JP4233021B2 - ガラス物品の表面処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス物品の表面処理方法に関し、特に、ケイ素含有アルコキシド化合物を主成分とした親水性を有する無機質コーティング剤により表面が覆われたガラス物品の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のガラス物品の表面処理方法として、強アルカリ溶液を塗布するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
上記構成において、強アルカリ水溶液が汚れを無機質コーティング剤の外側表面もろとも除去することにより、汚れが付着していない内側の無機質コーティング膜を露出させ、ガラス物品の防曇効果を回復させることが可能となっている。
【特許文献1】
特願2001−240384号(本出願人の未公開特許出願)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したガラス物品の表面処理方法は、強アルカリ溶液により浸食されやすい性質を利用して無機質コーティング膜の表面を剥離して汚れを取り去る方法であるため、ケイ素含有アルコキシド化合物を主成分とする無機質コーティング剤により表面が覆われたガラス物品のように強アルカリの耐性を備えた製品には効果が少ないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、表面に強アルカリ耐性を備えたガラス物品であっても、防曇効果を効果的に回復することが可能なガラス物品の表面処理方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、ケイ素含有アルコキシド化合物を主成分とした親水性を有する無機質コーティング剤により表面が覆われたガラス物品の表面処理方法であって、平均粒径が5〜100μmである炭酸カルシウムと界面活性剤とが混合された研磨液を、該炭酸カルシウムの粒子が入り込むことができない程度に繊維の網目が細い研磨布に付着させ、該研磨布により上記ガラス物品の表面を研磨回復する構成としてある。
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、研磨液に混合された平均粒径5〜100μmの炭酸カルシウムが、ケイ素含有アルコキシド化合物を主成分とした親水性を有する無機質コーティング膜上に付着した汚れを削り取って除去する。ここで、炭酸カルシウム粒子は無機質コーティング剤より軟質であるため、無機質コーティング膜表面に傷が付きにくいし、平均粒径が5〜100μm(より好ましくは、5〜70μm)とすることで、より無機質コーティング剤表面に大きく目立ちやすい傷がつきにくくなる。
一方、界面活性剤を混合することにより、汚れがひどい等により無機質コーティング膜表面が撥水化している場合にも、撥水化した無機質コーティング剤表面と研磨液とのなじみを良くすることができ、炭酸カルシウム粒子による研磨の効果を向上させることができる。
また、炭酸カルシウムの粒子が入り込むことができない程度に繊維の網目が細い研磨布に上記研磨液を付着させ、該研磨布によりガラス物品の表面を研磨することにより、炭酸カルシウムの粒子が研磨布の内部に入り込んでしまうことがなくなり、摩擦部に多くの炭酸カルシウムの粒子を保持することができるため、研磨能力が向上する。なお、ここでいう繊維の網目とは、規則的に配列されたものに限られず、例えば不織布のようなものの不規則に存在する隙間であってもよい。
【0005】
さらに、請求項2にかかる発明は、上記研磨液は、平均粒径が5〜20μmである球状の水酸化アルミニウムが混合されている構成としてある。
上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、上記研磨液に平均粒径が5〜20μmの球状の水酸化アルミニウムを混合させることにより、少ない研磨回数で洗浄効果を得ることができる。すなわち、炭酸カルシウムより硬質の水酸化アルミニウムを混合することで、研磨能力を向上させることができる。また、水酸化アルミニウムの平均粒径5〜20μmと小径化することで、無機質コーティング剤表面に大きく目立ちやすい傷がつきにくくするとともに、球状とすることで、尖端に応力が集中することがないため、同様に無機質コーティング剤表面に傷がつきにくい。
【0006】
さらに、請求項3にかかる発明は、上記研磨液は、有機溶剤が混合されている構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、上記研磨液に有機溶剤を混合させることにより、有機汚れを溶解除去することができるため、より高い洗浄効果を発揮させることができる。
【0008】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、初期状態における無機質コーティング剤の防曇効果を効果的に回復させることが可能なガラス物品の表面処理方法を提供することができる。
また、請求項2の発明によれば、無機質コーティング剤の防曇効果を早く回復させることができる。
また、請求項3の発明によれば、より高い洗浄効果を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)無機質コーティング膜について:
(2)無機質コーティング膜製品の使用例:
(4)研磨回復試験
(5)傷つき評価試験
(6)最適な研磨粒子の選定
(7)研磨液の構成
【0010】
(1)無機質コーティング膜について
本実施形態において表面処理を行う無機質コーティング膜の製造方法および特性を以下に説明する。ただし、本発明にかかる表面処理方法が適用可能な無機質コーティング膜は以下のものに限られず、ある程度硬質な膜が形成されるものであればよい。
精製水45.0gにシリカゾル(商品名:スノーテックスO、日産化学(株)製SiO220重量%含有、pH=2〜4)15.0gとメタノール36.5gを添加し攪拌した。これにテトラメトキシシランオリゴマー(商品名:MS−51、三菱化学(株)製、SiO2換算51重量%含有)を13.4g添加し、室温にて48時間攪拌して、テトラメトキシシランオリゴマーを加水分解した。この際の混合溶媒のpHは約3であった。得られた液にエタノール36.4gと2−プロパノール36.4gを添加してA液とした。
アルミニウムアセチルアセトナート((株)同仁化学研究所製)5.0gを酢酸エチル95.0gに添加し、室温にて攪拌し、溶解させて5%溶液(B液)を調製した。これとは別に、ジルコニウムアセチルアセトナート((株)同仁化学研究所製)5.0gを酢酸エチル95.0gに添加し、60℃加温下にて攪拌して溶解させて5%溶液(C液)を調製した。
【0011】
B液9.5gとC液7.9gをA液に添加し、室温にて24時間攪拌することによって無機質コーティング剤(D液)を調製した。D液の500℃での加熱残分は5.0重量%であった。
超音波洗浄した清浄なソーダライムガラス板をD液に浸漬し、引上げ速度25mm/分でディップコートして、150℃にて30分乾燥して、ガラス板上に無機質膜を形成した。
形成された無機質コーティング膜の内で、70重量%は、テトラメトキシシランオリゴマー、アルミニウムアセチルアセトナート及びジルコニウムアセチルアセトナートに由来する、組成比がSiO2:AlO3/2:ZrO2=97.5:1.1:1.4の複合酸化物であり、残部は、シリカゾルに含まれていたSiO2粒子が上記複合酸化物中に分散し固定化されたものであった。
【0012】
上述のようにして得られた無機質コーティング膜の性能を評価した結果を図1に示す。なお、耐温水性の評価方法および評価項目は、本実施例の無機質コーティングを形成したガラス板を室温にて10日放置した後、沸騰したイオン交換水900mlの入ったビーカーに入れ、1時間加熱して沸騰を継続し、その後引上げて、室温にて1時間乾燥し、乾燥後の無機質膜の鉛筆硬度を測定し、膜の劣化を評価するものとした。
【0013】
一方、耐アルカリ性の評価方法および評価項目は、本実施例の無機質コーティングを形成したガラス板を室温にて10日放置した後、5%水酸化ナトリウム溶液に浸漬し、一時間毎に引き上げて、イオン交換水で洗浄して室温にて一時間乾燥し、無機質膜の表面状態を目視で観察し、膜の劣化が認められるまでの浸漬時間を測定するものとした。
また、防曇性の評価方法および評価項目は、本実施例の無機質コーティングを形成したガラス板に全面に行き渡るようにシャワーをかけ、水のはじきの有無を目視にて確認した。5分経過後、乾燥によって水膜が消失したものを合格とした。
【0014】
図1において、本実施例にかかる無機質コーティング膜の鉛筆硬度は、7Hで硬質の膜が生成されていることが分かる。さらに、同膜に煮沸処理を行った後の鉛筆硬度も、7Hを維持している。すなわち、本評価結果において、本実施例にかかる無機質コーティング膜は、良好な耐温水性を示している。一方、20時間以上膜の劣化が認められないため、耐アルカリ性についても良好なものとなっている。また、形成された無機質コーティング膜には、表面に水酸基等が存在するため水と親和する。また、粒径を有するシリカゾルが表面に存在していることにより微小な凹凸面が得られるため、表面の濡れ性がよくなり水と馴染みやすくなる。従って、結露等によりガラス面に付着して液体化した水蒸気は水滴となことなく、ガラス面に沿って平坦な水膜を形成する。この平坦な水膜は、水滴のように光の乱反射を発生させることがないため、鏡としての均一な高反射性が保持される。さらに、いったん形成された水膜は、新たな水滴を吸収するため高湿の環境下でも防曇効果は長時間維持される。
【0015】
(2)無機質コーティング膜製品の使用例
図2は、本実施形態にかかる無機質コーティング膜を使用した一例である浴室ミラーの取付状況を斜視図により示している。
同図において、浴室の壁面に取り付けられた浴室ミラー10の表面は、上述のように形成した無機質コーティング膜により覆われており、防曇効果を有している。
この浴室の壁面には、浴室ミラー10の側方にてシャワーヘッド20の取付部材21が配置されているため、例えば、シャワーヘッド20から注ぎ出される湯水を利用して洗髪を行う際、洗い流された整髪剤が飛び散って浴室ミラー10に付着したり、リンス原液が飛び散って浴室ミラー10に付着したりする等して、図2に示すように、浴室ミラー10の表面に汚れが付着する。
すると、初期状態で表面の防曇効果が高かった浴室ミラー10も、長年使用するうちに汚れが蓄積されることで、無機質コーティング膜の表面が汚れにより被覆されてしまい、本来の防曇効果が低下する。さらに、汚れがひどい場合には、浴室ミラー10の表面は撥水化する。このため、所定の研磨粒子により表面に付着した汚れのみを研磨除去することにより、硬質の無機質コーティング膜を表面に有する浴室ミラー10の低下した防曇効果を回復させる試験を行った。
【0016】
(3)研磨回復試験
ここで、最も研磨回復効果が高い研磨粒子の検討を行うため、それぞれ所定の難溶性研磨粒子を配合させた5種類の試料を使用して比較検討した。図3は、各試料に含まれる研磨粒子の成分、形状、大きさおよび評価結果を示した表である。ここで、本試験における表面処理の方法は、ガラス片に上記の無機質コーティング膜を形成した後、
1.リンス・シャンプー・固形石鹸の5%水溶液に浸漬
2.60度で30分間乾燥
3.水洗い
4.60度で30分間乾燥
1.〜4.の処理を20回繰り返すことによって試験片を作成した。さらに、同試験片を、吸水させた目の粗い布および目の細かい布に研磨粒子を付着させたもので、無機質コーティング膜にこすりつけるように研磨するものとした。なお、試験の適正化のため各試料は同量付着させるものとし、125gf/cm 2 の荷重で、115mmの距離を毎秒0.5往復する速さで研磨を行った。
【0017】
なお、本試験における目の粗い布は、一般に市販されているガーゼであって、各研磨剤の研磨粒子が内部に入り込むことが可能な大きさの織り目の隙間を有しているものを使用した。一方、本試験における目の細かい布として、直径が2μm程度のポリエステル繊維を高密度に織り込んだもの(商品名:トレシー(東レ(株))を使用した。また、同目の細かい布の網目は非常に細かいため、その網目にいずれの試料に含まれる研磨粒子も入り込むことができなかった。なお、両者ともに吸水性は大きく、本試験の研磨において摩擦面が乾燥することはなかった。また、本試験の評価項目は、上述の方法により評価面を所定の往復回数研磨した後に、全面に行き渡るようにシャワーをかけ、水のはじきの有無を目視にて確認した。5分経過後、乾燥によって水膜が消失したものを合格とした。
【0018】
以下、図3に示した本試験の結果について考察する。同図において、すべての試料において、実用可能な往復回数で防曇効果が回復していることが分かる。すなわち、最も軟質な研磨粒子である炭酸カルシウムCaCO3のみで構成される試料2でも十分実用可能な往復回数で防曇効果が回復している。ただし、試料2をのぞいては5往復の研磨により、初期の防曇効果が回復している。従って、研磨の効果を早期に発揮させるためには、水酸化アルミニウムAl(OH)3、シリカSiO2等の硬質の研磨粒子を配合することが有効であることが分かる。一方、同一成分の試料1と試料5の比較においては、粒径が大きく異なっているにも拘わらず回復回数は同じとなっている。従って、回復効果は研磨粒子の粒径に依存しないことが分かる。
【0019】
さらに、目の粗い布と目の細かい布との比較においては、いずれの研磨剤も目の細かい布を用いて研磨した方が早期に防曇効果が回復していることが分かる。すなわち、図4に模式的に示すように、目の細かい布40では、網目が細かいため内部に研磨粒子30が入り込んでしまうことがなく研磨粒子が汚れが付着した摩擦面に保持されるため、効率よく汚れを削り取ったものと考えられる。一方、目の粗い布を用いた場合には、図5に示すように目の粗い布140の網目に形成される隙間に、研磨粒子130が入り込むため、目の粗い布140の表面に付着させられた全ての研磨粒子130が摩擦面に保持されない。従って、研磨粒子130の大半が汚れに接触せず、目の細かい布40より多くの往復回数を要したものと考えられる。
【0020】
(4)傷つき評価試験
さらに、上記の5種類の試料についての研磨による傷つきの評価の試験を行った。図6は、その試験結果を示している。ここで、本試験の評価方法は、摩耗堅牢度試験機(大栄化学製作所社製:RT−200)を用いて試験片に形成された無機質コーティング膜を、各研磨剤が同量付着させられるとともに、吸水した目の細かい布で往復研磨させて、所定の往復回数の後、光学顕微鏡にて表面を観察して傷つきの状態を比較した。なお、本試験の研磨条件は、125gf/cm 2 の荷重で、115mmの距離を毎秒0.5往復する速さで研磨するものとした。また、目の細かい布が乾燥することのないように、500往復毎に、上述と同様に吸水、各試料を付着させた新しい目の細かい布に取り替えることとした。なお、本試験に使用した試験片は、ガラス片に上述の製造方法により無機質コーティング膜を形成したものを使用した。なお、各条件の傷つき状態を以下の指標に基づいて5段階に分けて、図6に示した。
【0021】
〈傷つき状態の指標〉
1:無機質コーティング膜が完全に剥離
2:激しい傷が発生
3:目視でも目立つ傷が発生
4:顕微鏡で認められる軽い程度の傷が発生
5:初期状態
【0022】
以下、同図に示した本試験の結果について考察する。同図において、試料1および試料2においては、3000往復後でようやく目視で目立つ傷が付くに留まり、実用において何ら問題はないものと判断できる。一方、試料3、試料4、試料5は、1000往復後で、目視でも確認できる激しい傷が発生するため実用に適さないと判断できる。さらに、3000往復では無機質コーティング膜が剥離してしまい、完全に防曇効果が失われてしまっている。
また、試料1と試料5とを比較すると同成分で構成されているにも拘わらず試料5の方が傷が付き易いという結果になっている。従って、成分が同じであっても粒径が大きいものほど傷が付きやすいと言える。すなわち、研磨粒子が小さければ、傷を付けたとしても視認されないため、結果的に傷が付きにくいと考えられる。
【0023】
以上の観点から、比較的研磨粒子の大きさが小さい試料4は、試料1、試料2と同様に、傷が付きにくいものと考えられるが、実際は、試料4の傷の程度が悪い結果となっている。この理由としては、含有されたシリカが棒状であることから、その尖端に応力が集中して傷が付いたものと考えられる。また、シリカと水酸化アルミニウムは、炭酸カルシウムより硬質であるため、試料4は、比較的軟らかい炭酸カルシウムを含む試料1、試料2より傷が激しく付いたものと考えられる。さらに、試料3と試料5の結果を比較すると、試料5の方が粒径が大きいにも拘わらず、両者の傷つきの程度は同等となっていることから、水酸化アルミニウムより、シリカを配合した方が傷が付きやすいということが分かる。以上のことを整理すると、配合される研磨粒子による傷の付き難さの傾向を以下のようになる。
a)粒径が小さいもの>粒径が大きいもの
b)球状であるもの>棒状であるもの
c)炭酸カルシウム>水酸化アルミニウム>シリカ
【0024】
(5)最適な研磨粒子の選定
上述した回復試験および傷つき評価試験の結果に基づいて、研磨回復能力が高く、かつ、傷を発生させにくい研磨粒子の成分、形状の選定を行えばよい。選定の方向性としては、主成分を傷を発生させにくい小径(平均100μm以下)の炭酸カルシウムとするとともに、さらに研磨能力を向上させるために球状の水酸化アルミニウムを添加すればよい。ただし、水酸化アルミニウムは炭酸カルシウムより傷を発生させ易いため炭酸カルシウムより粒径を小さいもの(平均20μm以下)とするべきである。
【0025】
(6)研磨液の構成
上述したような研磨粒子の粉体での供給、使用は、飛散のおそれがあるため取り扱いが難しく、研磨粒子を同研磨粒子を溶解させない液体に混合させて形成した研磨液として供給した方がより好適である。さらに、この液体に特定の効果を有する添加物を混合させることで、より研磨回復の効果を向上させることができる。特に、界面活性剤を添加することにより、汚れがひどく無機質コーティング膜の表面が撥水化して、研磨粒子を汚れが付着した部分に供給できずに所望の研磨回復効果が得られない場合においても、界面活性成分が撥水面と研磨液とのなじみを良くすることができるため、研磨の効果を発揮させることができる。なお、上記の界面活性剤として、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルアミンオキシド、アルキルグリコシド、アルキルヒドロキシスルホベタイン、スルホン酸ポリオキシエチレン、アルキルフェニルエーテルアンモニウム塩、脂肪酸カリセッケン、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンラウラート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等が挙げられるが界面を活性化させるものであれば、これら以外のものであっても当然に適用することができる。
【0026】
また、浴室等で使用する整髪料、リンス等による有機汚れを効果的に除去するためには、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、セロソルブ類、カビトール類、ポリプロピレングリコール類等の有機溶剤を添加させるとよい。すなわち、有機溶剤が有機汚れを溶解するためこれらを容易に除去することができる。一方、研磨粒子や上記の界面活性剤等の配合比については、目の細かい布に吸水させる等により十分な水の存在下で使用されることとなるため、特に規定されないが、研磨剤を体積比率50%程度とすれば取り扱いがしやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかる無機質コーティング膜の特性を示した図。
【図2】本実施形態にかかる無機質コーティング膜を製品に適用した例を示した図。
【図3】研磨回復試験の結果を示した図。
【図4】目の細かい布を用いて研磨する際の状況を示す模式図である。
【図5】目の粗い布を用いて研磨する際の状況を示す模式図である。
【図6】傷つき評価試験の結果を示した図。
【符号の説明】
10…浴室ミラー
20…シャワーヘッド
21…取付部材
30,130…研磨粒子
40…目の細かい布
140…目の粗い布
Claims (3)
- ケイ素含有アルコキシド化合物を主成分とした親水性を有する無機質コーティング剤により表面が覆われたガラス物品の表面処理方法であって、
平均粒径が5〜100μmである炭酸カルシウムと界面活性剤とが混合された研磨液を、該炭酸カルシウムの粒子が入り込むことができない程度に繊維の網目が細い研磨布に付着させ、該研磨布により上記ガラス物品の表面を研磨回復することを特徴とするガラス物品の表面処理方法。 - 上記研磨液は、平均粒径が5〜20μmである球状の水酸化アルミニウムが混合されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の表面処理方法。
- 上記研磨液は、有機溶剤が混合されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の表面処理方法。
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