JP4234302B2 - 減速装置のシリーズ、及び減速装置の連結構造 - Google Patents

減速装置のシリーズ、及び減速装置の連結構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、技術的に合理的な思想に基づいて、例えば各種ギアドモータを製品群として複数用意するものに好適な減速装置のシリーズに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者は、本発明の着想を得る過程において、図6に示すようなギアドモータ1を提案している。各種モータ2(全体図示省略)及び減速装置3を備えている。この減速装置3は各種仕様からなるシリーズとして用意されており、モータ2の容量や相手機械の取り合い寸法などを考慮して、これらの複数種類の減速装置3から最適なものを選択してモータ2と組み合わせるようになっている。
【0003】
減速装置3は、単純遊星歯車構造の遊星減速機4と、この遊星減速機4の出力側に連結される1段式の直交伝達構造の直交減速機5と、を備える。遊星減速機4は、モータ2のモータ軸2Aに同軸に連結される太陽歯車6と、この太陽歯車6の周囲に配置され、該太陽歯車6と外接噛合する(4つの)遊星歯車8と、モータ軸2Aと同心状態で配置され、遊星歯車8と内接噛合する内歯歯車10と、上記遊星歯車8の公転成分のみを取出して直交減速機5側に出力するキャリア12と、を備える。
【0004】
内歯歯車10は円筒状の部材によって構成されており、遊星減速機4のケーシングの役割も兼ねている。従って、内歯歯車10の入力側端面には、モータ2のフランジ2Bと取り合うためのモータ取付面10Aが形成されており、他方の端面には、直交減速機5と取り合うための出力側取付面10Bが形成されている。
【0005】
遊星歯車8の各々には、その中心に軸方向のキャリア孔14が形成される。このキャリア孔14には、キャリア12のキャリアピン12Aがピンローラ12Bを介して挿入されており、遊星歯車8の公転運動のみを取出すようになっている。
【0006】
この遊星減速機4は、モータ軸2Aと一体となって太陽歯車6が回転すると、これと噛合している遊星歯車8は該太陽歯車6の周囲を公転しようとする。しかし、この遊星歯車8は内歯歯車10と内接噛合しているので「自由な」公転が規制されて、自転運動を伴った公転運動となる。つまり、遊星歯車8自身に自転運動が生じる分だけ公転運動が遅れることになり、この公転運動を取出すキャリア12の回転は、モータ軸2Aの回転速度よりも減速されることになる。
【0007】
なお、今回例示した遊星減速機4においては、キャリア12によって直交減速機5側に出力する構造を示したが、実際には、内歯歯車10によって回転動力を取出す構造や、太陽歯車6によって回転動力を取出す構造にすることも可能である。
【0008】
1段式直交減速機5は、キャリア12に一体的に連結されるべベルピニオン16と、このべベルピニオン16と噛合するべベルギア18と、このべベルギア18に同軸かつ一体的に連結されるホロータイプ(中空軸タイプ)の出力軸20と、この出力軸20を2つの軸受け22を介して回転自在に支持するとともに、上記べベルピニオン16及びべベルギア18を内部に収容する歯車箱24と、を備える。
【0009】
歯車箱24の入力側には、円筒状に突出して先端が外側に広がった状態の取付フランジ部26が一体的に形成されており、この取付フランジ26に遊星減速機4の内歯歯車10(の出力側取付面10B)が連結されている。べベルピニオン16には、伝達軸16Aが連結されており、この伝達軸16Aはキャリア12に形成される軸孔12Cとスプライン結合している。さらに、この伝達軸16Aは取付フランジ部26の内周側に設置される軸受28によって回転自在に支持されており、又、キャリア12も同様に、取付フランジ部26の内周側に設置される軸受30によって回転自在に支持されている。これらの構造からキャリア12及びべベルピニオン16は一体となって回転するので、キャリア12の回転がべベルピニオン16に伝達されることになる。
【0010】
このギアドモータ1によれば、遊星減速機4によって、モータ2の回転動力が減速されて、この減速後の動力が1段式直交減速機5に入力される。この動力は、べベルピニオン16及びべベルギア18によって減速されながら、回転軸がモータ軸2Aと直交するように方向変換され、出力軸20から出力される。
【0011】
ところで、1段目の遊星減速機4は、コンパクトな構造でありながらも低減速比から高減速比まで(例えば1/3〜1/9程度)の幅広い減速比を得ることができるという特徴を有しており、又、2段目の直交減速機5は、(減速装置3全体の大きさ等の制約から)あまり高い減速比は得ることはできないが回転動力を直角方向に変換・出力できるという特徴を有している。つまり、遊星減速機4では比較的高い減速比を得ることが主目的であり、直交減速機5では回転動力の方向を変換することが主目的となっている。
【0012】
この減速装置3が、遊星減速機4を上段側(1段目側)に、直交減速機5を下段側(2段目側)に備えた構造になっている理由は、直交減速機5において、中実タイプ及びホロー(中空)タイプを自由に選択して出力軸20を設置することが容易であり、相手機械側の取り付け態様を考慮した柔軟な対応ができるからである。
【0013】
この種の一般的な減速装置をシリーズとして構成する際には、入力されるモータの回転動力や自身の減速比などから決定される幅広い伝達トルクに対応させるために、その減速装置の伝達容量を階段状に設定することが一般的に行なわれている。今回例示した減速装置3にも同様の考えを適用し、更に、この伝達容量に対応する概念として「枠番」を採用している。つまり、「枠番」が大きくなるにつれて歯車箱24や内歯歯車10、伝達軸16Aなどの総合的な剛性が高くなるように設定され、全体としての伝達容量が増大するように設定されている。従って、モータ2の容量が高くなる場合、あるいは自身の減速比を高く設定する場合は大きな枠番の減速装置3を選択することになる。
【0014】
一方、減速装置3の減速比は、枠番とは独立したものとして捉えることができる。つまり、歯車箱24等の剛性が一定に保たれた所定「枠番P」において、内歯歯車10及び遊星歯車8、太陽歯車6の歯数などを変更すれば、ある一定の範囲内で最適な減速比を選択することができる。しかしながら、減速比を増大させた結果、減速装置3が伝達しなければならない容量が増大した場合には、減速装置3の枠番Pを大きくする必要が生じることもある。
【0015】
使用者は、減速装置3と連結されるモータ2の容量や自身の減速比を考慮して妥当な枠番をシリーズの中から選択・使用する。以上に示したのが、本発明者が当初予定していた減速装置3のシリーズである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記の減速装置3のシリーズ構成についてさらに検討した結果、上記のような「枠番」の概念、即ち、減速装置3を一体的に捉えて全体の伝達容量を段階状に用意する考え方では、入力側動力の容量(例えばモータの容量)や自身の減速比の各設定値(諸元値)に対して、柔軟に対応(用意)できているとは必ずしもいえないことに気がついた。これは、一対の傘歯車(べベルピニオン16及びべベルギア18)による直交伝達構造の特性と、単純遊星歯車構造の特性とを十分に比較検討した結果であり、以下その内容について詳説する。
【0017】
直交伝達構造の直交減速機5は、一対の傘歯車が各々スラスト方向の反力を受けて互いに離隔しようとする特性から、「動力伝達能力」が比較的低いという特徴を有している。従って、このスラスト方向の反力に抵抗し得るためにも、減速装置3の所定の枠番Pに対して歯車箱24や軸受22などの剛性は、多少高めに設定されている。一方、遊星減速機4は、複数の遊星歯車8が同時に噛合しながら動力を伝達するので、構造上高い動力伝達能力が確保されている。つまり、シリーズとして準備される複数の減速装置3におけるすべての枠番Pにおいて、直交減速機5はやや大きめ、遊星減速機4はやや小さめという組み合わせが採用されている。
【0018】
しかしながら、例えば減速装置3にトルクリミッターを設置することで、所定トルク以上の回転動力が伝達されないように設定(保障)した場合においては、上記のように直交減速機5の剛性を必ずしも「高め」に設定する必要はなく、逆に言うと従来は、必要以上に製造コストの増大及び伝達効率の低下を招いていた。
【0019】
その一方で、例えば減速装置3の入力側に制動機構(ブレーキ)を設置し、相手機械の回転を確実に停止させる必要がある場合(強い慣性反力を受ける場合)、或いは大きな負荷が掛かってもその停止状態を保持しなければならないような場合には、従来の枠番Pに対応する直交減速機5の剛性では必ずしも十分とは言えない状況もあった。
【0020】
なお、この状況は、相手機械の反力トルクをべベルギア18及びべベルピニオン16によって直接受け止めるという構造に特有なものであり、この構造であるが故に発生している問題点であると考えられる。
【0021】
また、遊星減速機4は、既に説明したように比較的広範囲の減速比(例えば1/3〜1/9程度)を選択できるという特徴を有しており、選択される減速比に応じて直交減速機5に入力される回転動力のトルクも同一枠番P内で大幅に変動する。現状の(各枠番Pの)減速装置3では、最も大きい減速比(例えば1/9)が採用される場合(すなわち最も大きな伝達トルクが入力される場合)を想定して、1段型直交減速機5の剛性が設定されており、低減速比を選択する場合には「必要以上の剛性」を有しているのが実状である。この問題は、特に、動力発生源(例えばモータ)側のトルクが比較的高く、遊星減速機4ではある程度の剛性が要求され、直交減速機5もそれにつられて大きくなってしまった場合に発生することが多い。
【0022】
つまり、(再検討するまで知らなかった)単純遊星歯車構造と、直交伝達構造との本質的な構造上の相違により、減速装置3を全体的に捉えた一般的な「枠番(伝達容量)」の概念では対処しきれていない状況が数多く存在していたことになる。
【0023】
さらに、相手機械側の取り付け面及びこの相手機械の入力軸の軸径が事実上のスタンダードとなっていたり、あるいは既存の機械設備として現に存在したりしていて、所定枠番Pの減速装置3を選択せざるを得ない場合において、実際の相手側機械が必要とされる回転動力(トルク)が比較的に小さい場合、一つの枠番Pによって全体の(総合的な)剛性が決定される従来の減速装置3では、遊星減速機を含めてすべてが大型化してしまい、伝達効率を不必要に低下させているという状況が存在した。
【0024】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、相手機械や回転動力源などの仕様(要求)に柔軟に対応し、動力伝達効率を最適な状態に維持しながら装置全体の小型化を図った減速装置シリーズを得ることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本第1発明は、単純遊星歯車構造の遊星減速機と該遊星減速機の回転動力が入力される一対の傘歯車を有する直交伝達構造の直交減速機とを備える減速装置を、複数用意してなる減速装置のシリーズにおいて、当シリーズを構成する前記減速装置における前記直交減速機が、前記遊星減速機の出力側取付面寸法と独立して自身の入力側取付面寸法が互いに異なるように複数用意され、特定の前記減速装置における特定の枠番の前記遊星減速機に対して、自身の両端に入側及び出側連結面を有する筒状の所定の継フランジを介在させることで、複数用意された前記直交減速機群の中から少なくとも2個の相互に枠番及び前記入力側取付面寸法が異なる直交減速機を組み合わせ可能にし、前記継フランジが、内周面で前記遊星減速機から前記直交減速機へと前記傘歯車を介して動力を伝達する伝達軸を回転可能に支持する軸受を支持し且つ外周面で前記直交減速機の歯車箱に形成された開口の内周面に支持される突起部を有することにより、上記目的を達成するものである。
【0026】
既に説明したように、本発明者は、使用者のニーズに十分に対応していると考えられていた(案出過程における)減速装置シリーズ構成に更なる検討を加えた結果、実際には必ずしも十分とはいえない状況が数多く存在していることを知得し、さらに、その状況の原因は遊星減速機と直交減速機の連結構造にあることに気がついた。
【0027】
具体的には、直交減速機と減速機とを「唯一(1つ)の取り合い面(連結面)」によって連結していたことが要因となって、減速装置を全体として捉えて伝達容量を判断せざるを得ない状態だったと考えられる。というのも、減速装置の伝達容量は歯車箱の肉厚や大きさ等から総合的に判断することになるが、特に上記取り合い面(連結面)の大きさに反映されることが多いからである。
【0028】
そこで、上記減速装置シリーズにおいては、減速機と直交減速機との間に継フランジを介在させることで「2つの連結面」により連結し、特定遊星減速機に対して直交減速機とを「独立」して複数種類用意可能として、これらの組み合わせによりシリーズを構成するようにした(本第1発明)。
【0029】
このようにすると、特定の遊星減速機(つまり特定の出力側取付面寸法を有する減速機)に対して、継フランジを交換すれば(つまり適当な継フランジを選択すれば)2以上の直交減速機(つまり2以上の異なる入力側取付面寸法の直交減速機)を容易に組み合わせてシリーズを構成することが出来るようになる。なお、このように「取付面寸法」に着目してシリーズを構成するようにしたのは、上述のように、取付面の大きさがその減速機の伝達容量に反映されれる場合が多いことを考慮したためである。
【0030】
又、全く同様に、特定の直交減速機に対して、所定の継フランジを介在させることで、遊星減速機群の中の少なくとも2個の相互に出力側取付面の取り合い寸法が異なる遊星減速機を組み合わせ可能にしてもよい(本第2発明)。
【0031】
この第2発明においても基本思想は第1発明と同様であり、結果として上記と同等の効果を得ることが出来る。なお当然に、第1発明と第2発明を組み合わせてシリーズを構成することも好ましい。
【0032】
この結果、例えば各取付面寸法が伝達容量に対応(反映)するように遊星減速機又は直交減速機を構成した場合には、以前のシリーズ構成に加えて(或いは変更して)、例えば以下のような態様を選択出来るようになる。
【0033】
(1)トルクリミッタ等を採用する場合には、遊星減速機の伝達容量は維持したままで、直交減速機の伝達容量を1ランク下げる(つまり、入力側取付面の寸法を1ランク下げる)ような態様
(2)制動機構(ブレーキ)を採用する場合には、遊星減速機の伝達容量は維持したままで、直交減速機の伝達容量を1ランク上げるげる(つまり、入力側取付面の寸法を1ランク上げる)ような態様
(3)相手機械側の取付面寸法が「既に決定している」場合において、その取付面寸法と一致する直交減速機をやむなく選択したが、遊星減速機側は最適な伝達容量を(その出力側取付面の大きさに制約を受けることなく)自由に選択して組み合わせる態様
(4)回転動力源(例えばモータ)側の取付面寸法が「既に決定している」場合において、その取付面寸法と一致する遊星減速機をやむなく選択したが、直交減速機は最適な伝達容量を(その入力側取付面寸法の制約を受けずに)選択して組み合わせる態様
(5)所定容量の遊星減速機に対して、その遊星減速機で選択された「減速比」に応じて最適な伝達容量の1段式減速機を組み合わせる態様
(6)1段式減速機の減速比と、遊星減速機の減速比との配分を最適化し、その結果により配分される伝達トルクに応じて最適な伝達容量を、その連結面の制約を受けることなくそれぞれ独立して選択して組み合わせる態様
【0034】
以上の態様が総てではないが、このようにシリーズ構成することで、使用者の要求に対して益々柔軟に対応できるようになり、伝達効率を高めると共に製造コストも低減される。これは、単純遊星歯車構造の特徴と直交伝達構造の特徴、及びこれらを組み合わせて減速装置を構成する際の特性を十分に検討した結果得られたものである。
【0035】
ところで、上記の「特定の揺動減速機」とは、1つでも構わないし複数でも構わないものである。例えば、遊星減速機群の中から複数(或いは全部)の遊星減速機を「特定」し、この複数の遊星減速機の「それぞれ」に対して、任意の2以上の直交減速機を組み合わせるようにしても良い。これは、減速装置シリーズを用意する者(提供者)、或いは使用者の要求に応じて最適な範囲内で「特定」してシリーズが構成すればよいことを意味する。
【0036】
このような減速装置シリーズの構成を模式的に例示すると図1に示すようになる。従来は1つの連結面による連結構造であった結果、遊星減速機の出力側取付面寸法S1、S2、S3・・・(伝達容量Y1、Y2、Y3・・・に対応する)に対して、この取付面寸法に1対1で対応する入力側取付面寸法T1、T2、T3・・・の直交減速機(伝達容量X1、X2、X3・・・に対応する)がそれぞれ組み合わされ、減速装置として対角線上に位置するA1、A2、A3・・・のみがシリーズの構成要素として用意されていたと考えられる。本発明を採用すれば例えば遊星減速機S1に対して直交減速機T1、T2を組合せ可能としたA1、B1や、遊星減速機S2に対して直交減速機T1、T2、T3を組合せ可能としたC1、A2、B2等を構成要素とする減速装置のシリーズを得ることができ、上記のような多方面にわたるメリットを得ることができる(本第1発明)。
【0037】
又、全く同様に、例えば直交減速機T1に対して遊星減速機S1、S2の組合せを可能としたA1、C1や、直交減速機T2に対して遊星減速機S1、S2、S3を組合せ可能としたB1、A2、C2等を構成要素とする減速装置のシリーズを得ることもできる(本第2発明)。
【0038】
このシリーズとしては、図1に示したような状態で使用者に任意に選択させて、最適な減速装置を提供するようにしてもよく、またこのシリーズを提供する者が事前に最適なシリーズを提供するべく、例えば相互に掛け合わせ可能なA1、B1、A2、C2、A3、B3(点線で囲まれた領域Qを参照)のみを具体的な構成要素として用意するようにしてもよい。
【0039】
ところで、上記の「特定の直交減速機」あるいは「特定の遊星減速機」とは、具体的なシリーズ中において1つでも構わないし複数でも構わない概念である。即ち、複数用意された直交減速機あるいは遊星減速機のいずれか1つでも、「複数の相手方減速機」に対応していればよく、減速機群の総てが「特定」の減速機に相当している必要はない。要は、減速装置のシリーズを用意するもの、或いは使用するものの要求に応じて最適な範囲内で所定の減速機を「特定」し、本発明のシリーズを構成するようにすればよい。
【0040】
例えば、図1において、今、以前と全く同様に減速装置A1、A2、・・・のみが用意されている状態で、S2−T3の組合せからなる減速装置B2のみが、追加的に組合せ可能とされている場合を考える。この場合も、「特定の減速装置A2における遊星減速機S2に対して、所定の継フランジを介在させることで、これと独立して複数用意された直交減速機群T1、T2・・・の中から少なくとも2個の直交減速機T2、T3を組合せ可能」としているため、本第1発明の範疇に入る。
【0041】
なお、この場合、減速装置A3の直交減速機T3に着目したときに、該直交減速機T3に対して遊星減速機S2、S3の双方が組合せ可能となっていれば本第2発明の範疇にも入ることになるが、T3に対しては従来のS3の組合せしか可能とされていない場合には第2発明の範疇には入らない。
【0042】
更に、本発明ではその趣旨より、直交減速機T1、T2、・・・Tn、遊星減速機S1、S2、・・・Sn、からなるマトリクスのみに限定されず、直交減速機T1、T2、・・・Ti、遊星減速機S1、S2、・・・Sjとなるような両者の全体数が異なるマトリクスでシリーズを組むことも可能となる。又、必ずしも以前のA1、A2、・・・に相当する減速装置をシリーズとして用意しなければならないという制約は存在しない。
【0043】
以上に示した前記遊星減速機は、一般的に、入力軸に対して一体となって回転する太陽歯車、該太陽歯車の周囲に配置されて該太陽歯車と外接噛合する遊星歯車、自身が固定されて前記遊星歯車と内接噛合する内歯歯車、及び前記遊星歯車の公転成分を取り出すキャリアを備える場合が多く、又直交伝達構造の前記直交減速機は、一端が入力側の前記傘歯車に連結されると共に他端が前記キャリアの軸孔に嵌合して該キャリアの回転を該傘歯車に伝達する伝達軸を備える場合が多い。
【0044】
このような場合において上記第1発明のように、特定の遊星減速機に2以上の直交減速機を組み合わせる場合、この少なくとも2個の前記直交減速機が各々備える相互に外径の異なる伝達軸のその外径に対応させて、特定の遊星減速機が有するキャリアを、軸孔の内径が相互に異なるようにして複数用意しておき、このキャリアと伝達軸を連結可能にする事が好ましい。
【0045】
このようにすると、キャリアの「素材」は変更する必要が無いので、この共通素材に対して単に軸孔径が異なるように適宜加工すれば、連結軸の特別な設計変更も要さずに上記シリーズを構成することが出来るようになる。その結果、低コストで本発明を実施できる。
【0046】
なお、これは上記第2発明においても同様である。具体的には、特定の前記直交減速機が有する前記伝達軸の所定外径に対応させて、少なくとも2個の遊星減速機が各々有する相互に大きさの異なるキャリアを、伝達軸の所定外径と一致する共通の軸孔を有するように用意して、該大きさの異なる各キャリアと前記伝達軸とを連結可能にすればよい。
【0047】
この場合でも、キャリアの大きさが異なる毎に複数の伝達軸を準備するのではなく、大きさの異なるキャリアに「共通の」軸孔が形成されるので、「共通の」伝達軸を採用することが出来るようになる。
【0048】
なお、上記のシリーズを構成する場合には、その組立の困難性等も十分に考慮しなければならないが、例えば遊星減速機と直交減速機以下のようにして連結するとよい。
【0049】
即ち、入力軸に対して一体となって回転する太陽歯車、該太陽歯車の周囲に配置されて該太陽歯車と外接噛合する遊星歯車、自身が固定されて前記遊星歯車と内接噛合する内歯歯車、及び前記遊星歯車の公転成分を取り出すキャリアを備える単純遊星歯車構造の遊星減速機と、この遊星減速機の前記キャリアに連結されてその回転動力が入力される伝達軸、該伝達軸に同軸的に設けられる入側傘歯車、及び該入側傘歯車と噛合する出側傘歯車を備える直交伝達構造の直交減速機と、を備える減速装置における遊星減速機及び直交減速機の連結構造において、自身の両端に形成される入側及び出側連結面によって、前記遊星減速機の出力側取付面と前記直交減速機の入力側取付面とを連結可能な筒状の継フランジを、該揺動減速機と該直交減速機との間に介在させると共に、前記継フランジの内周に、前記入側傘歯車に同軸的に設けられる前記伝達軸、及び該伝達軸に連結される前記キャリアを回転自在に配設すればよい。
【0050】
このようにすれば、継フランジの有効活用が図られて、装置全体をコンパクトに構成することができるようになる。
【0051】
特に、この場合には、この継フランジ、伝達軸及びキャリアを、減速装置の残りの部分に対して一体的に組み込み・取り外し可能にするのが好ましい。
【0052】
このようにすれば、直交減速機側、(直交減速機と遊星減速機の双方の要素を含んだ)継フランジ部分、遊星減速機側をそれぞれ独立して組み立てて、この3体を最終的に組み上げて減速装置を構成することが出来るので、製造・組立コストが抑制されるとともにメンテナンス性が向上する。又、直交減速機を相手機械側に連結した状態、或いは動力源に遊星減速機を連結した状態でも、継フランジを介して減速装置を分解することが出来るようになる。このことは特に、上記にようにシリーズを構成する際に好適であり、相手側機械に直交減速機を連結した状態であっても、遊星減速機を他のものに交換すれば(シリーズ内の)他の減速装置に変更することが出来るようになる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0054】
図2に本発明の実施形態に係る遊星減速機装置シリーズの構造要素の一つである減速装置103を示す。この減速装置103は、伝達容量Yの単純遊星歯車構造の遊星減速機104と、この遊星減速機104の出力側に連結されて伝達容量がXとなる直交減速機105と、を備える。直交減速機105は、べベルピニオン116及びべベルギア118からなる一対の傘歯車による直交伝達構造であり、所定の減速比(ここでは約1/3)でもって回転動力を直角方向に変換する。なお、以下に具体的に示す構成または作用等を除いては、すでに従来の例で示した減速装置3とほぼ同様であるので、同一または類似する部材・部分については減速装置3と下二桁を同一符号を付することによって構成・作用などの具体的な説明は省略する。
【0055】
遊星減速機104は、モータ軸(入力軸)102Aと同軸に連結される太陽歯車106と、この太陽歯車106の周囲に配置され該太陽歯車106と外接噛合する(4つの)遊星歯車108と、モータ軸102Aと同心状に配置され、上記遊星歯車108と内接噛合する内歯歯車110と、遊星歯車108の公転成分を取出すキャリア112と、を備える。
【0056】
べべルギヤ118やべべルピニオン116を内部に収容し、出力軸120を回転自在に支持する歯車箱124には、円周方向に所定間隔で形成されるボルト孔42を有する入力側取付面124Bが形成されている。又、この入力側取付面124Bには、開口40が形成されており、後述する継フランジ44の一部が挿入されるようになっている。べべルピニオン116は、キャリア112に対してスプライン結合している伝達軸46の一端に同軸的にに連結(又は形成)されている。ここで、入力側取付面124Bのボルト孔42が形成される円軌跡の直径をTとし、本実施形態に限ってはこれを入力側取付面の寸法Tと定義する。
【0057】
内歯歯車110の出力側端面には、周方向に一定の間隔で形成されたボルト孔48を有する出力側取付面50が形成されている。なお、このボルト孔48が形成される円軌道の直径をSとし、本実施形態に限ってはこのSを出力側取付面50の寸法Sと定義する。なお、この取付面の寸法S、Tの概念は上記に限定されず、当シリーズを構成しようとする設定者等が適宜定義すればよいものである。
【0058】
次に、減速装置103における遊星減速機104と1段式直交減速機105の連結構造について説明する。
【0059】
これらの遊星減速機104と直交減速機105の間には、円筒状の継フランジ44が介在するようにして配置されている。この継フランジ44は、自身の両端に入側連結面44A及び出側連結面44Bが形成されたいわゆる両フランジ構造となっている。従って、遊星減速機104の出力側取付面50は、継フランジ44の入側連結面44Aとボルトによって連結され、一方、1段式直交減速機105の入力側取付面124Bは、継フランジ44の出側連結面44Bとボルトによって連結される。
【0060】
更にこの継フランジ44の内周には、軸受128を介して、べべルピニオン116が一体的に連結される伝達軸46が回転自在に配設され、キャリア112も同様に、軸受130を介して回転自在に配設される。さらに具体的に説明すると、キャリア112にはスプライン状の軸孔112Cが形成されており、伝達軸46の一端とスプライン結合している。この伝達軸46の他端にはベベルピニオン116が同軸状に設けられているので、以上の構成から、伝達軸46を介してキャリア112の回転がベベルピニオン116に伝達にされる。なお、これらの軸受128、130の配置はこの場合に限定されるものではなく、1つの軸受で全て(伝達軸46及びキャリア112)を支持するようにしてもよく、又、伝達軸46を2つの軸受で支持するようにしてもよい。要は、継フランジ44の内周側において、キャリア112と伝達軸46とが一体となった状態で回転自在に保持されていればよい。このようにすると、継フランジ44、伝達軸46及びキャリア112を、減速装置103の残りの部分に対して一体的に組み込んだり、取り外したりすることができる。
【0061】
以上に示した減速装置103によれば、遊星減速機104と直交減速機105との間に継フランジ44が介在しているので、出力側取付面50の寸法Sと入力側取付面124Bの寸法Tとを独立して変更できることになる。これは、継フランジ44を別のものに交換することによって達成される。つまり、継フランジ44においては、これらの各寸法S、Tと一致するように入側連結面44Aおよび出側連結面44Bが形成される。
【0062】
なお、この減速装置103においては、遊星減速機104の伝達容量Yに連動して、キャリア112におけるキャリアピン112Aが配置される円軌道の直径Kも変動する。つまり、出力側取付面50の寸法Sが小さくなると上記寸法Kも小さくなるように設定されている。一方、伝達軸46の外径Dについても、直交減速機105の入力側取付面124Bの伝達容量Xと連動する。即ち、入力側取付面124Bの寸法Tが小さくなると、上記寸法Dも小さくなるように設定される。
【0063】
次に、上記に示した減速装置を複数用意して構成される減速装置シリーズについて詳細に説明する。なお、減速装置については図2に示した減速装置103の符号等に基づいて説明することにする。
【0064】
この減速装置シリーズは、遊星減速機104が、自身の出力側取付面50の寸法Sが互いに異なるように(すなわち、S1<S2<S3・・・となるように)複数用意されて構成される遊星減速機群Gと、直交減速機105が、自身の入力側取付面124Bの寸法Tが互いに異なるように(すなわち、T1<T2<T3・・・となるように)複数用意されて構成される直交減速機群Iと、この遊星減速機104と直交減速機105との間に介在するように配置される継フランジ44が入側連結面44A及び出側連結面44Bの寸法(すなわち、上記寸法S、Tに対応する)の組み合わせが異なるように複数用意されて構成される継フランジ群Fと、を備える。
【0065】
具体的に図3に示されるように、寸法S1、S2、S3、S4・・・となる遊星減速機群Gと、寸法T1、T2、T3、T4・・・となる直交減速機群Iとによって、マトリックスMが形成される。このマトリックスM内における(減速装置103がシリーズとして用意される場所の)各セルUに対応して、各継フランジがそれぞれ用意されるので、これらの複数の継フランジが集合して継フランジ群Fが構成される。すなわち、本実施例では継フランジ群Fにおける継フランジの数と、減速装置シリーズが用意する減速装置の数とが一致していることになる。
【0066】
以上の構成を採用した結果、この減速装置シリーズは、例えば特定の減速装置A1、A2、A3、A4における遊星減速機(出力側取付面寸法がS1、S2、S3、S4となる遊星減速機104)のそれぞれに対して、継フランジ群Fの中から選択された所定の継フランジ44を介在させることで、直交減速機群Iの中の少なくとも2個の相互に入力側取付面寸法Tが異なる直交減速機(詳細は下記参照)を組み合わせ可能な状態になっている。
【0067】
つまり、図3に示す遊星減速装置のシリーズにおいては、特定の寸法がS1となる遊星減速機104に対しては、寸法がT1及びT2の2つの直交減速機105が組み合わされており、A1、B1の減速装置103が構成されている。また、特定の寸法がS2の遊星減速機104に対しては、選択されたT1、T2、T3の3つの直交減速機105が組み合わされ、C1、A2、B2の減速装置103が構成されている。さらに、特定の寸法S3の遊星減速機104に対しては、寸法T2、T3、T4の3つの直交減速機が組み合わされ、C2、A3、B3の減速装置103が構成されている。特定の寸法S4の遊星減速機104に対しては、寸法T3、T4の直交減速機105が組み合わされてC3、A4の減速装置103が構成されている。これは、すでに説明したように各セルUに対応して所定の継フランジ44が用意されていることによる。
【0068】
さらに、例えば、特定の減速装置A4における直交減速機(入力側取付面寸法T4となる直交減速機)に対して、所定の継フランジ44を介在させることにより、遊星減速機群Gの中から選択された3個の出力側取付面50の寸法Sが異なる遊星減速機104(ここでは寸法S3、S4、S5となる3つの遊星減速機104を選択する)を組み合わせ可能な状態となっており、これによってB3、A4、C4の減速装置103が構成されている。なお、他にも減速装置A2における直交減速機T2について考えれば、S1、S2、S3の遊星減速機と組合せ可能な状態となっているといえる。
【0069】
次に、以上に示した各減速装置からなる減速装置シリーズの作用について説明する。
【0070】
以前は、遊星減速機104と直交減速機105を組み合わせた状態の減速装置103を一体的なものとして捉えて「全体」の伝達容量を階段状に変化させ、それによりシリーズを構成していた。従って、図3のマトリックスに仮に対応させるとすれば、A1、A2、A3、A4・・・のシリーズのみが構成されていたことになる。しかしながら、本第1実施形態に係わる減速装置シリーズによれば、B1、B2、B3・・・や、C1、C2、C3、C4・・・の減速装置103もシリーズとして構成することができるようになり、具体的に以下に示すような状況に柔軟に対応できるようになる。これは、出力側取付面50の寸法Sや、入力側取付面124Bの寸法Tは、一般的に遊星減速機104及び直交減速機105の伝達容量Y及びXを反映したものとして考えることができるからである。
【0071】
(1)例えば通常では減速装置A2が適用されるところ、遊星減速機104にトルクリミッタが設置されることで、1段式直交減速機105に入力される伝達トルクが常に所定値以下であることが確保される場合には、この1段式直交減速機105の入力側取付面寸法T2を小さくしてT1とし、直交減速機の伝達容量Xが小さく設定されたC1の減速装置103を使用するような態様
(2)通常は減速装置A2が採用されるところ、動力源側に制動機構(ブレーキ)が採用されたために相手機械の停止状態を確実に保持する必要性が生じ、1段式直交減速機105の寸法T2を大きくしてT3とし、直交減速機の伝達容量Xが大きく設定されたB2の減速装置を採用するような態様
(3)相手機械側の取付面寸法が既に決定しており、これに対応できる1段式直交減速機105がT3しかなく従来であれば減速装置A3を選択しなければならないところ、遊星減速機104側の伝達能力Yが不必要に大きいという理由から、S3を1ランク下げてS2として伝達容量Yが小さく設定されたB2の減速装置103を選択する態様
(4)動力発生源(モータ)の容量が比較的大きいがために寸法S2の遊星減速機104を採用するために従来であれば減速装置A2を選択しなければならないところ、遊星減速機104の減速比が低く設定されたために相対的に1段式直交減速機105の伝達容量Xが大きくなり過ぎたため、寸法T2を1ランク下げてT1とし、伝達容量Xが小さく設定されたC1の減速装置103を採用するような態様
【0072】
以上に示した各種態様はほんの一例であるが、このようにシリーズが構成されることで、使用者の要求に更に柔軟に対応することができ、その結果、伝達効率も高めることができる。又、本発明の案出過程では、A1、A2、A3・・・のように比較的大きい間隔で(総合)伝達能力が設定されていたが、本実施形態に係る減速装置シリーズによれば、A1、C1、A2、C2、A3、C3・・・の順にきめ細かな間隔で(総合)伝達能力を設定することも可能となり、使用者の伝達容量の要求に的確に(最適な状態で)対応できるようになる。しかも、本実施形態に係る継フランジ144を各減速装置によって選択しなければならないことを除いては、他の部品(例えば単純遊星歯車構造や直交伝達構造)は案出過程中のものをそのまま利用・共用(詳細は第2実施形態で述べる)できるので、極めて合理的にシリーズを構築することができる。
【0073】
次に、本発明の第2実施形態に係る減速装置シリーズについて説明する。なお、減速装置の構成は第1実施形態と同様であるので、図2に示した減速装置103の符号に従って説明する。
【0074】
図4に示されるように、この減速装置シリーズは、寸法SがS1、S2、S3となる3つの遊星減速機104からなる遊星減速機群Gと、寸法TがT1、T2、T3となる3つの直交減速機105からなる直交減速機群Iと、を備える。
【0075】
当シリーズを構成する特定の減速装置A2に対応する寸法S2の遊星減速機104に対して、直交減速機群Iの中から選択された3つの寸法(T1、T2、T3)の直交減速機が組み合わされるようになっており、これによってB1、A2、C2の3つの減速装置103がシリーズとして構成されている。
【0076】
また当シリーズを構成する特定の減速装置C1に対応する寸法T2の直交減速機105に対して、遊星減速機群Gの中から選択された3個の(寸法S1、S2、S3となる)遊星減速機104が組み合わされており、これによってC1、A2、B2の3つの減速装置103がシリーズとして構成されている。なお、減速装置シリーズにおいて用意される各減速装置A2、B1、B2、C1、C2に対して、それぞれ所定の継フランジ44が用意されており、これら全体から継フランジ群Fが構成されている。
【0077】
この減速装置のシリーズによれば、一般的な状況ではA2の減速装置103が採用されるが、相手機械側の取付面の構造や、遊星減速機104の減速比などを考慮して、適宜B1、B2、C1、C2の4方向にシフトさせることができる。つまり、その状況(要求)に応じてさらに4種類のバリエーションが追加され、柔軟に対応できるようになっている。なお、その各種要因としては既に第1実施形態で例示しているので説明は省略する。
【0078】
すでに示したように、上記のような減速装置シリーズを構成する場合、各遊星減速機103に対応させて継フランジ44を準備しなければならない。従って、図2に示されるように、この継フランジ44の内部に収容されるキャリア112や伝達軸46なども各々対応させて用意していたのでは、準備しなければならない部品点数(在庫)が膨大になるので非合理的である。そこで、本発明者は下記のような手段によって部品点数を大幅に減少させており、以下それについて詳細に説明する。
【0079】
図5に、図4の減速装置シリーズに対応したキャリア112、伝達軸46及びベベルピニオン116の組み合わせを示す。減速装置3における遊星減速機104の寸法Sが大きくなることは、この遊星減速機104の伝達容量Yが大きくなることを意味するので、それに対応してキャリア112の寸法KもK1<K2<K3と大きくして剛性を高めなければならない。
【0080】
その一方で、直交減速機105の寸法Tが、T1<T2<T3のように徐々に大きくなることは、伝達容量Xも徐々に大きくなることを意味しているので、それに対応して伝達軸46の外形寸法DもD1<D2<D3と大きくしなければならない。このような組み合わせを実現するためにキャリア112と伝達軸46とを一体的に製造して(継フランジと同等数量を)それぞれ準備していたのでは、在庫数も膨大となって合理的ではない。
【0081】
そこで本発明者は、キャリア112に形成されるキャリア穴112Cのみを適宜加工することで、キャリア112の「素材」、及び伝達軸46を可能な限り共通化することができることを案出した。
【0082】
つまり、まず、シリーズにおけるB1、A2、C2に対応する減速装置3について考えると、直交減速機群Iの中の3つの直交減速機(寸法TがT1、T2、T3となる直交減速機)105がそれぞれ備える3種類の外径D1、D2、D3の伝達軸46に対応させて、特定の減速装置A2における寸法がS2の遊星減速機104が有するキャリア112を、(素材及び寸法K2は共通にして)軸孔112Cの内径が相互に異なるように(すなわちD1、D2、D3と一致するようにして)複数用意して、このキャリア112と各伝達軸46を連結可能にすればよい。
【0083】
次に、シリーズにおけるC1、A2及びB2の減速装置103について考えると、特定の減速装置A2における寸法がT2となる直交減速機105が有する伝達軸46の外径D2に対応させて、遊星減速機群Gの中の寸法S1及びS3の2個の遊星減速機104がおのおの有する寸法がK1<K3となる大きさの異なるキャリア112を、伝達軸46の外径D2と一致する共通の軸孔112Cを有するように用意(加工)して、大きさの異なる各キャリア112と「共通の」伝達軸46とを連結できるようにすればよい。このようにすれば、キャリア112側の寸法変動が生じても、伝達軸46は常に共通の素材を用いることができるようになる。
【0084】
以上のことから、シリーズを広範囲にわたって構成したとしても、軸孔112Cによって合理的に対応させることにより、部品又は「素材」の共通化が達成されて、きわめて合理的にシリーズを構成させることができる。実際にこの第2実施形態のシリーズでは、3種類のキャリア用素材と3種類の連結軸とで総ての減速装置が構成されている。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、技術的に合理的な基礎に基づいて、相手機械や回転動力源などの仕様に柔軟に対応し、伝達効率を最適な状態に維持することできる減速装置シリーズを得ることができる。また、このようなシリーズを構成する際に好適な減速装置の連結構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る減速装置のシリーズの構成を模式的に示すマトリックス
【図2】同減速装置シリーズを構成する減速装置を示す断面図
【図3】同減速装置シリーズの構成を示すマトリックス
【図4】本発明の第2実施形態に係る減速装置シリーズの構成を示すマトリックス
【図5】同減速装置シリーズを構成する場合のキャリア及び伝達軸の仕様を示す概念図
【図6】本発明の案出過程における減速装置を示す断面図
【符号の説明】
103…減速装置
104…遊星減速機
105…直交減速機
116…ベベルピニオン
118…ベベルギア
44…継フランジ
44A…入側連結面
44B…出側連結面
112C…軸孔
50…出力側取付面
124B…入力側取付面

Claims (4)

  1. 単純遊星歯車構造の遊星減速機と該遊星減速機の回転動力が入力される一対の傘歯車を有する直交伝達構造の直交減速機とを備える減速装置を、複数用意してなる減速装置のシリーズにおいて、
    当シリーズを構成する前記減速装置における前記直交減速機が、前記遊星減速機の出力側取付面寸法と独立して自身の入力側取付面寸法が互いに異なるように複数用意され、
    特定の前記減速装置における特定の枠番の前記遊星減速機に対して、自身の両端に入側及び出側連結面を有する筒状の所定の継フランジを介在させることで、複数用意された前記直交減速機群の中から少なくとも2個の相互に枠番及び前記入力側取付面寸法が異なる直交減速機を組み合わせ可能にし、
    前記継フランジが、内周面で前記遊星減速機から前記直交減速機へと前記傘歯車を介して動力を伝達する伝達軸を回転可能に支持する軸受を支持し且つ外周面で前記直交減速機の歯車箱に形成された開口の内周面に支持される突起部を有する
    ことを特徴とする減速装置のシリーズ。
  2. 単純遊星歯車構造の遊星減速機と該遊星減速機の回転動力が入力される一対の傘歯車を有する直交伝達構造の直交減速機とを備える減速装置を、複数用意してなる減速装置のシリーズにおいて、
    当シリーズを構成する前記減速装置における前記遊星減速機が、前記直交減速機の入力側取付面寸法と独立して自身の出力側取付面寸法が互いに異なるように複数用意され、
    特定の前記減速装置における特定の枠番の前記直交減速機に対して、自身の両端に入側及び出側連結面を有する筒状の所定の継フランジを介在させることで、複数用意された前記遊星減速機群の中から少なくとも2個の相互に枠番及び前記出力側取付面の取り合い寸法が異なる遊星減速機を組み合わせ可能にし、
    前記継フランジが、内周面で前記遊星減速機から前記直交減速機へと前記傘歯車を介して動力を伝達する伝達軸を回転可能に支持する軸受を支持し且つ外周面で前記直交減速機の歯車箱に形成された開口の内周面に支持される突起部を有する
    ことを特徴とする減速装置のシリーズ。
  3. 請求項1において、
    前記単純遊星歯車構造の前記遊星減速機が、入力軸に対して一体となって回転する太陽歯車、該太陽歯車の周囲に配置されて該太陽歯車と外接噛合する遊星歯車、自身が固定されて前記遊星歯車と内接噛合する内歯歯車、及び前記遊星歯車の公転成分を取り出すキャリアを備えると共に、
    前記直交伝達構造の前記直交減速機が、一端が入力側の前記傘歯車に連結されると共に他端が前記キャリアの軸孔に嵌合して該キャリアの回転を該傘歯車に伝達する伝達軸を備えるように構成し、且つ
    前記直交減速機群の中の少なくとも2個の前記枠番の異なる直交減速機が各々備える相互に外径の異なる前記伝達軸の該外径に対応させて、前記特定減速装置における前記特定の枠番の遊星減速機が有する前記キャリアを、前記軸孔の内径が相互に異なるようにして複数用意して、該キャリアと前記伝達軸を連結可能にした
    ことを特徴とする減速装置のシリーズ。
  4. 請求項2において、
    前記単純遊星歯車構造の前記遊星減速機が、入力軸に対して一体となって回転する太陽歯車、該太陽歯車の周囲に配置されて該太陽歯車と外接噛合する遊星歯車、自身が固定されて前記遊星歯車と内接噛合する内歯歯車、及び前記遊星歯車の公転成分を取り出すキャリアを備えると共に、
    前記直交伝達構造の前記直交減速機が、一端が入力側の前記傘歯車に連結されると共に他端が前記キャリアの軸孔に嵌合して該キャリアの回転を該傘歯車に伝達する伝達軸を備えるように構成し、且つ
    前記特定減速装置における前記特定の枠番の直交減速機が有する前記伝達軸の所定外径に対応させて、前記遊星減速機群の中の少なくとも2個の前記枠番の異なる遊星減速機が各々有する相互に大きさの異なる前記キャリアを、前記伝達軸の所定外径と一致する共通の軸孔を有するように用意して、該大きさの異なる各キャリアと前記伝達軸とを連結可能にした
    ことを特徴とする減速装置のシリーズ。
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