JP4233919B2 - カウンターウエイト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械に用いられるカウンターウエイトに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりフォークリフト等の建設機械に用いられるカウンターウエイトとしては、鋳造製カウンターウエイト、板金製カウンターウエイト等がある。
重量の重いカウンターウエイトが必要な場合、板金製(ボックス型)では重量の割には体積が大きくなり、形状・大きさに制限があると採用できないという欠点がある。
また、カウンターウエイトが大きい場合、一体型としての製作が困難であるため、複数のウエイト部材(カウンターセグメント)による分割型とすることでこれを解消している。そして、このウエイト部材同士の連結は、ボルトナットにより行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−143165号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のような分割型のカウンターウエイトでボルトナットにより相互の連結を行なう場合、組み立てに際し、ウエイト部材が重いため、ボルトナットによる締めつけ作業が危険でかつ困難であり、作業に注意が必要で、作業工数が多く発生するという問題点がある。また、連結用には特殊なボルトナットが必要とされ、これもコストアップの要因となっている。さらに、組み立てに際し、ウエイト部材同士の位置決め作業に手間を要するという問題点もある。
また、一つのウエイト部材に水平方向の力が作用する場合───例えば一つのウエイト部材に牽引用フックが取着される場合───、他のウエイト部材との間において、その力がボルトに剪断力として作用してしまうため、構造上好ましいものではなかった。
【0005】
そこで本発明は、構造を簡素化でき、組み立てが容易となるカウンターウエイトを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るカウンターウエイトは、複数個のウエイト部材が連結されて成る作業車両のカウンターウエイトに於て、上記ウエイト部材同士は、少なくとも一部において上下に重なり状となって連結される構成とされ、該ウエイト部材同士は、上下重なり面において、夫々のウエイト部材に形成された、円錐台状の凸部と、円錐台状の凹孔と、が相互に嵌まり合って、連結され、かつ、上記ウエイト部材同士の間のボルトナットを省略し、さらに、上記ウエイト部材は鋳造品とされ、上記凸部と上記凹孔は表面処理されることなく鋳放しの状態のままとされている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態に基づき、本発明を詳説する。
【0008】
本発明に係るカウンターウエイトは、例えばフォークリフト等の作業車両(建設機械)に用いられるものであり、図1は、フォークリフトの車体フレーム4に取着されるカウンターウエイトの分解斜視図である。
このカウンターウエイトは、車両の後部側に取り付けられ、車両の前方部における荷物等の持ち上げや吊り上げによる荷重に対して、車両の後部にて車両のバランスを取るウエイトとなる。また、図2は分解側面図であり、図3は組み立て後の側面図である。
【0009】
本発明に係るカウンターウエイトは、複数個のウエイト部材1…が連結されて成るものであり、ウエイト部材1…同士は、夫々において形成された、円錐台状の凸部2と、円錐台状の凹孔3と、が相互に嵌まり合って、連結される。
つまり、連結される二個のウエイト部材1,1を取り出して説明すると、一方に突出状に形成した円錐台形凸部2と、他方に形成した円錐台形の窪部となる凹孔3とが嵌合するものであり、本発明のカウンターウエイトは、ウエイト部材1,1間の結合を(ボルトを使用することなく)、凸部2(オス部)と、凸部2の形状に対応した凹孔3と、の各部分のみにおける嵌合にて行なった分割型のカウンターウエイトであると言える。
【0010】
図1と図2と図3においては、ウエイト部材1の数を2個としているが、ウエイト部材1の数は、図示省略するがこれに限らず3個、4個…としてもよい。
また、ウエイト部材1は、少なくとも一部において上下に重なり状となって連結される構成とされ、上下重なるウエイト部材1,1同士は、上下重なり面において、凸部2と、凹孔3と、が相互に嵌合して、連結される。以下、カウンターウエイトの説明を、2個の場合(2分割カウンターウエイト)として説明する。
【0011】
カウンターウエイトは、上ウエイト部材5と下ウエイト部材6とが連結されて、一体状とされるものであり、夫々の形状は、カウンターウエイトが固定されるフレーム4の(後部)形状に対応するよう構成されている。
つまり、下ウエイト部材6は、フレーム4の端部(後端部)の受け台部7に載置状となる載置ブロック部8と、ボルト等による第一連結部材11にてフレーム4に固定されると共にフォークリフトFの後面下部を形成する鉛直壁状の外装ブロック部9と、を有する。また、20は、車両(フォークリフトF)の後輪側の車軸部となる。
【0012】
これにより、下ウエイト部材6は、外装ブロック部9にてフォークリフトFの後端部を保護すると共に、載置ブロック部8により下ウエイト部材6自身の自重をフレーム4にあずけることができ、構造的に安定したものとできる。そして、第一連結部材11により下ウエイト部材6が脱落しないよう固定できる。
【0013】
上ウエイト部材5は、下ウエイト部材6に、凸部2と凹部3を介して、載置状となる第一ブロック部15と、第一ブロック部15の左右両側部から前方方向へ延伸状となる平行な一対の第二ブロック部16,16と、から成り、平面視においてコ字状とされている。そして、第一ブロック部15がフレーム4の後方側から、第二ブロック部16,16がフレーム4の左右方向両側から、フレーム4を三方から囲むようにして、上ウエイト部材5がフレーム4に第二連結部材12及び第三連結部材13により固定される。
【0014】
また、上ウエイト部材5の第二ブロック部16,16は、フレーム4の後部両側面に設けた固定部19,19に載置状となって、第三連結部材13,13により固定され、さらに、上ウエイト部材5の第一ブロック部15が下ウエイト部材6に載置状となり、上ウエイト部材5は、安定してフレーム4に固定されることとなる。
なお、第一連結部材11、第二連結部材12、第三連結部材13は、ボルト、座金、バネ座金等とすればよい。また、上・下ウエイト部材5,6は、フレーム4に対して、シム部材により高さ、傾き等の位置調整を行ない固定される。
【0015】
そして、一組の、下ウエイト部材6の水平状の上端面17に形成した凸部2と、上ウエイト部材5の第一ブロック部15の水平状の下端面18に形成した凹孔3と、により、上・下ウエイト部材5,6が連結されている。なお、図1と図2と図3では、凸部2を下ウエイト部材6の上端面17に形成し、凹孔3を上ウエイト部材5の下端面18に形成しているが、これとは逆に、図示省略するが、凸部2を上ウエイト部材5の下端面18に形成し、凹孔3を下ウエイト部材6の上端面17に形成してもよい。さらに、図示省略するが、下ウエイト部材6と上ウエイト部材5間において、相互が嵌合する一組の凸部2と凹孔3を、複数組形成してもよい。
【0016】
凸部2は、平坦面(下ウエイト部材6の上端面17)から円錐台形に突出状となる部分であり、ウエイト部材1(下ウエイト部材6)の本体と一体として(同時に)鋳造により成型されている。そして、凹孔3は、平坦面(上ウエイト部材5の下端面18)から円錐台形に形成された窪部であり、ウエイト部材1(上ウエイト部材5)の本体と一体として(同時に)鋳造により成型されている。凸部2及び凹孔3の錐形状は、円であるため、鋳造による欠陥が生じにくい。
【0017】
円錐台形の凸部2と凹孔3とは、正面視において(前方から見て)、カウンターウエイト全体の鉛直方向の中心線上に位置されるよう形成され、凸部2と凹孔3の夫々の軸心は、同一鉛直線上に配置されるよう構成されている。そして、凸部2が凹孔3へ挿入状となって下ウエイト部材6と上ウエイト部材5とが所定の一体形状となる。また、凸部2の錐面(テーパー面)と凹孔3の錐面(テーパー面)とは全面にわたって接触するよう形成され、凸部2の錐面は凹孔3の錐面に接触するまで挿入状となり、上ウエイト部材5の重みにより相互間の接触面積が広くなる。
【0018】
また、図3に示すように、凹孔3の底面と凸部2の上面(頂面)とは、相互の錐面は全周にわたり接触状態となって、小寸法の隙間が生じるよう設定されている。さらに、相互の錐面が接触状態で、上ウエイト部材5の下端面18と下ウエイト部材6の上端面17との間において、小寸法の隙間が生じるよう構成されており、全体の傾き等の位置調整を可能としている。
【0019】
また、凸部2と凹孔3は、表面処理されることなく鋳放しの状態のままとされている。これにより、ウエイト部材1の製作工数の低減が可能となってコストダウンが図れる。なお、凸部2と凹孔3の表面が多少荒くても、ウエイト部材1自身の重みにより相互の密着状態を得ることができる。
【0020】
或いは、凸部2と凹孔3は、切削又は研磨機械等により研削加工(機械加工)された表面を有するようにしてもよい。つまり、研削加工(機械加工)された表面を有する部材を別途製作し、取り付ければよく、または、鋳込むようにすればよい。これにより、ウエイト部材1同士の位置合わせが精度良く行なえ、また、凸部2と凹孔3との接触面の密着度が高まり、さらに、片当たりすることなく均一に接触できるため結合力が高まり、また、荷重を均一に分散させることができる。
【0021】
さらに、凸部2と凹孔3のテーパー角度θ(図2参照)は大きいため、上ウエイト部材5と下ウエイト部材6とを上下重ねてからも、これらの多少の角度調節が行なえる。具体的に説明すると、そのテーパー角度θは、20°〜35°とされている。テーパ角度θが20°未満の場合、凸部2と凹孔3との間でくいつきが生じやすくなり、組付け時の位置ずれ修正が困難となる。また、テーパ角度θが35°を超えると上ウエイト部材5と下ウエイト部材6との間の連結が緩くなるおそれがある。
【0022】
さらに、図示省略するが、下ウエイト部材6には、車両の牽引用フックが取着されている。従って、牽引による荷重(力)は、まず下ウエイト部材6に作用し、上ウエイト部材5へもその荷重を伝達させる。この際、上・下ウエイト部材5,6の差し込み嵌合部の形状が円錐形状であり、凸部2と凹孔3とが密着しているため、その荷重を、上ウエイト部材5の全体に、局部的な集中荷重として作用させることなく、分散させて伝達させることができる。
また、凸部2と凹孔3のテーパー角度θは、下ウエイト部材6に牽引力が作用した際に、上ウエイト部材5がそのテーパー形状によって持ち上がらないように設定されている。つまり、上ウエイト部材5の押さえつける力(自重)に対して、テーパー形状によって生ずる上向きの力が大きくならないようにしている。
【0023】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により次のような効果を奏する。
【0024】
連結用のボルトナットを用いることがなく、製作、組み立て共においてコストダウンが図れる。つまり、ウエイト部材1同士の組み立てにおいて芯合わせが極めて簡単となる。ウエイト部材1間の位置決めが正確に行なえ、位置ずれが防止でき、外観において好ましいものとできる。
さらに、一つのウエイト部材1(下ウエイト部材6)に牽引用フックを設けた場合において、そのウエイト部材1に作用する荷重を、他のウエイト部材1へ錐面を介して分散させて伝達できる。つまり、ウエイト部材1相互間の荷重伝達の系統が良好である構成が得られ、凸部2と凹部3とにより、複数のウエイト部材1から成る分割型カウンターウエイトであるが、外力に対して、一体的な構造として扱うことができる。
【0025】
また、ウエイト部材1の重みにより、凸部2と凹孔3との密着度が高まり、固定用のボルトナットを用いることなく、安定したカウンターウエイトを構成できる。
上下のウエイト部材1,1間の水平方向の位置決めを正確にし、組み立て後、ウエイト部材1,1間の横ずれを無くし、外観上の美観を損なわないようにすることができる。
【0026】
また、鋳造により作製するため、体積のコンパクト化が図れ、滑らかな(なだらかな)曲面を持つウエイト部材1とすることができ、きれいな外装を得ることができる。
製作工数の低減が可能となってコストダウンが図れ、また、ウエイト部材1の重みにより凸部2と凹孔3の表面が多少荒くても、相互密着状態を得ることができる。従って、連結するウエイト部材1,1間にボルトナットが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカウンターウエイトの分解斜視図である。
【図2】カウンターウエイトの分解側面図である。
【図3】カウンターウエイトの組み立て側面図である。
【符号の説明】
1 ウエイト部材
2 凹孔
3 凸部
Claims (1)
- 複数個のウエイト部材(1)が連結されて成る作業車両のカウンターウエイトに於て、
上記ウエイト部材(1)同士は、少なくとも一部において上下に重なり状となって連結される構成とされ、該ウエイト部材(1)同士は、上下重なり面において、夫々のウエイト部材(1)に形成された、円錐台状の凸部(2)と、円錐台状の凹孔(3)と、が相互に嵌まり合って、連結され、
かつ、上記ウエイト部材(1)同士の間のボルトナットを省略し、
さらに、上記ウエイト部材(1)は鋳造品とされ、上記凸部(2)と上記凹孔(3)は表面処理されることなく鋳放しの状態のままとされたことを特徴とするカウンターウエイト。
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