JP4233233B2 - チップ型固体電解コンデンサー - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、狭い実装面積で大きな容量を得ることのできる積み重ねコンデンサーユニット、該積み重ねコンデンサーユニットに用いるチップ型固体電解コンデンサー及び積み重ねコンデンサーユニットを実装した電子機器配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図10に示す如く、2個のチップ型固体電解コンデンサー(1)(2)を積み重ね、夫々対応する接続用端子(12)(22)、(13)(23)を接続板(7)(7)を介して溶接連結した積み重ねコンデンサーユニット(5)が実施されている(特開昭11−26304号)(国際分類H01G 9/05)。
上記積み重ねコンデンサーは、1個のチップ型固体電解コンデンサーの取付けスペースで、2個分の容量を得ることが出来る利点があった。
【0003】
チップ型固体電解コンデンサー(1)(2)の接続用端子(12)(22)、(13)(23)及び接続板(7)には、プリント配線基板(4)への半田付けの際に、半田との濡れ性を良くするためにメッキが施されている。
ところが、接続板(7)を上下の両接続用端子(12)(22)、(13)(23)に被せ、接続板と接続用端子を溶接すると、溶接部(3)において接続用端子(12)(22)、(13)(14)及び接続板(7)の夫々両面のメッキ層が溶融して半田との濡れ性が低下する。
【0004】
図9に示す如く、接続用端子(12)(13)のメッキ層が溶融していないチップ型固体電解コンデンサー(1)をプリント配線基板(4)に半田付けすると、溶融半田(5)は接続用端子(12)上を表面張力により該端子(12)の突出基端側へ這い上がる様に上昇して固化し、プリント配線基板(4)と接続用端子(12)は強固に結合し、電気的導通の信頼性も高い。
【0005】
しかし、前記の如く、上下のチップ型固体電解コンデンサー(2)(1)の接続用端子(22)(12)、(23)(13)と接続板(7)(7)の溶接により、溶接部(3)においてメッキ層が溶融して溶融半田との濡れ性が悪くなると、溶融半田(5)の這い上がりは溶接部(3)で遮断されしまう。これによって、半田(5)と接続用端子(22)(23)及び接続板(7)との固着面接が小さくなり、積み重ねコンデンサーユニット(5)とプリント配線基板(4)との結合力は小さく、電気的導通の信頼性も低い問題があった。
【0006】
本発明は上記問題を解決できるチップ型固体電解コンデンサー、該コンデンサーを複数個積み重ねた積み重ねコンデンサーユニット及び積み上げコンデンサーユニットを実装した電子機器配線基板を明らかにするものである。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明のチップ型固体電解コンデンサー(2)は、樹脂製外殻(21)から突出した帯板状の接続用端子(22)(23)の先端部に切欠(24)を設けている。
【0008】
本発明の積み重ねコンデンサーユニット(5)は、上記チップ型固体電解コンデンサーを含む2個以上のチップ型固体電解コンデンサーを積み重ね、夫々対応する接続用端子(12)(22)、(13)(23)を溶接により接続したものであって、前記切欠(24)が外部に露出していることを特徴とする。
【0009】
本発明の電子機器配線基板は、上記積み重ねコンデンサーユニット(5)がプリント配線基板(4)に半田付けされ、半田(5)は接続用端子(22)(23)の先端切欠(24)(14)に侵入していることを特徴とする。
【0010】
【作用及び効果】
積み重ねコンデンサーユニット(5)をプリント配線基板(4)に半田付けする際、下段コンデンサー(1)の接続用端子(12)(13)に被さってプリント配線基板(4)側へ延びた上段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)に溶融半田(5)が這い上がる。
【0011】
上下段のコンデンサー(2)(1)の接続用端子(12)(22)、(13)(23)の溶接部(3)(3)は、メッキが溶けて溶融半田との濡れ性が悪くなっており、表面張力により接続用端子(12)(22)の板面を伝って這い上がる溶融半田は、該溶接部(3)の位置で這い上がりは阻止される。しかし、溶融半田(5)は上層の接続用端子(22)(23)の先端部に施した切欠(24)の内縁を伝って這い上がって固化する。これによってコンデンサーユニット(5)とプリント配線基板(4)の結合力を高めることが出来、電気的導通の信頼性も向上させることが出来る。
【0012】
従来の積み重ねコンデンサーユニット(50)に較べて、上段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)に切欠(24)を施しておくだけで可く、この切欠(24)は、プレス加工にて簡単且つ能率的にできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は2個のチップ型固体電解コンデンサー(1)(2)を積み重ねた積み重ねコンデンサーユニット(5)を示している。
チップ型固体電解コンデンサー(1)(2)の内部構造については周知であるため、説明は省略する。
以下の説明において、下段のチップ型固体電解コンデンサー(1)は下段コンデンサーと呼び、上段のチップ型固体電解コンデンサー(2)は上段コンデンサーと呼ぶ。
【0014】
上下段のコンデンサー(2)(1)は、夫々略長方形の樹脂製外殻(21)(11)の両端面の略中央部から帯板状の接続用端子(22)(23)、(12)(13)を突設している。
下段コンデンサー(1)と上段コンデンサー(2)の底面の大きさは略同じである。
各端子は、42アロイ合金等の金属基板の全面に、半田メッキ或いはパラジウム−金メッキを施して半田(5)との濡れ性を良くしている。
【0015】
下段コンデンサー(1)の接続用端子(12)(13)は、外殻(11)の端面(10)に沿って下向きに屈曲し、更に外殻(11)の底面(15)に沿って内向きに屈曲している。
上段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)は、突出基端をから下向きに屈曲して前記下段コンデンサー(1)の接続用端子(12)(13)に被さり、下段コンデンサー(1)の底面近傍まで延びている。
【0016】
上段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)の夫々の先端部に切欠(24)が設けられる。
実施例の切欠(24)は、接続用端子(22)(23)の先端縁の中央部から該端子(22)(23)の突出基端側に延び奥端が拡大している。
【0017】
上段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)の先端部、実施例では切欠(24)の細幅部の両側が下段コンデンサー(1)の接続用端子(12)(13)に溶接される。実施例ではレーザ溶接が実施される。
溶接部(3)は、下段コンデンサー(1)の接続用端子突出端面(10)との対向位置に有る。
切欠(24)の拡大奥端は溶接部(3)よりも上段コンデンサー(2)側に位置している。
【0018】
然して、上記積み重ねコンデンサーユニット(5)をプリント配線基板(4)の所定位置に載せ、半田付け固定する。この半田付けの際、下段コンデンサー(1)の接続用端子(12)(13)に被さってプリント配線基板(4)側へ延びた上段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)に表面張力によって溶融半田(5)が這い上がる。
【0019】
上下段のコンデンサー(2)(1)の接続用端子(22)(12)、(23)(13)の溶接部(3)(3)は、表面のメッキが溶けて溶融半田との濡れ性が悪くなっており、表面張力により接続用端子(12)(22)の板面を伝って這い上がる溶融半田は、該溶接部(3)の位置で這い上がりは阻止される。しかし、外側の接続用端子(22)(23)の先端部に施した切欠(24)の内縁を伝って溶融半田(5)が切欠(24)に侵入し、溶接部(3)よりも上段コンデンサー(2)側に近い位置まで這い上がって固化する。これによってコンデンサーユニット(5)とプリント配線基板(4)の結合力を高めることが出来、電気的導通の信頼性も向上させることが出来る。
【0020】
従来の積み重ねコンデンサーユニット(5)に較べて、上段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)に切欠(24)を施しておくだけで可く、この切欠(24)は、プレス加工にて簡単且つ能率的に施すことができる。
実施例の様に、奥が拡大する切欠(24)であれば、半田(5)との引っ掛かりが大きく、結合力も一層増す。
【0021】
図4、図5は、接続用端子(22)の先端部に施す切欠(24)の他の実施例を示しており、図4の切欠(24)は、接続用端子(22)の先端縁の中央部から接続用端子(22)の長手方向に沿って同じ幅で延びている。
図5の切欠(24)は、接続用端子(22)の長手方向の両端縁を溶接部(3)より僅か高い位置(上段コンデンサー寄り)にて対向して切り欠いたものである。
図5の切欠(24)(14)の場合、溶融半田は、接続用端子(22)の長手方向の両端縁を這い上がって切欠(24)(14)に侵入する。
【0022】
図6は、接続用端子(22)の先端を厚みが徐々に薄くなる様に楔状に形成した他の実施例を示している。
楔状斜面(22a)によって溶融半田が這い上がり易くなり、又、接続用端子(22)と半田との接合面積を大きくできる効果がある。
【0023】
図7、図8は、3個のチップ型固体電解コンデンサーを積み重ねた他の実施例の積み重ねコンデンサーユニット搭載した電子機器配線基板を示している。
図7の場合、最上段のコンデンサー(6)の接続用端子(62)(63)は、中段のコンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)の基端側にレーザ溶接され、中段のコンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)は、下段コンデンサー(1)の接続用端子(12)(13)に被さってレーザ溶接されている。
中段コンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)の先端に切欠(図7では隠れて見えない)が施され、プリント配線基板(4)に固定するための半田(5)が前記同様にして該切欠に侵入して固化している。
【0024】
図8の積み重ねコンデンサーユニットは、中段のコンデンサー(2)の接続用端子(22)(23)及び最上段のコンデンサー(6)の接続用端子(62)(63)が下段コンデンサー(1)の接続用端子(12)(13)に被さっており、最上段のコンデンサー(6)の接続用端子(62)(63)の先端部に切欠(図8では隠れて見えない)が施され、プリント配線基板(4)に固定するための半田(5)が前記同様にして該切欠に侵入して固化している。
【0025】
チップ型固体電解コンデンサーを4個以上積み重ねて積み重ねコンデンサーユニットを構成する場合でも、先端に切欠を施した接続用端子の該切欠が外部に露出する様にし、半田が該切欠に侵入可能とすれば可い。
【0026】
本発明は、上記実施例の構成に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】積み重ねコンデンサーユニットの正面図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】同上の斜面図である。
【図4】接続用端子に施した切欠の第2実施例の正面図である。
【図5】接続用端子に施した切欠の第3実施例の正面図である。
【図6】接続用端子りの先端を楔状に形成した他の実施例の説明図である。
【図7】3個のチップ型固体電解コンデンサーを積み重ねた積み重ねコンデサーユニットの正面図である。
【図8】3個のチップ型固体電解コンデンサーを積み重ねた積み重ねコンデサーユニットの第2実施例の正面図である。
【図9】チップ型固体電解コンデンサーとプリント配線基板の良好な半田付け状態の説明図である。
【図10】積み重ねコンデンサーユニットとプリント配線基板の半田付け不良状態の説明図である。
【符号の説明】
(1) チップ型固体電解コンデンサー
(11) 外殻
(12) 接続用端子
(13) 接続用端子
(24) 切欠
(2) チップ型固体電解コンデンサー
(21) 外殻
(22) 接続用端子
(23) 接続用端子
(3) 溶接部
(4) プリント配線基板
(5) 半田
Claims (2)
- 複数のチップ型固体電解コンデンサを上下に積層してなるチップ型固体電解コンデンサであって、
最下位に配置されたチップ型固体電解コンデンサの接続用端子(12)(13)は、外装樹脂に沿って折り曲げられ、その他のチップ型固体電解コンデンサの接続用端子(22)(23)は、各々のチップ型固体電解コンデンサの短手下方向に折り曲げられて、前記最下位のチップ型固体電解コンデンサの接続用端子(12)(13)と夫々接続され、
前記最下位のチップ型固体電解コンデンサの接続用端子(12)(13)と接続された接続用端子のうち、最外側に位置する接続用端子の先端には切り欠き部(24)が設けられており、
前記チップ型固体電解コンデンサがプリント配線基板(4)に半田付けされ、該半田(5)が前記切り欠き部(24)まで這い上がっていることを特徴とするチップ型固体電解コンデンサ。 - 前記最下位のチップ型固体電解コンデンサの接続用端子(12)(13)と接続されているチップ型固体電解コンデンサの接続用端子のうち、最外側の接続用端子は、先端に向かって厚みが徐々に薄くなる様に楔状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
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