JP4233344B2 - レベル変換回路及びレベル変換方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレベル変換回路及びレベル変換方法に関し、特に信号をレベルシフトして出力するレベル変換回路及びレベル変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
前段の演算増幅器と後段の演算増幅器の入力レンジに差がある場合、前段の演算増幅器から出力される信号レベルが、後段の演算増幅器の入力レンジに適合するように演算増幅器間にレベル変換回路が挿入される。
【0003】
図7は、従来のレベル変換回路の回路図である。図に示すようにレベル変換回路は、演算増幅器Z4,Z5、レベルシフト回路31、電源E1、抵抗R7,R8を有している。
【0004】
演算増幅器Z4の非反転入力端子には、入力信号Vinが入力されている。反転入力端子には、電源E1から抵抗R7を介して基準電圧Vrefが入力されている。演算増幅器Z4の出力は、抵抗R8を介して反転入力端子と接続されている。すなわち、演算増幅器Z4は、基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅し、増幅信号Vampを出力する。なお、基準電圧Vrefは、入力信号Vinの振幅が最大限に増幅されるよう演算増幅器Z4の入力レンジの、半分の電圧となるようにする。
【0005】
レベルシフト回路31は、トランジスタM8、電流源I6を有している。トランジスタM8は、nチャネルMOSトランジスタである。トランジスタM8のゲートは、演算増幅器Z4の出力と接続されている。ドレインは、電源Vddと接続されている。ソースは、演算増幅器Z5の非反転入力端子と接続され、さらに、電流源I6と接続されている。トランジスタM8のゲート−ソース間は、ドレイン−ソース間に電流が流れることによって、シフト電圧Vgs5が生じる。すなわち、レベルシフト回路31は、増幅信号Vampをシフト電圧Vgs5分レベルシフト(レベルダウン)し、シフト信号Vsftを出力する。なお、レベルシフト回路31は、シフト信号Vsftの中心電圧が、演算増幅器Z5の入力レンジの、半分の電圧となるようレベルシフトする。
【0006】
演算増幅器Z5の非反転入力端子は、トランジスタM8のソースと接続されている。反転入力端子は、出力と接続されている。すなわち、演算増幅器Z5は、バッファを構成し、出力信号Voutを出力する。
【0007】
図8は、図7のレベル変換回路の各部における信号波形を示した図である。図に示す実線は、入力信号Vinの波形を示している。点線は、増幅信号Vampの波形を示している。一点鎖線は、シフト信号Vsftの波形を示している。
【0008】
演算増幅器Z4は、図8に示すように、基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅し、増幅信号Vampを出力する。レベルシフト回路31は、図8に示すように、増幅信号Vampをシフト電圧Vgs5分レベルダウンし、シフト信号Vsftを出力する。シフト信号Vsftは、基準電圧Vrefからシフト電圧Vgs5分下がった電圧を中心に振れている。
【0009】
トランジスタM8は、周囲の温度変化、または自発熱によって、ゲート−ソース間のシフト電圧Vgs5を変動させてしまう。よって、シフト信号Vsftは、温度変化により変動する。
【0010】
なお、基準電圧を中心に振幅する信号をレベルシフトして出力する回路として、演算増幅器の入力端及び定電圧点間にレベルシフトするための抵抗を具備した回路がある。(例えば、特許文献1参照)。この回路においても、抵抗値が温度変化によって変動すれば、レベルシフトして出力される信号は変動する。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−344258号公報(第2頁−第3頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、温度変化によって、シフト電圧は変動するため、レベルシフトして出力される信号は変動し不安定であるという問題点があった。
【0013】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、温度変化によるシフト電圧の変動を抑制し、信号を温度変化の影響を受けることなく安定してレベルシフトし出力するレベル変換回路及びレベル変換方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、信号をレベルシフトして出力するレベル変換回路において、入力信号Vinを第1の基準電圧Vrefを中心に出力する第1の演算増幅器Z1と、第1の演算増幅器Z1から出力される信号を第2の演算増幅器Z2の入力レンジに適合するようにレベルシフトする第1のレベルシフト回路11と、第1のレベルシフト回路11と同じ回路構成の第2のレベルシフト回路12と、第2のレベルシフト回路12のシフト電圧Vgs2を反転し、入力される第2の基準電圧Vrmに加算して第1の基準電圧Vrefを出力する第3の演算増幅器Z3と、を有することを特徴とするレベル変換回路が提供される。
【0015】
このようなレベル変換回路によれば、第1の演算増幅器Z1は、第2のレベルシフト回路12のシフト電圧Vgs2を反転して第2の基準電圧Vrmに加算した第1の基準電圧Vrmを中心に入力信号Vinを出力する。第1のレベルシフト回路11は、第1の演算増幅器Z1から出力される信号をレベルシフトする。第1のレベルシフト回路11と第2のレベルシフト回路12は同じ回路構成であるので、第1のレベルシフト回路11によるレベルシフトは、第2のレベルシフト回路12の反転したシフト電圧Vgs2によって打ち消される。これにより、第1のレベルシフト回路11によってレベルシフトされた信号は、第2の基準電圧Vrmを中心に振れる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るレベル変換回路の回路図である。図に示すように、レベル変換回路は、演算増幅器Z1〜Z3、抵抗R1〜R3、コンデンサC1、レベルシフト回路11,12、BGR(バンドギャップリファレンス)回路13を有している。
【0017】
演算増幅器Z1の非反転入力端子には、コンデンサC1が接続され、入力信号Vinが入力されている。反転入力端子には、抵抗R1が接続され、演算増幅器Z3から出力される基準電圧Vrefが入力されている。非反転入力端子と演算増幅器Z3の出力の間には、抵抗R3が接続されている。演算増幅器Z1の出力と反転入力端子の間には、抵抗R2が接続されている。すなわち、演算増幅器Z1は、基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅し、増幅信号Vampを出力する。なお、基準電圧Vrefは、入力信号Vinの振幅が最大限に増幅されるよう演算増幅器Z1の入力レンジの、半分の電圧となるように設定されている。また、コンデンサC1は、ACカップリング用コンデンサ、抵抗R3は、入力信号Vinにかかる負荷抵抗であり、回路構成によっては、演算増幅器Z1の非反転入力端子に接続しなくてもよい。
【0018】
レベルシフト回路11は、演算増幅器Z1から出力される増幅信号Vampを演算増幅器Z2の入力レンジに適合するようレベルシフトする回路である。レベルシフト回路11は、トランジスタM1、電流源I1から構成されている。
【0019】
トランジスタM1は、nチャネルMOSトランジスタである。トランジスタM1のゲートは、演算増幅器Z1の出力と接続されている。ドレインは、電源Vddと接続されている。ソースは、電流源I1と接続されている。電流源I1は、トランジスタM1のソースからグランドに電流を流す。トランジスタM1と電流源I1は、ソースホロワ回路を構成し、ドレイン−ソース間に電流が流れることによって、ゲート−ソース間に負のシフト電圧Vgs1が生じる。なお、負のシフト電圧Vgs1は、ゲートを基準に示している。以下同様にして、正、または負のシフト電圧と示した場合は、ゲートを基準に示しているものとする。すなわち、レベルシフト回路11は、入力される増幅信号Vampを、トランジスタM1のゲート−ソース間に生じる負のシフト電圧Vgs1分レベルシフト(レベルダウン)し、シフト信号Vsftを出力する。シフト信号Vsftは、演算増幅器Z2に出力される。
【0020】
演算増幅器Z2は、反転入力端子と出力が接続されたバッファであり、非反転入力端子は、レベルシフト回路11のトランジスタM1のソースと接続されている。演算増幅器Z2の入力レンジは、演算増幅器Z1の入力レンジより小さく、増幅信号Vampは、レベルシフト回路11によって入力レンジが適合するようレベルダウンされ入力される。
【0021】
レベルシフト回路12は、トランジスタM2、電流源I2から構成されている。レベルシフト回路12は、レベルシフト回路11と同じ回路構成となっている。レベルシフト回路12のトランジスタM2、電流源I2は、レベルシフト回路11のトランジスタM1、電流源I1と同じトランジスタ、電流源である。従って、トランジスタM2のゲート−ソース間のシフト電圧Vgs2は、トランジスタM1のシフト電圧Vgs1と同じである。また、周辺温度の変化、または自発熱によるトランジスタM2のシフト電圧Vgs2の変動は、トランジスタM1のシフト電圧Vgs1と同じである。
【0022】
図2は、トランジスタの温度特性を示した図である。図に示す横軸は温度を示し、縦軸は電圧を示す。図に示すように、トランジスタM1のシフト電圧Vgs1は、MOSトランジスタの特性上、温度が上昇するに従って減少する。トランジスタM2は、トランジスタM1と同じトランジスタなので、トランジスタM2のシフト電圧Vgs2もシフト電圧Vgs1と同じように、温度が上昇するに従って減少する。
【0023】
演算増幅器Z3の反転入力端子は、レベルシフト回路12のトランジスタM2のソースと接続されている。非反転入力端子は、BGR回路13が接続され、BGR回路13が出力する基準電圧Vrmが入力されている。基準電圧Vrmは、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧となっている。
【0024】
BGR回路13は、電源電圧変動、温度変動によらず、一定電圧を出力する回路である。BGR回路13による安定した電圧を基準電圧Vrmとすることによって、演算増幅器Z3からは、安定した基準電圧Vrefが出力される。なお、BGR回路13が出力する基準電圧Vrmが、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧に適合しない場合は、抵抗によって分圧したり、演算増幅器で増幅したりして適合するようにすればよい。また、基準電圧Vrmの変動が許容できる範囲であるならば、BGR回路13の替わりに、電源Vddの電圧を用いるようにしてもよい。
【0025】
演算増幅器Z3の出力は、レベルシフト回路12のトランジスタM2のゲートと接続されている。よって、演算増幅器Z3が出力する基準電圧Vrefは、トランジスタM2のゲートに出力される。トランジスタM2のゲートに入力された基準電圧Vrefは、負のシフト電圧Vgs2によってレベルシフトされ、演算増幅器Z3の反転入力端子に出力される。演算増幅器Z3の反転入力端子には、次の式(1)で示される電圧Vopが入力される。
【0026】
【数1】
Vop=Vref−Vgs2……(1)
演算増幅器Z3の反転入力端子と非反転入力端子に入力される電圧は等しくなるので、次の式(2)に示される関係を有する。
【0027】
【数2】
Vref−Vgs2=Vrm……(2)
よって、基準電圧Vrefは、式(2)より、次の式(3)に示されるようになる。
【0028】
【数3】
Vref=Vrm+Vgs2……(3)
すなわち、演算増幅器Z3は、トランジスタM2の負のシフト電圧Vgs2を正のシフト電圧Vgs2に反転し、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧である基準電圧Vrmに加算した基準電圧Vrefを出力する。
【0029】
演算増幅器Z3の出力は、抵抗R1に接続されている。従って、演算増幅器Z3が出力する基準電圧Vrefは、抵抗R1を介して演算増幅器Z1に出力される。そして、演算増幅器Z1は、前述したように基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅し、増幅信号Vampを出力する
以下、図1の動作について説明する。
【0030】
図3は、図1の各部の入出力における基準電圧及び信号を説明する図である。図3(A)には、演算増幅器Z3の非反転入力端子に入力される基準電圧Vrmを示している。図3(B)には、抵抗R1に入力される基準電圧Vrefを示している。図3(C)には、演算増幅器Z1から出力される基準電圧Vref及び増幅信号Vampを示している。なお、図3(B),(C)には、低温、常温及び高温時の基準電圧Vrefが示してある。図3(D)には、レベルシフト回路11から出力される基準電圧Vrm及びシフト信号Vsftを示している。
【0031】
演算増幅器Z3の非反転入力端子には、図3(A)に示すように、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧である基準電圧Vrmが入力される。
演算増幅器Z3は、レベルシフト回路12の負のシフト電圧Vgs2を正のシフト電圧Vgs2に反転し、基準電圧Vrmに加算した基準電圧Vrefを出力する。よって、抵抗R1には、図3(B)に示すように、基準電圧Vrmに正のシフト電圧Vgs2が加算された基準電圧Vrefが入力される。
【0032】
レベルシフト回路12のトランジスタM2のシフト電圧Vgs2は、図2で説明したように、周囲の温度変化、又は自発熱によって変動する。よって、基準電圧Vrefは、図3(B)に示すように、低温、常温、高温になるに従って小さくなっている。
【0033】
演算増幅器Z1は、図3(C)に示すように、抵抗R1を介して入力される基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅し、増幅信号Vampを出力する。図3(C)に示すように、基準電圧Vrefが変動すると、増幅信号Vampも変動する。
【0034】
レベルシフト回路11は、基準電圧Vrefを中心に増幅された増幅信号Vampを、シフト電圧Vgs1でレベルダウンする。基準電圧Vrefは、基準電圧Vrmに正のシフト電圧Vgs2が加算された電圧である。レベルシフト回路11とレベルシフト回路12は、同じ回路構成なので、シフト電圧Vgs2とシフト電圧Vgs1の大きさは等しい。よって、レベルシフト回路11からは、図3(D)に示すように、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftが出力される。基準電圧Vrmは、BGR回路13から出力されているので、シフト信号Vsftは、温度によらず安定する。
【0035】
また、レベルシフト回路11とレベルシフト回路12は、同じ回路構成であるので、シフト電圧Vgs2とシフト電圧Vgs1の温度変化による変動量は同じである。すなわち、温度変化があっても、レベルシフト回路11からは、図3(D)に示すように、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftが出力される。よって、レベルシフト回路11からは、温度変化によって変動することのない基準電圧Vrmを中心に振れるシフト信号Vsftが出力される。
【0036】
このように、演算増幅器Z3によって、レベルシフト回路12の負のシフト電圧Vgs2を正のシフト電圧Vgs2に反転し、基準電圧Vrmに加算して基準電圧Vrefを出力させる。そして、演算増幅器Z1に、基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅させ、増幅信号Vampをレベルシフト回路11によって、負のシフト電圧Vgs1でレベルシフトするようにした。レベルシフト回路11とレベルシフト回路12は、同じ回路構成であるので、シフト電圧Vgs1とシフト電圧Vgs2は、打ち消され、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftがレベルシフト回路11から出力される。よって、温度変化によらない、安定したシフト信号Vsftを出力することができる。
【0037】
なお、図1のレベルシフト回路11,12の電流源I1,I2には、同じ電流が流れるようカレントミラー回路を用いてもよい。図4は、レベルシフト回路の電流源にカレントミラー回路を用いた場合の回路図である。図に示すトランジスタM3〜M5は、nチャネルMOSトランジスタである。トランジスタM1のソースにトランジスタM3が接続され、トランジスタM2のソースにトランジスタM4が接続されている。トランジスタM5のゲートは、ドレインと接続され、さらにトランジスタM3,M4のゲートと接続されている。トランジスタM5のドレインには、電流源I3が接続されている。
【0038】
電流源I3とトランジスタM3〜M5はカレントミラー回路を構成し、トランジスタM3,M4に流れる電流は、電流源I3に流れる電流と等しくなる。
これにより、レベルシフト回路11のシフト電圧Vgs1とレベルシフト回路12のシフト電圧Vgs2をより同じにすることができ、安定したシフト信号を出力することができる。なお、図4のカレントミラー回路は一例であり、他の回路構成のカレントミラー回路を使用してもよい。
【0039】
また、レベルシフト回路11とレベルシフト回路12は、近接して設けるようにする。すなわち、レベルシフト回路11とレベルシフト回路12に生じる温度影響を同じにすることによって、シフト電圧Vgs1,Vgs2の温度変化による変動量を同じにし、安定したシフト信号を出力することができる。
【0040】
また、演算増幅器Z1は、増幅回路となっているが、これは一例であり、演算増幅器によって構成された、例えば、バッファであってもよい。
さらに、演算増幅器Z2は、バッファとなっているが、これは一例であり、演算増幅器によって構成された、例えば、増幅回路であってもよい。
【0041】
図1において、演算増幅器Z1の入力レンジを0〜3.3Vとし、演算増幅器Z2の入力レンジを0〜1.8Vとした場合の、レベルシフト回路11,12がレベルシフトすべきシフト電圧Vgs1,Vgs2の具体的数値の一例について述べる。この場合、演算増幅器Z1に入力される入力信号Vinが、3.3Vの中間電圧である1.65Vを中心に0V〜3.3Vで振れるよう、演算増幅器Z1に入力される基準電圧Vrefを1.65Vにする。演算増幅器Z2に入力されるシフト信号Vsftが、1.8Vの中間電圧である0.90Vを中心に0V〜1.8Vで振れるよう、演算増幅器Z2に入力される基準電圧Vrmを0.90Vにする。従って、レベルシフト回路11,12のシフト電圧Vgs1,Vgs2は、1.65V−0.90V=0.75Vにする必要がある。
【0042】
次に第2の実施の形態について説明する。図5は、第2の実施の形態に係るレベル変換回路の回路図である。第2の実施の形態では、演算増幅器Z1の入力レンジが、演算増幅器Z2の入力レンジより小さい。従って、第1の実施の形態では、レベルシフト回路11は、電圧を下げる方向にレベルシフトさせていたが、第2の実施の形態では、電圧を上げる方向にレベルシフトする。また、第2の実施の形態では、電源Vddの電圧を抵抗R4,R5で分圧して、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧を生成する。なお、図5において、図1と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
図に示すレベルシフト回路21は、電流源I4、トランジスタM6から構成されている。トランジスタM6は、pチャネルMOSトランジスタである。トランジスタM6のゲートは、演算増幅器Z1の出力と接続されている。ソースは、電流源I4と接続され、さらに演算増幅器Z2の非反転入力端子と接続されている。ドレインは、グランドと接続されている。電流源I4は、電源VddからトランジスタM6のソースに電流を流す。トランジスタM6と電流源I4は、ソースホロワ回路を構成し、ソース−ドレイン間に電流が流れることによって、ゲート−ソース間に正のシフト電圧Vgs3が生じる。すなわち、レベルシフト回路21は、ゲートに入力される演算増幅器Z1の増幅信号Vampを、トランジスタM1のゲート−ソース間に生じる正のシフト電圧Vgs1分レベルシフト(レベルアップ)し、シフト信号Vsftを出力する。シフト信号Vsftは、演算増幅器Z2に出力される。
【0044】
レベルシフト回路22は、トランジスタM7、電流源I5から構成されている。レベルシフト回路22は、レベルシフト回路21と同じ回路構成となっている。レベルシフト回路22のトランジスタM7、電流源I5は、レベルシフト回路21のトランジスタM6、電流源I4と同じトランジスタ、電流源である。従って、トランジスタM7のゲート−ソース間のシフト電圧Vgs4は、トランジスタM6のシフト電圧Vgs3と同じである。また、周辺温度の変化、または自発熱によるトランジスタM7のシフト電圧Vgs4の変動は、トランジスタM6のシフト電圧Vgs3と同じである。
【0045】
演算増幅器Z3の反転入力端子は、レベルシフト回路22のトランジスタM7のソースと接続されている。非反転入力端子は、抵抗R4,R5によって電源Vddが分圧された基準電圧Vrmが入力されている。基準電圧Vrmは、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧となるように選択されている。抵抗R4,R5による分圧を基準電圧Vrmとすることにより、例えば、設計変更によって演算増幅器Z2の入力レンジが変更された場合、抵抗R4,R5の抵抗値を変更することにより、容易に基準電圧Vrmを変更することができる。
【0046】
演算増幅器Z3の出力は、レベルシフト回路22のトランジスタM7のゲートと接続されている。よって、演算増幅器Z3が出力する基準電圧Vrefは、トランジスタM7のゲートに出力される。トランジスタM7のゲートに入力された基準電圧Vrefは、正のシフト電圧Vgs4によってレベルシフトされ、演算増幅器Z3の反転入力端子に出力される。第1の実施の形態では、トランジスタM2のゲート−ソース間の電圧が負のシフト電圧Vgs2であったのに対し、第2の実施の形態では、トランジスタM7のゲート−ソース間の電圧は、正のシフト電圧Vgs4である。よって、演算増幅器Z3は、トランジスタM7の正のシフト電圧Vgs4を負のシフト電圧Vgs4に反転し、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧である基準電圧Vrmに加算して、基準電圧Vrefを出力する。基準電圧Vrefは、次の式(4)で示される。
【0047】
【数4】
Vref=Vrm−Vgs4……(4)
以下、図5の動作について説明する。
【0048】
演算増幅器Z3は、演算増幅器Z2の入力レンジの中間電圧である基準電圧Vrmに、トランジスタM7の正のシフト電圧Vgs4を反転して加算した基準電圧Vrefを出力する。
【0049】
演算増幅器Z1は、演算増幅器Z3から出力される基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅し、増幅信号Vampを出力する。
レベルシフト回路21は、基準電圧Vrefを中心に増幅された増幅信号Vampを、シフト電圧Vgs3でレベルアップする。基準電圧Vrefは、基準電圧Vrmに負のシフト電圧Vgs4が加算された電圧である。レベルシフト回路21とレベルシフト回路22は、同じ回路構成なので、シフト電圧Vgs4とシフト電圧Vgs3の大きさは等しい。よって、レベルシフト回路21からは、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftが出力される。
【0050】
また、レベルシフト回路21とレベルシフト回路22は、同じ回路構成であるので、シフト電圧Vgs4とシフト電圧Vgs3の温度変化による変動量は同じである。すなわち、温度変化があっても、レベルシフト回路21からは、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftが出力される。よって、レベルシフト回路21からは、温度変化によって変動することのない基準電圧Vrmを中心に振れるシフト信号Vsftが出力される。
【0051】
このように、演算増幅器Z3によって、レベルシフト回路22の正のシフト電圧Vgs4を負のシフト電圧Vgs4に反転し、基準電圧Vrmに加算して基準電圧Vrefを出力させる。そして、演算増幅器Z1に、基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅させ、増幅信号Vampをレベルシフト回路21によって、正のシフト電圧Vgs1でレベルシフトするようにした。レベルシフト回路21とレベルシフト回路22は、同じ回路構成であるので、シフト電圧Vgs3とシフト電圧Vgs4は、打ち消され、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftがレベルシフト回路21から出力される。よって、温度変化によらない、安定したシフト信号Vsftを出力することができる。
【0052】
次に第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態に係るレベル変換回路の回路図である。第3の実施の形態では、第2の実施の形態に対し、演算増幅器Z2がADC(アナログデジタルコンバータ)33となっている。なお、図6において、図5と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図に示すように、レベルシフト回路21のトランジスタM6のソースは、ADC33の入力と接続されている。
ADC33には、入力レンジの上限となる上限電圧Vrh及び下限となる下限電圧Vrlが入力されている。ADC33は、下限電圧Vrlから上限電圧Vrhの範囲で入力されるシフト信号Vsftをデジタル信号に変換して出力する。
【0054】
ADC33の内部に示している抵抗R6は、ADC33のラダー抵抗である。抵抗R6には、上限電圧Vrh、下限電圧Vrlが入力されている。演算増幅器Z3の非反転入力端子は、上限電圧Vrhと下限電圧Vrlの中間電圧と同じ電圧の基準電圧Vrmが入力されるよう抵抗R6と接続されている。
【0055】
以下、図6の動作について説明する。
演算増幅器Z3は、ADC33の入力レンジの中間電圧である基準電圧Vrmに、レベルシフト回路22の正のシフト電圧Vgs4を反転して加算した基準電圧Vrefを出力する。
【0056】
演算増幅器Z1は、演算増幅器Z3から出力される基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅し、増幅信号Vampを出力する。
レベルシフト回路21は、基準電圧Vrefを中心に増幅された増幅信号Vampを、シフト電圧Vgs3でレベルアップする。基準電圧Vrefは、基準電圧Vrmに負のシフト電圧Vgs4が加算された電圧である。レベルシフト回路21とレベルシフト回路22は、同じ回路構成なので、シフト電圧Vgs4とシフト電圧Vgs3の大きさは等しい。よって、レベルシフト回路21からは、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftが出力される。
【0057】
また、レベルシフト回路21とレベルシフト回路22は、同じ回路構成であるので、シフト電圧Vgs4とシフト電圧Vgs3の温度変化による変動量は同じである。すなわち、温度変化があっても、レベルシフト回路21からは、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftが出力される。よって、ADC33は、温度変化によって変動することのない基準電圧Vrmを中心に振れるシフト信号Vsftをデジタル信号に変換する。
【0058】
このように、演算増幅器Z3によって、レベルシフト回路22の正のシフト電圧Vgs4を負のシフト電圧Vgs4に反転し、基準電圧Vrmに加算して基準電圧Vrefを出力させる。そして、演算増幅器Z1に、基準電圧Vrefを中心に入力信号Vinを増幅させ、増幅信号Vampをレベルシフト回路21によって、正のシフト電圧Vgs1でレベルシフトするようにした。レベルシフト回路21とレベルシフト回路22は、同じ回路構成であるので、シフト電圧Vgs3とシフト電圧Vgs4は、打ち消され、基準電圧Vrmを中心としたシフト信号Vsftがレベルシフト回路21から出力される。よって、温度変化によらない、安定したシフト信号Vsftを出力することができ、ADC33は、高精度のデジタル信号を出力することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、第1の演算増幅器は、第2のレベルシフト回路のシフト電圧を反転して第2の基準電圧に加算した第1の基準電圧を中心に入力信号を出力する。第1のレベルシフト回路は、第1の演算増幅器から出力される信号をレベルシフトする。第1のレベルシフト回路と第2のレベルシフト回路は同じ回路構成であるので、第1のレベルシフト回路によるレベルシフトは、第2のレベルシフト回路の反転したシフト電圧によって打ち消される。これにより、第1のレベルシフト回路によってレベルシフトされた信号は、第2の基準電圧を中心に振れ、温度変化の影響を受けることなく安定して出力される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るレベル変換回路の回路図である。
【図2】トランジスタの温度特性を示した図である。
【図3】図1の各部の入出力における基準電圧及び信号を説明する図である。
【図4】レベルシフト回路の電流源にカレントミラー回路を用いた場合の回路図である。
【図5】第2の実施の形態に係るレベル変換回路の回路図である。
【図6】第3の実施の形態に係るレベル変換回路の回路図である。
【図7】従来のレベル変換回路の回路図である。
【図8】図7のレベル変換回路の各部における信号波形を示した図である。
【符号の説明】
11,12,21,22 レベルシフト回路
Z1〜Z3 演算増幅器
R1〜R5 抵抗
C1 コンデンサ
M1〜M7 トランジスタ
I1〜I5 電流源
13 BGR回路
33 ADC
Vref,Vrm 基準電圧
Vin 入力信号
Vamp 増幅信号
Vgs1〜Vgs4 シフト電圧
Vsft シフト信号

Claims (9)

  1. 信号をレベルシフトして出力するレベル変換回路において、
    入力信号を第1の基準電圧を中心に出力する第1の演算増幅器と、
    前記第1の演算増幅器から出力される信号を第2の演算増幅器の入力レンジに適合するようにレベルシフトする第1のレベルシフト回路と、
    前記第1のレベルシフト回路と同じ回路構成の第2のレベルシフト回路と、
    前記第2のレベルシフト回路のシフト電圧を反転し、入力される第2の基準電圧に加算して前記第1の基準電圧を出力する第3の演算増幅器と、
    を有することを特徴とするレベル変換回路。
  2. 前記第2の基準電圧は、前記第2の演算増幅器の入力レンジの中間電圧であることを特徴とする請求項1記載のレベル変換回路。
  3. 前記第1のレベルシフト回路及び前記第2のレベルシフト回路は、ソースホロワ回路によって構成されていることを特徴とする請求項1記載のレベル変換回路。
  4. 前記ソースホロワ回路が有する電流源は、カレントミラー回路によって構成されていることを特徴とする請求項3記載のレベル変換回路。
  5. 前記第1のレベルシフト回路と前記第2のレベルシフト回路は、近接していることを特徴とする請求項1記載のレベル変換回路。
  6. 前記第2の基準電圧は、バンドギャップリファレンス回路によって生成されることを特徴とする請求項1記載のレベル変換回路。
  7. 前記第2の基準電圧は、抵抗によって分圧された電圧であることを特徴とする請求項1記載のレベル変換回路。
  8. 前記第1のレベルシフト回路は、アナログ−デジタル変換器の入力レンジに適合するようにレベルシフトすることを特徴とする請求項1記載のレベル変換回路。
  9. 信号をレベルシフトするレベル変換方法において、
    第1の演算増幅器によって、入力信号を第1の基準電圧を中心に出力し、
    第1のレベルシフト回路によって、前記第1の演算増幅器から出力される信号を第2の演算増幅器の入力レンジに適合するようにレベルシフトし、
    第3の演算増幅器によって、前記第1のレベルシフト回路と同じ回路構成の第2のレベルシフト回路のシフト電圧を反転し、入力される第2の基準電圧に加算して前記第1の基準電圧を出力する、
    ことを特徴とするレベル変換方法。
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