JP4232012B2 - めっき方法、及び電子部品の製造方法 - Google Patents

めっき方法、及び電子部品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はめっき方法、及び電子部品の製造方法に関し、特に積層コンデンサやノイズフィルタ、多層基板等のチップ型電子部品の製造に適しためっき方法、及び該めっき方法を使用した電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の分野では、近年、ボンディング性やはんだ付け性、導電性樹脂接合性、耐熱性、耐蝕性等の諸機能を向上させて信頼性に優れた高機能の電子部品を得るべく、電極表面にNiめっき及びAuめっきを施すことが盛んに行なわれている。
【0003】
ところで、めっき方法を被覆方法から分類した場合、金属イオンを含有しためっき液に電気を流して電気分解を行ない金属を被めっき物上に析出させる電解めっきと、無電解めっきとに大別される。また、無電解めっきには、めっき液に還元剤を添加し該還元剤の酸化反応によって生ずる電子を金属の析出反応に利用する自己触媒型(以下、「自己触媒めっき」という)と、溶液中の金属イオンと素地金属間で生じる置換反応を利用した置換型(以下、「置換めっき」という)とがある。
【0004】
そして、自己触媒めっきでは、還元剤の酸化反応に対し電極表面を触媒活性な表面にする必要があり、このため従来より、Pd(パラジウム)を含有した触媒液に被めっき物を浸漬して電極に表面処理を施し、電極表面を触媒活性化することが行われている。
【0005】
しかしながら、上述したようなPdを含有した触媒液に被めっき物を浸漬した場合、電極以外の部分にもPdが付着して触媒活性化され、Pdを核としためっき皮膜の形成が進行するため、電極以外の部分にもめっき金属が析出してしまう場合がある。しかも、Pd触媒を付与するための前処理として脱脂工程やエッチング工程が必要になる等、製造工程も煩雑であり、このため従来より、この種のめっき処理は主として電解バレルめっきに代表される電解めっき法により行われていた(特許文献1、2)。
【0006】
その一方で、近年になって、還元剤としてホウ素系化合物を使用した場合は、Pdによる触媒処理を行わなくとも電極上に直接無電解めっきを施すことができることが判明し、かかる知見に基づき無電解めっき法によりCu電極の表面にNi−B層、Ni−P層、及びAu層を順次積層した技術が提案されている(特許文献3)。
【0007】
特許文献3では、被めっき物にPd触媒を付与することなく自己触媒めっきを施すことができ、これにより電極表面上にのみNi系皮膜及びAu皮膜を形成することができる。
【0008】
また、上述のような自己触媒めっきでは、還元剤の酸化反応に対し被めっき物の金属表面を触媒活性にする必要があるが、還元剤として、通常使用されるリン酸系化合物、ホウ素系化合物、窒素化合物、及びアルデヒド系化合物については、金属の触媒活性に関する研究報告も既になされている(非特許文献1〜3)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−129393号公報
【特許文献2】
特開2002−235200号公報
【特許文献3】
特開平10−135607号公報
【非特許文献1】
大野湶、若林理、春山志郎著「無電解めっきにおける次亜リン酸ナトリウムのアノード酸化に対する金属の触媒活性」、金属表面技術、vol.34、No.12、1983、p.594-599
【非特許文献2】
大野湶、若林理、春山志郎著「無電解めっきにおけるホウ水素化ナトリウムおよびジメチルアミンボランのアノード酸化に対する金属の触媒活性」、電気化学、vol.53、No.3、1985、p.196-201
【非特許文献3】
大野湶、若林理、春山志郎著「無電解めっきにおけるホルムアルデヒドおよびヒドラジンのアノード酸化に対する金属の触媒活性」、電気化学、vol.53、No.3、1985、p.190-195
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記めっき方法の内、特許文献1及び特許文献2のような電解めっきには以下のような問題点があった。すなわち、
(1)多数の端子を具備した多端子電子部品では、各端子への給電状態を均一にすることが困難であり、このため各端子間でめっき皮膜の膜厚が均一性を欠き、めっき皮膜の膜厚にバラツキが生じる。そしてこの場合、必要最小限の膜厚を確保しなければならないため、最小膜厚を基準にめっき皮膜が形成可能となるようなめっき条件の設定を行う必要がある。このため、膜厚が全体的に厚くなり、例えば、Auめっきを行う場合は素材自体が高価であるためコストの高騰化を招き、またNiめっきを行う場合は皮膜応力によってめっき皮膜が電極から剥離するおそれがある。
【0011】
(2)チップ型電子部品のような小形物品について、従来のような電解バレルめっきを行った場合、電子部品の小形化に伴い、バレル内壁に形成された多数の孔に該電子部品が挟まってしまうおそれがある。このため前記孔の開孔径を小さくする必要が生じるが、一方で、開孔径を小さくするとめっき液の流れが悪くなる。
【0012】
(3)電解バレルめっきでAu皮膜を形成する場合、電子部品の電極上のみならず、導電性媒体にもAuが被着するため、高価なAuを必要以上に消費し、特にボンディング用にAuめっきを施す場合は厚い膜厚が必要となるため、生産コストが高騰化する。
【0013】
(4)バリスタ等のセラミックス材料を素体とする低抵抗の電子部品の場合は、電解めっきにより電子がセラミック素体表面にまで流れるため、セラミック素体の表面にもめっき金属が異常析出する。特に、バレルめっきでは電流分布が複雑であるため、斯かるめっき金属のセラミック素体への異常析出を回避するのは困難である。
【0014】
等の問題点があった。
【0015】
一方、特許文献3に開示されている無電解めっき法では、電極表面上にPd触媒を付与することなく、めっき処理を施すことができるので、電極上にのみ所望のめっき皮膜を形成することが可能である。
【0016】
しかしながら、Ni−B層の表面に直接置換型Auめっきを施した場合はNi−B層とAu層との間で十分な密着性を保持することができなくなるおそれがあり、このため、Ni−B層の表面にAuとの密着性に良好なNi−P層を形成する必要がある。したがって、電極とAu層との間に二層のめっき皮膜、すなわち、Ni−B層及びNi−P層を形成しなければならず、製造プロセスが複雑であるという問題点があった。しかも、自己触媒めっきでNi−B皮膜を形成する場合は、通常、還元剤として高価なジメチルアミンボラン((CHNHBH;以下「DMAB」という)を使用しているため、生産コストの高騰化を招来するという問題点があった。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、安価にして所望箇所にのみ所望のめっき皮膜を形成することのできるめっき方法、及び電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
電解バレルめっきのような電解めっき法には、〔発明が解決しようとする課題〕で述べた(1)〜(4)のような問題点があり、斯かる問題点を解消するのは技術的に困難と考えられる。
【0019】
そこで、本発明者らは無電解めっきに着目して鋭意研究を行ったところ、還元剤の酸化反応に対し触媒活性でない金属表面を有していても、前記酸化反応に対し触媒活性を有する触媒活性物質を被めっき物と混合させ該触媒活性物質を被めっき物に接触させることにより、被めっき物の金属表面が触媒活性化し、該金属表面以外の部分にめっき金属を異常析出させることなく、金属表面にのみ所望の均一膜厚を有するめっき皮膜を形成することができるという知見を得た。
【0020】
また、電解めっき法と異なり、媒体物は還元剤の酸化反応に対し金属表面を触媒活性にするものであれば導電性である必要はなく、したがって、媒体物として表面硬度の低い非導電性物質を使用することができ、これにより、被めっき物はカケや割れ等の損傷が生じ難くなるという利点もある。
【0021】
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るめっき方法は、めっき液が還元剤の酸化還元電位よりも電気化学的に貴な析出電位を有する金属イオンを含有し、少なくとも表面の一部が金属で形成された被めっき物を、前記めっき液に浸漬して無電解めっきを施すめっき方法において、少なくとも一部が非導電性であって且つ前記還元剤の酸化反応に対し触媒活性を有する媒体物を前記めっき液中で前記被めっき物と接触させ、前記無電解めっきを施して前記金属表面にめっき皮膜を形成することを特徴としている。
【0022】
また、本発明のめっき方法は、前記媒体物の表面硬度が、前記被めっき物の表面硬度よりも低いことを特徴としている。
【0023】
上記めっき方法によれば、媒体物の表面硬度が被めっき物の表面硬度よりも低いので、媒体物と被めっき物とが容器内で衝突しても、被めっき物にカケや割れ等の損傷が生じるのを極力回避することができる。
【0024】
また、本発明のめっき方法は、前記媒体物が、前記触媒活性を有する物質が非導電性物質の表面の少なくとも一部に形成されていることを特徴としている。
【0025】
上記めっき方法によれば、セラミックや樹脂、ゴム等の弾力性を有する非導電性物質を母材とし、該母材の表面の少なくとも一部を金属薄膜で形成することにより、被めっき物よりも表面硬度の低い媒体物を容易に製造することができる。
【0026】
また、前記媒体物と前記被めっき物の金属表面とを接触させる方法として、回転、揺動、傾斜、或いは振動等の方式を使用することができる。
【0027】
すなわち、本発明のめっき方法は、前記被めっき物と前記媒体物とを投入した容器を前記めっき液で満たされためっき浴槽内で回転、揺動、傾斜、又は振動させ、前記被めっき物と前記媒体物とを接触させることを特徴としている。
【0028】
さらに、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、小形の被めっき物に対し、めっき皮膜の膜厚バラツキをより効果的に抑制するためには、媒体物は小さいのが望ましく、媒体物の平均径は1.0mm以下が好ましいことが分った。
【0029】
すなわち、本発明のめっき方法は、前記媒体物の平均径が1.0mm以下であることを特徴としている。
【0030】
さらに、本発明のめっき方法は、前記媒体物の表面をNi又はNi合金で形成すると共に、Ni化合物を主成分とし前記還元剤としてリン酸系化合物を含有しためっき液中で、前記被めっき物と前記媒体物とを接触させ、前記無電解めっきを施して前記金属表面上にNiを主成分とする第1のめっき皮膜を形成し、次いで該第1のめっき皮膜の形成された被めっき物を、Au化合物を含有しためっき液中に浸漬し、前記第1のめっき皮膜の表面に金を析出させて第2のめっき皮膜を形成することを特徴としている。
【0031】
上記めっき方法によれば、リン酸系化合物の酸化反応によって生じた電子が、媒体物を介して触媒活性化された金属表面に供給され、酸化還元反応により金属表面にはNiを主成分とする第1のめっき皮膜を形成することができる。そして、第1のめっき皮膜が形成された被めっき物をAu化合物を主成分とするめっき液中に浸漬することにより、電気化学的に卑なNiが溶解して電子を放出し、放出された電子によって電気化学的に貴なAuイオンが還元され、これにより第1のめっき皮膜上にAuからなる第2の皮膜を形成することができる。
【0032】
また、本発明は、上述したように還元剤の酸化反応に対し媒介物を介して被めっき物の金属表面を触媒活性化させることによって該金属表面にめっき皮膜を析出させ、その後は自己触媒的に持続的な金属の析出を行わせ、これにより所望膜厚のめっき皮膜を形成可能としている。
【0033】
したがって、各種還元剤の酸化反応に対し触媒活性な物質を適宜選択することにより、触媒活性を有さない素地金属上にもめっき皮膜を形成することが可能になると考えられる。
【0034】
そして、〔従来の技術〕の項で紹介した非特許文献1〜3には、還元剤として、通常使用されているリン酸系化合物、ホウ素系化合物、窒素化合物、及びアルデヒド系化合物について、金属の触媒活性に関する研究報告が既になされている。
【0035】
すなわち、非特許文献1には、Au、Ni、Pd、Co、Ptは、リン酸系還元剤であるホスフィン酸ナトリウム(NaHPO)の酸化反応に対しCuやAgよりも触媒活性であることが報告されている。
【0036】
したがって、NaHPOの酸化反応に対しては、媒体物の表面をAu、Ni、Pd、Co及びPtで形成することにより、NaHPOの酸化反応に対し触媒活性度の低いCuやAg等の電極表面上にもNi、Co、Pd、Pt、Au等のめっき皮膜を容易に形成することが可能となる。
【0037】
すなわち、本発明のめっき方法は、前記媒体物の表面をAu、Ni、Pd、Co、Pt、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、前記めっき液はNi、Co、Pd、Pt又はAuの中から選択された1種の金属塩を主成分とし、還元剤としてリン酸系化合物を含有していることを特徴としている。
【0038】
また、非特許文献2には、還元剤としてテトラホウ素ナトリウム(NaBH)やDMAB((CHNHBH)等のホウ素系化合物を使用した場合、Ni、Co、Pd、Pt、Auは、これらホウ素系化合物の酸化反応に対しCuやAgよりも触媒活性であることが報告されている。
【0039】
したがって、還元剤がNaHPOの場合は、媒体物の表面をNi、Co、Pd、Pt及びAuで形成することにより、ホウ素系化合物の酸化反応に対し触媒活性度の低いCuやAg等の金属表面上にもNi、Co、Pd、Pt又はAu等のめっき皮膜を容易に形成することが可能となる。
【0040】
すなわち、本発明のめっき方法は、前記媒体物の表面をNi、Co、Pd、Pt、Au、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、前記めっき液はNi、Co、Au、Pd、又はPtの中から選択された1種の金属塩を主成分とし、還元剤としてホウ素系化合物を含有していることを特徴としている。
【0041】
また、非特許文献3には、還元剤として窒素化合物としてのヒドラジン(N)を使用した場合、Co、Ni、Pt、PdはNの酸化反応に対しCuやAgよりも触媒活性であることが報告されている。
【0042】
したがって、還元剤がNの場合は、媒体物をCo、Ni、Pt、及びPdで形成することにより、Nの酸化反応に対し触媒活性度の低いCuやAg等の電極表面上にもNi、Co、Pd、及びPtのめっき皮膜を容易に形成することができる。
【0043】
すなわち、本発明のめっき方法は、前記媒体物の表面をCo、Ni、Pt、Pd、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、前記めっき液はNi、Co、Pd、又はPtの中から選択された1種の金属塩を主成分とし還元剤として窒素化合物を含有していることを特徴としている。
【0044】
また、上記非特許文献3には、還元剤としてホルムアルデヒド(HCHO)を使用した場合、Cu、Au、Agは、HCHOの酸化反応に対しNiよりも触媒活性であることも報告されており、したがって、媒体物の表面をCu、Au、Agで形成することにより、HCHOに対し触媒活性度の低いNi電極上にも、Cu、Au、Agのめっき皮膜を容易に形成することが可能となる。
【0045】
すなわち、本発明のめっき方法は、前記媒体物の表面をCu、Au、Ag、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、Cu、Ag、又はAuの中から選択された1種の金属塩を主成分とし還元剤としてアルデヒド系化合物を含有していることを特徴としている。
【0046】
また、本発明に係る電子部品の製造方法は、上記めっき方法を使用して電子部品を製造することを特徴としている。
【0047】
上記製造方法によれば、Pdを含んだ触媒液で表面処理することなく、電極部分にのみ、めっきされた膜厚の均一性が良好な電子部品を低コストで容易に製造することができる。
【0048】
特に、Auとの密着性の良好なNi−P層を銅電極上に直接形成することが可能であるので、信頼性に優れた高品質な電子部品を安価で製造することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳説する。
【0050】
図1は本発明に係る電子部品の製造方法により製造されたチップ型電子部品の一実施の形態を模式的に示した断面図である。
【0051】
同図において、セラミック素体1は、チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のセラミック材料により角板形状に形成されており、該セラミック素体1の両端部にはCu、Ag、Ag−Pd等からなる電極部2が形成されている。そして、前記電極部2の表面にはNi−P皮膜3が被着され、該Ni−P皮膜3の表面にはAu皮膜4が被着されている。尚、図1では、セラミック素体1は、各板形状のセラミック塊で形成した場合を例示しているが、セラミック素体1が、内部電極を有する場合であってもよいのはいうまでもない。
【0052】
上記チップ型電子部品は以下のようにして製造される。
【0053】
まず、所定の成形・焼成処理を経て形成されたセラミック焼結体を角板形状に切り出してセラミック素体1を作製し、次いで、周知の方法により、Cu、Ag、Ag−Pd等の電極材料をセラミック素体1の両端部に塗布して焼き付け、該セラミック素体1の両端部に電極部2を形成する。
【0054】
そして、電極部2の表面には無電解めっき法によりNi−P皮膜3及びAu皮膜4が形成されている。すなわち、還元剤を使用した自己触媒めっきにより膜厚3〜6μmのNi−P皮膜3が形成され、Niとの間での置換反応を利用した置換めっきにより膜厚0.2μm以下のAu皮膜4が形成されている。
【0055】
以下、Ni−P皮膜3及びAu皮膜4の形成方法について詳述する。
【0056】
(1)Ni−P皮膜3
本実施の形態では、還元剤を使用した自己触媒めっきによりNi−P皮膜3を形成しているが、斯かる自己触媒めっきは、金属のカソード析出反応と還元剤のアノード酸化反応が並列的に進行する。
【0057】
そして、自己触媒めっきが定常的に進行するためには還元剤の酸化還元電位が電極部2を構成する金属材料の析出電位よりも電気化学的に卑であることが必要であり、斯かる観点から、本実施の形態では酸化還元電位Eが約−1.119V(vs.NHE;以下同じ)と低く、強い還元性を示すNaHPOを使用している。
【0058】
すなわち、NaHPOは、酸性めっき液中では化学反応式(1)に示すような酸化反応が起こして電子を放出する。
【0059】
PO +HO→HPO +2H+2e…(1)
そして、放出された電子が電極部2上に供給され、電極部2上で化学反応式(2)、(3)で示すような還元反応が生じると、該電極部2上にNi−P皮膜が形成される。
【0060】
Ni2++2e→Ni…(2)
PO +2H+e→2HO+P…(3)
しかしながら、電極部2上にNi−P皮膜を析出させるためには、電極部2を構成する電極材料が、NaHPOの酸化反応に対し触媒活性を有する必要がある一方で、Cu、Ag、Ag−Pd等の電極材料はNaHPOの酸化反応に対し触媒活性を有さないか、或いは触媒活性度が極めて低いとされている。
【0061】
そこで、本実施の形態では、NaHPOの酸化反応に対して触媒活性な所定量の媒体物を被めっき物と共にバレルに入れ、析出金属であるNi成分を含有しためっき液中で前記バレルを回転させ、めっき液中で被めっき物と媒体物とを接触させることにより電極表面を触媒活性化している。
【0062】
すなわち、めっき液中で被めっき物がNaHPOの酸化反応に対し触媒活性な媒体物と接触して、化学反応式(1)で示す酸化反応が生じて電子を放出し、一方、被めっき物の電極が媒体物と接触することにより該電極表面も触媒活性化され、化学反応式(2)、(3)に示す反応が進行し、Ni−P皮膜3が電極部2の表面に形成される。
【0063】
また、媒体物としては、被めっき物が媒体物と激突したときに被めっき物にカケや割れ等の損傷が生じるのを回避する観点から、媒体物の表面硬度が被めっき物の表面硬度よりも低いのが望ましい。
【0064】
一方、自己触媒めっきは電解めっきと異なり、媒体物が導電性を有する必要はなく、還元剤の酸化反応に対して触媒活性であればよく、したがって被めっき物に損傷が生じるおそれのある硬質の金属片を使用する必要はない。
【0065】
そこで、本実施の形態では、表面硬度が被めっき物の表面硬度よりも低い媒体物を使用し、これにより被めっき物が損傷するのを回避して製品歩留まりの向上を図っている。そしてこのような媒体物として、図2に示すように、セラミックや樹脂、ゴム等の弾力性を有する非導電性物質を母材5とし、該母材5をNi等の金属薄膜6で被覆したものを使用することができる。
【0066】
尚、図2では、母材5の全面を金属薄膜6で被覆しているが、母材5の表面の少なくとも一部に金属薄膜6が形成されていてもよい。
【0067】
また、媒体物の平均径は、1.0mm以下が好ましい。すなわち、例えば縦1.0mm、横0.5mm、厚み0.5mm以下の小形の被めっき物の場合、媒体物の平均径が1.0mmを超えると、均一に混合させ難くなって析出開始性が悪化し、めっき皮膜の膜厚バラツキが生じるおそれがある。
【0068】
尚、めっき液組成としては、めっき液中での酸化還元反応によりNi−P皮膜3が電極部2の表面に形成されれば特に限定されるものではなく、例えば塩化ニッケル等の酸性ニッケルを主成分としNaHPOを還元剤として含有すると共に、錯化剤や水素イオン指数pHの変動を防止するための緩衝剤を含んだめっき液や、必要に応じて安定剤や界面活性剤等を添加させためっき液を使用することができる。
【0069】
このように本実施の形態では、まず、還元剤の酸化反応に対し触媒活性な少なくとも一部が非導電性の媒体物と、被めっき物とをめっき液中で混合させて電極部2を媒体物と接触させ、これにより電極表面を触媒活性化させている。そして、還元剤であるNaHPOの酸化還元電位よりも可逆電位が電気化学的に貴なNi−Pを電極部2の表面に析出させているので、従来のようにPd触媒を電極表面に付与する必要もなく、したがって電極以外の部分にめっき金属が異常析出することもなく、電極表面にのみめっき皮膜を形成させることができる。
【0070】
また、平均径が1.0mm以下の媒体物を使用しているので、小形のチップ型電子部品に自己触媒めっきを施す場合であっても、めっき皮膜の膜厚バラツキを抑制することができ、均一な膜厚を有するめっき皮膜を形成することができる。
【0071】
さらに、電解めっきの場合と異なり、めっき液中には電流が流れず、したがって電流分布の影響もなく、めっき液と接触する電極全体で均一に析出反応が進行するため、複雑な電極パターンを有する多端子型電子部品に適用した場合であっても各端子間の膜厚分布を略均一に制御することができ、めっき材料を必要以上に消費するのを回避することができ、斯かる点からも生産コストの高騰化を回避することができる。
【0072】
尚、本実施の形態では、バレルを回転させて媒体物と被めっき物とを混合・接触させているが、無電解めっき法では、電解めっき法のように電流分布の乱れを考慮する必要がなく、バレル孔径や開孔率は電解めっきのように考慮する必要はなく、また、回転バレル方式の他、揺動バレル方式、傾斜バレル方式、振動バレル方式等、種々の方式を使用して所望の無電解めっきを行うことができる。
【0073】
(2)Au皮膜4
Auは高価な金属であり、必要最小限の膜厚を確保することができれば十分であることから、Au皮膜4は、Ni−P皮膜3が概ね被覆された時点で反応性が低下する置換めっきで形成される。
【0074】
すなわち、Auよりも電気化学的に卑なNi−P皮膜が形成された被めっき物をAuの含有しためっき液中に浸漬すると、化学式(4)、(5)に示すように、卑な金属であるNiの溶解で電子が放出され、該電子によって貴なAuイオンが還元され、その結果、Ni−P皮膜3上にはAu皮膜4が形成される。
【0075】
Ni→Ni2++2e…(4)
Au+e→Au…(5)
ところで、本発明は、上述したように還元剤の酸化反応に対して本来触媒活性でない電極表面を、酸化反応に対し触媒活性な媒体物と接触させて触媒活性な表面とし、還元剤と析出金属間で生じる酸化還元反応により電極表面上に金属を析出させている。
【0076】
したがって、種々の還元剤の酸化反応に対し触媒活性な媒体物表面を適宜選択し、還元剤及び電極材料を種々組み合わせることにより、本発明の所期の目的を達成することができる。
【0077】
以下、還元剤としてNaHPO、NaBH、(CHNHBH、N、HCHOを使用した場合について説明する。
【0078】
(1)NaHPO
〔従来の技術〕の項で紹介した非特許文献1には、NaHPOの酸化反応に対し、アノード酸化開始電位から各種金属の触媒活性を評価すると、Au>Ni>Pd>Co>Pt>Cu>Agの順序で触媒活性の低下することが報告されている。
【0079】
したがって、CuやAgに比べて触媒活性度の高いAu、Ni、Pd、Co、Ptを媒体物表面として被めっき物と混合させ、媒体物をCu電極やAg電極又はAg−Pd電極と接触させることにより、該電極表面をNaHPOの酸化反応に対し触媒活性なものとすることができる。
【0080】
すなわち、NaHPOのアノード酸化反応は、酸性水溶液中では化学式(6)、アルカリ水溶液中では化学式(8)で夫々表わされ、酸化還元電位Eは、酸性水溶液中では数式(7)、アルカリ水溶液中では化学式(9)で夫々表わされる。
【0081】
PO +HO→HPO +2H+2e…(6)
E=−0.50−0.06pH …(7)
PO +3OH→HPO 2−+2HO+2e…(8)
E=−0.30−0.09pH …(9)
ここで、pHは酸性水溶液又はアルカリ性水溶液の水素イオン指数である。
【0082】
そして、NaHPOの酸化還元電位Eよりも可逆電位が電気化学的に貴な金属イオンを含有しためっき液中で自己触媒めっきが進行し、これにより所望のめっき皮膜を形成することができる。
【0083】
尚、この場合、めっき液としては、Ni、Co、Au、Pd、又はPtを含有した金属塩を使用することができる。
【0084】
(2)NaBH
〔従来の技術〕の項で紹介した非特許文献2には、NaBHの酸化反応に対し、アノード酸化開始電位から各種金属の触媒活性を評価すると、Ni>Co>Pd>Pt>Au>Ag>Cuの順序で触媒活性の低下することが報告されている。
【0085】
したがって、CuやAgに比べて触媒活性度の高いNi、Co、Pd、Pt、Auを媒体物表面として被めっき物と混合させ、媒体物をCu電極やAg電極又はAg−Pd電極に接触させることにより、該電極表面をNaBHの酸化反応に対し、触媒活性なものとすることができる。
【0086】
すなわち、NaBHのアノード酸化反応は化学式(10)で表わされ、酸化還元電位Eは数式(11)で表わされる。
【0087】
BH +8OH→BO +6HO+8e…(10)
E=−0.45−0.06pH …(11)
そして、NaBHの酸化還元電位Eよりも可逆電位が電気化学的に貴な金属イオンを含有しためっき液中で自己触媒めっきが進行し、これにより所望のめっき皮膜を形成することができる。
【0088】
尚、この場合、めっき液としては、Ni、Co、Au、Pt、又はPdを含有した金属塩を使用することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、還元剤としてNaBHについて説明したが、NaBHと同様の性状を示すKBHについても同様である。
【0090】
(3)(CHNHBH
上記非特許文献2には、(CHNHBHの酸化反応に対し、アノード酸化開始電位から各種金属の触媒活性を評価すると、Ni>Co>Pd>Au>Pt>Agの順序で触媒活性の低下することが報告されている。
【0091】
したがって、CuやAgに比べて触媒活性度の高いNi、Co、Pd、Au、Ptを媒体物表面として被めっき物と混合させ、媒体物をCu電極やAg電極又はAg−Pd電極に接触させることにより、該電極表面を(CHNHBHの酸化反応に対し、触媒活性なものとすることができる。
【0092】
すなわち、(CHNHBHのアノード酸化反応は水素発生を含む場合は化学式(12)で表わされ、イオン化する場合は化学式(13)で表わされる。
【0093】
(CHNHBH+4OH→(CHNH+BO +2H
+(3/2)H+3e…(12)
(CHNHBH+7OH→(CHNH+BO +5H
+6e…(13)
そして、(CHNHBHの酸化還元電位Eよりも可逆電位が電気化学的に貴な金属イオンを含有しためっき液中で自己触媒めっきが進行し、これにより所望のめっき皮膜を形成することができる。
【0094】
尚、この場合、めっき液としては、Ni、Co、Au、Pd、又はPtを含有した金属塩を使用することができる。
【0095】
(4)N
〔従来の技術〕の項で紹介した非特許文献3には、Nの酸化反応に対し、アノード酸化開始電位から各種金属の触媒活性を評価すると、Co>Ni>Pt>Pd>Cu>Ag>Auの順序で触媒活性の低下することが報告されている。
【0096】
したがって、CuやAgに比べて触媒活性度の高いCo、Ni、Pt、Pd、を媒体物表面として被めっき物と混合させ、媒体物をCu電極やAg電極又はAg−Pd電極に接触させることにより、該電極表面をNの酸化反応に対し、触媒活性なものとすることができる。
【0097】
すなわち、Nのアノード酸化反応は、水素を発生する場合は化学式(14)、水素を発生しない場合は化学式(16)で夫々表わされ、酸化還元電位Eは、水素を発生する場合は数式(15)、水素を発生しない場合は数式(17)で夫々表わされる。
【0098】
+2OH→N+H+2HO+2e…(14)
E=1.57−0.06pH …(15)
+4OH→N+4HO+4e…(16)
E=−0.31−0.06pH …(17)
そして、Nの酸化還元電位Eよりも可逆電位が電気化学的に貴な金属イオンを含有しためっき液中で自己触媒めっきが進行し、これにより所望のめっき皮膜を形成することができる。
【0099】
尚、この場合、めっき液としては、Ni、Co、Pd又はPtを含有した金属塩を使用することができる。
【0100】
(5)HCHO
上記非特許文献3には、HCHOの酸化反応に対し、アノード酸化開始電位から各種金属の触媒活性を評価すると、Cu>Au>Ag>Pt>Pd>Ni>Coの順序で触媒活性の低下することが報告されている。
【0101】
したがって、Niに比べて触媒活性度の高いCu、Au、Ag等を媒体物表面として被めっき物と混合させ、媒体物をNi電極に接触させることにより、該電極表面をHCHOの酸化反応に対し、触媒活性なものとすることができる。
【0102】
すなわち、HCHOのアノード酸化反応は、水素を発生する場合は化学式(18)、水素を発生しない場合は化学式(20)で夫々表わされ、酸化還元電位Eは、水素を発生する場合は数式(19)、水素を発生しない場合は数式(21)で夫々表わされる。
【0103】
2HCHO+4OH→2HCOO+H+2HO+2e…(18)
E=0.32−0.12pH …(19)
HCHO+3OH→HCOO+2HO+2e…(20)
E=0.19−0.09pH …(21)
そして、HCHOの酸化還元電位Eよりも可逆電位が電気化学的に貴な金属イオンを含有しためっき液中で自己触媒めっきが進行し、これにより所望のめっき皮膜を形成することができる。
【0104】
尚、この場合、めっき液としては、Cu、Ag又はAuを含有した金属塩を使用することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、還元剤としてHCHOについて説明したが、HCHOと同様のアルデヒド系化合物であるグリオキシル酸(CHOCOOH)についても同様である。
【0106】
そして、上記(1)〜(5)の結果を纏めると表1のようになる。
【0107】
【表1】
Figure 0004232012
この表1からも明らかなように、還元剤、析出金属、媒体物表面、及び電極材料を種々組み合わせて所望のめっき処理を実行することができ、これによりチップ型のみならずプリント基板等、様々な用途に使用される種々の電子部品のめっき処理に対し広汎な適用が可能となる。
【0108】
以上詳述したように本発明によれば、各種還元剤の酸化反応に対し触媒活性度の低い電極材料に対しても媒体物を介して電極材料を触媒活性化することができ、これにより、種々の還元剤に対し自己触媒めっきによるめっき皮膜の形成が可能となる。
【0109】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0110】
〔第1の実施例〕
(実施例1)
被めっき物として、セラミック素体の両端部にCu電極を形成した縦1.6mm、横0.8mm、厚さ0.8mmの積層セラミックコンデンサを20,000個用意した。
【0111】
次いで、下記のめっき組成を有するめっき液(第1のめっき液)で満たした内容積が5.0×10−4のバレルに上記被めっき物を浸漬すると共に、表面がNiで被覆された平均径0.8mmのゴム製非導電性媒体約10,000個を前記バレルに投入し、0.167s−1(=10rpm)の回転速度で該バレルを20分間回転させ、自己触媒めっきを施してCu電極の表面にNi−P皮膜を形成した。
【0112】
〔第1のめっき液組成〕
金属塩 : 硫酸ニッケル30kg/m
還元剤 : ホスフィン酸ナトリウム10kg/m
錯化剤 : 酢酸ナトリウム10kg/m
pH : 5.0
浴 温 : 90℃
次に、Ni−P皮膜の形成された被めっき物を下記のめっき組成を有するめっき液(第2のめっき液)中に浸漬し、0.167s−1(=10rpm)の回転速度で該バレルを15分間回転させ、置換めっきを施してNi−P皮膜の表面にAu皮膜を形成し、実施例1の試験片を作製した。
【0113】
〔第2のめっき液組成〕
金属塩 : 亜硫酸金5.5kg/m
錯化剤 : 亜硫酸ナトリウム15kg/m
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム45kg/m
pH : 6.8
浴 温 : 85℃
(実施例2)
被めっき物として、セラミック素体の両端部にAg電極を形成した縦1.0mm、横0.5mm、厚さ0.5mmの積層セラミックコンデンサを20,000個用意した。
【0114】
次いで、表面がPdで被覆された平均径0.5mmの樹脂製非導電性媒体約10,000個を前記バレルに投入し、実施例1と同様の方法・手順で実施例1と同様の手順でAg電極の表面にNi−P皮膜及びAu皮膜を形成し、実施例2の試験片を作製した。
【0115】
(比較例1)
実施例1と同一の被めっき物20,000個を使用し、直接、電解バレルめっきを施し、Cu電極の表面にNi皮膜及びAu皮膜を形成し、比較例1の試験片を作製した。
【0116】
尚、電解めっきにおける電流密度は、Niめっき及びAuめっき共、20A/mに設定して行った。
【0117】
(比較例2)
実施例1と同一の被めっき物20,000個に対しPd触媒を付与した後、無電解めっきを施し、Cu電極の表面にNi−P皮膜及びAu皮膜を形成し、比較例2の試験片を作製した。
【0118】
(比較例3)
ホスフィン酸ナトリウムの酸化反応に対し触媒活性を示す導電性媒体としての平均径0.8mmのNi片10,000個をバレルに投入し、実施例1と同様の方法・手順でCu電極の表面にNi−P皮膜及びAu皮膜を形成し、比較例2の試験片を作製した。
【0119】
次に、実施例及び比較例の各30個について、蛍光X線膜厚計(セイコーインスツルメンツ社製SEA5120)で膜厚を測定し、その平均値を算出した。
【0120】
また、膜厚の標準偏差と平均値から数式(1)に基づき、膜厚のバラツキを示すCV値(変動係数)を算出した。
【0121】
CV=(標準偏差/平均値)×100 …(1)
また、実施例及び比較例の各30個について、カケや割れ等の損傷が発生しているか否かをマイクロスコープで確認し、構造欠陥発生率を算出した。
【0122】
表2はその結果を示している。
【0123】
【表2】
Figure 0004232012
この表2から明らかなように比較例1は、電解めっきを行ってNi−P皮膜及びAu皮膜を形成しているので、被めっき物に通電される電流密度のバラツキ等によりCV値が15%となり、膜厚にバラツキが生じることが分った。また、バレルに表面硬度の高い導電性媒体を投入しているため、構造欠陥発生率が3%となり、製品歩留まりの低下を招いている。
【0124】
比較例2は、バレル内に媒体物を投入していないため、カケ等の損傷は生じず、構造欠陥は発生しなかったが、被めっき物表面にPd触媒を付与して触媒活性化しているため、Cu電極以外の被めっき物表面にもめっき金属が析出した。
【0125】
比較例3は、媒体物を投入して無電解めっきを行っているため、CV値は5%以下となって膜厚バラツキは抑制されているが、媒体物として表面硬度の大きなNi片をバレル内に投入しているため、構造欠陥発生率が2%となり、製品歩留まりの低下を招いている。
【0126】
これに対して実施例1、2は、表面硬度がめっき金属よりも低い非導電性物質に金属薄膜を形成した媒体物を使用して無電解めっきを施しているので、CV値は5%以下で製品間の膜厚バラツキを抑制することができ、カケ等の損傷が生じることもなく、また、電極以外の部位へのめっき析出も生じず、電極にのみ所望膜厚のめっき皮膜を形成することができた。
【0127】
すなわち、被めっき物よりも表面硬度の低い樹脂、ゴム等の表面に還元剤の酸化反応に対して触媒活性を示す物質を形成した媒体物を使用することにより、被めっき物の損傷を防止することができた。
【0128】
〔第2の実施例〕
(実施例11)
縦4.5mm、横2.0mm、厚み0.5mmのセラミック素体の表面に複雑な形状のAgからなる電極パターンを形成した被めっき物を5,000個作製し、表面がNiで被覆された平均径1.0mmのゴム製非導電性媒体約2,000個と共に、前記バレルに投入し、第1の実施例と同様の方法・手順でCu電極の表面にNi−P皮膜及びAu皮膜を形成し、実施例11の試験片を作製した。
【0129】
(比較例11)
実施例11と同様の電極パターンが形成された被めっき物に電解めっきを施し、電極パターン上にNi皮膜及びAu皮膜を形成し、比較例11の試験片を作製した。
【0130】
尚、電解めっきにおける電流密度は、Niめっき及びAuめっき共、20A/mに設定して行った。
【0131】
(比較例12)
実施例11と同様の電極パターンが形成された被めっき物にPd触媒を付与した後、実施例11と同様の方法・手順で無電解めっきを施し、電極パターン上にNi−P皮膜及びAu皮膜を形成し、比較例12の試験片を作製した。
【0132】
(比較例13)
ホスフィン酸ナトリウムの酸化反応に対し触媒活性を示す導電性媒体としての平均径1.0mmのNi片2,000個をバレルに投入し、実施例1と同様の方法・手順でCu電極の表面にNi−P皮膜及びAu皮膜を形成し、比較例13の試験片を作製した。
【0133】
次いで、図3に示すように、中央部から少し右寄りの点a、中央部から少し左寄りの点b、点c、両左隅の点d、点e、右両隅の点f、点gについて、各皮膜の第1の実施例と同様の方法で膜厚を測定した。
【0134】
また、実施例及び比較例の各30個について、カケや割れ等の損傷が発生しているか否かをマイクロスコープで確認し、構造欠陥発生率を算出した。
【0135】
表3はその結果を示している。
【0136】
【表3】
Figure 0004232012
この表3から明らかなように比較例11は、電解めっきを行っているため電流分布に差があり、Ni皮膜は各測定点間で0.68μm〜13.42μmのバラツキが生じ、またAu皮膜は各測定点間で0.02μm〜0.19μmのばらつきが生じた。特に、Au皮膜の場合は各測定点で必要最低限の膜厚が得られるように電流密度を設定してめっき処理を行うため、電流分布の差により異常に厚い膜厚を有する箇所が生じた(本実施例ではセラミック素体の両端部d〜gの膜厚が中央部a〜cの膜厚よりも厚い)。しかも、給電用の導電性媒体との間の衝突による衝撃の結果、カケや割れ等の損傷が発生し、構造欠陥率が30%となって製品歩留まりの低下を招くことが分った。
【0137】
比較例12は、被めっき物にPd触媒を付与しているため、構造欠陥は生じなかったが、電極以外の部位にもめっきが析出した。
【0138】
比較例13は、無電解めっきによりNi−P皮膜及びAu皮膜を形成しているため、膜厚測定点間での膜厚バラツキは小さいが、媒体物としてNi片をバレル内に投入しているため、衝突による衝撃で割れ等の損傷が発生したものがあり、構造欠陥発生率は10%であり、製品歩留まりの低下を招くことが分った。
【0139】
これに対して実施例11は、媒体物を介して電極表面を触媒活性化し、これにより無電解めっきを施しているので、膜厚測定点間のバラツキも小さく、電極以外の部位へのめっき析出も生じず、電極にのみ所望膜厚のめっき皮膜を形成することができた。
【0140】
また、媒体物は、被めっき物よりも表面硬度の低い樹脂、ゴム等の表面に還元剤の酸化反応に対して触媒活性を示す物質を被覆しているので、被めっき物にカケや割れ等の損傷が発生するのを防止できることが分った。
【0141】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係るめっき方法は、めっき液が還元剤の酸化還元電位よりも電気化学的に貴な析出電位を有する金属イオンを含有し、少なくとも表面の一部が金属で形成された被めっき物を、前記めっき液に浸漬して無電解めっきを施すめっき方法において、少なくとも一部が非導電性であって且つ前記還元剤の酸化反応に対し触媒活性を有する媒体物を前記めっき液中で前記被めっき物と接触させ、前記無電解めっきを施して前記金属表面にめっき皮膜を形成するので、媒体物を介して被めっき物の金属表面が触媒活性化され、これにより還元剤と析出金属間での酸化還元反応により金属表面にめっき皮膜が形成され、均一な膜厚のめっき皮膜を有する電子部品を製造することができる。
【0142】
すなわち、電解めっきのように金属部分以外の非金属部分に金属が異常析出することなく、また、多端子用電子部品や複雑な形状の電極パターンを有する電子部品の場合であっても金属表面にのみ所望の均一な膜厚を有するめっき皮膜を形成することができる。しかも、めっき皮膜の均一性が良好であり、また媒体体上に金属が析出することもなく、したがって析出金属が必要以上に消費されることもなく、コストが高騰するのを抑制することができる。
【0143】
前記媒体物の表面硬度は、前記被めっき物の表面硬度よりも低いので、被めっき物にカケや割れ等の損傷が生じるのを防止することができる。
【0144】
また、前記媒体物は、前記還元剤の酸化反応に対し触媒活性を有する触媒活性物質が非導電性物質の表面の少なくとも一部に形成されるのも好ましく、これにより、樹脂やゴム等の表面硬度の低い非導電性物質の表面の少なくとも一部に、還元剤の酸化反応に対し触媒活性を有する金属薄膜を形成することができ、被めっき物にカケや割れ等の損傷が生じるのを効果的に防止することができる。
【0145】
また、前記被めっき物と前記媒体物とを投入した容器を前記めっき液の満たされためっき浴槽内で回転、揺動、傾斜、又は振動させて前記被めっき物と前記導電性媒体とを混合させることにより、媒体物と被めっき物とを容易に接触させることができ、電極表面を触媒活性な状態とすることができる。
【0146】
また、前記媒体物の平均径が1.0mm以下であるので、小形の被めっき物にめっき処理を施す場合であっても、めっき皮膜の膜厚のバラツキを抑制することができる。
【0147】
特に、前記媒体物の表面をNi又はNi合金で被覆すると共に、Ni化合物を主成分としリン酸系化合物を前記還元剤として含有しためっき液中で、前記被めっき物と前記媒体物とを混合し、前記無電解めっきを施して前記金属表面上にNiを主成分とする第1のめっき皮膜を形成し、次いで該第1のめっき皮膜の形成された被めっき物を、Au化合物を含有しためっき液中に浸漬し、前記第1のめっき皮膜の表面に金を析出させて第2のめっき皮膜を形成することにより、自己触媒めっきによって均一性の良好な任意の膜厚を有する第1のめっき皮膜(Ni−P皮膜)が形成され、さらに置換めっきによって第2のめっき皮膜(Au皮膜)が形成されることとなり、特にAu皮膜は均一性が良好で必要以上の膜厚とはならず、必要最小限のコストでもって電子部品を製造することができる。
【0148】
また、本発明によれば、還元剤としてリン酸系化合物、ホウ素系化合物、窒素化合物、アルデヒド系化合物を使用した場合も、還元剤の酸化反応に対して触媒活性な金属を適宜選択し、還元剤、析出金属、媒体物、及び電極材料を種々組み合わせることにより、所望のめっき処理を施すことができ、これによりチップ型のみならずプリント基板等、広汎な様々な用途に適用される種々の電子部品のめっき処理に適用することができる。
【0149】
また、本発明に係る電子部品の製造方法は、上記めっき方法を使用して電子部品を製造するので、従来のこの種無電解めっきのようにPdを含んだ触媒液で表面処理することなく、電極部分にのみ均一にめっき皮膜が形成された電子部品を容易に製造することができる。
【0150】
特に、Auとの密着性の良好なNi−P層を銅電極上に直接形成することが可能であるので、高品質な信頼性に優れた電子部品を安価に製造することができる。
【0151】
尚、本発明のめっき方法は、被めっき物が電子部品の場合に限らず、あらゆる金属体の表面にめっき皮膜を形成する場合に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で製造された電子部品としてのチップ型電子部品の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】媒体物の一実施の形態を示す断面図である。
【図3】第2の実施例における膜厚測定点を示す図である。
【符号の説明】
1 セラミック素体(被めっき物)
2 電極部(金属表面)
3 Ni−P皮膜(第1のめっき皮膜)
4 Au皮膜(第2のめっき皮膜)

Claims (11)

  1. めっき液が還元剤の酸化還元電位よりも電気化学的に貴な析出電位を有する金属イオンを含有し、少なくとも表面の一部が金属で形成された被めっき物を、前記めっき液に浸漬して無電解めっきを施すめっき方法において、少なくとも一部が非導電性であって且つ前記還元剤の酸化反応に対し触媒活性を有する媒体物を前記めっき液中で前記被めっき物と接触させ、前記無電解めっきを施して前記金属表面にめっき皮膜を形成することを特徴とするめっき方法。
  2. 前記媒体物の表面硬度は、前記被めっき物の表面硬度よりも低いことを特徴とする請求項1記載のめっき方法。
  3. 前記媒体物は、前記還元剤の酸化反応に対し触媒活性を有する触媒活性物質が非導電性物質の表面の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のめっき方法。
  4. 前記被めっき物と前記媒体物とを投入した容器を前記めっき液で満たされためっき浴槽内で回転、揺動、傾斜、又は振動させ、前記被めっき物と前記媒体物とを接触させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のめっき方法。
  5. 前記媒体物の平均径が1.0mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のめっき方法。
  6. 前記媒体物の表面をNi又はNi合金で形成すると共に、Ni化合物を主成分とし前記還元剤としてリン酸系化合物を含有しためっき液中で、前記被めっき物と前記媒体物とを接触させ、前記無電解めっきを施して前記金属表面上にNiを主成分とする第1のめっき皮膜を形成し、次いで該第1のめっき皮膜の形成された被めっき物を、Au化合物を含有しためっき液中に浸漬し、前記第1のめっき皮膜の表面に金を析出させて第2のめっき皮膜を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のめっき方法。
  7. 前記媒体物の表面をAu、Ni、Pd、Co、Pt、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、前記めっき液はNi、Co、Pd、Pt又はAuの中から選択された1種の金属塩を主成分とし、還元剤としてリン酸系化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のめっき方法。
  8. 前記媒体物の表面をNi、Co、Pd、Pt、Au、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、前記めっき液はNi、Co、Au、Pd、又はPtの中から選択された1種の金属塩を主成分とし、還元剤としてホウ素系化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のめっき方法。
  9. 前記媒体物の表面をCo、Ni、Pt、Pd、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、前記めっき液はNi、Co、Pd、又はPtの中から選択された1種の金属塩を主成分とし還元剤として窒素化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のめっき方法。
  10. 前記媒体物の表面をCu、Au、Ag、又はこれらの合金の中から選択された少なくとも1種の金属で形成すると共に、Cu、Ag、又はAuの中から選択された1種の金属塩を主成分とし還元剤としてアルデヒド系化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のめっき方法。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のめっき方法を使用して電子部品を製造することを特徴とする電子部品の製造方法。
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