JP4231449B2 - 金属管の絞り圧延方法およびその装置 - Google Patents

金属管の絞り圧延方法およびその装置 Download PDF

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Description

本発明は、金属管製造の定径行程に用いられる絞り圧延において発生する内面角張を減少させ、肉厚寸法精度が良好な管製品を提供する金属管の絞り圧延方法およびその装置に関する。
最終製品外径が、概略200mm以下の小径金属管製品を圧延を用いて製造する場合、その最終の定径工程には、例えば、非特許文献1において、「8.2 ストレッチレデューサー圧延」として説明されている絞り圧延が用いられる。
絞り圧延は、N本のロールで構成されたスタンドが複数連続配置された構成であり、金属管をこれらスタンド群で、連続圧延することにより、所定の外径寸法の金属管製品を得る。各スタンドのロール数Nは、一般には2〜4であり、現在では、主としてロール数N=3の絞り圧延機が多く用いられている。
以下にロール数Nが3の場合を例に、絞り圧延を説明する。図2には、ロール数が3の場合の絞り圧延機のロール配置の説明図を示す。絞り圧延機は、N本の同一形状の孔型ロール1がパスライン2を中心に圧延される管周方向に360°/Nの位相差をもって均等に配置される。N=3の場合は、3本の同一形状の孔型ロール1がパスライン2を中心に360°/3=120°の位相間隔φをもって均等に配置される。さらに、絞り圧延機では、連続するスタンドのロール配置は同一ではなく、スタンド間で360°/N/2、N=3の場合は、360°/3/2=60°の位相差αを持つようなロール配置とし、図2(a)および図2(b)の2通りのロール配置を有するスタンドを対として交互に配置して圧延を行うのが一般的である。
絞り圧延では、上述したような配置の複数ロールで構成された連続スタンドを有する圧延機で、各スタンドにおける外径の圧下率およびスタンド間の張力を調整しながら管外表面にロール圧下を加えながら圧延を行い、所定の寸法の管製品を得る。なお、管内表面に対しては、工具は用いられず、自由表面のまま圧延が行われる。
図3には、ロール数が3の場合を例に、絞り圧延ロールの孔型の説明図を示す。絞り圧延においては、最終スタンドを除いては、一般に図3(a)に示すような楕円形状の孔型ロール3を用い、最終スタンドについては、図3(b)に示すような真円形状の孔型ロール4を用いる。楕円形状の孔型を用いるのは、以下の理由による。図3に示したような孔型ロールを用いた場合、ロール孔型の溝底部5とフランジ部6との間にはこれら各部のロール径差に起因するロール周速差が生じ、溝底部5に対してフランジ部6のロール周速が大きくなる。ここで、溝底部5とは図3中に示す孔型ロール表面のロール幅中心の位置を、フランジ部6とは同様に図3中に示す孔型ロール表面の端部の位置を示す。このような孔型ロールを用いて圧延を行った場合、特に外径圧下率が大きくロールと圧延される管外表面との間の接触面圧が大きいスタンドにおいて、フランジ部6の管外表面にかき疵や焼付き疵が生じる場合がある。このような疵の発生を防止するために、孔型ロールの溝底部5とフランジ部6との間のロール周速差を小さくすることを目的に、図3(a)に図示したような楕円形状の孔型ロール3が用いられる。
絞り圧延では、加工量を確保するための外径圧下率が大きなスタンドでは、図3(a)に示したような楕円形状の孔型ロール3を用いて圧延を行う。しかしながら、楕円形状の孔型ロール3を用いた圧延では、断面が所定の真円形状の管製品を得ることができないため、最終スタンドに近づくにつれて、外径圧下率が小さくなるような圧下率配分で圧延を行い、少なくとも最終スタンドには図3(b)に示すような真円形状の孔型ロール4を用いて圧延を行い、断面が所定の真円形状の管製品を得る。
以上が、一般的な絞り圧延方法の説明であるが、このような方法で絞り圧延を行った場合、特に管製品の肉厚が厚い場合、また、絞り圧延前の素管からの外径圧下率が大きい場合に、内面角張りが顕在化し、製品管の周方向肉厚が不均一となり、肉厚寸法精度が大きく損なわれる問題が生じる。内面角張とは、絞り圧延後の管内面の断面形状が、所定の真円形状とはならずに多角形形状となる現象のことであり、各スタンドのロール数Nの場合は、n角形(n=2N)となる。例えば、ロール数N=3の場合は、管内面の断面形状は6角形となる。
このような内面角張が発生する原因について、図4を用いて説明する。ロール数N=3の場合を例に説明すると、図2に示したように、各スタンドで3本の孔型ロールは、互いに360/N=360/3=120°の位相差を持つように配置される。さらに、各ロールの孔型は、図3(a)に示したように、楕円形状である。このような孔型形状および配置のロールを適用したスタンドで管の圧延を行った場合、そのスタンドでの圧延後の管7の断面形状は、図4(a)に示すように、ロール孔型のフランジ部を頂点とする略3角形状となる。次に、図2で説明したように、絞り圧延では、各スタンドでのロール配置は同じではなく、スタンド間で360°/N/2、N=3の場合は、360°/3/2=60°の位相差を持つようなロール配置が2スタンド毎に繰り返されるようにロールは配置される。従って、次スタンドで圧延後の管7の断面形状は、図4(b)に示すような略3角形状となる。さらに次のスタンドで圧延後の管の断面形状は、再度、図4(a)に示したような略3角形状となり、スタンド毎に図4(a)と図4(b)に示した略3角形状の断面形状となることを繰り返しながら、管は圧延される。このような過程が繰り返された場合、最終スタンド圧延後の管の断面形状は、所定の真円形状ではなく、略3角形状となるが、絞り圧延では、図3で説明したように、少なくとも最終スタンドには、真円形状の孔型を用いて圧延を行い、この略3角形状の管外形状を真円形状に仕上げる。少なくとも最終スタンドにおいて、真円形状の孔型ロールを用いて圧延することにより、管の外表面については、最終的に真円形状を得ることが可能となる。一方で、内面については、一般に絞り圧延では内面工具は用いないため、外面形状に対する真円孔型のような、図4で説明した途中過程での略3角形状を矯正する手段はない。このため、図4(a)の略3角形の位相を第一の位相、図4(b)の略3角形の位相を第二の位相とした場合、第一の位相の略3角形の3つの頂点aと第二の位相の略3角形の3つの頂点bを重ね合わせた、あわせて6つの頂点cを有する略正6角形状のまま、圧延が終了し、図4(c)に示すような略正6角形の内面角張が生じる。同様の理由から、ロール数N=2の場合は略正4角形の、ロール数N=4の場合は、略正8角形の内面角張が生じる。
このような内面角張の改善策として、特許文献1においては、楕円率が負であるカリバーを用いる圧延方法が開示されている。この発明は、孔型の楕円率を0、即ち真円における楕円率よりも小さくすることにより内面角張現象を防止しようとするものである。しかしながら、この方法では、内面角張現象は低減される一方で、ロールの孔型フランジ部近傍にかき疵や焼付き疵が生じ、圧延に支障が生じるという問題がある。このようなロール孔型のフランジ部近傍における疵を回避するために、絞り圧延においては、内面角張現象の一因となるが、図3(a)に例示したような楕円形状の孔型ロールを用いて圧延が行われる。他の改善策として、特許文献2には、通常の絞り圧延によりも多くの各スタンド間のロール位相差が追加されたスタンド配置の圧延機を用いる圧延方法が開示されている。これにおいては、3ロール圧延機を用いた絞り圧延機では、一般に、各スタンド間でのロールの、圧延される管の周方向の位相差は角度60°のみであり、各スタンドのロール配置は、図2(a)および図2(b)に示した2通りのみであるのに対して、30°、45°、75°、90°のいずれかと60°との位相差をスタンド間に交互に適用することにより、図5に例示した8つのロール配置を有するスタンドのいずれもが少なくとも1スタンドは含まれる圧延機列を用いて圧延を行い、圧延後の管内面形状を略正24角形とすることにより通常の絞り圧延における略正6角形の内面形状から角張を低減しようとするものである。しかしながら、この方法では、図5に例示したように少なくとも8種類のロール配置のスタンドを用いることが必要である。一般に、絞り圧延においては、圧延の対象とする製品サイズが変わる際にスタンド交換を行うが、このように多種のロール配置を持つスタンドが混在した圧延機列では、ロール駆動軸の配置等、設備の構造が複雑となりスタンド交換が煩雑かつ時間を要する作業となり、圧延作業の生産性の低下を引き起こすことが多々生じる。
コロナ社刊、日本塑性加工学会編「塑性加工技術シリーズ8 棒線・形・管圧延 −世界をリードする圧延技術−」、218頁〜229頁 特開昭61−216805号公報 特開2000−94007号公報
解決しようとする問題点は、金属管製造の定径行程に用いられる絞り圧延において発生する内面角張である。本発明は、通常の絞り圧延機列よりロール配置の組み合わせ数を大幅に増加させることなく、一対のロール配置の追加のみで内面角張を実用上問題ない程度にまで低減させることを可能とすることを目的とする。
本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1) 3本のロールで構成されたスタンドが複数連続配置された構成からなる圧延機を用いた金属管の絞り圧延において、各スタンド間のロール配置の位相差を、1箇所のみ第二種の位相差とし、その他は第一種の位相差とし、前記第二種の位相差を適用する圧延機列中のスタンド位置を、(1)式に示す前記累積外径圧下率比Xが30%以上かつ70%以下の範囲にある圧延スタンドとその前のスタンドとの間とし、前記第一種の位相差を60°とし、前記第二種の位相差を15°以上45°以下、または、75°以上105°以下とすることを特徴とする金属管の絞り圧延方法。
累積外径圧下率比X
=絞り圧延機列中の任意のスタンドまでの累積外径圧下率R
絞り圧延機最終スタンド圧延後の累積外径圧下率R (1)
=1−D/D, R=1−D/D
:対象とするスタンドで圧延後の被圧延材の外径
:最終スタンドで圧延後の被圧延材外径
:絞り圧延前の素管の外径
(2) 3本のロールで構成されたスタンドが複数連続配置された構成からなる金属管の絞り圧延機において、各スタンド間のロール配置の位相差が1箇所のみ第二種の位相差とし、その他は第一種の位相差であり、前記第二種の位相差を適用する圧延機列中のスタンド位置を、上記(1)式に示す前記累積外径圧下率比Xが30%以上かつ70%以下の範囲にある圧延スタンドとその前のスタンドとの間とし前記第一種の位相差が60°であり、前記第二種の位相差が15°以上45°以下、または、75°以上105°以下であることを特徴とする金属管の絞り圧延機。
ここで、第一種の位相差および第二種の位相差は、以下のように定義する。3ロール圧延機を用いた絞り圧延機では、一般に、各スタンド間でのロールの、圧延される管の周方向の位相差は角度60°の一種類のみであるのに対して、本発明の絞り圧延においては、さらにもう一種類のスタンド間におけるロールの位相差を適用し、スタンド間のロール配置の位相差が二種類存在する絞り圧延機列を用いて圧延を行う。本発明においては、この二種類の位相差の内、主として用いる一方を第一種、他方を第二種の位相差と呼ぶことにする。
なお、ここで、第一種の位相差については、±5°の許容範囲をもつものとする。これは、図2(a)および(b)に示すようなロール配置のスタンドを交互に連続的に配置する際、所定の第一種の位相差に対して、この程度の設定誤差は不可避であるためである。
一般に、絞り圧延機においては、前述したように、図3(a)に示す楕円形状の孔型が用いられ、孔型半径、即ち、パスライン中心からロール孔型表面までの距離が被圧延材の周方向で同一とはならない。この点を考慮して、累積外径圧下率Xの計算においては、図3(a)(b)中に符号Aで示したロールの幅方向中心部における孔型半径および符号Bで示したロール端部における孔型半径を用いて、次式で定義するDを、その孔型形状を用いたスタンドで圧延した後の被圧延材の外径として用いる。
本発明の金属管の絞り圧延方法およびその装置は、金属管の絞り圧延において問題となる圧延後の金属管の内面角張を減少させ、偏肉率を実用上問題のないレベル、即ち圧延後の金属管内面の断面形状がほぼ真円形状となるまで改善された金属管の製造を可能とする。さらに、内面角張を改善するにあたり、従来の絞り圧延装置に対して、追加すべき圧延スタンド内におけるロール配置は一対のみであり、その構造を大きく変更する必要はなく、スタンド交換等の作業性を大きく損なうことなく、内面角張の改善を可能とする。
以下に、図を用いて本発明を詳細に説明する。本発明者らは、内面角張を改善するためには、従来の技術のように、第二種の位相差を圧延機列中に多数適用しなくとも、絞り圧延機の圧延機列中で一箇所適用し、従来の第一種の位相差のみの圧延機で生じる内面角張の正六角形状を歪めて、六ヶ所の比較的鋭角な角部を緩やかな曲線形状とすることにより、内面角張は改善できると考え、10スタンドからなる3ロール方式の絞り圧延の熱間実験装置を用いた実験を行った。実験においては、通常の第一種の位相差60°のみのロール配置からなる条件Aの圧延機列で絞り圧延を行った場合と、第5スタンドと第6スタンドとの間で第二種の位相差を適用し、他のスタンド間については第一種の位相差であり、第二種の位相差を30°としたロール配置からなる条件Bの圧延機列で絞り圧延を行った場合の2つの条件について内面角張を比較した。なお、以後の実験においては、前述したロールスタンドを設置する際の設定誤差を考慮して、一つの設定条件に対して、複数回のロールスタンドの設置から実験までを繰り返して行った。条件Aで圧延を行った場合、最終スタンド圧延後の被圧延材内面には明確な六角張りが生じた。これに対して、条件Bで圧延を行った場合は、被圧延材の内面はほぼ真円の実用上問題のない形状となった。以上の結果から、絞り圧延機のロール配置に関して、通常の第一種の位相差に第二種の位相差を一箇所混在させるのみで、被圧延材の内面角張が実用上問題のない程度にまで大きく改善されることが知見された。
次に、本発明者らは、第二種の位相差には適正範囲があると考え、その適正範囲を確認するために、上述した実験条件で第二種の位相差を120°まで種々変更して圧延を行った。ここで、位相差の変更範囲を120°までとしたのは、以下の理由による。3ロール方式の絞り圧延機の場合は、位相差が360°/3=120°の倍数となった場合、ロール配置はその対称性から、元の配置と同等となる。従って、位相差が120°以上の値となる場合は、120°未満の値の等価な位相差に置き換えることができる。つまり、位相差が150°の場合は、150°−120°=30°の位相差と等価となる。その結果、第二種の位相差が、45°より大きく75°より小さい場合は、偏肉の改善効果は小さく、圧延後の管には内面角張が残存した。これは、これら範囲の位相差では、通常の第一種の位相差との差が小さく、第二種の位相差を適用する効果が生じにくいからである。第二種の位相差が15°より小さい場合および105°より大きい場合は、ロール間への材料のかみ出しやロールフランジ部近傍の被圧延材表面にかき疵や焼付き疵が発生した。これは、第二種の位相差をこれらの範囲とした場合は、第二種の位相差を適用する直前のスタンドと直後のスタンドにおけるロールフランジ部の位相差が小さくなること、通常の絞り圧延においてもロールフランジ部においてはかみ出しや疵が発生しやすいことから、スタンド間のロールフランジ部の位相差が小さくなったことにより、かみ出しや疵が通常の絞り圧延よりも生じやすくなったためと考えられる。以上の結果から、本発明においては、第二種の位相差を15°以上かつ45°以下または75°以上かつ105°以下に限定する。
次に、本発明者らは、第二種の位相差を適用する適正なスタンド位置には適正範囲があると考え、その範囲を求めるために、上述の10スタンドからなる3ロール方式の絞り圧延の熱間実験装置を用いて、通常の第一種の位相差のみのロール配置からなる条件Aの圧延機列で絞り圧延を行った場合と、第二種の位相差の適用位置を変更した種々の条件の圧延機列で絞り圧延を行い、第二種の位相差の適用位置と圧延後の被圧延材の偏肉率および内面角張との間の関係について調べた。その結果、第2スタンドと第3スタンドとの間、第3スタンドと第4スタンドとの間、第4スタンドと第5スタンドとの間、または第5スタンドと第6スタンドとの間、いずれか一箇所に第二種の位相差を適用した場合に内面角張は生じない結果が得られ、それ以外の位置に第二種の位相差を適用した場合は内面角張りが生じる結果が得られた。さらに、本発明者らは、他の圧延条件においても同様の現象が生じるか否かを確認するために、上述の熱間実験装置を用いて、8スタンドで圧延した場合における被圧延材の内面角張について調査した。その結果、第2スタンドと第3スタンドとの間、第3スタンドと第4スタンドとの間、または第4スタンドと第5スタンドとの間、いずれか一箇所に第二種の位相差を適用した場合に、内面角張は生じない結果が得られ、それ以外の位置に第二種の位相差を適用した場合は内面角張りが生じる結果が得られた。
以上の実験においては、第二種の位相差を適用する適正スタンド位置は圧延に使用するスタンド台数によって異なる結果が得られた。このことから、第二種の位相差を適用するスタンド位置の適正範囲は、単にスタンド位置で整理しようとした場合、圧延に使用するスタンド台数により、その値が異なることが明らかとなった。そこで、本発明者らは、圧延に使用するスタンド台数によらず第二種の位相差を適用するスタンド位置を普遍的に整理する指標として、累積外径圧下率比Xを用いて、上述の10スタンドで圧延した場合、8スタンドで圧延した場合、それぞれの実験結果を整理した。その結果、10スタンドで圧延した場合、累積外径圧下率比Xは、第3スタンド圧延後において31%、第6スタンド圧延後において70%であった。8スタンドで圧延した場合、累積外径圧下率Xは、第3スタンド圧延後において30%、第5スタンド圧延後において70%であった。これら累積外径圧下率比Xと実験における内面角張り発生状況とを比較することにより、本発明者らは、圧延に使用するスタンド台数に関係なく、そのスタンドで圧延後の被圧延材の累積外径圧下率比Xが30%以上かつ70%以下の範囲にあるスタンドとその前のスタンドと間で、第二種の位相差を適用することにより、内面角張りの発生防止が可能であることを見出した。以上の結果から、本発明においては、第二種の位相差を適用するスタンド位置を、累積外径圧下率比が30%以上かつ70%以下の範囲にあるスタンドとその前のスタンドとの間に限定する。
以上の結果から、従来の絞り圧延法における圧延スタンド間の1種のロール配置の位相差に、規定されたスタンド位置において規定された範囲の中から特定された大きさの第二種の位相差を1種類のみかつ1回追加するだけで圧延後の金属管の内面角張を改善することが可能となることが知見された。、このとき、通常の絞り圧延におけるロールの配置は2種(1対)のロール配置のみが新たに追加されるのにすぎなかった。
3本のロールで構成されたスタンドが複数連続配置された構成からなる圧延機列で金属管を連続圧延することにより、所定の外径寸法の金属管製品を得る絞り圧延機において、図1に10スタンド圧延の場合について第二種の位相差を第3スタンドと第4スタンドとの間に適用した場合について例示するように、各スタンド間のロール配置を第一種の位相差60°または第二種の位相差30°のいずれかとし、第二種の位相差30°を適用する圧延機列中のスタンド位置を絞り圧延機列のおける金属管の累積外径圧下率比Xが45%となる第4スタンドとその一つ前の第3スタンドとの間に適用し、残りのスタンド間のロール配置の位相差は第一種の位相差60°とした。
絞り圧延機を上記のように構成した結果、各々所定のスタンド数の圧延機列を2セット準備し、各々の圧延機列におけるスタンド間のロール配置の位相差は通常の絞り圧延と同様の第一種の位相差とし、これら2セットの圧延機列を接続する際に、両圧延機列管のロール配置の位相差を第二種の位相差とするのみで、所定の絞り圧延機を構成することが可能となり、従来の絞り圧延機を大きく改造することなく、内面角張を改善することが可能となった。
累積外径圧下率比Xが表1に示すように設定した3本のロールで構成されたスタンドが8台連続配置された構成からなる圧延機列で、各スタンド間の位相差αを表2に示すように設定して、外径50mm、肉厚4.5mmのSTAM35G相当の炭素鋼鋼管を外径30mm、肉厚4.3mmまで圧延した。表1の圧下条件ではNo.3、No.4での累積圧下比率Xが30<X<70%となるので、No.2−3間、No.3−4間のいずれかで第二種の位相差を適用した場合が本発明に該当する。また、表2に示すように第1種の位相差はすべて60±5°であり、第二種の位相差は15°から105°まで変化させている。なお、表中の偏肉率は次式で定義される。
偏肉率=(管の最大肉厚−管の最小肉厚)/管の平均肉厚
Figure 0004231449
Figure 0004231449
本発明を適用したNo.1〜9の実施例においては、内面角張や外面疵が生じない偏肉率の小さな肉厚精度が良好な管を得られた。しかしながら、第二種の位相差もしくは第二種の位相差を適用するスタンド位置のいずれかが、本発明の条件より外れる比較例においては、内面角張または外面疵が発生した。
累積外径圧下率比Xが、表3に示すように設定された3本のロールで構成されたスタンドが21台連続配置された構成からなる圧延機列で、各スタンド間の位相差Δαのうち第二種の位相差を表4に示す位置および値に設定して、外径76.3mm、肉厚4.0mmのSTKM16A相当の炭素鋼鋼管を外径26.4mm、肉厚3.9mmまで圧延した。第二種の位相差を適用した位置以外はすべて第一種の位相差(=60°)とした。表3の圧下条件ではNo.6〜11での累積圧下比率Xが30<X<70%となるので、No.5−6間、No.6−7間、No.7−8間、No.8−9間、No.9−10間、No、10−11間のいずれかで第二種の位相差を適用するのが本発明に該当する。なお、表3に示す累積外径圧下率比Xの配分で、スタンド間のロール配置の位相差をすべて第一種の位相差として圧延した場合、圧延後の管には、外面疵は発生しなかったが、偏肉率は16.5%となり内面角張が発生した。
Figure 0004231449
Figure 0004231449
本発明を適用したNo.1〜9の実施例においては、内面角張や外面疵が生じない偏肉率の小さな肉厚精度が良好な管を得られた。しかしながら、第二種の位相差もしくは第二種の位相差を適用するスタンド位置のいずれかが、本発明の条件より外れる比較例においては、内面角張または外面疵が発生した。
本発明によるロール配置の一例を10スタンドの圧延機列において第3スタンドと第4スタンドとの間で第二種の位相差を適用した場合を例に示す説明図である。 ロール数が3の場合の絞り圧延機のロール配置の説明図である。 ロール数が3の場合の、絞り圧延ロールの孔型の説明図 3ロール絞り圧延における略正6角形の内面角張発生機構の説明図である。 従来発明において用いられる、8つのロール配置を説明する図である。
符号の説明
1 孔型ロール
2 パスライン
3 楕円形状の孔型ロール
4 真円形状の孔型ロール
5 溝底部
6 フランジ部
7 管
α 第一種の位相差
β 第二種の位相差
X 累積外径圧下率比
φ 絞り圧延機における孔型ロールの位相間隔
A パスライン中心と孔型ロールフランジ部との間の距離
a 第一の位相における略3角形状の管内面の頂点
b 第二の位相における略3角形状の管内面の頂点
c 圧延終了後の略正6角形状の管内面の頂点

Claims (2)

  1. 3本のロールで構成されたスタンドが複数連続配置された構成からなる圧延機を用いた金属管の絞り圧延において、各スタンド間のロール配置の位相差を、1箇所のみ第二種の位相差とし、その他は第一種の位相差とし、前記第二種の位相差を適用する圧延機列中のスタンド位置を、(1)式に示す前記累積外径圧下率比Xが30%以上かつ70%以下の範囲にある圧延スタンドとその前のスタンドとの間とし、前記第一種の位相差を60°とし、前記第二種の位相差を15°以上45°以下、または、75°以上105°以下とすることを特徴とする金属管の絞り圧延方法。
    累積外径圧下率比X
    =絞り圧延機列中の任意のスタンドまでの累積外径圧下率R
    絞り圧延機最終スタンド圧延後の累積外径圧下率R (1)
    =1−D/D, R=1−D/D
    :対象とするスタンドで圧延後の被圧延材の外径
    :最終スタンドで圧延後の被圧延材外径
    :絞り圧延前の素管の外径
  2. 3本のロールで構成されたスタンドが複数連続配置された構成からなる金属管の絞り圧延機において、各スタンド間のロール配置の位相差が1箇所のみ第二種の位相差とし、その他は第一種の位相差であり、前記第二種の位相差を適用する圧延機列中のスタンド位置を、(1)式に示す前記累積外径圧下率比Xが30%以上かつ70%以下の範囲にある圧延スタンドとその前のスタンドとの間とし、前記第一種の位相差が60°であり、前記第二種の位相差が15°以上45°以下、または、75°以上105°以下であることを特徴とする金属管の絞り圧延機。
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