JP4231670B2 - カラーフィルタの欠陥修正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルタの欠陥を修正する際に用いるカラーフィルタの欠陥修正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶表示装置、とりわけカラー液晶表示装置の需要が増加する傾向にある。このカラー液晶表示装置には、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備えたカラーフィルタが設けられており、このカラーフィルタのR、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われる。
【0003】
このようなカラーフィルタは、通常透明基板上に上記R、G、およびBからなる画素部が所定のパターンで形成されたカラーフィルタ膜が形成され、このカラーフィルタ膜上に液晶を駆動させるための透明電極が形成されている。
【0004】
しかしながら、例えばこのカラーフィルタ膜中に数μm〜数十μmのゴミ等の異物が混入し、さらにこの異物が導電性のものであったり、高い誘電率を有するものであったりした場合は、液晶駆動用の電極の短絡や液晶の表示品質の低下等の不具合が生じる可能性がある。したがって、このような異物を製造時に混入させないようにすることが望ましいが、現実問題としてクリーンルーム等の異物の少ない環境で製造した場合でも、完全に異物の付着や内包のないカラーフィルタを製造することは不可能である。
【0005】
また、近年、カラーフィルタの多面取りが行われるようになってきている。したがって、異物の混入したカラーフィルタを廃棄処分とした場合は、コスト面での問題が大きくなってしまう。
【0006】
このような観点から、カラーフィルタに付着もしくは内包した異物を除去した後に行われる修正方法として、針先端にカラーフィルタ膜用組成物を付着させ、これをカラーフィルタの欠陥除去箇所に接触させて塗布し、硬化させることにより修正する方法が特開平9−61296号公報に記載されている。
【0007】
この方法においては、通常一箇所の欠陥除去箇所を修正する際には、一本の欠陥修正用針を用いるが、一度の処理で得られる膜厚は針によって固有に決定されるため、一本の針を用い塗布回数で膜厚を調整する方法では、精密な膜厚の調整は困難であった。また、用いるカラーフィルタ膜用組成物の特性によっては、複数回の塗布を繰り返しても所望の膜厚が得られない場合や、逆に一度の処理で、必要以上の膜厚が得られてしまう場合がある。このように固有の一本の針のみを用いた場合では、対応が困難であるため、必然的に使用できるカラーフィルタ膜用組成物の選択の幅が狭められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、精密な膜厚の調整を容易に可能とし、使用可能なカラーフィルタ膜用組成物の選択の幅が広いカラーフィルタの欠陥修正装置を提供することを主目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、カラーフィルタの欠陥修正用針を用い、この欠陥修正用針の先端にカラーフィルタ膜用組成物を付着させ、これをカラーフィルタの欠陥除去箇所に接触させることにより塗布するカラーフィルタ膜用組成物塗布手段を少なくとも有し、カラーフィルタの欠陥を修正するカラーフィルタの欠陥修正装置において、上記カラーフィルタ膜用組成物塗布手段は、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が90°〜135°の範囲内にある欠陥修正用針を異なる角度で複数本搭載していることを特徴とするカラーフィルタの欠陥修正装置を提供する。
【0010】
本発明においては、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が上記範囲内にある欠陥修正用針を複数本搭載したカラーフィルタ膜用組成物塗布手段を有するカラーフィルタの欠陥修正装置とすることにより、一箇所の欠陥除去箇所に、上述した角度が異なる欠陥修正用針を1種類以上組み合わせて使用することができるため、調整できる膜厚の範囲が広がり、精度の高い修正を行うことができる。また、欠陥除去箇所の状態に応じて好適な欠陥修正用針の選択の幅が広がるため、製造効率を向上させることができる。さらに、従来使用することが困難であったカラーフィルタ膜用組成物であっても、上記角度が異なる欠陥修正用針の中から選択することにより、使用することが可能となる場合があり、使用可能なカラーフィルタ膜用組成物の選択の幅を広げることができる。
【0011】
本発明においてはまた、請求項2に記載するように、カラーフィルタに存在する欠陥を検出する欠陥検出工程と、上記欠陥検出工程により検出された欠陥が存在する領域にレーザ光を照射し、上記欠陥をカラーフィルタ膜と共に除去する欠陥除去工程と、上記欠陥除去工程によりカラーフィルタ膜が除去された欠陥除去箇所に、針先端に付着したカラーフィルタ膜用組成物を接触させて塗布し、硬化させることにより欠陥除去箇所を修正する修正工程とを有するカラーフィルタの製造方法において、上記修正工程では、上記請求項1に記載のカラーフィルタの欠陥修正装置を用いることを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0012】
このように、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置を用いて修正工程を行うことにより、容易に膜厚を調整することが可能となるため、精度の高い修正を行うことができ、高精細なカラーフィルタを製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルタの欠陥修正装置およびそれを用いたカラーフィルタの製造方法について説明する。
【0014】
A.カラーフィルタの欠陥修正装置
まず、カラーフィルタの欠陥修正装置について説明する。
【0015】
本発明のカラーフィルタの欠陥修正装置は、カラーフィルタの欠陥修正用針を用い、この欠陥修正用針の先端にカラーフィルタ膜用組成物を付着させ、これをカラーフィルタの欠陥除去箇所に接触させることにより塗布するカラーフィルタ膜用組成物塗布手段を少なくとも有し、カラーフィルタの欠陥を修正するカラーフィルタの欠陥修正装置において、前記カラーフィルタ膜用組成物塗布手段は、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が90°〜135°の範囲内にある欠陥修正用針を異なる角度で複数本搭載していることを特徴とするものである。
【0016】
本発明においては、欠陥修正用針の先端平面と先端側壁とが成す角度が異なる欠陥修正用針を、カラーフィルタの欠陥修正装置のカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に複数本搭載させることにより、精密な膜厚の調整を容易に可能とするカラーフィルタの欠陥修正装置を提供することができる。
【0017】
これは以下の理由による。まず、欠陥修正用針の先端平面と先端側壁とが成す角度が異なることにより得られるカラーフィルタ膜用組成物の塗布量が異なる点について説明する。
【0018】
欠陥修正用針をカラーフィルタ膜の欠陥除去箇所に押し込んだ際に、針の先端部分に付着しているカラーフィルタ膜用組成物は、針の先端側壁に沿って広がるが、この際、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が大きいと、針の先端部分の表面積も大きくなるため、針の先端側壁に付着するカラーフィルタ膜用組成物の量が多くなる。従って、針を欠陥除去箇所から引き上げる際、欠陥除去箇所に付着せず、針と共に引き上げられるカラーフィルタ膜用組成物の量も多くなるため、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が大きい場合は、必然的に得られる膜厚が薄くなる。一方、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が小さいと、針の先端部分の表面積は小さくなるため、得られる膜厚は厚くなる。
【0019】
このように本発明においては、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が異なることにより得られるカラーフィルタ膜用組成物の塗布量が異なることを利用して、カラーフィルタ膜の欠陥除去箇所の状態に応じて、適切な塗布量を実現できる欠陥修正用針をカラーフィルタ膜用組成物塗布手段から選択することができるため、本発明のカラーフィルタの欠陥修正装置を用いれば、精度の高い修正を行うことができるのである。さらに、用いるカラーフィルタ膜用組成物の特性によっては、複数回の塗布を繰り返しても所望の膜厚が得られない場合や、逆に一度の処理で必要以上の膜厚が得られる場合があったが、このようなカラーフィルタ膜用組成物であっても、本発明におけるカラーフィルタ膜用組成物塗布手段から欠陥修正用針を選択することにより使用することが可能となる場合がある。従って、カラーフィルタ膜用組成物の選択の幅を広げることができるのである。
【0020】
以下、本発明のカラーフィルタの欠陥修正装置として、カラーフィルタ膜用組成物塗布手段およびそのカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に搭載される欠陥修正用針について説明する。
【0021】
(欠陥修正用針)
まず、本発明におけるカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に搭載されている欠陥修正用針について説明する。
【0022】
図1は、本発明における欠陥修正用針の断面図の一例を示している。本発明におけるカラーフィルタの欠陥修正用針3は、先端平面1と先端側壁2とでその先端部分は形成されており、さらに、先端平面1および先端側壁2とが成す角度aは、それらが成す角度のうち図1に示すようにカラーフィルタの欠陥修正用針3の部材側に形成される角度とする。
【0023】
なお、ここでいう欠陥修正用針の先端平面とは、針の最先端部分の平面を意味し、さらに、先端側壁とは、針の先端部分の側壁部分を意味している。
【0024】
本発明における欠陥修正用針としては、その先端平面と先端側壁とが成す角度が、90°〜135°の範囲内であり、その中でも、90°〜115°の範囲内であることが好ましい。上記範囲内にある欠陥修正用針を異なる角度で複数本用意することにより、様々なカラーフィルタ膜の欠陥除去箇所に応じた膜厚の調整が容易に可能であり、さらに、従来では使用することが困難であったカラーフィルタ膜用組成物であっても、上述した範囲内にある欠陥修正用針を選択することにより、使用可能となる場合があることから、カラーフィルタ膜用組成物の選択の幅を広げることができるからである。
【0025】
さらに、このような欠陥修正用針をカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に搭載させる本数としては、カラーフィルタ膜の欠陥除去箇所の状態に応じて様々な膜厚の調整を容易に可能とする本数であれば特に限定はされない。具体的には、10本以下の範囲内、その中でも3本〜6本の範囲内であることが好ましい。異なる角度の欠陥修正用針が上記範囲内の本数でカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に搭載されていれば、様々な欠陥除去箇所の状態に応じた膜厚の調整が容易に可能となり、精度の高い修正が行えるからである。
【0026】
また、各々の欠陥修正用針の角度の差としては、カラーフィルタ膜用組成物の膜厚に好適な差を生じさせる角度の違いであれば特に限定はされない。具体的には、5°置き、その中でも、10°置きごとであることが好ましい。上記範囲ごとに角度の異なる欠陥修正用針がカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に複数本搭載されていれば、様々な状態の欠陥除去箇所の状態に対応することができ、また、角度の異なる欠陥修正用針を組み合わせて一箇所の欠陥除去箇所の修正を行うことにより、好適な膜厚の調整が可能であるため、精度の高い修正を行うことできるからである。
【0027】
また、欠陥修正用針の先端平面の径は、カラーフィルタ膜の欠陥除去箇所に針の先端部分を押し込む際に、その押し込みを容易に可能とする径であれば特に限定はされない。具体的には、5μm〜100μmの範囲内、その中でも10μm〜70μmの範囲内であることが好ましい。針の先端平面の径によっても塗布されるカラーフィルタ膜用組成物の量は変化するが、上記範囲内の径を有する欠陥修正用針であれば、好適な塗布量を得ることが可能であるからである。
【0028】
また、本発明においては、針の先端平面と先端側壁とが成す角度と、先端平面の径が異なった針を組み合わせて、カラーフィルタ膜用組成物塗布手段に複数本搭載されている場合であっても良い。このように角度および径が異なる欠陥修正用針が複数本搭載されることにより、様々な塗布径の修正に対して精密な膜厚の調整を針交換を行うことなく一台の装置で行うことができるからである。また、使用可能なカラーフィルタ膜用組成物の選択の幅もさらに広げることができる。
【0029】
このような欠陥修正用針に用いる材料としては、加工が容易であり剛性を有する材料であれば特に限定はされない。具体的には、鉄、アルミニウムなどの金属類等を挙げることができる。
【0030】
(カラーフィルタ膜用組成物塗布手段)
次に、本発明におけるカラーフィルタ膜用組成物塗布手段について説明する。本発明におけるカラーフィルタ膜用組成物塗布手段とは、上述した欠陥修正用針が搭載されており、この欠陥修正用針の先端にカラーフィルタ膜用組成物を付着させ、これをカラーフィルタの欠陥除去箇所に接触させることによりカラーフィルタ膜用組成部を塗布する手段であり、さらに、搭載されている欠陥修正用針は、その針の先端平面と先端側壁とが成す角度が異なるものが複数本搭載されていることを特徴とする。
【0031】
このようなカラーフィルタ膜用組成物塗布手段とすることにより、カラーフィルタの一箇所の欠陥除去箇所を修正する際、異なる角度の欠陥修正用針を1種類以上組み合わせて用いることができることから、欠陥除去箇所の状態に応じた様々な膜厚の調整を可能とする精度の高い修正が可能となる。また、従来、複数回の塗布を繰り返しても所望の膜厚を得ることができなかったカラーフィルタ膜用組成物や、逆に一度の処理で必要以上の膜厚となってしまうようなカラーフィルタ膜用組成物の場合は、一本の欠陥修正用針では、対応することは困難であったが、本発明においては、カラーフィルタ膜用組成物塗布手段に搭載されている角度の異なる欠陥修正用針の中から適切なものを選択することにより、従来用いることが難しかったカラーフィルタ膜用組成物の使用が可能となる場合があり、使用できるカラーフィルタ膜用組成物の選択の幅を広げることができる。
【0032】
B.カラーフィルタの製造方法
次にカラーフィルタの製造方法について説明する。
【0033】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、カラーフィルタに存在する欠陥を検出する欠陥検出工程と、前記欠陥検出工程により検出された欠陥が存在する領域にレーザ光を照射し、前記欠陥をカラーフィルタ膜と共に除去する欠陥除去工程と、前記欠陥除去工程によりカラーフィルタ膜が除去された欠陥除去箇所に、針先端に付着したカラーフィルタ膜用組成物を接触させて塗布し、硬化させることにより欠陥除去箇所を修正する修正工程とを有するカラーフィルタの製造方法において、前記修正工程では、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置を用いることを特徴とするものである。
【0034】
本発明においては、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置を用いることにより、修正工程において、精密な膜厚の調整が可能となり、精度の高い修正を効率良く行うことができることから、高精細なカラーフィルタを製造することができる。
【0035】
このような本発明のカラーフィルタの製造方法について図2を用いて説明する。まず、カラーフィルタ製造工程中に、図2(a)に示すように、透明基板11上に形成された、カラーフィルタ膜12の内部若しくはその表面に存在する異物13等の欠陥を検出する欠陥検出工程を行う。
【0036】
なお、ここでいうカラーフィルタ膜とは画素部またはブラックマトリックスを意味する。図2では、カラーフィルタ膜12の中でも画素部12aに異物13等の欠陥が存在する場合を示しているが、本発明においては、ブラックマトッリクス12bの内部若しくはその表面に異物13等の欠陥が存在する場合も含むものである。
【0037】
次に、欠陥検出工程により検出された上記異物13およびその近傍に存在するカラーフィルタ膜12にレーザ光を照射し、上記異物13およびその近傍のカラーフィルタ膜12を除去する欠陥除去工程を行い、図2(b)に示すように、カラーフィルタ膜除去部14が形成される。次に、図2(c)に示すように、カラーフィルタ膜除去部14にカラーフィルタ膜用組成物を、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置を用いて塗布し、硬化させる修正工程を行う。
【0038】
以下、各工程について説明する。
【0039】
a.欠陥検出工程
まず、本発明における欠陥検出工程について説明する。本発明における欠陥検出工程とは、カラーフィルタに存在する欠陥を検出する工程であり、例えば図2(a)に示すように、カラーフィルタの透明基板11上に形成された、カラーフィルタ膜12中もしくはその表面に存在する異物13等の欠陥を検出する工程である。
【0040】
なお、ここでいう欠陥とは、カラーフィルタ膜の不具合を意味するものであり、具体的には、カラーフィルタ膜の中または表面に存在する異物や、表示品質を低下させるようなカラーフィルタ膜自体の凹凸等を挙げることができる。
【0041】
ここで、本発明の欠陥検出工程は、カラーフィルタの製造方法の工程の中でも、透明基板上にカラーフィルタ膜が形成された工程後であり、保護層等が形成される工程前に行われることから、本発明でいうカラーフィルタとは、透明基板と、その透明基板上に形成されたカラーフィルタ膜、例えば画素部またはブラックマトリクスを有するものをいう。
【0042】
本発明に用いられる透明基板としては、一般的に透明基板として用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を挙げることができる。
【0043】
また、本発明に用いられる画素部とは、単色からなる場合や、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色といった複数色からなる場合であってもよく、これらが種々のパターン、例えばモザイク状、トライアングル状、ストライプ状等のパターンで形成されるものである。本発明のカラーフィルタの製造方法における、この画素部の形成方法としては、従来より行われている顔料分散法やインクジェット法による印刷法等を用いることが可能であり、本発明においては特に限定されるものではない。
【0044】
さらに、本発明において用いられるブラックマトリックスとは、上記画素部を形成する画素部間に配置され、光を遮るために形成されたものである。上記透明基材上にブラックマトリックスを製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成する方法等を挙げることができる。
【0045】
また、上記ブラックマトリックスとしては、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよく、用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂性ブラックマトリックスのパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0046】
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法で最終的に得られるカラーフィルタとしては、上述した透明基板上にカラーフィルタ膜、例えば画素部またはブラックマトリクスだけでなく、保護層、透明電極、または配向層等を有するものも含まれる。
【0047】
ここで、本発明における欠陥検出方法は、上記欠陥を検出することが可能な方法であれば、特に限定されるものではないが、例えばハロゲンランプ光を照射し、その反射光もしくは透過光をCCDライセンサにて受光し、受光した結果を画像処理して欠陥部分を抽出するような検査装置を用いる方法等を挙げることができる。この工程において、欠陥の存在が確認された場合は、その欠陥のカラーフィルタ内での位置が測定される。
【0048】
b.欠陥除去工程
次に、本発明における欠陥除去工程について説明する。本発明における欠陥除去工程とは、上記欠陥検出工程により検出された欠陥が存在する領域にレーザ光を照射し、前記欠陥をカラーフィルタ膜と共に除去する工程である。例えば図2(a)に示すように、上記欠陥検出工程により検出されたカラーフィルタ膜12中またはその表面に存在する異物13等の欠陥およびその異物13の近傍に存在するカラーフィルタ膜12にレーザ光を照射し、図2(b)に示すように上記異物およびその近傍にあるカラーフィルタ膜12が除去されたカラーフィルタ膜除去部14とする工程である。
【0049】
本発明における欠陥除去工程に用いられるレーザ光は、カラーフィルタ膜と共に欠陥を除去することができるレーザ光であれば特に限定されるものではない。例えば、エキシマ、YAG等のレーザを用いることが可能であり、YAGは、第2高調波だけでなく、YAG基本波、YAG第3高調波、YAG第4高調波等を用いてもよい。
【0050】
c.修正工程
次に、本発明における修正工程について説明する。本発明における修正工程とは、上述した欠陥除去工程で、欠陥と共に欠陥の近傍にあるカラーフィルタ膜が除去されたことにより、例えば図2(b)に示すように、カラーフィルタ膜除去部14として、カラーフィルタ膜に白抜きが生じており、このカラーフィルタ膜除去部14に、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置を用いてカラーフィルタ膜除去部14にカラーフィルタ膜用組成物を塗布することによりカラーフィルタ膜除去部を修正する工程である。
【0051】
本工程における修正方法について具体的に図3を用いて説明する。
【0052】
図3は、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置を用いた修正工程の一例を示している。まず、図3(a)に示すように、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置のカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に搭載されている欠陥修正用針3にカラーフィルタ膜用組成物4を付着させる。次に、上記欠陥除去工程により異物等の欠陥が除去され、カラーフィルタ膜除去部14が形成されているカラーフィルタに、カラーフィルタ膜用組成物4が付着している欠陥修正用針3を接触させ、カラーフィルタ膜用組成物4を塗布し(図3(b)参照)、欠陥修正用針3をカラーフィルタから引き離す。
【0053】
さらに、欠陥修正用針3とは、針の先端平面および先端側壁が成す角度が異なり、上述したカラーフィルタの欠陥修正装置のカラーフィルタ膜用組成物塗布手段に搭載されている別の欠陥修正用針3´を用い同様に修正を行う。まず、図3(c)に示すように、欠陥修正用針3´の先端にカラーフィルタ膜用組成物4を付着させる。さらに、このような欠陥修正用針3´を、ある程度まで修正が進んでいるカラーフィルタ膜除去部14に接触させ、さらにカラーフィルタ膜用組成物4を塗布する(図3(d)参照)。最後に欠陥修正用針3´を引き離し、カラーフィルタ膜用組成物4を硬化させることによりカラーフィルタ膜除去部14が修正されたカラーフィルタを得る(図3(e)参照)。
【0054】
このような本発明における修正工程においては、所望の膜厚が得られるまで、上述した修正工程を繰り返すことにより、精度の高い修正を行うことが可能である。また、図3には、異なる欠陥修正用針を用いた場合を示したが、一本の針を用いて複数回の塗布を繰り返す場合や、また、一回のみの修正工程によってカラーフィルタ膜除去部の修正を行う場合であっても良い。
【0055】
本工程においては、上述したカラーフィルタの欠陥修正用針を一種類以上、すなわち、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が異なる針を一種類以上用いることにより、このような角度が異なるために生じる塗布量の違いを利用して、僅かな膜厚の違いによる調整を可能とし、修正の精度を向上させることができる。また、針の先端平面と先端側壁とが成す角度の違いにより得られる膜厚が違うことから、カラーフィルタ膜用組成物の特性に応じた欠陥修正用針の選択の幅が広がることにより、同時にカラーフィルタ膜用組成物の選択の幅も広がる。
【0056】
なお、ここで用いているカラーフィルタの欠陥修正装置は、上述したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0057】
また、本発明に用いられるカラーフィルタ膜用組成物とは、例えば通常の画素部またはブラックマトリクスに用いられる塗料であっても良く、また、本発明においては、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が異なる針を複数取り揃えていることから、従来では使用することが困難であったカラーフィルタ膜用組成物も使用することができる。さらに、塗布性を向上させるために粘度を調整した専用塗料等を用いてもよく、さらに専用の修復剤であってもよいが、特に紫外線硬化性塗料を用いることが好ましい。紫外線硬化性塗料を用いることにより、カラーフィルタ膜に塗料を塗布後、紫外線を照射することにより、素早く塗料を硬化させることができ、すぐに次の工程に送ることができる。したがって、効率よくカラーフィルタを製造することができるからである。また、紫外線硬化性塗料の硬化に用いられる紫外光は、インキの硬化感度にも影響されるが、通常紫外線の積算路光量が、0.1J/cm2〜50/cm2であることが好ましく、中でも0.5J/cm2〜2J/cm2であることが好ましい。
【0058】
また、この紫外線光源を有する紫外線照射装置は、紫外線硬化型カラーフィルタ膜用組成物を硬化させることが可能な紫外線を照射することができる紫外線照射装置であれば特に限定されるものではない。例えば、スポットUV照射装置や、ランプハウスにシャッターを用いた装置等を挙げることができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0060】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0061】
[実施例]
ガラス基板上にフォトリソグラフィー法を用いてアクリル系のカラーフィルタ膜を形成したカラーフィルタ表面上に内包した異物をハロゲンランプを光源とし、その反射光により異物を検出した。次にYAGレーザ(第2高調波)を用いてスリット径□30μmにて数パルス照射し、レジスト部を除去した後、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が、105°および112.5°の針を用いて塗布した。105°の針では3回の塗布で膜厚が2.0μm、塗布径が53μmとなり、112.5°の針では3回の塗布で膜厚が1.6μm、塗布径が53μmとなり、針の先端平面と先端側壁とが成す角度を変更することにより、塗布膜厚を調整した。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が上記範囲内にある欠陥修正用針を複数本搭載したカラーフィルタ膜用組成物塗布手段を有するカラーフィルタの欠陥修正装置とすることにより、一箇所の欠陥除去箇所に、上述した角度が異なる欠陥修正用針を組み合わせて使用することができるため、調整できる膜厚の範囲が広がり、精度の高い修正を行うことができる。さらに、上述した角度が異なる欠陥修正用針は、針の先端部分にカラーフィルタ膜用組成物を付着させてカラーフィルタ膜の欠陥除去箇所に塗布する際、各々の針によって得られる膜厚が異なるため、従来、使用することが困難であった、カラーフィルタ膜用組成物であっても、欠陥修正用針をカラーフィルタ膜用組成物の特性に応じて選択することにより、使用することが可能となるため、使用可能なカラーフィルタ膜用組成物の幅が広がるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタの欠陥修正用針の先端部分の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図3】本発明の修正工程の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1 … カラーフィルタの欠陥修正用針の先端平面
2 … カラーフィルタの欠陥修正用針の先端側壁
3 … カラーフィルタの欠陥修正用針
a … カラーフィルタの欠陥修正用針の先端平面および先端側壁とが成す角度
Claims (3)
- カラーフィルタの欠陥修正用針を用い、この欠陥修正用針の先端にカラーフィルタ膜用組成物を付着させ、これをカラーフィルタの予め欠陥が除去された箇所に接触させることにより塗布するカラーフィルタ膜用組成物塗布手段を少なくとも有し、カラーフィルタの欠陥を修正するカラーフィルタの欠陥修正装置において、
前記カラーフィルタ膜用組成物塗布手段は、針の先端平面と先端側壁とが成す角度が90°〜135°の範囲内にあり、該角度が互いに異なる複数本の欠陥修正用針を搭載するものであり、かつ前記欠陥が除去された箇所に前記角度が互いに異なる欠陥修正用針で、カラーフィルタ膜用組成物を複数回接触させるものであることを特徴とするカラーフィルタの欠陥修正装置。 - カラーフィルタに存在する欠陥を検出する欠陥検出工程と、前記欠陥検出工程により検出された欠陥が存在する領域にレーザ光を照射し、前記欠陥をカラーフィルタ膜と共に除去する欠陥除去工程と、前記欠陥除去工程によりカラーフィルタ膜が除去された欠陥除去箇所に、欠陥修正用針の先端に付着したカラーフィルタ膜用組成物を接触させて塗布し、硬化させることにより欠陥除去箇所を修正する修正工程とを有するカラーフィルタの製造方法において、前記修正工程では、前記請求項1に記載のカラーフィルタの欠陥修正装置を用いることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
- 前記修正工程において、前記除去箇所に、針先端に付着したカラーフィルタ膜用組成物を接触させて塗布する方法が、先端平面と先端側面とがなす角度が互いに異なる欠陥修正用針を用い、前記除去箇所に、欠陥修正用針の先端に付着したカラーフィルタ膜用組成物を複数回接触させる方法であることを特徴とする、請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
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