)

  1. 軟材料が金属である異硬度材料が混在する複合材料を研磨するための遊離砥粒研磨スラリー組成物であって、研磨剤粒子、分散媒として非極性溶媒、粒子表面を疎水化処理するための表面改質剤、及び一般式RCOOR’(式中、Rは炭素数が12〜22の脂肪族基であり、R’はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル基である。)で表される少なくとも1種の脂肪酸エステルを含む遊離砥粒研磨スラリー組成物。
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